説明

軸体

【課題】把持部を設けた軸体では、把持部は把持部内面のほとんどの箇所が軸体に接しており、軸体の硬さを感じるものであった。また、軸体との間に空間を設けた場合にも一部が軸体と接しているため、逆に一部分だけ硬い触感となり違和感が生じるといった問題があった。
【解決手段】軸筒の外周に把持部を形成した軸体において、把持部を内部把持部材2とこれを覆う環状外部把持部材3の2部材で形成し、内部把持部材2の外径をA、内部把持部材2の外周凸部4の外径をB、環状外部把持部材3の内径をCとした時、A<C<Bの関係が成り立つようにすることにより2部材間に空間を設けると共に、内部把持部材2の外周の少なくとも2箇所に凸部4を環状外部把持部材3を挟むように設けた軸体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持部を設けた軸体に関するものであり、その軸体の1例としては、ボールペンやシャープペンシルなどの筆記具や、口紅やアイライナーなど細長い容器、釣り竿、ドアノブ、ドライバーなどの工具類が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
把持する部分には、滑り止めや把持のしやすさといった効果を持たせるために様々な発明がなされている。滑り止めとしては、シリコーンやエラストマーといった弾性樹脂を把持部に配置した構成(グリップ)が採られており、その構成には多数の部材を組み合わせたものがある。リング状の部材を連接させたものや、外装部品の孔から内部部品の凸部を突出させた把持部がある。また軸体に凸部を設け、軸体と把持部に空間を作り把持感を向上させたものがある。
【特許文献1】特開2003−285589号公報
【特許文献2】実用新案登録第2607457号
【特許文献3】実用新案登録第2606762号
【特許文献3】特開2005−297337
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これまでの把持部は把持部内面のほとんどの箇所が軸体に接しており、軸体の硬さを感じるものであった。また、軸体との間に空間を設けた場合にも一部が軸体と接しているため、逆に一部分だけ硬い触感となり違和感が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、軸筒1の外周に把持部を設けた軸体において、前記把持部を内部把持部材2とこれを覆う環状外部把時部材3から構成し、前記内部把時部材2の外接円径をA、環状外部把時部材3の内接円径をCとした時、A<Cの関係が成り立つように内部把時部材2と環状外部把時部材3を形成すると共に、それら内部把時部材2と環状外部把時部材3との保持手段を設けたことを第1の要旨とし、軸筒1の外周に把持部を設けた軸体において、前記把時部を内部把時部材2とこれを覆う環状外部把時部材3から構成し、前記内部把時部材2の外周には凸部4を設けると共に、前記内部把時部材2の外接円径をA、内部把時部材2の凸部4の外接円径をB、環状外部把時部材3の内接円径をCとした時、A<C<Bの関係が成り立つように内部把時部材2と環状外部把時部材3を形成したことを第2の要旨とし、軸筒1の外周に把持部を設けた軸体において、前記把時部を内部把時部材2とこれを覆う環状外部把時部材3から構成し、前記内部把時部材2の外周には凸部4を設けると共に、前記環状外部把時部材3には凸部4が入り込む開口孔を設け、前記内部把時部材2の外接円径をA、環状外部軸体3の内接円径をCとした時、A<Cの関係が成り立つように内部把時部材2と環状外部把時部材3を形成したことを第3の要旨とするものである。
【0005】
軸筒の材質は、金属や樹脂、木材、石材など軸筒として成形できるものであればよく、内部把持部(部材)2を形成する材料が軸筒を成形できる強度を有していれば、その材料で把持部を軸筒自体に形成することも可能であり、特に限定されない。また、これらの材質は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0006】
把持部は内部把持部材2とこれを覆う環状外部把持部材3の2部材で形成され、内部把持部材2の外周には環状外部把持部材3を長手方向に対して前後に挟むように周状凸部4を設け、内部把持部材2の外径をA、内部把持部材1の周状凸部4の外径をB、環状外部把持部材3の内径をCとした時、A<C<Bの関係が成り立つように内部把持部材2と環状外部把持部材3を形成した構造になっている。このため内部把持部材2とこれを覆う環状外部把持部材3の間には径方向に接する箇所のない空間が発生する。把持部の厚さは特に限定されないが、把持によって変形可能な硬さであればよく、材料や形状によって異なるものである。また、把持部の固定や強度の向上、製造上の利点を目的として内部把持部材1と環状外部把持部材2の一部を連接した形状をとってもよい。内部把持部材1と環状外部把持部材2の端面及び/または中間部での周状の連接や、軸方向に連接部を設けるような連接があげられるが、把持部と軸筒が少なくとも一箇所連接していればよく、特に限定されない。また、周状凸部4は別体で形成して内部把持部材2に設置してもよい。
【0007】
または、把持部は内部把持部材2とこれを覆う環状外部把持部材3の2部材で形成され、前記環状外部把持部材3には内外に連通する開口部5が設けられ、前記内部把持部材2の外周には環状外部把持部材3に設けられた開口部5と同じ形状の凸部6を設け、環状外部把持部材3の開口部5に内部把持部材2の凸部6を挿入して内部把持部材2と環状外部把持部材3を契合して把持部とする際、内部把持部材2の外径をA、内部把持部材2の凸部6の外径をB、環状外部把持部材3の内径をCとした時、A<C<Bの関係が成り立つように内部把持部材2と環状外部把持部材3を形成した構造になっている。このため内部把持部材2とこれを覆う環状外部把持部材3の間には、径方向に接する箇所のない空間が発生する。さらに、開口部5と凸部6の係合により、外れやずれの生じない把持部となっている。把持部の厚さは特に限定されないが、把持によって変形可能な硬さであればよく、材料や形状によって異なるものである。また、環状外部把持部材3の厚さと凸部6の高さを適宜調整することによって、環状外部把持部材3を押し込んだ時に内部把持部材2の触感を得ることも出来る。把持部の固定や強度の向上、製造上の利点を目的として内部把持部材1と環状外部把持部材2の一部を連接した形状をとってもよい。内部把持部材1と環状外部把持部材2の端面及び/または中間部での周状の連接や、軸方向に連接部を設けるような連接があげられるが、把持部と軸筒が少なくとも一箇所連接していればよく、特に限定されない。また、凸部6は別体で形成して内部把持部材2に設置してもよい。
【0008】
環状外部把持部材3に形成される開口部の形状及びパターンは、正方形、長方形、菱形、円形、楕円形等の形状を周方向及び/または軸方向に繰り返すパターンや周方向及び/または軸方向に連続的に形状を変化させるパターン等あげられるが、規則性はなくても環状外部把持部材3の外部空間と内部把持部材2との間に形成される空間とを連通していればよく、特に限定されない。開口部の形成によって硬い材料であっても変形しやすくなり、環状外部把持部材3と内部把持部材2の間に形成される空間もあるため、更に軟らかい触感が得られる。
【0009】
軸筒及び/または内部把持部材2、環状外部把持部材3の材料として樹脂及び/または弾性樹脂があげられる。樹脂としてはポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、アクリロニトリルスチレンブタジエン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレンテレフタレート樹脂(PET)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、弾性樹脂としてはアクリル樹脂やシリコーン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、エラストマーゲル、ポリエチレンゲル、ジメチル系シリコーン、メチルビニル系シリコーン、メチルフェニルビニル系シリコーン、メチルフルオロアルキル系シリコーン(フロロシリコーン)、フロロ−ジメチル共重合シリコーン、ウレタンゴム、エチレンアクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ニトリルゴム、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどが挙げられるが、形状が維持できるものであれば特に限定されない。これら樹脂及び/または弾性樹脂は1種または2種以上の混合物であってもよい。また樹脂で成形した把持部表面に弾性樹脂を成形、塗装するといった方法で滑り止め効果や把持感の向上を図ることもできる。
【0010】
把持部(内部把時部材、並びに、環状外部把持部材)を構成する弾性樹脂の硬度は、ショアーAで0度から90度もしくは、アスカーCで0度から90度までの硬度範囲の中で適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。ただし、ショアーAで60度、アスカーCで80度以上の弾性樹脂は硬くなり、表面のベタツキや膨潤も少なくなることから、ショアーAで60度以下、アスカーCで80度以下の弾性樹脂であることが望ましい。
【0011】
これら樹脂及び/または弾性樹脂には、吸油および/または吸水性がある物質が添加されてもよい。吸油性および/または吸水性がある物質は、化粧品に使用される物質、オイルの除去に使用される物質、家庭内で防臭、清浄効果に使用される物質と多岐にわたり、その種類や形状は数多くある。例を挙げると木材や繊維、コルク、炭、皮革などの天然材料、シリカゲルや活性炭といった吸着素材、ゼオライトやけい藻土といった無機鉱物、架橋ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド多孔質体などを始めとした高分子吸油・吸水剤、紡錘状中空多孔質シリカ、多孔質シリカ、多孔質シリコーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムいった無機化合物、多孔質セラミック等が挙げられる。また、表面に多孔質シリカ等の吸油性および/または吸水性を有する被膜を形成することで、物質に吸油性および/または吸水性の機能を発揮、向上させてもよい。吸油および/または吸水した際に、これら吸油および/または吸水性がある物質の大きさが変化しないことが望ましいことから、無機鉱物、無機化合物が特に好ましい。これら吸油および/または吸水性がある物質は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0012】
吸油および/または吸水性がある物質はその機能を十分に発揮させるために、微粒子粉体として添加することが望ましい。これは粒径が細かい程、単位重量当たりの表面積が増大することから、油および/または水の吸収効率を高める効果が期待できる。しかし、その粒径は把持部の形状や大きさに応じて適宜選択すればよい。また、吸油および/または吸水性がある無機粉体を使用することにより、油および/または水を吸収した際にも容積の変化がなく、把持部の膨潤やゆるみを更に防止することができる。樹脂への添加量は把持部の形状や大きさに応じて適宜選択すればよいが、添加量が少なすぎると十分な効果が期待できず、多すぎると強度が損なわれることから、樹脂に対して重量比率で0.001%〜50%、特に0.01%〜10%の添加量であることが望ましい。弾性樹脂への添加量は把持部の形状や大きさに応じて適宜選択すればよいが、添加量が少なすぎると十分な効果が期待できず、多すぎると弾性樹脂の硬度が高くなり、弾性が損なわれることから、弾性樹脂に対して重量比率で0.001%〜50%、特に0.01%〜10%の添加量であることが望ましい。
【0013】
これら樹脂及び/または弾性樹脂には、触り心地や指先へのフィット感の向上、着色や文様といった意匠性の向上、抗菌や汗の吸放出、光触媒反応による自己洗浄といった機能性の付与のために粉体や微粒子、発泡剤などが含まれていてもよい。
その粉体の具体例としては、スチレンやナイロン、ポリオレフィン、シリコーン、エポキシ、ポリメタクリル酸メチルなどの樹脂粉体や、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ガラス片、金属片などの無機粉体、シルクパウダー、木粉、コルク粉などの天然素材を粉体化したものなどが挙げられる。また、それらの粉体に、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの粉体塗膜を被覆した複合粉体、さらには、自動乳鉢、ボールミル、ジェットミル、アトマイザー、ハイブリダイザーなどを用いて樹脂粉体にこの樹脂粉体より小さい無機粉体を吸着させたり、打ち込んだりしたものなども挙げられ、特に限定されない。また、粉体の形状は、無定型、球状、板状、針状などが用いられ、特に限定するものではない。これら粉体は1種または2種以上添加してもよい。
【0014】
また、前記微粒子の具体例としては、カーボンブラックやグラファイト、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウムなどの酸化物、窒化チタン、窒化クロム、窒化ジルコニウム、窒化タンタルなどの窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化タンタルなどの炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化タンタルなどのホウ化物が挙げられ、特に限定されない。また、微粒子の形状は無定型、鱗片状、球状、繊維状などを用いることができる。これら微粒子は、1種または2種以上添加してもよい。
【0015】
前記発泡剤は、化学発泡剤や物理発泡剤、熱膨張性マイクロカプセルなどが用いられる。化学発泡剤の具体例は、アゾ化合物やニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジド化合物、トリアゾール化合物などの有機系熱分解型発泡剤、イソシアネート化合物などの有機系反応型発泡剤、重炭酸塩や炭酸塩、亜硫酸塩、水素化物などの無機系熱分解型発泡剤、重炭酸ナトリウム+酸や過酸化水素+イースト菌、亜鉛粉末+酸などの無機系反応型発泡剤などが挙げられる。
物理発泡剤の具体例は、ブタンやペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロルメタン、フロン、空気、炭酸ガス、窒素ガスなどが挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルの具体例は、イソブタンやペンタン、石油エーテル、ヘキサンなどの低沸点炭化水素を芯物質とし、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの共重合体からなる熱可塑性樹脂を壁物質としたマイクロカプセルなどが挙げられ、特に限定されない。これら発泡剤は、1種または2種以上添加してもよい。
【0016】
また、軸筒及び/または内部把持部材2、環状外部把持部材3を形成する材料として金属が挙げられる。金属材料としてはステンレス、金、銀、銅、スズ、真鍮、チタン、アルミニウム及び、それらの合金などが挙げられるが繊維状に細くした材料を織り、編みといった加工や、打ち抜き、成形によって形成できればよく、特に限定されない。また、金属にはめっき、塗装、酸化処理といった加飾、防食処理を施してもよい。これらの金属は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0017】
軸筒及び/または把持部の製造方法としては、切削、射出成形等があげられ、把持部と軸筒を一体に成形する方法、別部材で構成し挿着する方法、或いは、2色成形やインサート成形によって一体成形する方法などが挙げられるが、その製造方法は特に限定されない。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、把持部を内部把持部材2とこれを覆う環状外部把持部材3の2部材で形成し、内部把持部材2の外径をA、内部把持部材2の外周凸部4の外径をB、環状外部把持部材3の内径をCとした時、A<C<Bの関係が成り立つようにすることにより2部材間に空間を設けると共に、内部把持部材2の外周の少なくとも2箇所に凸部4を環状外部把持部材3を挟むように設けることで、空間による把持感向上と、環状外部把持部材3の内部把持部材2からの外れを防止した把持部を提供することが出来る。これまで軟らかく持ちやすくした場合にはベタついたり、把持部と指先の接触面積が増大するため指先に汗をかきやすく、汗による滑りや把持部が膨潤するといった問題があったが、把持による環状外部把持部材3の変形や連通する開口部5によって把持部に空気流通を発生させることで使用中の指先を常に快適な状態に保ち、弾性樹脂の膨潤も防止することもできる。さらに、抗菌や汗の吸放出、保温、冷却、光触媒反応による自己洗浄といった追加機能を樹脂、弾性樹脂への機能材料の添加や2色成形、塗装を使用することで、容易に付与することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、内部把持部材の外周に存在する空間と、把持に合わせて変形及び/または移動する環状外部把持部を設けることを最も主要な特徴とする。そして、環状外部把持部材および内部把持部材に設ける周状凸部の大きさ、数、環状外部把持部に連通する開口部、内部把持部材に凸部を設け係合させる際の開口部や凸部の形状、大きさ、材料の樹脂、弾性樹脂、金属の組合せを創意工夫することよって、柔らかく、違和感のない把持部を得る目的を実現した。
【0020】
実施例1
図1は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例1の部品図である。図2は図1のa−A‘線断面図である。また、参照符号1は軸筒、参照符号2は内部把持部材、参照符号3は環状外部把持部材、参照符号4は内部把持部材に設けられた周状凸部である。
【0021】
軸筒1およびはポリエチレン、内部把持部材2としてエラストマー(ラバロンMJ3701c、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:70°)、環状外部把持部材3としてエラストマー(アクティマーAE−2040S、リケンテクノス(株)製、ショアーA硬度:40°)を用いて成形した。内部把持部材2の外径AをΦ10、内部把持部材2の外周凸部4の外径BをΦ(Φは直径;以下、同様。)11.5mm、環状外部把持部材3の内径CをΦ11mmとしてある為、内部把持部材2と環状外部把持部材3との間には空間が形成され、把持した時に把持部の変形が発生することから、把持部の変形によって指先との接触面積が増大して、快適な把持が可能である。また前後の外周凸部4によって環状外部把持部材3が内部把持部材2から外れにくくなっている。
【0022】
実施例2
図3は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例2の部品図である。また、参照符号1は軸筒、参照符号2は内部把持部材、参照符号3は環状外部把持部材、参照符号4は内部把持部材に設けられた周状凸部である。
【0023】
軸筒1およびはポリエチレン、内部把持部材2としてエラストマー(アクティマーAE−2040S、リケンテクノス(株)製、ショアーA硬度:40°)、環状外部把持部材3としてエラストマー(ラバロンMJ3701c、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:70°)を用いて成形した。環状外部把持部材3は複数個、様々な断面形状で形成され、複数個設けられた周状凸部に挟まれる位置に各々設置されている。内部把持部材2の外径AをΦ8mm、内部把持部材2の外周凸部4の外径BをΦ9.5mm、環状外部把持部材3の内径CをΦ9mmとしてある為、内部把持部材2と環状外部把持部材3との間には空間が形成され、把持した時に把持部の変形が発生することから、把持部の変形によって指先との接触面積が増大して、快適な把持が可能である。また、環状外部把持部材3が複数個、様々な断面形状で形成されていることから、変形しやすく触感の違いを感じることが出来る。
【0024】
実施例3
図4は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例3の部品図である。また、参照符号1は軸筒、参照符号2は内部把持部材、参照符号3は環状外部把持部材、参照符号4は内部把持部材に設けられた周状凸部である。
【0025】
軸筒1およびはアクリロニトリルスチレンブタジエン、内部把持部材2としてエラストマー(アクティマーAE−2040S、リケンテクノス(株)製、ショアーA硬度:40°)、環状外部把持部材3としてエラストマー(ラバロンMJ3701c、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:70°)を用いて成形した。環状外部把持部3は複数個、様々な断面形状で形成され、環状外部把持部3の各々を挟み込む位置に周状凸部が設けられている。内部把持部材2の外径AをΦ12mm、内部把持部材2の外周凸部4の外径BをΦ13.5mm、環状外部把持部材3の内径CをΦ13mm、外径DをΦ14mmとしてある為、内部把持部材2と環状外部把持部材3との間には空間が形成され、把持した時に把持部の変形が発生することから、把持部の変形によって指先との接触面積が増大して、快適な把持が可能である。また、環状外部把持部材3が複数個、様々な断面形状で形成されていることから、変形しやすく触感の違いを感じることが出来る。環状外部把持部材3が各々外周凸部4によって挟まれているため、内部把持部材2から更に外れにくくなっている。
【0026】
実施例4
図5は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例4の部品図である。また、参照符号2は内部把持部材、参照符号3は環状外部把持部材、参照符号4は内部把持部材に設けられた周状凸部である。
【0027】
軸体及び内部把持部材2としてエラストマー(ラバロンMJ3801c、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:80°)、環状外部把持部材3としてエラストマー(アクティマーAE−2040S、リケンテクノス(株)製、ショアーA硬度:40°)を用いて成形した。高硬度のエラストマーであれば形状を保持できるため、軸体と一体で成形可能である。環状外部把持部3は複数個、様々な断面形状で形成され、環状外部把持部3の各々を挟み込む位置に周状凸部が設けられている。内部把持部材2の外径AをΦ12mm、内部把持部材2の外周凸部4の外径BをΦ13.5mm、環状外部把持部材3の内径CをΦ13mm、外径DをΦ14mmとしてある為、内部把持部材2と環状外部把持部材3との間には空間が形成され、把持した時に把持部の変形が発生することから、把持部の変形によって指先との接触面積が増大して、快適な把持が可能である。また、環状外部把持部材3が複数個、様々な断面形状で形成されていることから、変形しやすく触感の違いを感じることが出来る。環状外部把持部材3が各々外周凸部4によって挟まれているため、内部把持部材2から更に外れにくくなっている。
【0028】
実施例5
図6は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例5の部品図である。図7は図6のa−A‘線断面図である。また、参照符号1は軸筒、参照符号2は内部把持部材、参照符号3は環状外部把持部材、参照符号4は内部把持部材に設けられた周状凸部、参照符号5は環状外部把持部材に設けられた開口部、参照符号6は内部把持部材に設けられた凸部である。
【0029】
軸筒1およびアクリロニトリルスチレン、内部把持部材2としエラストマー(ラバロンT320c、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:15°)、環状外部把持部材3としてエラストマー(アクティマーAE−2060S、リケンテクノス(株)製、ショアーA硬度:60°)を用いて成形した。環状外部把持部材3には開口部5が複数個、様々な形状で形成され、内部把持部材2には開口部5に契合する凸部6が複数設けられている。内部把持部材2の外径AをΦ12mm、内部把持部材2の外周凸部4の外径BをΦ13.5mm、環状外部把持部材3の内径CをΦ13mm、外径DをΦ14mmとしてある為、内部把持部材2と環状外部把持部材3との間には空間が形成され、把持した時に把持部の変形が発生することから、把持部の変形によって指先との接触面積が増大して、快適な把持が可能である。また、変形によって環状外部把持部材3の開口部から内部把持部材2に設けられた凸部6に触れることが出来るため触感の違いを感じることが出来る。環状外部把持部材3の開口部5に凸部6が契合されており、内部把持部材2から更に外れにくくなっている。
【0030】
実施例6
図8は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例6の部品図である。図9は図8のa−A‘線断面図である。また、参照符号1は軸筒、参照符号2は内部把持部材、参照符号3は環状外部把持部材、参照符号5は環状外部把持部材に設けられた開口部、参照符号6は内部把持部材に設けられた凸部である。
【0031】
軸筒1およびはポリエチレン、内部把持部材2としてエラストマー(アクティマーAE−2040S、リケンテクノス(株)製、ショアーA硬度:40°)、環状外部把持部材3としてエラストマー(ラバロンMJ3701c、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:70°)を用いて成形した。環状外部把持部材3には開口部5が複数個、様々な形状で形成され、内部把持部材2には開口部5に契合する凸部6が複数設けられている。内部把持部材2の外径AをΦ12mm、内部把持部材2の外周凸部4の外径BをΦ13.5mm、環状外部把持部材3の内径CをΦ13mm、外径DをΦ14mmとしてある為、内部把持部材2と環状外部把持部材3との間には空間が形成され、把持した時に把持部の変形が発生することから、把持部の変形によって指先との接触面積が増大して、快適な把持が可能である。また、変形によって環状外部把持部材3の開口部から内部把持部材2に設けられた凸部6に触れることが出来るため触感の違いを感じることが出来る。環状外部把持部材3の開口部5に各々凸部6が契合されているため、内部把持部材2から更に外れにくくなっている。環状外部把持部材3の前後の端部では、環状外部把持部材3の内径と内部把持部材2の外径を同じくしてあることから更に外れにくくなり、環状外部把持部材3と内部把持部材2の中心がずれにくくなっているため、環状外部把持部材3が効果的に変形する。
【0032】
実施例7
図10は、本発明を筆記具の把持部に使用した実施例7の部品図である。図11は図10のa−A‘線断面図である。また、参照符号1は軸筒、参照符号2は内部把持部材、参照符号3は環状外部把持部材、参照符号5は環状外部把持部材に設けられた開口部、参照符号6は内部把持部材に設けられた凸部である。
【0033】
軸筒1およびはポリエチレン、内部把持部材2としてエラストマー(アクティマーAE−2040S、リケンテクノス(株)製、ショアーA硬度:40°)、環状外部把持部材3としてエラストマー(ラバロンMJ3701c、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:70°)を用いて成形した。環状外部把持部材3には開口部5が複数個、様々な形状で形成され、内部把持部材2には開口部5に契合する凸部6が複数設けられている。内部把持部材2の外径AをΦ12mm、内部把持部材2の凸部6の外径BをΦ15mm、環状外部把持部材3の内径CをΦ13mmとしてある為、内部把持部材2と環状外部把持部材3との間には空間が形成され、把持した時に把持部の変形が発生するため快適な把持が可能である。また、環状外部把持部材3の外径DをΦ14mmとしてあるため、凸部6は環状外部把持部材3から突出しており、触れることが出来るため触感の違いを感じることが出来る。環状外部把持部材3の開口部5に各々凸部6が契合されているため、内部把持部材2から更に外れにくくなっている。環状外部把持部材3の前後の端部では、環状外部把持部材3の内径と内部把持部材2の外径を同じくしてあることから更に外れにくくなり、環状外部把持部材3と内部把持部材2の中心がずれにくくなっているため、環状外部把持部材3が効果的に変形する。
【0034】
比較例1
図12は、本発明を筆記具の把持部に使用した比較例1の部品図である。図13は図12のa−A‘線断面図である。参照符号1は軸筒、参照符号2は内部把持部材、参照符号3は環状外部把持部材、参照符号4は内部把持部材に設けられた周状凸部である。
【0035】
軸筒1およびはポリエチレン、内部把持部材2としてエラストマー(ラバロンMJ3701c、三菱化学(株)製、ショアーA硬度:70°)、環状外部把持部材3としてエラストマー(アクティマーAE−2040S、リケンテクノス(株)製、ショアーA硬度:40°)を用いて成形した。内部把持部材2の外径AをΦ12mm、内部把持部材2の外周凸部4の外径BをΦ13.5mm、環状外部把持部材3の内径CをΦ12mmとしてある為、内部把持部材2と環状外部把持部材3との間には空間が形成されず、把持した時に把持部の変形も少ないことから、軸体の硬い触感が感じられる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、把持部を設けた軸体に関するものである。その軸体の例としては、シャープペンシルやボールペン、修正ペンなどの筆記具、カッターや彫刻刀、ドライバーなどの工具類、PDA(パーソナル デジタル アシスタンス)や電子手帳に使用される入力ペン、自転車のハンドルなど多岐にわたる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を筆記具の把持部に使用した実施例1の部品図である。
【図2】図1のA−A‘線断面図である。
【図3】本発明を筆記具の把持部に使用した実施例2の部品図である。
【図4】本発明を筆記具の把持部に使用した実施例3の部品図である。
【図5】本発明を筆記具の把持部に使用した実施例4の部品図である。
【図6】本発明を筆記具の把持部に使用した実施例5の部品図である。
【図7】図4のA−A‘線断面図である。
【図8】本発明を筆記具の把持部に使用した実施例6の部品図である。
【図9】図8のA−A‘線断面図である。
【図10】本発明を筆記具の把持部に使用した実施例7の部品図である。
【図11】図10のA−A‘線断面図である。
【図12】本発明を筆記具の把持部に使用した比較例1の部品図である。
【図13】図12のA−A‘線断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 軸筒
2 内部把持部材
3 環状外部把持部材
4 外周凸部
5 開口部
6 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒の外周に把持部を設けた軸体において、前記把持部を内部把持部材とこれを覆う環状外部把時部材から構成し、前記内部把時部材の外接円径をA、環状外部把時部材3の内接円径をCとした時、A<Cの関係が成り立つように内部把時部材と環状外部把時部材を形成すると共に、それら内部把時部材と環状外部把時部材との保持手段を設けたことを特徴とする軸体。
【請求項2】
軸筒の外周に把持部を設けた軸体において、前記把時部を内部把時部材とこれを覆う環状外部把時部材から構成し、前記内部把時部材の外周には凸部を設けると共に、前記内部把時部材の外接円径をA、内部把時部材の凸部の外接円径をB、環状外部把時部材の内接円径をCとした時、A<C<Bの関係が成り立つように内部把時部材と環状外部把時部材を形成したことを特徴とする軸体。
【請求項3】
軸筒の外周に把持部を設けた軸体において、前記把時部を内部把時部材とこれを覆う環状外部把時部材から構成し、前記内部把時部材の外周には凸部を設けると共に、前記環状外部把時部材には凸部が入り込む開口孔を設け、前記内部把時部材の外接円径をA、環状外部軸体の内接円径をCとした時、A<Cの関係が成り立つように内部把時部材と環状外部把時部材を形成したことを特徴とする軸体。
【請求項4】
前記内部把時部材の凸部の外接円径をBとした時、A<C<Bの関係が成り立つように内部把時部材と環状外部把時部材を形成したことを特徴とする請求項3に記載の軸体。
【請求項5】
前記環状外部把持部の外径をDとした時、D−C≦B−Aの関係が成り立つように内部把持部材と環状外部把持部材を形成したことを特徴とする請求項2、或いは、請求項4に記載の軸体。
【請求項6】
前記環状外部把持部材を複数にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項1〜請求項5の何れかに記載の軸体。
【請求項7】
前記環状外部把持部材を複数にし、前記内部把持部材の外周に設ける周状凸部を環状外部把持部材を各々挟むように複数設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の軸体。
【請求項8】
前記内部把持部材の外周に設ける周状凸部を少なくとも3つの凸部に分離したこと特徴とする請求項2〜請求項7の何れかに記載の軸体。
【請求項9】
前記軸筒及び/または把持部を樹脂及び/または弾性樹脂及び/または金属で構成したことを特徴とする請求項1〜請求項8に記載の軸体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2008−137189(P2008−137189A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323525(P2006−323525)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】