説明

軸方向調節式流体コントローラ

【目的】 スプールの構造を簡略にするための可変軸方向流量制御オリフィスを形成し、スリーブに最適な圧力バランスを維持すること、
【構成】 ハウジング(13)、流体メータ(17)、主(スプール)弁(35)、及び追従(スリーブ)弁(37)を含む流体コントローラ(11)で、入口ポート(23)が一連の流体ポート(85)と連通し、作動ポート (91L, 91R)がシリンダポート(27,29) と連通している。スリーブに対するスプールの回転によって、駆動ピン(53)がはまっているピン開口(55)の形状からスリーブが軸方向に変位する。スリーブの一定量の軸方向移動の後、様々なポート(8591L,91R)がそれぞれ1対のメータ溝 (67R, 67L) 及びタンク溝 (71R) と連通し始めて、可変軸方向流量制御オリフィス(A1a,A4a,A5a )を形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加圧流体源から車両のステアリングシリンダ等の流体圧作動装置への流体の流れを制御するために使用される形式の流体コントローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明が関連する形式の典型的な流体コントローラには、様々な流体ポートが形成されているハウジングと、流体メータと、主弁部材と、追従弁部材と、流体メータを通る流体の流量に従って追従弁部材に追従移動を与える構造体とが設けられている。コントローラの弁手段を通る流量は、主可変流量制御オリフィスの面積に正比例しており、この流量制御オリフィスの面積は主及び追従弁部材間の相対変位に比例している。
【0003】上記形式の従来形流体コントローラでは、主弁部材が回転可能で、また追従弁部材が相対的に回転可能であり、主弁部材が追従弁部材に対して回転する時、様々な流量制御オリフィスがそれぞれ主及び追従弁部材に形成されている通路及びポートの重なり合い部分によって形成されるようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記形式の流体コントローラの作動は満足できるものであり、商品として非常に成功してはいるが、その形式の流体コントローラに付随する欠点がある。スプール及びスリーブの相対回転に応答して可変流量制御オリフィスを形成する典型的なスプール−スリーブ流体コントローラでは、スプールの表面にかなりの数の軸方向に延在したフライス加工スロットまたは通路を設ける必要があり、従ってコストがかさむと共に、製造工程が複雑になる。また、そのようなコントローラでは、スリーブが加圧流体で包囲されている領域、例えばハウジングに形成された環状室においてスリーブがスプールの外表面上に固着しないようにするため、スリーブの適当な圧力バランスをとることがさらに困難である。
【0005】従って、本発明の目的は、可変軸方向流量制御オリフィスを形成して、スプールの構造を簡略にし、スリーブの適当な圧力バランスをとることを容易にした流体コントローラを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的を達成するため、本発明の流体コントローラは加圧流体源から流体圧作動装置へ流れる流体の流量を制御するため、加圧流体源に連結される入口ポート、タンクに連結される戻りポート及び流体圧作動装置に連結される第1及び第2制御流体ポートを形成したハウジング手段を含み、弁手段がハウジング手段内に配置されており、主回転弁部材及びそれと協働する相対回転可能な追従弁部材を有し、主及び追従弁部材は、中立位置と、主弁部材が追従弁部材に対して中立位置から第1方向へ回転変位している第1作動位置とを備えている。主弁部材には第1及び第2流体通路が設けられ、追従弁部材にはそれぞれ入口ポート及び第1制御流体ポートと連続流体連通している第1及び第2流体ポートが設けられている。弁部材が中立位置にある時、第1及び第2流体ポートはそれぞれ第1及び第2流体通路との流体連通が遮断され、また弁部材が第1作動位置にある時、第1及び第2流体ポートはそれぞれ第1及び第2流体通路と流体連通している。弁部材が第1作動位置にある時、ハウジング手段及び弁部材の協働によって、入口ポートから第1制御流体ポートまで、及び第2制御流体ポートから戻りポートまでを流体連通させる第1主流体路が形成されるようになっている。
【0007】この流体コントローラは、主及び追従弁部材の相対回転変位に応答して作動して、追従弁部材を第1軸方向に第1作動位置へ移動させる手段を有していることを特徴としている。追従弁部材が第1作動位置へ軸方向変位した時、第1及び第2流体ポートがそれぞれ第1及び第2流体通路と協働して、第1及び第2可変軸方向流量制御オリフィスを形成する。第1主流体路は第1及び第2可変軸方向流量制御オリフィスを含んでいる。
【0008】
【作用】本発明の流体コントローラにおいては、入口ポート(23)が一連の流体ポート(85)と連通し、作動ポート (91L, 91R) がシリンダポート(27, 29)と連通しており、スリーブに対するスプールの回転によって、駆動ピン(53)がはまっているピン開口(55)の形状からスリーブが軸方向に変位する。スリーブの一定量の軸方向移動の後、様々なポート(85,91L,91R)がそれぞれ1対のメータ溝(67 R, 67L)及びタンク溝 (71R) と連通し始めて、可変軸方向流量制御オリフィス(A1a,A4a,A5a) が形成される。
【0009】これにより、スプールの表面にかなりの数の軸方向に延在したフライス加工スロットまたは通路を設ける必要がなくなり、また、環状室内の圧力に対抗してスリーブに有効な圧力バランスをとることにより、スリーブがスプールの外表面上に固着しないようにすることができる。
【0010】
【実施例】次に、添付の図面を参照しながら説明するが、これらは本発明を制限するものではなく、図1は、本発明を用いることができる形式の流体コントローラの軸方向断面図であるが、以下に特記する点を除いて流体コントローラの特定の形状を制限するものではない。
【0011】流体コントローラ11は、本発明の譲受人に譲渡されている、引用文献として本説明に含まれる米国再発行特許第25,126号に記載されている形式のものでよい。さらに詳しく言えば本実施例は、本発明の譲受人に譲渡されている、引用文献として本説明に含まれる米国特許第5,016,672 号に記載されている形式のものである。しかし、本発明は以下に詳細に説明するように、主に図2〜図6のコントローラ弁機構の説明で上記引用の特許とは相当に異なっている。
【0012】流体コントローラ11には、弁ハウジング部分13、受け板15、流体メータ17を設けた部分及び端部キャップ19を含めた幾つかの部分が設けられている。これらの部分は、複数のボルト21を弁ハウジング部分13に螺着することによって密封状に連結保持されている。弁ハウジング部分には、入口ポート23(図1には点線で示されているだけである)、流体戻りポート25、1対の制御(シリンダ)流体ポート27及び29、及び負荷感知ポート31が形成されている。
【0013】弁ハウジング部分13には弁孔33も形成されており、この中に回転可能な主弁部材35(以下の説明では「スプール」とも呼ぶ)及びそれと協働する相対回転可能な追従弁部材37(以下の説明では「スリーブ」とも呼ぶ)を有しているコントローラ弁機構が回転可能に配置されている。スプール35の前端部に1組の内側スプライン39が形成されており、これによってスプール35と車両のステアリングホィール(図示せず)との間が機械的に直結されている。スプール35及びスリーブ37については以下に詳細に説明する。
【0014】流体メータ17は公知の形式のものでよく、本実施例では内側歯付きのリング部材41と外側歯付き星形部材43とで構成されている。星形部材43はリング部材41内にそれに対して軌道回転移動可能に配置されている。星形部材43には1組の内側スプライン45が形成されており、これは主駆動軸49の後端部に形成された1組の外側スプライン47とスプライン係合しており、また駆動軸49には二股状の前端部51が設けられている。前端部51によって、駆動ピン53を介して駆動軸49とスリーブ37とが駆動連結されている。ピン53の端部は、スプール35に形成された1対のピン開口55(図1には示されていないが、図2に示されている)に挿通されて、スリーブ37の開口に比較的締まりばめ状態ではめ込まれている。
【0015】当業者には公知のように、加圧流体がスプール35及びスリーブ37に形成された様々な通路及びポートを流れ、次に流体メータ17を流れることによって、星形部材43がリング41内で軌道回転移動する。星形部材43のそのような移動が駆動軸49及び駆動ピン51を介してスリーブ37を回転追従移動させることによって、スプール35とスリーブ37との間に特定の相対回転変位が維持されるようになっている。特定の相対回転変位(以下の説明では「作動位置」と呼ぶ)は、一般的にステアリングホィールの回転率、すなわちスプール35の回転率に比例している。
【0016】図1に示されているように、スプール35及びスリーブ37の前端部(図1の左端部)付近に中立センタリングばね装置が配置されており、これは圧縮コイルばね57の一部として図1に示されている。ばね装置は、本発明の譲受人に譲渡されており、引用文献として本説明に含まれている、ドワイト ビー.スティーブンソンが1991年11月15日付けで出願した「回転/軸方向弁機構を備えた流体コントローラ及びそのためのばね装置」と題する同時係属中の米国特許出願番号第793,061 号に詳細に記載されている形式のものでよい。一般的に、ばね装置には、スリーブ37をスプール35に対して「中立」位置(この言葉は図2に関連した説明で定義する)に向けて付勢する機能を持った1、2または3個のコイルばね57が設けられている。
【0017】弁ハウジング部分13の弁孔33には、スリーブ37を取り囲む複数の環状流体室が形成されており、様々なポート23〜31とスリーブ37の外表面との間を流体連通させている。環状室23c は入口ポート23から加圧流体を受け取る一方、環状室25cは戻り流体を戻りポート25へ送る。また、環状室27c,29c は、それぞれ制御ポート27, 29と流体連通している。さらに、1対の環状室 31cL,31cRは、負荷信号を負荷感知流体ポート31へ送る。
【0018】リング41内を軌道回転する星形部材43の噛合相互作用によって複数の膨張及び収縮流体容積室59が形成され、そのような容積室59の各々に隣接する位置において受け板15に流体ポート61が形成されている。弁ハウジング部分13には複数の軸方向の孔63(図1には1つだけ示されている)が形成されており、それらの各々は流体ポート61の1つと開放連通している。弁ハウジング部分13にはさらに1対の半径方向の孔65L及び65R(図1R>1には示されていないが、図3に示されている)が設けられて、各軸方向孔63と弁孔33との間を連通させており、これの目的は当業者には公知であり、また詳細に後述する。
【0019】流体コントローラ11の全般的な作動は当業者には公知であると考えられる。ステアリングホィールを例えば反時計回り方向へ回転させて車両を左旋回させようとすると、スプール35も、車両の運転者から見て反時計回りに回転して、スプール35及びスリーブ37間の一連の可変流量制御オリフィスを開放する。これらのオリフィスによって、流体が環状室23c から弁機構を通って、さらに半径方向の孔65R及び軸方向の孔63を通って流体メータ17の膨張容積室59へ流れることができるようになる。流体メータ17の収縮容積室から流出した流体(計量流体)は、他方の軸方向孔63を通り、さらに半径方向の孔65Lを通ってから弁機構を通り、続いて環状室27c を通ってシリンダポート27へ流れる。ステアリングシリンダから戻った流体は、シリンダポート29へ流入してから環状室29c を流れ、弁機構を通り、続いて環状室25c を通って戻りポート25へ流れる。上記の流体路またはその一部は一般的に「主流体路」と呼ぶものであり、以下の説明及び請求項ではこの用語は、スプール35及びスリーブ37がいずれかの作動位置にある時の上記流体路またはその一部を意味するために使用されていると理解されたい。
【0020】主にスプール35に対するスリーブ37の軸方向移動に応答して、コントローラ弁機構内の可変流量制御オリフィスを定めることができることが、本発明の1つの重要な特徴であるが、本実施例では、スリーブ37に対するスプール35の回転移動に応答して定められる可変流量制御オリフィスも設けられている。図1及び図2に示されているように、スプール35に対するスリーブ37の軸方向移動を容易にするため、スリーブをスプールの隣接部分よりも軸方向に短くなっている。
【0021】弁機構次に、図2及び図3を参照しながら、スプール35及びスリーブ37をそれらに形成された様々なポート及び通路に関して詳細に説明する。以下の説明において、多くのポート及び通路は、環状室23c に対して対称的またはほぼ対称的に配置されており、それらの部材は、環状室23c の左側または右側に位置していることを示すため、参照番号の後にそれぞれLまたはRを付けて示されている。それに対して、その他の部材のあるものは、環状室23c に中心が位置しているか、中心が位置していない場合も環状室23c の反対側に対応の部材を備えておらず、それらは参照番号だけで示されている。
【0022】図2、4及び6の重合図は、主にスプール35(主に点線)とスリーブ37(実線)との間の接合面を示すためのものであることを理解されたい。スプール35には1対のほぼ環状のメータ溝67L及び67Rが形成されており、これらの協働によってその間にスプールランド69が形成されている。図2及び3の左端部側において、スプール35にほぼ環状のタンク溝71Lが形成されており、また右端部側において、スプール35にほぼ環状のタンク溝71Rが形成されている。スプールの溝67L及び71L間にスプールランド73Lが形成されており、同様に溝67R及び71Rの協働によってスプールランド73Rが形成されている。
【0023】図3にわかりやすく示されているように、スプール及びスリーブが図2及び3に示されている中立位置にある時、スプールランド69は環状室23c と軸方向に整合しているのに対して、スプールランド73L及び73Rはそれぞれ環状室27c 及び29c と軸方向に整合している。
【0024】さらに主に図2を参照しながら説明すると、タンク溝71Lを形成しているスプール35の部分には、図1に関連して説明した1対のピン開口55も設けられている。開口55の構造及び機能については詳細に後述する。しかし、それらの開口は溝71Lからスプール35の内部まで貫設されていることに注意されたい。スプールランド69には、円周方向に延在したノッチ75Lと円周方向に延在したノッチ75Rとが設けられており、これらのノッチ75L及び75Rはそれぞれメータ溝67L及び67Rと開放連通している。スプール35にはスプールランド73Rの右側に複数のタンクポート77が設けられ、スプールの内部まで貫設されている。
【0025】スプールランド73L及び73Rにはそれぞれ円周方向に延在したノッチ79L及び79Rが設けられており、それぞれメータ溝67L及び67Rと連通している。スプールランド73L及び73Rにはさらに、それぞれタンク溝71L及び71Rと流体連通している円周方向に延在したノッチ81L及び81Rが設けられている。最後に、スプールランド73L及び73Rにはそれぞれ圧力バランス溝83L及び83Rが設けられており、これらの機能については後述する。
【0026】スリーブ37には複数の圧力ポート85が設けられている。図2だけに示されているが、すべての圧力ポート85が同一の大きさというわけではない。図2の5ー5線のすぐ上方にあるポート85は図2においてそれの上方にあるポートよりも幾分小さいが、図2の下部に半分が示され、図2の上部に半分が示されているポート85も小さい。スプール35にはこれらの小ポート間に負荷感知ドレインポート86(わかりやすくするために図2では実線で示されているが、それはスプールに形成されている)が設けられており、これについては図5を参照しながらさらに詳しく説明する。負荷感知ドレインポート86のすぐ上方及び下方のポート85は、以下に説明するようにスプール及びスリーブが相対変位した時にドレインポート86と連通しないようにするため、小さく形成されている。スリーブのポート85から軸方向外側に2組の補助ポート87L及び87Rが形成されており、それらの機能については後述する。スリーブのポート85からさらに軸方向外側に2組のメータポート89L及び89Rが形成されており、さらに外側には2組の作動ポート91L及び91Rが設けられている。最後に、図2の駆動ピン53の左側に1対のドレイン穴92が設けられており、その各々は小径穴と大径穴とを互いに偏心配置して形成されている。
【0027】図2及び3にはスプール35及びスリーブ37が中立位置に示されており、ばね57によって、駆動ピン53の端部がピン開口55の(円周方向の)中心に位置する位置へスプール及びスリーブが押し付けられている。また、一部のポートが隣接のノッチに対して(円周方向に)中立位置にある。例えば、図2のポート85の1つがノッチ75Rの「上」端部付近に位置しているため、ポート85からノッチ75Rへ連通させるためにはスプール及びスリーブの相対回転が必要であろう。
【0028】同時に、多数のポートが様々なスプール通路に対して(軸方向に)中立位置にある。例えば、中立位置では、ポート85を通る流れがスプールランド69によって遮断され、各ポートはメータ溝67L及び67Rから軸方向に等距離の位置にある。同様に、作動ポート91L及び91Rを通る流れはそれぞれスプールランド73L及び73Rによって遮断され、各ポート91L及び91Rはそれぞれ隣接の溝71L及び67L、及び67R及び71Rから軸方向に等距離の位置にある。従って、上記説明では円周方向中立及び軸方向中立について述べたが、駆動ピン53が開口55内に拘束されているため、円周(回転)方向の相対中立位置によって軸方向の中立が確保されることは、当業者には明らかであり、以下の説明では単に「中立」位置と呼ぶだけとする。
【0029】初期作動位置次に主に図4を参照しながら、車両運転者がステアリングホィール(及び従ってスプール35)を反時計回り(左旋回)方向へ回転させて、スプールがスリーブに対して図4において「上方」へ移動した時に生じる作動位置について説明する。スプールがスリーブに対して回転すると、スリーブは図2の中立位置から図4の右側へ軸方向に移動し始める。
【0030】本実施例では、スプール及びスリーブが約4〜6度相対回転すると、ポート85の1つがノッチ75Rと連通し始め、その間の重合部分が主可変流量制御オリフィス A1rを形成し、[r]は、スプール及びスリーブの相対回転移動に応答して形成された流量制御オリフィスであることを示している。加圧流体が特定のポート85を通り、次にノッチ75Rを通ってメータ溝67Rに流入してから、メータポート89Rを通り、さらに前述したようにメータ17を流る。計量流体は、メータポート89Lを通り、メータ溝67Lへ流れ、さらにノッチ79L及び作動ポート91Lの1つを通るが、その間の重合部分が可変流量制御オリフィス A4rを形成している。この計量流体は、次に環状室27c (図3を参照)へ流れ、さらにそこから前述のようにステアリングシリンダへ流れる。ステアリングシリンダから戻る流体は、環状室29c へ流入し、ノッチ81Rと連通している作動ポート91Rの1つを通るが、その間の重合部分が可変流量制御オリフィス A5rを形成している。この戻り流体は、次にタンク溝71Rを流れてタンクポート77を通り、スプール35の内部を通った後、ピン開口55及びドレイン穴92を通って環状室25c へ流れ、続いて戻りポートへ流れる。
【0031】スプール及びスリーブの相対回転に応答して流量制御オリフィスが形成される上記流体路は、主流体路の一部を構成していることを理解されたい。しかし、そのような回転オリフィスの形成は本発明の本質的特徴ではないが、主に車両運転者がステアリングホィールを回転した時にステアリング流れを非常に正確に予定通りに開始できるようにするために設けられていることも理解されたい。
【0032】図4に示されているように、ピン開口55は円周方向の線に対して角度Aの向きに設けられている。その結果、スリーブに形成された各ポートは、図2の中立位置から角度Aに対応した経路に沿ってわずかに右方向へ「下向き」に(スプールに対して)移動すると考えられる。また、図4に示されているように、ノッチ75R(及び他の各ノッチも同様に)は角度Bを付けて設けられている。角度Bが角度Aと同じであれば、ポート85及びノッチ75Rが図4に示されている位置から相対移動を続けても、A1r,A4r またはA5r オリフィスの面積が増加しない。しかし、ステアリング制御装置では、ステアリングホィールを高速で、または大きいトルクで回転させるほど流れ面積が漸増するようにすることが望ましいと通常考えられている。従って、本実施例では、角度Bを角度Aより小さくして、スプール及びスリーブ間の変位量の増加に伴って、流量制御オリフィスA1r の面積が増加するようにしている。ノッチ79L及び81Rにも角度Bが付けられているとすると、スプール及びスリーブ間の変位量の増加に伴って、流量制御オリフィスA4r 及びA5r の面積も増加する。
【0033】図4において左旋回状態の時、メータ溝67Rと常に開放連通している補助ポート87Rが、環状室31cRとも連通し始める。図5(スリーブ37が中立位置にある)にわかりやすく示されているように、環状室31cL及び31cRがそれぞれ通路93L及び93Rによって負荷感知流体ポートと連通している。従って、スリーブ37が図4の作動位置にあると、ポート87Rは負荷圧力をA1r オリフィスの下流の溝67Rから環状室31cR及び通路93Rを通り、負荷感知ポート31へ送る。同時に、補助ポート87Lが環状室23c と連通し始めるため、入口ポート23から加圧流体を受け取る。加圧流体は、主流体路と平行にポート87Lを流れて流体メータ17を迂回した後、A4r オリフィスの上流のメータ溝67Lで主流体路に再び合流する。その結果、ステアリングシリンダへ流れる合計流量が流体メータ17の容量以上になるが、ステアリングシリンダへ流れる流量はスプール及びスリーブ間の相対変位量に対して所定の関係に維持されている。平行増幅またはバイパス流れの概念は、ドナルド エム.ハールスタッドの名前で発行され、本発明の譲受人に譲渡されている「流量増幅式ステアリング制御装置」と題する米国特許第4,759,182 号にわかりやすく記載されており、この特許は引用文献として本説明に含まれる。
【0034】次に、主に図5を参照しながら説明すると、ステアリング作動が完了した後、スリーブ37は図2及び3に示されている中立位置へ戻る。スリーブが中立位置に近づく時、ステアリング負荷圧力がまだポート31、通路93R及び環状室31cR(ポート31に連結されている負荷感知回路の他のものと共に)内に存在している。スリーブが再び中立位置になった時、スリーブ35に角度を付けてドリル加工されたドレイン通路95が、負荷圧力を環状室31cR及び負荷感知回路の他のものからスプール35にドリル加工された負荷感知ドレインポート86へ逃がすため、負荷感知ドレイン回路全体が戻りポート25の内部及び装置タンクを介して連通する。当業者には公知のように、両環状室31cL及び31cRがそれぞれ通路93L及び93Rによって負荷感知ポート31に連結しているため、スリーブを中立位置からいずれの方向に変位させるにしても、負荷信号回路全体のドレインとして単一のドレイン通路95を設けるだけでよい。
【0035】最大変位次に、図6を参照しながら説明すると、車両運転者がステアリングホィールを回転し続けると、スプールがスリーブに対して、図4に示されている位置から前述の角度Aに対応した経路に沿って図6に示されている位置までほぼ左上向きに移動し続ける。図6は、ピン53が開口55の底部に達した時に生じる最大変位位置そのものではないが、スリーブ37がその最大変位位置に近づいていることがわかるであろう。
【0036】スプール35に対するスリーブ37の変位が、図4に示されている位置から図6に示されている位置に向かって継続する時、ポート85、91L及び91Rがそれぞれノッチ75R、79L及び81Rの端部に達するまで、可変流量制御オリフィスA1r 、A4r 及びA5r が増加し続ける。次に、A1r,A4r 及びA5r が減少し始める時、別の弁機構モードが開放し始める(図9を参照)。
【0037】スプール及びスリーブの相対変位の大部分において流量制御オリフィスがスプール及びスリーブの相対軸方向位置(及び変位)に対応して形成されることが、本発明の重要な特徴である。図6と合わせて図7を参照しながら説明すると、スリーブがスプールに対して図4に示されている位置から図6に示されている位置まで軸方向の右向きに変位する時、「軸方向」オリフィスが形成され始める。スプール−スリーブ変位が約15度から約25度の間で回転オリフィスから軸方向オリフィスへ遷移する時を示している図9も参照されたい。
【0038】図9では、わかりやすくするために「A1合計」曲線がそれぞれのA1曲線のわずかに上方に描がかれているが、ほとんどの変位範囲ではA1合計がA1r またはA1a に等しい。ピン53が開口55内を移動することによってスリーブが図6の右方向へ押し付けられる時、ポート85がメータ溝67Rと連通し始めて、その間の合計重合部分によって主可変流量制御オリフィスA1a が形成される。主流体路は図4に関連して説明したものと同じであることは、当業者には理解されるであろう。
【0039】従って、A1a オリフィスを流れる流れは溝67Rを通ってからメータポート89Rを流れて流体メータ17に達し、計量された流体はメータポート89Lを通ってメータ溝67Lへ戻る。この加圧計量流体は、次に作動ポート91L及びメータ溝67Lの合計重合部分で形成された可変流量制御オリフィスA4a を流れる。この流体は、次に前述したようにステアリングシリンダへ送られて、ステアリングシリンダから作動ポート91Rへ戻り、この時に作動ポート91Rがタンク溝71Rに重合しており、その間の合計重合部分で可変流量制御オリフィスA5a が形成されている。A5a を流れる戻り流体は、タンクポート77を通ってから、前述したようにして戻りポート25へ流れる。
【0040】図9のグラフからわかるように、A1r 、A4r 及びA5r の流量制御オリフィスを通る流量は、A1a 、A4a 及びA5a の流量制御オリフィスを通る流量よりも相当に少ない。図6の各ポート及びそれぞれの対応の溝の重合面積は特に大きくないが、「回転」オリフィスは単一のポート及び単一のノッチだけで形成されるのに対して、軸方向オリフィスは少なくとも5つのポート(図2を参照)及びそれらのそれぞれの対応溝によって各変位方向に対して形成されることに注意する必要がある。このため、「軸方向」オリフィスの合計流れ面積は「回転」オリフィスよりも相当に大きい。以下の説明及び請求項に用いられる「作動位置」とは、A1a、A4a 及びA5a オリフィスが開放し始めた後のスプール及びスリーブの位置であることがわかるであろう。最も通常のステアリング動作が生じるのは、スプール及びスリーブがこの位置にある時である。
【0041】本発明の1つの重要な特徴は、大きいたわみ(広角)作動を容易にすることであり、これについては本発明の譲受人に譲渡されており、引用文献として本説明に含まれる親出願である米国出願番号第 602,829号に詳細に説明されている。図2の図面は、スプール及びスリーブの 360゜の円周表面を示している。好ましくは、ピン開口またはスロット55は、スリーブに対するスプール35の少なくとも約30゜の回転移動に応答してスリーブ37をそれの中立位置からそれの最大変位位置へ変位させる形状であることが好ましい。最大軸方向変位を達成するための相対回転移動が約45゜であることがさらに好ましく、本実施例ではスリーブの最大軸方向変位を達成するためのスプール及びスリーブ間の相対回転が約60゜である。スプール及びスリーブの最大軸方向変位(従ってその間の最大流れ面積)を達成するための回転変位がそのように大きいことによって、従来形ステアリング制御装置の多くで、特に大型の農業用車両に用いられた時に発生しやすいステアリング「ジャーク(ガタガタ揺れること)」の恐れが相当に減少する。
【0042】本発明の重要な特徴及び利点は、圧力バランスに関するものである。相対的に変位可能なスプール及びスリーブを備えた形式の流体コントローラに一般的に見られる問題の1つとして、スリーブの一部の領域が比較的高圧(例えば3000psi)を受けるため、スリーブがスプールの周囲に「固着」しがちである。このような固着は、ステアリング作動が完了した後に最も発生しやすいが、捕獲負荷(従って環状室27c 内に高圧)が存在し、スプール及びスリーブが中立位置へ戻り、スプール及びスリーブ内の圧力が比較的低い。環状室27c 内の圧力の力に対抗できるように、スリーブ37に対して何らかの形式の圧力バランスをとれるようにすることが望ましい。従来形スプール及びスリーブ流体コントローラの多くでは、主流体経路を妨害しないで有効な圧力バランス領域を設けることは非常に困難であった。しかし、本発明のスプール35の形状では、圧力バランスを非常に容易にとることができる。
【0043】次に、図6及び8を参照しながら説明すると、圧力バランス溝83Lがスプールランド73Lの円周全体に設けられている。同様に、圧力バランス溝83Rがスプールランド73Rの円周全体に設けられている。スリーブ37が図4及び6に示されている左旋回状態にある時、加圧流体が環状室27c 内に含まれ、また圧力バランス溝83L全体にも入っており、スリーブに対して環状室27c 内の圧力で加えられる力とは反対の半径方向外向きの付勢力を加える。図2(中立位置)を図6及び8と比較することによってわかるように、スリーブ37がスプール35に対していずれの位置にある時でも、環状室27c 内の圧力はすべて、作動ポート91Lによって圧力バランス溝83L内にも存在している。同様に、環状室29c 内の圧力はすべて、作動ポート91Rによって圧力バランス溝83R内にも存在している。
【0044】次に主に図6及び7を参照しながら説明すると、スリーブ37が「回転」オリフィスを形成する図4の位置から「軸方向」オリフィスを形成する図6の位置まで変位する時、前述したようにして補助ポート87Rは、ステアリング負荷圧力を(A1r オリフィスの下流ではなく)A1a オリフィスの下流のメータ溝67Rから負荷感知ポート31へ送り続ける。同時に、前述したようにして補助ポート87Lは環状室23c から(A4r オリフィスの上流ではなく)A4a オリフィスの上流のメータ溝67Lに増幅流れを送り続ける。
【0045】右旋回状態再び図2を参照しながら説明すると、車両運転者がステアリングホィールを、従ってスプール35を時計回り方向へ回転させると、主流体路が「逆転」し、ステアリングシリンダが反対方向へ変位して車両が右旋回する。
【0046】スリーブがスプールに対して図2に示された位置から左上方へ移動すると、ポート85の1つが最初にノッチ75Lと連通して、その間にA1r 流量制御オリフィスを形成する。加圧流体がA1r オリフィスを通ってメータ溝67Lに流入し、さらにメータポート89Lを通り、流体メータ17を通り、次にメータポート89Rを取ってメータ溝67Rに流入する。この計量流体は、次にノッチ79Rを通り、A4r 流量制御オリフィスを形成している作動ポート91Rの1つを通り、そこからステアリングシリンダへ流れる。ステアリングシリンダから出た流体は、作動ポート91Lの1つを通り、A5r オリフィスを形成しているノッチ81Lを通り、そこからタンク溝71L及びドレイン穴92を通って戻りポート25へ流れる。
【0047】スリーブがさらに変位すると、ポート85がメータ溝67Lと連通し始めてA1a 流量制御オリフィスを形成し、作動ポート91Rがメータ溝67Rと連通し始めてA4a流量制御オリフィスを形成し、作動ポート91Lがタンク溝71Lと連通し始めてA5a 流量制御オリフィスを形成する。スプール及びスリーブが右旋回方向へ相対変位した時、補助ポート87Lが負荷感知ポートとなって、ステアリング負荷圧力をA1r 及びA1a オリフィスの下流のメータ溝67Lから環状室31cLへ送り、さらにそこから通路93Lを通って負荷感知ポート31へ送る。同時に、補助ポート87Rは環状室23cに連通して、前述したようにして増幅流れを入口ポート23からポート87Rを通ってメータ溝67Rへ送り込む。
【0048】変更実施例図10及び図11は、前述の弁機構形状ではなく、スプール35の相対回転に応答してスリーブ37を軸方向へ変位させる機構に関する本発明の変更実施例を示している。
【0049】本発明では、ピン開口55が、スリーブ37を一方または他方の軸方向へ付勢できる十分な力で駆動ピン53と係合しており、一種のカム表面のようにして作動している。その結果、駆動ぴんとピン開口との間に起こり得る摩耗について考える必要があり、そのような摩耗はスプールの回転変位とスリーブの軸方向変位との間の関係を変化させることによって、ステアリング動作に悪影響を与える可能性がある。また、ピンと開口との間の摩擦係合によって、ばね57の中立再センタリングに望ましくないヒステリシスが導入される。
【0050】図10及び11の変更実施例では、駆動ピン53の代わりに変更形駆動ピン53’が用いられ、これはその長さ方向の大部分が幾分大径になっており、大径のピン開口55’内に収容されている。駆動ピン53’の各端部付近に小径部分101 が設けられており、その部分101 の周囲に小さい転がり軸受セット103 が配置されて、駆動ピン53’に形成された肩部105 に当接している。各部分101 に軸受セット103 を取り付けた後、シリンダキャップ107 が部分101 の周囲に取り付けられて、軸受セット103 を適切に位置決めできるようにしている。キャップ107 はスリーブ37の開口よりもわずかに小さいことが好ましい。転がり軸受セット103 を用いることによって、駆動ピン53とピン開口55との間の擦り係合がなくなり、代わりに軸受セット103 の外レースとピン開口55’との間が転がり係合する。
【0051】以上に本発明を詳細に説明してきたが、以上の説明を読んで理解すれば、当業者であれば様々な変化及び変更を考えることができるであろう。そのような変化及び変更はすべて、請求項の範囲内であれば本発明に含まれる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、スリーブに対するスプールの回転によって、駆動ピンがはまっているピン開口の形状からスリーブが軸方向に変位し、スリーブの一定量の軸方向移動の後、様々なポートがそれぞれ1対のメータ溝およびタンク溝と連通し始めて、可変軸方向流量制御オリフィスを形成するので、スプールの表面にかなりの数の軸方向に延在したフライス加工スロットまたは通路を設ける必要がなくなり、装置を容易に構成することができ、また、主流体経路を妨害しないでスリーブに有効な圧力バランスをとることも容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による流体コントローラの軸方向断面図である。
【図2】弁機構が中立位置にある、図1の流体コントローラの弁機構における拡大部分重合図である。
【図3】図2の3−3線に沿った図1と同様な拡大部分軸方向断面図である。
【図4】弁機構が第1作動位置(左旋回)へ変位している、図2と同様な拡大部分重合図である。
【図5】図2の5−5線に沿った拡大部分軸方向断面図である。
【図6】弁機構が最大変位位置(やはり左旋回)の方へ変位している、図3と同様な拡大部分重合図である。
【図7】図6の7−7線に沿った拡大部分軸方向断面図である。
【図8】図6の8−8線に沿った拡大部分軸方向断面図である。
【図9】回転オリフィス(A1r 、点線)、軸方向オリフィス(A1a 、一点鎖線)及び2つのオリフィスの合計(A1合計、実線)を示している、主可変流量制御オリフィスにおけるオリフィスの流れ面積対弁変位量のグラフである。
【図10】本発明の変更実施例を示す図3と同様な拡大部分軸方向断面図である。
【図11】図10の11−11線に沿った図10と同一縮尺の軸方向断面図である。
【符号の説明】
11 流体コントローラ
13 ハウジング手段
23 入口ポート
25 戻りポート
27、29 制御流体ポート
35 スプール
37 スリーブ
53 駆動ピン
55 ピン開口
67R、67L 流体通路
85 圧力ポート
91L 作動ポート
A1a 、A4a 可変軸方向流量制御オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】 加圧流体源から流体圧作動装置への流体の流量を制御するコントローラ(11)であって、加圧流体源に連結される入口ポート(23)、タンクに連結される戻りポート(25)及び流体圧作動装置に連結される第1(27)及び第2(29)制御流体ポートを形成したハウジング手段(13)を含み、主回転弁部材(35)及びそれと協働する相対回転可能な追従弁部材(37)を有する弁手段が前記ハウジング手段内に配置され、前記主及び追従弁部材は、中立位置(図2)と、前記主弁部材が追従弁部材に対して前記中立位置から第1方向へ回転変位している第1作動位置とを備えており、前記主弁部材(35)には第1(67R)及び第2(67L) 流体通路が設けられ、前記追従弁部材(37)にはそれぞれ前記入口ポート(23)及び前記第1制御流体ポート(27)と連続流体連通している第1(85)及び第2(91L) 流体ポートが設けられており、前記弁部材が前記中立位置(図2R>2)にある時、前記第1及び第2流体ポートはそれぞれ前記第1及び第2流体通路との流体連通が遮断され、また前記弁部材が前記第1作動位置にある時、前記第1及び第2流体ポートはそれぞれ前記第1及び第2流体通路と流体連通しており、前記弁部材が前記第1作動位置にある時、前記ハウジング手段(13)及び前記弁部材の協働によって前記入口ポート(23)から前記第1制御流体ポート(27)まで、及び前記第2制御流体ポート(29)から前記戻りポート(25)までを流体連通させる第1主流体路(23c,85,67R,89R,17,89L,91L,27c,29c,91R,71R,77,25c)が形成されるようになっており、(a)前記主及び追従弁部材の相対回転変位に応答して作動して、前記追従弁部材を第1軸方向に前記第1作動位置へ移動させる手段(5553) を有し、(b)前記追従弁部材が前記第1作動位置へ軸方向変位した時、前記第1(85)及び第2(91L) 流体ポートがそれぞれ前記第1(67R) 及び第2(67L) 流体通路と協働して第1(A1a) 及び第2(A4a) 可変軸方向流量制御オリフィスを形成し、(c)前記第1主流体路は前記第1(A1a) 及び第2(A4a) 可変軸方向流量制御オリフィスを含んでいることを特徴とする流体コントローラ。
【請求項2】 前記弁部材が第1作動位置にある時、第1(A1a) 及び第2(A4a) 可変軸方向流量制御オリフィスを通る流体の流れは、第1主流体路を通る流体流の大部分であることを特徴とする請求項1の流体コントローラ。
【請求項3】 前記主(35)及び追従(37)弁部材が協働して最大変位位置(図6)を形成し、前記弁部材が最大変位位置にある時、第1(A1a) 及び第2(A4a)可変軸方向流量制御オリフィスを通る流体の流れは、第1主流体路を通る流体流のほぼすべてであることを特徴とする請求項1の流体コントローラ。
【請求項4】 前記弁部材が第1作動位置にある時、第1主流体路を流れる流体の容積に比例した追従移動を前記追従弁部材(37)に与える流体作動手段(17)が設けられていることを特徴とする請求項1の流体コントローラ。
【請求項5】 前記流体作動手段(17)には、第1主流体路を流れる流体流に応答して回転するメータ部材(43)と、該メータ部材と共転して追従移動を前記追従弁部材(37)に与える軸部材(49)とが設けられていることを特徴とする請求項4の流体コントローラ。
【請求項6】 前記軸部材(49)には、主弁部材(35)に形成された少なくとも1つの駆動開口(55)に半径方向に挿通されて追従弁部材(37)と係合している駆動部材(53)が設けられており、追従移動を前記追従弁部材に与える手段(5553) には、前記駆動部材及びそれと前記追従弁部材との係合が含まれることを特徴とする請求項5の流体コントローラ。
【請求項7】 前記駆動開口は、円周方向及び軸方向に延出した細長いスロット(55)を有しており、これによって前記主弁部材(35)が追従弁部材(37)に対して回転移動することによって、前記追従弁部材が第1軸方向へ移動するようにしたことを特徴とする請求項6の流体コントローラ。
【請求項8】 前記細長いスロット(55)の軸方向及び円周方向の広がりは、前記主弁部材(35)が追従弁部材(37)に対して少なくとも約30゜回転移動するのに応答して、前記弁部材を中立位置(図2)から最大変位位置(図6R>6)へ移動させるように選択されていることを特徴とする請求項7の流体コントローラ。
【請求項9】 中立位置(図2)から最大変位位置(図6R>6)への主(35)及び追従(37)弁部材の移動は、前記主弁部材が追従弁部材に対して少なくとも約45゜回転移動するのに応答して発生することを特徴とする請求項8の流体コントローラ。
【請求項10】 前記ハウジング手段(13)は、入口ポート(23)と連続流体連通している環状圧力溝(23c) を形成しており、追従弁部材(37)に形成された第1流体ポート(85)は、前記追従弁部材が中立位置(図2)及び最大変位位置(図6)間を軸方向移動する時に、環状圧力溝と連続流体連通する位置に配置されていることを特徴とする請求項1の流体コントローラ。
【請求項11】 前記主弁部材(35)に形成された第1及び第2流体通路は、環状圧力溝(23c) の軸方向の両側に配置されている第1(67R) 及び第2(67L) のほぼ環状の溝を有していることを特徴とする請求項10の流体コントローラ。
【請求項12】 前記ハウジング手段(13)は、負荷感知ポート(31)と、環状圧力溝(23c) に隣接配置された環状負荷感知溝(31cR)とを形成しており、前記追従弁部材(37)は、弁部材が第1作動位置にある時に、前記主弁部材(35)に形成された第1環状溝(67R) と環状負荷感知溝(31cR)とを連続流体連通させる負荷感知ポート(87R) を形成していることを特徴とする請求項11の流体コントローラ。
【請求項13】 第1主流体路を流れる流体の容積に比例した追従移動を追従弁部材(37)に与える流体作動手段(17)が設けられており、前記追従弁部材(37)は、前記弁部材が第1作動位置にある時、環状圧力溝(23c) と第2環状溝(67L)とを連続流体連通させる流量増幅ポート(87L) を形成していることを特徴とする請求項12の流体コントローラ。
【請求項14】 前記主弁部材(35)は、第2流体通路(67L) に隣接して軸方向に配置された第1スプールランド(73L) を形成しており、該第1スプールランド(73L) は、前記弁部材が中立位置(図2)にある時に前記第2流体通路から追従弁部材(37)に形成された第2流体ポート(91L) を通る流体連通を遮断するように配置されていることを特徴とする請求項1の流体コントローラ。
【請求項15】 第1スプールランド(73L) は、前記弁部材が中立位置(図2)から第1作動位置へ変位した時に、追従弁部材(37)に形成された第2流体ポート(91L) と連続流体連通するように配置された第1環状圧力バランス溝(83L)を形成していることを特徴とする請求項14の流体コントローラ。
【請求項16】 前記追従弁部材(37)は、第2制御流体ポート(29)と連続流体連通している第3流体ポート(91R) を形成しており、該第3流体ポートは、前記弁部材が中立位置(図2)にある時に、戻りポート(25)との流体連通を遮断し、かつ前記弁部材が第1作動位置にある時に、前記戻りポートと流体連通することを特徴とする請求項15の流体コントローラ。
【請求項17】 前記主弁部材(35)は、第1流体通路(67R) に隣接して軸方向に配置された第2スプールランド(73R) を形成しており、該第2スプールランド(73R) は、前記弁部材が中立位置(図2)にある時に、第1流体通路から第3流体ポート(91R) を通る流体連通を遮断するように配置されるとともに、前記弁部材が中立位置から第1作動位置へ変位した時には、追従弁部材に形成された前記第3流体ポートと連続流体連通するように第2環状圧力バランス溝(83R) が設けられていることを特徴とする請求項16の流体コントローラ。
【請求項18】 前記主弁部材(35)は、第1流体通路(67R) と開放流体連通している軸方向に延在する回転流体通路(75R) を形成しており、第1流体ポート(85)は、前記弁部材が中立位置(図2)にある時に、前記回転流体通路との流体連通が遮断されるとともに、前記弁部材が中立位置から追従弁部材に対して第1方向へ回転変位する時には、前記回転流体通路と流体連通して可変回転流量制御オリフィス(A1r) を形成して、前記可変回転流量制御オリフィス(A1r) を通過する流体流は、前記第1主流体路の一部を構成していることを特徴とする請求項1の流体コントローラ。
【請求項19】 可変回転流量制御オリフィス(A1r) は、前記弁部材が中立位置(図2)から第1作動位置の方へ変位する時、第1可変軸方向流量制御オリフィス(A1a) が開放し始める前に、開放し始めることを特徴とする請求項18の流体コントローラ。
【請求項20】 可変回転流量制御オリフィス(A1r) を通る流体の流量は、前記弁部材が第1作動位置にある時、第1可変軸方向流量制御オリフィス(A1a)を通る流量よりも相当に少ないことを特徴とする請求項18の流体コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図11】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開平5−246336
【公開日】平成5年(1993)9月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−18092
【出願日】平成5年(1993)1月8日
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION