説明

軽量構造素子用の支持構体

本発明は、頑強材料の細長いストリップ(10,110,210)から成り、各ストリップ(10,110,210)に、該ストリップ(10,110,210)の一方の長手方向端縁(12)を起点とするスリット(14)を設け、該スリット(14)の幅は前記ストリップ(10,110,210)の材料の厚さよりも僅かに大きく、前記スリット(14)は、前記ストリップ(10,110,210)の長手方向に対して交互に、斜め前方及び斜め後方に延びるよう形成し、また前記スリット(14)によりストリップ(10,110,210)を互いに挿入し、この挿入は、互いに挿入したストリップ(10,110,210)の長手方向が互いに直交するように行う、軽量構造素子用支持構体、ならびにこのような支持構体の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頑強な材料の細長いストリップから成る軽量構造素子用の支持構体に関し、ならびにそのような支持構体の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
軽量構造素子は、例えば、航空産業、乗り物製造産業、又は競技用ヨットに関連して使用するものであり、通常、それ自体ではほとんど荷重を支持できない2個の極めて薄いカバープレートであって、それぞれ軽量構造素子の外面を形成する該カバープレートと、これらカバープレート間に配置する支持構体とから成る。このような支持構体は、できるだけ軽量かつできるだけ強固でなければならず、さらに、それ自体は荷重負担能力を有しないカバープレートをできるだけ多くのポイントで支持しなければならない。従って、このような支持構体は、通常、空間的広がりのある三次元素子として製造しなければならない。今日まで知られた製造に関連して極めて高価であり、したがって、このような軽量構造素子は極めて高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の従来技術を踏まえて、本発明が解決しようとする課題は、簡単な構造素子から極めて簡単に製造できるこのような支持構体を得るとともに、このような支持構体の構築方法を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題は、支持構体を頑強材料の細長いストリップにより構成する以下の特徴によって解決し、各ストリップに、該ストリップの一方の長手方向端縁を起点とするスリットを設け、該スリットの幅は前記ストリップの材料の厚さよりも僅かに大きくし、前記スリットは、前記ストリップの長手方向に対して交互に、斜め前方及び斜め後方に延びるよう形成し、また前記スリットにより個々のストリップを互いに挿入し、この挿入は、互いに挿入したストリップの長手方向が互いに直交するように行う、ことを特徴とする。
【0005】
従って、本発明によれば、単に打ち抜き作業による対応するスリットを設けるだけでよい簡単な金属シートストリップから、三次元空間的支持構体を製造する。スリットの斜め方向の範囲により、個々の金属シートストリップは、互いに規定材料重量に対する最大負荷を担うことができる最適角度をなして延在することを保証する。
【0006】
薄いカバープレートの最適支持を得るためには、スリットの深さの選択を、互いに直交するよう位置決めした前記ストリップの長手方向の側方端縁が、1つの平面に接するように行うことが好ましい。このとき、この平面が、カバープレートの輪郭により形成される軽量構造素子の表面である。金属シートストリップの対応する設計を組み合わせて、これに関連して、湾曲表面でさえ、またチューブ状又は輪郭形状も製造できる。
【0007】
最適な力の分布のために、前記スリットの位置決めを、前記長手方向端縁を起点とする前記スリットの延長線が、前記長手方向端縁と共に、ほぼ正三角形を形成するように、行うのが、特に好ましい。このようにして、そのような金属シートストリップから形成する支持構体は、側面が正三角形の最適な角錐又は角錐台から成る。
【0008】
さらに、軽量化に役立つために、正三角形の中心に、円形の切り抜き又は型抜き部分を設けることができる。
【0009】
さらに、最適な力の分布は、好ましくは、他のスリット及び前記スリットが起点とする前記長手方向端縁と共に正三角形を形成する、異なるスリットを、他方の長手方向端縁と共に、他の正三角形を形成するような距離毎に順次配置するという特徴により達成できる。
【0010】
さらなる軽量化は、好ましくは、他の正三角形の中心に、円形の型抜き部分を設けるという特徴により達成できる。
【0011】
本発明によるこのような支持構体の特に好ましい製造方法の特徴は、まず長手方向に延びる前記ストリップをすべて一緒にお互いに平行に配置して、前記スリットを同じ高さに配置するステップと、この後に横断方向に延びるストリップを、長手方向に延びる前記ストリップの前記スリットに挿入するステップとを有することにある。
【0012】
この関連で、前記長手方向に延びる前記ストリップを、前記横断方向に延びる前記ストリップ内におけるスリット間の距離に対応する距離で即座に配置するステップを有することは、特に好ましい。このようにして、本発明による支持構体の連続生産が可能になり、この理由としては、製造プロセス中に各ストリップが対応するスリットによって互いにロックできるよう、折り返しおよび曲げが容易に行えるからである。
【0013】
上記の代替案として、前記長手方向に延びる前記ストリップをパッケージ内に配置するステップと、その後、前記横断方向に延びる前記ストリップを挿入して、それから前記長手方向に延びる前記ストリップを、前記横断方向に延びる挿入した前記ストリップに沿って、前記横断方向に延びる挿入した前記ストリップ内の対応するスリットまでシフトするステップとを有することができる。
【0014】
以下に、図示の実施形態につき本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による支持構体用金属シートストリップの一部を示す図である。
【図2】対応する支持構造の最終的に取り付ける前の分解図である。
【図3】図2により完成した支持構体を示す図である。
【図4】凸レンズ状に湾曲した軽量構造素子用の本発明による金属シートストリップの他の実施形態を示す図である。
【図5】湾曲面を有する対応する軽量構造素子を示す図である。
【図6】管状の軽量構造素子用の本発明による支持構体を示す図である。
【図7】本発明による支持構体の製造方法を示す図であり、長手方向に延びるストリップを最初にパッケージ内に配置する図である。
【図8】本発明による支持構体の製造方法を示す図であり、長手方向に真っ直ぐに延びるストリップを、横断方向に延びる金属シートストリップにおけるスリット間距離に対応する距離に配置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、平面軽量構造素子用の支持構体を製造できる金属シートストリップを示す。この金属シートストリップ10は、図で見て上側の長手方向端縁12に、スリット14を有し、スリット14の幅は金属シートストリップ10の材料の厚さよりも僅かに大きく、またスリット14は、ストリップ10の長手方向に交互に斜め前方及び斜め後方に、延びるものとする。このようにし、これらスリット14は、長手方向端縁12で、前方又は後方に、各々約60°の角度αを形成する。スリット14をストリップ10の反対側の長手方向端縁16まで、延長したと仮定すると、スリット14は、各々が長手方向端縁縁12又は16によりそれぞれ形成される一連の截頭正三角形を形成する。これら仮想正三角形それぞれの中心には、円形の型抜き部分20を配置する。このことは、軽量化に役立つ。
【0017】
図2は、どのように、複数の個々のストリップ10から平行六面体状の支持構体を作り上げるかを示す。このために、それぞれスリット14を有する個別のストリップ10を、これらストリップ10に対して直交する方向に配置した他のストリップ10に設けた対応するスリット14に挿入する。
【0018】
図3は、その後の、これらはめ込み作業の最終結果を示し、スリット14のそれぞれの角度位置により互いに交差するように挿入したストリップ10は、それぞれ互いに短い距離で配置した角錐台状の構体を形成しており、それらの側面は、連続ストリップ10により、各々、それぞれ隣接する角錐台の側面と連結する。この構造は最適な強度を有する。
【0019】
図4は、本発明の他の実施形態による金属シートストリップ110を示す。この金属シートストリップ110は、真っすぐ延びた長手方向端縁12も有し、この端縁12は、長手方向に対して斜めまた逆斜めに約60°の角度αで傾斜したスリット14も有する。しかし、この実施形態では、反対側の長手方向端縁116は、真っすぐではなく湾曲した又はカーブを描くように設計し、湾曲した軽量構造素子用の、例えば、航空機用の翼を形成するための、このような支持構体を得る。なお、スリット14内に、またスリット14を超えて延びるストリップ10を示し、これらストリップ10はストリップ110に直交するよう取り付ける。この実施形態では、ストリップ110は、基本的に図1に示すストリップ10と同じように設計しなければならないが、図面から容易に分かるように、ストリップ110の幅は、正確に湾曲した面を形成するため、ストリップ110の長手方向端縁116の曲率に適合させて、互いに異なるものにしなければならない。さらに、図4には、中心領域における、幅が異なるストリップ10によって延長されたスリット14が、どのように截頭正三角形を形成するかがよく分かる。
【0020】
図5は、湾曲したストリップ110、ならびに通常の真っすぐな異なる幅のストリップ10から、構築される支持構体100を示し、この支持構体は湾曲面を有した対応の軽量構造素子用である。
【0021】
図6は、支持構体での本発明の他の実施形態を最後に示し、この実施形態は、例えば、航空機の胴体又は競技用ヨットの船体として使用できる管状の軽量構造素子用である。この目的のため、リブとして延びるストリップ210を湾曲する設計とする。しかし、このストリップも、ストリップ210の長手方向に及び長手方向の逆方向に角度をなして延びる本発明によるスリット14を有し、これらスリット14はそれぞれ、やはりストリップ210の外方に60°の角度αをなす。このストリップ210でも、軽量化のために対応する型抜き部分20を設けることができる。対応する管状の支持構体を形成するため、個々の湾曲したストリップ210を、やはり図1に示す本発明による通常のストリップ10に連結する。
【0022】
従って、本発明によれば、非常に複雑な形状の軽量構造の支持構体を、極めて少数の基本素子、すなわち、容易に製造できるストリップ10,110,210から製造できる。これに関連してのストリップ10,110,210は、任意の選りすぐりの強固な材料から、しかしながら好ましくは、スチール、軽量合金又はプラスチックから製造できる。個々のストリップ10,110,210を互いにまたカバープレートに連結することは、接着、はんだづけ、溶接、リベット留め、折り曲げ、締め具留めのようなあらゆる既知の連結技術により実施できる。
【0023】
本発明によれば、完成した軽量構造素子を、2個のカバープレート及びこれらカバープレート間における支持構体から製造できるが、いくつかのこのようなレイヤからも構築できる。
【0024】
ストリップ10,110,210を、それぞれに対応する材料の連続帯から単独の打ち抜き作業により極めて簡単に製造できる。本発明によれば、単にこれらのストリップ10,110,210を、互いに交差するよう挿入し、これにより、できるだけ軽量の支持構体として最適な強度を有する截頭角錐台から成る空間的構体を構築できる。スリット14の好ましい幅は、ストリップ10,110,210の材料厚さ及び挿入角度に基づく。用いる材料及び表面と角度との関係に応じて、スリットを広げるか、又は、橋渡しの目的で、場合により、続いて、充填材料又は充填片で満たした半径にする必要があり得る。
【0025】
さらに軽量にするために、ストリップ10,110,210に、穿刺(実施形態の型抜き部分20を参照)、穿孔、及び/又は整形する。
【0026】
図7は、本発明による支持構体の特に好ましい製造方法を示す。これに関連して、長手方向に延びるストリップ10を最初にすべて一緒に互いに平行に配置し、この場合、そのスリットが同じ高さに位置決めし、その後、横断方向に延びるストリップ10′を長手方向に延びるストリップ10のスリットに挿入する。図7に示す方法においては、長手方向に延びるストリップ10を最初にパッケージ内に配置する。その後、横断方向に延びるストリップ10′を挿入し、それから長手方向に延びるストリップ10を、横断方向に延びる挿入したストリップ10′に沿って、横断方向に延びる挿入したストリップ10′内のそれぞれのスリット14′までシフトする。
【0027】
図8は、本発明による支持構体の僅かに変更した構築方法を示し、長手方向に延びるストリップ10を、横断方向に延びるストリップ10′におけるスリット14′間の距離に対応する距離で真っ直ぐにして配置する。その後、横断方向に延びるストリップ10′を、長手方向に延びるストリップ10におけるスリット14に挿入する。つぎに、横断方向及び長手方向に延びるそれぞれの対応するストリップを互いにシフトする場合、対応するストリップ10,10′の幾何学的形状により、本発明による支持構体が形成される。このことは、この点に関連して、図7による形態、または図8による形態のいずれを選択してスタートするかには、関係しない。
【0028】
明らかに、本発明による支持構体を、多くの他の製造方法により、上記したストリップ10から組み立てることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頑強材料の細長いストリップ(10,110,210)から成る軽量構造素子用の支持構体において、
各ストリップ(10,110,210)に、該ストリップ(10,110,210)の一方の長手方向端縁(12)を起点とするスリット(14)を設け、該スリット(14)の幅は前記ストリップ(10,110,210)の材料の厚さよりも僅かに大きくし、前記スリット(14)は、前記ストリップ(10,110,210)の長手方向に対して交互に、斜め前方及び斜め後方に延びるよう形成し、また前記スリット(14)によりストリップ(10,110,210)を互いに挿入し、この挿入は、互いに挿入したストリップ(10,110,210)の長手方向が互いに直交するように行うことを特徴とする軽量構造素子用支持構体。
【請求項2】
請求項1に記載の支持構体において、前記スリットの深さの選択を、互いに直交するよう位置決めした前記ストリップ(10,110,210)の長手方向端縁(12,16)が、1つの平面に接するように行う、ことを特徴とする支持構体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の支持構体において、前記スリット(14)の位置決めを、前記長手方向端縁(12)を起点とする前記スリット(14)の延長線が、前記長手方向端縁(12)と共に、ほぼ正三角形を形成するように、行うことを特徴とする支持構体。
【請求項4】
請求項3に記載の支持構体において、前記正三角形の中心に型抜き部分(20)を設けたことを特徴とする支持構体。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の支持構体において、他のスリット(14)及び前記スリットが起点とする前記長手方向端縁(12)と共に正三角形を形成する、異なるスリット(14)を、他方の長手方向端縁(16)と共に、他の正三角形を形成するような距離毎に順次配置したことを特徴とする支持構体。
【請求項6】
請求項5に記載の支持構体において、前記他の正三角形の中心に型抜き部分(20)を設けたことを特徴とする支持構体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の支持構体の製造方法において、
まず長手方向に延びる前記ストリップ(10)をすべて一緒に互いに平行に配置して、前記スリット(14)を同じ高さに配置するステップと、この後に横断方向に延びるストリップ(10′)を、長手方向に延びる前記ストリップ(10)の前記スリット(14)に挿入するステップとを有することを特徴とする支持構体の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記長手方向に延びる前記ストリップ(10)を、前記横断方向に延びる前記ストリップ(10′)におけるスリット(14′)間の距離に対応する距離で即座に配置するステップを有することを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、前記長手方向に延びる前記ストリップ(10)をパッケージ内に配置するステップと、その後、前記横断方向に延びる前記ストリップ(10′)を挿入して、それから前記長手方向に延びる前記ストリップ(10)を、前記横断方向に延びる挿入した前記ストリップ(10′)に沿って、前記横断方向に延びる挿入した前記ストリップ(10′)内の対応するスリット(14′)までシフトするステップとを有することを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−536636(P2010−536636A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521301(P2010−521301)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001376
【国際公開番号】WO2009/024141
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(510044095)