説明

軟質ポリウレタンフォームの製造方法

25〜70kg/mの密度と5〜15kPaの圧縮荷重撓みを有する軟質ポリウレタンフォーム。軟質ポリウレタンフォームの製造方法、および軟質ポリウレタンフォームの、植物成長培地としての、ならびにグリーンルーフおよびグリーンウォールにおける使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォームの製造方法、このようなフォームを含む植物成長培地、このようなフォームの植物成長培地としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームを含む植物成長培地が知られている。
米国特許第3,798,836号は、熱可塑性粒子を分散させた、水不溶性で連続気泡の発泡ポリウレタンマトリックスを開示している。
【0003】
米国特許第3,889,417号は、プレポリマーと多量の水とを反応させることによって親水性フォームを製造している。このフォームは、園芸用途に使用することができが、適用される水インデックス(water index)は1300〜78000である。類似のプロセスが国際特許出願WO96/16099号に開示されているが、イソシアネートインデックスと水インデックスについては特に説明されておらず、実施例においては、水インデックスは1700超、イソシアネートインデックスは6未満であった。使用するプレポリマーは、少なくとも1000の分子量を有するポリオールから製造した。
【0004】
米国特許第3,970,618号は、植物を栽培するための基材を開示しており、この基材は、900〜1800のヒドロキシル価を有するポリオールとトルエンジイソシアネート(TDI)タイプのポリイソシアネートとを、低NCOインデックスにて反応させることによって製造される親水性ポリウレタンフォームである。
【0005】
米国特許第5,155,931号は、有機イソシアネート(好ましくはTDI)とポリオールとを、90〜120のNCOインデックスにて反応させることによって製造されるフォームを植物マットとして使用することを開示している。
【0006】
米国特許第6479433号は、プレポリマーと水とを、選択されたフィラー材料の存在下で反応させることによって製造される園芸用成長培地を開示している。
米国特許出願第2005/0131095号は、軟質ポリウレタンフォームを始めとするポリウレタンフォームを40〜150のNCOインデックにて製造する方法を開示している。水インデックスに対しては特別な注意が記載されておらず、実施例においては、NCOインデックスが85〜106であり、水インデックスが93〜120であった。
【0007】
少量の水ないし多量の水を使用して、低イソシアネートインデックスで軟質ポリウレタンフォームを製造する方法が、それぞれヨーロッパ特許第309217号およびヨーロッパ特許第309218号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,798,836号
【特許文献2】米国特許第3,889,417号
【特許文献3】国際特許出願WO第96/16099号
【特許文献4】米国特許第3,970,618号
【特許文献5】米国特許第5,155,931号
【特許文献6】米国特許第6,479,433号
【特許文献7】ヨーロッパ特許第309217号
【特許文献8】ヨーロッパ特許第309218号
【発明の概要】
【0009】
驚くべきことに、ポリウレタンフォームは、特に、100%水飽和(water saturation)での気泡安定性、および低密度での、高圧縮荷重撓みと一緒になった水緩衝能(water buffer capacity)に関して、さらに改良することができた。
【0010】
驚くべきことに、我々はさらに、このような新規ポリウレタンフォームを製造するための新規方法を見出した。
したがって本発明は、25〜70kg/mの密度、40%にて5〜15kPaの圧縮荷重撓み(CLD)、水飽和にて多くても25%の体積増加率、および40〜60%の水緩衝能、を有する軟質ポリウレタンフォームに関する。
【0011】
本発明はさらに、このような軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関し、この製造方法は、
ポリイソシアネートの量を基準として算出して、30〜80重量%のジフェニルメタンジイソシアネートと、20〜70重量%の、3以上のイソシアネート官能価を有する該ジイソシアネートの同族体とを含むポリイソシアネートと、62〜1000の平均分子量と2〜4の平均公称ヒドロキシル官能価を有するポリオールとを反応させることによって製造される、20〜30重量%のNCO値を有するポリイソシアネートプレポリマー;
2〜4の平均公称ヒドロキシル官能価、2000〜8000の平均分子量、およびそれぞれの重量を基準として25〜50重量%の平均オキシエチレン含量を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールもしくはこのようなポリオールの混合物;
水;および
必要に応じて、60〜1999の平均分子量を有するイソシアネート反応性の連鎖延長剤および/または架橋剤;を、
必要に応じて、ポリウレタン業界において使用される助剤と添加剤の存在下にて、
20〜70のイソシアネートインデックスおよび200〜400の水インデックスで反応させることを含む。
【0012】
フォームは、26〜60kg/mの密度、および40%にて5〜12kPaの圧縮荷重撓み(CLD)を有するのが好ましい。フォームはさらに、水飽和にて多くても15%の体積増加率を有するのがさらに好ましい。
【0013】
本発明はさらに、本発明の軟質ポリウレタンフォームを含む植物成長培地に関する。
最後に、本発明は、本発明の軟質ポリウレタンフォームを、植物成長培地として、ならびにグリーンウォール及び/又はグリーンルーフとして使用することに関する。
【0014】
比較的高いオキシエチレン含量を有するポリオールを低いイソシアネートインデックスにて使用するポリウレタンフォームの製造方法が、ドイツ特許第3710731号、米国特許第4,833,176号、米国特許第4,365,025号、米国特許第4,910,231号、米国特許第5,459,170号、米国特許第5,521,226号、米国特許第6,417,241号、米国特許第7,022,746号、および国際特許出願第WO2007/110286号に開示されている。
【0015】
しかしながら、本発明によるフォームと製造方法は開示されていない。本発明のフォームは、良好な物理的特性(例えば、乾燥環境および湿潤環境下での圧縮硬さや圧縮変形抵抗)を保持しつつ、良好な湿潤性、吸上げ作用特性、保水性、および水放出特性を有するので、植物成長培地として使用するのに極めて適している。
【0016】
本発明のフォームは、上記特性の少なくとも1つが、これまで植物成長支持材料(例えば、パーライト、砂利、ミネラルウール、木質繊維、コイア、ピート、およびポリスチレンフォームビーズ等)として提唱されていた他の材料より優れている。
【0017】
好ましい製造方法は、プレポリマーを製造する際に使用されるポリエーテルポリオールが、オキシエチレン基を、該ポリオールの重量を基準として少なくとも50重量%の量にて含み、該ポリオールが250〜800の平均分子量を有する、という場合の本発明の製造方法である。このポリエーテルポリオールは、250〜800の平均分子量を有するポリオキシエチレントリオールであるのが最も好ましい。
【0018】
本明細書の文脈において、以下の用語は下記のような意味を有する。
(1) イソシアネートインデックスまたはNCOインデックスまたはインデックス: 配合物中に存在するイソシアネート反応性水素原子に対するNCO基の比であって、パーセント値として表示する。
【0019】
[NCO]×100/[活性水素] (%)
つまり、NCOインデックスは、配合物中において使用されるイソシアネート反応性水素の量と反応させる上で理論的に必要とされるイソシアネートの量に対する、配合物中において実際に使用されるイソシアネートのパーセント値を表わす。
【0020】
留意しておかねばならないことは、本明細書にて使用されているイソシアネートインデックスは、当該反応工程において使用されるイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分が関係する実際の発泡プロセスの観点から考えられている、という点である。実際の発泡段階において存在する遊離のイソシアネート基と遊離のイソシアネート反応性水素(水の水素を含む)だけが考慮される。
【0021】
水インデックスとは、100Y/X(%)という比であり、式中、Yは、配合物中に実際に使用される水の量(g表示)であり、Xは、100のイソシアネートインデックスを得るために、同じ配合物において理論的に必要とされる水の総量(g表示)である。
【0022】
(2) イソシアネートインデックスを算出すべく本明細書中に使用されている「イソシアネート反応性水素原子」とは、ポリオール、ポリアミン、及び/又は水の形で反応性組成物中に存在するヒドロキシル水素原子とアミン水素原子との合計を表わす。このことは、実際の発泡プロセスでのイソシアネートインデックスを算出する上で、1つのヒドロキシル基は1つの反応性水素原子を含むと見なし、1つの水分子は2つの活性水素原子を含むと見なす、ということを意味している。
【0023】
(3) 本明細書にて使用されている「ポリウレタンフォーム」とは、一般には、発泡剤を使用してポリイソシアネートとイソシアネート反応性水素含有化合物とを反応させることによって得られる気泡物品を表わし、そして特に、水を反応性発泡剤として使用(水とイソシアネート基が反応してウレア結合と二酸化炭素が生成し、これによりポリウレタンフォームが得られる)して得られる気泡物品を含む。
【0024】
(4) 本明細書にて使用されている「公称ヒドロキシル官能価」、「公称官能価」、または「ヒドロキシル官能価」とは、これがポリウレタンフォームの製造において使用される開始剤の官能価(1分子当たりの活性水素原子の数)であると仮定して、ポリオール組成物の官能価(1分子当たりのヒドロキシル基の数)を表わす(しかしながら実際には、幾らかの末端不飽和のために若干小さい)。「当量」とは、分子中のイソシアネート反応性水素原子1つ当たりの分子量を表わす。
【0025】
(5) 「平均」とは、「数平均」を表わす。
(6) 「ワンショット」とは、1000より大きい平均分子量を有する全てのポリオールを水の存在下にてポリイソシアネートと反応させる、という場合の、成分を反応させてポリウレタンフォームを製造する方法を表わす。
【0026】
(7) 密度は、ISO845に従って測定した密度である。
(8) 硬度CLDは、硬度を第1のサイクル時に測定するという条件にて、ISO3386/1に従って測定した40%での圧縮荷重撓みである。
【0027】
(9) 気泡安定性ΔVは、100%水飽和における体積増加率、ΔV=(V−V)/V×100(%)であり、ここでVは、水の取り込みが無い場合のフォームの体積であり、Vは、温度23℃および相対湿度50%における、水の取り込みが最大であるときのフォームの体積である。Vを測定するためには、フォームを、周囲圧力および23℃にて24時間水中に浸漬する。
【0028】
(10) 水緩衝能(Water Buffer Capacity:WBC,%)はΦ−Φ32であって、ここで、Φ=V/V×100(%)、Φ32=V/V×100(%)、であり、上記式中、Vは、フォームサンプルの体積(ml)であり、Vは、水中に24時間浸漬したときのフォームサンプルの水取り込み量(ml)であり、Vは、水を含有するこのフォームサンプルを−32cm水柱の圧力に24時間さらした後に保持される水の体積(ml)である。
【0029】
、V、およびVは、以下のように決定される。すなわち、100×120×75mm(長さ×幅×高さ)の寸法が得られるようにフォームサンプルをカットする。したがってサンプルのVは900mlである。フォームサンプルの乾燥重量を105℃にて測定する。次いでフォームサンプルを、サンプルの高さ方向の1cm分が水面より上に出るような仕方で、大気圧にて23℃で水浴中に6時間浸漬する。
【0030】
次にサンプルを、大気圧にて23℃で18時間完全に浸漬する。引き続きサンプルを、0.5〜1cmのメッシュを有するふるい上に置き、30分にわたって水を放出させる。最後に、再びフォームサンプル(残留水を含有している)の重量を測定し、水の密度が1kg/dmであると仮定してVを算出する。
【0031】
次いでサンプル(水を含有)を密閉環境中に23℃にて24時間置き、サンプルの底面に減圧を加える。圧力は、サンプルの中央から−32cmHOである。
最後に、再びサンプルの重量を測定し、サンプル中に保持されている水の体積Vを算出する(水の密度を1kg/dmと仮定して)。
【0032】
サンプルの底面に対して減圧環境をつくり出すのに使用できる装置は、Eijkelkamp(www.eijkelkamp.com、オランダ)から入手することができ、pF測定に使用されるいわゆるSandboxである。
【0033】
フォームのWBCは40〜60%であるのが望ましく、Φは、好ましくは60〜80%であり、最も好ましくは65〜75%である。
ポリイソシアネートプレポリマーを製造するのに使用されるポリイソシアネートは当業界に公知である。これらは、ポリメリックMDIまたはクルードMDI、およびポリメリットもしくはクルードMDIとMDIとの混合物、と広く呼ばれている。
【0034】
ポリメリックもしくはクルードMDIは、MDIと3以上のイソシアネート官能価を有する同族体を含み、当業界によく知られている。これらの同族体は、アニリンとホルムアルデヒドとの酸縮合反応によって得られるポリアミンの混合物をホスゲン化することにより製造される。
【0035】
ポリアミン混合物とポリイソシアネート混合物の製造はよく知られている。強酸(例えば塩酸)の存在下でのアニリンとホルムアルデヒドとの縮合反応により、ジアミノジフェニルメタンと、より高い官能価のポリメチレンポリフェニレンポリアミンとを含有する反応生成物が得られ、このとき正確な組成は、公知の方法では、とりわけアニリン/ホルムアルデヒド比に依存する。ポリイソシアネートは、ポリアミン混合物のホスゲン化によって製造され、種々の割合のジアミン、トリアミン、およびより高級のポリアミンにより、それに関連した割合のジイソシアネート、シリイソシアネート、およびより高級のポリイソシアネートがもたらされる。このようなクルードもしくはポリメリックMDI組成物中のジイソシアネート、トリイソシアネート、およびより高級のポリイソシアネートの相対的な割合により、該組成物の平均官能価(すなわち、1分子当たりのイソシアネート基の平均数)が決まる。出発物質の割合を変えることによって、ポリイソシアネート組成物の平均官能価を、ほぼ2から3以上まで変えることができる。しかしながら実際には、平均イソシアネート官能価は2.3〜2.8の範囲であるのが好ましい。これらのポリメリックもしくはクルードMDIのNCO値は少なくとも30重量%である。ポリメリックもしくはクルードMDIは、ジフェニルメタンジイソシアネートを含有していて、残部が2より大きい官能価のポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートである。ポリイソシアネートが、ジイソシアネートと3以上のイソシアネート官能価を有する同族体とを必要な量にて有するという条件で、必要に応じて、このポリメリックもしくはクルードMDIとMDIとを混合することができる。たとえば、このようなポリイソシアネートは、SUPRASEC(登録商標)MI20(Huntsman社;約80重量部の4,4’−MDI、約20重量部の2,4’−MDI、および2重量部未満の2,2’−MDIを含有)とSUPRASEC(登録商標)2185(Huntsman社;30.7重量%のNCO値を有するポリメリックMDI;約38重量%のジイソシアネートを含有していて、残部は3以上のイソシアネート官能価を有する同族体である;ジイソシアネートの約6重量%が2,4’−MDIであって、ジイソシアネートの1重量%未満が2,2’−MDIである)を適切な相対量にて混合することによって製造される。Suprasec2185とSuprasecMPR(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、Huntsman社)との混合物も使用することができる。
【0036】
本発明のポリイソシアネートは、30〜80重量%(好ましくは50〜70重量%)のMDIと20〜70重量%(好ましくは30〜50重量%)の、3以上のイソシアネート官能価を有するMDI同族体とを含み、ここでどちらの量も、ポリイソシアネートの重量を基準として算出されている。
【0037】
62〜1000の平均分子量と2〜4の平均公称ヒドロキシル官能価を有していて、ポリイソシアネートプレポリマーを製造する上で使用できるポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリエタノールアミン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、およびこれらの混合物などがある。
【0038】
好ましいポリオールは、必要ならば多官能開始剤の存在下にて、エチレンオキシドおよび任意使用のプロピレンオキシドの重合によって得られるポリオールである。適切な開始剤化合物は複数の活性水素原子を含有し、水、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、およびペンタエリスリトールを含む。開始剤及び/又は環状オキシドの混合物も使用できる。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリオールは、先行技術にて詳細に説明されているように、開始剤へのエチレンオキシドとプロピレンオキシドの同時的もしくは逐次的付加によって得られる。ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、およびこれらの組み合わせ物を使用することができる。好ましいのは、オキシエチレン基の少なくとも一部を、そして好ましくは全部をポリマー鎖の末端に有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリオール(キャップドポリオールまたはチップドポリオール)である。前記ポリオールの混合物も使用することができる。
【0039】
最も好ましいのは、2〜4(最も好ましくは3)の平均公称ヒドロキシル官能価、250〜800の平均分子量、および少なくとも50重量%(ポリオールの重量を基準として)のオキシエチレン含量、を有するポリオキシエチレンポリオールとポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールである。このようなポリオールは市販されており、1つの例は、Perstorp社のPolyol3380である。
【0040】
ポリイソシアネートプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールを、20〜30重量%のNCO値を有するプレポリマーが得られるような相対量にて混合して反応させることによって製造される。必要に応じて、ウレタン基の形成を増進する触媒を使用することができる。
【0041】
本発明に従って軟質フォームを製造する際に使用することができて、ポリイソシアネートプレポリマーと反応させるポリオールは、必要に応じて多官能開始剤の存在下にて、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの重合によって得られる生成物を含む。適切な開始剤化合物は、複数の活性水素原子を含有し、水、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、およびペンタエリスリトールを含む。これら開始剤の混合物も使用することができる。ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリオールは、先行技術にて詳細に説明されているように、開始剤へのエチレンオキシドとプロピレンオキシドの同時的もしくは逐次的付加によって得られる。指示量のオキシエチレン基を有するランダムコポリマー、ブロックコポリマー、およびこれらの組み合わせ物を使用することができる。
【0042】
ポリオールの混合物も使用することができる。ポリオーの混合物が使用される場合、該混合物は、2〜4の平均公称ヒドロキシル官能価、2000〜8000の平均分子量、およびポリオール混合物の重量を基準として25〜50重量%の平均オキシエチレン含量を有するべきである。混合物を構成するポリオールも、2〜4の公称ヒドロキシルと2000〜8000の分子量を有する。混合物を構成する個々のポリオールは、混合物が、混合物の重量を基準として25〜50重量%の平均オキシエチレン含量を有するという条件にて、当該ポリオールの重量を基準として20〜90重量%のオキシエチレンを有してよい。
【0043】
このようなポリオールは、公知であって市販されている。例としては、Daltocel(登録商標)F489とDaltocel(登録商標)F442が挙げられる。このような混合物の1つの例は、Daltocel(登録商標)F489ポリオールとDaltocel(登録商標)F442ポリオールとの重量比4:1の混合物である。どちらのポリオールも、3の公称ヒドロキシル官能価と2000〜8000の平均分子量を有する。それらのオキシエチレン含量は、ポリオールの重量を基準として、それぞれ約27重量%および76重量%である。DaltocelF489とF442は、どちらもHuntsman社から市販されている。Daltocelは、1つ以上の(全てではないが)国において登録されている、Huntsman社もしくはその系列会社の商標である。
【0044】
水は、イソシアネートインデックスが20〜70で、水インデックスが200〜400となるような量にて使用される。
さらに、ウレタン基の形成を増大させる触媒も使用することができる。触媒は、(全イソシアネート反応性成分を基準として)0.1〜2重量%の量にて使用するのが好ましい。このような触媒は、当業界に広く知られている。例としては、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン、N,N’−ジエチルピペラジン、および1−(ビス(3−ジメチル−アミノプロピル)アミノ−2−プロパノール等のアミン触媒、ならびにオクタン酸第一錫やジブチル錫ジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。触媒の混合物も使用することができる。
【0045】
本発明のフォームは、必要に応じて、ポリウレタン業界において使用される添加剤および助剤(例えば、難燃剤、界面活性剤、他の発泡剤、煙抑制剤、着色剤、カーボンブラック、抗菌剤、酸化防止剤、離型剤、充填剤、および肥料等)の存在下にて製造することができる。
【0046】
フォームは、全ての成分を混合し、反応を起こさせることによって製造される。フォームは、フリーライズ法、成形法、スラブストック法、積層法、またはスプレー法に従って製造することができる。
【0047】
方法の種類にかかわりなく、フォームは、フォームの上昇が制限されないようなやり方で製造されるか、あるいはフォームの密度が、このフォームのフリーライズ密度より多くても20%(好ましくは多くても10%)高い程度に制限されるやり方で製造される。「フリーライズフォーム」とは、フォームを形成するための成分を反応させ、反応して発泡しつつある物質を、垂直方向に自由に上昇させることによって製造されるフォームである。「制限されたフリーライズ」という用語が使用されているときは、より一層矩形のフォームを製造することを意味するために、そして平らでない上表面の形成を避けることを意味するために使用されている。これにより廃棄フォームの量が減少する。より一層の矩形を達成するための幾つかの方法がある。当業界に知られている例としては、いわゆるフローティングリッド(floating lid)の使用、Draka/Petzetakisプロセス、Maxfoamプロセス、Paniblocプロセス、Quadrofoamプロセス、およびVertifoamプロセスなどがある。「制限的フリーライズ」という用語が使用されているとき、理解しておかねばならないことは、本特許出願の文脈においては、加えられる制限は、密度の増大ができるだけ抑えられるような性質のもの、そして上記したような性質のものである、という点である。密度はすべて、ISO845に従って測定される。
【0048】
成分は、発泡機のミキシングヘッドに別々に供給することができる。イソシアネート反応性成分を、必要に応じて、ポリウレタン業界において使用されている添加剤および助剤と一緒に予備混合してから、ポリイソシアネートと混合するのが好ましい。
【0049】
得られるフォームは、25〜70kg/m(好ましくは26〜60kg/m)の密度を有する。本発明のフォームは、あるレベルのエアフローと気泡連通性を有しており、これによりフォームは、特に野菜と花を成長させるための植物成長培地として使用するのに、そしてグリーンウォール及び/又はグリーンルーフに、ならびに植物のための水収支管理に関連した他の用途に使用するのに適したものとなる。
【0050】
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。
【実施例】
【0051】
実施例1〜5
下記の配合物をフリーライズ条件下にて反応させることによって軟質フォームを製造した。密度、硬度(CLD)、気泡安定性ΔV、WBC、およびΦを測定するために、フォームを物理学的試験にかけた。
【0052】
配合物と物理学的特性を以下に示す。量は重量部(pbw)で表示してある。実施例1は比較例である。
【0053】
【表1】

【0054】
<ポリイソシアネート1> 47.6pbwのSuprasec2020と10.4pbwのSuprasec2185と47.6pbwのSuprasecMPRの混合物であり、これらのポリイソシアネートはすべてHuntsuman社から市販されている。
<ポリイソシアネート2> 93pbwのSuprasec2185と7pbwのJeffoxWL−440(344mgKOH/gのOH価を有する、Huntsuman社のポリオキシエチレントリオール)を反応させることによって得られるプレポリマーであり、約26.7重量%のNCO値を有する。
<ポリイソシアネート3> 54pbwのSuprasec2185と36pbwのSuprasecMPRと10pbwのPolyol3380(382mgKOH/gのOH価を有する、Perstorp社のポリオキシエチレントリオール)とを反応させることによって得られるプレポリマーであり、約25.9重量%のNCO値を有する。
<ポリオール1> DaltocelF442。3の公称官能価と約42mgKOH/gのOH価を有するHuntsuman社のポリエーテルポリオールであって、オキシエチレン基とオキシプロピレン基を含み、オキシエチレン基の量が(ポリオールの重量を基準として)約76重量%である。
<ポリオール2> Daltocel489。3の公称官能価と約28mgKOH/gのOH価を有する、Huntsuman社のポリエーテルポリオールであって、オキシエチレン基とオキシプロピレン基を含み、オキシエチレン基の量が(ポリオールの重量を基準として)約27.5重量%である。
<ポリオール3> JeffoxWL660、約31mgKOH/gのOH価を有するポリオキシエチレンモノオール。
<触媒1> JeffcatDPA(Huntsman社)
<触媒2> JeffcatZF−10(Huntsman社)
<触媒3> JeffcatZ130(Huntsman社)
<界面活性剤1> TegostabB8724LF(Evonik社)
<界面活性剤2> DabcoDC2525(AirProducts社)
Suprasec、Daltocel、JeffcatおよびJeffoxは、1つ以上の国(全てというわけではないが)におけるHuntsuman社またはその系列会社の登録商標である。
【0055】
さらなる比較例
(1) ポリイソシアネート2の代わりにSuprasec2591ポリイソシアネートを使用して、同じイソシアネートインデックスおよび水インデックスにて実施例2を繰り返した。得られたフォームのCLD−40%はわずか1.8にすぎなかった。Suprasec2591は、約6000の分子量を有するポリオールから製造されるプレポリマーであり、米国特許出願第2005/0131095号の実施例7の比較実験1において使用されている。
【0056】
(2) ポリイソシアネート2の代わりにSuprasec1002ポリイソシアネートを使用して、同じイソシアネートインデックスおよび水インデックスにて実施例2を繰り返した。フォームは崩壊した。Suprasec1002は、国際特許出願第WO96/16099号の実施例1の実験5において使用されている。
【0057】
(3) イソシアネートインデックスと水インデックスのどちらも100にして、実施例4(上記)を繰り返した。フォームの吸上げ特性が良くなく、水緩衝能はわずか26%にすぎなかった。フォームサンプル(l×w×h=2×2×7.5cm)を水面に浮かせ、水を底から2.5cmのところまで満たした75mlのガラス瓶中の底に沈下する時間を記録することによって吸上げ性能を試験した。実施例4のフォームが20秒以内に沈下したのに対して、この比較サンプルは、全く沈下しなかった。
【0058】
(4) 実施例1(国際特許出願第WO96/16099号の実験5)を繰り返した。フォームは完全に独立気泡を有していて、役に立たなかった。70pbwの水を使用して実験を繰り返すことにより、86kg/mの密度(乾燥)と飽和状態にて106%の体積増加とを有するフォームが得られた(水インデックスは約4000であった)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が25〜70kg/mであり、40%での圧縮荷重撓み(CLD)が5〜15kPa、水飽和にて25%以下の体積増加、および40〜60%の水緩衝能を有する軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
密度が26〜60kg/mであり、CLDが5〜12kPaであり、体積増加が多くても15%である、請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
ポリイソシアネートの重量を基準として、30〜80重量%のジフェニルメタンジイソシアネートと、20〜70重量%の、3以上のイソシアネート官能価を有する該ジイソシアネートの同族体とを含むポリイソシアネートと、62〜1000の平均分子量と2〜4の平均公称ヒドロキシル官能価を有するポリオールとを反応させることによって製造される、20〜30重量%のNCO値を有するポリイソシアネートプレポリマー;
2〜4の平均公称ヒドロキシル官能価、2000〜8000の平均分子量、およびそれぞれポリオールもしくはポリオール混合物の重量を基準として25〜50重量%の平均オキシエチレン含量を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールもしくはこのようなポリオールの混合物;
水;ならびに、
必要に応じて、60〜1999の平均分子量を有するイソシアネート反応性の連鎖延長剤および/または架橋剤;
を、必要に応じて、ポリウレタン業界において使用される助剤と添加剤の存在下にて、20〜70のイソシアネートインデックスおよび200〜400の水インデックスで反応させることを含む、請求項1〜2に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
プレポリマーを製造する際に使用されるポリオールが、オキシエチレン基を、該ポリオールの重量を基準として少なくとも50重量%の量にて含み、250〜800の平均分子量を有する、請求項3に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
フォームが、フリーライズ法もしくは制限的フリーライズ法に従って製造される、請求項3〜4に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜2に記載の軟質ポリウレタンフォーム及び/又は請求項3〜5に従って製造される軟質ポリウレタンフォームを含む、植物成長培地、グリーンウォール、及び/又はグリーンルーフ。
【請求項7】
請求項1〜2に記載の軟質ポリウレタンフォーム及び/又は請求項3〜5に従って製造される軟質ポリウレタンフォームの、植物成長培地としての、グリーンルーフにおける、及び/又はグリーンウォールにおける使用。

【公表番号】特表2013−507460(P2013−507460A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532525(P2012−532525)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063467
【国際公開番号】WO2011/042284
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(500030150)ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】