軸可動型蝶番およびこの蝶番を用いた両面表示装置
【課題】二以上の板を上部、側部などいずれの側でも纏まりやすく、回動可能に配設でき重合状態を無理なく整然と配設できるようにした軸可動型蝶番およびこの蝶番を用いた両面表示装置。
【解決手段】軸3を中心にして左右に回動する羽根板1,2を備えた蝶番において、軸3で回動自在に支持される一対の羽根板1,2の軸受孔4,6の一方の羽根板1,2の軸受孔4,6を、前記軸3の直径2倍以上の長さを有する大孔Hとして形成し、他方の羽根板1,2の軸受孔4,6で支持される軸3を前記大孔Hに沿って移動可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番。
【解決手段】軸3を中心にして左右に回動する羽根板1,2を備えた蝶番において、軸3で回動自在に支持される一対の羽根板1,2の軸受孔4,6の一方の羽根板1,2の軸受孔4,6を、前記軸3の直径2倍以上の長さを有する大孔Hとして形成し、他方の羽根板1,2の軸受孔4,6で支持される軸3を前記大孔Hに沿って移動可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蝶番自体の軸を移動可能とし、この軸を中心として左右に回動する二枚の羽根板を同一軸で可動自在に支持できるようにした軸可能型蝶番およびこの蝶番を用いた両面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扉、開き戸、蓋など枢軸を中心として回動させて開閉させたりするものとして広く蝶番が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、広告、或は単なる公演などの演題を表示するものとして、例えば立看板とかめくり板などの数多くの表示装置が知られている(例えば、特許文献2,3参照)。
【特許文献1】特開2003−184404号公報
【特許文献2】特開平10−247067号公報
【特許文献3】特開平6−36081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の蝶番では、軸を中心とする左右に回動する羽根板を備えているので、同一方向に配設される異なる蝶番を用いて、二以上の回動可能の板を集束することは重なり合うため、配置することは不可能であり、仮に集束させても板は肉厚く大きくなり、吊下状態では中心より外側に行くに従って広がり、極端な場合は裾広がり現象を生じて了うという不都合、問題があった。
【0005】
本発明は、叙上の点に着目して成されたもので、二以上の板を上部、側部などいずれの側でも纏まりやすく、回動可能に配設でき重合状態を無理なく整然と配設できるようにした軸可動型蝶番およびこの蝶番を用いた両面表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成を備えることにより上記課題を解決できるものである。
【0007】
(1)軸を中心にして左右に回動する羽根板を備えた蝶番において、軸で回動自在に支持される一対の羽根板の軸受孔の一方の羽根板の軸受孔を、前記軸の直径2倍以上の長さを有する大孔として形成し、他方の羽根板の軸受孔で支持される軸を前記大孔に沿って移動可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番。
【0008】
(2)前記(1)記載の一方の羽根板は、端部に軸受孔を設けて他の軸に挿通させて回動自在として成ることを特徴とする請求項1記載の軸可動型蝶番。
【0009】
(3)前記(1)または(2)記載の軸可動型蝶番を用いて二板以上の板を羽根板に連設して折り返し可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番を用いた両面表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軸を中心として回動する二枚の羽根板は、軸が挿通する軸受孔の一方が、軸の直径の2倍以上の長さを有する大孔であるので、その大孔の長さ分に応じて一方の羽根板と他方の羽根板との間隔が大小に変化し、しかもその間隔を自由に調節変化させることができる。
【0011】
一般に蝶番は、二個一組で使用する場合が多いので、二枚以上の表示板などの板を並列重合して使用する際、それぞれの板を支持する二個一組づつ計四個の蝶番は、大孔の長さに応じて他方の板の回動位置は大孔内の所定箇所を軸が位置して回動されるが、重合位置に達すると、重なり合う一方の板と他方の板の軸とは同一位置ではなく、軸の直径2倍以上の大孔の他の位置を保持できるので、重合による嵩張りとか裾広がりなどの不都合を生ずることなく整然と重合させることができる。
【0012】
この整然たる重合構成は、板が水平方向に回動する場合は勿論のこと、上下垂直方向の鉄棒のように回動する場合でも同様に行わせることができる。
【0013】
さらに、本発明によれば、他方の羽根板の端部に軸受孔を設けてあるので、この軸受孔に挿通される軸に二以上の軸可動型蝶番を順次と挿通させて、多数組の軸可動型蝶番として形成できると共に、この軸を固定支持させることにより、二以上の表示板などを立看板の用途に広く利用できる。この場合、他方の羽根板の端部に設けられる軸受孔を大孔構成とすることにより、重合される表示板の吊下配設を整然と、嵩張ることなく無理なく折り返して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0015】
図1(a),(b)は、本発明に係る軸可動型蝶番の一実施例を示し、図1(a)は左右の羽根板1,2を分離して示す斜視図、図1(b)は両羽根板1,2を軸3で組み込んで示す全体の斜視図である。
【0016】
軸3で枢支される羽根板1,2の一方の羽根板1は、2本の支片1a,1bを有し、この2本の支片1a,1bの端部に軸3を枢支支持する軸受孔4,4の環部5,5を備える。他の羽根板2の中央に大孔Hを備える軸受孔6の環部7を突出し、前記他方の羽根板1の2本の支片1a,1b間に配置すると共に、前記軸3を左右の軸受孔4,4と軸受孔6に係入させてある。そして、前記軸3が大孔Hを介して長さ方向に移動でき、これにより左右の羽根板1,2が離開又は接近できる。
【0017】
なお、この大孔Hは長孔構成を備え、軸3の直径P1に対し、羽根板2と同一平面上において2倍以上の長孔部P2を設けてある。
【0018】
さらに、符号8は両羽根板1,2に穿った止ビス用の孔で、両羽根板1,2を取り付ける表示板とか戸板などの所望の板或は柱,壁などに固着することができる。
【0019】
図1(c),(d),(e)は大孔Hの他の3例を示す変形例を示す。
【0020】
図1(c)は真円形状を示し、(d)は角を丸めた三角形状を示し、(e)は角を丸めた四角形状を示している。この場合も軸3の直径P1に対し2倍以上の長孔部P2を形成してある。
【実施例2】
【0021】
図2は、本発明の第二の実施例を示す斜面図である。
【0022】
基本的構成は、図1(a),(b)で示す可動型蝶番と同一であり、同一構成箇所には同一の説明と同一の符号で示して説明の重複を避けた。
【0023】
この実施例が前記実施例と異なる点は、一方の羽根板2の端部に軸9を挿通できる軸受孔10を形成した環部11を設けたことである。
【0024】
なお図示しないが、軸受孔10は、前記実施例と同様に2本の支片を設けて中央部を切欠した環部として構成することも可能である。
【0025】
さらに、図3において示すように、軸を挿通する箇所を実施例1の図1(a),(b)に示すように大孔H1とした軸受孔101を環部111として形成することもできる。
【実施例3】
【0026】
図4は、さらに本発明の第三の実施例を示す全体の斜面図である。
【0027】
図面において、前記実施例1,2と同一の構成と実質的に同一のものは、同一の説明と同一の符号を符し、説明の重複を省く。
【0028】
この実施例の特徴とする構成は、図2で示す軸9に代る軸9aを挿通する環部11を左右に分割切欠して、11a,11aとして、この環部11a,11aの中間に新たな羽根板12と軸9aの軸受孔13を備える環部14を設けて、追加蝶番部15を設けた点である。
【0029】
なお、16は他の部材に取り付けるための止ビス用の取付孔を示す。
【0030】
以上の各実施例に基づいて、以下に有効な使用例を説明する。
【0031】
[使用例1]
この使用例は、図1(a),(b)に示す軸可動型蝶番を開閉自在の二重扉に用いた場合の一例を示す。
【0032】
図5ないし図7は、各家庭の玄関の扉や部屋のガラス戸などに用いて二重扉として使用できる場合を示している。
【0033】
柱17に沿って、上下必要個所に可動型蝶番の一方の羽根板2を、釘や止ビス18などを用いて複数同一垂直方向に位置合わせして固定する。
【0034】
そして二種類の異なった扉や、ガラス戸や網戸を互いに他方の羽根板1同士を一致させて、止ビス19で異なる2種類の扉やガラス戸や網戸など、板A,Bが重なり合って柱17に沿って垂直に装着できる(図5参照)。
【0035】
この2種類の板A,Bは、これを支持する羽根板1の軸3は、それぞれの他の羽根板2の大孔H内を前後に移動できるので、干渉することなく枢支され、それぞれ各別に軸3を中心として回動できるので、板A,Bは、例えば網戸と玄関扉や、部屋の網戸とガラス戸などの異なる機能を備えた各別の用途に二重扉として利用できる。
【0036】
なお、大孔Hの長さを軸3の径の長さの3倍以上とすれば、さらに多くの可動型蝶番を付加設置することにより、板A,Bに加え、さらに3枚,4枚などのように数多くの板を付けることができる(図示せず)。
【0037】
[使用例2]
この使用例は、図2または図3に示す軸可動型蝶番を利用できる。主として広告,宣伝などの複数板で組立てられる立看板に用いることが可能である。
【0038】
図8には開閉自在の2枚の基板20を立看板として用いた2例を(a),(b)で示している。(a)は、2種類の表示例を示し、(b)は3種類の表示例を示している。
【0039】
そして、図8(a)は1枚の板がめくり板Aとして、図2または図3に示す軸可動型蝶番を介して立看板X1に止着され、同図(b)は、2枚のめくり板A,Bが軸可動型蝶番を介して立看板X2に回転自在に枢支されている例を示している。
【0040】
図9は、図8(b)の立看板X2を構成する2枚の基板20の上部要部を拡大して示す側面図である。そして、図10は図9の上面図である。2枚の基板20は、前部と後部の上端内側に設けた通常の蝶番構造21で、開閉自在に必要な路面とか床面上に起立させたり、折畳んで片付けることができるようになっている。
【0041】
そして、本発明にあっては、この普通の蝶番構造の軸9を延長し、図2に示す構成の蝶番の片方の羽根板2の環部11の軸受孔10内に挿通させ、これにより軸9には、多数組の可動型蝶番を挿通できる。図示では2組の4枚の可動型蝶番を挿通でき、その中間位置には、規正用の環体22を挿嵌させて置くものである。
【0042】
ところで、2枚のめくり板A,Bは、それぞれその基端を他方の羽根板1の外側同士と内側同士が組となって止ビス用の孔8によって互いに整然と重なり合って可動型蝶番に固定させることができる。
【0043】
図示では、図9において示されるように、左側の基板20に沿って内側にめくり板Aが位置し、その外側に重合して他のめくり板Bが配置される。
【0044】
このめくり板Bは軸3が大孔Hを自由に移動できるもので、基板20の軸9を中心として、矢符のように反対側に回転させると、無理なく自由に回動させることができ、しかも反対側の基板20にめくられると、めくり板Bを支持している羽根板1の軸3は大孔H内を移動し、基板20の表面に接する状態となる(図9鎖線状態)。
【0045】
従って、つぎに、めくり板Aを同様に反対側に回動させると、めくり板Bの反対面と接し、干渉することなく整然と重なって外側に位置することが分かる。
【0046】
ここで、この種の立看板X2を、例えば、商店,店舗などの店先において使用する際、2枚の基板20の表側と裏側とを他のめくり板A,Bの表裏面と一致させることにより、めくり板AまたはBの反転位置が2枚の基板20への配置により、表側と裏側とが同一の広告内容、例えば「営業中」,「準備中」,「定休日」などの3種類の表示を行わせることができる(図8(b)参照)。
【0047】
なお、めくり板A,Bに加え、軸3が移動する大孔Hを、より長くして他のめくり板(図示せず)を加えればさらに「臨時休業」とか「サービスタイム」など、営業内容を加えて表示できる。
【0048】
[使用例3]
この使用例は、図4に示す軸可動型蝶番を利用して[使用例2]に示すように、主として広告,宣伝などの複数板で組立てられる立看板として用いた場合を示し、[使用例2]と同一の2枚のめくり板A,Bが図4に示す軸可動型蝶番を介して立看板X3に回転自在に枢支される場合を示している。
【0049】
前記[使用例2]との相違は、開閉自在の2枚の基板20A,20Aが、独自の蝶番23で枢支されている点と、2枚のめくり板A,Bを固着した可動型蝶番の追加蝶番部15を一方の基板20の上部に止ビス181と取付孔16に挿通して固着させて軸9aで回動自在に使用に供し得る点である。
【0050】
この構成にあっても、めくり板AおよびBは蝶番23の軸9aを中心とした左右の基板20A,20Aに向って反転折り返し自在に回動させることができる。
【0051】
したがって、前記[使用例2]と同様に図8(b)に示すように、多目的の看板効果を行わせることができる。
【0052】
以上、使用例のいくつかを説明したが、立看板以外の演題のプログラムとか両面の同一表示目的とする用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】(a),(b)は本発明に係る軸可動型蝶番の一実施例を示す分解斜面図と組立完成斜面図を示し、(c),(d),(e)は同上大孔の変形例を示す要部の側面図で、(c)は真円形状、(d)は角を丸めた三角形状、(e)は角を丸めた四角形状を夫々示す。
【図2】本発明の他の実施例を示す可動型蝶番の斜面図
【図3】さらにその他の実施例を示す斜面図
【図4】さらに他の追加蝶番を加えた実施例の斜面図
【図5】図1(a),(b)に示す可動型蝶番の使用例を示す側面図
【図6】同上の上面から見た拡大平面図
【図7】図5のVII−VII線拡大断面図
【図8】(a),(b)は立看板として使用できる2例を示す概略側面説明図
【図9】本発明に係る軸可動型蝶番を看板として用いた場合の側面図
【図10】図9の上面図
【図11】他の軸可動型蝶番を用いた他の看板として用いた場合の側面図
【図12】図11の上面図
【符号の説明】
【0054】
1,2 羽根板
1a,1b 支片
3 軸
4,6 軸受孔
5,7 環部
8 止ビス用の孔
9,9a 軸
10,101 軸受孔
11,111,11a 環部
12 羽根板
13 軸受孔
14 環部
15 追加蝶番部
16 取付孔
17 柱
18,181,19 止ビス
20,20A 基板
21 蝶番構造
22 環体
23 蝶番
A,B 板(めくり板)
H,H1 大孔
X1,X2,X3 立看板
P1 軸3の直径
P2 長孔部
【技術分野】
【0001】
本発明は、蝶番自体の軸を移動可能とし、この軸を中心として左右に回動する二枚の羽根板を同一軸で可動自在に支持できるようにした軸可能型蝶番およびこの蝶番を用いた両面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扉、開き戸、蓋など枢軸を中心として回動させて開閉させたりするものとして広く蝶番が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、広告、或は単なる公演などの演題を表示するものとして、例えば立看板とかめくり板などの数多くの表示装置が知られている(例えば、特許文献2,3参照)。
【特許文献1】特開2003−184404号公報
【特許文献2】特開平10−247067号公報
【特許文献3】特開平6−36081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の蝶番では、軸を中心とする左右に回動する羽根板を備えているので、同一方向に配設される異なる蝶番を用いて、二以上の回動可能の板を集束することは重なり合うため、配置することは不可能であり、仮に集束させても板は肉厚く大きくなり、吊下状態では中心より外側に行くに従って広がり、極端な場合は裾広がり現象を生じて了うという不都合、問題があった。
【0005】
本発明は、叙上の点に着目して成されたもので、二以上の板を上部、側部などいずれの側でも纏まりやすく、回動可能に配設でき重合状態を無理なく整然と配設できるようにした軸可動型蝶番およびこの蝶番を用いた両面表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成を備えることにより上記課題を解決できるものである。
【0007】
(1)軸を中心にして左右に回動する羽根板を備えた蝶番において、軸で回動自在に支持される一対の羽根板の軸受孔の一方の羽根板の軸受孔を、前記軸の直径2倍以上の長さを有する大孔として形成し、他方の羽根板の軸受孔で支持される軸を前記大孔に沿って移動可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番。
【0008】
(2)前記(1)記載の一方の羽根板は、端部に軸受孔を設けて他の軸に挿通させて回動自在として成ることを特徴とする請求項1記載の軸可動型蝶番。
【0009】
(3)前記(1)または(2)記載の軸可動型蝶番を用いて二板以上の板を羽根板に連設して折り返し可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番を用いた両面表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軸を中心として回動する二枚の羽根板は、軸が挿通する軸受孔の一方が、軸の直径の2倍以上の長さを有する大孔であるので、その大孔の長さ分に応じて一方の羽根板と他方の羽根板との間隔が大小に変化し、しかもその間隔を自由に調節変化させることができる。
【0011】
一般に蝶番は、二個一組で使用する場合が多いので、二枚以上の表示板などの板を並列重合して使用する際、それぞれの板を支持する二個一組づつ計四個の蝶番は、大孔の長さに応じて他方の板の回動位置は大孔内の所定箇所を軸が位置して回動されるが、重合位置に達すると、重なり合う一方の板と他方の板の軸とは同一位置ではなく、軸の直径2倍以上の大孔の他の位置を保持できるので、重合による嵩張りとか裾広がりなどの不都合を生ずることなく整然と重合させることができる。
【0012】
この整然たる重合構成は、板が水平方向に回動する場合は勿論のこと、上下垂直方向の鉄棒のように回動する場合でも同様に行わせることができる。
【0013】
さらに、本発明によれば、他方の羽根板の端部に軸受孔を設けてあるので、この軸受孔に挿通される軸に二以上の軸可動型蝶番を順次と挿通させて、多数組の軸可動型蝶番として形成できると共に、この軸を固定支持させることにより、二以上の表示板などを立看板の用途に広く利用できる。この場合、他方の羽根板の端部に設けられる軸受孔を大孔構成とすることにより、重合される表示板の吊下配設を整然と、嵩張ることなく無理なく折り返して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0015】
図1(a),(b)は、本発明に係る軸可動型蝶番の一実施例を示し、図1(a)は左右の羽根板1,2を分離して示す斜視図、図1(b)は両羽根板1,2を軸3で組み込んで示す全体の斜視図である。
【0016】
軸3で枢支される羽根板1,2の一方の羽根板1は、2本の支片1a,1bを有し、この2本の支片1a,1bの端部に軸3を枢支支持する軸受孔4,4の環部5,5を備える。他の羽根板2の中央に大孔Hを備える軸受孔6の環部7を突出し、前記他方の羽根板1の2本の支片1a,1b間に配置すると共に、前記軸3を左右の軸受孔4,4と軸受孔6に係入させてある。そして、前記軸3が大孔Hを介して長さ方向に移動でき、これにより左右の羽根板1,2が離開又は接近できる。
【0017】
なお、この大孔Hは長孔構成を備え、軸3の直径P1に対し、羽根板2と同一平面上において2倍以上の長孔部P2を設けてある。
【0018】
さらに、符号8は両羽根板1,2に穿った止ビス用の孔で、両羽根板1,2を取り付ける表示板とか戸板などの所望の板或は柱,壁などに固着することができる。
【0019】
図1(c),(d),(e)は大孔Hの他の3例を示す変形例を示す。
【0020】
図1(c)は真円形状を示し、(d)は角を丸めた三角形状を示し、(e)は角を丸めた四角形状を示している。この場合も軸3の直径P1に対し2倍以上の長孔部P2を形成してある。
【実施例2】
【0021】
図2は、本発明の第二の実施例を示す斜面図である。
【0022】
基本的構成は、図1(a),(b)で示す可動型蝶番と同一であり、同一構成箇所には同一の説明と同一の符号で示して説明の重複を避けた。
【0023】
この実施例が前記実施例と異なる点は、一方の羽根板2の端部に軸9を挿通できる軸受孔10を形成した環部11を設けたことである。
【0024】
なお図示しないが、軸受孔10は、前記実施例と同様に2本の支片を設けて中央部を切欠した環部として構成することも可能である。
【0025】
さらに、図3において示すように、軸を挿通する箇所を実施例1の図1(a),(b)に示すように大孔H1とした軸受孔101を環部111として形成することもできる。
【実施例3】
【0026】
図4は、さらに本発明の第三の実施例を示す全体の斜面図である。
【0027】
図面において、前記実施例1,2と同一の構成と実質的に同一のものは、同一の説明と同一の符号を符し、説明の重複を省く。
【0028】
この実施例の特徴とする構成は、図2で示す軸9に代る軸9aを挿通する環部11を左右に分割切欠して、11a,11aとして、この環部11a,11aの中間に新たな羽根板12と軸9aの軸受孔13を備える環部14を設けて、追加蝶番部15を設けた点である。
【0029】
なお、16は他の部材に取り付けるための止ビス用の取付孔を示す。
【0030】
以上の各実施例に基づいて、以下に有効な使用例を説明する。
【0031】
[使用例1]
この使用例は、図1(a),(b)に示す軸可動型蝶番を開閉自在の二重扉に用いた場合の一例を示す。
【0032】
図5ないし図7は、各家庭の玄関の扉や部屋のガラス戸などに用いて二重扉として使用できる場合を示している。
【0033】
柱17に沿って、上下必要個所に可動型蝶番の一方の羽根板2を、釘や止ビス18などを用いて複数同一垂直方向に位置合わせして固定する。
【0034】
そして二種類の異なった扉や、ガラス戸や網戸を互いに他方の羽根板1同士を一致させて、止ビス19で異なる2種類の扉やガラス戸や網戸など、板A,Bが重なり合って柱17に沿って垂直に装着できる(図5参照)。
【0035】
この2種類の板A,Bは、これを支持する羽根板1の軸3は、それぞれの他の羽根板2の大孔H内を前後に移動できるので、干渉することなく枢支され、それぞれ各別に軸3を中心として回動できるので、板A,Bは、例えば網戸と玄関扉や、部屋の網戸とガラス戸などの異なる機能を備えた各別の用途に二重扉として利用できる。
【0036】
なお、大孔Hの長さを軸3の径の長さの3倍以上とすれば、さらに多くの可動型蝶番を付加設置することにより、板A,Bに加え、さらに3枚,4枚などのように数多くの板を付けることができる(図示せず)。
【0037】
[使用例2]
この使用例は、図2または図3に示す軸可動型蝶番を利用できる。主として広告,宣伝などの複数板で組立てられる立看板に用いることが可能である。
【0038】
図8には開閉自在の2枚の基板20を立看板として用いた2例を(a),(b)で示している。(a)は、2種類の表示例を示し、(b)は3種類の表示例を示している。
【0039】
そして、図8(a)は1枚の板がめくり板Aとして、図2または図3に示す軸可動型蝶番を介して立看板X1に止着され、同図(b)は、2枚のめくり板A,Bが軸可動型蝶番を介して立看板X2に回転自在に枢支されている例を示している。
【0040】
図9は、図8(b)の立看板X2を構成する2枚の基板20の上部要部を拡大して示す側面図である。そして、図10は図9の上面図である。2枚の基板20は、前部と後部の上端内側に設けた通常の蝶番構造21で、開閉自在に必要な路面とか床面上に起立させたり、折畳んで片付けることができるようになっている。
【0041】
そして、本発明にあっては、この普通の蝶番構造の軸9を延長し、図2に示す構成の蝶番の片方の羽根板2の環部11の軸受孔10内に挿通させ、これにより軸9には、多数組の可動型蝶番を挿通できる。図示では2組の4枚の可動型蝶番を挿通でき、その中間位置には、規正用の環体22を挿嵌させて置くものである。
【0042】
ところで、2枚のめくり板A,Bは、それぞれその基端を他方の羽根板1の外側同士と内側同士が組となって止ビス用の孔8によって互いに整然と重なり合って可動型蝶番に固定させることができる。
【0043】
図示では、図9において示されるように、左側の基板20に沿って内側にめくり板Aが位置し、その外側に重合して他のめくり板Bが配置される。
【0044】
このめくり板Bは軸3が大孔Hを自由に移動できるもので、基板20の軸9を中心として、矢符のように反対側に回転させると、無理なく自由に回動させることができ、しかも反対側の基板20にめくられると、めくり板Bを支持している羽根板1の軸3は大孔H内を移動し、基板20の表面に接する状態となる(図9鎖線状態)。
【0045】
従って、つぎに、めくり板Aを同様に反対側に回動させると、めくり板Bの反対面と接し、干渉することなく整然と重なって外側に位置することが分かる。
【0046】
ここで、この種の立看板X2を、例えば、商店,店舗などの店先において使用する際、2枚の基板20の表側と裏側とを他のめくり板A,Bの表裏面と一致させることにより、めくり板AまたはBの反転位置が2枚の基板20への配置により、表側と裏側とが同一の広告内容、例えば「営業中」,「準備中」,「定休日」などの3種類の表示を行わせることができる(図8(b)参照)。
【0047】
なお、めくり板A,Bに加え、軸3が移動する大孔Hを、より長くして他のめくり板(図示せず)を加えればさらに「臨時休業」とか「サービスタイム」など、営業内容を加えて表示できる。
【0048】
[使用例3]
この使用例は、図4に示す軸可動型蝶番を利用して[使用例2]に示すように、主として広告,宣伝などの複数板で組立てられる立看板として用いた場合を示し、[使用例2]と同一の2枚のめくり板A,Bが図4に示す軸可動型蝶番を介して立看板X3に回転自在に枢支される場合を示している。
【0049】
前記[使用例2]との相違は、開閉自在の2枚の基板20A,20Aが、独自の蝶番23で枢支されている点と、2枚のめくり板A,Bを固着した可動型蝶番の追加蝶番部15を一方の基板20の上部に止ビス181と取付孔16に挿通して固着させて軸9aで回動自在に使用に供し得る点である。
【0050】
この構成にあっても、めくり板AおよびBは蝶番23の軸9aを中心とした左右の基板20A,20Aに向って反転折り返し自在に回動させることができる。
【0051】
したがって、前記[使用例2]と同様に図8(b)に示すように、多目的の看板効果を行わせることができる。
【0052】
以上、使用例のいくつかを説明したが、立看板以外の演題のプログラムとか両面の同一表示目的とする用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】(a),(b)は本発明に係る軸可動型蝶番の一実施例を示す分解斜面図と組立完成斜面図を示し、(c),(d),(e)は同上大孔の変形例を示す要部の側面図で、(c)は真円形状、(d)は角を丸めた三角形状、(e)は角を丸めた四角形状を夫々示す。
【図2】本発明の他の実施例を示す可動型蝶番の斜面図
【図3】さらにその他の実施例を示す斜面図
【図4】さらに他の追加蝶番を加えた実施例の斜面図
【図5】図1(a),(b)に示す可動型蝶番の使用例を示す側面図
【図6】同上の上面から見た拡大平面図
【図7】図5のVII−VII線拡大断面図
【図8】(a),(b)は立看板として使用できる2例を示す概略側面説明図
【図9】本発明に係る軸可動型蝶番を看板として用いた場合の側面図
【図10】図9の上面図
【図11】他の軸可動型蝶番を用いた他の看板として用いた場合の側面図
【図12】図11の上面図
【符号の説明】
【0054】
1,2 羽根板
1a,1b 支片
3 軸
4,6 軸受孔
5,7 環部
8 止ビス用の孔
9,9a 軸
10,101 軸受孔
11,111,11a 環部
12 羽根板
13 軸受孔
14 環部
15 追加蝶番部
16 取付孔
17 柱
18,181,19 止ビス
20,20A 基板
21 蝶番構造
22 環体
23 蝶番
A,B 板(めくり板)
H,H1 大孔
X1,X2,X3 立看板
P1 軸3の直径
P2 長孔部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を中心にして左右に回動する羽根板を備えた蝶番において、軸で回動自在に支持される一対の羽根板の軸受孔の一方の羽根板の軸受孔を、前記軸の直径2倍以上の長さを有する大孔として形成し、他方の羽根板の軸受孔で支持される軸を前記大孔に沿って移動可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番。
【請求項2】
請求項1記載の一方の羽根板は、端部に軸受孔を設けて他の軸に挿通させて回動自在として成ることを特徴とする請求項1記載の軸可動型蝶番。
【請求項3】
請求項1または2記載の軸可動型蝶番を用いて二板以上の板を羽根板に連設して折り返し可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番を用いた両面表示装置。
【請求項1】
軸を中心にして左右に回動する羽根板を備えた蝶番において、軸で回動自在に支持される一対の羽根板の軸受孔の一方の羽根板の軸受孔を、前記軸の直径2倍以上の長さを有する大孔として形成し、他方の羽根板の軸受孔で支持される軸を前記大孔に沿って移動可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番。
【請求項2】
請求項1記載の一方の羽根板は、端部に軸受孔を設けて他の軸に挿通させて回動自在として成ることを特徴とする請求項1記載の軸可動型蝶番。
【請求項3】
請求項1または2記載の軸可動型蝶番を用いて二板以上の板を羽根板に連設して折り返し可能として成ることを特徴とする軸可動型蝶番を用いた両面表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−297753(P2008−297753A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143281(P2007−143281)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(507153863)滝澤コーポレーション株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(507153863)滝澤コーポレーション株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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