説明

軽量リサイクルタイルカーペット

【課題】従来の技術では、塩化ビニル樹脂を含有したカーペット廃材を裏打ち層の構成素材の一部に用いたリサイクルカーペットの重量は重い物であった。
【解決手段】比重が1.5以下であり、含有する繊維成分が10重量%以上であるリサイクル樹脂組成物をタイルカーペットのバッキング層とすることにより、軽量化され、リサイクル比率が高く、寸法安定性や反り性能にも優れる軽量リサイクルタイルカーペットとすることができることを見出し本発明に到達した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル樹脂を含有したタイルカーペット廃材をバッキング層の構成材料に用いた軽量リサイクルタイルカーペットに関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットの製造の際には裁断端材が多く発生し、また一般家庭やオフィス等から廃棄処分に供されるカーペットの量も膨大なものになる。従来このようなカーペット廃材は、焼却処理されることが多かった。しかるに、塩化ビニル樹脂からなるバッキング剤で裏打ちされたタイルカーペットを焼却処理すると、有害物質が発生しやすいという問題があった。また、近年、地球環境保護の観点から、カーペット廃材を回収してリサイクル利用することが強く要請されている。このような社会的要請に応えるべく、塩化ビニル樹脂を含むカーペット廃材をリサイクル利用した新たなカーペットが開発されている。
【0003】
一方、従来のタイルカーペットは、床へのフィット性から重量のある構成となり、その重量が4.5〜6kg/mもあることから、軽量化をはかり、運搬や施工の取扱い性を改善することが求められていた。
【0004】
例えば、塩化ビニル樹脂が裏打ちされた廃タイルカーペットの回収品を粉砕した後、ダスト分離装置による風力分離を行うことによって、表面パイル層からなる繊維成分を分離除去した塩化ビニル樹脂粉砕物を回収し、次いで回収した粉砕物を微粉砕、篩選別後、塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに0.5〜20重量%の比率で混合し、所定の面上に塗布した後、この面に、基布にパイルをタフトした基材を積層してリサイクルタイルカーペットを製造する技術が公知である(特許文献1参照)。
【0005】
また、塩化ビニル樹脂を裏打ちした廃タイルカーペットの裏打ち層を削り取り、その切削粉末を塩化ビニル系樹脂ペーストゾルに0.5〜20重量%の比率で混合後、塗布ベルトにコーターで塗布した後、基布にパイルをタフトした基材を積層してリサイクルタイルカーペットを得る技術も知られている(特許文献2参照)。
【0006】
上記のような技術を用いれば、塩化ビニル樹脂を含有したカーペット廃材を裏打ち層の構成素材の一部に用いたリサイクルカーペットの提供が可能となるが、寸法安定性等を出すために、比重の大きい増量剤を多く含む塩化ビニル系樹脂ペーストゾルを用いているために、タイルカーペットの重量は従来品と同様に重い物であった。また、比重や含有繊維の繊維長の揃っていないリサイクル樹脂を、高比率でペーストゾルコート方式を用いて裏打ち層を形成すると、寸法安定性にも劣り、製品に大きな歪が発生するという問題もあった。したがって、いずれもリサイクルカーペットの裏打ち層に含有せしめ得るカーペット廃材の含有比率は最大でも20重量%が限界であり、タイルカーペット全重量におけるリサイクル樹脂組成物重量、即ちリサイクル比率は15%にも満たないものであった。
【0007】
一方、タイルカーペットの軽量化技術として、特許文献3では、表皮層とバッキング樹脂をポリオレフィン系にし、バッキング樹脂を溶融して表皮層と一体化したタイルカーペットを記載し、ポリオレフィン系樹脂の比重が塩化ビニル樹脂に較べて低いことから、31%も軽量化したタイルカーペットを提案している。また、特許文献4では、不織布からなるバッキング層全体にバッキング樹脂を含浸せしめ、不織布に剛性をもたせて、従来の塩化ビニル樹脂層にかえて表皮層に積層し接着一体化することにより、軽量化を大幅に進めたタイルカーペットを提案している。
【0008】
しかしながら、上記技術では、単に軽量化しただけで、タイルカーペットがお椀型に湾曲し、即ち反り性能が不十分で、床にフィットせず快適な歩行性は得られなかった。また、当然の事ながら、地球環境保護に十分に貢献できる物ではなかった。
【特許文献1】特開2004−113384号公報
【特許文献2】特開2004−141434号公報
【特許文献3】特開平7−292947号公報
【特許文献4】特開2010−12154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物をタイルカーペットのバッキング層とし、軽量化された、寸法安定性や反り性能にも優れ、タイルカーペット総重量におけるカーペット廃材の含有比率(リサイクル比率)が高い軽量リサイクルタイルカーペットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、比重が1.5以下であり、含有する繊維成分が10重量%〜20重量%であるリサイクル樹脂組成物をタイルカーペットのバッキング層とすることにより、軽量化され、リサイクル比率が高く、寸法安定性や反り性能にも優れる軽量リサイクルタイルカーペットとすることができることを見出し本発明に到達した。前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1]基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、樹脂組成物からなる複数層のバッキング層、およびガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布及び織布からなる補強層が積層された裏打ち層で構成されたタイルカーペットにおいて、前記単層または複数層のバッキング層の少なくとも1層以上を構成するリサイクル樹脂組成物が、塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られ、比重が1.5以下であり、含有する繊維成分が10重量%〜20重量%であることを特徴とする軽量リサイクルタイルカーペット。
【0012】
[2]前記リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分が、カーペット廃材に含まれる、ガラス、ナイロン、ポリエステル、アクリル、毛維、綿、麻等の各種繊維を単一もしくは複数からなることを特徴とする請求項1に記載の軽量リサイクルタイルカーペット。
【0013】
[3]前記リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分の繊維長が0.5〜30mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の軽量リサイクルタイルカーペット。
【発明の効果】
【0014】
[1]の発明では、単層または複数層のバッキング層の少なくとも1層以上を構成するリサイクル樹脂組成物が、塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られることから、地球環境保護に十分に貢献できるタイルカーペットとなる。また、前記リサイクル樹脂組成物の比重が1.5以下であるために、適度な重量のバッキング層となり、床へのフィット性にも優れ、軽量化されたタイルカーペットとなる。さらに、前記リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分が10重量%〜20重量%であるために、該繊維成分がバッキング層内にランダムに配置されるので、寸法安定性の良好なタイルカーペットとなる。
【0015】
[2]の発明では、リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分が、カーペット廃材に含まれる、ガラス、ナイロン、ポリエステル、アクリル、毛維、綿、麻等の各種繊維を単一もしくは複数からなることから、バッキング層の形成時の熱にも劣化する事無く、バッキング層内にランダムに配置され、バッキング層の寸法安定性を向上させる。
【0016】
[3]の発明では、リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分の繊維長が0.5〜30mmであることから、該繊維がバッキング層に効率よく分布され、その混在する繊維によってバッキング層の層内剥離が回避され、寸法安定性もより向上する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明の軽量リサイクルタイルカーペット(1)は、図1に示すように、基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層(2)と、塩化ビニル樹脂組成物からなる単層または複数層のバッキング層(3)、およびガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布及び織布からなる補強層(4)が積層された裏打ち層が積層一体化されてなるものである。
【0018】
本発明における前記表面パイル層(2)としては、特に限定されるものではないが、例えばカーペット基材に表面にパイルが植設されたもの、タフテッドカーペット、織カーペット、編カーペット、電着カーペット等を例示できる。
【0019】
前記カーペット基材としては、特に限定されるものではなくどのようなものでも使用できる。例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等の合成繊維、あるいは麻、綿、羊毛等の天然繊維等の繊維からなる糸を製編織した布地の他、各種の繊維や糸を、ニードリング等により機械的に接結したり、あるいは接着剤等により化学的に接結した不織布等を使用できる。
【0020】
前記パイル素材としては、特に限定されるものではなく、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維等の繊維からなるもの等を好適に使用でき、その他、麻、綿、羊毛等の天然繊維からなるもの等を使用できる。更にパイル層の形成手段も特に限定されるものではなく、例えばモケット等のように経パイル織、緯パイル織等の製織によりパイル層を形成する手段、タフティングマシン等によりパイル糸を植毛してパイル層を形成する手段、編機によりパイル層を形成する手段、接着剤を用いてパイル糸を接着してパイル層を形成する手段等を例示することができる。パイル形態も特に限定されず、カットパイル、ループパイル等いずれの形態であっても良い。
【0021】
また、表面パイル層(2)の下面にパイル抜け止め用の低粘度のポリ塩化ビニル樹脂や、ホットメルト系のEVAや、カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体等のラテックス層(5)等を設けても良い。特に含浸性、接着性の面から低粘度のポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。
【0022】
本発明における塩化ビニル樹脂組成物からなる単層または複数層のバッキング層(3)はタイルカーペットの形状を形成するもので、塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られる。塩化ビニル樹脂が含有してなるカーペット廃材としては、特に限定されるものではないが、例えばカーペット製造時の裁断端材、一般家庭やオフィス等から出た廃棄処分に供されるカーペットなどが挙げられ、中でも塩化ビニル樹脂が裏打ちされたタイルカーペットが好適に用いられる。
【0023】
塩化ビニル樹脂が裏打ちされたカーペット廃材から削り取られ、粉砕された微粉砕物を得るための削り取り方法、粉砕手法は、特に限定されるものではないが、例えば塩化ビニル樹脂からなる裏打ち層をカーペット廃材から剥離し、この剥離した廃材を粉砕機を用いて粉砕し、得られた粉砕物を風力振動分級等で樹脂分と繊維分に分離し(例えば特開2003−47878号公報に記載の粉砕手法を採用できる)、この分離された樹脂分をさらに微粉化(特願2004−310179号参照)する手法などが挙げら
れる。
【0024】
従来のタイルカーペットでは、バッキング層(3)として生成の塩化ビニル樹脂組成物が用いられ、さらに、寸法安定性や経済性のために無機物が増量剤として混入されているので、バッキング層(3)の比重は1.7以上となり、所定の厚みのタイルカーペットとすると、非常に重くなり、運搬や施工の取扱い性に不具合が生じていた。また、従来のリサイクル材料をバッキング層としたタイルカーペットでも、当然のことながら、比重の大きいリサイクル材料を使うために、重量のあるタイルカーペットとなっていた。
【0025】
本発明において、前記微粉砕物としては、比重が1.5以下である必要がある。1.5以下であれば、所定の厚みのタイルカーペットとしても、運搬や施工の取扱い性にも優れた軽量リサイクルタイルカーペット(1)となる。また、軽すぎず、適度な重量で床へのフィット性にも優れた軽量リサイクルタイルカーペット(1)となる。
【0026】
本発明において、リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分が10重量%〜20重量%である必要がある。10重量%〜20重量%であれば、前記バッキング層(3)の比重が小さくなり、軽量リサイクルタイルカーペット(1)となる。さらに、該繊維成分が図2に示すように、前記バッキング層(3)内の略全領域に亘って互いにランダムな方向に配置されるので、寸法安定性の良好な軽量リサイクルタイルカーペット(1)となる。10重量%を下回れば前記バッキング層(3)の比重が大きくなり、また、前記バッキング層(3)内の略全領域に配置は困難となり、良好な寸法安定性は得られず、20重量%を超えればシート成形ができない。
【0027】
また、リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分が、カーペット廃材に含まれる、ガラス、ナイロン、ポリエステル、アクリル、毛維、綿、麻等の各種繊維を単一もしくは複数からなることが必要である。前記繊維成分であれば、バッキング層(3)の形成時の熱や、使用時の水分にも劣化する事無く、バッキング層内にランダムに配置され、バッキング層の寸法安定性を向上させる。但し、一部のタイルカーペットのパイルに用いられるポリプロピレン繊維は、融点が低く、バッキング層(3)の形成時の熱で溶融する恐れがあるので使用する事は好ましくない。
【0028】
また、リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分の繊維長が0.5〜30mmである必要がある。該範囲であれば、該繊維がバッキング層(3)の表裏を連結することになり、その混在する繊維によってバッキング層(3)の層内剥離が回避される。0.5mmを下回ればバッキング層(3)の表裏を連結する事が困難となり、層内剥離が生じる可能性があり、寸法安定性が向上しない。また、30mmを超えれば繊維がバッキング層(3)を飛び出して、表面パイル層(2)との接着力が低下する。
【0029】
比重が1.5以下、及び含有する繊維成分が10重量%以上である前記微粉砕物を得るためには、パイル糸が植えられ、ガラス不織布が挿入されている、オフィス等から出て廃棄処分に供されるタイルカーペット廃材を中心に材料を選ぶ事により、容易に得ることができる。
【0030】
本発明において、リサイクル樹脂組成物からなる単層または複数層のバッキング層(3)の各層における前記微粉砕物の散布量は1500〜3500g/mが好適である。散布量が1500〜3500g/mであれば、大きなエネルギーを必要とせず、上方からの加熱装置の熱により、溶融させ、冷却加圧させれば軽量リサイクルタイルカーペット(1)の、反り性能が良好で、寸法安定性のある裏打ち層となる。この範囲を下回れば強度がある層としての形成が困難で、上回れば溶融が困難となり層としての形成が困難となり、経済的にも、重量的にも不利となる。
【0031】
本発明における補強層(4)は軽量リサイクルタイルカーペット(1)の形状、反り性能、及び寸法安定性を向上させるものであって、ガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布及び織布を用いることができる。前記補強層(4)は前記バッキング層(3)の層間、或いは層上に積層する事により、カーペットの形状安定性を向上させるものである。即ち、ガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布及び織布は、高い強度及び耐熱性により、経時変化が少なく、樹脂層との接触面積が大であるので、有効にカーペットの形状を安定化することが可能である。この点から最も好適なものとしてガラス繊維からなる不織布が挙げられる。前記ガラス繊維からなる不織布の目付け量は、好ましくは15〜60g/mの範囲である。この範囲より低い目付け量では、寸法安定性の効果が不足し、またこの範囲を超える高い目付け量では、いずれも樹脂層と不織布間の層間剥離が生じ易く好ましくない。
【0032】
前記補強層(4)の挿入位置は前記バッキング層(3)の層間、或いは層上に積層する事が必要である。即ち、上面に位置するバッキング層と下面に位置するバッキング層との厚みの比が、1:9〜1:1であるように配置されるように挿入することが好ましい。この位置であれば、バッキング層の厚さ方向の中間位置より上方に前記補強層(4)が挿入されることになり、伸縮しやすい表面パイル層(2)の動きを抑制し、反り性能、及び寸法安定性に優れた軽量リサイクルタイルカーペット(1)となる。例えば、歩行頻度の激しいハードユースな場所に施工する場合は、高い反り性能、及び寸法安定性に優れる層上に積層することが好ましく、一般的なオフィス等では快適な歩行性から層間が好ましい。
【0033】
本発明の軽量リサイクルタイルカーペット(1)を製造する方法として、塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られ、比重が1.5以下であり、含有する繊維成分が10重量%〜20重量%であるリサイクル樹脂組成物を準備し、公知の加工技術のパウダー散布加工、コーティング加工、カレンダー加工等を用いてバッキング層(3)を形成する事ができるが、リサイクル樹脂をできるだけ多く使用するにはパウダー散布加工が好ましい。
【0034】
例えばパウダー散布加工では、まず、塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られ、比重が1.5以下であり、含有する繊維成分が10重量%〜20重量%であるリサイクル樹脂組成物をスキャッターに投入する。この投入前に、必要に応じて可塑剤、滑剤、充填剤、顔料等をブレンドしておくことも可能である。次に、連続走行する無端離型性ベルト上に、上方に配置されたスキャッターから前記粉砕物を散布する。このスキャッターは、その下側の散布口において、表面にゴルフボールのようなディンプル(窪み)が多数形成されたローラーが配置されており、該ローラーを回転させることによりディンプルに入り込んだ前記リサイクル樹脂組成物を順次下方に散布する装置であり、貯留された前記リサイクル樹脂組成物を所望の一定量で散布することができる。次いで、加熱装置を用いて、無端離型性ベルト上に散布された前記リサイクル樹脂組成物を加熱溶融させ、加圧ロールで加圧することによって、バッキング層(3)に形成することができる。さらに、タイルカーペット加工機内に連続走行する離型性ベルトの上方に前記スキャッターを縦に複数個並べることにより、複数層のバッキング層(3)を形成することができ、該複数層のバッキング層(3)の間に前記補強層(4)を挿入することが可能となる。
【0035】
前記粉砕物を加熱溶融する加工温度は、前記リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分が10重量%〜20重量%であるために、即ち塩化ビニル樹脂の含有量が低いために180℃以下で十分に、強度に優れた、軽量リサイクルタイルカーペット(1)に安定した寸法安定性を付与するバッキング層(3)とすることができる。
【0036】
本発明の軽量リサイクルタイルカーペット(1)は、前記表面パイル層(2)、及び各バッキング層(3)と、補強層(4)を積層し加熱、加圧後、冷却し、最後に所定形状、例えば500mm角の正方形に裁断すれば、最終製品としての軽量リサイクルタイルカーペット(1)が得られる。
【0037】
なお、この発明の軽量リサイクルタイルカーペット(1)は、上記製造方法で製造されるものに特に限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0039】
<使用材料>表面パイル層:目付90g/m のポリエステル繊維の不織布(カーペット基材)に、ナイロン繊維からなるパイル糸がループパイルにタフティングしたもの(パイル目付610g/m)の裏面に、パイル抜け止め用の低粘度のポリ塩化ビニル樹脂の目止め層(塗布量500g/m)を施したもの。補強層:目付け量が35g/mのガラス繊維からなる不織布リサイクル樹脂組成物A:カーペット廃材から削り取られ、粉砕された微粉砕物(比重1.4、含有する繊維成分18重量%)リサイクル樹脂組成物B:カーペット廃材から削り取られ、粉砕された微粉砕物(比重1.2、含有する繊維成分23重量%)樹脂組成物C:生成の塩化ビニル樹脂組成物(比重1.8、含有する繊維成分0重量%)
【0040】
<実施例1>パウダー散布加工機において、一次バッキング層として、リサイクル樹脂組成物Aを無端離型性ベルトの上方に位置するスキャッターに投入し、無端離型性ベルトの上に散布量2500g/m で散布し、次いで加熱装置により170℃で前記微粉砕物を加熱溶融せしめた後、水冷式の冷却加圧ロールで加圧した。次にその上に補強層を重ね合わせ、さらに、二次バッキング層として、リサイクル樹脂組成物Aを散布量500g/mで散布し、水冷式の冷却加圧ロールで加圧した。さらに、表面パイル層を積層し、ついでロール圧着して、最後に500mm角の正方形に裁断し、軽量リサイクルタイルカーペットを製造した。
【0041】
<実施例2>一次バッキング層、二次バッキング層を構成する樹脂として、リサイクル樹脂組成物Bを用いたこと以外は実施例1と全く同様にして軽量リサイクルタイルカーペットを得た。
【0042】
<比較例1>一次バッキング層、二次バッキング層を構成する樹脂として、樹脂組成物Cを散布量2500g/m 、散布量1000g/mで用いたこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
【0043】
<比較例2>一次バッキング層、二次バッキング層として目付400g/mのポリエステル不織布を貼り合わせたこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
【0044】
上記のようにして得られた各タイルカーペットに対して重量、及び下記評価法に基づいてカーペット廃材のリサイクル比率、寸法安定性試験、反り性能を調べた。その結果を表1に示す。
【0045】
(カーペット廃材のリサイクル比率)タイルカーペット総重量に対してのカーペット廃材を粉砕して得られた塩化ビニル樹脂組成物の含有重量比率。
【0046】
(寸法安定性試験)(A)JISL4406に準じて、各塩化ビニルリサイクルタイルカーペット(1)を60℃で2時間放置後、水道水に2時間浸漬し、その後、60℃で24時間放置した後、20℃65RH%下で、リサイクルタイルカーペット(1)のたて方向及びリサイクルタイルカーペット(1)のよこ方向のそれぞれについて測定した。測定は、3サンプル行い、その平均値を求めた。(B)500mm角のリサイクルタイルカーペット(1)1枚の表面上に荷重90kgを加えたチェアーキャスターを2000回転させた後、縦横寸法を測定し、転動前の寸法と対比した値を縦横の平均値で示した。(A)(B)共にその値が±0.15%未満であれば実際の使用に耐えうるタイルカーペットとなる。
【0047】
(反り性能)JIS―L―1904に準じて、各タイルカーペットを標準状態「20±2℃、(65±2)RH%」で24時間以上放置した後、水平な試験台の上に置き、タイルカーペットの四隅と試験台の隙間の長さを測定し平均値で示した。その値が0.5mm未満であれば実際の使用に耐えうるタイルカーペットとなる。
【0048】
【表1】

【0049】
表1から明らかなように、実施例1、2のリサイクルタイルカーペットは、いずれも軽量で、カーペット廃材のリサイクル比率が高く、寸法安定性、反り性能に優れた十分に使用に耐えうるタイルカーペットを得た。
【0050】
これに対し、比較例1のタイルカーペットはカーペット廃材のリサイクル比率が低く、地球環境保護に貢献するものではなかった。また、比較例2のタイルカーペットはカーペット廃材のリサイクル比率が低く、反り性能が不十分であった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明における一実施形態に係る軽量リサイクルタイルカーペットの概略断面図である。
【図2】本発明におけるバッキング層の概略断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・軽量リサイクルタイルカーペット 2・・・表面パイル層 3・・・バッキング層 4・・・補強層 5・・・ラテックス層6・・・パイル糸7・・・基布8・・・含有する繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、樹脂組成物からなる複数層のバッキング層、およびガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布及び織布からなる補強層が積層された裏打ち層で構成されたタイルカーペットにおいて、前記単層または複数層のバッキング層の少なくとも1層以上を構成するリサイクル樹脂組成物が、塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られ、比重が1.5以下であり、含有する繊維成分が10重量%〜20重量%であることを特徴とする軽量リサイクルタイルカーペット。
【請求項2】
前記リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分が、カーペット廃材に含まれる、ガラス、ナイロン、ポリエステル、アクリル、毛維、綿、麻等の各種繊維を単一もしくは複数からなることを特徴とする請求項1に記載の軽量リサイクルタイルカーペット。
【請求項3】
前記リサイクル樹脂組成物に含有する繊維成分の繊維長が0.5〜30mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の軽量リサイクルタイルカーペット。

【図1】
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【図2】
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