説明

農作業機用電動制御装置

【課題】農作業機用電動制御装置を有する農作業機をトラクタに装着した状態で長期に保管等する場合でも、バッテリーの過放電等の不都合な問題が起こらないようにする。
【解決手段】電動作動部20を制御する農作業機2側に設けた制御ユニット3と、制御ユニット3を作業者が動作指示するトラクタ側に設けた操作部4とを有する電動制御装置であり、農作業機2側に設けた制御ユニット3には、制御ユニット3へのトラクタ1側の電源からの導通を遮断または連結させる切換スイッチ32が設けられていることを特徴とした農作業機用電動制御装置を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに装着されて使用され、トラクタ側からの電源により作動する電動作動部を有する農作業機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の農作業機用電動制御装置の従来技術として特許第3978667号公報(従来技術1)が開示されている。
【0003】
特許第3978667号公報(従来技術1)には、「トラクタに装着される肥料散布機と、この肥料散布機に設けた肥料散布量を調節するためのシャッタ開度設定装置と、このシャッタ開度設定装置に連結したコントロールボックスを前記トラクタ運転席近傍に配置し、このコントロールボックスにシャッタ開度設定ダイヤルを設けてシャッタ開度を調整可能とした肥料散布機において、前記シャッタ開度設定ダイヤルとは独立してシャッタ開閉を行うシャッタ開閉スイッチを前記コントロールボックスに設け、該シャッタ開閉スイッチをON又はOFFすることでシャッタ開度設定ダイヤルの設定値に係らずシャッタを全閉又はシャッタ開度設定ダイヤルで設定した開度位置まで開くことが可能で、シャッタの開閉状態を確認する為の開度設定確認表示部を設け、該開度設定確認表示部は、シャッタが全閉状態で点灯するシャッタ全閉ランプと設定開度位置まで開くと点灯するシャッタ開度確認ランプであることを特徴とした肥料散布機。」に関する記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3978667号公報(従来技術1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術1に開示される「肥料散布機」は、農作業機である肥料散布機側に設けた制御ユニットであるシャッタ開度制御装置8をトラクタ座席運転者近傍に配置された操作部であるコントロールボックス81からの電気信号指示により操作し、電動作動部である電動モータMを作動させてシャッタ6を開閉するものである。コントロールボックス81にはメインスイッチ81aが設けられていて、ONとすることでコントロールボックス81に設けた各操作スイッチの操作が可能となり、OFFとすることで操作ができない状態となる。しかし、メインスイッチ81aがOFFの状態でも電源であるトラクタのバッテリーからの電流は常に農作業機側のシャッタ開度制御装置8のCPU84部に流れている状態となっていて、作業を行わないで長時間放置しているとバッテリーが過放電状態となる問題があった。
【0006】
このため本発明の目的は、農作業機用電動制御装置を有する農作業機をトラクタに装着した状態で長期に保管等する場合でも、バッテリーの過放電等の不都合な問題が起こらないように解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、トラクタに装着されて使用され、トラクタ側からの電源により作動する電動作動部を有する農作業機において、前記電動作動部を制御する農作業機側に設けた制御ユニットと、該制御ユニットを作業者が動作指示するトラクタ側に設けた操作部とを有する電動制御装置であり、前記農作業機側に設けた制御ユニットには、該制御ユニットへのトラクタ側の電源からの導通を遮断または連結させる切換スイッチが設けられていることを特徴とした農作業機用電動制御装置を提案する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、農作業機側に設けた制御ユニットには、制御ユニットへのトラクタ側の電源からの導通を遮断または連結させる切換スイッチが設けられていることにより、トラクタに装着した状態で長期に保管等する場合でも、前記切替スイッチをOFFとすることで容易にトラクタのバッテリーからのCPU等の制御ユニットへの電流を遮断することができるため、バッテリーの過放電等のトラブルを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来の農作業機用電動制御装置の配線図
【図2】本発明を実施した農作業機用電動制御装置の配線図
【図3】本発明を実施した農作業機をトラクタに装着した状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を以下の図面に基づいて説明する。図1は従来の農作業機用電動制御装置の配線図、図2は本発明を実施した農作業機用電動制御装置の配線図、図3は本発明を実施した農作業機をトラクタに装着した状態の説明図を示したものである。
【0011】
図3において本発明の実施例を説明すると、1はトラクタで、この後方に設けられた農作業機装着部に、本例においては肥料散布機である農作業機2が装着されている。農作業機前方部には、切替スイッチ32が設けられた制御ユニット3が配設され、その下方には電動作動部20が設けてあり、この電動作動部20を作動させることにより、農作業機2である肥料散布機の散布量を調節するシャッタの開閉を行う。また、トラクタ1の座席近傍には、操作部4が設けてあり、トラクタ1の運転者が操作部4を操作して農作業機2側の制御ユニット3に信号を送り電動作動部20を作動させる。各操作部4や制御ユニット3へはトラクタ1のバッテリー10からハーネス40によりそれぞれ接続されて電気が供給されている。
【0012】
操作部4と制御ユニット3との間は通信ケーブル42で連結され信号を送信しているが、無線により信号のやり取りを行っても良い。また、本例においては農作業機2を肥料散布機である場合を例にしているが、これには限定されず電動作動部を有する農作業機であれば同じく本発明を適用できる。
【0013】
本例の農作業機2である肥料散布機は、前方部にトラクタ1に装着する為の装着部21を有し、この装着部21に支えられたフレーム22に、上方が開放されていて肥料が投入されるホッパ23が設けられ、ホッパ23下方底部には、水平方向にスライドすることで重合する孔の大きさを調節して肥料の落下量を調節するシャッタ部25が設けてあり、さらに、その下方にトラクタ1からの動力で水平回転する散布用円板を設け前記落下した肥料を拡散散布するように構成された散布部24が設けられている。
【0014】
制御ユニット3はフレーム22前方上方部に設けられ、その下方部に電動作動部20が配置されていてシャッタ部25のシャッタを開閉作動させる。
【0015】
図1は、従来の農作業機用電動制御装置の配線図を示したもので、トラクタ側に設けられる操作部4´及び農作業機側に設けられる制御ユニット3´には、トラクタのバッテリー10´が導通されていて、操作部4´の操作指示により制御ユニット3´のCPU30´を有する制御部がリレー31´を開閉し、これに連結された電動作動部20´であるモータが作動して、シャッタ部のシャッタが開閉される。
【0016】
トラクタ側のバッテリー10´と農作業機側の制御ユニット3´間は、常にハーネス40´により連結され電流が導通した状態となっているため、農作業機をトラクタに装着した状態で長期に保管等する場合は、バッテリー10´からの放電が進行してバッテリー10´が使用不能となる場合がある。
【0017】
また、トラクタ側のバッテリー10´と農作業機側の制御ユニット3´間を連結するハーネス40´には、農作業機を取り外すときのために中間部にトラクタ側と農作業機側とに分割可能に図1に示すようにカプラ41´が設けられている場合もあるが、この場合従来、農作業機2をトラクタに装着した状態で長期に保管等する場合は、カプラ41´を外し、バッテリー10´からの電源を遮断してバッテリー10´からの放電を防止している場合もあった。しかし、取り外し場所が一定の場所に設定されているわけでもなく、取り外しも容易ではないため一般的ではない。
【0018】
トラクタ側に設けられる操作部4´と作業機側の制御ユニット3´との通信は通信ケーブル42´または無線による通信により行われる。
【0019】
図2は、本発明を実施した農作業機用電動制御装置の配線図であり、トラクタ1側に設けられる操作部4及び農作業機側に設けられる制御ユニット3には、トラクタ1のバッテリー10が導通されていて、操作部4の操作指示により制御ユニット3のCPU30を有する制御部がリレー31を開閉し、これに連結された電動作動部20であるモータが作動して、シャッタ部25のシャッタが開閉される。
【0020】
制御ユニット3は、バッテリー10からの電源を制御部であるCPU30部に直接入力させずに切替スイッチ32を介して入力するように構成されている。この切替スイッチ32をOFFとすることで制御部であるCPU30部へのバッテリー10からの導通を遮断することができる。切替スイッチ32の操作部は制御ユニット3の外側の操作しやすい位置に設けると良い。また、制御ユニット3から切替スイッチ32自体を分離して設けても良い。
【0021】
トラクタ側のバッテリー10と農作業機2側の制御ユニット3間は、常にハーネス40により連結され電流が導通した状態となっているが、切替スイッチ32が設けられ導通を遮断することが容易に可能となっているため、農作業機2をトラクタ1に装着した状態で長期に保管等する場合であっても、切替スイッチ32をOFFとすることでバッテリー10からの放電が進行することもなく、バッテリー10が使用不能となることを防止することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 トラクタ
10,10´ バッテリー
2 農作業機
20,20´ 電動作動部(モータ)
21 装着部
22 フレーム
23 ホッパ
24 散布部
25 シャッタ部
3,3´ 制御ユニット
30,30´ CPU
31,31´ リレー
32 切替スイッチ
4,4´ 操作部
40,40´ ハーネス
41,41´ カプラ
42,42´ 通信ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着されて使用され、トラクタ側からの電源により作動する電動作動部を有する農作業機において、前記電動作動部を制御する農作業機側に設けた制御ユニットと、該制御ユニットを作業者が動作指示するトラクタ側に設けた操作部とを有する電動制御装置であり、
前記農作業機側に設けた制御ユニットには、該制御ユニットへのトラクタ側の電源からの導通を遮断または連結させる切換スイッチが設けられていることを特徴とした農作業機用電動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−67162(P2011−67162A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222460(P2009−222460)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】