説明

軸状部品の供給装置

【課題】 軸状部品の移動経路を簡素化することができ、空間的に制約された箇所において採用しやすい軸状部品の供給装置を提供する。
【解決手段】 入口開口10と出口開口11が設けられた保持部材8が進退式の供給ロッド6に取り付けられ、保持部材8に入ってきた軸状部品1を一時停止するストッパ手段13が設けられ、軸状部品1を保持部材8の内面に押し付ける保持手段24が設けられ、供給ロッド6の進出後保持部材8から落下して目的箇所に到達した軸状部品1が保持部材8の復帰動作時に保持部材8を相対的に通過できる通過部22が設けられ、この通過部22は供給ロッド6の延長方向の箇所に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸状部品の供給装置に関している。
【背景技術】
【0002】
軸状部品を供給ロッドに取り付けられたカップ状の保持部材に受け入れ、その後、供給ロッドを進出させて目的箇所へ供給する供給装置が、特許第3689847号公報に記載されている。
【特許文献1】特許第3689847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような供給装置は、カップ状の保持部材から軸状部品を送出するときには、保持部材に進入してきた方向とは逆方向に送出するようになっている。つまり、保持部材に対する軸状部品の進入方向と送出方向とが逆方向になっている。したがって、例えば、軸状部品を上方に送り出すような構造を採用する必要があり、構造的に複雑になる。同時に、軸状部品の移動軌跡を正確に設定する必要があるので、動作精度を高く維持ことが困難となる。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、軸状部品の移動経路を簡素化することができ、空間的に制約された箇所において採用しやすい軸状部品の供給装置の提供を目的とする。
【問題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、入口開口が上側に出口開口が下側に設けられた中空形状の保持部材が進退動作をする供給ロッドに取り付けられ、前記保持部材に入ってきた軸状部品を前記出口開口の近傍において一時停止するストッパ手段が設けられ、軸状部品を保持部材の内面に押し付けて落下防止を行う保持手段が保持部材に設けられ、供給ロッドの進出後、保持部材から落下して目的箇所に到達した軸状部品が、保持部材の復帰動作時に保持部材を相対的に通過できる通過部が保持部材に設けられ、この通過部は供給ロッドの延長方向の箇所に配置されていることを特徴とする軸状部品の供給装置である。
【発明の効果】
【0006】
前記入口開口から入ってきた軸状部品は、ストッパ手段によって一時停止され、それに引き続いて保持手段によって保持部材の内面に押し付けられて落下しないように保持される。その後、供給ロッドが進出して保持部材が目的箇所の上位にきた位置で停止し、保持手段の前記押し付けが解除されると、軸状部品が落下して出口開口から目的箇所に到達する。
【0007】
このように入口開口から保持部材に入ってきた軸状部品が、そのまま方向を変えずに出口開口から送出されてゆくので、軸状部品の移動軌跡が単純化されて確実な供給と構造の簡素化が実現する。このような入口開口から出口開口への移動軌跡であるから、保持部材を例えば円筒状の部材で構成することができて、構造簡素化がおこなえる。
【0008】
さらに、軸状部品は保持部材の内面に押し付けられた状態で落下防止がなされるので、押し付けを解除するだけで軸状部品の保持が解放されて落下し、軸状部品の保持と解放が簡単な動作で実行できる。また、この押し付けのための構造が出口開口の通過に支障を来すことがなく、軸状部品の円滑な移動にとって好適である。
【0009】
前記通過部が設けてあるので、目的箇所に到達した軸状部品の一部または相当部分が保持部材内に存在していても、供給ロッドの後退によって保持部材を戻すことができる。これにより、上下方向のスペースが狭い場合であっても、制約を受けることなく供給装置の設置が可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記通過部は、出口開口側が開放しているとともに入口開口側に延びた形状である請求項1記載の軸状部品の供給装置である。
【0011】
このような形状であるために前述のように、目的箇所に到達した軸状部品をその位置に残留させたままで保持部材を復帰させることができ、長尺な軸状部品であっても、その長さ方向の所要スペースを最小化して保持部材の進退を行うことができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記ストッパ手段は静止部材に取り付けられており、保持部材が後退位置に停止している状態において、出口開口に突き出ているものである請求項1又は請求項2記載の軸状部品の供給装置である。
【0013】
前記ストッパ手段が静止部材に取り付けられているので、ストッパ手段で一時停止されている軸状部品を保持手段で落下防止を図った後、保持部材が進出すると、ストッパ手段は残留したままとなる。したがって、保持部材が目的箇所の上位に停止した時点では、ストッパ部材は出口開口付近に存在しない状態となり、軸状部品は出口開口から円滑に送出される。また、可動性のないストッパ部材の構造とすることができ、構造の簡素化や動作信頼性の向上が可能となる。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記保持手段の押し付けは、軸状部品が前記通過部からずれた箇所の前記内面に押し付けられる方向である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の軸状部品の供給装置である。
【0015】
上述のように、軸状部品は通過部からずれた箇所の前記内面に押し付けられるので、通過部の空間部の影響を受けることなく、確実に軸状部品の落下防止が行える。
【0016】
請求項5記載の発明は、軸状部品を収容する保持部材の収容空間は、軸状部品の落下方向にほぼ直交する方向の断面が、円形である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の軸状部品の供給装置である。
【0017】
上述のように、保持部材の収容空間は断面が円形であるから、軸状部品の押し付け方向と通過部の通過空間を区分して、確実な押し付けと通過を果たすことができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、軸状部品は管状の部材であり、前記目的箇所は電気抵抗溶接の電極に設けられたガイドピンである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の軸状部品の供給装置である。
【0019】
供給ロッドの進出により、保持部材の下部をガイドピンの間近まで進出させ、それから軸状部品を落下させるとガイドピンは相対的に軸状部品内に進入する。したがって、軸状部品はガイドピンのわずか上方で停止し、そこから落下するので、落下距離が短縮される。このように落下距離が短いので、ガイドピンは確実に軸状部品内に進入してガイドピンに対する部品供給が正確に実行され、装置の動作信頼性が向上する。また、固定電極にガイドピンが設けられ、それと対向させて可動電極が設置してある場合には、両電極の間隔を短くすることができ、溶接装置の小型化にとって有効であるとともに、可動電極の動作ストロークを短くすることができて、サイクルタイムの短縮が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
つぎに、本発明の軸状部品の供給装置を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜図7は実施例1を示す。
【0022】
まず、本発明で扱われる軸状部品について説明する。
【0023】
軸状部品としては、断面が円形や角形の細長い部材や、断面中空の細長い部材等種々なものがある。図1(B)に示した軸状部品1は、断面が円形の管状とされたもので、円筒部2の端部にフランジ状部材3が形成されている。同図(C)に示した軸状部品1は、フランジ状部材のない管状の部材である。また、同図(D)に示した軸状部品1は、中実の円柱型の部材である。そして、これらの軸状部品1は、鉄製である。
【0024】
本実施例1においては、図1(B)に示した軸状部品1が供給の対象とされている。同部品の各部の寸法は、長さが43mm、円筒部2の直径が14mm、フランジ状部材3の直径が20mm、円筒部2の肉厚が3mm、円筒部2の内径が8mmであり、質量は70グラムである。
【0025】
つぎに、供給装置全体の構造について説明する。
【0026】
図1(A)は、供給装置全体の側面図である。供給装置全体は、符号100で示されている。装置の機枠等で構成された静止部材4にガイド筒5が傾斜した姿勢で固定されている。このガイド筒5を供給ロッド6が貫通している。ガイド筒5の上端にエアシリンダ7が結合され、その進退出力で供給ロッド6が進退するようになっている。したがって、供給ロッド6は斜め方向に進退する。
【0027】
この実施例1では、軸状部品1の供給の目的箇所が電気抵抗溶接の固定電極16とされている。正確には、固定電極16に設けられたガイドピン17である。固定電極16上に鋼板部品18が載置され、鋼板部品18に溶着用突起19が設けてある。固定電極16に対向する可動電極20が配置してある。両電極16,17の軸線はほぼ鉛直方向に配置してある。
【0028】
つぎに、保持部材について説明する。
【0029】
前記供給ロッド6の先端に保持部材8が溶接等で結合してある。この保持部材8は他の図面に示すように、円筒型の部材で構成され、その軸線はほぼ鉛直方向に配置してある。図3や図4から明らかなように、保持部材8の内部空間は収容空間9とされ、上側に入口開口10が下側に出口開口11が設けられている。
【0030】
前記収容空間9に入ってきた軸状部品1を一時停止するストッパ手段13が出口開口11の近傍に配置してある。このストッパ手段13を構成するために、細長いストッパ部材14がガイド筒5に溶接等で固定され、供給ロッド6と平行に延びている。したがって、ストッパ手段13は、静止状態とされている。ストッパ部材14の上面15が出口開口11の近傍において収容空間9内に突出している。このような突出をさせるために、保持部材の下端部に切欠き部12が設けられ、保持部材8が後退すると、ここにストッパ部材14の先端部が相対的に入り込むようになっている。
【0031】
このように、ストッパ部材14が静止状態になっているので、保持部材8が後退してきたときに自動的にストッパ機能を果たし、保持部材8が進出したときには自動的にストッパ機能が解除され、構造簡素化にとって効果的である。
【0032】
図1(A)や図6に2点鎖線で示すように、軸状部品1が鋼板部品18上に到達した状態すなわち目的箇所に到達した状態で保持部材8の後退を許容するために、保持部材8に通過部22が設けてある。この通過部22は出口開口11側が開放しており、そこから入口開口10の方に延びた形状となっている。この開放部は符号23で示してある。そして、図2や図5から明らかなように、通過部22は供給ロッド6の延長方向の箇所すなわち供給ロッド6に対向した箇所に形成してある。したがって、図6に2点鎖線で示すように、軸状部品1が鋼板部品18上に到達している状態から供給ロッド6が後退すると、軸状部品1がガイドピン17と合体したままで、保持部材8が後退できる。
【0033】
つぎに、保持手段について説明する。
【0034】
この保持手段は、軸状部品1を保持部材8の内面に押し付けて、軸状部品1が落下するのを防止する。符号24は保持手段を示している。押し付け力を得るために、エアシリンダ25が保持部材8の外周面に固定され、そのピストンロッド26が収容空間9内に突出するようになっている。いわゆるプッシュロッド式である。エアシリンダ25のピストン27の背面に空気圧を作用させるために、空気管28がエアシリンダ25に接合してある。この空気管28は供給ロッド6内に設けた通気路29に接続してある。そして、この空気路29は空気供給源(図示していない)に接続されている。また、ピストン27とエアシリンダ25の内端面との間にリターンスプリング30が挿入してある。
【0035】
したがって、空気管28から空気圧がピストン27に作用すると、リターンスプリング30が圧縮されながらピストンロッド26が進出して軸状部品1を保持部材8の内面に押し付け、軸状部品1の落下が防止される。軸状部品1を落下させるときには、前記空気圧を低下させると、リターンスプリング30の張力でピストン27が押し戻されて、ピストンロッド26が後退する。これにより、軸状部品1への押し付け力が消滅し、軸状部品1の落下がなされる。
【0036】
軸状部品1が保持部材8の内面に押し付けられるときには、軸状部品1が通過部22に干渉しないようにする必要がある。そのために、保持部材8の内面に対する軸状部品1の押し付け点Pは、通過部22の角部21から円周方向に距離Sだけずらされている。つまり、Sはずれ距離である。ピストンロッド26の中心線は保持部材8の直径線と一致しており、この直径線上に前記押し付け点Pが存在している。このようなずれ距離Sを設置することにより、軸状部品1は通過部22に入り込むようなことがなく、確実に保持部材8の内面に押し付けられて、落下防止が果たされる。
【0037】
保持手段24の一例として、プッシュ機能のあるエアシリンダ25の場合を説明したが、これに換えて電磁ソレノイドを用いてもよい。
【0038】
つぎに、保持部材への部品移送について説明する。
【0039】
軸状部品1はパーツフィーダ33から送り出される。軸状部品1が高速で移送されてきて保持部材8に突出しているストッパ部材14の上面15に激突すると、この上面15が早期の内に摩耗したり破損したりするおそれがある。このような問題を回避するために、ストッパユニット34が配置してある。
【0040】
このストッパユニット34は、ケース本体35に入口管36と出口管37が接合され、ケース本体35内に進退式のストッパ片38が挿入されており、エアシリンダ39によって進退動作を行うようになっている。静止部材4に固定したブラケット40によってストッパユニット34が固定されている。図1(A)に示すように、ストッパ片38が入口管36を閉じているときには、軸状部品1は2点鎖線図示のようにストッパ片38で一旦停止の状態とされている。ストッパ片38が後退して入口管36と出口管37が連通すると、軸状部品1は保持部材8の収容空間9内にゆっくりと落下する。
【0041】
つぎに、各部の寸法関係を説明する。
【0042】
図5に示すように、通過部22の幅Wと、円筒部2の直径D1と、フランジ状部材3の直径D2とは、D2>W>D1なる大小関係とされている。こうすることにより、もしフランジ状部材3が通過部22を通過しようとしても、それが阻止されて保持部材8内での押し付け保持が維持されるのである。この場合、図6に示すように、円筒部2の上端が保持部材8の内面に押し付けられている。このように押し付けられると、軸状部品1は図5に示すように、片側に寄せ付けられる。このように寄せ付けられた軸状部品1のほぼ真下にガイドピン17を位置させておくことによって、軸状部品1を正確にガイドピン17へ落下させることができる。
【0043】
また、図5から明らかなように、ピストンロッド26で押し付けられた状態では、軸状部品1は押し付け点P側に片寄った状態となっている。このように収容空間9の内径が軸状部品1のフランジ状部材3の内径よりも大きくしてあるのは、軸状部品1が保持部材1内に円滑に進入しやすくするためである。そして、ガイドピン17の先端部に丸みやテーパ形状を付与しておくことにより、ガイドピン17の軸線と軸状部品1の軸線とがオフセットしていても、円滑にガイドピン17と合致させることができる。
【0044】
そして、図6には各部の高さ寸法の関連が図示してある。保持部材8が進出してガイドピン17の上位に停止し、それからエアシリンダ25の押し付けが解除されると、軸状部品1は2点鎖線図示のように鋼板部品18上に到達し、ガイドピン17が相対的に軸状部品1内に進入して、合致状態になる。この2点鎖線図示の軸状部品1の高さH1は、鋼板部品18の表面から通過部22の上部までの高さH2よりも低く設定してある。
【0045】
保持部材8がガイドピン17の上位で停止しているときには、保持部材8の下端はガイドピン17の先端の間近に位置しているか、あるいはガイドピン先端部が収容空間9内に進入した位置となるように、保持部材8の停止位置が設定してある。こうすることにより、鋼板部品18上に到達した軸状部品1の一部または相当部分が収容空間9内に存在していても、保持部材8を後退させることができる。この後退時には、フランジ状部材3は保持部材8の下側に位置しているので、保持部材8の後退時に円筒部2だけが通過部22を通過する。
【0046】
また、図6に示すように、保持部材8の高さ>軸状部品の高さH1>通過部22の高さなる大小関係を設定することにより、軸状部品1が通過部22からせり出すことなく収容空間9内に位置させることができて、保持部材8内の保持状態が良好になされるという効果がある。
【0047】
保持部材8の進退時にその上端が可動電極20の下端部に干渉しないようにするため、保持部材8の上端と可動電極20の下端部との間隔を、供給ロッド6の進退傾斜角度を考慮して、L1に設定してある。そして、ガイドピン17の先端と可動電極20の下端部の間隔は符号L2で示されている。前述のように、保持部材8を十分に鋼板部品18に接近させて停止することができるので、それにL1を加算した間隔L2が両電極16と20の間隔として設定される。このようにして設定されたL2は最小化された空間寸法であり、スペースに制約のある場所において有効な供給装置100の設置が可能となる。
【0048】
上述の軸状部品1が保持部材8の内面に押し付けられるのは、いわゆるプッシュロッドの機能によるものである。これと同様な機能をえるために、軸状部品1を保持部材8の内面に吸引して押し付けを成立させることができる。図7は、このような場合の具体例である。これは電磁石32を使用したものであり、電磁鉄心31の端面が保持部材8の内面の一部を構成しており、その中心部が前記押し付け点Pとされている。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の保持手段24と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0049】
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。
【0050】
上述の動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行わせることが可能であり、制御装置またはシーケンス回路からの動作信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって確保することができる。
【0051】
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
【0052】
前記入口開口10から入ってきた軸状部品1は、ストッパ手段であるストッパ部材14によって一時停止され、それに引き続いて保持手段であるピストンロッド26によって保持部材8の内面に押し付けられて落下しないように保持される。その後、供給ロッド6が進出して保持部材8が目的箇所であるガイドピン17の上位にきた位置で停止し、ピストンロッド26の押し付けが解除されると、軸状部品1が落下して出口開口11から鋼板部品18の表面に到達する。
【0053】
このように入口開口10から保持部材8に入ってきた軸状部品1が、そのまま方向を変えずに出口開口11から送出されてゆくので、軸状部品1の移動軌跡が単純化されて確実な供給と構造の簡素化が実現する。このような入口開口10から出口開口11への移動軌跡であるから、保持部材8を例えば円筒状の部材で構成することができて、構造簡素化が行える。
【0054】
さらに、軸状部品1は保持部材8の内面に押し付けられた状態で落下防止がなされるので、押し付けを解除するだけで軸状部品1の保持が解放されて落下し、軸状部品1の保持と解放が簡単な動作で実行できる。また、この押し付けのための構造が出口開口11の通過に支障を来すことがなく、軸状部品1の円滑な移動にとって好適である。
【0055】
前記通過部22が設けてあるので、ガイドピン17に合致して起立している軸状部品1の一部または相当部分が収容空間9内に存在していても、供給ロッド6の後退によって保持部材8を戻すことができる。この戻り動作の際に、円筒部2が相対的に通過部22を通過する。これは、円筒部2の直径D1が通過部22の幅Wよりも小さく設定されているからである。なお、フランジ状部材3は鋼板部品18上に位置しているので、通過部22から離れた状態になっており、通過部22にフランジ状部材3が干渉することがない。上述のようにして、保持部材8内に軸状部品1がはまり込んだいわゆる重複した状態と、通過部22の通過機能によって、上下方向のスペースが狭い場合であっても、制約を受けることなく供給装置の設置が可能となる。
【0056】
前記通過部22は、出口開口11側が開放しているとともに入口開口10側に延びた形状である。
【0057】
このような形状であるために前述のように、ガイドピン17に合致した軸状部品1をその位置に残留させたままで保持部材1を復帰させることができ、長尺な軸状部品10であっても、その長さ方向の所要スペースを最小化して保持部材8の進退を行うことができる。
【0058】
前記ストッパ部材14は静止部材であるガイド筒5に取り付けられており、保持部材8が後退位置に停止している状態において、出口開口11に突き出ているものである。
【0059】
前記ストッパ部材14が静止状態とされているので、ストッパ部材14で一時停止されている軸状部品1を保持手段8で落下防止を図った後、保持部材8が進出すると、ストッパ部材14は残留したままとなる。したがって、保持部材8が固定電極16の上位に停止した時点では、ストッパ部材14は出口開口11付近に存在しない状態となり、軸状部品1は出口開口11から円滑に送出される。また、可動性のないストッパ部材14の構造とすることができ、構造の簡素化や動作信頼性の向上が可能となる。さらに、ストッパ部材14で軸状部品1の位置決めがなされた状態でピストンロッド26による押し付けがなされるので、保持部材8内における軸状部品の停止位置が正確に設定できる。
【0060】
前記保持手段24におけるピストンロッド26の押し付けは、軸状部品1が前記通過部22の角部21からずれた箇所すなわち円周方向に距離Sだけずれた押し付け点Pに押し付けられる方向である。
【0061】
上述のように、軸状部品1は通過部22からずれた箇所の押し付け点Pに押し付けられるので、通過部22の空間部の影響を受けることなく、確実に軸状部品1の落下防止が行える。
【0062】
軸状部品1を収容する保持部材8の収容空間9は、軸状部品1の落下方向にほぼ直交する方向の断面が、円形である。
【0063】
上述のように、保持部材1の収容空間9は断面が円形であるから、軸状部品1の押し付け方向と通過部22の通過空間を区分して、確実な押し付けと通過を果たすことができる。
【0064】
軸状部品1は管状の部材であり、前記供給の目的箇所は電気抵抗溶接の固定電極16に設けられたガイドピン17である。
【0065】
供給ロッド6の進出により、保持部材1の下部をガイドピン17の間近まで進出させ、それから軸状部品1を落下させるとガイドピン17は相対的に軸状部品8内に進入する。したがって、軸状部品1はガイドピン17のわずか上方で停止し、そこから落下するので、落下距離が短縮される。このように落下距離が短いので、ガイドピン17は確実に軸状部品1内に進入してガイドピン17に対する部品供給が正確に実行され、装置の動作信頼性が向上する。また、固定電極16にガイドピン17が設けられ、それと対向させて可動電極20が設置してある場合には、両電極16,20の間隔を短くすることができ、溶接装置の小型化にとって有効であるとともに、可動電極20の動作ストロークを短くすることができて、サイクルタイムの短縮が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
上述のように、本発明によれば、軸状部品の移動経路を簡素化することができ、空間的に制約された箇所において採用しやすい軸状部品の供給装置がえられるので、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】装置全体の側面図および軸状部品の側面図である。
【図2】保持部材の平面図である。
【図3】図2の(3)−(3)断面図である。
【図4】図2の(4)−(4)断面図である。
【図5】保持部材を拡大した平面図である。
【図6】保持部材の動作空間を示す側面図である。
【図7】他の保持手段を示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 軸状部品
2 円筒部
3 フランジ状部材
6 供給ロッド
8 保持部材
9 収容空間
10 入口開口
11 出口開口
13 ストッパ手段
14 ストッパ部材
16 固定電極
17 ガイドピン
18 鋼板部品
20 可動電極
21 角部
22 通過部
24 保持手段
25 エアシリンダ
26 ピストンロッド
32 電磁石
100 供給装置
P 押し付け点
W 通過部の幅
D1 円筒部の直径
D2 フランジ状部材の直径
S ずれ距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口開口が上側に出口開口が下側に設けられた中空形状の保持部材が進退動作をする供給ロッドに取り付けられ、前記保持部材に入ってきた軸状部品を前記出口開口の近傍において一時停止するストッパ手段が設けられ、軸状部品を保持部材の内面に押し付けて落下防止を行う保持手段が保持部材に設けられ、供給ロッドの進出後、保持部材から落下して目的箇所に到達した軸状部品が、保持部材の復帰動作時に保持部材を相対的に通過できる通過部が保持部材に設けられ、この通過部は供給ロッドの延長方向の箇所に配置されていることを特徴とする軸状部品の供給装置。
【請求項2】
前記通過部は、出口開口側が開放しているとともに入口開口側に延びた形状である請求項1記載の軸状部品の供給装置。
【請求項3】
前記ストッパ手段は静止部材に取り付けられており、保持部材が後退位置に停止している状態において、出口開口に突き出ているものである請求項1又は請求項2記載の軸状部品の供給装置。
【請求項4】
前記保持手段の押し付けは、軸状部品が前記通過部からずれた箇所の前記内面に押し付けられる方向である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の軸状部品の供給装置。
【請求項5】
軸状部品を収容する保持部材の収容空間は、軸状部品の落下方向にほぼ直交する方向の断面が、円形である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の軸状部品の供給装置。
【請求項6】
軸状部品は管状の部材であり、前記目的箇所は電気抵抗溶接の電極に設けられたガイドピンである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の軸状部品の供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−184014(P2009−184014A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55523(P2008−55523)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000196886)
【Fターム(参考)】