説明

軸受装置の応力を検出する方法

本発明は軸受装置(5,17)の応力を検出する測定装置(1,16)に関し、応力が弾性変形により測定可能であり、測定装置(1,16)が、少なくとも1つの光通路(4,19)へ向けられる少なくとも1つの光源(2,20)の光及び少なくとも1つの光センサ(3,21)を持ち、光通路(4,19)を通って光センサ(3,21)へ当たる光(23)の少なくとも一部が、光通路(4,19)の弾性変形により大きさを変化可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受装置の応力を検出する測定装置であって、応力が弾性変形により測定可能であるものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような測定装置はドイツ連邦共和国特許出願公告第2642044号明細書に記載されている。転がり軸受の静的及び動的応力は、ひずみ計により費用のかかる形で求められる。軸受の応力を評価するための特性量は、軸受自体の弾性変形である。一般に荷重を受けて転がり接触するレースの変形は、ひずみ計により検出される。そのためひずみ計が荷重を受けるレースに直接取付けられている。このセンサ装置は、軸受に組込み空間を必要とし、環境の影響に対して保護せねばならない。従ってこのような装置は一般に費用がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って本発明の課題は、簡単かつ安価で周囲の影響に対して比較的鈍感な測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の対象によれば、次の特徴を持つ光学的測定装置によって解決される。
測定装置は少なくとも1つの光源を持っている。例えば発光ダイオード、レーザ光源、赤外光源、電灯等のようなすべての工業的光源が考えられる。光の種類、一般に光束は択一的に選択可能であり、選ばれる光源に関係している。
測定装置は、目的に合うように軸受装置の近くに設けられる少なくとも1つ又は複数の光通路を持っている。光通路は例えば間隙、スリット又は穴又は異なるように形成される光用通路である。光通路の縁において、光源の光の一部が引止められる。光の他の部分は通路を通り、妨げられることなく、光センサ又は反射鏡へ当たる。光通路の通路断面は、光通路を区画する縁の変形によって変化する。縁を変形することなく初期位置に対して移動させ、それにより光通路を変化することも考えられる。軸受の応力は、少なくとも光通路が形成されている範囲において、支持体の材料を弾性変形させる。その結果互いに対向して光通路を区画する縁が、互いに近づくか又は離れる。絞りの自由開口は、軸受に及ぼされる応力の大きさと同じように変化する。
応力は、回転運動又は直線運動可能な部材の支持の結果生じて軸受に作用するすべての作用力及び反作用力である。
センサは、光源に関係して、感光抵抗、ホトダイオード、ホトトランジスタ等のような光のすべての適当な技術的変換器である。
支持体は、軸受装置により可動に支持される部材と軸受装置又は支持体との間にあるか、又は支持体は部材を持つ軸受装置を周囲に対して支持している。第1の場合応力は、部材から支持体を介して軸受装置へ伝達される。その例として支持体は、ジャーナルと軸を回転可能に支持する回転軸受の内レースとの間に半径方向にはまっている。最後にあげた場合、応力は部材からまず軸受装置へ、それから支持体へ伝達される。その例は軸受フランジ又はハウジングと軸受との間にあってハウジングに固定した軸受支持体であり、この軸受に部材が少なくとも回転/直線軸受により支持されている。
【0005】
本発明による装置は簡単かつ頑丈に形成され、かつ安価に製造される。こうして本発明の構成が意図しているように、光通路をアダプタ又は支持環に形成することが考えられる。支持環はプラスチック又は他の適当な材料から任意に製造されて、光通路を設けられることができる。光源及びセンサから成るセンサ装置及びそれ以外の必要な電気又は電子部材は、支持環から分離して設けられるか、又は選択的にこの中に統合されている。
【0006】
軸受装置とは、回転軸受又は直線軸受又は選択的にこれらの組合わせを意味し、1つ又は複数の部材を回転運動可能に又は直線移動可能に支持する。測定装置はなるべく回転軸受、滑り軸受又は転がり軸受に使用されている。
【0007】
本発明による装置を持つ軸受の使用のため軸受の別の製造技術的準備は必要でない。すべての任意のラジアル軸受又はスラスト軸受又はこれらの組合わせの使用が考えられる。測定装置の主要な構成部分はアダプタ環に統合可能である。アダプタ環は、それが例えばプラスチックから形成されている場合、既に存在する周囲構造に任意に合わせることができる。光通路と応力を受ける軸受の空間的距離のため、軸受個所の応力は、レースにおける弾性変形が測定値に及ぼす影響なしに、測定可能である。しかし軸受への適当な近さ及び光通路の範囲における支持体の充分な可撓性において、このような変形も測定装置で一緒に検出可能である。測定装置は、小さい荷重から大きすぎる荷重までの範囲における軸受荷重の検出を可能にし、従って例えば不平衡の検出を可能にする。
【0008】
測定装置は、過負荷による破壊に対して保護されている。このような場合例えば光通路を持つ弾性範囲は、支持体の剛性部分と直列又は並列に接続されている。剛性支持体は過負荷を保護するように過負荷を吸収する。光通路の大きさ即ち間隙自体の高さによってこのような過負荷防止を規定することも考えられる。その場合特定の荷重を超過すると、例えば間隙の所で互いに対向する縁が互いに当たるので、光通路の間隙寸法が少なくとも所々で零となる。
【0009】
本発明の別の構成によれば、少なくとも光センサ及び光源、接続素子及びそれ以外の電子モジュールから成るセンサ装置/測定装置が、選択的に構造単位として例えば基板上に予め組立てられている。構造単位は、測定装置の組立の際支持環へ差込まれる。
【0010】
光の変化する輝度、光源又は光センサの老化、電流供給の変動、及び温度及び空気湿度等のような周囲の影響は、測定結果に影響し、場合によっては測定結果を誤らせる。従って測定装置は一般に光センサに対する別の比較センサを持ち、かつ/又は更に光源に対する比較光源を備えているので、実際値と目標値との比較を永続的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1a及び1bは、軸受装置5の応力を検出する測定装置を、軸受装置5の回転軸線5aに沿う縦断面図で示している。図1aにおいて、測定装置1は最終組立ての前で示され、図1bにおいて、組立の終わった構造群として示されている。この場合軸受装置5はラジアル軸受例えば転がり軸受又は滑り軸受である。測定装置11は、少なくとも1つの光源2、少なくとも1つの光センサ3及び少なくとも1つの光通路4を持っている。光通路4は、軸受装置5から空間的に分離して、少なくとも部分的に弾性的に撓みかつ軸受装置5に連結される支持環6aの形の支持体6に形成されている。ラジアル軸受は支持環6aに収容されている。支持環6aは、例えば回転軸受の外レースとの複合部分である。図示しない外レースは、複合を行うため、支持環6aのプラスチックを周りに射出成形されている。支持環を外レース上へ押しはめることも考えられる。
【0012】
光源2及び光センサ3は、共通な基板上に、別の電子モジュール8及び導体又は接続素子9と共に、単位体10となるように組立てられている。支持環6aは室11及び別の室12を持っている。室11及び12は、支持環6aの放射状橋絡片13により互いに分離されている。橋絡片13には光通路4が形成されている。橋絡片13は半径方向に少なくとも弾性的に撓むように形成されて、光通路4の半径方向間隙寸法Sが、軸受装置5の応力に応じて変化するようにしている。測定装置1の組立の際、単位体10が室11へ差込まれ、支持環6aに取付けられる。室11は端面を蓋14で閉鎖され、この蓋は導体の接続のため押圧接触部を持つことができ、選択的に室11を水密に閉鎖する。
【0013】
光源2は橋絡片13を通って室12へ入り込んでいる。室12内で橋絡片13に反射鏡15が軸線方向に対向し、光通路4へ向けられている。室12も端面を蓋14で閉鎖され、この蓋に反射鏡15が取付けられるか、又は選択的に被覆により設けられる。光センサ3は、反射鏡15により光通路4へ向けて反射されて光通路4を通過する光源2の光の部分を検出する。
【0014】
図2は、軸受装置17の応力を検出する別の実施例を示す。軸受装置は、支持環18aの形の定置支持体18により包囲されている。軸受装置17により、軸端22のみを示した軸が回転可能に支持されている。支持環18aは例えばプラスチックから作られている。支持環18a内に軸受装置17から空間的に分離して、少なくとも1つの光通路19が形成され、少なくとも1つの光源20及び光センサ21がそれぞれこの光通路に対応している。
【0015】
軸受装置17の応力は、SからSx又はその逆への光通路19の間隙寸法の変化により検出可能である。間隙寸法Sは、応力F従って光通路の範囲で支持環18aに生じる弾性変形に関係している。支持体18外で光通路19へ向けられる光源20の光23の一部27が、光通路19を通過する。間隙寸法SないしSxの大きさ従って応力例えば力Fに関係する光22の部分23が、光源20とは反対の側で光センサ21により検出され、評価装置26により読取られ、導体24を介して転送される。センサ装置は破線で示すハウジング25に収容されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】 最終組立の前の測定装置を示す。
【図1b】 組立の終わった測定装置を示す。
【図2】 測定装置の別の実施例を示す。
【符号の説明】
【0017】
1 測定装置
2 光源
3 光センサ
4 光通路
5 軸受装置
5a 回転軸線
6 支持体
6a 支持環
7 基板
8 モジュール
9 接続素子
10 単位体
11 室
12 室
13 橋絡片
14 蓋
15 反射鏡
16 測定装置
17 軸受装置
18 支持体
18a支持環
19 光通路
20 光源
21 光センサ
22 軸端
23 光
24 導体
25 ハウジング
26 評価装置
27 成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受装置(5,17)の応力を検出する測定装置(1,16)であって、応力が弾性変形により測定可能であり、測定装置(1,16)が、少なくとも1つの光通路(4,19)へ向けられる少なくとも1つの光源(2,20)及び少なくとも1つの光センサ(3,21)を持ち、光通路(4,19)を通って光センサ(3,21)へ当たる光(23)の少なくとも一部が、光通路(4,19)の弾性変形により大きさを変化可能であり、光通路(4,19)が、軸受装置(5,17)から空間的に分離して、少なくとも部分的に弾性的に撓み、かつ軸受装置(5,17)に連絡される支持体(6,18)に形成され、軸受装置(5,17)へ加わる応力により弾性変形可能である、測定装置。
【請求項2】
軸受装置(5,17)が応力に抗して少なくとも支持体(6,18)の部分に支持され、この部分に光通路(4,19)が形成されている、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
光通路(4,19)を持つ支持体(6,18)が軸受装置(5,17)用の支持環(6a,18a)であり、軸受装置(5,17)が回転軸受である、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
軸受装置(5,17)が支持環(6a,18a)に収容されている、請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
測定装置が支持環(6a)に統合されている、測定装置。
【請求項6】
少なくとも光源(2)及び光センサ(3)から成りかつ支持環(6a)へ差込み可能な単位体(10)を有する、請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
光源(2)用の少なくとも1つの支持基板(7)、光センサ(3)及び接続素子(9)から成りかつ支持環(6a)へ差込み可能な単位体を有する、請求項5に記載の測定装置。
【請求項8】
支持環(6a,18a)がプラスチックから成り、軸受装置(5,17)に固定している、請求項3に記載の測定装置。
【請求項9】
支持環(6a)にあって軸受装置(5)から半径方向に延びる少なくとも1つの橋絡片(13)を持ち、この橋絡片(13)が少なくとも1つの光通路(4)を持っている、請求項3に記載の測定装置。
【請求項10】
光源(20)と少なくとも1つの光センサ(21)が、支持環(18a)により互いに分離されて互いに対向して、光(23)の少なくとも一部が光通路(19)を通って光センサ(21)へ向けられている、請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
光源(2)及び少なくとも1つの光センサ(3)が、反射鏡(15)に対向して、光が反射鏡(15)により少なくとも一部光センサ(3)の方へ反射可能である、請求項8に記載の測定装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−512690(P2008−512690A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532755(P2007−532755)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001425
【国際公開番号】WO2006/026948
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(506420843)シエフレル・コマンデイトゲゼルシヤフト (80)
【Fターム(参考)】