説明

転倒防止家具および転倒防止装置

【課題】家具と天井との間の空間を有効に利用して、家具の転倒防止にも寄与する転倒防止家具を提供する。
【解決手段】家具91と天井92との間に設置する収納ユニット10と、収納ユニット10の背面を構成する本体背板(第1の背板)11と、本体背板11の後方向112に配置されたスライド背板(第2の背板)21であって、本体背板11に沿って上下方向100に昇降するスライド背板21と、スライド背板21を本体背板11に固定する固定手段40とを有する転倒防止家具1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具と天井との間に設置する転倒防止家具および転倒防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地震などの場合に家具が転倒しないようにした家具を提供し、転倒防止手段を家具自体に設けて紛失しにくいようにし、更に転倒防止手段の設置時にも部屋の壁面等を傷つけることがないようにした家具を提供することが記載されている。そのため、特許文献1には、家具本体は、左右両側に側板を、上部に天板を備えており、天板の正面から見て天板の左右両側板側には支脚を挿通させる四角形状の挿通孔が設けてあり、挿通孔に断面四角形状の支脚が昇降可能に嵌挿してあり、支脚の上端には当接板が設けてあり、支脚の側面には長さ方向に所要数の止め穴が設けてあることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−214972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明においては、家具と天井との間の空間を有効に利用して、家具の転倒防止にも寄与する転倒防止家具を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様の1つは、家具と天井との間に設置する収納ユニットと、収納ユニットの背面を構成する第1の背板と、第1の背板に沿って上下方向に昇降する第2の背板とを有する転倒防止家具である。
【0006】
この転倒防止家具においては、第2の背板を第1の背板に沿って上方向に押し上げて、天井に接触あるいは近接させた状態でセットすることにより、家具の転倒を抑制することができる。さらに、収納ユニットにより、家具と天井との間の空間を収納スペースとして有効に利用することができる。さらに、第2の背板は、第1の背板に沿って昇降するため、転倒防止家具を使用するユーザーの視野に入りにくく、ユーザーへ与える圧迫感を軽減しやすい。
【0007】
この転倒防止家具においては、さらに、天井に接触可能な平板であって、第2の背板の上方向の端部に設けられた平板を有することが望ましい。天井に損傷を与えることを抑制しやすい。
【0008】
この転倒防止家具においては、さらに、第2の背板を上下方向に昇降させる昇降手段を有することが望ましい。昇降手段は、収納ユニットの上面を構成する天板を貫通し、平板を上下方向に昇降可能な第1の高さ調節ボルトを含むことが望ましい。第2の背板は、収納ユニットの上面を構成する天板を貫通しており、さらに、天板よりも下方向に設けられた突出部を含み、昇降手段は、第2の背板の突出部を上下方向に昇降可能な第2の高さ調節ボルトを含むことが望ましい。
【0009】
この転倒防止家具においては、さらに、第2の背板を第1の背板に固定する固定手段を有することが望ましい。第2の背板は、上下方向に延びたスリットを含み、固定手段は、第2の背板を、第1の背板とともに挟むプレートと、スリットを介してプレートと第1の背板とを連結するボルトおよびナットとを含むことが望ましい。第2の背板を第1の背板に簡単かつ低コストで固定できる。
【0010】
本発明の異なる態様の1つは、家具の背面を構成する背板に沿って上下方向に昇降するスライド背板と、スライド背板を背板に固定する固定手段とを有する転倒防止装置である。この転倒防止装置においては、さらに、天井に接触可能な平板であって、スライド背板の上方向の端部に設けられた平板を有することが望ましい。さらに、スライド背板は、上下方向に延びたスリットを含み、固定手段は、スライド背板を、背板とともに挟むプレートと、スリットを介してプレートと背板とを連結するボルトおよびナットとを含むことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】家具と天井との間に設置した転倒防止家具の概要を示した図。
【図2】家具と天井との間に設置した転倒防止家具の概要を模式的に示した断面図。
【図3】転倒防止家具を正面方向から見た図。
【図4】転倒防止家具を背面方向から見た図。
【図5】異なる転倒防止家具を正面方向から見た図。
【図6】異なる転倒防止下部を背面方向から見た図。
【図7】転倒防止装置の概要を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、本発明の実施形態の1つである転倒防止家具1を設置した様子を示している。転倒防止家具1は、家具91と天井92との間の空間93に、家具91の上に置かれた状態で設置されている。転倒防止家具1は、箱型の収納ユニット10と、収納ユニット10の背面方向(後方向)112に配置された逆L字型の昇降ユニット20とを備えている。収納ユニット10は、全体として直方体状の中空体で、正面方向(前方向)111に設けられた左右2つの扉16aおよび16bを開閉することにより物を収納できる。昇降ユニット20は、上下方向100に延びた長方形板状のスライド背板21と、スライド背板21の上方向101の端部21aに、スライド背板21に対してほぼ直角に取り付けられた板状の平板25とを備えている。昇降ユニット20は、上下方向100に昇降可能で、本例では平板25が天井92に近接し、スライド背板21が家具91と天井92との間の壁94に接触した状態で、後述する固定手段40により収納ユニット10にセットされている。
【0013】
図2に、転倒防止家具1を設置した様子を断面図により模式的に示している。図1および図2に示すように、収納ユニット10は、背面を構成する第1の背板(本体背板)11と、上面を構成する天板12と、底面を構成する底板13と、左右の側面を構成する側板14および15と、正面を構成する扉16(16a、16b)とを備えている。昇降ユニット20のスライド背板(第2の背板)21は、固定手段40により収納ユニット10の本体背板11にセットされている。すなわち、この転倒防止家具1は、家具91と天井92との間に設置する収納ユニット10と、収納ユニット10の背面を構成する第1の背板(本体背板)11と、本体背板11の後方向112に配置された第2の背板21であって、本体背板11に沿って上下方向100に昇降する第2の背板(スライド背板)21と、スライド背板21を本体背板11に固定する固定手段40とを備えている。この転倒防止家具1においては、本体背板11とスライド背板21とが接した状態、すなわち2枚の板が面接触の状態で固定されているため、簡易な構成でありながら、収納ユニット10と昇降ユニット20との強固で安定した連結が可能である。
【0014】
図2に示すように、地震などにより家具91に対して前後方向110の横揺れが発生すると、家具91には前方向111の下端部91aを支点として回転しようとするモーメント(転倒モーメント)81が作用する。この転倒防止家具1においては、スライド背板21を上方向101にスライドさせ平板25を天井92に近接させた状態で、スライド背板21が本体背板11に固定されている。このため、家具91の後方向112の上端部91bの持ち上がり(浮き上がり)に対して対抗するモーメント(抵抗モーメント)82を家具91に作用させ、家具91の転倒を防止することができる。スライド背板21は、家具91が転倒する際に持ち上がりやすい上端部91bから壁94に沿って上方向101に延びているため、前後方向110の横揺れに伴う転倒モーメント81に対抗する抵抗モーメント82を家具91に作用させやすい。
【0015】
図1および図2に示すように、この転倒防止家具1においては、収納ユニット10により、家具91と天井92との間の空間93を収納スペースとして有効に利用することができる。さらに、スライド背板21は、昇降ユニット20が収納ユニット10の上方向101の空間93aへ迫り出さないように、本体背板11および壁94に沿ってセットされている。このため、壁94に沿って配置されたスライド背板21は、転倒防止家具1を使用するユーザーの視野に入りにくく、目立ちにくい。したがって、この転倒防止家具1においては、ユーザーへ与える圧迫感がなく、あるいは極めて少なく、収納ユニット10の上方向101の空間93aに邪魔なものがない、すっきりとした外観(デザイン)を提供できる。
【0016】
さらに、スライド背板21は一枚板であるため、色彩を調整することにより壁94に馴染ませやすく、家具91や他の家具との調和も図りやすい。このため、この転倒防止家具1を使用するユーザーに、圧迫感や違和感を与えることなく、あたかもスライド背板21が壁94に溶け込んでいるかのような美感(印象)を与えやすい。さらに、スライド背板21は一枚板であるため、左右方向120の横揺れに対しても強く、壁94との接触面積も増加させやすい。このため、この転倒防止家具1においては、平板25および天井92と、スライド背板21および壁94との2面が接触しているため、左右方向120の横揺れに対しても家具91を支持しやすい。さらに、この転倒防止家具1においては、昇降ユニット20の平板25が天井92に近接した状態、すなわち平板25が天井92から若干離れた非接触の状態で固定されているため、天井92に損傷を与えることを抑制しやすい。
【0017】
図3に、転倒防止家具1を前方向111から見た斜視図により示している。図4に、転倒防止家具1を後方向112から見た斜視図により示している。図3に示すように、収納ユニット10の天板12には、天板12を上下方向100に貫通した孔12aが、本体背板11に近接した位置に設けられている。転倒防止家具1は、さらに、スライド背板21を上下方向100に昇降させる昇降手段30を備えている。昇降手段30は、天板12の孔12aを貫通し、昇降ユニット20の平板25を上下方向100に昇降可能な第1の高さ調節ボルト31と、孔12aにセットされたナット33と、高さ調節ボルト31を回転させるハンドル34とを備えている。このため、ハンドル34を操作して高さ調節ボルト31を上昇させることにより、スライド背板21を押し上げ、平板25を上下方向100の所定の高さに調節することができる。
【0018】
図4に示すように、スライド背板21は、下方向102の端部21bから上方向101に延びた高さ調節のための2つのスリット(溝)22を備えている。上述のとおり、転倒防止家具1は、スライド背板21を本体背板11に固定する固定手段40を備えている。図3および図4に示すように、固定手段40は、スライド背板21を、本体背板11とともに後方向112から挟む左右方向120に延びた2つのプレート41と、スリット22を介してプレート41と本体背板11とを連結する4組のボルト42およびナット43とを備えている。このため、高さ調節ボルト31により所定の高さに押し上げられたスライド背板21を本体背板11に固定することができる。さらに、高さ調節ボルト31は、スライド背板21を本体背板11に固定した後で取り外すことが可能で、ユーザーに違和感を与えることを防止できる。本体背板11には、ボルト42を通すための左右一対の孔11aが、スライド背板21を固定する高さに応じて3段(列)に設けられている。本例のスライド背板21は、本体背板11の上方向101の2段の孔11aに4組のボルト42を挿入することにより固定されている。なお、孔11aの個数や配置は、本例に限定されない。
【0019】
図4に示すように、スライド背板21に形成された左右方向120に対称な2つのスリット22は、スライド背板21の上下方向100の中央よりも下方向102、すなわちスライド背板21の下半分の位置に配置されている。このため、図3に示すように、スライド背板21を本体背板11に沿って上方向101に押し上げた場合に、前方向111にスリット22が表れにくく、スリット22がユーザーの視野に入ることを抑制しやすい。さらに、スリット22がスライド背板21の下半分の位置に配置されているため、スライド背板21の強度が低下することも抑制できる。さらに、図3および図4に示すように、本体背板11の後方向112には、スライド背板21を左右方向120から覆い隠す化粧材17が取り付けられている。このため、スライド背板21が左右方向120に剥き出しの状態で表れることを防止でき、転倒防止家具1の美観を向上できる。
【0020】
なお、スライド背板21および本体背板11の大きさや形状は、本例に限定されない。本例のスライド背板21の上下方向100の長さh2は、本体背板11の上下方向100の長さh1の1.5倍程度であるが、h2はh1とほぼ同じ程度であってもよい。家具91と天井92との間の空間93の上下方向100の長さ(高さ)が大きい場合には、スライド背板21を押し上げる距離が大きくなりやすいため、h2をh1の1.4〜1.6倍程度とすることによりスライド背板21と本体背板11との接触面積を確保しやすい。たとえば、家具91の高さが180cm、床から天井92までの高さが245cmであり、h1が40cmの転倒防止家具1を空間93に設置する場合には、h2は55〜65cm程度であることが好ましい。以降の実施形態においても同様である。
【0021】
一方、家具91と天井92との間の空間93の上下方向100の長さ(高さ)が小さい場合には、h2をh1の1.0〜1.1倍程度とすることが好ましい。たとえば、家具91の高さが200cm、床から天井92までの高さが245cmであり、h1が40cmの転倒防止家具1を空間93に設置する場合には、h2は40〜45cm程度であることが好ましい。このように、家具91と天井92との間の空間93が狭い場合には、スライド背板21を押し上げる距離も小さくなるため、スライド背板21がユーザーの視野に入ることをいっそう抑制できる。以降の実施形態においても同様である。
【0022】
また、本例の昇降手段30および固定手段40は、簡単かつ低コストで行うことが可能な一例であるが、本例に限定されない。また、本例の平板25は、天井92に近接させた状態で固定されているが、天井92に接触させた状態で固定することも可能である。上述のとおり、スライド背板21は、家具91が転倒する際に持ち上がりやすい上端部91bから壁94に沿って上方向101に延びているため、転倒モーメントに対抗する抵抗モーメントを家具91にいっそう作用させやすく、前後方向110の横揺れだけでなく上下方向100の縦揺れに対しても家具91を支持しやすい。以降の実施形態においても同様である。
【0023】
また、平板25は、スライド背板21の端部21aから前方向111に若干突き出るように取り付けられているが、平板25の大きさや形状も本例に限定されず、たとえば、平板25の前方向111の端部を丸みを帯びた形状として、ユーザーに柔らかい美感(印象)を与えることも可能である。さらに、平板25をスライド背板21の端部21aから後方向112に若干突き出るように取り付け、T字型の昇降ユニット20を構成することも可能である。また、収納ユニット10の底板13と家具91の上面との間に凹凸(ほぞ)を設け、転倒防止効果を向上させることも可能である。また、本例の転倒防止家具1は、タンス、クローゼット、本棚、食器棚、キャビネットなどの各種家具に設置することが可能である。以降の実施形態においても同様である。
【0024】
図5に、本発明の異なる実施形態の1つである転倒防止家具1aを前方向111から見た斜視図により示している。図6に、転倒防止家具1aを後方向112から見た斜視図により示している。図5に示すように、収納ユニット10の天板12には、天板12を上下方向100に貫通し左右方向120に延びたスリット12bが、本体背板11に面する位置に設けられている。このため、本例のスライド背板21は、天板12のスリット12bを貫通して、収納ユニット10の内部に挿入されている。さらに、スライド背板21は、天板12よりも下方向102に設けられた突起板(突出部)26を備えている。突起板26は、スライド背板21に対してほぼ直角に、前方向111に若干突き出るように取り付けられている。昇降手段30は、スライド背板21の突起板26を上下方向100に昇降可能な第2の高さ調節ボルト32と、2つの高さ調節ボルト32を支持する台座35と、台座にセットされたナット33と、高さ調節ボルト32を回転させるハンドル34とを備えている。このため、ハンドル34を操作して高さ調節ボルト32を上昇させることにより、スライド背板21を押し上げ、平板25を上下方向100の所定の高さに調節することができる。なお、以降の実施形態において上記実施形態と共通の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
【0025】
図5および図6に示すように、本例の固定手段40は、スライド背板21を、本体背板11とともに前方向111から挟む左右方向120に延びた2つのプレート41と、スリット22を介してプレート41と本体背板11とを連結する4組のボルト42およびナット43とを備えている。すなわち、本例の転倒防止家具1aも、家具91と天井92との間に設置する収納ユニット10と、収納ユニット10の背面を構成する第1の背板(本体背板)11と、本体背板11の前方向111に配置された第2の背板21であって、本体背板11に沿って上下方向100に昇降する第2の背板(スライド背板)21と、スライド背板21を本体背板11に固定する固定手段40とを備えている。
【0026】
この転倒防止家具1aにおいても、スライド背板21を上方向101にスライドさせ平板25を天井92に近接させた状態で、スライド背板21を本体背板11に固定できる。このため、転倒防止家具1と同様に、家具91の後方向112の上端部91bの浮き上がりに対して対抗する抵抗モーメントを家具91に作用させ、家具91の転倒を防止することができる。さらに、この転倒防止家具1aにおいても、収納ユニット10により、家具91と天井92との間の空間93を収納スペースとして有効に利用することができる。さらに、昇降ユニット20のスライド背板21は、昇降ユニット20が収納ユニット10の上方向101の空間93aへ迫り出さないように、本体背板11に沿ってセットされている。このため、本体背板11に沿って配置されたスライド背板21は、転倒防止家具1aを使用するユーザーの視野に入りにくく、目立ちにくい。したがって、この転倒防止家具1aにおいても、ユーザーへ与える圧迫感がなく、あるいは極めて少なく、収納ユニット10の上方向101の空間93aに邪魔なものがない、すっきりとした外観(デザイン)を提供できる。
【0027】
さらに、この転倒防止家具1aにおいては、スライド背板21が天板12のスリット12bを貫通し、収納ユニット10の内部に収納されている。このため、転倒防止家具1とは異なり、スライド背板21を左右方向120から覆い隠す化粧材17を取り付ける必要はない。さらに、昇降手段30および固定手段40も、収納ユニット10の内部に収納されているため、外観上ユーザーの視野に入ることはなく、全体としてすっきりとまとまったデザインの転倒防止家具1aを提供できる。
【0028】
なお、本例の転倒防止家具1aにおいては、昇降手段30によりスライド背板21を所定の高さに調節した状態で支持できるため、固定手段40を設けないことも可能である。この場合、スライド背板21にスリット22を設ける必要はない。
【0029】
図7に、本発明のさらに異なる実施形態の1つである転倒防止装置5を設置した様子を示している。転倒防止装置5は、家具91の背面を構成する背板91cに沿って上下方向に昇降するスライド背板21と、スライド背板21を背板91cに固定する固定手段40と、天井92に接触可能な平板25であって、スライド背板21の上方向101の端部21aにほぼ直角に取り付けられた平板25とを備えている。スライド背板21も、下方向102の端部21bから上方向101に延びた高さ調節のための2つのスリット(溝)22を備えている。固定手段40は、スライド背板21を、背板91cとともに後方向112から挟む左右方向120に延びた2つのプレート41と、スリット22を介してプレート41と背板91cとを連結する4組のボルト42およびナット43とを備えている。
【0030】
このように、家具91と天井92との間の空間93が狭く、上記の転倒防止家具1および1aを設置できないような場合には、転倒防止装置5を家具91に対して直接取り付けることができる。この転倒防止装置5においても、スライド背板21を上方向101にスライドさせ平板25を天井92に近接させた状態で、スライド背板21を背板91cに固定できる。このため、転倒防止家具1および1aと同様に、家具91の後方向112の上端部91bの浮き上がりに対して対抗する抵抗モーメントを家具91に作用させ、家具91の転倒を防止することができる。さらに、スライド背板21は、家具91の上方向101の空間93へ迫り出さないように、背板91cおよび壁94に沿ってセットされている。このため、壁94に沿って配置されたスライド背板21は、ユーザーの視野に入りにくく、目立ちにくい。したがって、この転倒防止装置5においても、ユーザーへ与える圧迫感がなく、あるいは極めて少なく、家具91の上方向101の空間93に邪魔なものがない、すっきりとした外観(デザイン)を提供できる。
【0031】
なお、家具91の左右方向120の幅が広いような場合には、複数の転倒防止装置5を左右方向120に並べて取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1、1a 転倒防止家具、 5 転倒防止装置
11 第1の背板(本体背板)
21 第2の背板(スライド背板)
30 昇降手段
40 固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具と天井との間に設置する収納ユニットと、
前記収納ユニットの背面を構成する第1の背板と、
前記第1の背板に沿って上下方向に昇降する第2の背板とを有する、転倒防止家具。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
前記天井に接触可能な平板であって、前記第2の背板の上方向の端部に設けられた平板を有する、転倒防止家具。
【請求項3】
請求項1において、さらに、
前記第2の背板を前記上下方向に昇降させる昇降手段を有する、転倒防止家具。
【請求項4】
請求項3において、さらに、
前記天井に接触可能な平板であって、前記第2の背板の上方向の端部に設けられた平板を有し、
前記昇降手段は、前記収納ユニットの上面を構成する天板を貫通し、前記平板を前記上下方向に昇降可能な第1の高さ調節ボルトを含む、転倒防止家具。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記第2の背板は、前記収納ユニットの上面を構成する天板を貫通しており、さらに、前記天板よりも下方向に設けられた突出部を含み、
前記昇降手段は、前記第2の背板の前記突出部を前記上下方向に昇降可能な第2の高さ調節ボルトを含む、転倒防止家具。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、さらに、
前記第2の背板を前記第1の背板に固定する固定手段を有する、転倒防止家具。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2の背板は、前記上下方向に延びたスリットを含み、
前記固定手段は、前記第2の背板を、前記第1の背板とともに挟むプレートと、
前記スリットを介して前記プレートと前記第1の背板とを連結するボルトおよびナットとを含む、転倒防止家具。
【請求項8】
家具の背面を構成する背板に沿って上下方向に昇降するスライド背板と、
前記スライド背板を前記背板に固定する固定手段とを有する、転倒防止装置。
【請求項9】
請求項8において、さらに、
天井に接触可能な平板であって、前記スライド背板の上方向の端部に設けられた平板を有する、転倒防止装置。
【請求項10】
請求項8または9において、
前記スライド背板は、前記上下方向に延びたスリットを含み、
前記固定手段は、前記スライド背板を、前記背板とともに挟むプレートと、
前記スリットを介して前記プレートと前記背板とを連結するボルトおよびナットとを含む、転倒防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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