説明

軒樋吊り具

【目的】 使用時に軒樋吊り部の建物の鼻隠し板からの出寸法が正確にセットできる軒樋吊り具を提供するにある。
【構成】 吊り部保持板2の前面から前方に保持腕3が設けられ、保持腕3の先端部に軒樋吊り部4のほぼ中央部が重ね合わされ、軒樋吊り部4のほぼ中央部に長孔43が穿設され、保持腕3の先端部にボルト孔31が穿設され、長孔43及びボルト孔31に挿通されたボルト5にナット6が取付けられることにより双方がスライド可能に取付けられ、軒樋吊り部4の前端部及び後端部に軒樋耳保持部41、42が設けられた軒樋吊り具1において、軒樋吊り部4の中央部上面に複数個の凸部44が設けられ、保持腕3の先端部下面に軒樋吊り部4の凸部44に係合する凸部32が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軒樋吊り具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、実開平4−82232号公報に記載されているように、吊り部保持板の前面から前方に保持腕が設けられ、保持腕の先端部に軒樋吊り部の中央部が重ね合わされ、保持腕の先端部及び軒樋吊り部の中央部の少なくともいずれか一方に長孔が穿設され、他方にボルト孔が穿設され、長孔及びボルト孔に挿通されたボルトにナットが取付けられることにより双方がスライド可能に取付けられ、軒樋吊り部の前端部及び後端部に軒樋耳保持部が設けられた軒樋吊り具が知られている。このような軒樋吊り具においては、使用時に吊り部保持板を建物の鼻隠し板に取付けたときに鼻隠し板からの軒樋吊り部の出寸法が分かるように軒樋吊り部の中央部の上面には寸法目盛りが表示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実開平4−82232号公報に記載されているように、使用時に吊り部保持板を建物の鼻隠し板に取付けたときに鼻隠し板からの軒樋吊り部の出寸法が分かるように軒樋吊り部の中央部の上面には寸法目盛りが表示されたものでは、次の欠点があった。
【0004】即ち、寸法目盛りを見る目の位置によっては、鼻隠し板からの軒樋吊り部の出寸法は一定しないことがあり、又、セット後の衝撃によりセットの位置がずれたりして、鼻隠し板からの軒樋吊り部の出寸法は正確なものとはならない欠点があった。
【0005】本発明は、このような従来の軒樋吊り具における問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、従来の軒樋吊り具における問題点を解決し、使用時に軒樋吊り部の建物の鼻隠し板からの出寸法が正確にセットできる軒樋吊り具を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明軒樋吊り具は、吊り部保持板の前面から前方に保持腕が設けられ、保持腕の先端部に軒樋吊り部のほぼ中央部が重ね合わされ、保持腕の先端部及び軒樋吊り部のほぼ中央部の少なくともいずれか一方に長孔が穿設され、他方にボルト孔が穿設され、長孔及びボルト孔に挿通されたボルトにナットが取付けられることにより双方がスライド可能に取付けられ、軒樋吊り部の前端部及び後端部に軒樋耳保持部が設けられた軒樋吊り具において、軒樋吊り部のほぼ中央部上面に複数個の凹部又は凸部が設けられ、保持腕の先端部下面に軒樋吊り部のほぼ中央部上面の凹部又は凸部に係合する凹部又は凸部が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】本発明において、軒樋吊り具の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、硬質塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネイトのような合成樹脂の他、ポリフェニレンサルファイドのようなエンジニアリングプラスチック、又は、鉄、ステンレス、銅、アルミニュウムのような金属を単独に使用してもよく、或いは、鉄等の金属製芯材の両側に硬質塩化ビニル樹脂の被覆層を設ける等、これらの材質を適宜組合わせて使用してもよい。尚、芯材は金属の板或いは網状体でもよく、金属の他に繊維強化複合シート等も使用できる。
【0008】この繊維強化複合シートとしては、ガラス繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維等の単独もしくはこれらを組み合わせたロービング状の連続繊維、不織布、織布、マット、ネット等の加工物等に樹脂が含浸成形されたものが使用でき、更にこれらを組合わせた多層構造とすることもできる。
【0009】
【作用】本発明軒樋吊り具においては、軒樋吊り部のほぼ中央部上面に複数個の凹部又は凸部が設けられ、保持腕の先端部下面に軒樋吊り部のほぼ中央部上面の凹部又は凸部に係合する凹部又は凸部が設けられているので、軒樋吊り部のほぼ中央部上面に設けられた凹部又は凸部と保持腕の先端部下面に設けられた凹部又は凸部とを係合させることにより軒樋吊り部の建物の鼻隠し板からの出寸法が正確にセットでき、セット後は衝撃等でセットが緩む恐れはない。
【0010】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
〔実施例1〕図1は本発明軒樋吊り具の一例を示す正面図、図2は図1に示す本発明軒樋吊り具の平面図、図3は図1に示す本発明軒樋吊り具の要部拡大断面図である。図1、2において、1は本発明軒樋吊り具、2は本発明軒樋吊り具1の吊り部保持板であり、吊り部保持板2には取付孔21が穿設され、取付孔21に釘打ちすることにより吊り部保持板2を建物の鼻隠し板等に取付けることができるようになっている。
【0011】3は吊り部保持板2の前面から前方に一体に突設された保持腕であり、保持腕3は下方に開口する溝形であり、その先端部にはボルト孔31が穿設され、下面には下方に突出する凸部32が突設され、両側部には包持片33が垂下屈曲されている。吊り部保持板2及び保持腕3はステンレス鋼製板材より折曲加工されて製作されている。
【0012】4はポリカーボネイト製軒樋吊り部であり、軒樋吊り部4の前端には一方の耳保持部41が設けられ、後端には他方の耳保持用凹部42が突設され、この耳保持用凸部42の入口部には相対向する耳保持用凸部421、422が突設されている。軒樋吊り部4の中央部には長孔43が穿設され、長孔43の両側の上面には凸部44、44、・・が一定間隔をおいて突設され、図3に拡大して示すように、この凸部44、44、・・のいずれかに保持腕3の先端部下面に突設された凸部32が係合されるようになっている。
【0013】軒樋吊り部4の中央部に保持腕3の先端部が重ね合わされ、凸部32が凸部44、44、・・のいずれか係合されると共に保持腕3の先端部の両側部の包持片33が軒樋吊り部4の中央部の両側部を包持し、ボルト5が保持腕3の先端部のボルト孔31及び軒樋吊り部4の長孔43に挿通され、ボルト5の先端に蝶ナット6がねじ込まれることにより保持腕3の先端部に軒樋吊り部4がスライド可能に取付けられている。
【0014】〔実施例1の作用〕次に図1〜3に示す本発明軒樋吊り具1の作用について説明する。図1〜3に示す軒樋吊り部4の中央部に保持腕3の先端部が重ね合わされ、凸部32が凸部44、44、・・のいずれか係合されると共にボルト5が保持腕3の先端部のボルト孔31及び軒樋吊り部4の長孔43に挿通され、ボルト5の先端に蝶ナット6がねじ込まれることにより保持腕3の先端部に軒樋吊り部4がスライド可能に取付けられているので、使用時には軒樋吊り部4の建物の鼻隠し板等からの出寸法は一定のものとなり、衝撃等によっては軒樋吊り部4の建物の鼻隠し板等からの出寸法が変動したりはしない。
【0015】〔実施例2〕図4は本発明軒樋吊り具の他の一例を示す正面図、図5は図4に示す本発明軒樋吊り具の要部拡大断面図である。図4、5に示す本発明軒樋吊り具1aにおいては、図1、2に示す本発明軒樋吊り具の軒樋吊り部の中央部上面に複数個の凸部を設ける代わりに複数個の凹部44aを穿設し、この凹部44aに保持腕3の先端部の凸部32aが係合されるようになっている。
【0016】〔実施例3〕図6は本発明軒樋吊り具の更に他の一例を示す正面図、図7は図6に示す本発明軒樋吊り具の保持腕の要部を示す断面図である。図6、7に示す本発明軒樋吊り具1bにおいては、図1、2に示す本発明軒樋吊り具の保持腕3の先端部に凸部32を設ける代わりに穿孔することにより凹部32bを凹設し、この凹部32bが軒樋保持部4の凸部44b、44b 、・・のいずれかに係合されるようになっている。
【0017】以上、本発明の実施例を図により説明したが、本発明の具体的な構成は、この実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0018】例えば、図示の実施例のように、保持腕3の先端部にボルト孔31を設け、軒樋吊り部4の中央部に長孔43を設ける代わりに、逆に、保持腕3に長孔を設け、軒樋吊り部にボルト孔を設けるようにしてもよい。又、図示の実施例のように蝶ナットを使用する代わりに普通のナットを使用してもよい。
【0019】
【発明の効果】本発明軒樋吊り具においては、軒樋吊り部の中央部上面に複数個の凹部又は凸部が設けられ、保持腕の先端部下面に軒樋吊り部の中央部上面の凹部又は凸部に係合する凹部又は凸部が設けられているので、軒樋吊り部の中央部上面に設けられた凹部又は凸部と保持腕の先端部下面に設けられた凹部又は凸部と係合させることにより軒樋吊り部の建物の鼻隠し板からの出寸法が正確にセットでき、セット後は衝撃等でセットが緩む恐れはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明軒樋吊り具の一例を示す正面図。
【図2】図1に示す本発明軒樋吊り具の平面図。
【図3】図1に示す本発明軒樋吊り具の要部拡大断面図。
【図4】本発明軒樋吊り具の他の一例を示す正面図。
【図5】図4に示す本発明軒樋吊り具の要部拡大断面図。
【図6】図1に示す本発明軒樋吊り具の更に他の一例を示す正面図。
【図7】図6に示す本発明軒樋吊り具の保持腕の要部を示す断面図。
【符号の説明】
1、1a、1b 本発明軒樋吊り具
2 吊り部保持板
21 取付孔
3、3a 保持腕
31 ボルト孔
32、32a 凸部
32b 凹部
33 包持片
4、4a 軒樋吊り部
41 耳保持部
42 保持用凸部
43 長孔
44、44b 凸部
44a 凹部
5 ボルト
6 蝶ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 吊り部保持板の前面から前方に保持腕が設けられ、保持腕の先端部に軒樋吊り部のほぼ中央部が重ね合わされ、保持腕の先端部及び軒樋吊り部のほぼ中央部の少なくともいずれか一方に長孔が穿設され、他方にボルト孔が穿設され、長孔及びボルト孔に挿通されたボルトにナットが取付けられることにより双方がスライド可能に取付けられ、軒樋吊り部の前端部及び後端部に軒樋耳保持部が設けられた軒樋吊り具において、軒樋吊り部のほぼ中央部上面に複数個の凹部又は凸部が設けられ、保持腕の先端部下面に軒樋吊り部のほぼ中央部上面の凹部又は凸部に係合する凹部又は凸部が設けられていることを特徴とする軒樋吊り具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開平7−224503
【公開日】平成7年(1995)8月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−18348
【出願日】平成6年(1994)2月15日
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)