説明

軟包材容器

【課題】把手部の耐荷重性を向上させることが可能な軟包材容器を提供することである。
【解決手段】軟包材容器10は、容器上部に設けられた口栓17と、手先が差し入れ可能な把手孔19及び把手孔周縁シール部20とを有する把手部18と、容器周縁シール部13が設けられて形成される充填部14と、を備え、把手部18は、その長手方向が、近接する容器周縁と略平行に、且つ該容器周縁に形成される容器周縁シール部13と離間して、内容物充填部に設けられることを特徴とする。また、把手部18は、間隙21側の辺部が円弧形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟包材容器に関し、特に、容器上部に設けられた注出口と、手先が差し入れ可能な把手孔と、を備えた軟包材容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軽量で廃棄が容易な軟包材容器は、シャンプーや液体洗剤等のトイレタリー製品などを充填した詰め替え用容器を中心に広く使用されている。詰め替え用容器に利用される軟包材容器には、内容液の詰め替えを容易にするために口栓を取り付けた注出口が設けられ、また、内容液の量が1〜2Lのような大型容器には、詰め替えの際に容器を把持するための把手孔が設けられる。把手孔は、手先が差し入れ可能な貫通孔であって、把手孔の形状や形成位置により持ち易さ等の機能が大きく変化するため、持ち易さ等を考慮して把手孔の形状や形成位置を改良した容器が幾つか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、内容液の移し替えを容易にすることを目的として、容器を立てたときに水平な線に対して注出口の中心線のなす角度が45°〜90°の範囲の角度で斜め外側上方を向くように、容器上端部の一方側のコーナーに設けられた注出口と、他方側の側部シール部の上端部に拡大シール部を設けて、この拡大シール部に形成された把手孔と、を備えた軟包材容器が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、容器周縁のヒートシール部に、2つの切り込み端の間につなぎ部を配した1本の切り込みを入れて、切り込みとつなぎ部とで囲まれて手先を差し入れたときに把手孔が開口する把手孔予定部を設け、把手孔予定部の周囲に非シール部を設けた軟包材容器が開示されている。さらに、特許文献3には、把手孔の辺部を形成する切り込みを波形にして辺部に沿った方向に連続する複数の凹凸からなる波状のひだ部を形成した軟包材容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−211588号公報
【特許文献2】特開2004−359258号公報
【特許文献3】特開2004−359259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1〜3に開示された軟包材容器は、図6、図7に示すように、いずれの容器も、容器周縁に形成された容器周縁シール部52の一部に把手孔53を設けた構成である。ここで、図6は、従来の軟包材容器50を示す図であり、図7は、図6の把手孔53部分の一部を切断して示す斜視図であり、内容液を取り出す際に、把手孔53に手先が挿入されて、口栓54が下方に傾けられたときの様子を示す図である。なお、口栓54が下方に傾けられると、把手孔53の容器外側の辺部に対して容器外側方向に荷重Fがかかることになる。
【0007】
図6に示すように、把手孔53は、容器の上下方向に沿って長い形状を有し、その長手方向が容器側縁形状に沿って形成されているので、内容液を取り出す際に容器を把持し易い。しかし、かかる軟包材容器50では、内容液を取り出すときに把手孔53の容器側縁側の辺部に荷重Fが加わると、図6に点線で囲んだ把手孔53の上端又は下端に位置する容器周縁シール部52に荷重Fが集中して、図7に示すように、その部分に亀裂が入り切断され易いという課題がある。
【0008】
容器周縁シール部52は、表裏2面を構成する胴体部フィルム51が接合された部分であるから、剛性が高く耐荷重性に優れるが、荷重が一点に集中すると切断され易くなる。特に、内容液の重量が重い大型容器の場合には、荷重Fも大きくなるので、上記の課題は一層顕著になる。以上のように、容器周縁シール部52の一部に把手孔53を形成した従来の軟包材容器50は、把手部分の耐荷重性について改良の余地がある。
【0009】
本発明の目的は、把手部分の耐荷重性を向上させることが可能な軟包材容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る軟包材容器は、容器上部に設けられた注出口と、手先が差し入れ可能な把手部と、容器周縁シール部が容器周縁の少なくとも一部に設けられて形成される内容物充填部と、を備えた軟包材容器であって、把手部は、その長手方向が、近接する容器周縁又は容器周縁シール部と略平行に、且つ該容器周縁又は該容器周縁シール部と離間して、内容物充填部に設けられることを特徴とする。
【0011】
また、把手部は、容器周縁又は容器周縁シール部側の辺部が、近接する容器周縁又は容器周縁シール部に向かって凸形状を有することが好ましい。
【0012】
また、把手部は、容器周縁又は容器周縁シール部側の辺部が、円弧形状を有することが好ましい。
【0013】
また、把手部は、指先が差し入れ可能な複数の把手要素部から構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る軟包材容器によれば、把手部は、その長手方向が、近接する容器周縁又は容器周縁シール部と略平行に、且つ該容器周縁又は該容器周縁シール部と離間して、内容物充填部に設けられるので、把手部と容器周縁又は容器周縁シール部との間に非シール領域の間隙が形成され、容器を把持するときに把手部の容器周縁又は容器周縁シール部側の辺部に加わる荷重を、その間隙が容器の表裏面に交差する方向(厚み方向)に変形することで分散させることが可能になる。したがって、把手部の上端又は下端に荷重が集中することを抑制できるので、大きな荷重が把手部に加わった場合でも、把手部の切断を防止することができる。
【0015】
また、把手部の容器周縁又は容器周縁シール部側の辺部が、近接する容器周縁又は容器周縁シール部に向かって凸形状、例えば、該辺部の上下端部から中央部に向かって次第に凸となる形状を有する構成とすれば、把手部と容器周縁又は容器周縁シール部との間に形成される間隙の上下両端の幅が広くなるので、内容物充填部の一部として機能する該間隙の内部空間に内容物が入り込み易くなる。該間隙における内容物の流通性が向上すると、間隙が膨らみ易くなり容器の把持性が向上すると共に、間隙が厚み方向に変形し易くなって把手部の耐荷重性も向上する。
【0016】
また、把手部の容器周縁又は容器周縁シール部側の辺部が、円弧形状を有する構成とすれば、円弧形状の辺部に沿って内容物が流通し、把手部と容器周縁又は容器周縁シール部との間に形成される間隙における内容物の流通がよりスムーズになる。
【0017】
また、指先が差し入れ可能な複数の把手要素部から把手部を構成すれば、さらに内容液が把手部と容器周縁又は容器周縁シール部との間に形成される間隙に入り込み易くなると共に、把手部に加わる荷重の分散性をさらに向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第1の実施形態における軟包材容器を示す図である。
【図2】図1の把手部周辺の一部を切断して示す斜視図である。
【図3】本発明に係る第2の実施形態における軟包材容器を示す図である。
【図4】本発明に係る第3の実施形態における軟包材容器を示す図である。
【図5】本発明に係る第4の実施形態における軟包材容器を示す図である。
【図6】従来の軟包材容器を示す図である。
【図7】図6の把手孔周辺の一部を切断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1、図3〜図5は、把手部の形状又は形成位置等が相違する各実施形態における軟包材容器10を示す平面図であり、内容液充填前の状態を示している。なお、以下では、軟包材容器10は、スタンディングパウチ(底ガゼット袋)として説明するが、軟包材容器10の形態としては、サイドガゼットパウチ(横ガゼット袋)、三方袋や合掌袋等の平パウチなどの公知の形態を適用することができ、特に限定されるものではない。また、内容物を取り出す注出口は、容器上部の角部に設けられるものとして説明するが、注出口の位置としては、特に限定されず、容器の上端、側端など適宜変更することができる。また、充填される内容物は、液体洗剤等の低粘度の液体(以下、内容液とする)として説明するが、高粘度の液体、ゲル状体、粉体等の固体などであってもよい。
【0020】
図1に示すように、軟包材容器10は、容器の表裏面を構成する一対の胴体部フィルム11と、容器の上部側に向かって山折りに折り返された底部フィルム12とから構成される。底部フィルム12は、底ガゼットと称されるまちの機能を果たす部材である。軟包材容器10は、2枚の胴体部フィルム11及び底部フィルム12が一体接合されることによって形成されている。
【0021】
一対の胴体部フィルム11と底部フィルム12との接合は、通常、ヒートシールによって行なわれ、山折りに折り返された底部フィルム12が表裏2面を形成する両胴体部フィルム11の下部に挿入された状態で、容器周縁がヒートシールされることにより、容器周縁シール部13、及び内容液が充填される内部密閉空間である充填部14が形成される。なお、図1の容器に内容液が充填されると、表裏の胴体部フィルム11が離間すると共に、底部フィルム12が舟形に展開されて自立性が発現する。
【0022】
軟包材容器10を構成する胴体部フィルム11及び底部フィルム12は、耐衝撃性、耐磨耗性、耐熱性及びガスバリア性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求されるために、剛性や形状保持性に優れた材料から構成されることが好ましい。また、各フィルムは、通常、互いにヒートシールされるため、シーラント層を備える。したがって、胴体部フィルム11及び底部フィルム12を構成するフィルムは、シーラント層と、ベースフィルム層とを備えた積層フィルムから構成されることが好ましい。なお、各フィルムのシーラント層が袋の内側となるように重ね合わされ接合される。
【0023】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルスルフォン(PES)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムを使用することができる。
【0024】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上のフィルムを使用することができる。
【0025】
ベースフィルム層及びシーラント層を構成するフィルムの積層方法としては、ドライラミネーション方法やホットメルトラミネーション方法などの公知の方法を使用することができる。また、積層フィルムは、上記の樹脂材料を使用して共押出しすることによっても作製することができる。
【0026】
高い気密性が要求される場合には、上記積層フィルムは、ガスバリア層を有することが好ましい。ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルムに酸化アルミニウムやシリカなどの無機酸化物を蒸着した透明蒸着フィルムなどを設けることができる。ガスバリア層を設ける場合、その構成については特に限定されず、例えば、ベースフィルム層とシーラント層との間に設けることができる。これらの薄膜の形成方法としては、蒸着法やスパッタリング法といった公知の方法を適用することができる。なお、ガスバリア層とベースフィルム層との間等に接着剤層を設けることもできる。
【0027】
胴体部フィルム11は、その表面、即ち軟包材容器10の表裏2面に、商品名や商品イメージ或いは商品の品質を表す図示しないデザイン等の印刷層を設けることができる。この印刷層は、一般的にベースフィルム層の内側の面に設けられる。
【0028】
軟包材容器10は、容器上部の少なくとも一方の角部に、スパウト15と、スパウト15にねじ込まれたキャップ16とから構成される注出口である口栓17を備える。また、口栓17が取り付けられる容器の角部は、斜めにカットされている。スパウト15は、円柱状の胴体部と、その内部に貫通孔を有する形状であって、充填部14と容器外部とを連通して設けられ、スパウト15の胴体部の外周面に胴体部フィルム11が密着するように容器周縁シール部13が形成される。なお、内容物を取り出す注出口としては、口栓17の代わりに、容器周縁シール部により先端部及び両側部が形成された注出路を適用することもできる。
【0029】
口栓17から内容液を取り出す際には、キャップ16を取り外し、スパウト15の貫通孔の開口方向を下方に傾ける必要がある。このような内容液の取り出し時における容器の把持性を向上させるために、軟包材容器10には、手先を差し入れ可能な把手部18が設けられる。また、把手部18は、把持性の観点から、容器の幅方向について口栓17と反対側の側縁に設けられる。したがって、詳しくは後述するように、内容液の取り出し時や容器の運搬時に、把手部18を使用して容器を把持すると、把手孔19の容器外側の辺部に対して容器外側方向の荷重が加わる。ここで、把手孔19の辺部とは、把手孔19を形成する胴体部フィルム11の切り込み線と一致する部分である。
【0030】
把手部18は、手先を差し入れ可能な把手孔19と、把手孔19の周縁に形成される把手孔周縁シール部20と、から構成される。図1に示すように、把手部18は、容器の上下方向に沿って長く伸びた略台形形状を有し、把持性向上の観点から、その長手方向、即ち把手部18の長さが長い方向が、近接する容器周縁シール部13と略平行に、且つ該容器周縁シール部13と離間した位置(充填部14)に設けられる。
【0031】
ここで、把手部18の長手方向が近接する容器周縁シール部13と略平行に設けられるとは、把手部18の長手方向と近接する容器周縁シール部13とが実質的に平行とみなせるものを含むことを意味し、例えば、該長手方向と該容器周縁シール部13とに沿った線がなす角度が数度程度の場合、そのような構成が含まれてもよいことを意味する。なお、容器周縁シール部13は、通常、容器の全周に亘って均一な幅で形成されるので、把手部18の長手方向は近接する容器周縁に対しても略平行である。容器周縁シール部13の幅が変更された場合でも、把手部18(把手孔19)の長手方向が近接する容器周縁に対して略平行であれば、把手部18が握り易くなって把持性が良好なものとなる。
【0032】
把手孔19は、上記のように、容器を把持しようとするときに、手先(指先)が挿入可能な貫通孔である。図1に示すように、把手孔19は、容器周縁シール部13から離間した胴体部フィルム11の一部に、表裏2面のフィルムを貫通して形成される。即ち、把手孔19は、その周囲が充填部14に囲まれた位置に形成されるので、充填部14の一部に形成されたとみなすこともできる。また、把手部18の長手方向は近接する容器周縁の形状に沿う必要があるので、把手孔19の長手方向も近接する容器周縁の形状に沿うように形成される。
【0033】
把手孔19のサイズは、例えば、親指を除く4本の指先が挿入可能なサイズに設定されると共に、充填部14の容量を大きくとるために必要以上に大きくないことが好ましい。また、内容液の取り出しの際には、指先が把手孔19の上端又は下端の辺部に触れることが想定されるので、当該辺部は、R形状(円弧形状)のように丸みを帯びた形状であることが好ましい。
【0034】
把手孔周縁シール部20は、胴体部フィルム11を貫通して形成される把手孔19の周縁をヒートシールすることにより形成された接合部であり、把手孔19部分からの内容液の漏れを防止する機能を有する。表裏2面の胴体部フィルム11の接合端面が直接指先に接触することを防止するために、把手孔19の周縁に非シール領域を残して把手孔周縁シール部20を形成することもできる。また、図1に示すように、把手孔周縁シール部20の幅は、把手孔19の全周に沿って略均一な幅とすることができ、把手孔周縁シール部20の外側辺部(把手孔19側の辺部を内側辺部、反対側の辺部を外側辺部とする)の形状は、把手孔19の辺部の形状に略平行な形状を有している(非シール部領域を残さない場合は、把手孔19の辺部及び把手孔周縁シール部20の内側辺部は一致する)。
【0035】
上記のように、把手部18は、容器周縁シール部13から離間した位置に形成される。したがって、把手孔周縁シール部20と容器周縁シール部13との間には、内部空間が充填部14と連通し内容液の流通が可能な間隙(以下、間隙21とする)が形成される。即ち、把手部18は、その周囲が充填部14に囲まれるように形成され、間隙21の内部空間は、充填部14の一部として機能する。
【0036】
把手孔周縁シール部20と容器周縁シール部13との間に形成される間隙21は、表裏2面の胴体部フィルム11同士が接合されていない非シール部であって、このような間隙21を設けることにより、後述するメカニズムにより把手孔19の辺部にかかる荷重Fを受容して分散することができる。間隙21の幅(把手孔周縁シール部20と容器周縁シール部13との間の長さ)は、把手孔19の形成位置、把手孔周縁シール部20の幅等により調整することができる。間隙21の幅が大きいほど、把手孔19の辺部にかかる荷重の分散効果は高まるが、把持性や充填部14の容量等を考慮して、5mm〜20mm程度に設定されることが好ましい。
【0037】
間隙21の存在による荷重の分散メカニズムについて、図2を用いて説明する。図2は、図1の把手部18周辺の一部を切断して示す斜視図であり、内容液を取り出す際に、把手部18の把手孔19に手先が挿入されて、口栓17が下方に傾けられたときの様子を示すものである。上記のように、把手部18は、容器の幅方向について口栓17と反対側の側縁に設けられるので、口栓17が下方に傾けられると、把手孔19の間隙21側の辺部に容器周縁方向に向かう荷重Fが加わることになる。荷重Fは、当然に、内容液の重量が重くなるほど大きくなる。
【0038】
図2に示すように、把手孔19の辺部に対して荷重Fがかかった場合、間隙21(具体的には、間隙21を構成する表裏2面の胴体部フィルム11、間隙21の内部空間を流通する内容液等)が、その荷重Fを受容して、容器の表裏面に交差する方向(以下、厚み方向とする)に対して容易に変形する。上記のように、間隙21は、表裏面の胴体部フィルム11同士が接合されず、剛性が低い非シール領域であって、厚み方向への変形が容易に起こる。即ち、間隙21を設けたことにより、荷重Fは、厚み方向に分散され、容器周縁方向にかかる荷重分が相対的に低減される。したがって、把手孔19の上端又は下端に位置する把手孔周縁シール部20への荷重の集中を抑制することができる。このように、間隙21は、荷重Fを受容して分散する機能を有し、間隙21を設けることによって把手部18の耐荷重性を向上させることが可能になる。
【0039】
なお、上記のように、間隙21の内部空間は、充填部14の一部として機能するため、内容液が流通可能である。内容液が間隙21の内部空間に充填されると、間隙21が膨らんで把持性が向上すると共に、荷重の分散性も向上する。しかし、図1に示す把手部18の形状では、間隙21の上下両端が狭いため、内容液の種類等によっては、内容液が入り込み難い場合がある。そこで、間隙21における内容液の流通性を向上させることを目的として、把手部18の形状を変更した軟包材容器10を図3に示す。
【0040】
図3に示すように、把手部18は、間隙21側の辺部が、近接する容器周縁(容器周縁シール部13)に向かって凸形状を有する。即ち、該辺部の中央付近における間隙21の幅は、図1に示す第1実施形態の場合と同等であり、該辺部の中央付近から上下両端に向かうにつれて徐々に間隙21の幅が広くなる。このような形状とすれば、間隙21の内部空間に内容液が入り込み易くなり、把持性が向上すると共に、荷重Fの分散領域も広くなって、厚み方向に分散され易くなるので把手部18の耐荷重性も向上する。より詳しくは、把手孔周縁シール部20の間隙21側外側辺部が、該辺部の上下両端から中央に向かって次第に凸となる形状であればよく、台形等の形状であってもよい。
【0041】
図3に示すように、把手部18の全体形状は、容器周縁側に向かって膨らんだ半円形状である。即ち、間隙21の内部空間における内容液の流通性を改良するためには、間隙21側の辺部形状を円弧形状等にすればよく、反対側の辺部形状は、特に限定されない。なお、把手部18(把手孔19)の形状は、上記実施形態1の軟包材容器10と同様に、容器の上下方向に沿って長く伸びた形状を有し、その長手方向が近接する容器周縁に沿って形成される。
【0042】
図4に示すように、真円形状の把手要素部18aから構成される把手部18とすることもできる。複数の把手要素部18aは、互いに離間して設けられ、把手孔19aと、把手孔周縁シール部20aと、をそれぞれ有する。各把手要素部18aは、互いに離間して設けられるので、各把手要素部18aの間には、内部空間に内溶液が流通可能であり充填部14の一部として機能する間隙が形成される。このような間隙(以下、把手要素部間隙22とする)を形成することにより、さらに内容液が間隙21に入り込み易くなる。
【0043】
図4に示すように、把手要素部18aは、近接する容器周縁に沿って4つ設けられる。即ち、把手要素部18aから構成される把手部18においては、4つの把手要素部18aが並んだ方向が長手方向であって、上記実施形態1、2の軟包材容器10と同様に、把手部18の長手方向は近接する容器周縁に沿って略平行に形成されている。把手要素部18aの把手孔19aのサイズは、例えば、指1本が挿入可能なサイズに設定され、この容器を把持する際には、各把手孔19aに親指を除く4本の指が挿入される。したがって、把手孔19aの辺部にかかる荷重は、4箇所に分散されるので、荷重の分散性をさらに向上させることが可能になる。ここで、各把手要素部18aの間隔が広いほど把手要素部間隙22の幅が大きくなり、内容液が間隙21に入り込み易くなるが、この間隔は、把持性を考慮して設定する必要がある。
【0044】
なお、上記では、把手部18が容器の上下方向に沿って、その中央付近に設けられるものとして説明したが、把手部18は、図5に示すように、容器上部に設けることもできる。この場合、容器の持ち易さを考慮して、把手部18が設けられる側の容器上端部は、斜めにカットされ、把手部18は、その長手方向が斜めにカットされた容器周縁の形状に沿うように、近接する容器周縁シール部13と略平行に設けられる。また、把手部18は、上記実施形態1〜3の軟包材容器10と同様に、近接する容器周縁シール部13と離間して設けられる。
【0045】
なお、把手部18には、舌片部を設けることもできる。舌片部は、胴体部フィルム11を打ち抜いて(切り込み線のみによって)、把手孔19を形成するのではなく、例えば、把手孔19の周辺部を形成する切り込み線の一部にミシン目線等の折り目線部分を設けることにより形成することができる。把手部18を使用しないときには、把手孔19は、舌片部でカバーされており、把手孔19に手先を挿入したときに把手孔19が現れる。また、把手孔19の間隙21側の辺部に、折り目線部分を設ければ、指先と接触する部分に舌片部が位置することになるので、把手孔19のフィルム端面に手先が接触することを防止でき、指への刺激を低減することができる。
【0046】
上記のような構成を備える軟包材容器10は、例えば、次のプロセスによって製造することができる。まず初めに、胴体部フィルム11及び底部フィルム12となる積層フィルムの長尺体を、ベースフィルム層、シーラント層等を構成する各樹脂フィルムのラミネートにより作製する。次に、表面及び裏面を形成する胴体部フィルム11の長尺体を重ね合わせ、その下部に容器の上部側に向かって山折りに折り返した底部フィルム12の長尺体を挿入し、その状態で、長尺体の長尺方向に沿った両端部、長尺方向に直交する所定部位をヒートシールする。ここで、長尺体の長尺方向に沿った両端部は、容器上下端部となる位置であり、長尺方向に直交する所定部位は、容器側端部となる位置である。
【0047】
次に、ヒートシールされた上記所定部位容器の中央を切断して、1つの容器サイズにすると共に、口栓17を取り付ける部分を斜めにカットする。カットした部分の縁部に口栓17のスパウト15を挿入した状態で、ヒートシールすることによりスパウト15を容器上部に取り付ける。また、これらの切断工程、ヒートシール工程において、把持孔周縁シール部20となるヒートシール部を形成すると共に、該把持孔周縁シール部20の内部を打ち抜いて把持孔19を形成することにより、軟包材容器10を得ることができる。
【0048】
なお、内容液は、口栓17のスパウト15を通して充填されるか、又は容器周縁シール部13の一部を未シール部としておき、そこから充填される。その後、スパウト15を通して充填した場合はキャップ16を取り付け、容器周縁の未シール部から充填した場合は該未シール部をヒートシールして封止することにより、内容液が充填された軟包材容器10を得ることができる。内容液が充填されることにより、胴体部フィルム11が離間すると共に、底部フィルム12が展開して容器の自立性が発現する。
【0049】
以上のように、軟包材容器10によれば、把手部18の長手方向が、近接する容器周縁と略平行に、且つ該容器周縁に形成される容器周縁シール部13と離間した位置に設けられるので、容器を把持するときに把手孔19の間隙21側の辺部に加わる荷重を、間隙21が容器の厚み方向に変形することで分散して、把手部18の耐荷重性を向上させることができる。
【0050】
また、把手孔周縁シール部20の間隙21側の外側辺部が、近接する容器周縁に向かって凸形状を有する構成、把手部18が、複数の把手要素部18aから構成され、各把手要素部18aの間に、把手要素部間隙22が設けられる構成とすれば、さらに内容液が間隙21に入り込み易くなると共に、把手部18に加わる荷重の分散性をさらに向上させることが可能になる。
【符号の説明】
【0051】
10 軟包材容器、11 胴体部フィルム、12 底部フィルム、13 容器周縁シール部、14 充填部、15 スパウト、16 キャップ、17 口栓、18 把手部、18a 把手要素部、19、19a 把手孔、20、20a 把手孔周縁シール部、21 間隙、22 把手要素部間隙、50 軟包材容器、51 胴体部フィルム、52 容器周縁シール部、53 把手孔、54 口栓。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器上部に設けられた注出口と、
手先が差し入れ可能な把手部と、
容器周縁シール部が容器周縁の少なくとも一部に設けられて形成される内容物充填部と、
を備えた軟包材容器であって、
把手部は、
その長手方向が、近接する前記容器周縁又は前記容器周縁シール部と略平行に、且つ該容器周縁又は容器周縁シール部と離間して、内容物充填部に設けられることを特徴とする軟包材容器。
【請求項2】
把手部は、その前記容器周縁又は前記容器周縁シール部側の辺部が、近接する容器周縁又は容器周縁シール部に向かって凸形状を有する請求項1に記載の軟包材容器。
【請求項3】
把手部は、その前記容器周縁又は前記容器周縁シール部側の辺部が、円弧形状を有する請求項2に記載の軟包材容器。
【請求項4】
把手部は、指先が差し入れ可能な複数の把手要素部から構成されている請求項1〜3のいずれか1に記載の軟包材容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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