説明

輸送管理システム

【課題】 荷室に積み込まれて輸送される輸送物の劣化要因をリアルタイムに管理するに好適な簡易な構成の輸送管理システムを提供する。
【解決手段】 荷室に搭載される荷室監視装置を備えて構築される輸送管理システムであって、上記荷室監視装置は、荷室に積み込まれた輸送物の品質に影響を及ぼす要因(温度や湿度等)を検出するセンサと、このセンサを介して検出された情報を予め加入した無線通信網を介して管理センタに通知するデータ通信装置と、前記荷室が搭載された輸送体(船舶等)が備えたローカルエリアネットワークに接続されて前記センサを介して検出された情報の前記管理センタへの通知を前記輸送体が備えた無線通信手段(衛星通信装置)に委ねるLAN端末と、このLAN端末を介する情報通信と前記データ通信装置を介する情報通信とを選択的に切り換える通信制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷室に積み込まれて輸送される輸送物、例えば生鮮食品や精密機械等の品質を管理するに好適な輸送管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮食品を輸送する場合、その品質である鮮度を保つことが重要である。ちなみに生鮮食品の鮮度(品質)を劣化させる要因は温度や湿度、振動(衝撃)等である。そこで従来一般的には、例えば保冷コンテナを用いて生鮮食品の温度と湿度とを略一定に保ちながら輸送することで、生鮮食品の鮮度(品質)の劣化を防止するようにしている。しかし保冷コンテナを用いるといえども、該コンテナに組み込まれた温度調節装置(例えば冷凍ユニット)の作動状況によっては、その輸送期間中、コンテナ内の温度(生鮮食品の環境温度)が常に安定に保たれると言う保証はない。
【0003】
そこで温度センサやメモリ等を備えた温度監視装置を保冷コンテナに組み込み、コンテナ内の温度を逐次検出して輸送期間中における温度履歴を記憶すると共に、輸送完了後に前記温度監視装置から温度履歴を読み出すことで上記輸送期間中に温度異常が生じなかったか否かを判定することが提唱されている(例えば特許文献1を参照)。また生鮮食品を梱包する梱包体に同梱されるICタグを用い、このICタグにより検出される温度等の情報を広域無線通信機器等を介して管理センタに送信することで生鮮食品の品質をリアルタイムに監視することも提唱されている(例えば特許文献2を参照)。
【0004】
具体的には特許文献2には、トラックに搭載したタグ用受信機を用いて前記ICタグ(センサ)により検出された個々の梱包体の情報を読み出し、上記タグ用受信機に接続された広域無線通信機器等を用いて上記情報を前記管理センタに送信することが開示される。また航空機や船舶等を用いた上記梱包体の輸送時にはその輸送期間における温度履歴を前記ICタグ(メモリ)に記憶しておき、この梱包体をトラック等に載せ替える際に上記ICタグに記憶された温度履歴を一括して読み出して前記管理センタに送信することが開示されている。
【特許文献1】特開2002−35659号公報
【特許文献2】特開2002−358591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した特許文献1に紹介される管理形態においては、輸送期間中におけるコンテナ内の温度を履歴情報として記憶しているだけなので上記温度をリアルタイムに監視することができない。また特許文献2に紹介される管理形態においても、タグ用受信器を備えていない航空機や船舶等を用いた輸送時には上記輸送環境温度等をリアルタイムに監視することができないと言う不具合がある。
【0006】
そこで航空機や船舶等の輸送手段、更には保管倉庫等にもそれぞれタグ用受信器とこのタグ用受信器に接続された広域無線通信機器とを設けておき、梱包体が何処に移送された場合であっても、必ずその移送場所において前記ICタグにより求められた温度情報等をタグ用受信器を介して読み出して前記管理センタに送信することが考えられる。しかしながら生鮮食品等の梱包体を移送すると予想される全ての場所に上記タグ用受信器および広域無線通信機器を設置するには多大な設備コストを必要とし、しかも管理システム自体が大掛かりなものとなることが否めない。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、コンテナ等の荷室に積み込まれて輸送される輸送物、例えば生鮮食品や精密機械等の品質を、その劣化要因である温度や湿度の変化、更には振動(衝撃)等の有無からリアルタイムに管理するに好適な簡易な構成の輸送管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するべく本発明は、コンテナやトラックの荷箱等の荷室を用いて生鮮食品等を輸送する場合、その荷室を1つの輸送単位としてトラックやトレーラ、船舶、列車、或いは航空機等との間で順次載せ替えながら輸送していくことに着目している。そしてこの荷室自体に、例えば携帯電話のような予め加入した無線通信網を介してデータ通信を行い得るデータ通信装置を搭載し、このデータ通信装置を介して荷室に積み込まれた輸送物の品質に影響を及ぼす要因(温度や湿度等)をリアルタイムに収集すれば、大掛かりなシステムを構築することなく輸送品の品質を監視することができることに着目している。
【0009】
そこで本発明に係る輸送管理システムは、荷室に搭載される荷室監視装置を備えて構築されるものであって、この荷室監視装置は、
<a> 荷室に積み込まれた輸送物の品質に影響を及ぼす要因を検出するセンサと、
<b> このセンサを介して検出された情報を予め加入した無線通信網を介して管理センタに通知するデータ通信装置と、
<c> 前記荷室が搭載された輸送体が備えたローカルエリアネットワークに接続され、このローカルエリアネットワークを介して前記センサを介して検出された情報の前記管理センタへの通知を前記輸送体が備えた無線通信手段に委ねるLAN端末と、
<d> このLAN端末を介する情報通信と前記データ通信装置を介する情報通信とを選択的に切り換える通信制御手段と
を具備したことを特徴としている。
【0010】
なお、ここでいう荷室には、例えば、トレーラの荷台に搭載されるコンテナ(図3(a))や、車輪を有し牽引されるコンテナ(図3(b))、トラックの荷箱(図3(c))等が含まれる。
好ましくは請求項2に記載するように前記ローカルエリアネットワークを備えた輸送体は船舶、列車または航空機からなり、この輸送体が備えた無線通信手段としては、輸送体が基本的に備える、例えば通信衛星を中継局として用いる衛星通信装置とすれば良い。このような輸送体が備えた衛星通信装置を用いれば、輸送体(船舶、列車または航空機)が前記データ通信装置による無線通信網の通信圏外を航行するような場合であっても、安定したデータ通信の下で荷室の情報を確実に収集することが可能となる。また前記荷室が温度調節ユニットを備えた定温輸送用荷室である場合には、請求項3に記載するようにトラックまたはトレーラに搭載されて陸上輸送される時には該トラックまたはトレーラから電力供給を受け、また船舶または航空機に搭載されて水上または航空輸送される時には該船舶または航空機から電力供給を受けて前記温度調節ユニットを駆動するようにしておけば良い。そして上記温度調節ユニットへの電力供給源の切り換えを端緒として前述した管理センタに対する通信形態を切り換えるようにすれば良い。
【0011】
尚、前記センサにより検出する前記輸送物の品質に影響を及ぼす要因は、請求項4に記載するように温度、湿度、気圧、振動等の環境状態、荷室のドア開閉状態、および温度調節ユニット等の荷室付帯設備の稼働状況の少なくとも1つであれば良い。
また請求項5に記載するように前記通信制御手段においては、特に荷室が搭載された輸送体が陸上輸送用のトラックまたはトレーラである場合には前記データ通信端末を介して前記情報を通信し、荷室が搭載された輸送体が船舶、列車または航空機である場合には前記LAN端末を介して前記情報の通信を当該輸送体が備えた無線通信手段に委ねるように、その通信形態を切り換え制御するようにすれば良い。
【発明の効果】
【0012】
このように構成された輸送管理システムによれば、荷室に搭載された荷室監視装置が、例えばトラックやトレーラによる陸上輸送時には、概ね予め加入した無線通信網の通信圏内に位置するので、自らが備えたデータ通信装置を用いてセンサにより検出された情報を管理センタに通知し、一方、船舶等に載せ替えられて海上輸送されるような場合または航空機に搭載されて航空輸送されるような場合には上記無線通信網の通信圏内から外れることが多いので、船舶または航空機等が基本的に備えている衛星通信装置等を利用して前記センサにより検出された情報を管理センタに通知することになる。従って輸送形態に拘わることなく、常に安定に前記センサにより検出された情報を管理センタにリアルタイムに通知することが可能となる。
【0013】
また荷室監視装置においては、輸送体が備えたローカルエリアネットワークに接続されるLAN端末を備えるだけで良いので、そのシステム構成が簡単であり、安価にシステムを構築することができる。しかもデータ通信装置を用いて管理センタとの間でデータ通信するか、或いはLAN端末を介して船舶等の輸送体が備える衛星通信装置等にデータ通信を委ねるかは、荷室がトラックやトレーラに搭載されたか、或いは船舶や列車、航空機に搭載されたかによって切り換えるだけでよいので、その制御が容易である等の利点もある。しかも上記荷室監視装置を個々の荷室に搭載するだけでよいので、その設備コストが安い等の効果も奏せられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る輸送管理システムについて説明する。
図1はこの輸送管理システムの全体構成を示す概略図で、1は生鮮食品等の輸送に用いられる荷室としてのコンテナである。このコンテナ1は、トレーラ2に搭載されて陸上輸送されると共に、船舶(コンテナ船等)3に搭載されて水上(洋上)輸送される。また上記コンテナ1は、特に図示しないが列車に搭載されて鉄道輸送されたり、更には航空機に搭載されて空輸され、或いは一時的にその集配基地や保管倉庫等に保管される。ここで説明するコンテナ1を用いた生鮮食品等の各種の輸送形態は、上述したトレーラ2や船舶等を用いた輸送の形態だけでなく、集配基地等における一時的な保管を含んでいる。そしてコンテナ1による生鮮食品等の輸送は、その輸送物をコンテナ1に積み込んだ状態で該コンテナ1を1つの輸送単位として実施される。
【0015】
さて本発明に係る輸送管理システムは、上述した生鮮食品等の輸送に用いられるコンテナ1のそれぞれに、例えば図2に示すように構成されたコンテナ監視装置10を搭載して構築される。このコンテナ監視装置10は、基本的には前記コンテナ1に積み込まれた輸送物の品質に影響を及ぼす要因、例えばコンテナ1内の温度や湿度等を検出するセンサ11と、このセンサ11を介して検出された情報を予め加入した無線通信網を介して管理センタに通知するデータ通信装置12とを備える。
【0016】
具体的には上記センサ11は、コンテナ1内の温度を検出する温度センサや、コンテナ1内の湿度を検出する湿度センサ、更にはコンテナ1に加わる振動や衝撃を検出する振動センサ等からなる。またコンテナ1が温度調節ユニット(冷凍ユニット)を備えた定温(低温)輸送用コンテナである場合には、上記温度調節ユニットの作動状態を検出する動作検出器や、該温度調節ユニットへの供給電力の種別(交流/直流や、エンジンによる発電/外部給電等)を判定する電源検出器等を前記センサ11の一種であるとして看做すことも勿論可能である。このようなセンサ11は、輸送管理システムの仕様に応じて、換言すればコンテナ輸送時における監視対象が何であるかに応じて、1つまたは複数種設けられる。
【0017】
また前記データ通信装置12は、NTTドコモ社が提供するDoPa(登録商標)網等の、予め加入した地上波無線通信網であるパケット通信網21を介して管理センタ22との間で所定の周期でデータ通信し、前記センサ11にて検出された前記コンテナ1の状態を示す情報(コンテナ1内の温度や湿度等)を上記管理センタ22に通知する役割を担っている。この際、データ通信装置12は、上述したセンサ11にて検出された情報に加えて、予め自己に割り当てられたID情報(端末コード)を管理センタ22に通知することで、この輸送管理システムに参加(加入)している多数のコンテナ1中の、どのコンテナであるかを明示(宣言)する機能を備えることは言うまでもない。
【0018】
また前記コンテナ監視装置10は、コンテナ1が搭載された船舶(輸送体)3が備えたローカルエリアネットワーク(LAN)に接続され、このローカルエリアネットワークを介して前記センサ11を介して検出された情報を前記船舶3が備えた衛星通信等の無線通信手段に委ねるLAN端末13を備えている。このLAN端末13は、例えば無線LANカードからなり、船舶3に設けられた無線LAN装置31との間でローカルに無線データ通信網を形成して該船舶3に設けられた情報処理装置との間でデータ通信を実行する。そして船舶3が備えている衛星通信装置等を用いて前述したパケット通信網21をアクセスし、前述した如くセンサ11を用いて検出したコンテナ1の状態情報を前記管理センタ22に通知するものとなっている。
【0019】
尚、コンテナ監視装置10がLAN端末13を介して接続される前記船舶3が備えた衛星通信装置を用いて前記管理センタ22との間で情報通信を実行するか、或いは前述したデータ通信装置12を用いて前記管理センタ22との間で情報通信を実行するかは、その通信制御手段である、例えば通信モード選択スイッチ14の切り換えにより択一的(選択的)に設定される。
【0020】
より詳しく説明すると前記コンテナ監視装置10は、図2にその概略的な構成を示すように通信制御装置15を主体として構成され、この通信制御装置15にインターフェース(I/F)16を介してセンサ11を接続してコンテナ1の環境情報を取り込んでいる。また通信制御装置15にはインターフェース(I/F)16を介してパーソナルコンピュータ等の情報処理装置17が接続されており、この情報処理装置17により前記センサ11を介して検出された情報や、衛星を利用したGPS(全地球側位システム)受信機18を用いて検出される位置座標情報等からなるコンテナ1の運行データが管理され、メモリカード等のメモリ19にその情報が輸送履歴として記録されるようになっている。
【0021】
前述したデータ通信装置12は上述した通信制御装置15に接続され、該通信制御装置15に収集された情報を前記パケット通信網21を介して管理センタ22に通信する。また前記LAN端末13は通信制御装置15に装着され、該通信制御装置15に収集された情報を船舶3の衛星通信装置に与えることで前記管理センタ22への情報通信を上記衛星通信装置に委ねるものとなっている。そして通信制御装置15は、上記データ通信装置12を用いて情報通信を行うか、或いは前記LAN端末13から船舶3の衛星通信装置を介して情報通信を行うかを、前記通信モード選択スイッチ14の設定状態に応じて切り換えるものとなっている。
【0022】
尚、コンテナ1をトレーラ2に搭載して輸送する場合には、トレーラの冷凍ユニット専用エンジンにより駆動される発電機にて生成された、例えば24Vの直流電力が前記温度調節ユニットの駆動電力として供給され、またコンテナ1を船舶3に搭載して輸送する場合には、船舶3内で生成された、例えば200Vの交流電力が前記冷凍ユニットの駆動電力として供給されるので、この供給電力の種別を検出して前述した通信形態の切り換えを制御するようにしても良い。また前記コンテナ1をトレーラ2に搭載するか、或いは船舶3に搭載するかによって前記温度調節ユニットへの電力供給源の接続切り換え(電源コネクタの繋ぎ替え)を行うので、この電力供給源の接続切り換えに連動させて前述した通信形態の切り換えを制御するようにしても良い。勿論、この通信形態の切り換えをマニュアル(手動)により切り換え操作しても良いことは言うまでもない。
【0023】
またここでは船舶3に敷設されたローカルエリアネットワークとの接続を、LAN端末13として無線LANカードを用いて行うものとして説明するが、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)ケーブル等のシリアル・インターフェース・ケーブル(有線)を介して行うようにしても良い。この際、前述した電力供給源の接続切り換え(電源コネクタの繋ぎ替え)時に、同時に上記USBケーブルの繋ぎ替えを行うようにすることも有用である。
【0024】
一方、コンテナ1の輸送に供される船舶3には、図1に示すように通信衛星30を介して情報通信を行うための衛星通信装置32が搭載されており、この衛星通信装置32はルータ33を介して船舶3内のローカルエリアネットワークに接続されている。このルータ33に前述した無線LAN装置31が接続されており、コンテナ1に組み込まれたコンテナ監視装置10と上記衛星通信装置32の間で情報通信が行われるようになっている。また上記ローカルエリアネットワークには、コンピュータ等からなる管理装置34が接続されており、ローカルエリアネットワークを介して前記コンテナ監視装置10から得られるコンテナ1の状態がローカルに管理されている。即ち、この管理装置34は、船舶3に搭載して輸送される複数のコンテナ1のそれぞれの状態を監視する役割を担っている。そしてこの管理装置34によって各コンテナ1の温度調節ユニットが正常に機能しているか否かが監視される。
【0025】
また前記ルータ33は、例えばダイヤルアップ機能を備えたもので、コンテナ1に組み込まれたコンテナ監視装置10からコンテナ1の状態情報が与えられたとき、これを検出して前記衛星通信装置32を起動している。そして通信衛星30を経由して前記パケット通信網21をアクセスし、更にこのパケット通信網21を介して管理センタ22をアクセスすることで、上記コンテナ1の状態情報を管理センタ22に自動送信するものとなっている。
【0026】
尚、上述したようにして管理センタ22に収集される各コンテナ1の状態情報は、前述したGPS受信機18を介して検出される位置情報と共に管理され、各コンテナ1の輸送履歴として記録される。そして荷主等がユーザ端末23からインターネット24を介して管理センタ22をアクセスした際、上述した如く収集した各コンテナ1の輸送履歴を適宜上記ユーザ端末23に対して提示するものとなっている。
【0027】
かくして上述した如く構築された輸送管理システムによれば、個々のコンテナ1がコンテナ監視装置10をそれぞれ備えており、これらの各コンテナ監視装置10は、センサ11により検出されたコンテナ1の状態情報等を、データ通信端末12を介して該データ通信端末12が加入しているパケット通信網21を介して管理センタ22に直接通知する機能と、例えば上記パケット通信網21を利用することができない場合には、LAN端末13を介して船舶3が備えている無線通信手段(衛星通信装置)32にその通信を委ねる機能とを備えているので、どのような輸送形態がとられている場合であっても、上記コンテナ1の状態情報等を管理センタ22に対してリアルタイムに、しかも確実に通知することができる。
【0028】
特にコンテナ1がトレーラ2に搭載されて陸上輸送されている場合には、その殆どのエリアにおいてパケット通信網21との間で情報通信し得ることから、前記データ通信端末12を用いてコンテナ1の状態情報を管理センタ22に直接通知することができる。そしてコンテナ1が船舶3に載せ替えられて海上輸送されるような場合には、上記データ通信装置12に代えてLAN端末13を用い、このLAN端末13が接続された前記船舶3が備える無線通信手段(衛星通信装置)32を用いて前記コンテナ1の状態情報の前記管理センタ22への通知を委ねるものとなっている。従ってコンテナ1が前記パケット通信網21の通信可能圏内に位置するか否かに拘わらず、換言すればコンテナ1が前記パケット通信網21の通信可能圏外に移送された場合であっても、前記コンテナ1の状態情報を管理センタ22に通知することができる。故に管理センタ22においては、コンテナ1がどのような経路で輸送されている場合であっても、そのコンテナ1の状況をリアルタイムに把握することが可能となる。
【0029】
また上述した如く構築される輸送管理システムにおいては、個々のコンテナ1に前述した構成のコンテナ監視装置10を組み込むだけで良く、またこのコンテナ監視装置10を組み込んだコンテナ1を大量に輸送する船舶3には、上記コンテナ監視装置10との間での情報通信を可能とするLAN装置31を設け、該船舶3が基本的に備える無線通信手段(衛星通信装置)32を活用して管理センタ22との間で情報通信を行うだけで良いので、そのシステム構成が簡単であることのみならず、その設備コストを安価に抑えることができる。また陸上輸送用のトレーラ2には、コンテナ1との間で情報通信して該コンテナ1の状態を監視する機能を設ける必要がなく、コンテナ1が自らその状態を監視するのでトレーラ2が担う役割を単純化してその設備コストを低減することができる。従ってコンテナに積み込まれて輸送される生鮮食品等の輸送物の品質を管理するに好適な輸送管理システムを安価に構築することができる等の実用上多大なる効果が奏せられる。
【0030】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えばセンサ11により検出する情報としては、コンテナ1のドアの開閉状態とその開閉時刻や、冷凍ユニット等のコンテナ付帯設備への電源供給状態、更には冷凍ユニットの作動状態等であっても良い。また実施形態においてはトレーラ2と船舶3とによるコンテナの輸送を例に説明したが、航空機を用いる場合やトラックがコンテナを搭載したまま船舶に乗船する場合にも同様に実施することができる。またここでは冷凍ユニットを備えた定温輸送用コンテナを例に説明したが、冷凍ユニット等の駆動電力を必要とする付帯設備を備えることのないコンテナの場合にも同様に適用することができる。即ち、振動(衝撃)を嫌う精密機械の輸送に用いる一般的なコンテナにおいては、振動(衝撃)センサを備えたコンテナ監視装置10を組み込むようにすれば良い。但し、この場合にはコンテナ監視装置10の駆動電源として、所定容量のバッテリを組み込んでおく等の対策を講じる必要がある。
【0031】
またコンテナ監視装置10に、その監視対象の管理幅を監視する機能を組み込み、コンテナ輸送時に異常が検出されたときに異常検出信号を発生させる機能等を設けておくことも有用である。更にはセンサ11により検出された情報を逐次履歴として記憶し、例えば通信障害が生じた場合であっても、その間の情報を適宜読み出し得るようにしておくことも有用である。また管理センタ22における管理の形態や、ユーザ端末23に対する管理情報の提供サービスについては、荷主からの管理内容の要求項目やそのシステム仕様等に応じて設定すれば十分である。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る輸送管理システムの概略的な全体構成図。
【図2】図1に示す輸送管理システムにおけるコンテナに組み込まれるコンテナ監視装置の概略構成を示す図。
【図3】輸送単位としての荷室の形態を示す図。
【符号の説明】
【0033】
1 コンテナ
2 トレーラ
3 船舶
10 コンテナ監視装置
11 センサ
12 データ通信装置
13 LAN端末
14 通信モード選択スイッチ
15 通信制御装置
17 情報処理装置
18 GPS受信機
21 パケット通信網
22 管理センタ
31 LAN装置
32 衛星通信装置
34 管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室に搭載される荷室監視装置を備え、この荷室監視装置は、
前記荷室に積み込まれた輸送物の品質に影響を及ぼす要因を検出するセンサと、
このセンサを介して検出された情報を予め加入した無線通信網を介して管理センタに通知するデータ通信装置と、
前記荷室が搭載された輸送体が備えたローカルエリアネットワークに接続され、このローカルエリアネットワークを介して前記センサを介して検出された情報の前記管理センタへの通知を前記輸送体が備えた無線通信手段に委ねるLAN端末と、
このLAN端末を介する情報通信と前記データ通信装置を介する情報通信とを選択的に切り換える通信制御手段と
を具備したことを特徴とする輸送管理システム。
【請求項2】
前記ローカルエリアネットワークを備えた輸送体は、船舶、列車または航空機であって、
前記輸送体が備えた無線通信手段は、通信衛星を中継局として用いる衛星通信装置である請求項1に記載の輸送管理システム。
【請求項3】
前記荷室は、温度調節ユニットを備えた定温輸送用コンテナであって、
前記定温輸送用コンテナが搭載された輸送体から電力が供給されて前記温度調節ユニットを駆動するものである請求項1に記載の輸送管理システム。
【請求項4】
前記輸送物の品質に影響を及ぼす要因は、温度、湿度、気圧、振動等の環境状態、荷室のドア開閉状態、および温度調節ユニット等の荷室付帯設備の稼働状況の少なくとも1つである請求項1に記載の輸送管理システム。
【請求項5】
前記通信制御手段は、荷室が搭載された輸送体がトラックまたはトレーラである場合には前記データ通信端末を介して前記情報を通信し、荷室が搭載された輸送体が船舶、列車または航空機である場合には前記LAN端末を介して前記情報の通信を当該輸送体が備えた無線通信手段に委ねるものである請求項1に記載の輸送管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−11910(P2006−11910A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189366(P2004−189366)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【出願人】(504249879)商船三井フェリー株式会社 (1)
【出願人】(502326842)東京牛乳運輸株式会社 (1)
【出願人】(391041501)ドコモ・センツウ株式会社 (1)
【出願人】(304020041)ふそうエンジニアリング株式会社 (10)
【Fターム(参考)】