説明

輪番式情報表示システム、表示装置および制御端末

【課題】表示装置を輪番式に点灯制御し、停電時などにシステム全体としてより長時間の情報提供を可能とする。
【解決手段】表示装置1は、常用電源の遮断を検知する電源遮断検知手段102と、常用電源の遮断が検知された場合に、蓄電池112に切り替える電源切替手段103と、電源切替後、表示装置リストに基づき、自装置1が起動対象であるかを判断するリスト確認手段105と、自装置1が起動対象である場合に、他装置1をシャットダウンする遮断処理手段(起動遮断制御手段108)と、電源切替後、蓄電池112の残量を確認する電池残量確認手段109と、蓄電池112の残量が僅かになった場合に、表示装置リストに基づき、新たに起動する表示装置1を決定する装置決定手段110と、起動対象に決定された表示装置1を起動する起動処理手段(起動遮断制御手段108)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄電池を有する表示装置を複数備えたシステムにおいて、停電などの非常時に輪番式に表示装置を点灯して情報表示を行うことで、システム全体として長時間の情報提供を可能にする輪番式情報表示システム、表示装置および制御端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示装置が有する内蔵電池の残量を考慮して情報表示を行うシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に開示された技術では、内蔵電池からの電力により情報表示を行う表示装置を複数接続し、管理装置で、各表示装置の電池残量やメモリ残量を考慮して最適な表示装置に文章を送信し、表示させている。
また、電池を搭載したモニタ単体の一部だけを表示可能にしたものも存在する(例えば特許文献2参照)。例えば、65インチの液晶モニタであれば、下部にテロップを表示する領域のみを有効表示領域とし、その他の領域を消灯することで稼働時間を長時間化することができる。
さらに、小さな表示モジュールを貼り合わせることにより大画面を構成するモニタにおいて、電池を搭載し、停電時は一部のモジュールのみの表示に縮退することで、長時間表示を可能とするものも存在する(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−122519号公報
【特許文献2】特開2010−117682号公報
【特許文献3】特開2008−286864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1に開示された従来の技術では、表示装置に文章を送信する際に、その文書を表示可能な電池残量があるかを確認して、最適な表示装置を選択している。しかしながら、選択した最適な表示装置以外の表示装置をシャットダウンして、1台乃至数台の表示装置を輪番式に起動することはできず、システム全体として情報表示の長時間化を図ることはできないという課題がある。
また、特許文献2,3に開示された従来の技術では、単体の表示装置において、表示モニタの一部の領域のみを点灯表示することで、電力使用量を削減し、情報表示の長時間化を可能としている。しかしながら、この技術を複数の表示装置を備えたシステムに適用した場合、一台の表示装置において内蔵電池を消費した際に、輪番式に他の表示装置を起動することができないという課題がある。そのため、複数台の表示装置が存在しても、内蔵電池を消費すると一斉に消灯してしまうおそれがある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、表示装置を輪番式に点灯制御することにより、停電時などにシステム全体としてより長時間の情報提供を可能とする輪番式情報表示システム、表示装置および制御端末を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る輪番式情報表示システムは、蓄電池を有し、他装置と通信可能に接続された表示装置を複数備え、表示装置は、常用電源の遮断を検知する電源遮断検知手段と、電源遮断検知手段により常用電源の遮断が検知された場合に、蓄電池による電力供給に切り替える電源切替手段と、電源切替手段により電源切替が行われた後、表示装置に関する情報が記載されたリストに基づいて、自装置が起動対象であるかを判断する起動対象判断手段と、起動対象判断手段により自装置が起動対象であると判断された場合に、他装置をシャットダウンする遮断処理手段と、電源切替手段により電源切替が行われた後、蓄電池の残量を確認する電池残量確認手段と、電池残量確認手段により蓄電池の残量が僅かになったと判断された場合に、リストに基づいて、新たに起動する表示装置を決定する装置決定手段と、装置決定手段により起動対象に決定された表示装置を起動する起動処理手段とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る輪番式情報表示システムは、蓄電池を有する複数の表示装置と、各表示装置の動作を制御する制御端末とを備え、表示装置は、常用電源の遮断を検知する電源遮断検知手段と、電源遮断検知手段により常用電源の遮断が検知された場合に、蓄電池による電力供給に切り替える電源切替手段と、制御端末からの要求に応じて、蓄電池の残量を確認して通知する電池残量確認通知手段とを備え、制御端末は、常用電源の遮断を検知する端末側電源遮断検知手段と、表示装置に関する情報が記載されたリストに基づいて、起動対象の表示装置を決定する装置決定手段と、端末側電源遮断検知手段により常用電源の遮断が検知された際に装置決定手段により起動対象に決定された表示装置以外の表示装置をシャットダウンする遮断処理手段と、起動対象の表示装置に対して、蓄電池の残量確認を要求する電池残量確認要求手段と、電池残量確認要求手段により起動対象の表示装置の蓄電池の残量が僅かになったと判断された際、または、当該表示装置との通信が不可能となった際に、装置決定手段により起動対象に決定された表示装置を起動する起動処理手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、表示装置を輪番式に点灯制御することにより、停電時などにシステム全体としてより長時間の情報提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る輪番式情報表示システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1における表示装置リストの内容例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る表示装置による輪番表示動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2に係る輪番式情報表示システムの構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る制御端末による輪番表示制御動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3に係る表示装置による充電判断動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態3に係る表示装置によるリスト追加動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る輪番式情報表示システムの構成を示す図である。
輪番式情報表示システムは、図1に示すように、複数の表示装置1a〜1n(以下、特に区別する必要がない場合には単に表示装置1と称す)から構成されている。これらの表示装置1は、TV表示機やデジタルサイネージ(電子看板)として所定の情報表示を行うものであり、モニタを有している。なお、図1では、表示装置1aについてのみ内部構成を示しているが、他の表示装置1b〜1nについても基本的に表示装置1aと同等の構成を有している。ただし、蓄電池112の容量や処理速度などの性能は同一でなくてもよい。
【0011】
表示装置1は、図1に示すように、通信手段101、電源遮断検知手段102、電源切替手段103、リスト保持手段104、リスト確認手段(起動対象判断手段)105、リスト更新手段106、起動状態確認手段107、起動遮断制御手段(起動処理手段、遮断処理手段)108、電池残量確認手段109、装置決定手段110、リスト送信手段111および蓄電池112から構成されている。また、表示装置1は、通常時では、常用電源からの電力を用いて情報表示を行っている。
【0012】
通信手段101は、他の表示装置1との間で通信を行うものである。
電源遮断検知手段102は、停電などによる常用電源の遮断を検知するものである。
電源切替手段103は、電源遮断検知手段102により常用電源の遮断が検知された場合に、自装置1が有する蓄電池112による電力供給に切り替えるものである。
【0013】
リスト保持手段104は、表示装置リストを保持するものである。表示装置リストは、輪番式情報表示システムに接続され、起動可能な表示装置1に関する情報が記載されたリストであり、詳細については後述する。
リスト確認手段105は、電源切替手段103により電源切替が行われた後、リスト保持手段104に表示装置リストが存在しているかを確認するものである。そして、表示装置リストが存在する場合に自装置1が起動対象であると判断する。
リスト更新手段106は、リスト保持手段104に保持されている表示装置リストの内容を更新するものである。
【0014】
起動状態確認手段107は、通信手段101を介して、他の表示装置1の起動状態を確認するものである。
起動遮断制御手段108は、自装置1の起動・シャットダウン処理を行い、また、通信手段101を介して他の表示装置1の起動・シャットダウン処理を行うものである。この起動遮断制御手段108は、リスト確認手段105により表示装置リストの存在が確認された場合(自装置1が起動対象であると判断された場合)には、起動状態確認手段107により起動状態であると確認された他の表示装置1を、通信手段101を介してシャットダウンする。また、装置決定手段110により起動対象の表示装置1が決定された場合には、通信手段101を介して当該表示装置1を起動する。
【0015】
電池残量確認手段109は、電源切替手段103により電源切替が行われた後、自装置1が有する蓄電池112の残量を確認するものである。
装置決定手段110は、電池残量確認手段109により蓄電池112の残量が僅かになったと判断された場合に、リスト保持手段104に保持されている表示装置リストを参照して、新たに起動させる表示装置1を決定するものである。
リスト送信手段111は、装置決定手段110により起動対象に決定され、起動遮断制御手段108により起動された表示装置1に対して、リスト保持手段104に保持されている表示装置リストを通信手段101を介して送信するものである。
【0016】
蓄電池112は、停電などにより常用電源からの電力供給が遮断された場合に用いる非常用の電源である。この蓄電池112は、表示装置1に内蔵されたものを用いてもよいし、外付けのものを用いてもよい。
【0017】
次に、リスト保持手段104に保持される表示装置リストについて、図2を参照しながら説明する。
表示装置リストには、図2に示すように、輪番式情報表示システムに接続され、起動可能な表示装置1ごとに、表示装置ID、IPアドレス、MACアドレス、ホスト名、設置場所IDや、補助充電などを示す情報が記載されている。この表示装置IDは、表示装置1を一意に示すIDである。また、IPアドレスは、TCPIPなど上位アプリケーションとして通信するためのIDであり、MACアドレスは、通信モジュールに一意に割り振られたアドレスであり、通信モジュールが休眠状態で上位アプリケーションが起動していない状態であっても、起動などを指示するパケットを受信することができる(Ethernet(登録商標/以下、記載を省略する)ではWake On Lanなどが一般的)。また、ホスト名は、コンピュータに割当てられるIDである。また、設置場所IDは、システムの中で表示装置1がどこに設置されているかを示すIDであり、補助充電は、ソーラーパネルや発電機など停電中でも電力が供給される可能性があるかどうかを示すものである。
【0018】
なお、上記の情報全てが表示装置リストとして必要なわけではなく、この中から任意の項目を抽出してリストを構成することも可能である。例えば、Ethernet環境において表示装置1の起動やシャットダウンに必要なIDはIPアドレスとMACアドレスであり、これらのみでリストを構成することもできる。また、テレビのようなリモコンを有する表示装置1や赤外線通信モジュールを搭載した表示装置1においては、赤外線通信を用いることも可能であり、その際には赤外線のチャンネルIDが必要となり、IPアドレスやMACアドレスは不要となる。
【0019】
また、本発明では、起動やシャットダウンの制御ができる通信手段101であれば、どのような通信手段101を用いてもよく、例えば、有線LAN、無線LAN、公衆電話網、携帯電話網、可視光通信、赤外線通信、USB給電による起動制御、RS232Cなど従来から用いられる有線通信などでも実装可能である。さらに、起動と終了の通信方法が異なってもよい。例えば、起動するのは赤外線通信を用い、終了にはEthernet通信を用いるように構成してもよい。
【0020】
次に、上記のように構成された表示装置1による輪番表示動作について説明する。図3はこの発明の実施の形態1に係る表示装置1による輪番表示動作を示すフローチャートである。なお、通常時では、表示装置1は常用電源からの電力を用いて、モニタ上に所定の情報を表示している。
表示装置1による輪番表示動作では、図3に示すように、まず、電源遮断検知手段102が停電などによる常用電源の遮断を検知すると(ステップST301)、電源切替手段103は、自装置1が有する蓄電池112による電力供給に切り替える(ステップST302)。
【0021】
次いで、リスト確認手段105は、リスト保持手段104に表示装置リストが保持されているかを確認する(ステップST303)。なお、この実施の形態では、一番最初に情報表示を担当する表示装置1(例えば表示装置1a)だけに表示装置リストを保持させ、その他の表示装置1(例えば表示装置1b〜1n)には表示装置リストを保持させないものとする。したがって、情報表示を担当していない表示装置1は、情報表示を担当している表示装置1から表示装置リストが送信されるまではステップST303で停止(ループ)することになる。
【0022】
このステップST303において、リスト確認手段105がリスト保持手段104に表示装置リストが保持されていることを確認した場合、リスト更新手段106は、リスト保持手段104から表示装置リストを読み出して、この表示装置リストから自装置1に関する情報を削除して更新する(ステップST304)。
【0023】
次いで、起動状態確認手段107は、表示装置リストに記載されている他の表示装置1の起動状態を確認する(ステップST305)。具体的には、通信手段101を用いて、他の表示装置1と通信を行うことで起動状態を確認する。この際、他の表示装置1との間で通信が行えた場合には当該表示装置1は起動していると判断し、通信が行えない場合には当該表示装置1は起動していないと判断する。
【0024】
次いで、起動遮断制御手段108は、通信手段101を介して、起動状態確認手段107により起動していると判断された表示装置1を全てシャットダウンする(ステップST306)。
【0025】
次いで、電池残量確認手段109は、自装置1が有する蓄電池112の残量が僅かになったかを判断する(ステップST307)。ここで、蓄電池112の残量がどの程度になった場合に次の表示装置1を起動するかは、任意の閾値により設定可能である。
このステップST307において、電池残量確認手段109が蓄電池112の残量が僅かではないと判断した場合には、シーケンスはステップST307で停止(ループ)し、継続してモニタ上への情報表示を行う。
【0026】
一方、ステップST307において、電池残量確認手段109が蓄電池112の残量が僅かになったと判断した場合には、装置決定手段110は、リスト保持手段104に保持されている表示装置リストを参照し、最上位に記載されている表示装置1を起動対象に決定する(ステップST308)。ここで、起動対象とする表示装置1は、上記のようなリスト最上位の表示装置1に限るものではなく、例えば、優先度を設けて最も優先度の高い表示装置1を選択したり、蓄電池112を充電する機器が接続されている表示装置1を選択するなど、実装段階でいかようにも設定可能である。
次いで、起動遮断制御手段108は、通信手段101を介して、装置決定手段110により起動対象に決定された表示装置1の起動処理を行う(ステップST309)。
【0027】
次いで、起動状態確認手段107は、通信手段101を用いて、起動遮断制御手段108により起動処理がなされた表示装置1との間で通信が可能となったか(正常に起動したか)を、タイムアウトを検知するまで確認する(ステップST310,311)。なお、タイムアウト時間は、パラメータとして設定すればよい。
【0028】
このステップST311において、起動状態確認手段107がタイムアウトを検知した場合には、当該表示装置1の起動を諦め、リスト更新手段106は、表示装置リスト内の当該表示装置1に関する情報を最下位に移動してリストを更新する(ステップST312)。その後、シーケンスはステップST308に戻り、次の起動対象となる表示装置1を決定して起動処理を行う。なお、ステップST311において、起動状態確認手段107がタイムアウトを検知した場合に、ステップST309に戻り当該表示装置1の起動処理を再度行うようにステップを追加してもよい。
【0029】
一方、ステップST310において、起動状態確認手段107が当該表示装置1との間で通信が可能となったと判断した場合には、リスト送信手段111は、通信手段101を介して、リスト保持手段104に保持されている表示装置リストを当該表示装置1に送信する(ステップST313)。
【0030】
一方、ステップST309において起動中の表示装置1によって新たに起動された表示装置1は、起動時にはリスト保持手段104に表示装置リストが保持されていないため、ステップST303より先に進めずに停止(ループ)している。しかしその後、当該起動中の表示装置1から表示装置リストが送信されることで、ステップST303を抜けて先のステップへ進むことができる。
【0031】
なお、新たに起動された表示装置1では、起動処理は完了しているのであるから、情報表示としては当然開始しており、周辺の利用者に向けた情報提供はこの段階で既になされている。
一方、現在、情報表示担当として起動中である表示装置1は、ステップST313の後、そのまま蓄電池112の残量が無くなるまで表示を続けてもよいし、自主的にシャットダウンしてもよい。書換え可能な記憶装置を持つ表示装置1の場合には、データの破損を防ぐためにシャットダウンした方が望ましい。
【0032】
以上のように、この実施の形態1によれば、蓄電池112による電力供給に切り替えられた後に、自装置1が起動対象である場合に他の表示装置1をシャットダウンし、自装置1の蓄電池112の残量が僅かになった場合に次の起動対象である表示装置1を決定して起動するように構成したので、表示装置1を輪番式に点灯制御することができ、停電時などにシステム全体としてより長時間の情報提供が可能となる。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態1では、表示装置1同士で通信を行いながら輪番式に情報を表示する方式について説明した。それに対して、実施の形態2では、制御端末3を1台追加して、この制御端末3にて輪番表示を制御する方式について説明する。
【0034】
図4はこの発明の実施の形態2に係る輪番式情報表示システムの構成を示す図である。
輪番式情報表示システムは、図4に示すように、複数の表示装置2a〜2n(以下、特に区別する必要がない場合には単に表示装置2と称す)および制御端末3から構成されている。これらの表示装置2は、TV表示機やデジタルサイネージとして所定の情報表示を行うものであり、モニタを有している。なお、図4では、表示装置2aについてのみ内部構成を示しているが、他の表示装置2b〜2nについても基本的に表示装置2aと同等の構成を有している。ただし、蓄電池205の容量や処理速度などの性能は同一でなくてもよい。
【0035】
表示装置2は、図4に示すように、通信手段201、電源遮断検知手段202、電源切替手段203、電池残量確認通知手段204および蓄電池205から構成されている。また、表示装置2は、通常時では、常用電源からの電力を用いて情報表示を行っている。
【0036】
通信手段201は、他の表示装置2および制御端末3との間で通信を行うものである。
電源遮断検知手段202は、停電などによる常用電源の遮断を検知するものである。
電源切替手段203は、電源遮断検知手段202により常用電源の遮断が検知された場合に、自装置2が有する蓄電池205による電力供給に切り替えるものである。
【0037】
電池残量確認通知手段204は、通信手段201を介して、制御端末3から蓄電池205の残量確認が要求された場合に、自装置2が有する蓄電池205の残量を確認して通知するものである。
蓄電池205は、停電などにより常用電源からの電力供給が遮断された場合に用いる非常用の電源である。この蓄電池205は、表示装置2に内蔵されたものを用いてもよいし、外付けのものを用いてもよい。
【0038】
制御端末3は、各表示装置2の動作を制御するものであり、図4に示すように、通信手段301、電源遮断検知手段(端末側電源遮断検知手段)302、電源切替手段303、リスト保持手段304、リスト更新手段305、起動状態確認手段306、起動遮断制御手段(起動処理手段、遮断処理手段)307、電池残量確認要求手段308、装置決定手段309および非常用電源310から構成されている。
【0039】
通信手段301は、表示装置2との間で通信を行うものである。
電源遮断検知手段302は、停電などによる常用電源の遮断を検知するものである。なお、所定の地域で停電が発生しても制御端末3には常時通電されるようなシステムの場合には、電源遮断検知手段302は、停電が発生して表示装置2の常用電源が遮断されたことを外部から得る仕組みにしてもよい。また、この場合には、電源切替手段303および非常用電源310は不要である。
電源切替手段303は、電源遮断検知手段302により常用電源の遮断が検知された場合に、非常用電源310による電力供給に切り替えるものである。
【0040】
リスト保持手段304は、表示装置リストを保持するものである。表示装置リストは、輪番式情報表示システムに接続され、起動可能な表示装置2に関する情報が記載されたリストである。
リスト更新手段305は、リスト保持手段304に保持されている表示装置リストの内容を更新するものである。
【0041】
起動状態確認手段306は、通信手段301を介して、表示装置2の起動状態を確認するものである。
起動遮断制御手段307は、通信手段301を介して表示装置2の起動・シャットダウン処理を行うものである。この起動遮断制御手段307は、電源遮断検知手段302により常用電源の遮断が検知された際に装置決定手段309により起動対象に決定された表示装置2以外の表示装置2を、通信手段301を介してシャットダウンする。また、電池残量確認要求手段308により起動中の表示装置2の蓄電池205の残量が僅かになったと判断された際、または、当該表示装置2との通信が不可能となった際に、装置決定手段309により新たに起動対象に決定された表示装置2を起動する。
【0042】
電池残量確認要求手段308は、起動中の表示装置2に対して、蓄電池205の残量確認を要求し、当該表示装置2からの応答を受けるものである。
装置決定手段309は、電源遮断検知手段302により常用電源の遮断が検知された際に、リスト保持手段304に保持されている表示装置リストを参照して、起動対象の表示装置2を決定するものである。また、電池残量確認要求手段308により起動中の表示装置2の蓄電池205の残量が僅かになったと判断された際、または、当該表示装置2との通信が不可能となった際に、表示装置リストを参照して、新たに起動する表示装置2を決定する。
非常用電源310は、停電などにより常用電源からの電源供給が遮断された場合に用いる蓄電池または発電機である。
【0043】
次に、上記のように構成された制御端末3による輪番表示制御動作について説明する。図5はこの発明の実施の形態2に係る制御端末3による輪番表示制御動作を示すフローチャートである。なお、通常時では、表示装置2は常用電源からの電力を用いて、モニタ上に所定の情報を表示している。
制御端末3による輪番表示制御動作では、図5に示すように、まず、電源遮断検知手段302が停電などによる常用電源の遮断を検知すると(ステップST501)、電源切替手段303は、自装置3が有する非常用電源310による電力供給に切り替える(ステップST502)。また、表示装置2においても同様に、電源遮断検知手段202にて停電などによる常用電源の遮断が検知され、電源切替手段203にて自装置2が有する蓄電池205による電力供給に切り替えられる。
【0044】
次いで、起動遮断制御手段307は、リスト保持手段304に保持されている表示装置リストを参照して、リストの最上位に記載されている表示装置2以外の表示装置2を、通信手段301を介してシャットダウンする(ステップST503)。ここで、実施形態1と同様に、起動させておく表示装置2は、上記のようなリスト最上位の表示装置2に限るものではなく、例えば、優先度を設けたり、表示装置2のロケーションを考慮して起動順序を変えてもよいし、広大なエリアに表示装置2が点在する場合には複数台の表示装置2ごとに起動制御を行ってもよいことは言うまでもない。なお、この実施の形態では、あえて1台の表示装置2を常時点灯するものとして説明を続ける。
【0045】
次いで、リスト更新手段305は、リスト保持手段304から表示装置リストを読み出して、起動を継続させた表示装置2に関する情報を削除して更新する(ステップST504)。
次いで、起動状態確認手段306は、通信手段301を用いて、起動中の表示装置2との間で通信が可能かを判断する(ステップST505)。
【0046】
このステップST505において、起動状態確認手段306が起動中の表示装置2との間で通信可能であると判断した場合には、電池残量確認要求手段308は、当該表示装置2に対して蓄電池205の残量確認を要求して、当該蓄電池205の残量が僅かになったかを確認する(ステップST506)。ここで、蓄電池205の残量がどの程度になった場合に次の表示装置2を起動するかは、任意の閾値により設定可能である。
また、実施の形態1と異なり、表示装置2が通信できなくなった時点で次の表示装置2を起動する手順にすることも可能であり、その場合はステップST506の処理を省略してステップST505の処理(通信可否判断処理)のみで次の表示装置2を起動するかどうか判断するようにしてもよい。ただし、この場合には、表示装置2が応答しなくなってから次の表示装置2が起動するまでの間、システムとして情報が表示されない期間が生じることになる。
【0047】
ステップST506において、電池残量確認要求手段308が起動中の表示装置2の蓄電池205の残量が僅かではないと判断した場合には、シーケンスはステップST506で停止(ループ)し、継続してモニタ上に情報表示を行わせる。また、このループで所定の休眠を取ることで処理負荷を減らすことができる。
【0048】
一方、ステップST506において、電池残量確認要求手段308が起動中の表示装置2の蓄電池205の残量が僅かになったと判断した場合には、装置決定手段309は、リスト保持手段304に保持されている表示装置リストを参照し、最上位に記載されている表示装置2を新たな起動対象に決定する(ステップST507)。ここで、起動対象とする表示装置2は、実施の形態1と同様に、上記のようなリスト最上位の表示装置2に限るものではなく、例えば、優先度を設けて最も優先度の高い表示装置2を選択したり、蓄電池205を充電する機器が接続されている表示装置2を選択するなど、実装段階でいかようにも設定可能である。
次いで、起動遮断制御手段307は、通信手段301を介して、装置決定手段309により起動対象に決定された表示装置2の起動処理を行う(ステップST508)。
【0049】
次いで、起動状態確認手段306は、通信手段301を用いて、起動遮断制御手段307により起動処理がなされた表示装置2との間で通信が可能となったか(正常に起動したか)を、タイムアウトを検知するまで確認する(ステップST509,510)。なお、タイムアウト時間は、パラメータとして設定すればよい。
【0050】
このステップST510において、起動状態確認手段306がタイムアウトを検知した場合には、当該表示装置2の起動を諦め、リスト更新手段305は、表示装置リスト内の当該表示装置2に関する情報を最下位に移動してリストを更新する(ステップST511)。その後、シーケンスはステップST507に戻り、次の起動対象となる表示装置2を決定して起動処理を行う。なお、ステップST510において、起動状態確認手段306がタイムアウトを検知した場合に、ステップST508に戻り当該表示装置2の起動処理を再度行うようにステップを追加してもよい。
【0051】
一方、ステップST509において、起動状態確認手段306が当該表示装置2との間で通信が可能となったと判断した場合には、シーケンスはステップ506に戻り起動中の表示装置2に対する監視を行う。
以上の動作を、表示装置リストに記載されている表示装置2が無くなるまで繰り返す。
【0052】
以上のように、この実施の形態2によれば、制御端末3にて各表示装置2の輪番表示を制御するように構成しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0053】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、表示装置リストの最下位の表示装置1,2まで輪番表示を行った時点でシステムとしての情報表示を終了することになる。それに対して、実施の形態3では、表示装置1,2に自然エネルギーや人力などを含む発電機が接続され、蓄電池112,205の蓄電容量が満充電または一定レベルの充電容量に戻すことができる場合について説明する。
【0054】
以下では、図1に示す表示装置1を用いた充電判断処理およびリスト追加処理について説明する。図6はこの発明の実施の形態3に係る表示装置1による充電判断処理を示すフローチャートであり、図7はこの発明の実施の形態3に係る表示装置1によるリスト追加処理を示すフローチャートである。
【0055】
発電機が接続されたシャットダウン中の表示装置1による充電判断処理では、図6に示すように、電池残量確認手段109は、発電機が接続されることにより、蓄電池112が満充電または一定の充電レベルに達したことを検知すると(ステップST601)、起動遮断制御手段108は自装置1を起動する(ステップST602)。
【0056】
次いで、通信手段101は、現在起動中の表示装置1との接続を行う(ステップST603)。この接続方法として、Ethernetでは、ブロードキャストやマルチキャストで自装置1の情報を送信し、これを受信した現在起動中の表示装置1は、応答において充電された表示装置1に向けてユニキャスト通信を用いればよい。さらに、1対1で情報送受信のための双方向接続を行いたい場合には、相互に通信機器を確認してから改めて接続処理を行えばよい。
【0057】
次いで、起動状態確認手段107は、通信手段101を用いて、現在起動中の表示装置1との接続ができたかを確認する(ステップST604)。
このステップST604において、起動状態確認手段107が現在起動中の表示装置1との接続ができたと判断した場合には、通信手段101を介して、自装置1が充電を完了して起動可能になった旨を通知する(ステップST605)。
次いで、起動遮断制御手段108は、自装置1をシャットダウンする(ステップST606)。その後、輪番式の起動制御により起動中の表示装置1から起動されるのを待つ。
【0058】
また、現在起動中の表示装置1によるリスト追加処理では、図7に示すように、受信待ち状態(ステップST701)において、充電された表示装置1から接続要求がなされた場合(ステップST702)、通信手段101は、当該表示装置1との接続を行う(ステップST703)。
次いで、起動状態確認手段107は、接続した表示装置1から充電が完了して起動可能になった旨を示す通知を受ける(ステップST704)。
次いで、リスト更新手段106は、リスト保持手段104に保持されている表示装置リスト内に、当該表示装置1に関する情報を追加する(ステップST705)。
【0059】
なお、上記では、図1に示す表示装置1に発電機が接続されて充電された場合の動作について説明したが、図4に示す表示装置2に発電機が接続されて充電された場合についても同様である。ただし、充電判断処理は表示装置2で行われて制御端末3に起動可能になった旨が通知され、リスト追加処理は制御端末3で行われることになる。
【0060】
以上のように、この実施の形態3によれば、表示装置1,2に発電機が接続されて蓄電池112,205が充電された場合に、表示装置リストに起動可能となった旨を記載するように構成したので、実施の形態1,2と比較して、システム全体としてさらに長時間の情報提供が可能となる。
【0061】
なお、実施の形態1〜3に係る輪番式情報表示システムに、特許文献2,3に開示される表示装置単体に関する技術を適用することで、さらに長時間の情報提供が可能になる。
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1,1a〜1n,2,2a〜2n 表示装置、3 制御端末、101,201,301 通信手段、102,202 電源遮断検知手段、103,203,303 電源切替手段、104,304 リスト保持手段、105 リスト確認手段(起動対象判断手段)、106,305 リスト更新手段、107,306 起動状態確認手段、108,307 起動遮断制御手段(起動処理手段、遮断処理手段)、109 電池残量確認手段、110,309 装置決定手段、111 リスト送信手段、112,205 蓄電池、204 電池残量確認通知手段、302 電源遮断検知手段(端末側電源遮断検知手段)、308 電池残量確認要求手段、310 非常用電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を有し、他装置と通信可能に接続された表示装置を複数備えた輪番式情報表示システムにおいて、
前記表示装置は、
常用電源の遮断を検知する電源遮断検知手段と、
前記電源遮断検知手段により常用電源の遮断が検知された場合に、前記蓄電池による電力供給に切り替える電源切替手段と、
前記電源切替手段により電源切替が行われた後、前記表示装置に関する情報が記載されたリストに基づいて、自装置が起動対象であるかを判断する起動対象判断手段と、
前記起動対象判断手段により自装置が起動対象であると判断された場合に、前記他装置をシャットダウンする遮断処理手段と、
前記電源切替手段により電源切替が行われた後、前記蓄電池の残量を確認する電池残量確認手段と、
前記電池残量確認手段により蓄電池の残量が僅かになったと判断された場合に、前記リストに基づいて、新たに起動する表示装置を決定する装置決定手段と、
前記装置決定手段により起動対象に決定された表示装置を起動する起動処理手段とを備えた
ことを特徴とする輪番式情報表示システム。
【請求項2】
シャットダウン中の表示装置は、前記電池残量確認手段により蓄電池が所定レベル以上充電されたことが確認された場合に、起動中の表示装置に対して起動可能になった旨を通知し、
前記起動中の表示装置は、前記シャットダウン中の表示装置から起動可能になった旨の通知を受けた場合に、当該シャットダウン中の表示装置が起動可能になった旨を前記リストに記載して更新する
ことを特徴とする請求項1記載の輪番式情報表示システム。
【請求項3】
蓄電池を有する複数の表示装置と、前記各表示装置の動作を制御する制御端末とを備えた輪番式情報表示システムにおいて、
前記表示装置は、
常用電源の遮断を検知する電源遮断検知手段と、
前記電源遮断検知手段により常用電源の遮断が検知された場合に、前記蓄電池による電力供給に切り替える電源切替手段と、
前記制御端末からの要求に応じて、前記蓄電池の残量を確認して通知する電池残量確認通知手段とを備え、
前記制御端末は、
前記常用電源の遮断を検知する端末側電源遮断検知手段と、
前記表示装置に関する情報が記載されたリストに基づいて、起動対象の表示装置を決定する装置決定手段と、
前記端末側電源遮断検知手段により常用電源の遮断が検知された際に前記装置決定手段により起動対象に決定された表示装置以外の表示装置をシャットダウンする遮断処理手段と、
起動対象の表示装置に対して、前記蓄電池の残量確認を要求する電池残量確認要求手段と、
前記電池残量確認要求手段により起動対象の表示装置の蓄電池の残量が僅かになったと判断された際、または、当該表示装置との通信が不可能となった際に、前記装置決定手段により起動対象に決定された表示装置を起動する起動処理手段とを備えた
ことを特徴とする輪番式情報表示システム。
【請求項4】
シャットダウン中の表示装置は、前記電池残量確認手段により蓄電池が所定レベル以上充電されたことが確認された場合に、前記制御端末に対して起動可能になった旨を通知し、
前記制御端末は、前記シャットダウン中の表示装置から起動可能になった旨の通知を受けた場合に、当該シャットダウン中の表示装置が起動可能となった旨を前記リストに記載して更新する
ことを特徴とする請求項3記載の輪番式情報表示システム。
【請求項5】
蓄電池を有し、他装置と通信可能に接続された表示装置において、
常用電源の遮断を検知する電源遮断検知手段と、
前記電源遮断検知手段により常用電源の遮断が検知された場合に、前記蓄電池による電力供給に切り替える電源切替手段と、
前記電源切替手段により電源切替が行われた後、前記表示装置に関する情報が記載されたリストに基づいて、自装置が起動対象であるかを判断する起動対象判断手段と、
前記起動対象判断手段により自装置が起動対象であると判断された場合に、前記他装置をシャットダウンする遮断処理手段と、
前記電源切替手段により電源切替が行われた後、前記蓄電池の残量を確認する電池残量確認手段と、
前記電池残量確認手段により蓄電池の残量が僅かになったと判断された場合に、前記リストに基づいて、新たに起動する表示装置を決定する装置決定手段と、
前記装置決定手段により起動対象に決定された表示装置を起動する起動処理手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
蓄電池を有する表示装置において、
常用電源の遮断を検知する電源遮断検知手段と、
前記電源遮断検知手段により常用電源の遮断が検知された場合に、前記蓄電池による電力供給に切り替える電源切替手段と、
外部端末からの要求に応じて、前記蓄電池の残量を確認して通知する電池残量確認通知手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
蓄電池を有する複数の表示装置の動作を制御する制御端末において、
前記常用電源の遮断を検知する端末側電源遮断検知手段と、
前記表示装置に関する情報が記載されたリストに基づいて、起動対象の表示装置を決定する装置決定手段と、
前記端末側電源遮断検知手段により常用電源の遮断が検知された際に前記装置決定手段により起動対象に決定された表示装置以外の表示装置をシャットダウンする遮断処理手段と、
起動対象の表示装置に対して、前記蓄電池の残量確認を要求する電池残量確認要求手段と、
前記電池残量確認要求手段により起動対象の表示装置の蓄電池の残量が僅かになったと判断された際、または、当該表示装置との通信が不可能となった際に、前記装置決定手段により起動対象に決定された表示装置を起動する起動処理手段と
を備えたことを特徴とする制御端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−80107(P2013−80107A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220081(P2011−220081)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】