説明

軸受の潤滑構造

【課題】軸受を非分解状態で簡単に潤滑寿命を延伸させて保守の省力化を図ることができる軸受の潤滑構造を提供する。
【解決手段】流体圧シリンダ部21は、ピストン部21cを通じて可動部19に駆動力を伝達しており、延長部19eを駆動することによって可動部19を駆動する。流体圧シリンダ部21は、充填室14a外で駆動力を発生しこの充填室14a外から可動部19にこの駆動力を伝達する。このため、流体圧シリンダ部21を充填室14aと分離させた状態で作動用グリースGHの流体圧を流体圧シリンダ部21に作用させることができる。その結果、流体圧シリンダ部21から充填室14aに作動用グリースGHが流出するのを防止することができるとともに、充填室14aから流体圧シリンダ部21にグリースGが流出するのを防止することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半固体状潤滑剤によって軸受を潤滑する軸受の潤滑構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸受の潤滑のために軸受の内部にグリースを封入するのに加えて、軸受の近傍にグリース溜りを設けこのグリース溜りにグリースを充填している。鉄道車両の主電動機の軸受は、メンテナンスに非常に手間がかかることから、その保守省力化が望まれている。一般に、主電動機の軸受は、高回転、高温で使用している場合が多いため、グリース(潤滑剤)の劣化が促進され、軸受の摩耗などによって比較的早期に潤滑寿命に至る。このため、初期にはグリース溜りにはある程度のスペースを残してグリースを充填しておき、ある程度時間が経過した段階(例えば60万キロ走行時)でこのスペースにグリースを追加充填する中間給脂と呼ばれる方法が実施されている。
【0003】
従来の軸受の潤滑構造は、充填室内の劣化後のグリースと軸受との間に未劣化のグリースを充填するための空間を形成するために、この軸受から離れる方向にこの充填室内で移動する可動板を備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の軸受の潤滑構造では、例えば、充填室内で流体圧によって袋体を収縮させて可動板を移動させる構造や、送りねじ機構部を手動又は自動で回転駆動して可動板を移動させる構造や、ストッパを解除してばねの付勢力によって可動板を移動させる構造や、ひもを引っ張ることによって可動板を移動させる構造などを使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-285517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の軸受の潤滑構造では、可動板を手動で移動する場合には、袋体から流体を排出する排出口を開閉するための操作部や、送りねじ機構部を操作するための操作部や、ばねのストッパを解除するための操作部や、ひもを引っ張るための操作部などを軸受蓋の外側に設ける必要があり、軸受蓋の外側から操作部を手動で操作する必要がある。また、従来の軸受の潤滑構造では、可動板を自動的に移動する場合には、送りねじ機構部を回転駆動するモータを軸受蓋の外側に設ける必要がある。しかし、従来の軸受の潤滑構造では、軸受蓋の外側に十分な作業空間や設置空間を確保することが困難であるときには、主電動機の軸受を非分解状態のままで中間給脂を簡単に実施できない問題点があった。例えば、従来の軸受の潤滑構造では、主電動機を台車に搭載した状態で軸受蓋の外側にわずかな隙間しかなく、送りねじ機構部の操作部を工具によって回転させようとしても、軸受蓋の外側の隙間に工具を挿入することが不可能であった。また、従来の軸受の潤滑構造では、例えば、送りねじ機構部によって可動板を駆動する場合には、軸受蓋の貫通孔に操作部を貫通させて貫通孔と操作部との間をシール材などによって密封し、これらの間からグリースが漏れ出すのを防止する必要がある。しかし、このような従来の軸受の潤滑構造では、中間給脂の作業の前後にシール材によって密封する作業を忘れると、グリースが軸受蓋から漏れ出して潤滑上の不具合が発生する問題点がある。
【0006】
この発明の課題は、軸受を非分解状態で簡単に潤滑寿命を延伸させて保守の省力化を図ることができる軸受の潤滑構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図4及び図10に示すように、半固体状潤滑剤(G)によって軸受(12,13)を潤滑する軸受の潤滑構造であって、前記半固体状潤滑剤が充填される充填室(14a)内で移動する可動部(19;19A,19B)と、作動流体(GH)の流体圧によって駆動力を発生し、前記可動部にこの駆動力を伝達してこの可動部を駆動する流体圧シリンダ部(21;21A,21B)とを備え、前記流体圧シリンダ部は、前記充填室外で前記駆動力を発生しこの充填室外から前記可動部にこの駆動力を伝達することを特徴とする軸受の潤滑構造(18)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の軸受の潤滑構造において、図5及び図9に示すように、前記流体圧シリンダ部は、前記可動部の可動部側嵌合部(19f)と嵌合するシリンダ側嵌合部(21e)を備えることを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の軸受の潤滑構造において、前記流体圧シリンダ部は、前記可動部側嵌合部と前記シリンダ側嵌合部との間に間隙部(Δ11)を有することを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の軸受の潤滑構造において、図9に示すように、前記シリンダ側嵌合部は、凸状又は凹状のテーパ面(21g)を有し、前記可動部側嵌合部は、前記シリンダ側嵌合部のテーパ面と嵌合する凹状又は凸状のテーパ面(19h)を有することを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、図8に示すように、前記可動部は、この可動部の中心軸が前記軸受の中心軸と同一である円環状の部材であり、前記流体圧シリンダ部は、前記可動部に前記駆動力が複数箇所で作用するように複数配置されていることを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、前記流体圧シリンダ部は、前記可動部に前記駆動力が複数箇所で均等に作用するようにこの可動部を駆動することを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、前記流体圧シリンダ部は、前記可動部の周方向に等間隔に前記駆動力が作用するようにこの可動部を駆動することを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、前記流体圧シリンダ部は、前記可動部の中心軸に対して点対称の複数箇所でこの可動部に前記駆動力が作用するようにこの可動部を駆動することを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、図4及び図10に示すように、前記充填室は、この充填室の外側に拡大して形成された外側充填室(14c)を備え、前記可動部は、この可動部の外周部から前記外側充填室内に伸びる延長部(19e)を備え、前記流体圧シリンダ部は、前記延長部を駆動することによって前記可動部を駆動することを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0016】
請求項10の発明は、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、図10に示すように、前記可動部は、前記軸受の一方の端面側から前記半固体状潤滑剤を供給する充填室内で移動する第1の可動部(19A)と、前記軸受の他方の端面側から前記半固体状潤滑剤を供給する充填室内で移動する第2の可動部(19B)とを備え、前記流体圧シリンダ部は、前記第1の可動部を駆動する第1の流体圧シリンダ部(21A)と、前記第2の可動部を駆動する第2の流体圧シリンダ部(21B)とを備えることを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10に記載の軸受の潤滑構造において、前記第1の流体圧シリンダ部と前記第2の流体圧シリンダ部とに前記作動流体を外部から供給する供給流路(22)を備えることを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0018】
請求項12の発明は、請求項10又は請求項11に記載の軸受の潤滑構造において、図11に示すように、前記第1及び前記第2の流体圧シリンダ部の受圧部(21d)に前記作動流体の流体圧が作用するように、これらの受圧部の間に所定の間隙部を形成してこれらの受圧部が密着するのを阻止する密着阻止部(23)を備えることを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0019】
請求項13の発明は、請求項12に記載の軸受の潤滑構造において、図12及び図13に示すように、前記第1及び前記第2の流体圧シリンダ部は、同一面積の受圧部(21d)を有し、前記第1及び前記第2の流体圧シリンダ部の受圧部に前記作動流体を同時に作用させる流体圧作用部(24A〜24C)を備えることを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0020】
請求項14の発明は、請求項13に記載の軸受の潤滑構造において、前記流体圧作用部は、前記第1の流体圧シリンダ部側の受圧部と前記第2の流体圧シリンダ部側の受圧部との間に所定の間隙部(Δ12)を形成することを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0021】
請求項15の発明は、請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、前記流体圧シリンダ部は、前記充填室内の半固体状潤滑剤と同一種類の作動流体の流体圧によって前記可動部を駆動することを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0022】
請求項16の発明は、請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、前記可動部は、劣化後の半固体状潤滑剤(GO)を前記軸受から離すことを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0023】
請求項17の発明は、請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、前記可動部は、前記充填室内で移動することによって、前記軸受に近い側の劣化後の半固体状潤滑剤(GO)をこの軸受から離し、前記軸受から遠い側の未劣化の半固体状潤滑剤(GN)をこの軸受に近づけることを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【0024】
請求項18の発明は、請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、前記流体圧シリンダ部は、前記作動流体の流体圧を受けてシリンダ室(21a)内で駆動するピストン部(21c)を通じて前記可動部に前記駆動力を伝達することを特徴とする軸受の潤滑構造である。
【発明の効果】
【0025】
この発明によると、軸受を非分解状態で簡単に潤滑寿命を延伸させて保守の省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える電動機枠体及びシャフトの断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の平面図であり、(A)は図1のIIA方向から見た平面図であり、(B)は図1のIIB方向から見た平面図であり、(C)は図1のIIC方向から見た平面図であり、(D)は図1のIID方向から見た平面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の外観図であり、(A)は平面図であり、(B)(C)は図3(A)のIII-IIIB線で切断した状態を示す断面図である。
【図4】図3(B)のIV部分を拡大して示す断面図であり、(A)は初期状態の断面図であり、(B)は入替給脂後の断面図である。
【図5】図4のV部分を拡大して示す断面図であり、(A)は初期状態の断面図であり、(B)は入替給脂後の断面図である。
【図6】図3(A)のVI-VI線で切断した状態を示す断面図である。
【図7】図1のVII-VII線で切断した状態を示す断面図である。
【図8】この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造の作動流体の流路を模式的に示す斜視図である。
【図9】この発明の第2実施形態に係る軸受の潤滑構造の流体圧シリンダ部の断面図であり、(A)は可動部が下方に変位しているときの嵌合状態を示す断面図であり、(B)は可動部が上方に変位しているときの嵌合状態を示す断面図である。
【図10】この発明の第3実施形態に係る軸受の潤滑構造の流体圧シリンダ部の断面図であり、(A)は初期状態の断面図であり、(B)は入替給脂後の断面図である。
【図11】図10のXI部分を拡大して示す断面図であり、(A)は初期状態の断面図であり、(B)は入替給脂後の断面図である。
【図12】この発明の第4実施形態に係る軸受の潤滑構造の流体圧シリンダ部の断面図であり、(A)は流体圧作用部が円柱状である場合の断面図であり、(B)は流体圧作用部が円錐状である場合の断面図である。
【図13】この発明の第5実施形態に係る軸受の潤滑構造の流体圧シリンダ部の断面図であり、(A)は流体圧作用部が円錐状である場合の断面図であり、(B)は流体圧作用部が平面状である場合の断面図である。
【図14】この発明の第6実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える電動機枠体及びシャフトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える電動機枠体及びシャフトの断面図である。
シャフト1は、図示しないギア、車軸を介して主電動機の動力を車輪に伝える部材である。電動機枠体2は、主電動機の固定子を固定し支持するとともにこの主電動機の回転子を回転自在に支持する枠体(ハウジング)であり、フレーム3と、ブラケット4,5と、給脂栓6,7と、カラー8〜11と、軸受12,13と、軸受蓋(端蓋)14〜17などを備えている。
【0028】
フレーム3は、電動機の固定子を固定し支持する部材であり、両端部にフランジ部3a,3bが形成されている。ブラケット4は、フレーム3と軸受蓋16とを連結する部材であり、フランジ部3aと接合するフランジ部4aと、作動用グリースGHを充填するときにこの作動用グリースGHが流入する流路4bなどを備えている。ブラケット5は、フレーム3と軸受蓋17とを連結する部材であり、フランジ部3bと接合するフランジ部5aなどを備えている。給脂栓6,7は、流路4b,17dの流入口にそれぞれねじ込まれてこれらの流入口を開閉自在に塞ぐ部材であり、給脂栓6,7にはこれらの流入口の内側に形成された雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部が形成されている。カラー8〜11は、シャフト1の両端部に嵌め込まれた円環状の部材である。軸受12,13は、シャフト1を回転自在に支持する転がり軸受であり、軸受12は玉軸受であり、軸受13はころ軸受である。軸受12,13は、転動体12a,13aと、この転動体12a,13aを等間隔に保持する保持器12b,13bと、この保持器12b,13bの外側で回転する外輪12c,13cと、この保持器12b,13bの内側で回転する内輪12d,13dなどを備えている。軸受12,13は、内部にグリースGが過剰に詰め込まれるとこのグリースGの撹拌熱によって発熱するため、初期状態時には一般に空間容積の1/3程度のグリースGが詰め込まれている。
【0029】
図2は、この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の平面図であり、図2(A)は図1のIIA方向から見た平面図であり、図2(B)は図1のIIB方向から見た平面図であり、図2(C)は図1のIIC方向から見た平面図であり、図2(D)は図1のIID方向から見た平面図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える軸受蓋の外観図であり、図3(A)は平面図であり、図3(B)(C)は図3(A)のIII-IIIB線で切断した状態を示す断面図である。図4は、図3(B)のIV部分を拡大して示す断面図であり、図4(A)は初期状態の断面図であり、図4(B)は入替給脂後の断面図である。図5は、図4のV部分を拡大して示す断面図であり、図5(A)は初期状態の断面図であり、図5(B)は入替給脂後の断面図である。図6は、図3(A)のVI-VI線で切断した状態を示す断面図である。図7は、図1のVII-VII線で切断した状態を示す断面図である。図8は、この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造の作動流体の流路を模式的に示す斜視図である。
【0030】
図1に示す軸受蓋14,16は、軸受12を固定する部材であり、軸受蓋15,17は軸受13を固定する部材である。軸受蓋14,15は、アルミニウム又は鉄などからなる鋳造品や機械加工部品であり、軸受蓋14,15は電動機枠体2の外側に、軸受蓋16,17は電動機枠体2の内側に装着されている。軸受蓋14は、軸受蓋16との間で軸受12を挟み込むようにボルトによって軸受蓋16に固定されており、軸受蓋15は軸受13を挟み込むようにボルトによって軸受蓋17に固定されている。軸受蓋14〜17は、潤滑構造18を備えている。軸受蓋14,15は、図2(A)(D)に示すように、いずれも略同一構造であり、軸受蓋16,17は図2(B)(C)に示すように、いずれも略同一構造である。軸受蓋14は、図1及び図3(B)(C)に示す充填室14aと、図2(A)及び図3(A)に示す抑え部14dと、貫通孔14e,14fと、図4に示す壁部14gと、逃げ部14hなどを備えている。以下では、軸受蓋14,16側について説明し、軸受蓋15,17側の部分については軸受蓋14,16側の部分と対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0031】
図3(B)(C)に示す充填室14aは、軸受12を潤滑するためのグリースGが充填される部分であり、環状充填室(第1グリース溜り)14bと外側充填室(第2グリース溜り)14cなどを有する。充填室14aは、図3(B)(C)に示すように、軸受蓋14の径方向で切断したときの断面形状が四角形に形成されている。
【0032】
環状充填室14bは、軸受12を潤滑するためのグリースGを充填する部分である。環状充填室14bは、図1に示す外輪12cと内輪12dとの間の間隙部(軸受開口部)に沿って形成されており、図2(A)及び図3(A)に示すように充填室14aのうち貫通孔14eを囲むように円環状に形成された凹状の溝部分である。環状充填室14bは、図4に示すように、劣化後のグリース(使用後のグリース)GOと未劣化のグリース(未使用のグリース)GNとを入れ替え可能なピストン方式のグリース充填室である。環状充填室14bは、図3(B)(C)に示すように、軸受12の端面側に開口部を有する。外側充填室14cは、図3(A)に示すように、環状充填室14bに沿ってこの環状充填室14bの外側に拡大して形成されており、この環状充填室14bの一部と結合する凹状の溝である。外側充填室14cは、図3(B)(C)に示すように、環状充填室14bと同様に軸受12の端面側に開口部を有する。図2(A)及び図3(A)に示す抑え部14dは、外輪12cの端面を抑える部分であり、環状充填室14bの周方向に沿ってこの環状充填室14bの外周部に間隔をあけて4つ形成されている。図2(A)及び図3(A)に示す貫通孔14eは、図1に示すカラー8を挿入する挿入孔であり、貫通孔14fは軸受蓋14を軸受蓋16に固定するためのボルトを挿入する挿入孔である。図4に示す壁部14gは、環状充填室14bと外側充填室14cとの間に形成された部分であり、環状充填室14bと外側充填室14cとを区画するとともに、可動部19を移動自在にガイドする。逃げ部14hは、壁部14gと補強部19gとが干渉するのを防止する部分であり、壁部14gの端部を切り欠くように、延長部19eと対応して2つ形成されている。
【0033】
軸受蓋16は、図2(B)に示す環状充填室16aと、抑え部16bと、貫通孔16cと、流路16fなどを備えている。環状充填室16aは、軸受12を潤滑するためのグリースGを充填する部分である。環状充填室16aは、外輪12cと内輪12dとの間の間隙部に沿って形成されており、貫通孔16cを囲むように円環状に形成された凹部である。図2(B)に示す抑え部16bは、軸受12の外輪12cの端面を抑える部分であり、貫通孔16cは、図1に示すカラー9を挿入する挿入孔である。流路16fは、作動用グリースGHを充填するときにこの作動用グリースGHが流入する部分であり、一方の端部(上流側)がブラケット4の流路4cと接続し、他方の端部(下流側)が流路22に接続している。
【0034】
図1に示す潤滑構造18は、グリースGによって軸受12,13を潤滑する構造である。潤滑構造18は、環状充填室14b,15b内に封入されたグリースGを軸受12,13に供給してこの軸受12,13を潤滑するとともに、図4に示すように環状充填室14b,15b内の劣化後のグリースGOを未劣化のグリースGNと入れ替えてこの未劣化のグリースGNによって潤滑する。潤滑構造18は、図4に示す可動部19と、排出部20と、流体圧シリンダ部21と、図7及び図8に示す流路22などを備えている。
【0035】
図4及び図6に示す可動部19は、グリースGが充填される充填室14a内で移動する部分である。可動部19は、充填室14a内で移動することによって、軸受12に近い側の劣化後のグリースGOをこの軸受12から離し、軸受12から遠い側の未劣化のグリースGNをこの軸受12に近づけて、劣化後のグリースGOと未劣化のグリースGNとを充填室14a内で入れ替える。可動部19は、この可動部19の中心軸が軸受12の中心軸と同一である円環状の部材である。可動部19は、図4(A)及び図6(A)に示す初期状態では軸受12に近い側と遠い側との2つの領域に環状充填室14bを区画し、図4(B)及び図6(B)(C)に示す入替給脂時には環状充填室14b内で移動する仕切板である。可動部19は、図4に示すように、環状充填室14bの外側内周面と内側内周面との間に嵌め込まれており、これらによって移動自在にガイドされている。可動部19は、図4(A)及び図6(A)に示す初期状態では、劣化後のグリースGOを収容する領域と、未劣化のグリースGNを収容する領域とに環状充填室14bを区画している。可動部19は、例えば、耐熱性及び耐油性を有するポリアミド系樹脂、繊維強化プラスチックなどの合成樹脂製又は金属製の材料によって円環状に形成されており、この可動部19を径方向で切断したときの断面形状が凹状の溝付き可動板である。可動部19は、図4(B)及び図6(B)(C)に示すように、軸受12から離れる方向に移動することによって、軸受12側とは反対側の表面(背面)によって未劣化のグリースGNを加圧して、保持部19aの先端面と軸受12の端面との間に未劣化のグリースGNを押し出し入替給脂する。可動部19は、図4及び図6に示す保持部19aと、図3に示す通路部19bと、図4及び図6に示すガイド部19c,19dと、図4に示す延長部19eと、図4及び図5に示す可動部側嵌合部19fと、図4に示す補強部19gなどを備えている。
【0036】
図4及び図6に示す保持部19aは、劣化後のグリースGOを保持する部分である。保持部19aは、ガイド部19cの内周面とガイド部19dの外周面との間に劣化後のグリースGOを挟み込むように保持しており、図4(B)及び図6(B)(C)に示すようにこの劣化後のグリースGOを保持した状態で軸受12から離れる方向に移動する。保持部19aは、軸受12側に開口部を有し、可動部19を径方向で切断したときの断面形状が略U字状に形成されている。
【0037】
図3に示す通路部19bは、外側充填室14cと環状充填室14bとを接続する部分である。通路部19bは、外側充填室14cから環状充填室14bにグリースG又はグリースGから滲み出た潤滑油が移動可能なように、このグリースG又はこの潤滑油を通過させる。通路部19bは、図3(A)に示すように、ガイド部20bの周方向に外側充填室14cと対応して4箇所に形成されており、図3(B)(C)に示すようにガイド部20bの端部に形成された切欠部である。
【0038】
図4に示すガイド部19c,19dは、可動部19を移動自在にガイドする部分である。ガイド部19cは、環状充填室14bの外側内周部と壁部14gの内周部とに移動自在にガイドされており、ガイド部19dは環状充填室14bの内側内周部に移動自在にガイドされている。ガイド部19c,19dは、可動部19が軸受蓋14の中心軸方向に移動するように、この軸受蓋14の中心軸を中心とする円筒面状のガイド面である。ガイド部19c,19dは、可動部19が環状充填室14b内を移動するときに、この可動部19の傾斜を防止する。ガイド部19cは、環状充填室14bの外側内周面と常に面接触するように形成されており、ガイド部19dは環状充填室14bの内側内周面と常に面接触するようにガイド部19bと同じ長さで形成されている。ガイド部19cの外周面は、環状充填室14bの外側内周面と密着するようにこの環状充填室14bの外周面に嵌合しており、ガイド部19dの内周面は環状充填室14bの外側内周面と密着するようにこの環状充填室14bの外周面に嵌合している。
【0039】
延長部19eは、可動部19の外周部から外側に延びる部分である。延長部19eの厚さは、外側充填室14c内のグリース量が低下しないように、延長部19eの強度を確保可能な範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。延長部19eは、例えば、図3(A)に示すように、充填室14aの周方向に等間隔(可動部19の中心軸に対して点対称)に2つ配置されており、外側充填室14c内に伸びている。延長部19eは、図4に示すように、壁部14gと可能な限り干渉しないように、保持部19aの軸受12寄り(保持部19aの略U字状の開口部付近)の外周部に接続されている。
【0040】
図5に示す可動部側嵌合部19fは、流体圧シリンダ部21のシリンダ側嵌合部21eと嵌合する部分である。可動部側嵌合部19fは、延長部19eに形成された凹部(貫通孔)であり、図5に示すように可動部側嵌合部19fの内周部とシリンダ側嵌合部21eの外周部との間に所定の間隙部Δ11が形成されるように、可動部側嵌合部19fの内径がシリンダ側嵌合部21eの外径よりも大きく形成されている。
【0041】
図4に示す補強部19gは、保持部19aと延長部19eとの接続部を補強する部分である。補強部19gは、保持部19aの外側外周部と延長部19eの基部との接続部を補強するリブなどであり、流体圧シリンダ部21が延長部19eを駆動するときに延長部19eが撓まないように延長部19eの基部に剛性を付与している。補強部19gは、図4(A)に示すように、壁部14gの端部と対向して形成されており、図4(B)に示すように環状充填室14bの底部に可動部19が移動したときに逃げ部14hと接触する。
【0042】
図4及び図6に示す排出部20は、可動部19が軸受12から離れる方向に移動したときに、未劣化のグリースGNを軸受12に向かって排出する部分であり、可動部19と環状充填室14bとの間で加圧された未劣化のグリースGNを排出する。排出部20は、図6(B)に示すように、未劣化のグリースGNが流れる流路であり、劣化後のグリースGOと軸受12との間に未劣化のグリースGNを排出する。排出部20は、軸受12から離れる方向に可動部19が移動したときに、可動部19の背面と環状充填室14bの底面との間で加圧された未劣化のグリースGNを軸受12に向かって二点鎖線で示すように排出する。排出部20は、図3(A)に示すように、可動部19の周方向に間隔をあけてこの可動部19の内周部に配置されており、図6(B)に示すように軸受12の内輪12dと保持器12bとの間の間隙部S11に向かって未劣化のグリースGNを排出する。排出部20は、例えば、図3(A)に示すように、軸受蓋14の中心軸から等距離になるように、可動部19の周方向に等間隔で8個配置されている。排出部20は、図4及び図6に示すように、流入口20aと、ガイド部20bと、排出口20cなどを備えている。
【0043】
流入口20aは、未劣化のグリースGNが流入する部分であり、可動部19の周方向の縁部に断面形状(孔形状)が略長方形になるように、この可動部19を切り欠くように形成されている。流入口20aには、図6(B)に示すように軸受12から離れる方向に可動部19が移動したときに、この可動部19と環状充填室14bとの間で加圧された未劣化のグリースGNが流入する。
【0044】
図4及び図6に示すガイド部20bは、未劣化のグリースGNを軸受12に向かって移動するようにこの未劣化のグリースGNをガイドする部分であり、軸受12に向かって立ち上がる壁部である。ガイド部20bは、図4(A)及び図6(A)に示すように、初期状態であるときに、排出口20cの位置と軸受12の端面とが略一致するような高さに形成されている。ガイド部20bは、図3(A)に示すように、未劣化のグリースGNの移動方向と直交する平面で切断したときの断面形状(孔形状)が可動部19の周方向に長く径方向に短い略長方形であり、ガイド部20bの断面形状は流入口20aから排出口20cに向かって同一の大きさで形成されている。ガイド部20bは、図4及び図6に示すように、可動部19の軸受12側の表面に対して垂直(ストレート状)に形成されており、可動部19の径方向及び周方向で切断したときの断面が直線状である。
【0045】
排出口20cは、軸受12と対向する位置に未劣化のグリースGNを排出する部分であり、図4及び図6に示すように軸受12の保持器12bとの間に僅かに間隙部を形成するようにこの保持器12bと対向している。排出口20cは、図3(A)に示すように、流入口20aと同様に略長方形に形成されている。
【0046】
図4及び図5に示す流体圧シリンダ部21は、作動用グリースGHの流体圧によって駆動力を発生し、可動部19にこの駆動力を伝達してこの可動部19を駆動する部分である。流体圧シリンダ部21は、この流体圧シリンダ部21から充填室14aに作動用グリースGHが漏出するのを防止するとともに、充填室14aから流体圧シリンダ部21にグリースGが漏出するのを防止するために、図4に示すように充填室14a外で駆動力を発生しこの充填室14a外から可動部19にこの駆動力を伝達する。流体圧シリンダ部21は、図4及び図5に示すシリンダ本体部21aと、シリンダ室21bと、ピストン部21cと、受圧部21dと、図5に示すシリンダ側嵌合部21eなどを備えている。
【0047】
流体圧シリンダ部21は、ピストン部21cを通じて可動部19に駆動力を伝達しており、延長部19eを駆動することによって可動部19を駆動する。流体圧シリンダ部21は、図4に示すように、充填室14aの外側にこの充填室14aと分離して配置されており、図8に示すように可動部19に駆動力が複数箇所で作用するように複数配置されている。流体圧シリンダ部21は、図7及び図8に示すように、流路16fと流路22との接続部からそれぞれの流体圧シリンダ部21までの距離が等しくなるように配置されており、可動部19に駆動力が2箇所で均等に作用するように可動部19を駆動する。流体圧シリンダ部21は、入替給脂時に軸受蓋14の中心軸に対して可動部19の中心軸が傾くのを防止するために、可動部19の周方向に等間隔に駆動力が作用するようにこの可動部19を駆動する。流体圧シリンダ部21は、この流体圧シリンダ部21の設置個数が偶数であるときには、可動部19の中心軸に対して点対称の複数箇所でこの可動部19に駆動力が作用するようにこの可動部19を駆動する。流体圧シリンダ部21は、充填室14a内のグリースGと同一種類の作動用グリースGHの流体圧によって可動部19を駆動する。流体圧シリンダ部21は、例えば、図8に示すように、一方のピストン部21cの受圧部21dと他方のピストン部21cの受圧部21dとがこのピストン部21cの軸方向において略同一位置になるように、シリンダ本体部21aの中心軸に対して点対称に二つのピストン部21cを配置している。
【0048】
図4及び図5に示すシリンダ本体部21aは、流体圧シリンダ部21の本体を構成する部分である。シリンダ本体部21aは、例えば、耐熱性及び耐油性を有するポリアミド系樹脂、繊維強化プラスチックなどの合成樹脂製又は金属製の材料によって円環状に形成されている。シリンダ本体部21aは、図4に示すように、軸受12の外輪12cと嵌合しこの軸受12を収容する貫通孔21fなどを備えている。シリンダ本体部21aは、図4に示すように、軸受12の厚さと略同一の厚さに形成されており、図1に示すようにシリンダ本体部21aの両端面は軸受蓋14の端面と軸受蓋16の端面との間に挟み込まれており、シリンダ本体部21aの外周面は軸受蓋16の内周面に嵌合している。
【0049】
図4及び図5に示すシリンダ室21bは、ピストン部21cを移動自在に収容する部分である。シリンダ室21bは、図7に示すように、シリンダ本体部21aの中心軸に対して点対称に配置されており、図4及び図5に示すようにシリンダ本体部21aの軸受12側の端面に所定の深さで形成された凹部である。シリンダ室21bは、ピストン部21cの受圧部21dとの間の空間(ヘッド側室)に作動用グリースGHが流入する流体圧作用室を形成している。
【0050】
ピストン部21cは、作動用グリースGHの流体圧を受けてシリンダ室21b内で移動する部材である。ピストン部21cは、シリンダ室21b内を移動するときに、このピストン部21cの可動範囲内でシリンダ室21bの内周面と常に面接触するように所定の長さで形成されている。ピストン部21cの外周面は、シリンダ室21bの内周面とスライド自在に密着しており、シリンダ室21bから充填室14aに作動用グリースGHが漏出するのを防止するとともに、充填室14aからシリンダ室21bにグリースGが漏出するのを防止する。ピストン部21cは、このピストン部21cの外周面とシリンダ室21bの内周面との間が広範囲で密封されるように、通常のシリンダ機構のピストンロッドに相当する部分の外径がピストン部21cの外径と同じになるように、ピストンロッドと一体に形成されている。
【0051】
受圧部21dは、作動用グリースGHの流体圧を受ける部分である。受圧部21dは、作動用グリースGHの流体圧が作用したときに、ピストン部21cが前進するように、ピストン部21cの後端部(底部)に形成されている。受圧部21dは、軸受12の中心軸(シャフト1の中心軸)に対して垂直に形成された平面状の受圧面である。
【0052】
図5に示すシリンダ側嵌合部21eは、延長部19eの可動部側嵌合部19fと嵌合する部分である。シリンダ側嵌合部21eは、ピストン部21cの先端部に形成された凸部(突起部)であり、作動用グリースGHの流体圧が受圧部21dに作用するとこの延長部19eを押圧して可動部19を移動させる。
【0053】
図7及び図8に示す流路22は、流体圧シリンダ部21に外部から作動用グリースGHを供給する部分である。流路22は、図7に示すように、シリンダ本体部21aの外周面に周方向に沿って形成されて開口部が軸受蓋16の内周面によって塞がれる円弧状の溝と、この溝の下流側からシリンダ室21bまで形成された直線状の貫通孔とを備えている。流路22は、図1及び図8に示すように、一方の端部(上流側)が軸受蓋16の流路16fと接続し、図7及び図8に示すように他方の端部(下流側)が流体圧シリンダ部21と接続しており、この流体圧シリンダ部21のシリンダ室21bに開口している。流路22は、2つの流体圧シリンダ部21の受圧部21dに作動用グリースGHの流体圧が均等に作用するように、流路16fと流路22との接続部から2つの流体圧シリンダ部21の受圧部21dまでの距離が等しく、かつ、2つの流体圧シリンダ部21に流入する作動用グリースGHの流量が等しくなるように形成されている。
【0054】
次に、この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造の作用を説明する。
図2(A)に示すように、初期状態では環状充填室14bにはグリースGが隙間なく充填されている。また、図4(A)及び図6(A)に示すように、可動部19と軸受12との間、環状充填室14bと可動部19との間及び外側充填室14cにもグリースGが充填されている。図4及び図5に示す流体圧シリンダ部21及び図1に示す流路4b,16f,17d,22に空気が封入されていると、入替給脂時(メンテナンス時)に作動用グリースGHの移動が阻害されるおそれがある。このため、図4(A)及び図6(A)に示すように、初期状態では流体圧シリンダ部21には作動用グリースGHが隙間なく充填されており、この流体圧シリンダ部21から図1に示す給脂栓6,7の先端部までの流路4b,16f,17d,22内にも作動用グリースGHが隙間なく充填されている。この状態で軸受12が回転すると軸受12の端面付近のグリースGが徐々に劣化して、図4(A)及び図6(A)に示すように軸受12の端面付近のグリースGに摩耗粉などが混入する。図4(B)及び図6(B)に示すように、入替給脂時には、軸受12から離れる方向に可動部19が移動するように、図1に示す給脂栓6を取り外し流入口から流路4bに作動用グリースGHを注入する。その結果、流路4b,16f,22を作動用グリースGHが通過して、図4(A)及び図5(A)に示すように流体圧シリンダ部21に作動用グリースGHが流入する。
【0055】
流体圧シリンダ部21に作動用グリースGHが流入すると、作動用グリースGHの注入量が増加するに従ってシリンダ室21b内の内圧が上昇し、ピストン部21cの受圧部21dに加わる流体圧も上昇する。このため、シリンダ室21b内をピストン部21cが前進を開始すると、ピストン部21cが延長部19eを押圧して駆動力を伝達し、軸受12から離れる方向に可動部19が移動を開始する。その結果、劣化後のグリースGOが保持部19aに保持された状態で可動部19とともに移動し、可動部19の底部と環状充填室14bの底部との間の未劣化のグリースGNが押圧される。このため、図6(B)の二点鎖線で示すように、未劣化のグリースGNが流入口20aからガイド部20bによって案内されながら排出口20cから噴き出し、保持部19aの先端面と軸受12の端面との間にこの未劣化のグリースGNが徐々に充填される。図4(B)及び図6(C)に示すように、環状充填室14bの底部と接触するまで可動部19が移動すると、劣化後のグリースGOと軸受12との間に未劣化のグリースGNが完全に入替給脂されて、この未劣化のグリースGNによって軸受12が新たに潤滑される。軸受蓋15側の環状充填室15bにも同様の方法によって入替給脂される。
【0056】
この発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑構造は、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、作動用グリースGHの流体圧によって流体圧シリンダ部21が駆動力を発生し、流体圧シリンダ部21が可動部19にこの駆動力を伝達してこの可動部19を充填室14a内で駆動する。このため、図1に示す軸受蓋14,15の外側に十分な作業空間や設置空間を確保することが困難であっても、十分な作業スペースを確保可能で作業が容易な任意の箇所から流体圧を流体圧シリンダ部21に作用させて、可動部19を簡単に駆動することができる。その結果、電動機枠体2の周囲の状況に応じてグリース入替時の作業場所を任意の位置に変更することができるとともに、作業に必要なスペースを倹約することができる。また、従来の軸受の潤滑構造のような可動部を駆動する送りねじ機構部の操作部と軸受蓋の貫通孔との間を中間給脂の作業の前後にシール材によって密封するような煩雑な作業を省略することができるため、入替給脂時の作業負担を軽減することができる。
【0057】
(2) この第1実施形態では、可動部19が充填室14a内で移動することによって、軸受12に近い側の劣化後のグリースGOをこの軸受12から離し、軸受12から遠い側の未劣化のグリースGNをこの軸受12に近づける。このため、例えば、鉄道車両の主電動機の軸受12を非分解の状態で、劣化後のグリースGOと未劣化のグリースGNとを入れ替えることができ、潤滑効果を十分に図り潤滑寿命を延伸させることができる。また、初期状態時には軸受12の近傍に十分な量のグリースGを充填させることができるため、入替給脂前に潤滑不良になるのを防ぐことができる。さらに、摩耗粉などが混入した劣化後のグリースGOを軸受12の近傍から強制的に遠ざけることができる。
【0058】
(3) この第1実施形態では、流体圧シリンダ部21が充填室14a外で駆動力を発生しこの充填室14a外から可動部19にこの駆動力を伝達する。このため、図4及び図5に示すように、流体圧シリンダ部21を充填室14aと分離させた状態で作動用グリースGHの流体圧を流体圧シリンダ部21に作用させることができる。その結果、流体圧シリンダ部21から充填室14aに作動用グリースGHが流出するのを防止することができるとともに、充填室14aから流体圧シリンダ部21にグリースGが流出するのを防止することもできる。
【0059】
(4) この第1実施形態では、作動用グリースGHの流体圧を受けてシリンダ室21b内で駆動するピストン部21cを通じて流体圧シリンダ部21が可動部19に駆動力を伝達する。このため、作動用グリースGHの流体圧によってピストン部21cを簡単に駆動させて可動部19を容易に移動させることができる。
【0060】
(5) この第1実施形態では、可動部19の可動部側嵌合部19fと嵌合するシリンダ側嵌合部21eを流体圧シリンダ部21が備えている。このため、可動部側嵌合部19fとシリンダ側嵌合部21eとの接合及び分離が容易な構造になり、軸受蓋14とシリンダ本体部21aとを簡単に組み立てたり分解したりすることができる。
【0061】
(6) この第1実施形態では、可動部側嵌合部19fとシリンダ側嵌合部21eとの間に間隙部Δ11を有する。例えば、可動部19のガイド部19c,19dと軸受蓋14の環状充填室14bとの嵌合部は相対移動が可能なように所定の寸法公差によって製作されておりこれらの間には微小な隙間(がた)がある。また、軸受12の外輪12cとシリンダ本体部21aの貫通孔21fとの嵌合部も所定の寸法公差によって製作されておりこれらの間にも微小な隙間(がた)ある。この第1実施形態では、可動部側嵌合部19fとシリンダ側嵌合部21eとの間には、可動部19及びシリンダ本体部21aの径方向に所定の間隙部Δ11が形成されている。このため、ガイド部19c,19dと環状充填室14bとの嵌合部や外輪12cと貫通孔21fとの嵌合部に微小な隙間があっても、可動部側嵌合部19fとシリンダ側嵌合部21eとを容易に嵌合させることができる。
【0062】
(7) この第1実施形態では、可動部19の中心軸が軸受12の中心軸と同一であって可動部19が円環状の部材であり、可動部19に駆動力が複数箇所で作用するように流体圧シリンダ部21が複数配置されている。このため、小型の流体圧シリンダ部21を効率的に複数配置して可動部19にバランスよく複数箇所から駆動力を伝達し、入替給脂時に可動部19を簡単に移動させることができる。
【0063】
(8) この第1実施形態では、可動部19に駆動力が複数箇所で均等に作用するように流体圧シリンダ部21がこの可動部19を駆動する。このため、流体圧シリンダ部21が発生する駆動力が可動部19の複数箇所で均等に作用し、入替給脂時に可動部19を移動するときに、軸受蓋14の中心軸に対して可動部19の中心軸が傾くのを防止することができる。
【0064】
(9) この第1実施形態では、可動部19の周方向に等間隔に駆動力が作用するように流体圧シリンダ部21がこの可動部19を駆動する。このため、軸受蓋14の中心軸に対して可動部19の中心軸を傾かせるような駆動力が可動部19に作用するのを防ぐことができる。その結果、可動部19のガイド部19c,19dと軸受蓋14の環状充填室14bとの間に、過大な摩擦力が発生するのを防ぐことができるため、入替給脂時に可動部19を円滑に移動させることができる。
【0065】
(10) この第1実施形態では、可動部19の中心軸に対して点対称の複数箇所でこの可動部19に駆動力が作用するように流体圧シリンダ部21がこの可動部19を駆動する。このため、流体圧シリンダ部21が発生する駆動力によって、可動部19の中心に対して対称な位置が同時に押圧されるため、可動部19を傾かせるような駆動力が作用するのを防ぐことができる。
【0066】
(11) この第1実施形態では、充填室14aの外側に拡大して外側充填室14cが形成されており、可動部19の外周部から外側充填室14c内に延長部19eが伸びており、流体圧シリンダ部21が延長部19eを駆動することによって可動部19を駆動する。例えば、図4に示す延長部19eが存在しない場合には、流体圧シリンダ部21を軸受蓋14の外側に配置して可動部19を駆動する必要があるが、軸受蓋14の外側にはスペースに余裕がないため実際には流体圧シリンダ部21を配置することが困難である。この第1実施形態では、外側充填室14c内に延長部19eを突出させ、軸受12の外側に配置された流体圧シリンダ部21によってこの延長部19eを駆動することができるため、軸受蓋14の外側にスペースに余裕がなくても可動部19を簡単に駆動することができる。
【0067】
(12) この第1実施形態では、充填室14a内のグリースGと同一種類の作動用グリースGHによって流体圧シリンダ部21が可動部19を駆動する。このため、流体圧シリンダ部21から環状充填室14bに作動用グリースGHが漏出して環状充填室14b内のグリースGと混合した場合であっても、この環状充填室14b内のグリースGの成分が変化して潤滑性能が低下するのを防ぐことができる。
【0068】
(第2実施形態)
図9は、この発明の第2実施形態に係る軸受の潤滑構造の流体圧シリンダ部の断面図であり、図9(A)は可動部が下方に変位しているときの嵌合状態を示す断面図であり、図9(B)は可動部が上方に変位しているときの嵌合状態を示す断面図である。以下では、図1〜図8に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示す可動部側嵌合部19fはシリンダ側嵌合部21eのテーパ面21gと嵌合する凹状の部分である。テーパ面19hは、流体圧シリンダ部21側が広く、軸受蓋14側が狭くなるように形成された貫通孔であり、テーパ面19hの表面は円錐面状に形成されている。シリンダ側嵌合部21eは、可動部側嵌合部19fのテーパ面19hと嵌合する凸状の部分である。テーパ面21gは、先端部側が細く後端部側が太くなるように形成された突起部であり、テーパ面21gの表面はテーパ面19hと同じ傾斜角度で円錐面状に形成されている。テーパ面19h,21gは、可動部側嵌合部19fとシリンダ側嵌合部21eとが嵌合するときに、可動部側嵌合部19fとシリンダ側嵌合部21eとをガイドするガイド部として機能する。この第2実施形態では、可動部側嵌合部19fとシリンダ側嵌合部21eとの間に相対的な位置づれ(変位)があっても、ピストン部21cが前進したときにテーパ面19hによってテーパ面21gがガイドされる。このため、可動部側嵌合部19fとシリンダ側嵌合部21eとを容易に嵌合させて可動部19を移動させることができる。
【0069】
(第3実施形態)
図10は、この発明の第3実施形態に係る軸受の潤滑構造の流体圧シリンダ部の断面図であり、図10(A)は初期状態の断面図であり、図10(B)は入替給脂後の断面図である。図11は、図10のXI部分を拡大して示す断面図であり、図11(A)は初期状態の断面図であり、図11(B)は入替給脂後の断面図である。
図10に示す軸受蓋14Aは、軸受12の一方の端面側からグリースGを供給する充填室14aを備えており、軸受蓋14Bは軸受12の他方の端面側からグリースGを供給する充填室14aを備えており、軸受蓋14A,14Bは図4に示す軸受蓋14と同一構造である。図10に示す潤滑構造18は、図4に示すような軸受12の外側(軸受蓋14側)に可動部19を備える潤滑構造18とは異なり、軸受12の外側及び内側(軸受蓋14A側及び軸受蓋14B側)に可動部19A,19Bをそれぞれ備えている。潤滑構造18は、図10に示す可動部19A,19Bと、排出部20A,20Bと、図10及び図11に示す流体圧シリンダ部21A,21Bと、図7に示す流路22と、図11に示す密着阻止部23などを備えている。
【0070】
図10に示す可動部19Aは、軸受蓋14A側の充填室14a内で移動し、可動部19Bは軸受蓋14B側の充填室14a内で移動する。排出部20A,20Bは、可動部19Aが軸受12から離れる方向に移動したときに、未劣化のグリースGNを軸受12に向かって排出する。流体圧シリンダ部21A,21Bは、可動部19A,19Bをそれぞれ駆動し、同一面積の受圧部21dを備えている。流路22は、流体圧シリンダ部21A,21Bに作動用グリースGHを供給する。図11に示す密着阻止部23は、流体圧シリンダ部21A,21Bの受圧部21dに作動用グリースGHの流体圧が作用するように、これらの受圧部21dの間に所定の間隙部を形成してこれらの受圧部21dが密着するのを阻止する部分である。密着阻止部23は、2つのシリンダ室21bを区画するようにこのシリンダ室21bの内周面に形成された突起部であり、流路22の下流側の開口部の下方に配置されている。密着阻止部23は、流路22から流入する作動用グリースGHの流体圧が流体圧シリンダ部21A,21Bの受圧部21dに作用するように、これらの受圧部21dを強制的に離間させてこれらの受圧部21dが密着するのを阻止するストッパとして機能する。可動部19A,19B、排出部20A,20B及び流体圧シリンダ部21A,21Bは、図4に示す可動部19、排出部20及び図4及び図5に示す流体圧シリンダ部21と同一構造であり、図10及び図11では可動部19、排出部20及び流体圧シリンダ部21と同一の部分ついては同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0071】
次に、この発明の第3実施形態に係る軸受の潤滑構造の作用を説明する。
図10に示すように、入替給脂時には、軸受12から離れる方向に可動部19A,19Bが移動するように、図1に示す給脂栓6を取り外し流入口から流路4bに作動用グリースGHを注入すると、流路16fを作動用グリースGHが通過して流路22に流入する。図11に示すように、流路22の下流側の開口部において、作動用グリースGHの流れが2つに分かれ、流体圧シリンダ部21A側のシリンダ室21bに作動用グリースGHが流路22から流入するとともに、流体圧シリンダ部21B側のシリンダ室21bに作動用グリースGHが流路22から流入する。作動用グリースGHの注入量が増加するに従って、流体圧シリンダ部21A,21Bのシリンダ室21b内の内圧がそれぞれ同時に上昇し、それぞれのピストン部21cの受圧部21dに加わる流体圧も上昇する。各ピストン部21cの受圧部21dがいずれも同一面積であるため、各ピストン部21cの受圧部21dには同時に同じ大きさの流体圧が加わり、ピストン部21cが同時に駆動を開始する。可動部19A,19Bにはこれらの可動部19A,19Bの中心軸に対して点対称の位置に流体圧シリンダ部21A,21Bから駆動力が作用する。その結果、軸受12から離れる方向に可動部19A,19Bがそれぞれ略同時に移動を開始する。
【0072】
この発明の第3実施形態に係る軸受の潤滑構造には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、軸受蓋14A側の充填室14a内で可動部19Aが可動し、この可動部19Aを流体圧シリンダ部21Aが駆動するとともに、軸受蓋14B側の充填室14a内で可動部19Bが可動し、この可動部19Bを流体圧シリンダ部21Bが駆動する。その結果、軸受12の一方の端面側と他方の端面側とからグリースGを供給することができるため、潤滑効果をより一層十分に図り潤滑寿命をより一層延伸させることができる。
【0073】
(2) この第3実施形態では、流体圧シリンダ部21Aと流体圧シリンダ部21Bとに作動用グリースGHを流路22が外部から供給する。このため、一つの流路22から流体圧シリンダ部21A,21Bに作動用グリースGHを同時に供給し、可動部19A,19Bを同時に駆動することができる。その結果、可動部19A,19Bをそれぞれ独立して駆動するために複雑な配管などを施工する必要がなくなって簡単でコンパクトな構造にすることができる。また、入替給脂時までの使用状態により作動用グリースGHの劣化状態に差が生じると、流体圧シリンダ部21A,21Bに作用する作動用グリースGHの流体圧が流体圧シリンダ部21Aと流体圧シリンダ部21Bとで異なる場合がある。この場合には、例えば、より低い流体圧で一方の流体圧シリンダ部21Aが先に駆動したとすると、この流体圧シリンダ部21Aが停止した時点で、流体圧シリンダ部21A,21Bの圧力が上昇し、他方の流体圧シリンダ部21Bを駆動するために十分な流体圧に達すると、この流体圧シリンダ部21Bが駆動を始める。このように、流体圧シリンダ部21A,21Bの流体圧室が一つのシリンダ室21bによって連通しているため、流体圧シリンダ部21A,21Bを双方同時であっても片方ずつであっても駆動することができる。
【0074】
(3) この第3実施形態では、流体圧シリンダ部21A,21Bの受圧部21dに作動用グリースGHの流体圧が作用するように、これらの受圧部21dの間に密着阻止部23が所定の間隙部を形成してこれらの受圧部21dが密着するのをこの密着阻止部23が阻止する。このため、流体圧シリンダ部21A側の受圧部21dと流体圧シリンダ部21B側の受圧部21dとの間に密着阻止部23が強制的に隙間を形成し、これらの受圧部21d同士が密着して作動用グリースGHの流体圧が作用せず可動部19が動作不能になるのを防ぐことができる。
【0075】
(第4実施形態)
図12は、この発明の第4実施形態に係る軸受の潤滑構造の流体圧シリンダ部の断面図であり、図12(A)は流体圧作用部が円柱状である場合の断面図であり、図12(B)は流体圧作用部が円錐状である場合の断面図である。
図12に示す潤滑構造18は、流体圧作用部24A,24Bを備えており、この流体圧作用部24A,24Bは流体圧シリンダ部21A,21Bの受圧部21dに作動用グリースGHを同時に作用させる部分である。流体圧作用部24A,24Bは、流体圧シリンダ部21A側の受圧部21dと流体圧シリンダ部21B側の受圧部21dとの間に所定の間隙部Δ12を形成する。流体圧作用部24Aは、流体圧シリンダ部21A側のピストン部21cの後端部に形成されており、流体圧作用部24Bは流体圧シリンダ部21B側のピストン部21cの後端部に形成されている。流体圧作用部24A,24Bは、いずれも同一形状の凸部であり、先端部同士を突き合わせた状態でシリンダ室21b内に収容されており、突き合せ位置が管路22の中心線上と略一致している。流体圧作用部24A,24Bは、作動用グリースGHが間隙部Δ12に流入するように、ピストン部21cの後端面(底部)から突出している。流体圧シリンダ部21A,21Bは、例えば、図12(A)に示すように、ピストン部21cよりも外径が小さい円柱状の突起部や、図12(B)に示すようにピストン部21cの直径と底面の直径とが同一である円錐状の突起部などである。流体圧シリンダ部21A,21Bは、図12(B)に示すように、先端部同士の接触面積が小さくなるような後端部形状に形成して、受圧部21dに作用する流体圧が可能な限り高くなるようにすることが好ましい。
【0076】
次に、この発明の第4実施形態に係る軸受の潤滑構造の作用を説明する。
図12に示すように、入替給脂時には、流体圧シリンダ部21A側のシリンダ室21bと流体圧シリンダ部21B側のシリンダ室21bとに流路22から作動用グリースGHが流入する。流体圧シリンダ部21A側の受圧部21dと流体圧シリンダ部21B側の受圧部21dとの間には間隙部Δ12が形成されているため、作動用グリースGHがこの間隙部Δ12に流入し、この作動用グリースGHの流体圧が受圧部21dに作用する。各ピストン部21cの受圧部21dがいずれも同一面積であるため、各ピストン部21cの受圧部21dには同時に同じ大きさの流体圧が加わり、ピストン部21cが同時に駆動を開始する。その結果、図10に示すように、軸受12から離れる方向に可動部19A,19Bがそれぞれ略同時に移動を開始する。
【0077】
この発明の第4実施形態に係る軸受の潤滑構造には、第1実施形態〜第3実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第4実施形態では、流体圧シリンダ部21A,21Bの同一面積の受圧部21dに作動用グリースGHを流体圧作用部24A,24Bが同時に作用させる。このため、流体圧シリンダ部21A,21Bが発生する駆動力を可動部19A,19Bに同時に作用させることができるため、軸受12の一方の端部と他方の端部とから同時にグリースGを均一に供給することができる。
【0078】
(2) この第4実施形態では、流体圧シリンダ部21A側の受圧部21dと流体圧シリンダ部21B側の受圧部21dとの間に流体圧作用部24A,24Bが所定の間隙部Δ12を形成する。このため、作動用グリースGHを間隙部Δ12に簡単に浸入させることができ、この作動用グリースGHの流体圧を受圧部21dに作用させて可動部19A,19Bを確実に駆動させることができる。
【0079】
(第5実施形態)
図13は、この発明の第5実施形態に係る軸受の潤滑構造の流体圧シリンダ部の断面図であり、図13(A)は流体圧作用部が円錐状である場合の断面図であり、図13(B)は流体圧作用部が平面状である場合の断面図である。
図13に示す潤滑構造18は、流体圧作用部24A〜24Cを備えており、この流体圧作用部24A〜24Cは流体圧シリンダ部21A,21Bの受圧部21dに作動用グリースGHを同時に作用させる部分である。流体圧作用部24A〜24Cは、流体圧シリンダ部21A側の受圧部21dと流体圧シリンダ部21B側の受圧部21dとの間に所定の間隙部Δ12を形成する。流体圧作用部24A,24Bは、流体圧作用部24Cに端部を接触させた状態でシリンダ室21b内に収容されている。流体圧作用部24A,24Bは、例えば、図13(A)に示すように、ピストン部21cの直径と底面の直径とが同一である円錐状の突起部や、図13(B)に示すようにピストン部21cの中心軸に対して垂直である平面状の端面部などである。流体圧作用部24Cは、流体圧作用部24Aの端部と流体圧作用部24Bの端部との間に挟み込まれており、流体圧シリンダ部21A側のシリンダ室21bと流体圧側シリンダ部21Bのシリンダ室21bとに区画するようにこのシリンダ室21bの内周面に形成された壁部である。流体圧作用部24Cは、分流部24aを備えており、流路22の下流側の開口部の断面を先端部が2等分するように配置されている。流体圧シリンダ部21A〜21Cは、図13(A)に示すように、互いに接触する端面の接触面積が小さくなるような端部形状に形成して、受圧部21dに作用する流体圧が可能な限り高くなるようにすることが好ましい。
【0080】
分流部24aは、流路22から流入する作動用グリースGHの流れを分ける部分である。分流部24aは、流体圧シリンダ部21Aに流入する作動用グリースGHの流量と、流体圧シリンダ部21Bに流入する作動用グリースGHの流量とが同一になるように、流路22の下流側の端部から流入する作動用グリースGHの流れを2つに分ける。分流部24aは、2つのシリンダ室21bを区画するようにこのシリンダ室21bの内周面に形成された壁部であり、流路22の下流側の開口部の断面を先端部が2等分するようにシリンダ室21b内に配置されている。
【0081】
次に、この発明の第5実施形態に係る軸受の潤滑構造の流体圧シリンダ部の加工方法を説明する。
図13(A)に示すように、流体圧作用部24A,24Bの後端部形状が円錐状である場合には、2つのシリンダ室21bの間に壁部が残存するように、切刃形状が平坦なドリルによってシリンダ本体部21aの両端面を所定深さだけ切削する。また、2つのシリンダ室21bと流路22とが連通するように、切刃形状が平坦なドリルによってシリンダ本体部21aの外周面を所定深さだけ切削する。その結果、板状の流体圧作用部24Cが2つのシリンダ室21bの間に形成される。一方、図13(B)に示すように、流体圧作用部24A,24Bの後端部形状が平面状である場合には、2つのシリンダ室21bの間に壁部が残存するように、切刃形状が鋭角なドリルによってシリンダ本体部21aの両端面を所定深さだけ切削する。また、2つのシリンダ室21bと流路22とが連通するように、同様に切刃形状が鋭角なドリルによってシリンダ本体部21aの外周面を所定深さだけ切削する。その結果、山形の流体圧作用部24Cが2つのシリンダ室21bの間に形成される。
【0082】
次に、この発明の第5実施形態に係る軸受の潤滑構造の作用を説明する。
図1に示す給脂栓6を取り外し流入口から流路4bに作動用グリースGHを注入すると、流路16fを作動用グリースGHが通過して流路22に流入する。図13に示すように、流路22の下流側の開口部には分流部24aが配置されているため、作動用グリースGHの流れが分流部24aによって2つに分かれ、流体圧シリンダ部21A側のシリンダ室21bに作動用グリースGHが流路22から流入するとともに、流体圧シリンダ部21B側のシリンダ室21bに作動用グリースGHが流路22から流入する。作動用グリースGHの注入量が増加するに従って、流体圧シリンダ部21A,21Bのシリンダ室21b内の内圧がそれぞれ同時に上昇し、それぞれのピストン部21cの受圧部21dに加わる流体圧も上昇する。各ピストン部21cの受圧部21dがいずれも同一面積であるため、各ピストン部21cの受圧部21dには同時に同じ大きさの流体圧が加わり、ピストン部21cが同時に駆動を開始する。可動部19A,19Bにはこれらの可動部19A,19Bの中心軸に対して点対称の位置に流体圧シリンダ部21A,21Bから駆動力が作用する。その結果、軸受12から離れる方向に可動部19A,19Bがそれぞれ略同時に移動を開始する。
【0083】
(第6実施形態)
図14は、この発明の第6実施形態に係る軸受の潤滑構造を備える電動機枠体及びシャフトの断面図である。
図14に示すブラケット4は、グリースGを充填するときにこのグリースGが流入する流路4cを備えている。給脂栓6,7は、流路4c,17fの流入口にそれぞれねじ込まれてこれらの流入口を開閉自在に塞ぐ部材であり、給脂栓6,7にはこれらの流入口の内側に形成された雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部が形成されている。軸受蓋16は、流路16dと供給口16eとを備えている。流路16dは、グリースGを充填するときにこのグリースGが流入する部分であり、一方の端部(上流側)がブラケット4の流路4cと接続し、他方の端部(下流側)が軸受12に向かって開口している。供給口16eは、軸受12を通過して環状充填室14bにグリースGを供給するための開口部である。軸受蓋17は、供給口17eと流路17fとを備えている。供給口17eは、軸受13を通過して環状充填室15bにグリースGを供給するための開口部である。流路17fは、グリースGを充填するときにこのグリースGが流入する部分であり、一方の端部(上流側)が給脂栓7を装着する流入口と接続し、他方の端部(下流側)が軸受13に向かって開口している。
【0084】
次に、この発明の第6実施形態に係る軸受の潤滑構造の作用を説明する。
初期状態では、可動部19の底部と環状充填室14b,15bの底部との間にグリースGが封入されていない。入替給脂時に流路4b,17dに作動用グリースGHを供給すると、軸受12,13から離れる方向に可動部19が劣化後のグリースGOとともに移動して、可動部9と軸受12,13との間に間隙部が形成される。その後に、流路4c,16d,17fから未劣化のグリースGNを注入すると、供給口16e、17eから軸受12,13を通過して、可動部9と軸受12,13との間の間隙部にこの未劣化のグリースGNが充填される。
【0085】
この第6実施形態に係る軸受の潤滑構造には、第1実施形態〜第5実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第6実施形態では、可動部19が劣化後のグリースGOを軸受12,13から離す。このため、軸受12,13と可動部19との間に間隙部を形成し、この間隙部に外部から未劣化のグリースGNを給脂することができる。
【0086】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、半固体状潤滑剤としてグリースGを例に挙げて説明したがグリースGに限定するものではなく、使用温度で半固体状であるギヤコンパウンド、ペトロラタム(ワセリン)などの他の半固体状潤滑剤についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、鉄道車両の主電動機のシャフト1を支持する軸受12,13を例に挙げて説明したがこれに限定するものではなく、発電所のタービンなどのシャフトを支持する軸受などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、軸受12,13が玉軸受又はころ軸受である場合を例に挙げて説明したが、他の形式の転がり軸受についてもこの発明を適用することができる。特に、鉄道車両の主電動機の軸受に限らず、長時間にわたり非解体で使用されグリースGによって潤滑される転がり軸受について、この発明を適用することができる。
【0087】
(2) この実施形態では、流体圧シリンダ部21,21A,21Bに作用する作動流体が作動用グリースGHである場合を例に挙げて説明したが、グリース以外に油、水などの液体又は空気などの気体を作動流体として使用することもできる。また、この実施形態では、可動部側嵌合部19fに凹部を形成し、シリンダ側嵌合部21eに凸部を形成した場合を例に挙げて説明したが、可動部側嵌合部19fに凸部を形成し、シリンダ側嵌合部21eに凹部を形成することもできる。
【0088】
(3) この実施形態では、排出部20,20A,20Bがガイド部20bを備える場合を例に挙げて説明したが、ガイド部20bを省略して劣化後のグリースGOを押し退けるように未劣化のグリースGNを流入口20aから排出することもできる。また、この実施形態では、排出部20,20A,20Bを複数配置した場合を例に挙げて説明したが、排出部20,20A,20Bの設置個数、設置間隔及び設置面積などを限定するものではなく、可動部19,19A,19Bの動作を妨げず、かつ、未劣化のグリースGNがある程度の勢いを持って移動可能なようにこれらの設置条件を任意に変更することができる。さらに、この実施形態では、ガイド部20bの先端面と軸受12の端面とを一致させる場合を例に挙げて説明したが、保持器12bと接触しない範囲内でこのガイド部20bの先端面を高くすることもできる。
【0089】
(4) この実施形態では、軸受12の内輪12dと保持器12bとの間の間隙部S11に排出口20cを位置づける場合を例に挙げて説明したが、軸受12の形式や種類に応じて排出口20cの位置を任意に変更したりすることもできる。また、この実施形態では、可動部19,19A,19Bの内周部の周方向に間隔をあけて排出部20,20A,20Bを配置する場合を例に挙げて説明したがこれに限定するものではない。例えば、可動部19,19A,19Bの内周部の周方向に排出部20,20A,20Bを連続して配置したり、可動部19,19A,19Bの中央部の周方向に間隔をあけて排出部20,20A,20Bを配置したりすることもできる。さらに、この実施形態では、ガイド部20bの断面形状が略長方形である場合を例に挙げて説明したが、円形、多角形、三角形、楕円形又はこれらを任意に組み合わせた断面形状にすることもできる。
【0090】
(5) この実施形態では、流体圧シリンダ部21,21A,21Bをそれぞれ2つ配置する場合を例に挙げて説明したが、これらの流体圧シリンダ部21,21A,21Bをそれぞれ3つ以上配置することもできる。例えば、流体圧シリンダ部21,21A,21Bを偶数個配置する場合には可動部19,19A,19Bの中心軸に対して点対称に配置し、流体圧シリンダ部21,21A,21Bを奇数個配置する場合には可動部19,19A,19Bの周方向に等間隔に配置することができる。また、この第1実施形態では、流体圧シリンダ部21の一方のピストン部21cの受圧部21dと他方のピストン部21cの受圧部21cとがこのピストン部21cの軸方向において略同一位置になるように、シリンダ本体部21aの中心軸に対して点対称に二つのピストン部21cを配置した場合を例に挙げて説明したがこのような場合に限定するものではない。例えば、一方のピストン部21cの受圧部21dと他方のピストン部21cの受圧部21cとがこのピストン部21cの軸方向において前後にずれていてもよい。
【0091】
(6) この第1実施形態及び第2実施形態では、可動部側嵌合部19f及びシリンダ側嵌合部21eの断面形状が長方形、三角形である場合を例に挙げて説明したが、これらの形状に限定するものではなく他の形状にすることもできる。また、この第1実施形態及び第2実施形態では、軸受蓋14,15側に潤滑構造18を適用した場合を例に挙げて説明したが、軸受蓋16,17側についてもこの発明を適用することができる。さらに、この第3実施形態〜第5実施形態では、軸受12の両端部に軸受蓋14A,14Bを配置した場合を例に挙げて説明したが、軸受13の両端部に軸受蓋14A,14Bと同一構造の軸受蓋を配置することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1 シャフト
2 電動機枠体
6,7 給脂栓
12,13 軸受
14〜17,14A,14B 軸受蓋
14a,15a 充填室
14b,15b 環状充填室
14c,15c 外側充填室
18 潤滑構造
19,19A,19B 可動部
19a 保持部
19e 延長部
19f 可動部側嵌合部
19h テーパ面
20,20A,20B 排出部
21,21A,21B 流体圧シリンダ部
21a シリンダ本体部
21b シリンダ室
21c ピストン部
21e シリンダ側嵌合部
21g テーパ面
22 流路(供給流路)
23 密着阻止部
24A,24B,24C 流体圧作用部
24a 分流部
G グリース(半固体状潤滑剤)
O 劣化後のグリース(劣化後の半固体状潤滑剤)
N 未劣化のグリース(未劣化の半固体状潤滑剤)
H 作動用グリース(作動流体)
11 間隙部
Δ11,Δ12 間隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半固体状潤滑剤によって軸受を潤滑する軸受の潤滑構造であって、
前記半固体状潤滑剤が充填される充填室内で移動する可動部と、
作動流体の流体圧によって駆動力を発生し、前記可動部にこの駆動力を伝達してこの可動部を駆動する流体圧シリンダ部とを備え、
前記流体圧シリンダ部は、前記充填室外で前記駆動力を発生しこの充填室外から前記可動部にこの駆動力を伝達すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受の潤滑構造において、
前記流体圧シリンダ部は、前記可動部の可動部側嵌合部と嵌合するシリンダ側嵌合部を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項3】
請求項2に記載の軸受の潤滑構造において、
前記流体圧シリンダ部は、前記可動部側嵌合部と前記シリンダ側嵌合部との間に間隙部を有すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の軸受の潤滑構造において、
前記シリンダ側嵌合部は、凸状又は凹状のテーパ面を有し、
前記可動部側嵌合部は、前記シリンダ側嵌合部のテーパ面と嵌合する凹状又は凸状のテーパ面を有すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記可動部は、この可動部の中心軸が前記軸受の中心軸と同一である円環状の部材であり、
前記流体圧シリンダ部は、前記可動部に前記駆動力が複数箇所で作用するように複数配置されていること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記流体圧シリンダ部は、前記可動部に前記駆動力が複数箇所で均等に作用するようにこの可動部を駆動すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記流体圧シリンダ部は、前記可動部の周方向に等間隔に前記駆動力が作用するようにこの可動部を駆動すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記流体圧シリンダ部は、前記可動部の中心軸に対して点対称の複数箇所でこの可動部に前記駆動力が作用するようにこの可動部を駆動すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記充填室は、この充填室の外側に拡大して形成された外側充填室を備え、
前記可動部は、この可動部の外周部から前記外側充填室内に伸びる延長部を備え、
前記流体圧シリンダ部は、前記延長部を駆動することによって前記可動部を駆動すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記可動部は、
前記軸受の一方の端面側から前記半固体状潤滑剤を供給する充填室内で移動する第1の可動部と、
前記軸受の他方の端面側から前記半固体状潤滑剤を供給する充填室内で移動する第2の可動部とを備え、
前記流体圧シリンダ部は、
前記第1の可動部を駆動する第1の流体圧シリンダ部と、
前記第2の可動部を駆動する第2の流体圧シリンダ部とを備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項11】
請求項10に記載の軸受の潤滑構造において、
前記第1の流体圧シリンダ部と前記第2の流体圧シリンダ部とに前記作動流体を外部から供給する供給流路を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の軸受の潤滑構造において、
前記第1及び前記第2の流体圧シリンダ部の受圧部に前記作動流体の流体圧が作用するように、これらの受圧部の間に所定の間隙部を形成してこれらの受圧部が密着するのを阻止する密着阻止部を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項13】
請求項12に記載の軸受の潤滑構造において、
前記第1及び前記第2の流体圧シリンダ部は、同一面積の受圧部を有し、
前記第1及び前記第2の流体圧シリンダ部の受圧部に前記作動流体を同時に作用させる流体圧作用部を備えること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項14】
請求項13に記載の軸受の潤滑構造において、
前記流体圧作用部は、前記第1の流体圧シリンダ部側の受圧部と前記第2の流体圧シリンダ部側の受圧部との間に所定の間隙部を形成すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項15】
請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記流体圧シリンダ部は、前記充填室内の半固体状潤滑剤と同一種類の作動流体の流体圧によって前記可動部を駆動すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記可動部は、劣化後の半固体状潤滑剤を前記軸受から離すこと、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項17】
請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記可動部は、前記充填室内で移動することによって、前記軸受に近い側の劣化後の半固体状潤滑剤をこの軸受から離し、前記軸受から遠い側の未劣化の半固体状潤滑剤をこの軸受に近づけること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項18】
請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
を特徴とする軸受の潤滑構造。
【請求項19】
請求項1から請求項18までのいずれか1項に記載の軸受の潤滑構造において、
前記流体圧シリンダ部は、前記作動流体の流体圧を受けてシリンダ室内で駆動するピストン部を通じて前記可動部に前記駆動力を伝達すること、
を特徴とする軸受の潤滑構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−79725(P2013−79725A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281927(P2012−281927)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2009−75398(P2009−75398)の分割
【原出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】