説明

輻射パネル装置

【課題】輻射パネル装置のパネルの揺動を可能とする。
【解決手段】パネル4〜412の下端部に当接させた長尺状の横架材15を用いてパネル4〜412の下端部同士を連結する。これにより、少ない部品点数でパネル4〜412の下端部同士の連結が可能となる。また、横架材15をパネル4〜412の下端部に設けられた凹係合面14bに当接させてこれらを連結ボルト16で連結するだけで、パネル4〜412の下端部同士を連結することができるため、輻射パネル装置1の組立作業の容易化を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射暖房や輻射冷房を行う輻射パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水などの液体状の熱媒体を流通可能な複数のパネルを備える輻射パネル装置が知られている。この種の輻射パネル装置においては、複数のパネルと、別途設置される熱源との間で熱媒体を循環させることで各パネルに輻射能を付与し、そのパネルによる輻射暖房又は輻射冷房によって居室等の空調を行うことが可能となっている。
【0003】
このような輻射パネル装置として、例えば特許文献1には、一対の支柱と、支柱の上端間に架設されるブリッジと、該ブリッジに懸下されると共に並設される16枚のパネルと、を備える構成が開示されている。各パネル内には、熱媒体の循環経路となる配管が設けられており、配管内に熱媒体を循環させることで、各パネルに輻射能が付与される。
【0004】
特許文献1の輻射パネル装置においては、各パネルの下端部のふらつきを防止するために、各パネルの下端部を連結する横架材が設けられている。この横架材は、複数の長尺パネルを下端部で等間隔に連結するために、3つの部材を備えている。
【0005】
具体的には、横架材は、パネルの貫通孔を貫通して一対の支柱間に掛け渡されるボルトと、ボルトと同じく各パネルの貫通孔を貫通して一対の支柱間に掛け渡された状態でボルトの軸部を収容する内管と、内管に外嵌めされた状態で隣接するパネル間にそれぞれ設けられる複数の外管と、を備えている。ボルト及び内管が通される各パネルの貫通孔は、内管の外径と同一又は僅かに大きく形成されており、当該貫通孔には、ボルト及び内管は挿通可能である一方、外管は挿通不可能となっている。即ち、外管によって、隣接するパネル同士の間隔が所定の長さ(外管の長さ)に維持されている。そして、一対の支柱間に掛け渡されるボルトの頭部及びボルトの軸部の先端に螺合されるナットは、支柱の内部に収容されている。これにより、ボルトの頭部及びナットが外部に露出する場合と比べて、装置全体の美観性の向上を図ることができる。
【0006】
このようにパネル同士を連結する横架材を設けることにより、各パネル下端部の前後方向のふらつきを防止することができると共に、外部からの衝突荷重を受けた際に、横架材を通じて衝突荷重を分散させることができるので、パネルの損傷を防止することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−243126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された輻射パネル装置では、パネルを組立てる際に、ボルトの軸部と内管とを同時に1番目のパネルの貫通孔に挿入し、1番目のパネルの貫通孔と2番目のパネルの貫通孔とに外管を宛がいながらボルトの軸部及び内管を外管内に挿入する。これを繰り返すことで全てのパネルが等間隔に連結される。このような横架材は、寸法精度及び固定強度は高いと言えるものの、パネルの組み立て作業に手間と時間がかかってしまう。
【0009】
かかる問題を解決すべく、上述したパネルの横架材に代えて、各パネルの下方に横架材を設け、横架材とパネル底面とを連結することが考えられる。しかしながら、パネルを伝って落下する結露水がパネル底面と横架材との連結部分に滞留することを防止するため、横架材の上部側は凸円弧状等の下り勾配を備えた形状に形成されている必要がある。この場合、横架材とパネル底面との連結状態は、横架材の円弧面とパネル底面の平面とが接触する状態、即ち、パネルの厚さ方向での線接触となる。このような線接触の場合、パネル底面と横架材とを連結する連結部材を設けにくく、また、設けることができたとしても接触面積が少ないために連結力が弱くなってしまう。或いは、連結部材がパネル底面及び横架材から露出することとなって結露水が連結部材に容易に接触してしまうという問題が生じ、更には連結部材が露出することで見栄えが悪いという問題も生じる。
【0010】
そこで本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、複数のパネルを下端部で等間隔に連結するために必要な部品の点数を減らして組立作業の容易化を図ると共に、結露水を良好に処理しつつ十分な支持強度を確保することができる輻射パネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、本発明に係る輻射パネル装置は、一対の支柱と、該一対の支柱に架設されるブリッジと、該ブリッジに懸下される複数の長尺状のパネルと、を備え、複数のパネルに熱源を接続することで複数のパネルに輻射能を付与する輻射パネル装置であって、複数のパネルの並設方向に延在し、該複数のパネルの下端部同士を連結する長尺状の横架材を備え、横架材は、当該横架材の延在方向と直交する方向の断面形状が、上部が凸円弧状の形状、又は、最上部に頂部を有する多角形状に形成され、複数のパネルの下端には、パネルの幅方向に所定幅を有して横架材の上部に接触する凹係合面が設けられ、凹係合面と横架材の上部とに亘って、パネルと横架材とを連結する軸状の連結部材が設けられている、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、長尺状の横架材を用いてパネルの下端部同士を連結することができるので、少ない部品点数でパネルの下端部同士の連結が可能となる。また、横架材をパネルの凹係合面に当接させてこれらを連結部材で連結するだけで、パネルの下端部同士を連結することができるため、輻射パネル装置の組立作業の容易化を図ることが可能となる。
【0013】
また、パネルの凹係合面に横架材の上部を接触させる構成としたので、横架材の上部とパネルの凹係合面とを面接触或いは面接触に近い状態で接触させることが可能となり、連結部材の太さを太くしたとしても、横架材とパネルの凹係合面との間において連結部材の露出が抑制される。このように、太さの太い連結部材を用いることが可能となるため、連結部材によるパネルの支持強度を向上させることができる。また、連結部材の露出が抑制されるので、結露水を連結部材に接触させることなく、パネルから横架材を介して下方側に流下させることができ、結露水の良好な処理が可能となる。また、横架材と凹係合面との接触部分において連結部材が僅かに露出したとしても、露出部分が凹係合面内に位置するために該露出部分が隠された状態となり、輻射パネル装置の見栄えが良い。
【0014】
また、複数のパネルの上端部とブリッジとの間には、複数のパネルをそれぞれ所定の軸心周りに揺動させる揺動機構が設けられており、横架材の上部は凸円弧状に形成され、凹係合面は、横架材の上部の凸円弧状の曲率よりも大きな曲率を有する凹円弧状に形成されて横架材の凸円弧状の上部に接触し、横架材との間に横架材の凸円弧状の上部から離間するに連れて横架材と当該凹係合面との距離が離れる隙間を形成し、連結部材は、揺動機構の軸心上に当該連結部材の軸心が位置するように設けられると共に、パネルと横架材とを当該揺動機構の軸心廻りに揺動可能に連結する、ことが好ましい。
【0015】
この輻射パネル装置では、パネルは上下端部に回転軸を有することとなり、上端部のみに軸部を有する場合よりも、上下一体となってよりスムーズにパネルを揺動させることができる。また、横架材とパネルの凹係合面との間に隙間を設けることによって、パネルを揺動させたときに当該パネルが横架材に干渉することを避けることができ、パネルの揺動が可能となる。
【0016】
また、パネルは、長尺筒状のパネル本体と、当該パネル本体の下端部を覆うキャップとを備え、キャップの下面には、凹係合面が設けられている、ことが好ましい。この輻射パネル装置では、パネルの下端部に大掛かりな加工を伴うことなく、当該下端部をキャップで覆うことで凹係合面をパネルの下端部に形成することができ、製造の作業性を著しく向上させることができる。
【0017】
また、キャップの下面には、凹係合面と、凹係合面の端部に接続されると共に当該キャップの下面を構成する底面部と、が設けられ、底面部は、凹係合面に向けて下り方向に傾斜している、ことが好ましい。この輻射パネル装置では、パネルの下端から滴下する結露水の滴下位置を、凹係合面近傍とすることができる。このように結露水の滴下位置を制御することが可能となり、パネルから滴下した結露水の回収が容易となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のパネルを下端部で等間隔に連結するために必要な部品の点数を減らして組立作業の容易化を図ると共に、結露水を良好に処理しつつ十分な支持強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る輻射パネル装置を設置した状態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る輻射パネル装置の側面図である。
【図3】本実施形態に係る輻射パネル装置の流路部分を模式的に示す斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本実施形態に係る輻射パネル装置をパネルの下方側から見た場合におけるパネルの揺動状態を示す図である。
【図7】本実施形態に係る輻射パネル装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係る輻射パネル装置の実施形態を説明する。なお、説明において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、本明細書において、パネルの幅方向とは、パネルが設置された状態においてパネルの水平方向断面における長手方向(図4における左右方向)とし、パネルの厚さ方向とは、パネルが設置された状態においてパネルの水平方向断面における短手方向(図4における紙面手前側〜紙面奥側方向)とする。
【0021】
図1及び図2に示すように、輻射パネル装置1は、建物の居室の一角に設置されて輻射暖房あるいは輻射冷房を行う輻射装置であり、居室の天井板Rと床板Fとの間で鉛直方向に立設された一対の支柱2A,2Bと、一対の支柱2A,2Bの上端側に架設されるブリッジ3と、ブリッジ3に上端が支持される複数の長尺状のパネル4〜412と、パネル4〜412の下方で床板F上に設けられて結露水を受け止める結露水受け部材20と、各パネル4〜412の下端部を連結する横架材15と、を備えて構成されている。
【0022】
図4に示すように、パネル4には、熱源24(図3参照)から供給される熱媒体を当該パネル4の上端4a側から下端4b側へ向かって通過させる往路5a、及び、パネル4の下端4b側で往路5aに連なって下端4b側から上端4a側へ熱媒体を通過させる復路5bを有する熱媒体流通管5が挿嵌されている。これによって、熱源24での加熱や冷却により所定の温度状態となる熱量を付与された熱媒体は、往路5aを流れた後に復路5bを流れることで、パネル4内を上端4aから下端4bに向かって流動した後、下端4bから上端4aに向かって流動する。パネル4〜412にも、パネル4と同様に、往路5a及び復路5bを有する熱媒体流通管5が挿嵌され、パネル4〜412内を熱媒体が流れている。
【0023】
図3に示すように、各パネル4〜412に挿嵌された複数の熱媒体流通管5は流路Cを形成し、その流路Cは、複数の熱媒体流通管5を一本につなぐ第1〜第4の直列配管系統L1,L2,L3,L4を並列に備える。第1〜第4の直列配管系統L1〜L4における熱媒体の導入側の端部は、これら直列配管系統L1〜L4を束ねる導入側並列連結部25aに接続され、第1〜第4の直列配管系統L1〜L4における熱媒体の導出側の端部は、これら直列配管系統L1〜L4を束ねる導出側並列連結部25bに接続される。即ち、パネル4〜412は4つのグループに分けられ、グループ毎にパネル内に挿嵌された熱媒体流通管5が連結されることで第1〜第4の直列配管系統L1〜L4が形成される。
【0024】
熱源24から第1〜第4の直列配管系統L1〜L4を介してパネル4〜412内に供給された熱媒体は、パネル4〜412内を流れた後に熱源24へ還流することによって回収される。従って、輻射パネル装置1のパネル4〜412は、熱媒体が熱源24とパネル4〜412との間で繰り返し循環することで次第に輻射能が付与され、各パネル4〜412から輻射熱が放射されることにより居室の輻射暖房あるいは輻射冷房を行うことが可能となる。
【0025】
図4に示すように、パネル4は、ボルト(揺動機構)326によってブリッジ3に懸下されている。パネル4は、ボルト326を軸としてブリッジ3に対して揺動可能となっている。同様に、パネル4〜412についても、ボルト326によってブリッジ3に揺動可能に懸下されている。
【0026】
ブリッジ3は、第1サイドフレーム310と、中央フレーム320と、第2サイドフレーム330と、補強部材340とを備えている。第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330は、長尺状を成し、延在方向が互いに同じとなるように配置されている。第1サイドフレーム310と中央フレーム320との間、及び、中央フレーム320と第2サイドフレーム330との間には、それぞれ所定の隙間が設けられ、これらの隙間から、パネル4〜412に挿嵌された熱媒体流通管5の一端と他端とがブリッジ3側に引き出される。ブリッジ3側に引き出された熱媒体流通管5の端部同士を連結することで、第1〜第4の直列配管系統L1〜L4が形成される。
【0027】
補強部材340は、第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330を覆うようにして配置される。第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330は、ボルト341によって補強部材340に固定される。なお、補強部材340は、第1、第2サイドフレーム310,330及び中央フレーム320の延在方向に複数設けられ、複数位置で、第1サイドフレーム310、中央フレーム320、及び第2サイドフレーム330を固定している。
【0028】
パネル4は、パネル本体40と、キャップ14とを備えている。パネル本体40は、熱媒体流通管5を挿嵌可能なように筒状となっている。パネル本体40の下端部には、キャップ14が嵌め込まれている。キャップ14の下面には、凹係合面14bと、凹係合面14bの両端部にそれぞれ接続されると共に当該キャップ14の下面を構成する底面部14a,14cと、が設けられている。底面部14a,14cは、凹係合面14bにおけるパネル4の幅方向(図4の左右方向)の両端部にそれぞれ接続されている。底面部14a,14cは、凹係合面14bに向けて下り方向に傾斜している。凹係合面14bは、パネル4〜412の並設方向に延びる断面凹円弧状の溝の壁面によって構成されている。
【0029】
パネル4〜412のパネル本体の下端部にも、パネル4と同様に、底面部14a,14c及び凹係合面14bを備えたキャップ14がそれぞれ嵌め込まれている。
【0030】
図1に戻り、支柱2A,2Bは、床板Fから天井板Rまで届く長さを有する支柱本体8と、支柱本体8の下端に外嵌して床板Fに締結される柱脚部材9と、を備えており、床板Fに固着された状態で立設している。
【0031】
図2及び図4に示すように、横架材15は、軸状を成し、各パネル4〜412の凹係合面14b内に収容される。横架材15には、当該横架材15が各パネル4〜412の凹係合面14b内に収容された状態において各パネル4〜412と対応する位置に、貫通孔15aがそれぞれ設けられている。横架材15とパネル4〜412とは、各貫通孔15aから差し込まれた連結ボルト(連結部材)16によって揺動可能に連結される。パネル4の下端を横架材15に対して揺動可能に連結する連結ボルト16は、パネル4の上端をブリッジ3に対して揺動可能に連結するボルト326の軸心上に当該連結ボルト16の軸心が位置するように設けられている。同様に、パネル4〜412の下端を横架材15に対して揺動可能に連結する連結ボルト16は、パネル4〜412の上端をブリッジ3に対して揺動可能に連結するボルト326の軸心上に当該連結ボルト16の軸心がそれぞれ位置するように設けられている。なお、連結ボルト16は、ボルトの頭部が皿状に形成されている。これにより、連結ボルト16の頭部が横架材15内に入り込み、横架材15から連結ボルト16の頭部が突出することがない。
【0032】
横架材15は円筒状を成し、その内部に当該横架材15の延在方向に延びる2つのビスホルダ15bが設けられている(図5参照)。横架材15は、アルミニウムやステンレスなどの金属を押出成形することによって形成されている。横架材15の両端部は、一対の支柱本体8におけるパネル4〜412側の面にそれぞれ当接される。横架材15は、支柱本体8の壁面を貫通してビスホルダ15bに向けて差し込まれたビス17によって支柱本体8に固定される。
【0033】
横架材15の形状における円筒の曲率は、キャップ14の凹係合面14bの形状における円弧の曲率よりも大きな曲率を有している。これにより、横架材15の上部と凹係合面14bとが面接触により近い状態、換言すると、横架材15の上部と凹係合面14bとがパネル4〜412の幅方向に少なくとも連結ボルト16の軸の太さと同じかそれよりも太い所定の幅を有して接触するものとなる。即ち、例えば、凹係合面14bではなく平坦な係合面に円筒状の横架材15を当接させた場合には両者は線接触することとなるが、本実施形態のように凹係合面14bに横架材15を当接させることで、凹係合面14bと横架材15との接触は面接触により近いものとなる。また、凹係合面14bと横架材15との間には、凹係合面14bと横架材15との接触部分から離間するに連れて当該凹係合面14bと当該横架材15との距離が離れる隙間18が形成される。
【0034】
次に、横架材15によって連結されたパネル4〜412の揺動状態について説明する。図6(a)〜図6(c)に示すように、横架材15の周囲には隙間18が設けられているため、パネル4〜412を揺動させた場合であっても、キャップ14と横架材15とが干渉することなく、隙間18の範囲内でパネル4〜412の揺動が可能となる。凹係合面14bと横架材15との間の隙間18の間隔が広くなるほど、パネル4〜412の揺動範囲も広くなる。反対に、凹係合面14bと横架材15との間の隙間18の間隔が狭い場合には、パネル4〜412の揺動範囲も狭くなる。
【0035】
本実施形態は以上のように構成され、長尺状の横架材15を用いてパネル4〜412の下端部同士を連結することができるので、少ない部品点数でパネル4〜412の下端部同士の連結が可能となる。また、横架材15をパネル4〜412の下端部に設けられた凹係合面14bに当接させてこれらを連結ボルト16で連結するだけで、パネル4〜412の下端部同士を連結することができるため、輻射パネル装置1の組立作業の容易化を図ることが可能となる。
【0036】
また、横架材15の上部とパネル4〜412の凹係合面14bとを面接触により近い状態で接触させる構成としたので、連結ボルト16の太さを太くしたとしても、横架材15とパネル4〜412の凹係合面14bとの間において連結ボルト16の露出が抑制される。このように、太さの太い連結ボルト16を用いることが可能となるため、連結ボルト16によるパネル4〜412の支持強度を向上させることができる。また、連結ボルト16の露出が抑制されるので、結露水を連結ボルト16に接触させることなく、パネル4〜412から横架材15を介して下方側に流下させることができ、結露水の良好な処理が可能となる。また、横架材15と凹係合面14bとの接触部分において連結ボルト16が僅かに露出したとしても、露出部分が凹係合面14b内に位置するために該露出部分が隠された状態となり、輻射パネル装置1の見栄えが良い。
【0037】
また、この輻射パネル装置1では、パネル4〜412の上端がボルト326によってブリッジ3に揺動可能に連結され、更に、パネル4〜412の下端が連結ボルト16によって揺動可能に連結される。これにより、パネル4〜412は上下端部に回転軸を有することとなり、上端部のみに軸部を有する場合よりも、上下一体となってよりスムーズにパネル4〜412を揺動させることができる。また、横架材15とパネル4〜412の凹係合面14bとの間に隙間18を設けることによって、パネル4〜412を揺動させたときに当該パネル4〜412が横架材15に干渉することを避けることができ、パネル4〜412の揺動が可能となる。
【0038】
また、この輻射パネル装置1では、パネル4〜412の下端部に大掛かりな加工を伴うことなく、当該下端部をキャップ14で覆うことで凹係合面14bをパネル4〜412の下端部に形成することができ、パネル4〜412の製造の作業性を著しく向上させることができる。
【0039】
また、この輻射パネル装置1では、キャップ14の底面部14a,14cが凹係合面14bに向かって下り方向に傾斜している。これにより、パネル4〜412の下端から滴下する結露水の滴下位置を、凹係合面14b近傍とすることができる。このように結露水の滴下位置の制御が可能となることで、パネル4〜412から滴下した結露水の回収が容易となる。キャップ14の底面部14a,14cにおいて、高さ方向の位置が最も低い部分である横架材15の周辺部分から結露水が落下する、即ち、キャップ14の底面においてパネル4〜412の幅方向中央部から結露水が落下する。このように、パネル4〜412の幅方向中央部から結露水を落下させることで、輻射パネル装置1外への結露水の飛散を抑制することができる。
【0040】
なお、上記実施形態において、キャップ14の底面部14a,14cに孔を設け、パネル4〜412内からキャップ14内に入り込んだ結露水をキャップ14の底面部14a,14cに設けた孔から下方に排出する構成を作用してもよい。
【0041】
また、上記実施形態における輻射パネル装置1では、パネル4〜412を揺動させる構成としたが、パネル4〜412を揺動させない構成としてもよい。パネル4〜412を揺動させない場合には、図7に示すように、パネル4〜412の下端に取り付けられたキャップ14Aの凹係合面14dと、横架材15と、の間に隙間を設けずに両者を面接触させる構成とすることもできる。これにより、横架材15とパネル4〜412とをより確実に連結することができ、更に、連結ボルト16の露出を回避することができる。この場合であっても、上記実施形態と同様に、少ない部品点数でパネル4〜412の下端部同士の連結が可能となり、輻射パネル装置1の組立作業の容易化を図ることができ、更に、結露水の良好な処理が可能となる。
【0042】
また、パネル4〜412の下端から滴下される結露水の滴下位置の制御が不要である場合には、キャップ14の底面部14a,14cを凹係合面14bに向けて下り方向に傾斜させる構成を採用しなくてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、横架材15の形状を円筒状として説明したが、円筒状に限られるものではない。例えば、横架材15の形状として、凹係合面14bと接触する側である上部の断面形状(横架材15の延在方向と直交する方向の断面形状)が、凸円弧状であれば、凹係合面14bと接触する側に対して反対側である下部の形状は凸円弧状以外の形状であってもよい。また、凸円弧状に限らず、横架材15の形状として、凹係合面14bと接触する側の最上部に頂部を有する多角形状であってもよい。これらの形状の横架材15を用いた場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
上述した実施形態は本発明に係る輻射パネル装置の一例を説明したものであり、本発明に係る輻射パネル装置は実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る輻射パネル装置は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る輻射パネル装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。例えば、直列配管系統を形成するパネルの枚数は2枚、4枚または5枚以上としてもよい。
【0045】
また、輻射パネル装置1を設置する建物として、戸建住宅や集合住宅に限らず、事務所ビルや公共建物であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…輻射パネル装置、3…ブリッジ、4〜412…パネル、8…支柱本体、14,14A…キャップ、14a,14c…底面部、14b,14d…凹係合面、15…横架材、16…連結ボルト(連結部材)、18…隙間、24…熱源、40…パネル本体、326…ボルト(揺動機構)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の支柱と、該一対の支柱に架設されるブリッジと、該ブリッジに懸下される複数の長尺状のパネルと、を備え、前記複数のパネルに熱源を接続することで前記複数のパネルに輻射能を付与する輻射パネル装置であって、
前記複数のパネルの並設方向に延在し、該複数のパネルの下端部同士を連結する長尺状の横架材を備え、
前記横架材は、当該横架材の延在方向と直交する方向の断面形状が、上部が凸円弧状の形状、又は、最上部に頂部を有する多角形状に形成され、
前記複数のパネルの下端には、前記パネルの幅方向に所定幅を有して前記横架材の上部に接触する凹係合面が設けられ、
前記横架材の上部と前記凹係合面とに亘って、前記横架材と前記パネルとを連結する軸状の連結部材が設けられている、
ことを特徴とする輻射パネル装置。
【請求項2】
前記複数のパネルの上端部と前記ブリッジとの間には、前記複数のパネルをそれぞれ所定の軸心周りに揺動させる揺動機構が設けられており、
前記横架材の上部は前記凸円弧状に形成され、
前記凹係合面は、前記横架材の上部の凸円弧状の曲率よりも大きな曲率を有する凹円弧状に形成されて前記横架材の凸円弧状の上部に接触し、前記横架材との間に前記横架材の凸円弧状の上部から離間するに連れて前記横架材と当該凹係合面との距離が離れる隙間を形成し、
前記連結部材は、前記揺動機構の軸心上に当該連結部材の軸心が位置するように設けられると共に、前記パネルと前記横架材とを当該揺動機構の軸心廻りに揺動可能に連結する、
ことを特徴とする請求項1に記載の輻射パネル装置。
【請求項3】
前記パネルは、長尺筒状のパネル本体と、当該パネル本体の下端部を覆うキャップとを備え、
前記キャップの下面には、前記凹係合面が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の輻射パネル装置。
【請求項4】
前記キャップの下面には、前記凹係合面と、前記凹係合面の端部に接続されると共に当該キャップの下面を構成する底面部と、が設けられ、
前記底面部は、前記凹係合面に向けて下り方向に傾斜している、
ことを特徴とする請求項3に記載の輻射パネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−36654(P2013−36654A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172064(P2011−172064)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】