説明

軟質ポリウレタンフォームとその製造方法

【課題】低反発であっても、クッションとして必要な硬度、耐久性等の物性を維持しながら、振動特性に優れた軟質フォームを提供する。
【解決手段】コア反発弾性率が40%以下である軟質ポリウレタンフォームであって、共振曲線における共振伝達ピークの半値幅が1Hz以下であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。また、特定の整泡剤を使用し、高分子量のポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを触媒および発泡剤の存在下に反応させて製造することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車産業の発展に伴い、車の性能向上はもとより、車輌内装高級化、居住性の向上・改善が求められるようになり、特に座り心地、および乗り心地性改良の観点から、クッション特性のより優れたシート用軟質ポリウレタンフォーム(以下軟質フォームと表す。)の開発が強く望まれている。特に近年、体圧分散にも優れるといわれる低反発の軟質フォームにおいて、クッション特性、より具体的には振動特性に優れたものの開発が要求されてきている。また、前記振動特性に関しては、特に人が敏感な周波数域(例えば4〜8Hz、または6〜20Hzといわれている。)の減衰を大きくとることが求められている。
【0003】
従来、車輌用のシートに低反発の軟質フォームを用いることは知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしこれらに開示された技術では、軟質フォームの圧縮永久歪が大きく、耐久性が不充分であった。また近年、耐久性に優れた低反発の軟質フォームも提案されている(例えば、特許文献3〜7参照。)。しかし、従来の低反発の軟質フォームでは上記特定周波数域において、明瞭な共振振動数を示さなかった。この場合、クッションとして必要な硬度、耐久性等の物性を維持しながら、特定周波数域全体にわたって振動伝達率を減少させることは困難であり、この課題を解決する手段は知られていなかった。
【特許文献1】特開平1−280413号公報
【特許文献2】特開平2−175713号公報
【特許文献3】特開平9−124764号公報
【特許文献4】特開平9−302066号公報
【特許文献5】特開平11−286566号公報
【特許文献6】特開2000−290344号公報
【特許文献7】特表2002−520460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題を解決し、低反発であっても、クッションとして必要な硬度、耐久性等の物性を維持しながら、振動特性に優れた軟質フォームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来は軟質フォームのみで前記特定周波数域全体にわたって振動伝達率を減少させようとした。しかし本発明では軟質フォームに明瞭な共振振動数を持たせて、これを金属バネ等の構造で吸収することにより、シート全体としては振動伝達率の低いものが提供できるという着想をもとにしている。この着想のもとに検討を行った結果、発明者らは低反発の軟質フォームを製造する際に、特定の整泡剤を用いることにより、明瞭な共振振動数を持たせることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明は、以下の軟質フォームを提供する。コア反発弾性率が40%以下である軟質ポリウレタンフォームであって、共振曲線における共振伝達ピークの半値幅が1Hz以下であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。この軟質フォームは低反発であっても、特徴的な振動特性を有し、これを用いてシートクッションとした場合に、シート全体としては振動伝達率が低いものが提供可能となる。
【0007】
また本発明は、前記軟質フォームを製造するために、次の製造方法を提供する。整泡剤として、ポリシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖を有し、シリコーン含有量が10〜50質量%であり、該ポリオキシアルキレン鎖の鎖長が1000以下であり、かつ、該ポリオキシアルキレン鎖末端に水酸基を有する化合物を使用し、水酸基価が10〜56mgKOH/gであり、不飽和度が0.045meq/g以下であるポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを触媒および発泡剤の存在下に反応させて製造することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【0008】
この製造方法により、前記の振動特性に特徴のある軟質フォームが提供できる。特に特定の整泡剤を低反発の軟質フォームの製造に適用することにより、前記の振動特性が得られ、かつ、良好な成形性が得られる。また上記のポリオールを用いることにより、耐久性に優れ、所定の硬度を有し、良好な成形性を有する軟質フォームが得られる。ここで低反発であっても従来にない振動特性が得られるのは、軟質フォームのセル構造に特徴があるためと考えられる。すなわち本発明に係る軟質フォームでは、通常のセル構造(セル径は500〜2000μmである。)に加えて、リブに相当する支柱構造中にも微小セル(セル径は50〜200μmである。)が形成されているという特徴を有している。
【0009】
また、前記ポリオールとして、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリオールを使用することが好ましい。このポリオールを用いることにより、さらに耐久性にすぐれた軟質フォームが得られる。
【0010】
また、前記整泡剤のポリオキシアルキレン鎖中にオキシエチレン基が存在し、該ポリオキシアルキレン鎖中の該オキシエチレン基含有量が70〜100質量%であることが好ましい。前記特定の整泡剤として特にこの特徴を持つものを、前記のポリオールと組み合わせることにより、良好な成形性が得られる。
【0011】
さらに、前記ポリイソシアネート化合物の少なくとも一部としてトリレンジイソシアネートを用いることが好ましい。トリレンジイソシアネートを用いることにより、低反発で良好な機械的物性を示す軟質フォームが得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る軟質フォームは、低反発であっても、クッションとして必要な硬度、耐久性等の物性を維持しながら、振動特性に優れる。特に金属バネ等と組み合わせることにより振動伝達率の低いシートクッションが得られる。また低反発であり体圧分散性能に優れることから、寝具等にも好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、コア反発弾性率が40%以下である軟質フォームであって、共振曲線における共振伝達ピークの半値幅が1Hz以下であることを特徴とする軟質フォームを提供する。なお、コア反発弾性率の測定はJIS K6400に準拠した方法で行い、振動特性(共振曲線)の測定はJASO B407−87に準拠した方法で行い、加振振幅は±2.5mm、加圧盤は鉄研型で荷重490Nとした。ここでコアとは軟質フォーム試料の中央部から表皮部を除いた部分を測定に用いたことを表す。
【0014】
また共振曲線における共振伝達ピークの半値幅が1Hz以下であるとは、横軸を振動数(単位:Hz)、縦軸を振動伝達率(単位なし)とした、振動特性の測定結果(共振曲線)を示す図において、共振振動数前後で振動伝達率は山形(共振伝達ピーク)となるが、共振振動数での振動伝達率(振動伝達率の極大値であり共振伝達率ともいう。)の2−1/2倍となる2点間の周波数幅が1Hz以下であることをいう。
【0015】
具体的には下記のとおりである。
【0016】
共振振動数をf、共振伝達率をVfnとし、周波数fにおける伝達率をVfa、周波数fにおける伝達率をVfbとする。ただしVfaとVfbは下記式(1)を満たし、fはfより大とする。
【0017】
【数1】

【0018】
このとき前記周波数幅(半値幅)dfは、下記式(2)で定義される。
【0019】
【数2】

【0020】
本発明に係る軟質フォームは低反発の軟質フォームであり、そのコア反発弾性率は40%以下であるが、35%以下が好ましい。また本発明に係る軟質フォームは、共振曲線における共振伝達ピークの半値幅が1Hz以下である。この振動特性を満足するということは、明瞭な共振振動数を持つことを意味する。
【0021】
図1に本発明に係る軟質フォームの振動特性の測定結果例を示す。横軸は振動周波数(単位:Hz)であり、縦軸は振動伝達率である。比較として図2に従来のコア反発弾性率が40%以下である軟質フォームの振動特性の測定結果例を示す。比較すると明らかなように、従来の軟質フォームの場合には、測定領域全体にわたって明瞭な共振振動数が見られない。一方、本発明に係る軟質フォームでは、7Hz付近に明瞭な共振振動数が見られ、その他の領域では振動伝達率が比較的低く抑えられている。
【0022】
本発明はまた、前記軟質フォームを提供するために、特定の整泡剤を使用し、高分子量のポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを触媒および発泡剤の存在下に反応させて製造することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【0023】
ここで前記特定の整泡剤とは、ポリシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖を有し、シリコーン含有量が10〜50質量%であり、該ポリオキシアルキレン鎖の鎖長が1000以下であり、かつ、該ポリオキシアルキレン鎖末端に水酸基を有する化合物(シリコーン整泡剤)である。また前記整泡剤のポリオキシアルキレン鎖中にオキシエチレン基が存在し、該ポリオキシアルキレン鎖中の該オキシエチレン基含有量が70〜100質量%であることが好ましい。
【0024】
前記特定の整泡剤は、ポリシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖を有する。ここでポリシロキサン鎖とは、側鎖に有機基を有するオルガノポリシロキサン鎖を意味し、その例としてはジメチルシロキサン鎖等が挙げられる。またポリオキシアルキレン鎖とはアルキレンオキシドが付加した部分を意味する。アルキレンオキシドの付加としては、単一のアルキレンオキシドが付加したブロック付加、2種以上のアルキレンオキシドがランダムに付加したランダム付加等が挙げられ、これらの付加が混在してもよい。この整泡剤の構造としては、ポリシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖とのブロック型構造であっても、主鎖のポリシロキサン鎖に側鎖としてポリオキシアルキレン鎖がグラフトした構造であってもよい。軟質フォームの成形性が良好な点で、主鎖のポリシロキサン鎖に側鎖としてポリオキシアルキレン鎖がグラフトした構造が好ましい。
【0025】
前記特定の整泡剤のシリコーン含有量は10〜50質量%であり、30〜50質量%が好ましい。ここでシリコーン含有量とは、整泡剤中のポリシロキサン鎖の割合であり、残りはポリオキシアルキレン鎖である。前記シリコーン含有量が10質量%未満の場合、軟質フォームの成形性が悪くなりやすく、また、所望の振動特性が得られにくく好ましくない。また前記シリコーン含有量が50質量%を超える場合は、軟質フォームの成形性が悪くなりやすく好ましくない。
【0026】
前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン等が挙げられる。このうち、エチレンオキシドのみ、または、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの組み合わせが好ましい。具体的なエチレンオキシドの含有量として、前記ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン基の含有量は、70〜100質量%が好ましく、90〜100質量%がより好ましい。前記オキシエチレン基の含有量が70質量%未満の場合には、軟質フォームの成形性が悪くなりやすく好ましくない。
【0027】
また前記ポリオキシアルキレン鎖の鎖長は1000以下であり、500以下が好ましい。ただしこの鎖長とは分子量相当の値であり、例えばポリオキシアルキレン鎖がオキシエチレン基のみからなり、その鎖長が880である場合は、エチレンオキシド(分子量44)が20個付加したポリオキシアルキレン鎖であることを意味する。この鎖長が1000を超えた場合、軟質フォームの成形性が悪くなりやすく好ましくない。また前記ポリオキシアルキレン鎖は末端に水酸基を有する。しかし全ての末端が水酸基である必要はなく、該水酸基の水素原子を1価の有機基で置換したものが含まれていてもよい。該末端のうち水酸基の割合としては、ポリオキシアルキレン鎖の全末端のうちの水酸基の割合が、50〜100モル%が好ましく、70〜100モル%がより好ましく、100モル%すなわち末端の全部が水酸基であることが特に好ましい。前記割合が50モル%未満の場合、軟質フォームの成形性が悪くなりやすく好ましくない。前記1価の有機基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基;アセチル基等のアシル基等が挙げられ、これらのうち炭素数が1〜6の有機基が好ましい。
【0028】
本発明に係る軟質フォームの製造方法において、前記特定の整泡剤を2種類以上併用してもよく、また前記特定の整泡剤以外の整泡剤を併用してもよい。本発明に係る軟質フォームの製造において、前記特定の整泡剤の使用量は、ポリオール(ただし架橋剤は含まない)100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。この使用量が0.01質量部未満の場合には、軟質フォームを製造する際の発泡安定性が低下しやすく好ましくない。またこの使用量が5質量部を超えて多い場合には、軟質フォームを製造する際に軟質フォームの収縮が発生しやすくなることがあり好ましくない。
【0029】
本発明に係る軟質フォームの製造方法においては、高分子量のポリオールを使用する。この高分子量のポリオールは、水酸基価が10〜56mgKOH/gであり、不飽和度が0.045meq/g以下であるポリオールであることが好ましい。以下この高分子量ポリオールを「特定のポリオール」という。この特定のポリオールとしては、特に複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリオールが好ましい。
【0030】
前記特定のポリオールは、開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。この開環付加重合の触媒として複合金属シアン化物錯体触媒を用いることが好ましい。
【0031】
上記開始剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、meso−エリスリトール、メチルグルコシド、グルコース、ソルビトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン等のアミン類;フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の縮合系化合物類が用いられる。これらの活性水素化合物は2種以上を併用してもよく、または活性水素を7個以上有するショ糖等の活性水素化合物と併用してもよい。これら活性水素化合物の中では多価アルコール類が好ましい。また、上記開始剤にプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを開環付加して得られた化合物を開始剤として用いてもよい。
【0032】
開始剤に開環付加重合させるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、スチレンオキシド等が挙げられ、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの併用が好ましい。
【0033】
前記特定のポリオールの製造に用いる開環付加重合触媒としては、従来公知の低不飽和度のポリオキシアルキレンポリオールが得られる触媒を用いることができ、例えば、セシウム系触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、ホスファゼン系化合物触媒等が挙げられる。中でも複合金属シアン化物錯体触媒が好ましい。複合金属シアン化物錯体触媒を用いると、低不飽和度のポリオールを得られる。低不飽和度のポリオールを原料とすると、耐久性に優れた軟質フォームを得られる。
【0034】
複合金属シアン化物錯体としては亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、そのエーテルおよび/またはアルコール錯体が好ましい。その組成は本質的に特公昭46−27250号公報に記載のものが使用できる。エーテルとしては、モノエチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングルコールジメチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル(METB)、エチレングリコールモノ−tert−ペンチルエーテル(METP)、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル(DETB)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPME)等が好ましい。アルコールとしては、特開平4−145123号公報に記載されているtert−ブチルアルコールが好ましい。
【0035】
上記特定のポリオールの水酸基価は、10〜56mgKOH/gであるが、10〜46mgKOH/gがより好ましい。水酸基価が10mgKOH/g未満であると、軟質フォームの硬化が不充分な場合があり、好ましくない。また、56mgKOH/gを超えて大きいと軟質フォームの弾性が不充分となりやすく、好ましくない。またこの特定のポリオールの水酸基数は2〜8が好ましく、2.8〜5.2がより好ましい。ただし、水酸基数とは、開始剤の活性水素数の平均値を意味する。水酸基数が2未満では軟質フォームが柔らかくなり、圧縮永久歪が悪化しやすい。また、水酸基数が8を超えて大きいと軟質フォームが硬くなり、フォームの伸び等の機械的物性が悪化しやすい。またこの特定のポリオールのオキシエチレン基含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。ポリオール中のオキシエチレン基含有量が30質量%を超えて多いと、耐久性(特に湿熱圧縮永久歪)が悪化しやすく好ましくない。
【0036】
またこのポリオールの不飽和度は、0.045meq/g以下であるが、0.04meq/g以下が好ましく、0.035meq/g以下が特に好ましい。不飽和度が0.045meq/gを超えると、軟質フォームの伸びや強度などの物性に好ましくない影響を与えることがあり、また軟質フォームの耐久性が不充分になりやすく好ましくない。この特定のポリオールとしては1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合には、上記の水酸基価、水酸基数および不飽和度については併用する各ポリオールのそれぞれの値を質量平均して考えるものとする。
【0037】
上述した特定のポリオールはポリマー微粒子を含むポリマー分散ポリオールであってもよい。ポリマー分散ポリオールは、ベースポリオール(分散媒)中にポリマー微粒子(分散質)が安定的に分散している分散系であり、ポリマーとしては付加重合系ポリマーや縮重合系ポリマーがある。
【0038】
ポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子は、アクリロニトリル、スチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、その他のビニルモノマーの単独重合体や共重合体等の付加重合系ポリマー、または、ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタン、メラミン樹脂等の縮重合系ポリマーからなる。このうち、アクリロニトリル・スチレン共重合体が好ましい。このポリマー微粒子の存在により、ポリマー分散ポリオール全体の水酸基価はベースポリオールの水酸基価よりも一般的に低下し、また、軟質フォームの硬度、通気性等の物性向上に有効である。ポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子の含有量は、通常50質量%以下であることが好ましい。ポリマー微粒子の量は特に多い必要はない。また多すぎても、経済的な面、粘度の面で不都合が生じる場合がある。製造しようとする軟質フォームの硬度に応じてポリマー微粒子の含有量を変更できるが、通常3〜35質量%が好ましい。なお、ポリマー分散ポリオールのポリオールとしての諸物性(不飽和度、水酸基価等)は、ポリマー微粒子を除いたベースポリオールについて考えるものとする。
【0039】
本発明に係る軟質フォームは、前述の特定のポリオールとポリイソシアネート化合物とを前記特定の整泡剤、ウレタン化反応触媒および発泡剤の存在下で反応させて製造することが好ましい。
【0040】
本発明において使用するポリイソシアネート化合物としては特に制限はないが、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系等のポリイソシアネート;前記ポリイソシアネートの2種類以上の混合物;これらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等のポリイソシアネートまたはこれらのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。このうち、TDI、MDI、クルードMDI、またはこれらの変性体が好ましい。さらに、ポリイソシアネート化合物の少なくとも一部としてTDIを用いることがより好ましい。ここでTDIを単独で用いること、TDIとMDIとを併用すること、または、TDIとクルードMDIとを併用することが特に好ましく、TDIを単独で用いること、またはTDIとクルードMDIとを併用する(ただしTDIとクルードMDIの合計量に対してTDIの割合は50質量%以上用いる。)ことが最も好ましい。
【0041】
ポリイソシアネート化合物の使用量は通常イソシアネートインデックス(ポリオール、架橋剤、水等の全ての活性水素数の合計に対するイソシアネート基の数の100倍で表される数値)で表すが、本発明におけるポリイソシアネート化合物の使用量は、イソシアネートインデックスで80〜120が好ましく、85〜110がよりこのましい。イソシアネートインデックスが80未満の場合には、耐久性が悪化しやすく好ましくない。またイソシアネートインデックスが120を超えて大きい場合には、軟質フォームの製造時間(硬化時間)が長くなる傾向にあり好ましくない。
【0042】
また、前記ウレタン化反応触媒としてはウレタン化反応を促進する触媒であれば特に制限はないが、例えば、トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどの3級アミン類;酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等のカルボン酸金属塩;ジブチルスズジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。また3級アミン類の中で、分子中に水酸基を有するウレタン化反応触媒を用いてもよい。その具体例としては、ジメチルヘキサノールアミン、ジメチルエタノールアミンが挙げられる。
【0043】
また、前記発泡剤としては特に制限はないが、低沸点炭化水素、低沸点含フッ素化合物、水および不活性ガスからなる群から選ばれた1種または2種以上が好ましい。低沸点炭化水素としては具体的には、シクロペンタン、n−ペンタン等が挙げられる。また低沸点含フッ素化号物としては具体的には、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)等の低沸点含フッ素炭化水素;1,1,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(HFE−236pc)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(HFE−254pc)、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル(HFE−347mcc)等の低沸点含フッ素エーテルが挙げられる。また不活性ガスとしては具体的には、空気、窒素、炭酸ガス等が挙げられる。これらのうち水を発泡剤として用いることが好ましい。発泡剤の使用量は特に限定されないが、水を使用する場合、ポリオール100質量部に対して10質量部以下が好ましく、0.1〜8質量部がより好ましい。
【0044】
本発明に係る軟質フォームの製造方法では、上述した整泡剤、触媒および発泡剤以外に所望の添加剤も使用できる。添加剤としては、架橋剤;炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤;乳化剤等の界面活性剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤;難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤等が挙げられる。
【0045】
前記架橋剤としては、水酸基、1級アミノ基または2級アミノ基等の活性水素を有する官能基を2個以上有する化合物が好ましい。また、架橋剤の分子量は2000未満が好ましく、1500以下がより好ましく、1000以下が特に好ましい。また、架橋剤は2種以上を併用してもよい。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、デキストロース、ソルビトール、シュークロース、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ビスフェノールA、エチレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4(または2,6)−ジアミノトルエン(DETDA)、2−クロロ−p−フェニレンジアミン(CPA)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4(または2,6)−ジアミノトルエン、1−トリフルオロメチル−4−クロル−3,5−ジアミノベンゼン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン等の化合物、およびこれらに比較的少量のアルキレンオキシドを付加して得られる化合物等が挙げられる。
【0046】
本発明に係る軟質フォームの製造方法において、その成形方法は開放された状態で反応性混合物を発泡成形する方法(スラブ法)、または密閉された金型内に反応性混合物を注入し発泡成形する方法(モールド法)のいずれでも成形可能である。本発明に係る軟質フォームはコールドキュア法、ホットキュア法のいずれの方法によっても製造できるが、コールドキュア法が好ましい。
【0047】
また、本発明に係る軟質フォームの製造条件としては、軟質フォームを製造可能な条件であれば特に制限されない。例えば、ポリイソシアネート化合物以外の全原料の混合物(以下ポリオールシステムという)とポリイソシアネート化合物とをそれぞれ15〜40℃に調整し、ポリオールシステムにポリイソシアネート化合物を所定量加えて、高速ミキサー等で2〜15秒間攪拌混合後、直ちに30〜80℃に加温した容器に密閉して4〜20分間キュアする、ことにより軟質フォームが製造できる。
【0048】
本発明に係る軟質フォームはシートクッションに最適であるが、寝具、マット、一般のクッション等にも好適である。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、例1〜10は実施例、例11〜15は比較例である。また、例中の発泡処方欄の数値は質量部を表す。
【0050】
また、例で使用したポリオールの水酸基数、オキシエチレン(EO)基含有量(単位:質量%)、水酸基価(単位:mgKOH/g)、および不飽和度(単位:meq/g)を表1に示す。なお不飽和度の測定はJIS K1557に準拠した方法で行った。また以下、DMC−METB錯体触媒とは亜鉛ヘキサシアノコバルテート−モノエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル錯体触媒を表し、DMC−グライム錯体触媒とは亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒を表し、CsOH触媒とは水酸化セシウム触媒を表し、KOH触媒とは水酸化カリウム触媒を表す。また、開始剤1はグリセリンにプロピレンオキシドを付加させた水酸基価168mgKOH/gの化合物である。
【0051】
[ポリオールA1の製造]
開始剤1の1000gの存在下、DMC−グライム錯体触媒を用いてプロピレンオキシド5321gを約120℃で反応させ、次いでKOH触媒を用いてエチレンオキシド1029gを約120℃で反応させ重合を完了した。反応後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理、濾過を行い、水酸基価24.0mgKOH/gのポリオールA1を得た。
【0052】
[ポリオールA2の製造]
開始剤1の1000gの存在下、DMC−METB錯体触媒を用いてプロピレンオキシド4865gを約120℃で反応させ、次いでKOH触媒を用いてエチレンオキシド1117gを約120℃で反応させ重合を完了した。反応後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理、濾過を行い、水酸基価24.8mgKOH/gのポリオールA2を得た。
【0053】
[ポリオールBの製造]
開始剤1の1000gの存在下、CsOH触媒を用いてプロピレンオキシド5024gを約110℃で反応させ、次いでエチレンオキシド1325gを約120℃で反応させ重合を完了した。反応後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理、濾過を行い、水酸基価24.0mgKOH/gのポリオールB1を得た。
【0054】
[ポリオールC1の製造]
開始剤1の1000gの存在下、KOH触媒を用いてプロピレンオキシド5024gを約110℃で反応させ、次いでエチレンオキシド1317gを約120℃で反応させ重合を完了した。反応後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理、濾過を行い、水酸基価28.3mgKOH/gのポリオールC1を得た。
【0055】
[ポリオールC2の製造]
開始剤1の1000gの存在下、KOH触媒を用いてプロピレンオキシド5222gを約110℃で反応させ、次いでエチレンオキシド1098gを約120℃で反応させ製造を完了した。反応後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理、濾過を行い、水酸基価28.5mgKOH/gのポリオールC2を得た。
【0056】
[ポリオールC3の製造]
開始剤1の1000gの存在下、KOH触媒を用いてプロピレンオキシド3100gを約110℃で反応させ、次いでエチレンオキシド600gを約120℃で反応させ重合を完了した。反応後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理、濾過を行い、水酸基価42.0mgKOH/gのポリオールC3を得た。
【0057】
[ポリオールC4の製造]
開始剤としてグリセリンの存在下、KOH触媒を用いて、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとを混合させたものを反応させた。反応後、吸着剤(合成ケイ酸マグネシウム)処理、濾過を行い、オキシエチレン基含有量80質量%、水酸基価48.0mgKOH/gのポリオールC4を得た。ポリオールC4は破泡剤として配合した。
【0058】
【表1】

【0059】
表2に示す原料を用い、表3、表4および表5に示す配合量を用いて軟質フォームを製造した。ただし製造時のイソシアネートインデックス(表中にはNCOインデックスと略記した。)は105または90となるよう、配合比を調整した。これらの原料および配合剤のうち、ポリオールシステムおよびポリイソシアネート化合物溶液をそれぞれ液温25±1℃に調整し、ポリオールシステムにポリイソシアネート化合物を所定量加えて、高速ミキサーで5秒間撹拌混合し、直ちに60℃に加温した縦横400mm、高さ100mmのアルミニウム製金型に混合物を注入して密閉した。6分間キュアした後、軟質フォームを取り出して24時間以上放置してから各種物性の測定を行った。
【0060】
【表2】

【0061】
軟質フォームの各種物性の測定結果を表3、表4および表5に示す。成形性の指標としてクラッシング性評価を行った。クラッシング性評価は、フォームを成形型から取り出し後、直ちにフォーム厚みの25%まで圧縮してフォームセルを開放する際の作業性を評価し、○を良好、△をやや不良とした。なお、フォーム物性の測定方法は下記に準拠し、コア密度に関してはフォームの中央部からスキン部を除いて縦横100mm、高さ50mmの大きさに切り出したものを測定に用いた。また、表3〜5中の総不飽和度はポリオールと、ポリマー分散ポリオールのベースポリオールとを合計したものの不飽和度であり、単位はmeq/gである。
【0062】
また本発明に係る軟質フォームの耐久性は圧縮永久歪で評価できる。乾熱圧縮永久歪は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。また、湿熱圧縮永久歪みは15%以下が好ましく、13%以下がより好ましい。また、共振伝達率とは共振振動数における振動伝達率であり、半値幅とは共振曲線における共振伝達ピークの半値幅である。
【0063】
また本発明に係る軟質フォームの体圧分散性能は静バネ定数の測定で評価できる。その測定方法は、JASO自動車規格B408−89の自動車用シートのパット材の性能試験方法に準拠した荷重試験である。加圧板は、直径200±2mm、厚さ50〜100mmの円板形を用いる。試験機の水平台に試験体を置き、試験機に取り付けた加圧板を試験体上面の中心に載せる。予備圧縮として700Nの荷重で1回圧縮し、荷重を除き3〜5分間放置した後に5Nの初期荷重を加えて厚さ(t0)を測定し、これを初期厚さとする。このときの加圧面上の中心点を原点とし、荷重計を0に合わせた後、150〜300mm/minの速度で加圧および減圧を行い、荷重に対するたわみを測定する。測定結果から荷重とたわみの関係について、荷重−たわみ曲線図を作成する。
【0064】
試験体としては、フォーム類の基本物性を測定する箱型テストピース(サイズ:縦横各400mm、厚さ100mm)オーバーオール(箱型より脱型した、スキン層を除去しないもの)を用いる。静バネ定数とは、荷重−たわみ量曲線において各荷重における加圧側の接線の正接の値とする。具体的には、上記試験により荷重−たわみ量曲線を得て、そこから、荷重98Nにおける静バネ定数(X)を求めて評価した。この静バネ定数(X)が小さいと体圧分散性能が良好であり、より具体的には40N/mm以下が好ましく、15N/mm以下がより好ましく、10N/mm以下が特に好ましい。
【0065】
以下に、軟質フォームの物性の測定に用いた規格を示す。全密度(単位:kg/m)、コア密度(単位:kg/m)、25%硬さ(ILD)(単位:N/314cm)、CLD硬度(単位:N/cm)、コア反発弾性率(単位:%)、乾熱圧縮永久歪(単位:%)、湿熱圧縮永久歪(単位:%)はJIS K6400に準拠した方法。共振振動数(単位:Hz)、振動伝達率(単位:なし)は、JASO B407−87(加振振幅:±2.5mm、加振板:鉄研型、荷重:490N)に準拠した方法。静バネ定数(単位:N/mm)は、JASO B408−89に準拠した方法。
【0066】
なお表中のCLD硬度1とは室温(23℃)で測定したCLD硬度であり、CLD硬度2とは低温(−25℃)で測定したCLD硬度であり、硬度比とはCLD硬度2の値をCLD硬度1の値で割った値である。この硬度比が1に近ければ温度変化に対する硬度変化が小さいことを意味し、低温においても柔軟性が損なわれにくいことを意味する。
【0067】
また図に示した振動特性の測定結果はそれぞれ、図1は例7で得られた軟質フォームの測定結果例であり、図2は例11で得られた軟質フォームの測定結果例である。
【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
【表5】

【0071】
例1〜10は、特定の整泡剤を使用し、特定のポリオールを使用しているので、低反発であっても所定の振動特性が得られ、成形性も良好であり、耐久性も良好である。
【0072】
また、例7〜10は、静バネ定数(X)の値も小さく、体圧分散性能も良好である。例11は低反発の軟質フォームの従来例であり、特定の整泡剤を使用していないので、所定の振動特性が得られず、また成形性も不充分である。
【0073】
例12〜14は比較的高反発の軟質フォームの例であり、特定の整泡剤を使用していないので成形性が不充分であり、耐久性、特に湿熱圧縮永久歪が悪くなっている。
【0074】
例15は特定の整泡剤を使用したが、特定のポリオールの代わりに不飽和度の高いポリオールを使用したので、成形性が不良であり、物性を測定しなかった。
【0075】
これらの結果から、特定の整泡剤を使用したために成形性が良好となる、特定のポリオールを使用したために耐久性、硬度等の物性が良好となり、成形性に優れる、特定の整泡剤と特定のポリオールを組み合わせたために特徴的な振動特性が得られる、ことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る軟質フォームの振動特性の測定結果例である。
【図2】従来のコア反発弾性率が40%以下である軟質フォームの振動特性の測定結果例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア反発弾性率が40%以下である軟質ポリウレタンフォームであって、共振曲線における共振伝達ピークの半値幅が1Hz以下であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
整泡剤として、ポリシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖を有し、シリコーン含有量が10〜50質量%であり、該ポリオキシアルキレン鎖の鎖長が1000以下であり、かつ、該ポリオキシアルキレン鎖末端に水酸基を有する化合物を使用し、水酸基価が10〜56mgKOH/gであり、不飽和度が0.045meq/g以下であるポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを触媒および発泡剤の存在下に反応させて製造された請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
前記ポリオールとして、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリオールを使用する請求項2に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
前記整泡剤のポリオキシアルキレン鎖中にオキシエチレン基が存在し、該ポリオキシアルキレン鎖中の該オキシエチレン基含有量が70〜100質量%である、請求項2または3に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
前記ポリイソシアネート化合物の少なくとも一部としてトリレンジイソシアネートを用いる請求項2、3または4に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
整泡剤として、ポリシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖を有し、シリコーン含有量が10〜50質量%であり、該ポリオキシアルキレン鎖の鎖長が1000以下であり、かつ、該ポリオキシアルキレン鎖末端に水酸基を有する化合物を使用し、水酸基価が10〜56mgKOH/gであり、不飽和度が0.045meq/g以下であるポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを触媒および発泡剤の存在下に反応させる軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項7】
整泡剤として、ポリシロキサン鎖とポリオキシアルキレン鎖を有し、シリコーン含有量が10〜50質量%であり、該ポリオキシアルキレン鎖の鎖長が1000以下であり、かつ、該ポリオキシアルキレン鎖末端に水酸基を有する化合物を使用し、水酸基価が10〜56mgKOH/gであり、不飽和度が0.045meq/g以下であるポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを触媒および発泡剤の存在下に反応させて、
コア反発弾性率が40%以下であり、共振曲線における共振伝達ピークの半値幅が1Hz以下である軟質ポリウレタンフォームを製造することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項8】
前記ポリオールとして、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリオールを使用する請求項6または7に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項9】
前記整泡剤のポリオキシアルキレン鎖中にオキシエチレン基が存在し、該ポリオキシアルキレン鎖中の該オキシエチレン基含有量が70〜100質量%である、請求項6、7または8に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項10】
前記ポリイソシアネート化合物の少なくとも一部としてトリレンジイソシアネートを用いる請求項6〜9のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−195962(P2008−195962A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131266(P2008−131266)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【分割の表示】特願2002−339615(P2002−339615)の分割
【原出願日】平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】