説明

輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体

【課題】落とし蓋としての断熱機能を備えながら、それぞれの輸送容器の寸法に合わせて現場で容易に形成することができ、製造コストを低く抑えることができる、輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体を提供する。
【解決手段】輸送容器6内に収容物10及び保冷材11からなる収容体9を収容した状態で、この収容体9に接触して上面を覆う断熱用積層薄膜体1であって、同一素材からなる上下複数の合成樹脂薄膜体間に金属又は金属化合物の薄膜層を備えてなることを特徴とする。断熱用積層薄膜体1の表裏の熱膨張係数が同じであることから、薄膜体でありながら保冷材11に接触してもカールすることがなく、落とし蓋として機能して容器本体7の開口部を広く覆った状態で収容体9を遮熱し、かつ自然対流熱伝達を防止し続けるため、保冷時間を長くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送容器内に収容物及び保冷材又は保温材からなる収容体を収容した状態で、この収容体に接触して上面を覆う断熱用積層薄膜体に関する。
【背景技術】
【0002】
魚介類、果菜類等の生鮮食品などの収容物、特に鮮魚等の新鮮な収容物を、その鮮度を落とさずに輸送するために、容器本体と蓋体とからなる発泡合成樹脂製輸送容器の容器本体内に、前記収容物とともに保冷用の砕氷やドライアイス等の保冷材が収容される。
このような収容物とともに保冷材を収容してなる輸送容器として、容器本体内に収容した保冷材の上に気泡緩衝材製の氷焼け防止シートを敷設し、その上に鮮魚等の収容物を載せた状態で蓋体を被せて使用するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
この輸送容器は、収容物が保冷材に直接接触しないようにして氷焼けを防止しようとするものではあるが、容器の上部空間で生ずる自然対流熱伝達を抑制し、収容物を含む容器全体での保冷効果を長く持続させることを目的とするものではない。
また、容器本体内に海水又は薄い食塩水を入れて砕氷を加えた水氷を入れ、その中に鮮魚や仮死状態にした魚を浸漬した状態として蓋体を被せて使用し、乾燥や氷焼けを抑制しながら鮮度を落とさずに比較的長時間の輸送を行うものがある。
さらに、このような鮮魚等を水氷に浸漬させる輸送容器において、その液面上に発泡体により形成された落とし蓋を浮かせた状態として蓋体を被せて使用することにより、液界面とその上方の空気との間の熱交換を抑制して氷の溶解を遅延させて保冷時間を長くするものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3094606号公報
【特許文献2】特開2003−292052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2のような輸送容器は、発泡体により形成された落とし蓋を用いることにより、液界面とその上方の空気との間の熱交換(主に自然対流熱伝達)を抑制して保冷時間を長くすることが期待できるものであるが、実際には使用されていない。
その理由は、発泡体により形成された落とし蓋は、液界面とその上方の空気との間の熱交換を抑制するためになるべく大きくする必要があるとともに、液面上に浮かせた状態にするために容器本体の開口部に合わせて内壁面よりも小さく形成する必要があり、さらに容器本体には成形金型からの抜き勾配が設けられているために水位が変化することで寸法が少しずつ変化するので、各々の輸送容器の寸法や水位に合わせた落とし蓋を準備することは困難であるとともに、寸法を変えた多数の落とし蓋を準備しておくようにすると、そのための製造コストや保管コストが嵩むためである。また、現場で輸送容器の寸法に合った落とし蓋を選択するようにすると、そのための手間が掛かることから作業性が悪くなるためである。
【0005】
例えば、落とし蓋を所期の寸法どおりに形成するためには、発泡シートをトムソン刃等で寸法通りに打ち抜くか、あるいは成形金型で一個ずつ成形して作成するしかなく、発泡シートから打ち抜く方法では多くの手間が掛かり、成形金型で成形する方法では蓋体と同様の製造コストが掛かる。
また、打ち抜き又は成形により寸法を変えた多数の前記落とし蓋を準備しておくようにすると、上述のとおり製造コスト及び保管コストが嵩んでしまうとともに現場における作業性が悪くなる。
【0006】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、落とし蓋としての断熱機能を備えながら、それぞれの輸送容器の寸法に現場で容易に適合させることができ、製造コストを低く抑えることができる、輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明者は、上述のような落とし蓋としての断熱機能を備えるものとして、特許文献2のような発泡体シート(例えば、10mm程度の厚さの発泡ポリスチレン板)ではなく、合成樹脂薄膜体及び金属薄膜層により例えば50μm以下の厚さの断熱用積層薄膜体を形成することにより、所要の断熱性を備えながら輸送容器の寸法に現場で容易に適合させるという着想を得、検討及び試作等による具体化を進めることにより本発明を完成するに至った。
【0008】
先ず、本願の発明者は、上述の着想の下、最も簡単な積層構造として、合成樹脂薄膜体として様々な厚さのポリエステル系樹脂フィルムの片面に金属薄膜層として所定厚さのアルミニウムを蒸着したものを製作し、これらを輸送容器内の収容体(収容物及び水氷)に接触して上面を覆うようにして落とし蓋とする実験を行った。
この実験により、合成樹脂薄膜体の片面に金属薄膜層を備えた断熱用積層薄膜体を落とし蓋として用いると、この断熱用積層薄膜体がカールして丸く巻いてしまい、前記収容体の上面を覆わなくなるため、容器本体の開口部を広く覆った状態で輸送容器内を遮熱し、かつ自然対流熱伝達を防止する、前記収容体に接触して上面を覆う断熱用積層薄膜体として機能しないことがわかった。
また、数ある市販のフィルム(金属薄膜層を備えた積層薄膜体)も試してみたが、上記実験結果と同様であり、カールしないで、しかもコスト的に実用に耐えるフィルムを見出すことができなかった。このような市販の金属薄膜層を備えた積層薄膜体の構造を調べたところ、耐熱性の良好なポリエステルフィルムの片面に金属薄膜層を蒸着し、この金属薄膜層を保護するために安価なポリエチレンフィルム等を積層したものが一般的であることがわかった。
【0009】
上記のような実験結果となった理由について検討した結果、合成樹脂薄膜体と金属薄膜層により構成される積層薄膜体の厚さが薄いとともに、蒸着により片面に形成された金属層の存在により積層薄膜体の表裏の熱膨張係数が異なる(合成樹脂薄膜体の片面に蒸着した金属薄膜層の熱膨張係数と合成樹脂薄膜体の熱膨張係数とが異なる)ため、保冷材である水氷により冷却されて温度が下がった際にカールして丸く巻いてしまうことが判明した。
そこで、合成樹脂薄膜体と金属薄膜層により構成される積層薄膜体の表裏の熱膨張係数を同じにすることを企図して、本発明の輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体の構成を見出したものである。
すなわち、本発明に係る輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体は、前記課題解決のために、輸送容器内に収容物及び保冷材又は保温材からなる収容体を収容した状態で、この収容体に接触して上面を覆う断熱用積層薄膜体であって、同一素材からなる上下複数の合成樹脂薄膜体間に金属又は金属化合物の薄膜層を備えてなることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、輸送容器内収容体の上面を覆う、例えば矩形状の断熱用積層薄膜体を、同一素材からなる上下複数の合成樹脂薄膜体間に金属又は金属化合物の薄膜層を備えたものとしているので、断熱用積層薄膜体の表裏の熱膨張係数が同じであることから、薄膜体でありながら保冷材又は保温材に接触してもカールすることがない。
したがって、このような断熱用積層薄膜体は、落とし蓋として機能して容器本体の開口部を広く覆った状態で収容体を遮熱し、かつ自然対流熱伝達を防止し続けるため、保冷時間又は保温時間を長くすることができる。
【0011】
その上、特許文献2のような比較的厚い発泡体シートではなく薄膜体であることから、例えば矩形状の断熱用積層薄膜体が、それぞれの輸送容器の寸法より喩え大きかったとしても、収容体に良好に密着すると共に、容器本体の側壁にも自然に密着するので、現場で容易に適合させることができ、大まかなサイズの薄膜体を用意しておけば多種のサイズの輸送容器に採用することができるため、製造コストを低く抑えることができるとともに、時間との戦いである収容物を輸送容器内へ収容する現場における作業性が高いため実用性が向上する。
その上さらに、上下複数の合成樹脂薄膜体間に金属又は金属化合物の薄膜層を備えた構成であることから、輸送容器内にセットする際に表裏の区別を意識することなく作業をすることができるため作業効率が向上する。
【0012】
その上、特許文献2のような比較的厚い発泡体シートではなく薄膜体であることから、容器本体内で専有するスペースが非常に小さくなる。
その上さらに、落とし蓋として機能する断熱用積層薄膜体により断熱性能が向上することから、使用状況によっては、容器本体の側壁及び底壁並びに蓋体の厚みを減少させた輸送容器の使用、保冷材又は保温材の使用量の削減並びにそれに伴う小形の輸送容器の使用ができるため、トータルコストを削減することができる。
その上、断熱用積層薄膜体が薄膜体であることから、芯体に巻回してロール状にした状態で使用に供することができるので、省スペース化を図ることができるため運搬効率が高くなる。
【0013】
ここで、同一素材からなる蒸着が可能な2枚の合成樹脂薄膜体の一方に金属又は金属化合物の薄膜を蒸着し、この薄膜層が内側になるようにして貼り合わせてなると好ましい。
このような構成によれば、収容体を遮熱し、かつ自然対流熱伝達を防止する、落とし蓋としての断熱機能を備える構成をより簡素な構成で実現できるため、製造コストを低減することができる。
【0014】
また、前記合成樹脂薄膜体がポリエステル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂からなると好ましい。
このような構成によれば、合成樹脂薄膜体が、アルミニウム等の金属蒸着に耐えられる良好な耐熱性を有しながら断熱性が高く、強度や耐摩耗性にも優れるとともに比較的低価格なポリエステル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂かなるため、本発明の輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体のコストパフォーマンスが高くなる。
【0015】
さらに、前記輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体を製作する際に形成される帯状積層薄膜体に、その長尺方向の所定間隔ごとに幅方向切断用ミシン目を設けてなると好ましい。
このような構成によれば、断熱用積層薄膜体を製作する際に形成される帯状積層薄膜体が薄膜体であることから切断用のミシン目を設けることができ、このようなミシン目を長尺方向の所定間隔ごとに設けておくことにより、ミシン目の箇所で容易かつ確実に幅方向に切断することができるという利便性があるので、このミシン目で千切った断熱用積層薄膜体を容器本体の開口部を覆うように容易にセットして使用することができるため、その作業性が非常に高くなる。
【0016】
本発明に係る断熱用積層薄膜体を備えた輸送方法は、前記課題解決のために、容器本体と蓋体とからなる輸送容器の前記容器本体内に収容物及び保冷材又は保温材からなる収容体を収容した状態で、この収容体に接触するように、同一素材からなる上下複数の合成樹脂薄膜体間に金属又は金属化合物の薄膜層を備えた断熱用積層薄膜体で上面を覆い、前記蓋体を被せた状態で前記収容物を輸送することを特徴とする。
このような構成によれば、上述の輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体と同様の作用効果を奏する。
【0017】
ここで、前記容器本体の底面上に前記断熱用積層薄膜体を敷設した状態で前記収容体を収容すると好ましい。
このような構成によれば、容器本体の底面上に敷設した断熱用積層薄膜体によりさらに断熱性が高くなることから、保冷時間又は保温時間が長くなるため、より長時間の輸送が可能になる。
【0018】
また、前記輸送容器が発泡合成樹脂製保冷容器であり、前記保冷材が水氷であると好ましい。
このような構成によれば、輸送容器が断熱性能及び緩衝性能に優れるとともに製造コストが安い発泡合成樹脂製保冷容器であり、保冷材が乾燥や氷焼けを抑制しながら鮮度を落とさずに比較的長時間の輸送を行うことができる水氷であり、この水氷内に収容物を浸漬した状態とし、輸送容器の容器本体の開口部を覆う落とし蓋としての断熱用積層薄膜体により液界面とその上方の空気との間の熱交換を抑制して氷の溶解を遅延させて保冷時間を長くすることができるため、特に鮮魚や仮死状態にした魚の輸送に好適である。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明に係る輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体及び帯状積層薄膜体並びに断熱用積層薄膜体を備えた輸送方法によれば、(ア)輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体の表裏の熱膨張係数が同じであることから、薄膜体でありながら保冷材又は保温材に接触してもカールすることがなく、この断熱用積層薄膜体は、落とし蓋として機能して容器本体の開口部を広く覆った状態で収容体を遮熱し、かつ自然対流熱伝達を防止し続けるため、保冷時間又は保温時間を長くすることができること、(イ)薄膜体であることから、それぞれの輸送容器の寸法に現場で比較的容易に適合させることができるため、製造コストを低く抑えることができること、(ウ)時間との戦いである収容物を輸送容器内へ収容する現場における作業性が高いこと、等の顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体を示す断面模式図であり、(a)は同一素材からなる上下2層の合成樹脂薄膜体間に金属又は金属化合物の薄膜層を備えた構成を、(b)は同一素材からなる上下3層の合成樹脂薄膜体間に前記薄膜層を備えた構成を、(c)は同一素材からなる上下2層の合成樹脂薄膜体間に2層の前記薄膜層を備えた構成を示している。
【図2】本発明の実施の形態に係る輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体の使用状態例を示す縦断面図である。
【図3】同じく別の使用状態例を示す縦断面図である。
【図4】図3の使用状態例において、さらに容器本体の底面上にも断熱用積層薄膜体を敷設する断熱用積層薄膜体の使用状態例を示す縦断面図である。
【図5】断熱用積層薄膜体を製作する際に形成される帯状積層薄膜体に幅方向切断用ミシン目を設けた例を示す平面図である。
【図6】図5の帯状積層薄膜体を芯体に巻回してロール状にした状態を示す斜視図である。
【図7】容器本体内の収容物上に保冷材を置き、その上に断熱用積層薄膜体を載置した使用状態例を示す縦断面図である。
【図8】図7の使用状態例において、さらに容器本体の底面上にも断熱用積層薄膜体を敷設する断熱用積層薄膜体の使用状態例を示す縦断面図である。
【図9】容器本体内の保冷材上に収容物を置き、その上に断熱用積層薄膜体を載置した使用状態例を示す縦断面図である。
【図10】図9の使用状態例において、さらに容器本体の底面上にも断熱用積層薄膜体を敷設する断熱用積層薄膜体の使用状態例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体1は、図1(a)の断面模式図に示すような同一素材からなる上下2層の合成樹脂薄膜体2,2間に金属又は金属化合物の薄膜層3を備えた構成、図1(b)の断面模式図に示すような同一素材からなる上下3層の合成樹脂薄膜体2,2,2間に金属又は金属化合物の薄膜層3,3を備えた構成、図1(c)の断面模式図に示すような同一素材からなる上下2層の合成樹脂薄膜体2,2間に2層の金属又は金属化合物の薄膜層3,3を備えた構成等を適宜採用することができる。
すなわち、本発明の断熱用積層薄膜体1は、同一素材からなる上下複数の合成樹脂薄膜体2,2,…間に金属又は金属化合物の薄膜層3を備えてなるものである。
【0022】
ここで、合成樹脂薄膜体2を蒸着が可能なものとして蒸着により金属又は金属化合物の薄膜層3を設けることが好ましく、図1(a)の構成では、同一素材からなる蒸着が可能な2枚の合成樹脂薄膜体2,2の一方の片面に金属又は金属化合物の薄膜を蒸着し、この金属又は金属化合物の薄膜層3が内側になるようにして貼り合わせている。
また、図1(b)の構成では、同一素材からなる上下3層の合成樹脂薄膜体2,2,2の最上層の合成樹脂薄膜体2の下面及び最下層の合成樹脂薄膜体2の上面に金属又は金属化合物の薄膜を蒸着するか、あるいは、中間層の合成樹脂薄膜体2の両面に金属又は金属化合物の薄膜を蒸着するようにして、上下3層の合成樹脂薄膜体2,2,2を貼り合わせている。
さらに、図1(c)の構成では、同一素材からなる蒸着が可能な2枚の合成樹脂薄膜体2,2の両方の片面に金属又は金属化合物の薄膜を蒸着し、これらの金属又は金属化合物の薄膜層3,3が内側になるようにして貼り合わせている。
【0023】
蒸着が可能な合成樹脂薄膜体(合成樹脂フィルム)としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ホモポリマーフィルム、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー等のポリオレフィン系共重合体フィルム、ポリ塩化ビニール等の塩化ビニール系樹脂フィルム、耐衝撃ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂フィルム、等が挙げられる。この中でも、より好ましいのは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイロン6、ナイロン66等、特に好ましいのは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムが挙げられる。そして、これらフィルムは、延伸したもの、延伸しないもののいずれもが使用でき、延伸フィルムと無延伸フィルムを併用することもできる。強度の点からは延伸(1軸延伸、2軸延伸)したものが好ましく、伸びの点からは無延伸のものが好ましい。
【0024】
図1(a)のような同一素材からなる蒸着が可能な2枚の合成樹脂薄膜体2,2の一方に金属又は金属化合物の薄膜を蒸着し、この金属又は金属化合物の薄膜層3が内側になるようにして貼り合わせてなる最も簡素な構成において、2軸延伸して蒸着した合成樹脂薄膜体2と2軸延伸するが蒸着しない合成樹脂薄膜体2とを積層するのが好ましい例であるが、1軸延伸して蒸着した合成樹脂薄膜体2と、1軸延伸するが蒸着しない合成樹脂薄膜体2を使用する際には、延伸方向を90°変えて積層するのが、表裏の温度差によりカールを起こさないようにする上で好ましい。なお、延伸せずに蒸着した合成樹脂薄膜体2と、延伸も蒸着もしない合成樹脂薄膜体2とを積層してもよいし、一方の、蒸着するかあるいは蒸着しない、延伸した合成樹脂薄膜体2と、他方の、蒸着しないかあるいは蒸着した、延伸しない合成樹脂薄膜体2とを積層することもできる。
ここで、蒸着する物質としては、アルミニウム、銅、チタンなどの金属、酸化ケイ素などの金属化合物があるが、特に金属蒸着が好ましく、中でもアルミニウム蒸着が蒸着のし易さ、性能の面から最も好ましい。
また、蒸着により金属又は金属化合物の薄膜層3が付着した合成樹脂薄膜体2と蒸着しない合成樹脂薄膜体2とを積層して断熱用積層薄膜体1を製作する際には、熱接着により貼り合わせてもよいし接着剤で接着して貼り合わせてもよい。接着剤で接着する場合には、耐水性の接着剤を使用するのが好ましく、市販の接着剤を良好に使用することができ、例えばウレタン系接着剤が好ましい。
【0025】
次に、断熱用積層薄膜体1の使用例について説明する。
図2に示すように、輸送容器6は、例えば発泡合成樹脂製の容器本体7と容器本体7の開口部上面に被せる発泡合成樹脂製の蓋体8とからなる略直方体状のものであり、容器本体7内に収容物である鮮魚10及び保冷材である水氷11により構成される収容体9が収容され、その上から平面視略矩形状の断熱用積層薄膜体1が収容体9に接触して容器本体7の開口部を広く覆うように載置された後、蓋体8が被せられる。
水氷11は、砕氷11A及び水11Bからなり、水11Bは海水又は薄い食塩水とするのが長時間の輸送に好適であるが、水11Bを生水としてもよい。
なお、図1に示すように、断熱用積層薄膜体1は、同一素材からなる上下複数の合成樹脂薄膜体2,2,…間に金属又は金属化合物の薄膜層3を備えるように構成されていることから金属又は金属化合物の薄膜層3が露出しないため、収容体9との接触や摩擦等による金属又は金属化合物の薄膜層3の損傷を避けることができる。
【0026】
ここで、輸送容器6は、発泡性合成樹脂を型内成形等の成形手段で発泡成形して得られる合成樹脂発泡体で形成されるのが好ましく、そのための発泡合成樹脂としては、発泡ポリスチレン系樹脂、発泡ポリエチレン系樹脂、発泡ポリプロピレン系樹脂等の発泡ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン変性発泡ポリエチレン等のポリスチレン変性発泡ポリオレフィン系樹脂、硬質発泡ウレタン系樹脂等を用いることができるが、中でも発泡ポリスチレンがコスト等の点から好ましい。
また、輸送容器6は、その形状を問わないが、収容物の多様性に適合し易く、取り扱い易いため、直方体状であるのが好ましい。
【0027】
また、図3に示すように、平面視略矩形状の断熱用積層薄膜体1を容器本体7の開口部面積より大きくして、その4辺を折り曲げた状態として容器本体7の側壁内面に添わせるようにすることにより、隙間がなくなるため、断熱用積層薄膜体1による輸送容器6内の遮熱効果及び自然対流熱伝達の防止効果が大きくなるとともに、輸送時の振動や傾き等により断熱用積層薄膜体1が偏って収容体9がその上方の空気と接触してしまうことを防止することができる。
さらに、図4に示すように、容器本体7の底面上に略矩形状の断熱用積層薄膜体1を敷設した状態でその上に収容体9を収容し、さらにその上から略矩形状の断熱用積層薄膜体1を収容体9に接触して容器本体7の開口部を広く覆うように載置した後、蓋体8を被せるようにしてもよい。
【0028】
収容体9の上面を覆う断熱用積層薄膜体1は、上述の構成であり、このような断熱用積層薄膜体1,1,…を長手方向に繋げたような、例えば図5及び図6に示すような長尺の帯状積層薄膜体Aが製作され、この帯状積層薄膜体Aを所望長さに切断することにより断熱用積層薄膜体1として使用される。
帯状積層薄膜体Aは、例えば、同一素材からなる蒸着が可能な2枚の帯状合成樹脂薄膜体の一方の片面に蒸着により金属又は金属化合物の薄膜層3を付着させてから真空チャンバー内から取り出し、金属又は金属化合物の薄膜層3が内側になるように他方の帯状合成樹脂薄膜体と重ね合わせながら貼り合わせて形成され、その際に芯体5に巻回するように巻き取ることにより図6に示すようなロール状の形態になる。
【0029】
また、断熱用積層薄膜体1,1,…を製作する際に形成される帯状積層薄膜体Aが薄膜体であることから、図5に示すような切断用のミシン目4,4,…を帯状積層薄膜体Aの長尺方向の所定間隔ごとに設けることができるため、ミシン目4,4,…で切断しながら断熱用積層薄膜体1,1,…を使用することができる。
なお、このようなミシン目4,4,…は、ミシン目カッター等による一般的な方法により容易に形成することができる。
また、このような幅方向切断用ミシン目4,4,…を安価に、効率よく設けるには、断熱用積層薄膜体1の厚み等の制限があり、例えば50μm以下、好ましくは40μm以下の厚みであることが好ましい。このことから、5〜25μm程度、好ましくは7〜20μm程度、より好ましくは10〜20μm程度の厚さの帯状合成樹脂薄膜体を使用すればよい。
【0030】
保冷材は、図2、図3及び図4に示す水氷11だけではなく、図7〜図10に示すような砕氷11A、ドライアイス又は蓄冷材等であってもよく、このような固形の保冷材により収容物である例えば鮮魚10、イカ、タコ等の魚介類を保冷する場合は、例えば、図7に示すように容器本体7内の収容物である鮮魚10上に保冷材である砕氷11Aを置き、その上に断熱用積層薄膜体1を載置する構成、さらに図8に示すように容器本体7の底面上にも断熱用積層薄膜体1を敷設する構成、図9に示すように容器本体7内の保冷材である砕氷11A上に収容物である鮮魚10を置き、その上に断熱用積層薄膜体1を載置する構成、さらに図10に示すように容器本体7の底面上にも断熱用積層薄膜体1を敷設する構成としてもよい。
【0031】
<実験例1>
下記(1)の発泡合成樹脂製の輸送容器を用い、その容器本体内に保冷材としての氷を収容し、本願発明の図1(a)の構成である下記(2)の断熱用積層薄膜体(実施例1)を氷に接触させて容器本体の開口部を覆い、蓋体を被せた状態として、下記(3)の実験条件で輸送容器を24時間静置した後の氷残重量を測定するとともに実験後の断熱用積層薄膜体を観察した。
また、下記(1)の発泡合成樹脂製の輸送容器を用い、その容器本体内に保冷材としての氷を収容し、断熱用積層薄膜体で覆わずに蓋体を被せた状態として、下記(3)の実験条件で輸送容器を24時間静置した後の氷残重量を測定した(比較例1)。
【0032】
(1)輸送容器の寸法及び重量
長さ:500mm、幅:340mm
輸送容器高さ:265mm、本体高さ:223mm
側壁の厚み:30mm、底壁の厚み:23mm
容器本体重量:314〜319g、蓋体重量:87g
(2)実施例1(図1(a)の構成である断熱用積層薄膜体の諸元)
長さ:約440mm、幅:約270mm
合成樹脂薄膜体:16μm厚の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
金属薄膜層:1nm(10Å)厚のアルミニウム
接着剤:ウレタン系接着剤
(3)実験条件
実験開始時の氷:−20℃の氷3.5kg
輸送容器の環境:温度を約35℃に設定した乾燥室
【0033】
(実験結果)
断熱用積層薄膜体が無い比較例1の2個の輸送容器についての実験で、前記氷残重量は、夫々0g、26.8gであった。
これに対して実施例1の断熱用積層薄膜体を用いた2個の輸送容器についての実験では、前記氷残重量は、夫々178.4g、316.2gであり、約35℃の環境において24時間経過後であっても、比較例1よりも大幅に多量の氷が残存していること、及び、実験後に断熱用積層薄膜体はカールしておらず、容器本体の開口部を広く覆った状態を保持していることを確認できた。
【0034】
<実験例2>
下記(1)の発泡合成樹脂製の輸送容器を用い、その容器本体内に保冷材としての氷を収容し、本願発明の図1(a)の構成である下記(2)の断熱用積層薄膜体(実施例2)を氷に接触させて容器本体の開口部を覆い、蓋体を被せた状態として、下記(4)の実験条件で輸送容器を24時間静置した後の氷残重量及び水温を測定するとともに実験後の断熱用積層薄膜体を観察した。
また、下記(1)の発泡合成樹脂製の輸送容器を用い、その容器本体内に保冷材としての氷を収容し、本願発明の図1(a)の構成である下記(3)の断熱用積層薄膜体(実施例3)を氷に接触させて容器本体の開口部を覆い、蓋体を被せた状態として、下記(4)の実験条件で輸送容器を24時間静置した後の氷残重量及び水温を測定するとともに実験後の断熱用積層薄膜体を観察した。
さらに、下記(1)の発泡合成樹脂製の輸送容器を用い、その容器本体内に保冷材としての氷を収容し、断熱用積層薄膜体で覆わずに蓋体を被せた状態として、下記(4)の実験条件で輸送容器を24時間静置した後の氷残重量及び水温を測定した(比較例2)。
【0035】
(1)輸送容器の寸法及び重量
長さ:550mm、幅:350mm
輸送容器高さ:245mm、本体高さ:220mm
側壁の厚み:25mm、底壁の厚み:20mm
容器本体重量:194〜198g、蓋体重量:63.6〜63.8g
(2)実施例2(図1(a)の構成である断熱用積層薄膜体の諸元)
長さ及び幅:容器本体の内寸よりも大きく形成して図3のように4辺を折り曲げて容器本体の側壁内面に添わせるように密着させた状態にした。
合成樹脂薄膜体:10μm厚の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
金属薄膜層:1nm(10Å)厚のアルミニウム
接着剤:ウレタン系接着剤
(3)実施例3(図1(a)の構成である断熱用積層薄膜体の諸元)
長さ及び幅:容器本体の内寸よりも約20mm小さく形成して、その周囲を各内壁から約10mm離間させた状態にした。
合成樹脂薄膜体:10μm厚の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
金属薄膜層:1nm(10Å)厚のアルミニウム
接着剤:ウレタン系接着剤
(4)実験条件
実験開始時の氷:−20℃の氷4.5kg
輸送容器の環境:温度を約35℃に設定した乾燥室
【0036】
(実験結果)
断熱用積層薄膜体が無い比較例2の輸送容器についての実験で、前記氷残重量は0g、水温は5℃であった。
これに対して実施例2の断熱用積層薄膜体を用いた輸送容器についての実験では、前記氷残重量は244.4g、水温は1℃、実施例3の断熱用積層薄膜体を用いた輸送容器についての実験では、前記氷残重量は194.4g、水温は1℃であり、約35℃の環境で24時間経過後において、比較例2では前記氷残重量が無くなって水温が上昇しているのに対して、実施例2及び3では多量の氷が残存していること、及び、実施例2のように断熱用積層薄膜体の4辺を折り曲げた状態として容器本体の側壁内面に添わせるように密着させたものの方が、実施例3のように断熱用積層薄膜体の周囲を内壁から離間させたものよりも前記氷残重量がかなり多い(約26%多い)こと、並びに、実験後に断熱用積層薄膜体はカールしておらず、容器本体の開口部を広く覆った状態を保持していることを確認できた。
【0037】
以上のような輸送容器6内収容体9の上面を覆う断熱用積層薄膜体1の構成によれば、同一素材からなる上下複数の合成樹脂薄膜体2,2,…間に金属又は金属化合物の薄膜層3を備えたものとしているので、断熱用積層薄膜体1の表裏の熱膨張係数が同じであることから、薄膜体でありながら保冷材に接触してもカールすることがない。
したがって、このような断熱用積層薄膜体1は、落とし蓋として機能して容器本体7の開口部を広く覆った状態で収容体9を遮熱し、かつ自然対流熱伝達を防止し続けるため、保冷時間を長くすることができる。
【0038】
また、特許文献2のような比較的厚い発泡体シートではなく薄膜体であることから、例えば矩形状の断熱用積層薄膜体1が、それぞれの輸送容器6,6,…の寸法より喩え大きかったとしても、収容体9に良好に密着すると共に、容器本体7の側壁にも自然に密着するので、現場で容易に適合させることができ、大まかなサイズの薄膜体1を用意しておけば多種のサイズの輸送容器6,6,…に採用することができるため、製造コストを低く抑えることができるとともに、時間との戦いである収容物を輸送容器6,6,…内へ収容する現場における作業性が高いため実用性が向上する。
さらに、上下複数の合成樹脂薄膜体2,2,…間に金属又は金属化合物の薄膜層3を備えた構成であることから、輸送容器6内にセットする際に表裏の区別を意識することなく作業をすることができるため作業効率が向上する。
【0039】
さらにまた、特許文献2のような比較的厚い発泡体シートではなく薄膜体であることから、容器本体7内で専有するスペースが非常に小さくなる。
また、落とし蓋として機能する断熱用積層薄膜体1により断熱性能が向上することから、使用状況によっては、容器本体7の側壁及び底壁並びに蓋体の厚みを減少させた輸送容器6の使用、保冷材の使用量の削減並びにそれに伴う小形の輸送容器6の使用ができるため、トータルコストを削減することができる。
さらに、断熱用積層薄膜体1が薄膜体であることから、図6のように芯体5に巻回してロール状にした状態で使用に供することができるので、省スペース化を図ることができるため運搬効率が高くなる。
【0040】
さらにまた、断熱用積層薄膜体1が同一素材からなる蒸着が可能な2枚の合成樹脂薄膜体2,2の一方に金属又は金属化合物の薄膜を蒸着し、この薄膜層3が内側になるようにして貼り合わせてなる、例えば図1(a)のような構成であると、収容体9を遮熱し、かつ自然対流熱伝達を防止する、落とし蓋としての断熱機能を備える構成をより簡素な構成で実現できるため、製造コストを低減することができる。
また、合成樹脂薄膜体2を、アルミニウム等の金属蒸着に耐えられる良好な耐熱性を有しながら断熱性が高く、強度や耐摩耗性にも優れるとともに比較的低価格なポリエステル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂にすると、輸送容器6内収容体9の上面を覆う断熱用積層薄膜体1のコストパフォーマンスが高くなる。
【0041】
さらに、図5及び図6のように輸送容器6内収容体9の上面を覆う断熱用積層薄膜体1を製作する際に形成される帯状積層薄膜体Aに、その長尺方向の所定間隔ごとに幅方向切断用ミシン目4,4,…を設けてなると、ミシン目4,4,…の箇所で容易かつ確実に幅方向に切断することができるという利便性があるので、このミシン目4,4,…で千切った断熱用積層薄膜体1,1,…を容器本体7の開口部を覆うように容易にセットして使用することができるため、その作業性が非常に高くなる。
さらにまた、図4、図8及び図10のように、容器本体7の底面上に断熱用積層薄膜体1を敷設した状態で収容体9を収容することにより、さらに断熱性が高くなることから、保冷時間が長くなるため、より長時間の輸送が可能になる。
また、図2〜図4のように、輸送容器6が発泡合成樹脂製保冷容器であると、断熱性能及び緩衝性能に優れると共に製造コストが安く、かつ、保冷材が水氷11であると、乾燥や氷焼けを抑制しながら鮮度を落とさずに比較的長時間の輸送を行うことができる。
この水氷11内に収容物を浸漬した状態とした場合には、輸送容器6の容器本体7の開口部を覆う落とし蓋としての断熱用積層薄膜体1により、液界面とその上方の空気との間の熱交換を抑制して氷の溶解を遅延させて保冷時間を長くすることができるため、特に鮮魚等の輸送に好適である。
【0042】
以上の説明においては、輸送容器6が保冷容器である場合について説明したが、輸送容器6は保温容器であってもよく、その際には輸送容器内に蓄熱材等の保温材が収容される。
【符号の説明】
【0043】
A 帯状積層薄膜体
1 断熱用積層薄膜体
2 合成樹脂薄膜体
3 金属又は金属化合物の薄膜層
4 幅方向切断用ミシン目
5 芯体
6 輸送容器
7 容器本体
8 蓋体
9 収容体
10 鮮魚(収容物)
11 水氷(保冷材)
11A 砕氷(保冷材)
11B 水


【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送容器内に収容物及び保冷材又は保温材からなる収容体を収容した状態で、この収容体に接触して上面を覆う断熱用積層薄膜体であって、同一素材からなる上下複数の合成樹脂薄膜体間に金属又は金属化合物の薄膜層を備えてなることを特徴とする輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体。
【請求項2】
同一素材からなる蒸着が可能な2枚の合成樹脂薄膜体の一方に金属又は金属化合物の薄膜を蒸着し、この薄膜層が内側になるようにして貼り合わせてなる請求項1記載の輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体。
【請求項3】
前記合成樹脂薄膜体がポリエステル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂からなる請求項1又は2記載の輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の輸送容器内収容体の上面を覆う断熱用積層薄膜体を製作する際に形成される帯状積層薄膜体に、その長尺方向の所定間隔ごとに幅方向切断用ミシン目を設けてなる帯状積層薄膜体。
【請求項5】
容器本体と蓋体とからなる輸送容器の前記容器本体内に収容物及び保冷材又は保温材からなる収容体を収容した状態で、この収容体に接触するように、同一素材からなる上下複数の合成樹脂薄膜体間に金属又は金属化合物の薄膜層を備えた断熱用積層薄膜体で上面を覆い、前記蓋体を被せた状態で前記収容物を輸送することを特徴とする断熱用積層薄膜体を備えた輸送方法。
【請求項6】
前記容器本体の底面上に前記断熱用積層薄膜体を敷設した状態で前記収容体を収容する請求項5記載の断熱用積層薄膜体を備えた輸送方法。
【請求項7】
前記輸送容器が発泡合成樹脂製保冷容器であり、前記保冷材が水氷である請求項5又は6記載の断熱用積層薄膜体を備えた輸送方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−224396(P2012−224396A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−35061(P2012−35061)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(000140074)株式会社羽根 (23)
【Fターム(参考)】