説明

軟水化装置

【課題】 水流検出器の「水流無し」側での故障および「水流有り」側で故障に対応可能で、経済的課題および衛生的課題を解決または改善すること。
【解決手段】 通水作動時および再生作動時に水流が有るライン7に設けられる水流検出器6と報知手段16とを備え、再生工程中に前記水流検出器6から「水流有り」の信号を入力しなかったとき、水流検出器6が「水流無し」側で故障していると判定し、通水工程中に水流検出器6から設定時間「水流有り」の信号を連続して入力したとき、水流検出器6が「水流有り」側で故障していると判定し、故障と判定したとき報知手段16にて故障を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家庭用軟水化装置に好適な軟水化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン交換樹脂を収容した樹脂収容部と、再生液を貯留する再生液タンクと、原水ラインからの原水を前記樹脂収容部へ導入し軟水化して処理水ラインから排出する通水作動,再生液タンクの再生液を原水ラインからの原水で薄めて樹脂収容部へ導入しイオン交換樹脂を再生して排水ラインから排水する再生作動および原水ラインからの原水を樹脂収容部へ導入し内部を洗浄して排水ラインから排水する洗浄作動(排水作動)を切り換える流路切換装置と、流路切換装置を通水工程,再生工程時,洗浄工程(排水工程)時それぞれ通水作動,再生作動,洗浄作動とするように制御する制御器とを備える軟水化装置は、特許文献1にて知られている。
【0003】
この特許文献1の軟水化装置は、装置が長時間使用されないとき、洗浄工程を実行することで樹脂収容部内に雑菌が繁殖するのを防止するように構成している。
【0004】
装置が長時間使用されないことの判定は、特許文献1のフロースイッチ(水流検出器)を用いて、水流検出器が「水流無し」を連続して所定時間検出したときに行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−47745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この出願の発明者は、特許文献1の水流検出器を用いて装置が長時間使用されないことを判定する軟水化装置において、つぎのような課題があることを見出した。すなわち、水流検出器が「水流無し」側で故障した場合、不要な洗浄工程を繰り返し、水道代が高くなる(経済的課題)。また、水流検出器が「水流有り」側で故障した場合、実際には長時間に亘り装置が使用されなかったにもかかわらず洗浄工程が行われず、雑菌が混じった軟水を供給してしまう(衛生的課題)。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、水流検出器の「水流無し」側での故障および「水流有り」側での故障に対応可能で、前記経済的課題および前記衛生的課題を解決または改善することが可能な軟水化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、イオン交換樹脂を収容した樹脂収容部と、再生液を貯留する再生液タンクと、原水ラインからの原水を前記樹脂収容部へ導入し軟水化して処理水ラインから排出する通水作動,前記再生液タンクの再生液を前記原水ラインからの原水で薄めて前記樹脂収容部へ導入し前記イオン交換樹脂を再生して排水ラインから排水する再生作動および前記原水ラインからの原水を前記樹脂収容部へ導入し内部を洗浄して前記排水ラインから排水する洗浄作動を切り換える流路切換装置と、前記流路切換装置を通水工程,再生工程時,洗浄工程時それぞれ前記通水作動,前記再生作動,前記洗浄作動とするように制御する制御器とを備える軟水化装置であって、前記通水作動時および前記再生作動時に水流が有るラインに設けられ
前記制御器と接続される水流検出器と、前記制御器と接続される報知手段とを備え、前記制御器は、前記再生工程中に前記水流検出器から「水流有り」の信号を入力しなかったとき、前記水流検出器が「水流無し」側で故障していると判定し、前記通水工程中に前記水流検出器から設定時間「水流有り」の信号を連続して入力したとき、前記水流検出器が「水流有り」側で故障していると判定するとともに、前記故障と判定したとき前記報知手段にて故障を報知することを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前記水流検出器からの信号に基づき「水流無し」側での故障および「水流有り」側での故障を前記報知手段にて知ることができ、必要に応じて前記洗浄工程を行うことで、前記経済的課題および前記衛生的課題を解決または改善することができるという効果を奏する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記制御器は、前記故障の判定時、前記洗浄工程を定期的に実行することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、前記衛生的課題を確実に解決または改善することができるという効果を奏する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、洗浄スイッチを備え、前記制御器は、前記故障の判定時、前記洗浄スイッチが操作されたとき、前記洗浄工程を実行することを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、ユーザーの意思によって前記衛生的課題を解決または改善することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、水流検出器の「水流無し」側での故障および「水流有り」側での故障に対応可能で、前記経済的課題および前記衛生的課題を解決または改善することが可能な軟水化装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施例1の概略構成を説明する説明図である。
【図2】同実施例1の水流検出器の「水流無し」側の故障を判定する制御手順を説明するフローチャート図である。
【図3】同実施例1の水流検出器の「水流有り」側の故障を判定する制御手順を説明するフローチャート図である。
【図4】同実施例1の洗浄工程の制御手順を説明するフローチャート図である。
【図5】この発明の実施例2の洗浄工程の制御手順を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、原水をイオン交換樹脂により軟水化する家庭用の軟水化装置に好適に実施される。
【0017】
この実施の形態を具体的に説明する。この実施の形態の軟水化装置は、イオン交換樹脂を収容した樹脂収容部と、再生液を貯留する再生液タンクと、流路切換装置と、制御器と、前記制御器と接続される水流検出器および報知手段とを備えている。
【0018】
前記流路切換装置は、少なくとも、原水ラインからの原水を前記樹脂収容部へ導入し軟水化して処理水ラインから排出する通水作動と、前記再生液タンクの再生液を前記原水ラ
インからの原水で薄めて前記樹脂収容部へ導入し前記イオン交換樹脂を再生して排水ラインから排水する再生作動と、前記原水ラインからの原水を前記樹脂収容部へ導入し内部を洗浄して前記排水ラインから排水する洗浄作動とを切り換える機能をなすものである。
【0019】
前記洗浄作動は、前記イオン交換樹脂を洗浄する作動であり、前記再生作動の前に通水作動時の原水の流れと逆方向として行う第一洗浄(逆洗と称することができる。)と、前記再生作動後に通水作動時の原水の流れと同方向として行う第二洗浄(急洗と称することができる。)と、装置が長時間使用されないときに行う第三洗浄(ブローと称することができる。)とを含んでいる。
【0020】
前記第一洗浄および前記第二洗浄は、前記再生工程の前後で1週間に1回程度行われる洗浄であるが、前記第三洗浄は、装置が長時間使用されないとき行われる洗浄である。また、前記第三洗浄の洗浄時間は、前記第一洗浄および前記第二洗浄とその目的が異なるので、前記第一洗浄および前記第二洗浄の洗浄時間と異ならせることができる。
【0021】
前記水流検出器は、前記通水作動および前記再生作動に水流が有るライン,好ましくは、前記通水作動中および前記再生作動中に原水の流れが有るラインに設けられる。この水流検出器は、好ましくは、単位時間当りの設定流量以上で閉じて(または開いて)「水流有り」の信号を前記制御器へ送り、設定流量未満で開いて(または閉じて)「水流無し」の信号を前記制御器へ送るスイッチとする。しかしながら、前記流量検出器をパルス出力式の流量計として、これの検出信号を前記制御器へ送り、前記制御器側で、「水流有り」の信号か、「水流無し」の信号かを判定するように構成することができる。前記設定流量は、通水作動時の前記単位時間当りの流量が、前記再生作動時の流量よりも多い場合、前記再生作動の単位時間当りの流量に対してこれより所定量少ない値とすることができる。
【0022】
前記制御器は、予め記憶した軟水化制御手順により、前記流路切換装置を通水工程,再生工程時,洗浄工程時それぞれ通水作動,再生作動,洗浄作動とするように制御するものである。
【0023】
また、前記制御器は、予め記憶した水流検出器の故障(異常と称することができる。)判定手順に基づき、前記水流検出器が故障かどうかを判定する。
【0024】
前記故障判定手順は、「水流無し」側での故障判定手順(第一故障判定手順)と、「水流有り」側での故障判定手順(第二故障判定手順)とを含んでいる。
【0025】
前記第一故障判定手順は、前記水流検出器から前記再生工程中に1度も「水流有り」の信号を入力しなかったとき、前記水流検出器が「水流無し」側で故障していると判定する手順である。
【0026】
また、第二故障判定手順は、前記通水工程中に前記水流検出器から第一設定時間「水流有り」の信号を連続して入力したとき、前記水流検出器が「水流有り」側で故障していると判定する手順である。前記第一設定時間は、ユーザーの使用状況により、最大限連続して通水を行うと想定される時間を越える時間に設定する。一般家庭では、1〜3時間以上連続して通水することはないと考えられるので、1〜3時間の範囲で設定すればよい。この第一設定時間は、ユーザー(軟水化装置の使用者)またはメンテナンス員により変更可能に構成する。
【0027】
さらに、前記制御器は、前記水流検出器が故障と判定されないとき、前記水流検出器が第二設定時間以上、連続的に「水流無し」を検出したとき、前記第三洗浄による洗浄工程(第三洗浄工程)を行い、前記水流検出器が故障と判定したとき、前記報知手段にて前記
水流検出器の故障を報知する制御を行う。
【0028】
前記報知手段は、好ましくは、故障の報知を表示手段により視覚的に行うものとするが、これに限定されるものではなく、聴覚的に報知するように構成することができる。また、前記報知手段は、軟水化装置に設けるのではなく、通信により管理用コンピュータへ故障の情報を送信することにより報知することができる。
【0029】
以上の如く構成される実施の形態においては、前記水流検出器からの信号に基づき「水流無し」側での故障および「水流有り」側での故障を判定して前記報知手段にて報知するので、ユーザーまたはメンテナンス員がこの報知に基づき、必要に応じて前記洗浄工程を行う。その結果、水流検出器が「水流無し」側で故障した場合、不要な洗浄工程を繰り返し、水道代が高くなるという経済的課題を解決または改善することができる。また、水流検出器が「水流有り」側で故障した場合、実際には長時間に亘り装置が使用されなかったにもかかわらず洗浄工程が行われず、雑菌が混じった軟水を供給してしまうという衛生的課題を解決または改善することができる。
【0030】
ここで、この発明の実施の形態の軟水化装置を構成する構成要素を説明する。前記樹脂収容部は、特定の構成のものに限定されない。また、前記再生液タンクも、特定の構成のものに限定されない。この再生液タンクに貯留する再生液としては、再生に用いる濃度よりも高濃度の塩化ナトリウム水溶液または塩化カリウム水溶液とすることができる。
【0031】
前記流路切換装置は、複数のバルブなどにより構成され、好ましくは、特開2007−260574号公報や特開2008−126119号公報の軟水化装置(以下、「周知の軟水化装置」という。)のように、前記再生タンクの再生液を原水で薄めて前記樹脂収容部へ供給するためのエゼクタを含ませる。しかしながら、重力により再生液を落下させて前記樹脂収容部へ供給する方式やポンプを用いて再生液を前記樹脂収容部へ供給する方式を採用する場合は、エゼクタを含まないように構成することができる。
【0032】
また、前記流路切換装置による前記通水作動,前記再生作動および前記洗浄作動は、特定の方式のものに限定されるものではなく、種々の方式のものとすることができる。例えば、前記通水作動は、前記イオン交換樹脂に対して原水を上から下へ通水させる上下通水方式に限定されず、原水を下から上へ通水する下上通水方式とすることができる。また、前記再生作動は、再生液の流れを通水作動の原水の流れと対向する方向とする向流再生方式や、再生液の流れを通水作動の原水の流れと同じ方向とする並流再生方式や、「周知の軟水化装置」などに示される前記イオン交換樹脂の上端部および下端部の両側から再生液を分配しながら前記イオン交換樹脂の略中央部で収集するスプリット・フロー再生方式とすることができる。
【0033】
さらに、この流路切換装置による作動としては、「周知の軟水化装置」などに記載のように、前記通水作動,前記再生作動、前記洗浄作動以外の押出作動や補水作動を含ませることができる。
【0034】
この発明の実施の形態においては、好ましくは、前記制御器は、予め記憶した洗浄制御手順に基づき、前記流量検出器が故障しているとの判定時、前記洗浄工程を実行するように構成する。このように構成することにより、前記水流検出器の故障判定時、ユーザーに任せることなく、前記洗浄作動が実行されるので、前記衛生的課題を確実に解決または改善することができる。
【0035】
前記洗浄制御手順は、さらに好ましくは、前記水流検出器の故障が判定されないときは、前記水流検出器が第二設定時間継続して(連続的に)「水流無し」を検出したときは、
第二設定時間経過後に前記第三洗浄を実行する。そして、前記水流検出器の故障が判定されたときは、異常報知を行うとともに、異常判定直後ではなく、定期的に(所定間隔で)、すなわち所定の時刻となったあとで、前記第三洗浄を実行するように構成する。この故障が判定されたときの第三洗浄工程は、前記再生工程中に行えないが、通水待機中(実際に軟水が使用されていないが、使用可能な状態)または前記通水工程中に行う。前記通水工程中は、前記流路切換装置により前記第二洗浄作動とするとともに、原水を前記原水ラインから処理水ラインへとバイパスさせることで行うように構成する。故障が判定されたときの第三洗浄は、故障が判定されないときの第三洗浄と異なる洗浄時間とするが、同じ洗浄時間とすることができる。
【実施例1】
【0036】
ついで、この発明の実施例1の軟水化装置を図面に従い説明する。図1は、この発明の実施例1の概略構成を説明する説明図であり、図2は、同実施例1の水流検出器の「水流無し」側の異常を判定する制御手順を説明するフローチャート図であり、図3は、同実施例1の水流検出器の「水流有り」側の異常を判定する制御手順を説明するフローチャート図であり、図4は、同実施例1の洗浄工程の制御手順を説明するフローチャート図である。
【0037】
<実施例1の構成>
この実施例1の家庭用軟水化装置は、イオン交換樹脂1を収容したスプリット・フロー再生方式の樹脂収容部2と、塩(図示省略)を原水に溶解させた塩水(塩化ナトリウムの飽和水溶液)を貯留する塩水液タンク3と、流路切換装置4と、制御器5と、制御器と接続される水流検出器としてのフロースイッチ6とを主要部として備える。
【0038】
流路切換装置4は、「周知の軟水化装置」と同様に、第一原水ライン7と、通水作動時に生成される軟水を使用箇所へ供給する第一処理水ライン8と、樹脂収容部2へ塩水を供給する塩水供給ライン9と、再生作動時の塩水などを排出する第一排水ライン10と接続されている。塩水供給ライン9は、原水ライン7の原水を塩水タンク3へ供給して補水する補水ラインを共用している。
【0039】
また、「周知の軟水化装置」と同様に、樹脂収容部2と流路切換装置4とは、第二原水ライン11と第二処理水ライン12と第二排水ライン13とで接続されている。
【0040】
また、第一原水ライン7と第一処理水ライン8との間にはバイパス弁14が接続されている。このバイパス弁14は、通水作動時以外,すなわち装置が長時間(後記第二設定時間T2)使用されないときに行う第三洗浄作動時の他、第一洗浄作動時,第二洗浄作動時および再生作動時に開き、通水作動時に閉じる。通水作動時以外にバイパス弁14を開くのは、ユーザーが第一処理水ライン8先端に設けた蛇口(図示省略)をひねるか、通水スイッチ(図示省略)などして、水を使用したいときに、第一処理水ライン8から原水を供給するためである。
【0041】
流路切換装置4は、「周知の軟水化装置」と同様の流路制御バルブにて構成され、通水作動−逆洗(第一洗浄)作動−再生作動−押出作動−洗浄(第二洗浄)作動−補水作動を切り替えることで、公知の軟水化プロセスを実行するように構成されている。以下に、通水作動,逆洗作動,再生作動,押出作動および洗浄作動について水の流れを説明する。
【0042】
通水作動は、第一原水ライン7の原水を、流路切換装置4−第二原水ライン11を通して樹脂収容部2へ導入し、イオン交換樹脂1にて上から下へ通過させる際に軟水化して、第二処理水ライン12−流路切換装置4を通して第一処理水ライン8から排出する作動である。
【0043】
逆洗作動(第二洗浄作動)は、第一原水ライン7の原水を、流路切換装置4−第二処理水ライン12を通して樹脂収容部2へ導入し、イオン交換樹脂1における原水の流れを通水作動と逆方向として洗浄して、第二原水ライン12−流路切換装置4を通して第一排水ライン10から排出する作動である。
【0044】
再生作動は、第一原水ライン7の原水を駆動水として、流路切換装置4のエゼクタ(図示省略)を作動させて、塩水タンク3の塩水を吸引し、エゼクタで希釈した塩水を第二原水ライン11および第二処理水ライン12を通して樹脂収容部2へ導入し、希釈塩水をイオン交換樹脂1と接触させてイオン交換樹脂1を再生し、再生塩水を第二排水ライン13−流路切換装置4を通して第一排水ライン10から排出する作動である。
【0045】
押出作動は、第一原水ライン7の原水を、流路切換装置4−第二原水ライン11および第二処理水ライン12を通して樹脂収容部2へ導入し、イオン交換樹脂1における原水の流れを再生作動時の塩水の流れと同じにして、イオン交換樹脂1に残留する塩水を第二排水ライン−流路切換装置4を通して第一排水ライン10から排出する作動である。
【0046】
洗浄作動(第二洗浄作動)は、第一原水ライン7の原水を、流路切換装置4−第二原水ライン11を通して樹脂収容部2へ導入し、イオン交換樹脂1にて上から下へ通過させてイオン交換樹脂1を洗浄して、第二処理水ライン12−流路切換装置4を通して第一排水ライン10から排出する作動である。
【0047】
第三洗浄作動は、流路切換装置4により第二洗浄作動とするとともに、前記バイパス弁14を開くことで行われる。水の流れは、第二洗浄の流れに加えて、原水が第一原水ライン7から第一処理水ライン8へとバイパスする流れが加わる。
【0048】
以上の通水作動時と再生作動時における水の流れから明らかなように、この実施例1においては、通水作動時および再生作動時ともに水の流れが有るのは、第一原水ライン7,第二原水ライン11および第二処理水ライン12である。この実施例1では、フロースイッチ6を第一原水ライン7に設けているが、第二原水ライン11または第二処理水ライン12に設けることができる。しかしながら、第二原水ライン11または第二処理水ライン12には、塩水が流れるので、耐塩水性のフロースイッチ6とする必要がある。また、通水作動時および再生作動時ともに水の流れが有れば、流路切換装置4内のラインであっても良い。
【0049】
フロースイッチ6は、設定流量R0以上で閉じて「水流有り」の信号を制御器5へ送り、設定流量R0未満で開いて「水流無し」の信号を制御器5へ送るスイッチである。設定流量R0は、この実施例1では、再生作動時の単位時間当りの流量(定格流量)より所定量少ない値としている。例えば、定格流量を400cc/secとすると、設定流量R0を50cc/secとする。
【0050】
制御器5は、予め記憶した軟水化制御手順により、流路切換装置4を、通水工程,逆洗工程時,再生工程時,押出工程時,洗浄工程時,補水工程時それぞれ通水作動,逆洗作動,再生作動,押出作動,洗浄作動,補水作動とするように制御するものである。制御器5には、運転開始および運転停止などを指示するための操作部15と、各種情報を表示する表示部16とが接続されている。
【0051】
また、制御器5は、予め記憶したフロースイッチ6の故障判定手順に基づき、フロースイッチ6が故障かどうかを判定する。そして、制御器5は、予め記憶した洗浄制御手順に基づき、故障判定時に表示部16にて故障を報知するとともに、故障判定の結果に応じた
洗浄制御を行うように構成されている。
【0052】
故障判定手順は、は、図2に示すフロースイッチ6の「水流無し」側での故障判定手順(第一故障判定手順)と、図3に示すフロースイッチ6の「水流有り」側での故障判定手順(第二故障判定手順)とを含んでいる。
【0053】
第一故障判定手順は、フロースイッチ6から再生工程中に1度も「水流有り」の信号を入力しなかったとき、フロースイッチ6が「水流無し」側で故障していると判定する手順である。
【0054】
また、第二故障判定手順は、通水工程中にフロースイッチ6から第一設定時間T1「水流有り」の信号を連続して入力したとき、フロースイッチ6が「水流有り」側で故障していると判定する手順である。第一設定時間T1は、この実施例1が家庭用の軟水化装置でるので、1〜3時間の範囲で設定可能に構成している。
【0055】
洗浄制御手順は、フロースイッチ6の故障が判定されず、フロースイッチ6が第二設定時間T2継続して「水流無し」を検出したときは、第二設定時間T2経過後に衛生的課題を解決するための第三洗浄工程Aを実行するように構成されている。この第二設定時間T2は、12〜24時間の範囲で設定する。そして、洗浄制御手順は、フロースイッチ6の故障が判定されたときは、制御器5と接続された表示部16にてフロースイッチ6が故障である旨の異常報知を行うとともに、第二設定時間T2を経過することなく、衛生的課題を解決するための第三洗浄工程B1を実行するように構成されている。
【0056】
この実施例1では、第三洗浄工程Aは、予め設定した所定時間(例えば、15分
程度)だけ第二洗浄工程と同じ水の流れにより実現している。また、故障が判定されたときの第三洗浄工程B1の所定時間は、この第三洗浄が無条件で定期的に行われるので、洗浄時間が、短くして、経済的負担をできるだけ軽減する必要があることから、故障が判定されないときの第三洗浄工程Aの洗浄時間より短く設定している。
【0057】
<実施例1の動作>
ここで、実施例1の動作を図面に基づき説明する。
(第一故障判定)
まず、第一故障判定について説明する。図2を参照して、今、操作部15にて装置の運転指示がなされているとする。処理ステップS1(以下、処理ステップSNを単にSNと称する。)において、制御器5により再生工程が開始されたかどうかを判定する。S1でYESが判定されると、S2へ移行して、フロースイッチ6は「水流有り」の信号を出力しているかどうかを判定する。S2でNOの場合、S3へ移行して再生工程が終了かどうかを判定する。S3でNOの場合、S2へ戻り、S2でYESの場合S3−S2−S3のサイクルから抜ける。S3でYESの場合、S4へ移行してフロースイッチ6が「水流無し」側で故障していると判定する。
【0058】
フロースイッチ6が正常であれば、再生工程中に「水流有り」信号を出力するはずであるが、再生工程中にフロースイッチ6が1度も「水流有り」の信号を出力しないということは、フロースイッチ6が「水流無し」側で故障しているということになる。
【0059】
(第二故障判定)
つぎに、第二故障判定について説明する。図3を参照して、処理ステップS21において、制御器5による軟水化プロセスが通水工程かどうかを判定する。S21でYESが判定されると、S22へ移行して、フロースイッチ6は「水流有り」の信号を出力しているかどうかを判定する。S22でYESの場合、制御器5に内臓のタイマー(図示省略)に
より第一設定時間T1のカウントを開始し、S24へ移行する。
【0060】
S24でタイマーのカウントが終了したかどうかを判定する。S24でNOが判定されると、S21へ戻り、S21−S22−S23−S24の処理が繰り繰り返される。タイマーがカウント終了までに、S22でNOが判定されない,すなわちフロースイッチ6により「水流有り」の信号が第一設定時間T1の間連続的に出力される場合は、S25へ移行して、フロースイッチ6が「水流有り」側で故障していると判定する。
【0061】
通常、通水工程が第一設定時間T1連続して行われることはないので、フロースイッチ6が第一設定時間T1に亘り連続的に「水流有り」信号を出力することはない。フロースイッチ6が第一設定時間T1に亘り連続的に「水流有り」信号を出力するということは、フロースイッチ6が「水流有り」側で故障しているということになる。
【0062】
S22でNOが判定される,すなわちフロースイッチ6から「水流無し」信号が出力されると、フロースイッチ6が故障していないことになるので、S26へ移行してタイマーのカウントをクリアする。
【0063】
(第三洗浄制御)
つぎに、第三洗浄制御について説明する。図4を参照して、処理ステップS31において、フロースイッチ6が故障かどうかを判定する。この判定は、図2に示す第一故障判定と図3に示す第二故障判定である。
【0064】
S31で故障が判定されないと、NOでS32へ移行して、フロースイッチ6が「水流無し」の信号を出力しているかどうかを判定する。S32でYESの場合、制御器5に内臓のタイマー(図示省略)により第二設定時間T2のカウントを開始し、S34へ移行する。
【0065】
S34でタイマーのカウントが終了したかどうかを判定する。タイマーがカウント終了までに、S32でNOが判定されない,すなわちフロースイッチ6により「水流無し」の信号が第二設定時間T2の間連続的に出力される場合は、S35へ移行して、第三洗浄工程Aを実行する。
【0066】
この第三洗浄工程Aは、第二洗浄工程と同じ水の流れで、通水工程中に行われる。すなわち、流路切換装置4を第二洗浄作動とするとともに、バイパス弁14を開く。すると、第一原水ライン7の原水が、流路切換装置4−第二原水ライン11を通して樹脂収容部2へ導入され、イオン交換樹脂1を上から下へ通過させて樹脂収容部2内を洗浄する。洗浄後の水は、第二処理水ライン12−流路切換装置4を通して第二排水ライン8から排出される。同時に、第一原水ライン7の原水が第一処理水ライン8へ供給される。こうした第三洗浄工程Aにより、装置が長時間使用されないことによる樹脂収容部2内での雑菌の繁殖を防止することができる。この第三洗浄工程Aは、タイマーがT2をカウント終了直後のタイミングで実施される。
【0067】
S32でNOが判定される,すなわちフロースイッチ6から「水流有り」信号が出力されると、S36へ移行してタイマーのカウントをクリアして、S31へ戻る。
【0068】
また、S34でNOが判定されると、S31へ戻り、S31−S32−S33−S34の処理が繰り繰り返される。
【0069】
また、S31でYESが判定されると、S37へ移行して、表示部16にてフロースイッチ6が故障(異常)であることを報知する。この報知は、フロースイッチ6が「水流無
し」側の故障であるのか、「水流有り」側の故障なのかを区別して行うことが望ましい。
【0070】
S37の報知後に、S38において、フロースイッチ6故障時の第三洗浄工程B1を実行する。この第三洗浄工程B1は、所定間隔で所定時間、第三洗浄工程Aと同様に、流路切換装置4を第二洗浄作動とするとともに、バイパス弁14を開いて行うものである。これは、フロースイッチ6の故障により、S35の第三洗浄工程Aが行われなかった可能性があるので、この対策として実施するものである。この第三洗浄工程B1により、樹脂収容部内での雑菌の繁殖を防止することができる。フロースイッチ6は、早期に修理をすることが必要である。
【実施例2】
【0071】
この発明は、前記実施例1に限定されないものであり、図5に示す実施例2を含むものである。前記実施例1は、洗浄制御において、フロースイッチ6の故障が判定されたとき、故障の報知とともに、第三洗浄工程B1を行うように構成しているが、実施例2は、故障の報知は行うが、第三洗浄工程の実施をユーザーの判断にゆだねるように構成している。以下に、前記実施例1と異なる構成を中心に説明し、同じ構成は同じSN番号を付してその説明を省略する。
【0072】
図5を参照して、この実施例2では、操作部15に洗浄スイッチ(図示省略)を設けるとともに、洗浄制御手順において、S37の後に新たにS39を設け、S38の代わりに第三洗浄工程B2を行うS40を設けている。S40の第三洗浄工程B2は、S38の第三洗浄工程B1と異なり、無条件に定期的に行うのではなく、洗浄スイッチを押した(ON)ときだけ、所定時間だけ、第三洗浄工程B1と同じ流れで洗浄が実施される。S39は、洗浄スイッチがONされたかどうかを判定する処理である。
【0073】
この実施例2においては、S37にてフロースイッチ6の故障が報知された後、ユーザーが洗浄スイッチを操作した場合に、S40において、フロースイッチ6が故障時の第三洗浄工程B2が実行される。S37の報知において、ユーザーに対して洗浄スイッチの操作を促すことが望ましい。
【0074】
この発明は、前記実施例1および前記実施例2に限定されるものではなく、例えばバイパス弁16は、流路切換装置4内に設けることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 イオン交換樹脂
2 樹脂収容部
3 塩水タンク(再生液タンク)
4 流路切換装置
5 制御器
6 フロースイッチ(水流検出器)
7 新水タンク
15 操作部(操作スイッチ)
16 表示部(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換樹脂を収容した樹脂収容部と、再生液を貯留する再生液タンクと、原水ラインからの原水を前記樹脂収容部へ導入し軟水化して処理水ラインから排出する通水作動,前記再生液タンクの再生液を前記原水ラインからの原水で薄めて前記樹脂収容部へ導入し前記イオン交換樹脂を再生して排水ラインから排水する再生作動および前記原水ラインからの原水を前記樹脂収容部へ導入し内部を洗浄して前記排水ラインから排水する洗浄作動を切り換える流路切換装置と、前記流路切換装置を通水工程,再生工程時,洗浄工程時それぞれ前記通水作動,前記再生作動,前記洗浄作動とするように制御する制御器とを備える軟水化装置であって、
前記通水作動時および前記再生作動時に水流が有るラインに設けられ前記制御器と接続される水流検出器と、
前記制御器と接続される報知手段とを備え、
前記制御器は、前記再生工程中に前記水流検出器から「水流有り」の信号を入力しなかったとき、前記水流検出器が「水流無し」側で故障していると判定し、前記通水工程中に前記水流検出器から設定時間「水流有り」の信号を連続して入力したとき、前記水流検出器が「水流有り」側で故障していると判定するとともに、前記故障と判定したとき前記報知手段にて故障を報知することを特徴とする軟水化装置。
【請求項2】
前記制御器は、前記故障の判定時、前記洗浄工程を定期的に実行することを特徴とする請求項1に記載の軟水化装置。
【請求項3】
洗浄スイッチを備え、
前記制御器は、前記故障の判定時、前記洗浄スイッチが操作されたとき、前記洗浄工程を実行することを特徴とする請求項1に記載の軟水化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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