説明

転写フィルム

【課題】 転写フィルムの剥離層を省略することを技術的課題とし、もってトラブルなく安定して転写工程に適用可能な転写フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】 転写フィルムにおいて、転写工程で剥離除去される基材と、被加飾体に転写される転写層を剥離層を介すことなく押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加飾用として用いられる転写フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の成形品の表面の加飾方法として、ラベルを貼付したり、転写フィルムを用いたりする方法がある。たとえば、特許文献1には転写フィルムに関する発明が記載さており、図6はこの特許文献1に記載される、従来の転写フィルムの代表的な例である。この転写フィルム101は基本的にはこの図に示されるように、基材102、剥離層106、印刷層112、および接着層107から構成される。
【0003】
そして、転写フィルム101はインモールド法、ホットスタンプ法、熱ロール法等の方法により加熱圧して接着層107により成形品表面に接着し、印刷層112が被加飾体に転写され、その加飾性が発揮される。そして基材102は剥離層106と共に剥離して除去される。また印刷層112に金属を蒸着して使用することもできる。
【特許文献1】特開2002−252545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、転写フィルムでは基材102は剥離層106と共に剥離して除去され、成形品表面に接着層107と共に印刷層112が転写されるように剥離層106は転写工程で重要な役割を果たすが、剥離層106の選択が不適切な場合には、転写前に基材が剥離してしまう、転写工程で基材の剥離がスムーズでない、転写された層の表面に剥離層が残る等の問題が発生する。
【0005】
そして、剥離層が十分な機能を発揮するためには、剥離層を形成する合成樹脂を主成分とする成分を適宜選択する必要があると共に、材料を均一にコーティングする高度な技術が必要があり、このコーティング工程によるコストアップの問題もある。
【0006】
本発明は、上記のような転写フィルムに係る問題を解消するためのものであり、転写フィルムの剥離層を省略することを技術的課題とし、もってトラブルなく安定して転写工程に適用可能な転写フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決する本発明のうち、請求項1記載の発明の手段は、
転写フィルムにおいて、転写工程で剥離除去される基材と、被加飾体に転写される転写層を剥離層を介すことなく押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成としたこと、にある。
【0008】
請求項1記載の上記構成により、転写工程で剥離除去される基材と被加飾体に転写される転写層が、剥離層を介すことなく押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成とするので、剥離層を必要とせず転写層を被加飾体に熱圧着状に密着させた状態とすると共に、転写工程では基材を容易に剥離して取り除くことができる。
なお、本発明中で云う転写層は、転写フィルムの基材を剥離して取り除いた部分を指し、一般的には印刷層等の加飾層、被加飾体に接着するための接着層、あるいは必要に応じて印刷層を保護する保護層等を積層したものである。
【0009】
また、押出しラミネート法では、押出機に配設したTダイから合成樹脂を溶融状態でフィルム状に押出し、ロールで熱圧着状にフィルム状の被積層体に積層するが、ここで、被積層体に対してフィルム状に押出す合成樹脂を適宜選択することにより、すなわち、被積層体に対して相溶性の小さな合成樹脂を適宜選択することにより、熱圧着による密着性は確保しつつ、機械的に剥離させた部分を基端として、剥離を全面に亘って連続的に容易に進行できる構成とすることができる。
【0010】
そして、フィルム状の溶融樹脂をロールで熱圧着状に積層するので、全面に亘って均一にコーティングすることが容易であり、密着性と剥離性の双方を全面に亘って均一に制御することができ、転写前に基材が剥離してしまう、転写工程で基材の剥離がスムーズでない、転写された層の表面に剥離層が残る等の、剥離層に係る問題点を容易に解消することができる。
【0011】
請求項2記載の発明の手段は、請求項1記載の発明において、
転写層が保護層と、印刷あるいは蒸着等による加飾層と、接着層をこの順番で積層状に有すること、基材と保護層の少なくも一方を合成樹脂製フィルム状とすること、基材と保護層を剥離層を介すことなく押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成としたこと、にある。
【0012】
請求項2記載の上記構成の転写フィルムは、基材と保護層と接着層を有するラミネートフィルム状であり、接着層で被加飾体に接着しながら、基材を剥離状に取り除いて使用する。そして、基材と転写層が剥離層を介すことなく押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成とするので、剥離層を必要とせず転写層を被加飾体に熱圧着状に接着させた状態で、基材を剥離して取り除くことができる。
【0013】
そして、加飾層における長期間の使用による擦れ傷の発生を防ぐ等の保護層の本来的な機能が発揮されると共に、この保護層が印刷層等の加飾層を被覆しながら基材と全面に亘って積層するので、基材あるいは保護層のうちどちら側を押出機に配設したTダイ等から溶融樹脂をフィルム状に押出して形成するにしても、全域に亘って熱圧着による密着性と剥離性を均一に、かつ安定して確保することができる。
【0014】
請求項3記載の発明の手段は、請求項2記載の発明において、保護層を合成樹脂製の保護フィルムとし、この保護フィルムを基材に押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成としたこと、にある。
【0015】
請求項3記載の上記構成の転写フィルムは保護フィルムにより印刷等による加飾層が常に覆われて保護されるので、たとえばポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、AS樹脂等の一般的に使用される汎用の合成樹脂を使用して、この保護フィルムを十分柔軟性のあるものとすることができ、スクイズ変形等の繰り返しの大変形にも十分追従することができ、印刷層等の加飾層での剥離、擦り傷、あるいはクラックの発生を確実に防ぐことができ、当初の加飾性を損なうことなく使用することができる。
【0016】
また、スクイズ変形する容器に限らず、一般的な合成樹脂製成形品であっても、保護フィルムを十分柔軟性のあるものとした転写フィルムで加飾すれば、被加飾体表面を角部等にぶつけた際に発生する衝撃による傷つきを防ぐこともでき、長期間の使用に係るクラックの発生も防ぐことができる。
たとえば射出成形品であり、高品位な加飾性が要求されるコンパクト容器を本発明の転写フィルムで加飾することにより、この高品位な加飾性を衝撃、あるいは長期間の使用により損なうことなく、保持することができる。
さらには用途に応じて表面にソフトな感触を付与することもできる。
【0017】
請求項4記載の発明の手段は、請求項2記載の発明において、基材を合成樹脂製の基材フィルムとし、保護層を紫外線、あるいは熱硬化型樹脂製のハードコート層とし、基材フィルムがハードコート層に押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成としたこと、にある。
【0018】
請求項4記載の上記構成により、ハードコート層は一般的には分子が3次元に架橋しているので、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、PP樹脂等、転写フィルムの基材として一般的に使用される樹脂とは相溶性が小さく、基材フィルムを押出しラミネート法により容易に剥離可能に積層することができる。
そして、ハードコート層による保護機能により、加飾層における長期間の使用による擦れ傷の発生等を効果的に防ぐことができる。
【0019】
請求項5記載の発明の手段は、請求項2、3または4記載の発明において、保護層と接着層の間に、少なくとも一方の面に印刷、あるいは蒸着等による加飾層を形成した合成樹脂製の加飾フィルムを積層する構成としたこと、にある。
【0020】
請求項5記載の上記構成により、加飾フィルムに加飾適性、たとえば印刷適性、あるいは印刷層の密着性等に優れた合成樹脂製材料を選択することにより、鮮明で高品位な加飾層を形成できると共に、印刷層等の加飾層の密着強度を高くすることができ、衝撃、長期間の使用、スクイズ変形等の繰り返しの大変形に、より十分に対応することができる。なお、加飾層は加飾フィルムのどちらの面にも形成することができるし、両面に形成することもできる。
【0021】
請求項6記載の発明の手段は、請求項2、3、4または5記載の発明において、接着層を、被加飾体の壁面に熱融着により直接接着可能な合成樹脂製の接着用フィルムとしたこと、にある。
【0022】
請求項6記載の上記構成により、接着層とした接着用フィルムが熱融着により直接被加飾体の壁面に接着するので、接着力が強力であり、衝撃、長期間の使用、スクイズ変形等の繰り返しの大変形で転写層が剥離したり、皺が発生することなく使用でき、より確実に当初の加飾性を維持することができる。
なお、被加飾体の壁面に熱融着により直接接着可能とするめには、接着用フィルムに被加飾体の壁面と同質の合成樹脂製材料を使用すればよい。
【0023】
請求項7記載の発明の手段は、請求項5または6記載の発明において、基材フィルムをPET樹脂製、保護フィルムを低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂製、加飾フィルムをナイロン樹脂製とすること、にある。
【0024】
請求項7記載の上記構成は、転写フィルムの層構成の一つの具体例である。PETフィルム特には2軸延伸したPETフィルムは透明性、耐熱性に優れ、比較的安価でもあり、腰が強く基材フィルムとして優れた機能を発揮させることができる。LDPE樹脂は押出しラミネート性に優れており、また一般的な合成樹脂のなかでは比較的柔軟な性質を有し加飾層におけるクラック発生等を十分に防ぐことができ、さらに透明性も優れているので保護フィルムとして最適な材料の一つである。ナイロン樹脂は印刷特性等の加飾性に優れると共に加飾層の密着強度を高くすることができ、耐熱性も高く加飾フィルムとしての優れた機能が発揮される。
【0025】
なお、上記構成で保護フィルムは基材フィルム上に押出しラミネート法により積層でき、保護フィルムと加飾フィルムは接着剤層を介してドライラミネート法により積層できる。またたとえば、被加飾体がポリエチレン製のチューブ容器や、ブロー成形容器の場合は接着層としてLDPE樹脂製の接着用フィルムを加飾フィルムに接着剤層で積層する構成とすれば、この接着用フィルムによる接着層を熱融着により直接容器の壁面に熱融着することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上記した構成であり、以下に示す効果を奏する。
請求項1記載の発明にあっては、押出しラミネート法では全面に亘って均一にコーティングすることが容易であり、熱圧着により密着性と共に剥離性を安定して制御でき、基材の剥離をスムーズ達成することができ、剥離した際にその一部が他方に残ったりすることもなく、剥離層に係る問題点を容易に解消することができる。
【0027】
請求項2記載の発明にあっては、保護層の本来的な機能である加飾層における擦れ傷の等の発生を防ぐ機能が発揮されると共に、この保護層が印刷層等の加飾層を被覆しながら基材と全面に亘って積層するので、基材と転写層の全域に亘って熱圧着による密着性と剥離性を安定して確保することができる。
【0028】
請求項3記載の発明にあっては、加飾層を保護フィルムで覆うので、衝撃による傷つきを防ぐことができ、長期間の使用に係るクラックの発生を防ぐことができ、またスクイズ変形等による繰り返しの大変形にも十分追従することができ、当初の高品位な加飾性を損なうことなく使用することができる。
【0029】
請求項4記載の発明にあっては、ハードコート層により、基材フィルムを押出しラミネート法により容易に剥離可能に積層することができると共に擦れ傷の発生を防ぐことができる。
【0030】
請求項5記載の発明にあっては、加飾フィルムに、印刷適性、あるいは印刷層の密着性等に優れた合成樹脂製材料を選択することにより、鮮明で高品位な加飾層を形成できると共に、印刷層等の加飾層の密着強度を高くすることができる。
【0031】
請求項6記載の発明にあっては、被加飾体への接着力をより強力にすることができ、衝撃、長期間の使用、あるいはスクイズ変形等の繰り返し大変形による剥離、皺の発生をより効果的に防止でき、より確実に当初の高品位な加飾性を維持することができる。
【0032】
請求項7記載の発明にあっては、転写フィルムの層構成の具体例の一つであるが、基材フィルムをPET樹脂製、保護フィルムをLDPE樹脂製、加飾フィルムをナイロン樹脂製とすることにより、各層に要求される機能が十分発揮され全体として、加工性、転写性、あるいは加飾性に優れた転写フィルムとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の転写フィルムの一実施例の層構成を示す縦断面図である。この転写フィルムは図中、上から下に、基材2であるPET樹脂製延伸フィルム製の基材フィルム2a、保護層3であるLDPE樹脂製の保護フィルム3a、接着剤層8、ナイロン樹脂製の加飾フィルム4、印刷層12、アルミの蒸着層13、接着剤層8、および接着層7であるLDPE樹脂製の接着用フィルム5が積層したラミネートフィルムである。そしてこのうち、保護フィルム3a、接着剤層8、ナイロン樹脂製の加飾フィルム4、印刷層12、アルミの蒸着層13、接着剤層8、および接着フィルム5で熱圧着により被加飾体に転写される転写層9が形成されている。
【0034】
ここで、基材フィルム2aは25ミクロン、保護フィルム3aは30ミクロン、加飾フィルム4は15ミクロン、接着用フィルム5は15ミクロンである。また保護フィルム3aは基材フィルム2a上にTダイにより溶融したLDPE樹脂をフィルム状に押出し、押出しラミネート法で熱圧状に積層したものであり、基材フィルム2aと保護フィルム3aは密着して積層しているが、PET樹脂とLDPE樹脂は相互に相溶性の低い樹脂であり、容易に剥離することができる。なお、図1中では基材フィルム2aの右端の一部を残りの転写層9から剥離して示している。
【0035】
また、本実施例では加飾フィルム4の下面には加飾層11である印刷層12とアルミの蒸着層13が形成されているが、保護フィルム3と加飾層11が形成された加飾フィルム4、そしてこの加飾フィルム4と接着用フィルム5は接着剤層8によりドライラミネート法により積層されている。
【0036】
ここで、本実施例における加飾層11は加飾フィルム4の下面に間欠的に印刷層12を形成して、さらにこの印刷層12を覆うように略全面に亘ってアルミの蒸着層13を形成する構成としているが、たとえば印刷層12だけを全面的に、あるいは部分的に形成することもできる。
また、加飾層11の形成は加飾フィルム4の下面に限定されるものではなく、たとえば一方の面に印刷層12を形成し、他方の面に蒸着層13を形成することもでき、目的とする加飾効果に応じてさまざまな態様で加飾層11を形成することができる。
【0037】
図2は、上記実施例の転写フィルム1により加飾したチューブ容器の一例を示す(a)正面図と、(b)胴部の平断面図である。このチューブ容器21はLDPE樹脂製であるが、押出し成形して適宜の長さにした円筒状のチューブ成形品の一端にヘッド部23を専用金型を用いて熱融着により取り付けたものである。
【0038】
そして、胴部の略全高さおよび全周に亘って、上記説明した図1に示す転写フィルムを用いて加飾が施されている。すなわち後述する熱ロール工程により、転写フィルム1の接着用フィルム5(接着層7)を胴部壁22に接着しながら、基材フィルム2を剥離除去して、胴部壁22に加飾機能を発揮する転写層9を転写した状態である。
【0039】
図1に示される実施例の転写フィルムでは、加飾フィルム4の下面に間欠的に印刷層12を形成して、さらにこの印刷層12を覆うように略全面に亘ってアルミの蒸着層13を形成する構成としているが、図2(a)で見ると、全面的に形成されたアルミの蒸着層13によるメタリックな背景の中に、印刷層12により図案化した”ABCD”の文字が描かれたものであり、また容器の略全域に亘り装飾することができ、製品に高級なイメージを与えるための高品位な加飾状態となっている。
【0040】
なお、図1に示す転写フィルム1の接着層7はLDPE樹脂製の接着用フィルム5であり、後述する熱ロール法によりLDPE樹脂製のチューブ容器21の胴部壁22に熱融着して直接接着している。
【0041】
図3は、転写フィルム1を熱ロール法でチューブ容器21の胴部壁22に転写する工程の一例を概略的に示した説明図である。チューブ容器21の胴部に、この胴部の形状を支持するためのコア治具Cを嵌入し、220〜230℃程度の熱ロールHRを回転させながら、転写フィルム1を胴部壁22に押付け状に挟んだ状態で、接着フィルム5を胴部壁22に熱融着しながら、基材2である基材フィルム2aを剥離して転写層9が胴部壁22に転写される。
【0042】
ここで、押出しラミネート法により基材フィルム2aと保護フィルム3aは熱圧着により密着状に積層しており、転写前に基材フィルム2aが剥離してしまうことはないが、基材フィルム2aを形成しているPET樹脂と保護フィルム3aを形成しているLDPE樹脂は相互に相溶性の低い樹脂であり、一部分を機械的に剥離しておけば(図1参照)、この剥離部分を基端として基材フィルム2aを容易に、連続的に剥離をスムーズに進行させることができる。
【0043】
なお、図4はこの工程で使用した転写フィルム1の平面図であり、予め矩形状の刃型で転写層9の厚さ分だけ打ち抜いて、基材フィルム2a上に胴部壁22に転写される矩形状の転写層9のみを残し、他の部分は剥離して取り除いたものである。
【0044】
このような工程で製造され、転写層9により加飾された図2のチューブ容器21にクリーム状の化粧料を充填し、下端開放部を熱シールした製品を用いて使用テストを実施した。スクイズにより内容物を注出する操作を繰り返して実施したが、最後まで転写層9のチューブ容器21からの剥離、および皺等の発生は勿論のこと、印刷層12あるいは蒸着層13でのクラックの発生等は全く見られなかった。
【0045】
図5は本発明の転写フィルムの他の実施例の層構成を示す縦断面図である。この転写フィルムは図中、上から下に、基材2であるPPフィルム製の基材フィルム2a、保護層3である紫外線硬化型アクリル系のハードコート層3b、印刷層12、および熱圧着タイプの接着層7が積層したものであり、図6に示される従来の転写フィルム101の剥離層106をハードコート層3bに置き換えた層構成に相当する。
【0046】
この転写フィルム1は、転写層9のハードコート層3b上に、Tダイにより溶融したPP樹脂をフィルム状に押出し、基材フィルム2aを押出しラミネート法で熱圧状に積層したものであり、転写工程でこの基材フィルム2aは容易に剥離することができる。
【0047】
以上、実施例で本発明の転写フィルムを実施形態説明したが、勿論本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の、基材と転写層を剥離層を介すことなく押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成による作用効果は使用目的に合わせた様々な層構成の転写フィルムに適用することができる。
【0048】
たとえば、基材2、保護層3にはその機能を考えて各種の材料を選択して使用することができる。基材には合成紙等の材料も使用できるし、保護層3にはその用途を考えて、スクイズ変形容器等の場合には保護フィルム3aとしてLDPE樹脂の他にも直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、PP樹脂、ポリスチレン系樹脂等透明性を有し、比較的柔軟性を有するフィルムを使用することができる。
【0049】
また、本発明のラベルの転写工程は、転写部位、あるいは範囲、合成樹脂製容器等の被加飾体の性状により、熱ロール法に限らずホットスタンプ法やインモールド法等の方法を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明は剥離層を省略した様々な層構成の転写フィルムを提供できるものであり、製造コストを低くし、転写工程の生産性をより向上させることができ、幅広い用途展開が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の転写フィルムの一実施例の層構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の転写フィルムで加飾したチューブ容器の一例を示す(a)正面図と、(b)胴部の平断面図である。
【図3】チューブ容器に転写フィルムを転写する工程の一例を示す説明図である。
【図4】図3の工程で使用する転写フィルムの一例を示す平面図である。
【図5】本発明の転写フィルムの他の実施例の層構成を示す縦断面図である。
【図6】従来の転写フィルムの層構成の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ;転写フィルム
2 ;基材
2a;基材フィルム
3 ;保護層
3a;保護フィルム
3b;ハードコート層
4 ;加飾フィルム
5 ;接着用フィルム
7 ;接着層
8 ;接着剤層
9 ;転写層
11;加飾層
12;印刷層
13;蒸着層
21;チューブ容器
22;胴部壁
23;ヘッド部
24;窓部
101;転写フィルム
102;基材
106;剥離層
107;接着層
112;印刷層
HR;ホットロール
C ;コア治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写工程で剥離除去される基材(2)と、被加飾体に転写される転写層(9)を剥離層を介すことなく押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成とした転写フィルム。
【請求項2】
転写層(9)が保護層(3)と、印刷あるいは蒸着等による加飾層(11)と、接着層(7)をこの順番で積層状に有し、基材(2)と保護層(3)の少なくも一方を合成樹脂製フィルム状とし、前記基材(2)と保護層(3)を剥離層を介すことなく押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層する構成とした請求項1記載の転写フィルム。
【請求項3】
保護層(3)を合成樹脂製の保護フィルム(3a)とし、該保護フィルム(3a)を基材(2)に押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層した構成とした請求項2記載の転写フィルム。
【請求項4】
基材(2)を合成樹脂製の基材フィルム(2a)とし、保護層(3)を紫外線、あるいは熱硬化型樹脂製のハードコート層(3b)とし、前記基材フィルム(2a)がハードコート層(3b)に押出しラミネート法により直接、剥離可能に積層した構成とした請求項2記載の転写フィルム。
【請求項5】
保護層(3)と接着層(7)の間に、少なくとも一方の面に印刷、あるいは蒸着等による加飾層(11)を形成した合成樹脂製の加飾フィルム(4)を積層した請求項2、3または4記載の転写フィルム。
【請求項6】
接着層(7)を、被加飾体の壁面に熱融着により直接接着可能な合成樹脂製の接着用フィルム(5)とした請求項2、3、4または5記載の転写フィルム。
【請求項7】
基材フィルム(2a)をポリエチレンテレフタレート樹脂製、保護フィルム(3a)を低密度ポリエチレン樹脂製、加飾フィルム(4)をナイロン樹脂製とした請求項5または6記載の転写フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−281518(P2006−281518A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102325(P2005−102325)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】