説明

軟質ホース用継手

【課題】手締めによって容易に、軟質ホースを管に接続でき、水漏れを抑制する軟質ホース用継手を提供する。
【解決手段】リング54は、軟質ホース側の端部の内周面において、円周に沿って突出したリング凸部14を備えている。抜き部材は、カラー53の軟質ホース側の端部において、カラー53の外周面からリング54の外周面方向に、リング凸部14の内周面よりも突出した抜脱用凸部55である。リング54のリング凸部14には、抜脱用凸部55が通過する抜脱用凹部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管と軟質ホースとを接続するための軟質ホース用継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
露地の圃場への灌水作業は、灌水ホースや継手などの灌水資材を配管することにより行われる。灌水資材を配管することにより、水源から供給された水は、圃場全体へ灌水される。灌水資材の配管方法としては、前記灌水資材を作物の栽培が終了するまで各圃場に設置しておく固定式配管と、前記灌水資材を灌水が必要な圃場にそのつど設置する移動式配管とがある。移動式配管の場合には、灌水ホースとして塩化ビニル系の軟質ホースが主に用いられる。これは、軟質ホースが非常にやわらかいため、収納性が良く、持ち運びが容易であるためである。しかし、軟質ホースはやわらかい素材で構成されているために、配管する際にしわが生じやすく、隙間から水が漏れるという問題があった。
【0003】
一般的に、灌水資材の配管において、管と軟質ホースとを接続するためには、管と軟質ホースを間接的に接続するためのニップルと、軟質ホースを前記ニップルに圧接させる金属製のホースバンドとが用いられる。
【0004】
例えば、図20に示すように、筒状のニップル102は、その一端が管101に接合され、他端が軟質ホースの開口部に挿入されている。そして、前記軟質ホースの上から、ホースバンド103により前記軟質ホースを前記ニップル102の外周面へと圧接させる。ここで、用いられるニップル102としては、例えば、SPニップル(住化農業資材株式会社製)や町野式継手などがある。これらの継手では、軟質ホースは継手の竹の子状の接続部分にホースバンドを用いて接続される。
【0005】
上述した構成により、金属性のホースバンド103が、やわらかい素材の軟質ホースに食い込み、軟質ホースをニップル102へと接続させる。ホースバンド103は軟質ホースに食い込んでいることから、ニップル102と軟質ホースとの隙間から水が漏れることを抑制することができる。
【0006】
しかしながら、ホースバンドを用いて管と軟質ホースとを接続する場合には、必ずドライバーやスパナなどの工具を用いる必要がある。そのため、作業が煩雑となり、圃場での作業効率が悪くなるという問題があった。また、ホースバンドは何回も開閉するとネジ部が破損し、使用できなくなるという問題もあった。
【0007】
そこで、管と軟質ホースとを接続するために、工具を用いずに手締めで行うことが可能な軟質ホース用継手が知られている。一般的に、手締め用軟質ホース用継手は、ニップルと、軟質ホースをニップルに対して圧接させるためのカラーとから構成されている。以下に、従来の手締め用軟質ホース用継手について図21および図22を参照して具体的に説明する。
【0008】
まず、軟質ホースをカラーのみでニップルに圧接させるワンタッチニップル(住化農業資材株式会社)について説明する。図21(a)はワンタッチニップルのニップル201を示す側面図であり、図21(b)はワンタッチニップルのカラー202を示す正面図および側面図である。
【0009】
ワンタッチニップルは、図21(a)および図21(b)に示すように、ニップル201と、カラー202とを備えている。
【0010】
ニップル201は、図21(a)に示すように、筒状をしており、その一端にはテーパー部204が設けられており、ニップル201の直径は前記テーパー部204からニップル201の他端にいくほどに小さくなる。このニップル201の直径の小さくなる部分の外周面には、ゴム部203が設けられている。
【0011】
ワンタッチニップルと軟質ホースとの接続は、カラー202をニップル201のテーパー部が設けられている側とは反対側の端部から通しておき、ニップル201のテーパー部204からゴム部203が設けられている位置まで軟質ホースの開口部に挿入し、前記軟質ホースの上からカラー202をニップル201のゴム部203に対して圧接させることにより行われる。
【0012】
次に、カラーと、カラーによる軟質ホースのニップルへの圧接を補助するための補助部材とが一体化した構成のリングにより、軟質ホースをニップルに圧接させるスクリュー継手(住化農業資材株式会社)について説明する。図22(a)はスクリュー継手のニップル301を示す側面図であり、図22(b)はスクリュー継手のカラー306が一体化したリング302を示す側面図である。
【0013】
スクリュー継手は、図22(a)および図22(b)に示すように、ニップル301と、リング302とを備えている。
【0014】
ニップル301は、図22(a)に示すように、筒状をしており、その一端にはテーパー部303が設けられている。そして、ニップル301の外周面とリング302の内周面とが螺合するように、ニップル301の外周面にはニップル螺合部304が設けられている。また、図22(b)に示すように、リング302の内周面にはリング螺合部305が設けられている。
【0015】
スクリュー継手と軟質ホースとの接続は、リング302を図22(b)に示された矢印とは反対側の方向に軟質ホースに通しておき、ニップル201のテーパー部303を軟質ホースの開口部に挿入し、リング302を図中の矢印の方向に移動させ、リング螺合部305をニップル301のニップル螺合部304と螺合させることにより行われる。これにより、リング302に備えられたカラー306が、軟質ホースをニップル301の外周面に圧接する。
【0016】
なお、管と硬質ホースとを接続するために用いられる硬質ホース用継手が、特許文献1に記載されている。特許文献1には、割リングの縮径作用により硬質ホースと継手とを接続する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特表2001−521116号公報(公表日平成13年11月6日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ワンタッチニップルを用いて管と軟質ホースとを接続した場合は、使用する軟質ホースの口径が小さい場合には、ニップル201のゴム部203において、カラー202によって軟質ホースを圧接することができる。しかしながら、使用する軟質ホースの口径が大きい場合、前記口径に合わせた大きさのワンタッチニップルでは、ニップル201のゴム部203において、カラー202によって軟質ホースを圧接することは難しい。
【0019】
また、ワンタッチニップルは、軟質ホースに水を導入し、その水圧によりカラー202が軟質ホースをニップル201のゴム部203において圧接する。そのため、軟質ホースに水を導入してしばらくの間は、カラー202は軟質ホースをニップル201のゴム部203へと圧接することができない。その結果、軟質ホースとニップル201との間に隙間が生じ、水漏れが発生する。軟質ホースの口径が小さい場合には、水漏れの量も少ないが、軟質ホースの口径が大きくなると、多量の水が軟質ホースとニップル201との隙間から漏れてしまう。
【0020】
また、軟質ホースはカラー202のみにより、ニップル201のゴム部203に圧接されているために、軟質ホースに導入される水圧が所定の値より高くなると、軟質ホースはニップル201から抜脱してしまう。
【0021】
また、スクリュー継手を用いて管と軟質ホースとを接続した場合においても、軟質ホースの口径が小さい場合には、リング302によって軟質ホースをニップル301のテーパー部303の外周面に圧接することができる。しかしながら、軟質ホースの口径が大きい場合、前記口径に合わせたスクリュー継手では、カラー306と一体となったリング302と軟質ホースとの摩擦が大きくなる。そのため、リング302をニップル301に対して締め付けることが困難になる。また、カラー306と一体となったリング302をニップル301に螺合させるときに、リング302が軟質ホースに対して回転することにより軟質ホースにしわが生じてしまい、その隙間から水が漏れてしまう。
【0022】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、手締めによって容易に、軟質ホースを管に接続でき、水漏れを抑制する軟質ホース用継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の軟質ホース用継手は、上記課題を解決するために、軟質ホースと管とを接続するための軟質ホース用継手において、一端が管と接続され、他端が軟質ホースの開口部に挿入されるテーパー部を有する支持管と、前記支持管におけるテーパー部よりも管側の外周面に設けられた支持管螺合部に螺合し、かつ内周面に内周凸部を有する補助部材と、前記支持管のテーパー部を軟質ホースに挿入したときに、前記軟質ホースの先端外周に遊嵌され、かつ、前記補助部材とは独立に回動自在に設けられるとともに、前記補助部材の前記支持管螺合部への螺合締めに伴って前記補助部材の内周凸部に当接することにより進出移動する押さえ部材とから構成されており、前記押さえ部材および前記補助部材は、互いに分離しており、前記補助部材を前記支持管から抜脱するときに、前記押さえ部材を前記補助部材と一緒に抜脱させるための抜き部材を備えていると共に、前記補助部材は、軟質ホース側の端部の内周面において、円周に沿って突出した突出縁部を備えており、前記抜き部材は、前記押さえ部材の軟質ホース側の端部において、該押さえ部材の外周面から前記補助部材の外周面方向に、前記突出縁部の内周面よりも突出した抜脱用凸部であり、前記補助部材の前記突出縁部には、前記抜脱用凸部が通過する抜脱用凹部が設けられていることを特徴としている。
【0024】
上記構成により、支持管の一端が配管に接続され、他端のテーパー部が軟質ホースの開口部に挿入される。そして、前記補助部材を前記支持管におけるテーパー部よりも管側の外周面に設けられた支持管螺合部に螺合させることにより、前記軟質ホースの先端外周に遊嵌された前記押さえ部材に対し、前記補助部材の内周面に設けられた内周凸部が当接し、前記軟質ホースは前記支持管のテーパー部に圧接される。
【0025】
また、前記押さえ部材が前記補助部材とは独立に進退移動自在に設けられることにより、前記補助部材を前記支持管の前記支持管螺合部に螺合させるとき、前記押さえ部材は回転しない。そのため、前記補助部材の前記支持管の外周面への螺合には、軟質ホースと前記押さえ部材との間に生じる摩擦は影響を与えない。その結果、軟質ホースの口径が大きい場合でも、手締めで容易に前記補助部材を前記支持管の支持管螺合部に対して十分に螺合させることができる。そして、前記押さえ部材により軟質ホースを十分に前記支持管の前記テーパー部の外周面に対して圧接させることができるために、軟質ホースと前記支持管との間から水漏れが生じることを抑制することができる。
【0026】
また、本発明の軟質ホース用継手では、前記押さえ部材および前記補助部材は、互いに分離している。
【0027】
上記構成により、前記押さえ部材で予め軟質ホースを前記支持管の外周面に対して圧接させることができる。このように、予め軟質ホースを前記支持管の外周面に対して圧接させることにより、軟質ホースにしわが生じたまま、前記支持管に対して前記補助部材を螺合させることを防ぐことができる。そのため、上記構成では、軟質ホースの開口部に生じるしわを抑制することができ、前記支持管と軟質ホースとの間からの水漏れを抑制することができる。
【0028】
また、本発明の軟質ホース用継手では、前記補助部材を前記支持管から抜脱するときに、前記押さえ部材を前記補助部材と一緒に抜脱させるための抜き部材を備えている。
【0029】
上記構成により、前記補助部材を前記支持管から抜脱するときに、前記押さえ部材と前記補助部材とは一緒に抜脱する。そのため、前記押さえ部材を前記支持管から容易に抜脱させることができる。
【0030】
また、本発明の軟質ホース用継手では、前記補助部材は、軟質ホース側の端部の内周面において、円周に沿って突出した突出縁部を備えており、前記抜き部材は、前記押さえ部材の軟質ホース側の端部において、該押さえ部材の外周面から前記補助部材の外周面方向に、前記突出縁部の内周面よりも突出した抜脱用凸部であり、前記補助部材の前記突出縁部には、前記抜脱用凸部が通過する抜脱用凹部が設けられている。
【0031】
上記構成により、前記補助部材を前記支持管から抜脱させるときに、該補助部材の軟質ホース側の端部の内周面において円周に沿って突出した前記突出縁部と、前記押さえ部材の端部に設けられた前記抜き部材である前記抜脱用凸部とが係合するために、該押さえ部材を該補助部材と一緒に該支持管から抜脱させることができる。すなわち、前記押さえ部材の端部に前記抜脱用凸部を設けることにより、該押さえ部材を前記支持管から容易に抜脱することができる。
【0032】
また、前記抜脱用凸部を前記抜き部材とするためには、該抜脱用凸部は前記補助部材の軟質ホース側の外側端部よりも軟質ホース側に設けられている必要がある。しかしながら、前記押さえ部材は前記補助部材よりも管側に設けられており、かつ、前記抜脱用凸部は該押さえ部材の外周面から該補助部材の外周面方向に対し、前記突出縁部の内周面よりも突出しているために、該抜脱用凸部を該補助部材の軟質ホース側の外側端部よりも軟質ホース側に配置するためには、該抜脱用凸部が該突出縁部を通過する必要がある。そこで、本発明では、前記補助部材の前記突出縁部に、前記抜脱用凸部が通過する前記抜脱用凹部を設けることにより、該抜脱用凸部を該補助部材の軟質ホース側の外側端部よりも軟質ホース側に配置することが可能となる。
【0033】
また、本発明の軟質ホース用継手では、前記抜脱用凸部および前記抜脱用凹部は、前記突出縁部と該抜脱用凸部とを係合させながら前記補助部材を回転させたときに、該抜脱用凸部と該抜脱用凹部とが接触する位置において面取りされていてもよい。
【0034】
前記補助部材を前記支持管から抜脱するために、前記突出縁部と前記抜脱用凸部とを係合させながら前記補助部材を回転させた場合には、該補助部材の回転に伴い、該抜脱用凸部と前記抜脱用凹部との位置が一致したときに、該抜脱用凸部と該抜脱用凹部とが接触する。このとき、前記抜脱用凸部および前記抜脱用凹部の接触位置に角がある場合は、該抜脱用凸部と該抜脱用凹部とが接触位置において引掛り、前記補助部材の回転が妨げられる。そこで、本発明の上記構成により、前記抜脱用凸部および前記抜脱用凹部の接触位置を面取りすることにより、該抜脱用凸部と該抜脱用凹部とが接触位置において引掛ることなく、前記補助部材を滑らかに回転させることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の軟質ホース用継手は、以上のように、補助部材は、軟質ホース側の端部の内周面において、円周に沿って突出した突出縁部を備えており、前記抜き部材は、前記押さえ部材の軟質ホース側の端部において、該押さえ部材の外周面から前記補助部材の外周面方向に、前記突出縁部の内周面よりも突出した抜脱用凸部であり、前記補助部材の前記突出縁部には、前記抜脱用凸部が通過する抜脱用凹部が設けられている。
【0036】
それゆえ、手締めによって容易に、軟質ホースを管に接続でき、水漏れを抑制する軟質ホース用継手を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1参考形態の軟質ホース用継手を示す斜視図である。
【図2】(a)は前記軟質ホース用継手のニップルを示す側面図であり、(b)は(a)を矢印の方向から見た正面図である。
【図3】(a)は前記軟質ホース用継手のカラーを示す側面図であり、(b)は(a)を矢印の方向から見た正面図である。
【図4】前記カラーの内周面における形状の一例を示す図である。
【図5】前記カラーの内周面における形状の他の一例を示す図である。
【図6】(a)は前記軟質ホース用継手のリングを示す側面図であり、(b)は(a)を矢印の方向から見た正面図である。
【図7】(a)は前記軟質ホース用継手のカラー用ナットを示す側面図であり、(b)は(a)を矢印の方向から見た正面図である。
【図8】(a)〜(c)は前記軟質ホース用継手を用いた軟質ホースの接続方法を示す側面図である。
【図9】カラーとカラー用ナットとを螺合させた場合の、軟質ホース用継手の抜脱を示す側面図である。
【図10】カラーとカラー用ナットとを螺合させていない場合の、軟質ホース用継手の抜脱を示す側面図である。
【図11】本発明の第2参考形態の軟質ホース用継手を示す斜視図である。
【図12】前記軟質ホース用継手のカラーを示す斜視図である。
【図13】(a)〜(c)は前記軟質ホース用継手を用いた軟質ホースの接続方法を示す側面図である。
【図14】(a)〜(c)は前記軟質ホース用継手の抜脱を示す側面図である。
【図15】(a)は第3参考形態の軟質ホース用継手のニップルを示す側面図であり、(b)は(a)を矢印の方向から見た正面図である。
【図16】(a)は前記軟質ホース用継手のカラーを示す側面図であり、(b)は(a)を矢印の方向から見た正面図である。
【図17】前記カラーの内周面における形状の一例を示す図である。
【図18】第1参考形態および第3参考形態の軟質ホース用継手を用いた場合と、従来のSPニップルおよびホースバンドを用いた場合とにおいて、軟質ホースの着脱に要する着脱時間を比較するための図である。
【図19】第1参考形態および第3参考形態の軟質ホース用継手を用いた場合と、従来のSPニップルおよびホースバンドを用いた場合とにおいて、軟質ホースとニップルの間から生じる水漏れおよび水を供給した後の各継手と軟質ホースとの接続状況を比較するための図である。
【図20】従来のホースバンドを用いた管と軟質ホースとの接続を示す図である。
【図21】(a)は軟質ホース用継手の従来例のニップルを示す側面図であり、(b)は前記軟質ホース用継手のカラーを示す正面図であり、(c)は前記軟質ホース用継手のカラーを示す正面図および側面図である。
【図22】(a)は軟質ホース用継手の他の従来例のニップルを示す側面図であり、(b)は前記軟質ホース用継手のリングを示す側面図である。
【図23】第4参考形態の軟質ホース用継手の概略構成を示す断面図である。
【図24】(a)は第1参考形態の軟質ホース用継手のカラーを示す側面図であり、(b)は図24(a)のA−A’断面を矢印の方向から見た断面図である。
【図25】(a)は第4参考形態の軟質ホース用継手のカラーを示す側面図であり、(b)は図25(a)のA−A’断面を矢印の方向から見た断面図である。
【図26】(a)〜(c)は第1参考形態の軟質ホース用継手および第4参考形態の軟質ホース用継手を用いて軟質ホースを接続する場合において、軟質ホースにニップルを挿入する工程を示す断面図である。
【図27】(a)、(b)第4参考形態の軟質ホース用継手を用いて軟質ホースを接続する場合において、図26(a)〜(c)に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図28】第1参考形態の軟質ホース用継手を用いて軟質ホースを接続する場合において、図26(a)〜(c)に示した工程の後の工程を示す断面図である。
【図29】第4参考形態の軟質ホース用継手を用いて軟質ホースを接続した場合の断面図である。
【図30】第1参考形態の軟質ホース用継手を用いて軟質ホースを接続した場合の断面図である。
【図31】第1実施形態の軟質ホース用継手の概略構成を示す斜視図である。
【図32】前記軟質ホース用継手の概略構成を示す断面図である。
【図33】(a)〜(e)は、前記軟質ホース用継手を用いた軟質ホースの接続方法および前記軟質ホース用継手から軟質ホースを離合させる方法を示す斜視図である。
【図34】(a)前記軟質ホース用継手の要部構成を示す図であり、(b)は前記軟質ホース用継手における抜脱用凸部および抜脱用凹部の要部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の参考形態および実施形態について図1〜図19および図23〜図34に基づいて説明すると以下の通りである。
【0039】
本発明の軟質ホース用継手は、一端が管に接続され、他端が軟質ホースの開口部に挿入される支持管の外周面に対して、押さえ部材および補助部材により軟質ホースを圧接させるものである。
【0040】
〔第1参考形態〕
本発明の第1参考形態に係る軟質ホース用継手の構成について図1〜図7を参照して詳細に説明する。図1は、本参考形態の軟質ホース用継手1の概略構成を示す斜視図である。
【0041】
軟質ホース用継手1は、図1に示すように、ニップル(支持管)2、カラー(押さえ部材)3、リング(補助部材)4、カラー用ナット(抜き部材)5から構成されている。
【0042】
本参考形態の軟質ホース用継手1は、農業生産現場における灌水作業や土木工事現場における排水作業などに用いられるための配管において、管と軟質ホースとを接続させるために好適に用いられる。なお、本参考形態においては、管として、配管に用いられる管継手や水を送るための送水管などが用いられる。
【0043】
ニップル2は、管と軟質ホースとを間接的に接続するためのものであり、図2(a)および図2(b)に示すように、筒状をしている。図2(a)は軟質ホース用継手1のニップル2の側面図であり、図2(b)は図2(a)を矢印の方向から見た正面図である。図2(a)に示すように、ニップル2の外周面は3つの部分に分けられている。すなわち、ニップル2の外周面には、ニップル2の一端から管接続部6、リング用ネジ8(支持管螺合部)、テーパー部7の順に設けられている。
【0044】
管接続部6は、ニップル2を管に接合させるときに、管と接合する部分である。テーパー部7は、軟質ホースの開口部に挿入する部分であり、端部にいくほど直径が小さくなっており、2.5/100〜12.5/100のテーパーを有している。これにより、軟質ホースをテーパー部7に対してより密接することが可能になる。また、テーパー部7の外周に沿って形成された凸部を、少なくとも2個以上備えている。これにより、軟質ホースとテーパー部7との摩擦を大きくすることができ、軟質ホースをニップル2から抜けにくくすることが可能である。リング用ネジ8は、リング4と螺合させるための部分であり、オスネジ構造となっている。
【0045】
なお、ニップル2を構成する材料としては、ニップル2を射出成型で作成する場合には、射出成型可能な樹脂が用いられる。ただし、ニップル2を塩化ビニルで構成された塩ビ管と接合させる場合は、ニップル2を構成する材料にはPVCまたはABS樹脂が用いられることが好ましい。また、本発明ではテーパー部7には凸部が設けられていない構成でもかまわないが、本参考形態のように少なくとも2個以上の凸部が設けられていることが好ましい。
【0046】
カラー3は、軟質ホースをニップル2のテーパー部7の外周面に対して圧接するためのものである。図3(a)は軟質ホース用継手1のカラー3の側面図であり、図3(b)は図3(a)を矢印の方向から見た正面図である。
【0047】
カラー3は、図3(a)および図3(b)に示すように、筒状をしている。そして、カラー3の一端の外周面には、リング4と係合するために、外周に沿った凸部であるカラー凸部12が設けられている。また、カラー3の他端の外周面にはカラー用ナット5と螺合するためのナット用ネジ11(押さえ部材螺合部)が設けられている。そして、カラー3の内周面は、軟質ホースをニップル2のテーパー部7に圧接させるために軟質ホースに接触する接触内周面9と、軟質ホースに接触しない非接触内周面10とに分けられている。接触内周面9および非接触内周面10は、カラー3の端部に向けて直径が徐々に大きくなっている。
【0048】
接触内周面9は、図4に示すように、ニップル2のテーパー部7とほぼ同じ2.5/100〜12.5/100のテーパーを有し、1つ以上の段差を有した階段状になっている。このような構成にすることにより、接触内周面9が軟質ホースをニップル2のテーパー部7に密接させることが可能になる。そのため、軟質ホースとニップル2との間から水漏れが生じることを抑制することができる。また、軟質ホースとカラー3との摩擦を大きくすることができ、軟質ホースに水を導入して水圧をかけた場合において、前記軟質ホースがニップル2から抜けにくくなる。
【0049】
なお、本参考形態では接触内周面9は階段状の形状をしているが、本発明はこれに限られない。図5に示すように、接触内周面9はのこぎり歯状の形状をしていてもよい。接触内周面9をのこぎり歯状の形状にすることにより、軟質ホースとカラー3との摩擦をより大きくすることができる。そのため、軟質ホースに水を導入してより大きな水圧をかけた場合においても、前記軟質ホースはニップル2から抜けにくくなる。
【0050】
なお、本参考形態において、階段状とは各段の屈曲角度が約90度であることをいい、のこぎり歯状とは各段の屈曲角度が鋭角であることをいう。
【0051】
また、非接触内周面10は、軟質ホースに接触しない構成であればよい。これにより、カラー3をニップル2から取り外すときに、カラー3の非接触内周面10が軟質ホースと接触することがないために、カラー3と軟質ホースとの摩擦を小さくすることができ、カラー3をニップル2から容易に取り外すことができる。また、カラー3をニップル2に取り付ける場合にも、カラー3により予め軟質ホースをニップル2のテーパー部7に対して圧接させるときに、カラー3の内周面に非接触内周面10が設けられていることにより、圧接に必要な部分以外における軟質ホースの絞込みを抑制できる。そのため、軟質ホースの開口部にしわが生じにくく、ニップル2と軟質ホースとの間からの水漏れを抑制することができる。
【0052】
リング4は、ニップル2のリング用ネジ8に螺合することによりニップル2の管側へ移動し、その移動に伴いカラー3をニップル2のテーパー部7に圧接させるためのものである。図6(a)は軟質ホース用継手1のリング4の側面図であり、図6(b)は図6(a)を矢印の方向から見た正面図である。なお、本参考形態において、管側とはニップル2のテーパー部7に対して管接続部6側であり、軟質ホース側とは前記管側と反対側を示す。
【0053】
リング4は、図6(a)および図6(b)に示すように、筒状をしており、その外周面は12角形に構成されている。このように、リング4の外周面を多角形にすることにより、リング4の外周面と手との摩擦を大きくすることができる。そのため、リング4をニップル2に螺合させる際に、容易に手締めで締めることができる。なお、本参考形態ではリング4の外周面は12角形で構成されているが、本発明はこれに限られない。リング4の外周面は、手締めでネジ締めが容易になるように多角形であればよいし、設けられていなくてもかまわない。
【0054】
リング4の内周面には、リング4の一端の端部に沿った内周面において、カラー3の外周面に設けられたカラー凸部12と係合するために、内周に沿った凸部であるリング凸部14(内周凸部、突出縁部)が設けられている。そして、リング凸部14以外のリング4の内周面には、ニップル2のリング用ネジ8と螺合するためのニップル用ネジ13が設けられており、メスネジ構造となっている。
【0055】
なお、リング凸部14は、本参考形態ではリング4の一端の端部、具体的には軟質ホース側の端部に沿って設けられているが、本発明はこれに限られず、リング4の軟質ホース側の端部よりも管側に設けられていてもよい。また、リング凸部14は、リング4の内周に沿って設けられているが、部分的に突出している構成であってもよく、カラー3の外周面に設けられたカラー凸部12と係合可能な構成であればよい。
【0056】
また、リング4の外周面には、工具などを差し込み、前記工具を回すことによりリング4をニップル2に螺合させる工具用穴15が設けられている。これにより、手締めによってリング4をニップル2に十分に螺着できない場合には、工具用穴15にドライバー(プラスドライバー)などを差し込んで、増し締めすることができる。なお、本発明では、工具用穴15は設けられていない構成であってもかまわない。
【0057】
カラー用ナット5は、リング4によりニップル2のテーパー部7に圧接させたカラー3を、容易にテーパー部7から離間させるためのものである。図7(a)は軟質ホース用継手1のカラー用ナット5の側面図であり、図7(b)は図7(a)を矢印の方向から見た正面図である。
【0058】
カラー用ナット5は、図7(a)および図7(b)に示すように、筒状をしている。カラー用ナット5の外径は、リング4のリング凸部14の内径よりも大きくなっている。カラー用ナット5の内周面には、カラー用ナット5の一端の端部に沿った内周面において、カラー3と係合するためのナット凸部17が内周に沿って設けられている。そして、ナット凸部17以外のカラー用ナット5の内周面には、カラー3の外周部に設けられたナット用ネジ11と螺合するためのカラー用ネジ16(抜き部材螺合部)が設けられている。なお、カラー用ネジ16のネジ構造は、リング4の内周面に設けられたニップル用ネジ13のネジ構造とは逆方向に構成されている。これにより、ニップル2からリング4を離脱させる場合に、カラー用ナット5がゆるむことはない。
【0059】
なお、カラー3およびカラー用ナット5は、リング4をニップル2に螺合させるときに、一緒に回転しないように構成されている。そのため、リング4をニップル2に螺合させるとき、カラー3は回転せず、軟質ホースとカラー3との間に生じる摩擦が小さくなる。これにより、手締めにより容易にリング4をニップル2に対して螺合させることができる。
【0060】
なお、本参考形態ではカラー3およびリング4は分離されているが、本発明はこれに限られず、カラー3およびリング4が独立して可動な構成であればよい。
【0061】
次に、本参考形態の軟質ホース用継手1を用いて軟質ホースを接続する方法について図8(a)〜(c)を参照して説明する。図8(a)〜(c)は前記軟質ホース用継手を用いた軟質ホースの接続方法を示す側面図である。
【0062】
まず、図8(a)に示すように、軟質ホースの一端から、カラー用ナット5と、リング4と、カラー3とをこの順番に通す。カラー用ナット5は、内周面にナット凸部17が設けられた側から軟質ホースに通す。リング4は、内周面にリング凸部14が設けられた側から軟質ホースに通す。カラー3は、外周面にナット用ネジ11が設けられている側から軟質ホースに通す。
【0063】
そして、カラー用ナット5、リング4およびカラー3を通した側の軟質ホースの開口部に、ニップル2のテーパー部7が挿入される。そして、カラー3を手締めでニップル2のテーパー部7にできるだけ圧接させる。このとき、軟質ホースの開口部近傍にしわが生じないようにする。このように、カラー3が軟質ホースをニップル2のテーパー部7に対して予め仮止めすることにより、軟質ホースにしわが生じることを抑制することができる。そのため、軟質ホースに生じたしわから、軟質ホースに導入された水が漏れてしまうのを抑制することができる。
【0064】
そして、カラー3で仮止めすることにより軟質ホースにしわが生じていないことを確認した後、図8(b)に示すように、リング4を図中の矢印に示すようにニップル2の方向に移動させる。そして、リング4の内周面に設けられたニップル用ネジ13とニップル2のリング用ネジ8とを手締めにより螺合させる。
【0065】
ニップル用ネジ13とリング用ネジ8とを十分に螺着させることにより、図8(c)に示すように、リング4のリング凸部14はカラー3のカラー凸部12と係合して、カラー3をテーパー部7の径の拡大方向にさらに移動させる。その結果、カラー3は軟質ホースをテーパー部7の外周面に対してより強く圧接する。そして、カラー用ナット5のカラー用ネジ16とカラー3のナット用ネジ11とを螺合させる。
【0066】
以上のように、管と軟質ホースとの接続において、本参考形態の軟質ホース用継手1を用いることにより、接続の際に軟質ホースにしわが生じることなく、手締めにより接続することが可能になる。
【0067】
次に、本参考形態の軟質ホース用継手1から軟質ホースを抜脱させる場合において、カラー用ナット5を用いるか否かにより生じる離合状態の違いについて図9および図10を参照して説明する。図9は、カラー3とカラー用ナット5とを螺合させた場合の、軟質ホース用継手1の抜脱を示す側面図である。図10は、カラー3とカラー用ナット5とを螺合させていない場合の、軟質ホース用継手1の抜脱を示す側面図である。
【0068】
カラー3とカラー用ナット5とを螺合させた場合には、カラー3のカラー凸部12とカラー用ナット5のナット凸部17とにより、リング4は挟まれている。なお、リング4はカラー3およびカラー用ナット5により回動自在な状態で保持されている。
【0069】
そのため、リング4をニップル2から抜脱させると、図9に示すように、カラー3およびカラー用ナット5はリング4と一緒にニップル2より離合される。このとき、カラー用ナット5の内周面に設けられたカラー用ネジ16は、リング4のニップル用ネジ13とは逆方向に設けられているために、カラー3とカラー用ナット5との螺着は緩むことがない。
【0070】
また、カラー3とカラー用ナット5とを螺合させていない場合には、リング4をニップル2から抜脱させるとき、図10に示すように、カラー3がニップル2のテーパー部7に嵌合したままで、リング4のみが抜脱される。カラー3は、リング4によりテーパー部7に強く押し込まれているため、工具を使用しないと離合できない。
【0071】
このように、カラー用ナット5は軟質ホースと管との接合には関与しない。しかしながら、カラー用ナット5を設けることにより、リング4をニップル2から抜脱させる際に、カラー3がニップル2のテーパー部7に強く嵌合したまま離合しなくなることを防ぐことができる。
【0072】
以上のように、本参考形態の軟質ホース用継手1は、一端が管と接続され、他端が軟質ホースの開口部に挿入されるテーパー部7からなるニップル2と、テーパー部7の径の拡大方向に移動することにより、テーパー部7の外周面に対して、前記軟質ホースを圧接させるカラー3と、ニップル2の外周面と螺合させることによりニップル2の管側へ移動し、その移動に伴いカラー3をテーパー部7の径の拡大方向に移動させるとともに、ニップル2のテーパー部7の外周面への圧接を補助するリング4とを備え、カラー3は、リング4に対して回動自在であることを特徴としている。
【0073】
上記構成により、リング4をニップル2の外周面に螺合させるとき、カラー3は一緒に回転しない。そのため、リング4のニップル2の外周面への螺合には、軟質ホースとカラー3との間に生じる摩擦は影響を与えない。その結果、軟質ホースの口径が大きい場合でも、手締めで容易にリング4をニップル2の外周面に十分に螺合させることができる。そして、カラー3により軟質ホースを十分にニップル2のテーパー部7に対して圧接させることができるために、軟質ホースとニップル2との間から水漏れが生じることを抑制することができる。
【0074】
なお、本参考形態の軟質ホース用継手1は、例えば、JIS規格において呼び径が40A以上の配管および継手類に接続利用される軟質ホースにおいて好適に用いることができる。
【0075】
〔第2参考形態〕
次に、本発明の第2参考形態の軟質ホース用継手21について説明する。図11は、第2参考形態の軟質ホース用継手21を示す斜視図である。また、第1参考形態の軟質ホース用継手1における構成要素と、同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記している。
【0076】
軟質ホース用継手21は、図11に示すように、ニップル2と、カラー23と、リング4とを備えている。
【0077】
軟質ホース用継手21が、第1参考形態の軟質ホース用継手1と異なる構成について説明する。軟質ホース用継手21では、カラー23に引掛り部24が設けられており、第1参考形態の軟質ホース用継手1で用いられたカラー用ナット5が省略されている。
【0078】
カラー23は、軟質ホースをニップル2のテーパー部7の外周面に対して圧接するためのものである。引掛り部24は、リング4によりニップル2のテーパー部7に圧接させたカラー23を、容易にテーパー部7から離間させるためのものである。図12は、第2参考形態に係る軟質ホース用継手21のカラー23を示す斜視図である。
【0079】
カラー23は、図12に示すように、筒状をしており、一端の外周面にはリング4と係合するためのカラー凸部25が設けられており、他端にはカラー23の外周に対して平行にカラー23の端部から軟質ホース側に突出した2つの引掛り部24が設けられている。なお、本参考形態では引掛り部24が2つ設けられているが、本発明はこれに限られない。つまり、リング4をニップル2から抜脱するときに、リング4とカラー23とが一緒に抜脱する構成であればよい。
【0080】
ここで、本参考形態の軟質ホース用継手21を用いた軟質ホースの接続方法について図13を参照して説明する。図13(a)〜(c)は軟質ホース用継手21を用いた軟質ホースの接続方法を示す側面図である。なお、第1参考形態の軟質ホース用継手1を用いた軟質ホースの接続方法と同一の部分については、具体的な説明は省略する。
【0081】
まず、図13(a)に示すように、軟質ホースの一端から、リング4と、カラー23とをこの順番に通す。リング4は、内周面にリング凸部14が設けられた側から軟質ホースに通す。カラー23は、引掛り部24が設けられている側から軟質ホースに通す。
【0082】
そして、リング4およびカラー23を通した側の軟質ホースの開口部に、ニップル2のテーパー部7を挿入する。そして、カラー3を手締めでニップル2のテーパー部7にできるだけ圧接させる。このとき、軟質ホースの開口部近傍にしわが生じないようにする。
【0083】
そして、カラー3により軟質ホースにしわが生じていないことを確認後、図13(b)に示すように、リング4を図中の矢印に示すようにニップル2の方向に移動させる。そして、リング4の内周面に設けられたニップル用ネジ13とニップル2のリング用ネジ8とを手締めにより螺合させる。リング4とニップル2とを螺合させる際に、カラー23の引掛り部24がリング4の内周面に設けられたリング凸部14と接触するが、リング4をニップル2に螺合させ続けることにより、引掛り部24が縮径する。
【0084】
そして、図13(c)に示すように、リング4のニップル用ネジ13とニップル2のリング用ネジ8とを十分に螺着させることにより、リング4のリング凸部14はカラー23のカラー凸部25と係合して、カラー23をテーパー部7の径の拡大方向にさらに移動させる。その結果、カラー23は軟質ホースをテーパー部7の外周面に対してより強く圧接する。
【0085】
次に、本参考形態の軟質ホース用継手21から軟質ホースを離合させる方法について図14を参照して説明する。図14(a)〜(c)は前記軟質ホース用継手を用いた軟質ホースの離合方法を示した側面図である。
【0086】
リング4とニップル2とが螺着した状態が図14(a)に示されている。そして、図14(b)に示すように、リング4をニップル2から抜脱させる方向に移動させることにより、リング4のリング凸部14とカラー23の引掛り部24とが係合する。そして、図14(c)に示すように、リング凸部14と引掛り部24とを係合させたまま、リング4をニップル2よりさらに抜脱させることにより、カラー23はリング4と係合したまま、ニップル2から抜脱する。
【0087】
このように、カラー23に引掛り部24を設けることにより、第1参考形態における別部材としてカラー用ナット5を設けなくとも、カラー23をリング4とともにニップル2から容易に抜脱させることができる。すなわち、カラー23は第1参考形態の軟質ホース用継手1におけるカラー3およびカラー用ナット5の機能を有している。
【0088】
〔第3参考形態〕
次に、本発明の第3参考形態の軟質ホース用継手31について説明する。また、第1参考形態の軟質ホース用継手1における構成要素と、同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記している。
【0089】
まず、軟質ホース用継手31が、軟質ホース用継手1と異なる構成について図15〜図17を参照して説明する。図15(a)は第3参考形態の軟質ホース用継手31のニップル32を示す側面図であり、図15(b)は図15(a)を矢印の方向から見た正面図である。図16(a)は軟質ホース用継手31のカラー33を示す側面図であり、図16(b)は図16(a)を矢印の方向から見た正面図である。図17はカラー33の内周面における形状の一例を示す図である。
【0090】
軟質ホース用継手1のニップル2は、軟質ホースの開口部に挿入されるテーパー部7において、少なくとも2個以上の外周に沿った凸部が設けられている。しかし、軟質ホース用継手31では、図15(a)に示すように、ニップル32のテーパー部37には凸部が設けられていない。さらに、軟質ホース用継手1のカラー3の接触内周面9には、階段状またはのこぎり歯状の段差が設けられている。しかし、軟質ホース用継手31では、図16(a)および図17に示すように、カラー33の接触内周面39には段差が設けられていない。
【0091】
軟質ホース用継手31が、第1参考形態の軟質ホース用継手1並びに従来のSPニップルおよびホースバンドと、どの点で相違しているのかを調べるために、各継手を用いた軟質ホースの着脱に要する時間、軟質ホースとニップルの間から生じる水漏れ、水を供給した後の各継手と軟質ホースとの接続状況について比較を行った。
【0092】
以下に、比較結果について図18および図19を参照して詳細に説明する。図18は、第1参考形態の軟質ホース用継手1および第3参考形態の軟質ホース用継手31を用いた軟質ホースの着脱時間と、従来のSPニップルおよびホースバンドを用いた軟質ホースの着脱時間とを比較するための図である。図19は、第1参考形態の軟質ホース用継手1および第3参考形態の軟質ホース用継手31と、従来のSPニップルおよびホースバンドを用いた軟質ホースとの軟質ホースとニップルの間から生じる水漏れ、水を供給した後の各継手と軟質ホースとの接続状況を比較するための図である。
【0093】
まず、従来のSPニップル(住化農業資材株式会社製)およびホースバンドとしてJubilee Hose Clip(L Robinson&Co.製)を用いた場合と、第1参考形態の軟質ホース用継手
1および本参考形態の軟質ホース用継手31を用いた場合との軟質ホースの着脱に要する時間を比較する。軟質ホースには、最大使用圧力が0.5MPaであるサニーホースおよび最大使用圧力が0.7MPaであるハイサニーホース(Sunny Hose Co.,ltd.)が用い
られる。ここで、軟質ホース用継手1および軟質ホース用継手31と軟質ホースとの接続は、手締めで行っている。そして、従来のSPニップルおよびホースバンドによる軟質ホースの接続は、ドライバーなどの工具を用いて行っている。
【0094】
軟質ホースの着脱に要する時間の比較の結果、図18に示すように、軟質ホース用継手1および軟質ホース用継手31では、管とサニーホースおよびハイサニーホースを接続するのに約2分を要している。そして、各ホースの抜脱には約30秒を要している。
【0095】
また、SPニップルおよびホースバンドを用いた場合では、管とサニーホースおよびハイサニーホースとを接続するのに約3分を要している。そして、各ホースの抜脱には約1分30秒を要している。
【0096】
このように、本発明の軟質ホース用継手1および軟質ホース用継手31を用いた場合における軟質ホースの接続時間および抜脱時間は、従来のSPニップルおよびホースバンドを用いた場合と比較して短縮されている。
【0097】
次に、従来のSPニップルおよびホースバンドを用いた場合と、第1参考形態の軟質ホース用継手1および本参考形態の軟質ホース用継手31を用いた場合とにおいて、軟質ホースに水道水を5分×30回給水し、軟質ホースからの水漏れの状態と給水後の軟質ホースの接続状態とを比較する。なお、給水圧力は、サニーホースに対しては0.5MPa、ハイサニーホースに対しては0.7MPaで行っている。
【0098】
第1参考形態の軟質ホース用継手1を用いた場合は、図19に示すように、サニーホースおよびハイサニーホースにおいて、水漏れおよびホースの抜脱は見られなかった。しかし、第3参考形態の軟質ホース用継手31を用いた場合は、サニーホースおよびハイサニーホースは抜脱してしまった。また、従来のSPニップルおよびホースバンドを用いた場合では、サニーホースを用いて給水を行ったとき、ホースの抜脱はないが、水漏れが見られた。そして、ハイサニーホースを用いて給水を行ったとき、ホースの抜脱はないが、少量の水漏れが見られた。
【0099】
このように、従来のSPニップルおよびホースバンドを用いた場合は、着脱に要する時間が長く、サニーホースおよびハイサニーホースは抜脱しなかったものの、どちらも水漏れが生じた。それに比べて、軟質ホース用継手1は、着脱に要する時間が短縮されており、サニーホースおよびハイサニーホースの最大使用圧力で給水を行っても、各ホースは抜脱せず、水漏れもしなかった。そして、軟質ホース用継手31は、着脱に要する時間は短縮されたが、サニーホースおよびハイサニーホースの最大使用圧力で給水を行った場合は、各ホースが抜脱した。
【0100】
しかし、軟質ホース用継手31は、上述した給水の水圧よりも低い水圧で給水を行えば、軟質ホースは抜脱せず、水漏れも生じない。すなわち、軟質ホース用継手31よりも軟質ホース用継手1の方が、高い水圧にも耐えることができ好ましい構成であるが、どちらの構成であっても、従来のSPニップルおよびホースバンドを用いた構成より着脱時間を短縮でき、手締めにより水漏れを抑制することが可能となる。
【0101】
〔第4参考形態〕
次に、本発明の第4参考形態の軟質ホース用継手41について図23〜図30を参照して説明する。図23は、第4参考形態の軟質ホース用継手41の概略構成を示す断面図である。第4参考形態の軟質ホース用継手41は、図23に示すように、ニップル2と、カラー43と、リング4と、カラー用ナット5とから構成されている。すなわち、軟質ホース用継手41は、カラー43の構成以外は第1参考形態の軟質ホース用継手1と同一である。以下の説明において、第1参考形態の軟質ホース用継手1における構成要素と、同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記している。
【0102】
本参考形態のカラー43の構成と第1参考形態のカラー3の構成とを図24および図25を参照して比較する。図24(a)は第1参考形態の軟質ホース用継手1のカラー3を示す側面図であり、図24(b)は図24(a)のA−A’断面を矢印の方向から見た断面図である。図25(a)は本参考形態の軟質ホース用継手41のカラー43を示す側面図であり、図25(b)は図25(a)のA−A’断面を矢印の方向から見た断面図である。
【0103】
カラー43は、図24および図25に示すように、第1参考形態のカラー3のカラー凸部12に対応するカラー凸部42が設けられている側の端部から、管側に突出した突出部44を有している。突出部44の内周面である突出内周面45は、図25(b)に示すように、接触内周面9と繋がっており、接触内周面9と同様に、カラー3の管側の端部に向けて直径が徐々に大きくなっている。また、接触内周面9はテーパーBを有しており、突出内周面45はテーパーAを有している。テーパーAとテーパーBとの関係は、0<テーパーA<テーパーBである。接触内周面9は、上述したように、ニップル2のテーパー部7とほぼ同じテーパーを有しているために、テーパーBは2.5/100〜12.5/100の範囲内である。また、テーパーAは、3/100〜7/100の範囲内であることが好ましい。なお、カラー43の突出部44以外の構成は、カラー3の構成と同一であるので、ここでは説明は省略する。
【0104】
ここで、第1参考形態の軟質ホース用継手1および本参考形態の軟質ホース用継手41を用いて軟質ホースを接続した場合において、軟質ホースの接続状態の違いについて図26〜図28を参照して検討する。なお、以下の説明において、ニップル2のリング用ねじ8における直径がテーパー部7における直径よりも大きいために、リング用ねじ8とテーパー部7との間に生じる境界面を境界面46とする。また、図26〜図28においては、カラー3またはカラー43の動作を明確にするために、リング4およびカラー用ナット5を省略している。本参考形態の軟質ホース用継手41を用いた軟質ホースの接続工程は、第1参考形態の軟質ホース用継手1を用いた軟質ホースの接続工程と同一であるために、ここでは説明は省略する。
【0105】
まず、第1参考形態の軟質ホース用継手1および本参考形態の軟質ホース用継手41を用いて軟質ホースを接続する場合において、軟質ホースにニップル2を挿入する工程について図26(a)〜(c)を参照して説明する。図26(a)および図26(b)に示すように、軟質ホースにニップル2のテーパー部7を抵抗なく挿入した場合において、軟質ホースの管側の端部と境界面46との距離を「A1」とし、図26(c)に示すように、軟質ホースをニップル2のテーパー部7における径の拡大方向に手で押し込んだ場合において、軟質ホースの管側の端部と境界面46との距離を「A2」とする。なお、ここでは図示していないが、軟質ホースには、カラー用ナット5、リング4、カラー3(カラー43)の順番に通している。
【0106】
次に、軟質ホース用継手41を用いて軟質ホースを接続する場合において、上述したように軟質ホースにニップル2を挿入した後の工程について図27(a)および図27(b)を参照して説明する。図27(a)に示すように、リング4をニップル2の外周面に螺合させることにより(リング4のニップル用ネジ13とニップル2のリング用ねじ8とをねじ作用で嵌め込むことにより)、カラー43をニップル2のテーパー部7の管側へ移動させる。カラー43をテーパー部7の管側へ移動させることにより、図27(b)に示すように、軟質ホースとカラー43とは一体化してテーパー部7の管側へ移動し、軟質ホースの管側の端部は、境界面46に接触する。そして、さらにカラー43をテーパー部7の管側へ移動させることにより、軟質ホースもさらにテーパー部7の管側へ移動し、突出部44の管側の端部と境界面46との間にある軟質ホースは撓む。リング4のニップル用ネジ13とニップル2のリング用ネジ8とを十分に螺着させたとき(リング4を所定のトルクでニップル2のリング用ネジ8に対して締めたとき)、カラー43のカラー凸部42の管側の端部から境界面46までの距離を「A3」とし、突出部44の管側の端部から境界面46までの距離を「A4」とする。
【0107】
次に、軟質ホース用継手1を用いて軟質ホースを接続する場合において、上述したように軟質ホースにニップル2を挿入した後の工程について図28を参照して説明する。図28に示すように、リング4をニップル2の外周面に螺合させることにより、カラー3をニップル2のテーパー部7の管側へ移動させる。このとき、軟質ホース用継手41のカラー43と異なり、カラー3と軟質ホースとは一体化してテーパー部7の管側へ移動しない。カラー3は、軟質ホースをテーパー部7の管側に少し移動させるが、軟質ホースの表面を滑るようにテーパー部7の管側へ移動することにより、軟質ホースをテーパー部7に圧接させる。リング4のニップル用ネジ13とニップル2のリング用ネジ8とを十分に螺着させたときの、カラー3の管側の端部から境界面46までの距離を「A3’」とし、軟質ホースの管側の端部から境界面46までの距離を「A5」とする。
【0108】
ここで、軟質ホース用継手1および軟質ホース用継手41の性能を比較するために、参考形態3に示した方法によって、軟質ホースの着脱に要する時間を比較した。軟質ホースには、最大使用圧力が0.5MPaであるサニーホースおよび最大使用圧力が0.7MPaであるハイサニーホース(Sunny Hose Co.,ltd.)が用いられる。ここで、軟質ホース用継手1および軟質ホース用継手41と軟質ホースとの接続は、手締めで行っている。
【0109】
軟質ホースの着脱に要する時間の比較の結果、図18に示したように、軟質ホース用継手1では、管とサニーホースおよびハイサニーホースを接続するのに約2分を要している。そして、各ホースの抜脱には約30秒を要している。軟質ホース用継手1と軟質ホース用継手41とは、構成部材の数が同じであるために、軟質ホース用継手41においても軟質ホースの着脱に要する時間は略同一であった。
【0110】
さらに、軟質ホース用継手1および軟質ホース用継手41の性能を比較するために、参考形態3に示した方法によって、軟質ホース用継手1および軟質ホース用継手41を用いた場合において、軟質ホースに水道水を5分×30回給水し、軟質ホースからの水漏れの状態および給水後の軟質ホースの接続状態を比較する。なお、給水圧力は、サニーホースに対しては0.5MPa、ハイサニーホースに対しては0.7MPaで行っている。
【0111】
軟質ホース用継手1を用いた場合は、図19に示したように、サニーホースおよびハイサニーホースにおいて、水漏れおよびホースの抜脱は見られなかった。また、軟質ホース用継手41を用いた場合でも、軟質ホース用継手1と同様に、サニーホースおよびハイサニーホースにおいて、水漏れおよびホースの抜脱は見られなかった。しかしながら、軟質ホース用継手1では、図28に示した「A5」がわずかに変位(約1mm)したのに比べて、軟質ホース用継手41では、図27(b)に示した「A4」が全く変位しなかった。すなわち、軟質ホース用継手41は、軟質ホース用継手1よりも軟質ホースをニップル2のテーパー部7に強く圧接させており、軟質ホースとニップル2との間から水漏れが生じることをより抑制することが可能であると考えられる。
【0112】
ここで、軟質ホース用継手41が、軟質ホースをニップル2のテーパー部7に軟質ホース用継手1よりも強く圧接させている構成について検討する。上述したような、軟質ホースにニップル2を挿入する工程においては、軟質ホース用継手1および軟質ホース用継手41のどちらを用いた場合でも、「A1」および「A2」は略同一となった。また、軟質ホース用継手41を用いて軟質ホースを接続した場合において、軟質ホースにニップル2を挿入した後の工程で、リング4のニップル用ネジ13とニップル2のリング用ネジ8とを十分に螺着させたときの、カラー43のカラー凸部42の管側の端部から境界面46までの距離「A3」と、軟質ホース用継手1を用いて軟質ホースを接続した場合において、軟質ホースにニップル2を挿入した後の工程で、リング4のニップル用ネジ13とニップル2のリング用ネジ8とを十分に螺着させたときの、カラー3の管側の端部から境界面46までの距離「A3’」とは、略同一となった。
【0113】
したがって、軟質ホース用継手41が、軟質ホース用継手1よりも強く軟質ホースをニップル2のテーパー部7に圧接可能であるのは、カラー43の突出部44が設けられているためであると考えられる。そこで、第1参考形態の軟質ホース用継手1および本参考形態の軟質ホース用継手41を用いて、リング4のニップル用ネジ13とニップル2のリング用ネジ8とを十分に螺着させ、軟質ホースをニップル2のテーパー部7に対して圧接させた場合において、軟質ホースとテーパー部7との接触部分の構成について図29および図30を参照して具体的に検討する。図29は、本参考形態の軟質ホース用継手41を用いて軟質ホースを接続した場合の断面図である。図30は、第1参考形態の軟質ホース用継手1を用いて軟質ホースを接続した場合の断面図である。なお、図中の白抜きの矢印は、リング4をニップル2の外周面に螺合させるときのリング4の移動方向を示すものである。また、図中の矢印は、リング4によってニップル2のテーパー部7の管側に押されたカラーの移動方向を示すものである。
【0114】
軟質ホース用継手41では、図29のAで示すように、カラー43が軟質ホースをニップル2のテーパー部7に圧接させることにより、軟質ホースとテーパー部7外周に沿って形成された3つの凸部とが接触している。また、軟質ホース用継手1では、図30のBに示すように、カラー3が軟質ホースをニップル2のテーパー部7に圧接させることにより、軟質ホースとテーパー部7外周に沿って形成された1つの凸部とが接触している。
【0115】
以上のことから、軟質ホース用継手41では、突出部44が設けられた分だけ、軟質ホースとニップル2のテーパー部7とを接触させる領域が増えることにより、より安定して軟質ホースをテーパー部7に圧接させることが可能となっている。さらに、カラー43の突出部44の突出内周面45が、接触内周面9のテーパーBよりも小さいテーパーAを有しているために、接触内周面9だけが設けられたカラー3よりも軟質ホースとニップル2のテーパー部7とをより強く圧接することが可能となっている。このように、本参考形態のカラー43は、第1参考形態のカラー3と比較して、軟質ホースとニップル2のテーパー部7との圧接の安定性および強さが増強されている。
【0116】
なお、軟質ホースをニップル2のテーパー部7により強く圧接させるためには、カラー43の構成に限られず、カラー3の接触内周面9を管側と軟質ホース側に分けて、管側のテーパーを軟質ホース側のテーパーよりも小さくすることによっても実現可能である。
【0117】
〔第1実施形態〕
次に、本発明の第1実施形態の軟質ホース用継手51について図31〜図34を参照して説明する。まず、本実施形態の軟質ホース用継手51の構成について図31および図32を参照して説明する。図31は、本実施形態の軟質ホース用継手51の概略構成を示す斜視図である。図32は、軟質ホース用継手51の概略構成を示す断面図である。
【0118】
軟質ホース用継手51は、図31に示すように、支持管としてのニップル2と、押さえ部材としてのカラー53と、補助部材としてのリング54とから構成されている。すなわち、軟質ホース用継手51は、第2参考形態の軟質ホース用継手21と同様に、抜き部材としてのカラー用ナット5が省略されている構成である。
【0119】
カラー53は、カラー用ナット5の代わりに、カラー53をリング54と一緒にニップル2から抜脱するための抜脱用凸部55が設けられている。カラー53は、抜脱用凸部55が設けられている以外の構成については、第4参考形態のカラー43と同一の構成であるために、カラー43と同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記し、説明は省略する。なお、本実施形態では、カラー53は、第4参考形態のカラー43の構成に抜脱用凸部55が設けられている構成であるが、第1参考形態のカラー3または第3参考形態のカラー33に抜脱用凸部55が設けられている構成であってもかまわない。
【0120】
リング54は、抜脱用凸部55をリング54の管側から軟質ホース側の外側端部よりも軟質ホース側に通過させるための抜脱用凹部56が設けられている。リング54は、抜脱用凹部56が設けられている以外の構成については、第1参考形態のリング4と同一の構成であるために、リング4と同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記し、説明は省略する。
【0121】
カラー53の抜脱用凸部55は、図32に示すように、カラー53の軟質ホース側の端部において、カラー53の外周面からリング54の外周面方向に、リング54のリング凸部14の内周面よりも突出した構成である。なお、本実施形態では、抜脱用凸部55は2つ設けられている構成であるが、本発明はこれに限られず、少なくとも1つ設けられていればよく、2つ以上設けられていることが望ましい。
【0122】
リング54の抜脱用凹部56は、抜脱用凸部55がリング凸部14の管側から軟質ホース側へと通過するように、リング凸部14に設けられている。抜脱用凹部56は、抜脱用凸部55よりも約0.5mm以上大きい構成であり、抜脱用凸部55が容易に通過することができる。なお、本実施形態では、抜脱用凹部56は抜脱用凸部55と同数の2つ設けられている構成であるが、本発明はこれに限られず、抜脱用凸部55と同数以上設けられていればよい。
【0123】
ここで、本実施形態の軟質ホース用継手51を用いた軟質ホースの接続方法および軟質ホース用継手51から軟質ホースを離合させる方法について図33を参照して説明する。図33(a)〜(e)は、軟質ホース用継手51を用いた軟質ホースの接続方法および軟質ホース用継手51から軟質ホースを離合させる方法を示す斜視図である。なお、上述した、第1参考形態の軟質ホース用継手1並びに第2参考形態の軟質ホース用継手21を用いた軟質ホースの接続方法および軟質ホース用継手21から軟質ホースを離合させる方法と同一の部分については、具体的な説明は省略する。
【0124】
まず、図33(a)に示すように、軟質ホースの一端から、リング54と、カラー53とをこの順番に通す。リング54は、内周面にリング凸部14が設けられた側から軟質ホースに通す。カラー53は、抜脱用凸部55が設けられている側から軟質ホースに通す。そして、リング54およびカラー53を通した側の軟質ホースの開口部に、ニップル2のテーパー部7を挿入し、カラー53を手締めでテーパー部7にできるだけ圧接させる。
【0125】
そして、図33(b)に示すように、リング54をニップル2の方向に移動させ、カラー53の抜脱用凸部55をリング54の抜脱用凹部56に通過させる。
【0126】
そして、図33(c)に示すように、リング54をニップル2に取り付ける方向(図33(c)に示す矢印の方向)に回転させることにより、リング54とニップル2とを手締めにより螺合させる。そして、リング54とニップル2とを十分に螺着させることにより、リング54のリング凸部14はカラー53のカラー凸部42と係合して、カラー53をテーパー部7の径の拡大方向にさらに移動させる。その結果、カラー53は軟質ホースをテーパー部7の外周面に対してより強く圧接する。
【0127】
軟質ホース用継手51から軟質ホースを離合させる場合は、図33(d)に示すように、リング54をニップル2から抜脱させる方向(図33(d)に示す矢印の方向)に回転させることにより、リング54のリング凸部14とカラー53の抜脱用凸部55とが係合する。そして、リング凸部14と抜脱用凸部55とを係合させたまま、リング54をニップル2から抜脱させる方向に回転させ続けることにより、図33(e)に示すように、カラー53はリング54と係合したまま、ニップル2から抜脱する。
【0128】
このように、本実施形態の軟質ホース用継手51では、カラー53に抜脱用凸部55が設けられていることにより、リング54をニップル2から抜脱させるときに、リング54の内周に設けられたリング凸部14と抜脱用凸部55とが係合するために、カラー53をリング54と一緒にニップル2から抜脱させることができる。すなわち、カラー53の端部に抜脱用凸部55を設けることにより、カラー53をニップル2から容易に抜脱することができる。なお、抜脱用凸部55は、カラー53と同一の材質を用いて、同一部材として構成されていてもよいし、異なる材質を用いて別部材として構成されていてもよい。
【0129】
また、カラー53をリング54と一緒にニップル2から抜脱するためには、抜脱用凸部55はリング54のリング凸部14の軟質ホース側の外側端部よりも軟質ホース側に設けられている必要がある。
【0130】
しかしながら、カラー53はリング54よりも管側に設けられており、かつ、抜脱用凸部55はカラー53の外周面からリング54の外周面方向にリング凸部14の内周面よりも突出している構成であるために、抜脱用凸部55をリング54の軟質ホース側の外側端部よりも軟質ホース側に配置するためには、抜脱用凸部55がリング凸部14を通過する必要がある。
【0131】
そこで、本実施形態の軟質ホース用継手51では、リング54のリング凸部14に、抜脱用凸部55が通過する抜脱用凹部56を設けることにより、抜脱用凸部55をリング54の軟質ホース側の外側端部よりも軟質ホース側に配置することが可能となる。
【0132】
なお、本実施形態では、リング54をニップル2から抜脱させるときに、カラー53の抜脱用凸部55がリング54のリング凸部14と係合することにより、カラー53をリング54と一緒に抜脱する構成であるが、本発明はこれに限られない。つまり、カラー53をリング54と一緒にニップル2から抜脱するために、リング凸部14がリング54の軟質ホース側の端部よりも管側に設けられている構成とし、抜脱用凸部55が係合する部材がリング54の軟質ホース側の端部の内周面において、内周に沿って突出して設けられている構成であってもかまわない。この場合、リング凸部14の内径は、カラー凸部42の外径よりも小さく、かつ、抜脱用凸部55の外径よりも大きく設計する必要がある。
【0133】
また、図33(d)に示したように、リング54をニップル2から抜脱するために、リング凸部14と抜脱用凸部55とを係合させながらリング54を回転させた場合には、リング54の回転に伴い、抜脱用凸部55と抜脱用凹部56との位置が一致したときに、図34(a)の線で囲まれた位置において、抜脱用凸部55と抜脱用凹部56とが接触する。図34(a)は、本実施形態の軟質ホース用継手51の要部構成を示す斜視図であり、図34(b)は、抜脱用凸部55および抜脱用凹部56の要部構成を示す断面図である。
【0134】
このとき、抜脱用凸部55および抜脱用凹部56の接触位置に角がある場合は、抜脱用凸部55と抜脱用凹部56とが接触位置において引掛り、リング54の回転が妨げられる。そこで、図34(b)に示すように、抜脱用凸部55および抜脱用凹部56の接触位置を面取りすることにより、抜脱用凸部55と抜脱用凹部56とが接触位置において引掛ることなく、リング54を滑らかに回転させることができる。
【0135】
本発明は上述した各参考形態および実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる参考形態および実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明の軟質ホース用継手は、管と軟質ホースとを接続するために好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0137】
1、21、31、41、51 軟質ホース用継手
2、32 ニップル(支持管)
3、23、33、43、53 カラー(押さえ部材)
4、54 リング(補助部材)
5 カラー用ナット
6 送水管接続部
7 テーパー部
8 リング用ネジ(支持管螺合部)
9、39 接触内周面
10 非接触内周面
11 ナット用ネジ
12、25、42 カラー凸部
13 ニップル用ネジ
14 リング凸部(内周凸部、突出縁部)
15 工具用穴
16 カラー用ネジ
17、37 ナット凸部
24 引掛り部
44 突出部
45 突出内周面
46 境界面
55 抜脱用凸部(抜き部材)
56 抜脱用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質ホースと管とを接続するための軟質ホース用継手において、
一端が管と接続され、他端が軟質ホースの開口部に挿入されるテーパー部を有する支持管と、
前記支持管におけるテーパー部よりも管側の外周面に設けられた支持管螺合部に螺合し、かつ内周面に内周凸部を有する補助部材と、
前記支持管のテーパー部を軟質ホースに挿入したときに、前記軟質ホースの先端外周に遊嵌され、かつ、前記補助部材とは独立に回動自在に設けられるとともに、前記補助部材の前記支持管螺合部への螺合締めに伴って前記補助部材の内周凸部に当接することにより進出移動する押さえ部材とから構成されており、
前記押さえ部材および前記補助部材は、互いに分離しており、
前記補助部材を前記支持管から抜脱するときに、前記押さえ部材を前記補助部材と一緒に抜脱させるための抜き部材を備えていると共に、
前記補助部材は、軟質ホース側の端部の内周面において、円周に沿って突出した突出縁部を備えており、
前記抜き部材は、前記押さえ部材の軟質ホース側の端部において、該押さえ部材の外周面から前記補助部材の外周面方向に、前記突出縁部の内周面よりも突出した抜脱用凸部であり、
前記補助部材の前記突出縁部には、前記抜脱用凸部が通過する抜脱用凹部が設けられていることを特徴とする軟質ホース用継手。
【請求項2】
前記抜脱用凸部および前記抜脱用凹部は、前記突出縁部と該抜脱用凸部とを係合させながら前記補助部材を回転させたときに、該抜脱用凸部と該抜脱用凹部とが接触する位置において面取りされていることを特徴とする請求項1に記載の軟質ホース用継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−257010(P2011−257010A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215618(P2011−215618)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2007−31242(P2007−31242)の分割
【原出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(596005964)住化農業資材株式会社 (29)
【Fターム(参考)】