説明

農作業機

【課題】付着土の落し作業を容易に行うことができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、耕耘体3と、この耕耘体3を覆う耕耘部カバー体5とを備える。耕耘部カバー体5には、付着土落し手段10を設ける。付着土落し手段10は、作業者が操作する操作体41と、この操作体41の動きに連動して可動する可動体46とを有する。操作体41の操作時に可動体46が操作体41の動きに連動して可動し、この可動により付着土が落ちる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着土の落し作業を容易に行うことができる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたロータリ耕耘装置である農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、トラクタ等の走行車の後部に連結される機体と、この機体に回転可能に設けられ回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の上方部を覆う耕耘部カバー体と、耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備えている。
【0004】
そして、耕耘部カバー体(メインカバー)の内面および整地体(リヤカバー)の内面の少なくともいずれか一方の内面には、ポリプロピレン等からなる硬質で熱可塑性樹脂を用いて成形された土付着防止板が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−267164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の農作業機では、確かに樹脂製の土付着防止板を取り付けない場合に比べて土が付着しにくいが、例えば土中の小石との衝突で土付着防止板の表面に多くの傷が付くと、その土付着防止板の表面には泥土等の土が付着してしまう場合がある。
【0007】
そして、このような場合には、耕耘整地作業の終了後に、作業者が自分の手やブラシ等を用いて付着土を土付着防止板の表面から掻き落さなければならず、付着土の落し作業に手間取るおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、付着土の落し作業を容易に行うことができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の農作業機は、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体を覆う覆い体と、この覆い体に設けられた付着土落し手段とを備え、前記付着土落し手段は、前記覆い体に対して動く操作体と、前記覆い体の前記耕耘体側の面の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記操作体の動きに連動して可動する可動体とを有し、前記操作体の操作時に前記可動体が前記操作体の動きに連動して可動するものである。
【0010】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、可動体は、それぞれ個別に可動する複数の可動板部を有し、前記各可動板部ごとに操作体が設けられているものである。
【0011】
請求項3記載の農作業機は、請求項2記載の農作業機において、可動体の各可動板部は、弾性変形可能な弾性板にて構成されているものである。
【0012】
請求項4記載の農作業機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機において、付着土落し手段は、操作体を非操作位置に戻す付勢体を有するものである。
【0013】
請求項5記載の農作業機は、請求項4記載の農作業機において、操作体は、操作板部およびこの操作板部に設けられた軸部を有し、付勢体は、軸部の外周側に配設されたコイルばねであるものである。
【0014】
請求項6記載の農作業機は、請求項1ないし5のいずれか一記載の農作業機において、覆い体は、耕耘体の上方部を覆う耕耘部カバー体であるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、付着土落し手段の操作体の操作時に可動体が操作体の動きに連動して可動する構成であるため、付着土の落し作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の側面図である。
【図2】同上農作業機の平面図である。
【図3】同上農作業機の要部側面図である。
【図4】同上農作業機の操作部分の側面図である。
【図5】同上農作業機の操作体の操作に基づいて付着土が落ちる際のイメージ図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の操作部分の側面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の操作部分の側面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の操作部分の側面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の可動体の平面図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係る農作業機を示す図で、(a)が可動体の平面図、(b)および(c)が要部側面図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態に係る農作業機を示す図で、(a)が可動体の平面図、(b)および(c)が要部側面図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態に係る農作業機の可動体の平面図である。
【図13】本発明の第9の実施の形態に係る農作業機の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図5を参照して説明する。
【0018】
図1および図2において、1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結されて使用される耕耘整地作業機(ロータリー)である。つまり、農作業機1は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの走行により進行方向である前方(図1上、左方向)に向かって圃場上を移動しながら耕耘整地作業等をするものである。
【0019】
農作業機1は、図示しないトラクタの後部の3点リンク部(農作業機昇降装置)に脱着可能に連結された機体2と、この機体2に回転可能に設けられトラクタ側から動力を受けて所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体3とを備えている。
【0020】
また、農作業機1は、機体2に固設され耕耘体3の上方部を覆う板状の覆い体である耕耘部カバー体(メインカバー)5と、この耕耘部カバー体5の後端部に左右方向の軸(回動支点)7を中心として上下方向に回動可能に設けられ耕耘体3の後方部を覆う板状の整地体(リヤカバー)6とを備えている。この整地体(均平板)6は、耕耘体3の後方で整地作業を行うものである。
【0021】
さらに、農作業機1は、耕耘部カバー体5に設けられた付着土落し手段10を備えている。この付着土落し手段10は、耕耘部カバー体5の耕耘体3側の面である下面(内面)に付着した泥土等の土である付着土を落すためのものである。
【0022】
ここで、機体2は、図1および図2に示されるように、左右方向長手状で円筒状のフレーム部であるフレームパイプ部11を有している。フレームパイプ部11の左右方向中央部にはギアボックス部12が設けられ、このギアボックス部12から入力軸13が前方に向かって突出している。入力軸13は、トラクタのPTO軸(図示せず)に、ユニバーサルジョイントおよび伝動シャフト等にて構成された伝動手段(図示せず)を介して接続されている。
【0023】
フレームパイプ部11の長手方向一端部である左端部には、上下方向長手状でかつ箱状の耕耘体支持部であるチェーンケース部(サイド伝動ケース部)16の上部が固定的に取り付けられている。フレームパイプ部11の長手方向他端部である右端部には、上下方向長手状でかつ板状の耕耘体支持部であるブラケット部(サイドフレーム部)17の上部が固定的に取り付けられている。そして、互いに離間対向する左右のチェーンケース部16およびブラケット部17間には耕耘体3が回転可能に架設されている。つまり、所定距離を介して互いに離間対向する左右1対の耕耘体支持部16,17にて、左右方向長手状の耕耘体3が回転可能に支持されている。なお、チェーンケース部16の後端部およびブラケット部17の後端部には、耕耘体3の側方部を覆う板状のサイドカバー体(側板)20がそれぞれ固設されている(図1参照)。
【0024】
耕耘体3は、図1に示されるように、左側のチェーンケース部16の下部と右側のブラケット部17の下部とにて回転可能に支持された左右方向の耕耘軸である回転軸21を有している。つまり、耕耘体3は機体2に回転可能に設けられた左右方向に細長い円筒状の回転軸21を有し、この回転軸21の軸方向一端部である左端部がチェーンケース部16の下部にてベアリングを介して回転可能に支持され、この回転軸21の軸方向他端部である右端部がブラケット部17の下部にてベアリングを介して回転可能に支持されている。そして、回転軸21は、入力軸13に接続された動力伝達手段(図示せず)から動力を受けて左右方向の回転中心軸線aを中心として所定方向に駆動回転する。なお、動力伝達手段は、例えばギアボックス部12内のギア、フレームパイプ部11内の伝動シャフト、チェーンケース部16内のスプロケットおよびチェーン等にて構成されている。
【0025】
また、回転軸21の外周面における左右方向に等間隔をおいた複数箇所には、フランジ(図示せず)が溶接等により固設されている。そして、各フランジには、回転軸21とともに回転しながら耕耘作業をする耕耘爪22が脱着可能に取り付けられている。
【0026】
耕耘部カバー体5は、図1ないし図5に示されるように、耕耘体3の上方に位置して耕耘体3の上方部を覆う板状の板部であるカバー板部23を有している。カバー板部23は、上方に向かって凸の湾曲板状に形成され、平面視で左右方向に細長い矩形状をなすものである。カバー板部23は、2重板部分24を前端部に有している。2重板部分24は、上板25と、下板26と、これら上板26および下板26間の空間部27とにて構成されている。また、上板25の上面における左右方向に等間隔をおいた複数箇所(例えば8箇所)には、円筒状のガイド体28が固設されている。上板25にはガイド体28の内部空間と対向する孔部29が複数形成され、下板26には上板25の孔部29と対向する孔部30が複数形成されている。
【0027】
カバー板部23の左右方向両端部には側板部31がそれぞれ固設され、左側の側板部31がチェーンケース部16の内面に固定的に取り付けられ、右側の側板部31がブラケット部17の内面に固定的に取り付けられている。
【0028】
整地体6は、図1および図2に示されるように、耕耘体3の後方に位置して耕耘体3の後方部を覆うとともに耕耘体3の後方で整地作業をする板状の板部である整地板部33を有している。整地板部33の上端部は、耕耘部カバー体5のカバー板部23の後端部にヒンジ34を介して軸7を中心として回動可能に取り付けられている。整地板部33の左右方向両端部には側板部35がそれぞれ固設されている。なお、整地体6の左右方向両端部には、折畳可能な延長整地体36が回動可能に設けられている。
【0029】
付着土落し手段10は、図1ないし図5に示されるように、耕耘部カバー体5のカバー板部23に対してガイド体28にて案内されつつ非操作位置(上位置)および操作位置(下位置)間で上下動する複数(例えば8つ)の操作体41を有している。各操作体41は、付着土の落し作業の際に作業者によって手で下方へ押し操作されるものである。なお、複数の操作体41は、それぞれ個別に押し操作可能となっている。また、ガイド体28は、操作体41の動作時(上下動時)に軸部43を案内する。
【0030】
操作体41は、作業者によって押し操作される円板状の操作板部42と、この操作板部42の中央部下面に一体に固設されこの中央部下面から下方に向かって突出する丸軸状の軸部43とを有している。軸部43は、ガイド体28の内部空間およびカバー板部23の2重板部分24の上下板25,26の孔部29,30に挿通されている。軸部43の下端部はカバー板部23の下面よりも下方に位置し、この軸部43の下端部には抜止用ピン44が取り付けられ、この抜止用ピン44と下板26の下面との当接によって操作体41がカバー板部23から抜けないようになっている。そして、操作体41の耕耘部カバー体5に対する上下動時には、軸部43の外周面がガイド体28の内周面に沿ってスライドする。
【0031】
また、操作体41の軸部43の外周側には、操作体41を上方に向けて直接付勢して非操作位置に戻す弾性変形可能な円筒状の付勢体であるコイルばね(圧縮ばね)45が配設されている。コイルばね45は操作体41の操作板部42の下面とガイド体28の上面との間に位置し、コイルばね45の上端部が操作板部42の下面に当接し、コイルばね45の下端部がガイド体28の上面に当接している。作業者は、コイルばね45の付勢力に抗して操作体41を押し操作し、押し操作を解除すると操作体41がコイルばね45の付勢力によって非操作位置まで上動する。
【0032】
さらに、耕耘部カバー体5のカバー板部23の下面には、操作体41の上下動(動き)に連動して可動、すなわち例えば一部である先端側(例えば前端側)が上下動する板状の可動体46が耕耘部カバー体5の下面の一部(例えば略半部)のみを覆うように可動可能に設けられている。
【0033】
可動体46は、例えば弾性変形可能なバネ鋼等の1枚状の板部材のみで構成されている。可動体46は、カバー板部23と略同じ長さの左右方向長手状で矩形状の取付板部47を有している。取付板部47は、取付具であるボルト48およびナット49にて、カバー板部23の後端部下面にこの下面に沿って固定的に取り付けられている。なお、ボルト48およびナット49を用いず、取付板部47をカバー板部23の下面に溶接等にて固着してもよい。
【0034】
また、可動体46は、取付板部47の前端部における左右方向に等間隔をおいた複数箇所(例えば8箇所)から前方に向かって一体に突出する前後方向長手状で矩形状の可動板部51を有している。つまり、可動体46は、カバー板部23に対してそれぞれ個別に可動(上下動)する弾性変形可能な複数(例えば8つ)の分割板である可動板部51を有し、この各可動板部51ごとに、対応する可動板部51を可動させるための操作体41が設けられている。すなわち例えば可動板部51は、対応する操作体41の上下動に連動して、カバー板部23に対して待機位置(上位置)および作用位置(下位置)間で上下動する。なお、可動板部51は、カバー板部23の下面の一部を覆うもので、カバー板部23の下面に対して接離可能となっている。また、可動板部51は、操作体41に追従するように可動する弾性変形可能な弾性板にて構成されている。なお、これら複数の可動板部51は、平面視で互いに等間隔をおいて左右方向に並んで位置している。
【0035】
可動板部51は、カバー板部23と同様、上方に向かって凸の湾曲板状に形成され、平面視で前後方向に細長い矩形状をなすものである。左右に隣り合う可動板部51間には可動板部51と略同じ幅の隙間50があり、この隙間50の部分においては、カバー板部23の下面が露出している。また、可動板部51は、前端部上面に当接受面52を有し、この当接受面52に操作体41の軸部43の下面が当接している。可動板部51の自由端である前端51aはカバー板部23の前端部下面の下方に位置するが、前端51aとカバー板部23の前端部下面との離間距離Aは、操作体41の押し操作に基づく可動板部51の下動によって増大する(図4参照)。なお、これら操作体41、コイルばね45および可動体46等にて付着土落し手段10が構成されている。
【0036】
次に、上記農作業機1の作用等を説明する。
【0037】
トラクタの走行により農作業機1全体を前方に移動させると、耕耘体3が所定方向に回転しながら耕耘作業をし、この耕耘体3の後方で整地体6が整地作業をする。つまり、耕耘体3の耕耘爪22にて耕耘作業が行われ、整地体6の整地板部33等にて整地作業が行われる。
【0038】
この耕耘整地作業時において、回転する耕耘体3にて耕耘砕土されて飛ばされる泥土等の土は、その耕耘体3を覆う耕耘部カバー体5、整地体6および左右のサイドカバー体20と接触するため、農作業機1の周囲には飛散しない。
【0039】
ここで、例えば図5(a)に示すように、圃場の土質等によっては、耕耘体3からの土が、耕耘部カバー体5の下面および可動体46の下面等に、固まった付着土となって付着する場合がある。
【0040】
そして、このような場合には、耕耘整地作業の終了後に、作業者は、例えば手で操作体41をこの操作体41と耕耘部カバー体5との間に位置したコイルばね45が圧縮弾性変形するように下方へ押し操作(押動操作)する。
【0041】
すると、図5(b)に示すように、操作体41がコイルばね45の付勢力に抗して非操作位置から操作位置まで耕耘部カバー体5に対して下動し、この操作体41の下動に連動して可動体46の可動板部51が待機位置から作用位置(土落し位置)まで耕耘部カバー体5に対して下動し、その結果、可動板部51が付着土を押し崩すため、耕耘部カバー体5の下面および可動体46の下面等に付着していた付着土がその付着面から剥離除去されて落ちる。
【0042】
このとき、可動体46の可動板部51は、操作体41の軸部43の下端面によって下方へ押されることにより、取付板部47側である後端側を中心として下方へ回動するように操作体41の下動に応じて曲げ弾性変形する。この可動板部51の曲げ弾性変形により、可動板部51の一部が耕耘部カバー体5の下面から離れ、可動板部51の前端51aが耕耘部カバー体5の下面から離れる方向へ移動し、可動板部51の前端51aと耕耘部カバー体5の下面との離間距離Aが増大する(図4参照)。
【0043】
そして、作業者が手を操作板部42の上面(被押圧面である被叩き面)から離して操作体41の押し操作を解除すると、操作体41がコイルばね45の付勢力(弾性復元力)によって操作位置から非操作位置まで耕耘部カバー体5に対して上動し、この操作体41の上動に連動して可動体46の可動板部51がこの可動板部51の弾性復元力によって作用位置から待機位置まで上動して、もとの状態に戻る。
【0044】
なお、この付着土の落し作業(付着土除去作業)の際に、作業者は、複数の操作体41をそれぞれ少なくとも1回ずつ操作するが、付着土除去が不十分な場合には、同一の操作体41の操作板部42の上面を繰り返し叩くように複数回操作してもよい。もっとも、付着土が耕耘部カバー体5の下面全体にわたって位置せず、耕耘部カバー体5の下面一部のみに位置する場合には、作業者は、付着土が位置する部分に対応する操作体41のみを操作すればよい。
【0045】
そして、このような農作業機1によれば、付着土落し手段10の操作体(下カバー押し下げ部材)41の押し操作時に可動体(下カバー)46が操作体41の動きに連動して可動(例えば下動)し、この可動体46の可動により少なくとも耕耘部カバー体5の下面および可動体46の下面に付着していた付着土が落ちる構成であるため、操作体41の押し操作のみによって付着土を落すことが可能であり、よって、泥土等の土が耕耘部カバー体5の下面等に付着しても、その付着土の落し作業を容易に行うことができる。
【0046】
特に、作業者が操作体41を繰り返し叩くように複数回操作した場合には、可動板部51が上下振動するため、付着土を効果的に落すことができ、また、作業者が操作体41を強く叩くことで可動板部51に衝撃を加えることができ、付着土をより効果的に除去できる。
【0047】
また、可動体46はそれぞれ個別に可動する複数の可動板部51を有し、この各可動板部51ごとに操作体41が設けられているため、付着土の落し作業を容易かつ適切に行うことができる。
【0048】
さらに、付着土落し手段10は操作体41を操作位置から非操作位置に戻すコイルばね45を有し、操作解除により操作体41がコイルばね45の付勢力で非操作位置に戻るため、付着土の落し作業をより容易に行うことができる。
【0049】
また、操作体41は操作板部42およびこの操作板部42に設けられた軸部43を有し、この軸部43の外周側に操作体41を付勢するコイルばね45が配設されているため、簡単な構成であるにも拘らず、付着土の落し作業をより容易に行うことができる。
【0050】
さらに、可動体46の可動板部51は弾性変形可能な弾性板にて構成され、可動板部51がこの可動板部51の弾性復元力で待機位置に戻るため、付着土の落し作業をより容易に行うことができる。
【0051】
また、可動板部51の前後方向長さ寸法が長くても、例えば操作体41を複数回操作して可動板部51を上下振動させることによって、付着土を効果的に落すことができる。
【0052】
図6には、第2の実施の形態に係る農作業機1の例が示されている。
【0053】
この例では、操作体41の軸部43は、カバー板部23の孔部61、上挟持板62の孔部63、可動板部51の孔部64および下挟持板65の孔部66に挿通されている。上挟持板62は、ピン67によって軸部43に固着されている。下挟持板65は、ピン68によって軸部43に固着されている。そして、上挟持板62および下挟持板65にて可動板部51の前端部が挟持され、操作体41の軸部43の下端部が可動板部51の前端部に連結固定されている。なお、ピン67,68を用いずに、挟持板62,65を軸部43に溶接等で固着してもよい。
【0054】
そして、この図6の例では、操作体41の下端部が可動板部51に連結固定され、この可動板部51がコイルばね45によって上方に付勢されているため、可動板部51に土が付着しても、その付着土の重さで可動板部51が垂れ下がるようなことがない。
【0055】
図7には、第3の実施の形態に係る農作業機1の例が示されている。
【0056】
この例では、操作体41の軸部43は、操作体41の動作時に軸部43を案内する円筒状のガイド体である上部材71の孔部72にスライド可能に挿通されている。上部材71はカバー板部23の孔部73に挿入固着され、この上部材71の下部外周には円形環状の下部材74が溶接等で固着されている。そして、軸部43の下端部には抜止用ピン75が取り付けられ、この抜止用ピン75と上部材71の下面との当接によって操作体41がカバー板部23から抜けないようになっている。なお、上部材71の下部外周に下部材74を螺着するようにしてもよい。
【0057】
図8には、第4の実施の形態に係る農作業機1の例が示されている。
【0058】
この例では、操作体41の軸部43は、操作体41の動作時に軸部43を案内するガイド体であるコ字枠部材76の孔部77およびカバー板部23の孔部78にスライド可能に挿通されている。コ字枠部材76は、取付具であるボルト79およびナット80にてカバー板部23に固着されている。操作体41の軸部43にはピン81が取り付けられ、このピン81にて位置決めされた座金82とコ字枠部材76の下板部76aとの間にコイルばね45が配設されている。なお、ボルト79およびナット80を用いずに、コ字枠部材76をカバー板部23に溶接等で固着してもよい。
【0059】
図9には、第5の実施の形態に係る農作業機1の例が示されている。
【0060】
この例では、可動体46の左右に隣り合う可動板部51間の隙間50が図2等に示す第1の実施の形態に比べて小さく、隣り合う可動板部51のうちの右側の可動板部51の左端部と隣り合う可動板部51のうちの左側の可動板部51の右端部とが互いに近接して位置している。つまり、この可動体46は、耕耘部カバー体5の下面の全部(略全部を含む意味)を覆うように設けられている。なおこの場合には、耕耘部カバー体5の下面には土が付着しないため、操作体41の押し操作時にその操作体41に連動する可動体46の可動により可動体46の下面に付着していた付着土が落ちる。
【0061】
図10には、第6の実施の形態に係る農作業機1の例が示されている。
【0062】
この例では、可動体46の各可動板部51は、耕耘部カバー体5の左右方向の支軸部86にこの支軸部86を中心として上下方向に回動可能に設けられている。つまり、1本の支軸部86にて、それぞれ個別に可動する複数の可動板部51が上下方向に回動可能に支持されている。この支軸部86は、左右の側板部31の軸受部分31a間に架設され、耕耘部カバー体5の前後方向中央部に位置している。
【0063】
そして、支軸部86から前方に向かって突出した可動板部51の前端部が上挟持板62および下挟持板65にて挟持され、前側の操作体41の軸部43の下端部が可動板部51の前端部に連結固定されている。また同様に、支軸部86から後方に向かって突出した可動板部51の後端部が上挟持板62および下挟持板65にて挟持され、後側の操作体41の軸部43の下端部が可動板部51の後端部に連結固定されている。
【0064】
なお、各可動板部51は筒状部分87を基端部に有し、この筒状部分87は支軸部86の外周側に回動可能に取り付けられている。またこの図10に示す例では、可動板部51は、必ずしも弾性変形可能な弾性板で構成する必要はなく、弾性変形しないものでもよい。なお、可動板部51の筒状部分87を支軸部86の外周側に固着し、操作体41の押し操作で可動板部51が下方へ回動するように曲げ弾性変形するようにしてもよい。
【0065】
図11には、第7の実施の形態に係る農作業機1の例が示されている。
【0066】
この例では、可動体46は、取付板部47の前端部における左右方向に等間隔をおいた複数箇所から前方に向かって一体に突出する前側の可動板部51と、取付板部47の後端部における左右方向に等間隔をおいた複数箇所から後方に向かって一体に突出する後側の可動板部51とを有している。前側の可動板部51と後側の可動板部51とは、前後方向に並んでおらず、左右に隣り合う前側の可動板部51間の隙間50の後方に後側の可動板部51が配設されている。
【0067】
また、取付板部47は、取付具であるボルト48およびナット49にて、カバー板部23の前後方向中央部下面にこの下面に沿って固定的に取り付けられている。なお、ボルト48およびナット49を用いず、取付板部47をカバー板部23の下面に溶接等にて固着してもよい。
【0068】
そして、取付板部47から前方に向かって突出した可動板部51の前端部が上挟持板62および下挟持板65にて挟持され、前側の操作体41の軸部43の下端部が可動板部51の前端部に連結固定されている。また同様に、取付板部47から後方に向かって突出した可動板部51の後端部が上挟持板62および下挟持板65にて挟持され、後側の操作体41の軸部43の下端部が可動板部51の後端部に連結固定されている。
【0069】
図12には、第8の実施の形態に係る農作業機1の例が示されている。
【0070】
この例では、図11とは異なり、前側の可動板部51と後側の可動板部51とが前後方向に並んでいる。なお、例えば図示しないが、図10ないし図12のいずれの例においても、隣り合う可動板部51間の隙間50を小さくし、可動体46で耕耘部カバー体5の下面の全部を覆うようにしてもよい。
【0071】
図13には、第9の実施の形態に係る農作業機1の例が示されている。
【0072】
この例では、耕耘部カバー体5のみならず、耕耘体3の後方部を覆う覆い体である整地体6にも付着土落し手段10が設けられている。
【0073】
この整地体6の整地板部33の前面には、操作体41の動きに連動して可動、すなわち例えば一部である先端側(例えば下端側)が前後動する板状の可動体46が整地体6の前面の一部(例えば略半部)のみを覆うように可動可能に設けられている。
【0074】
この可動体46は、取付板部47および複数の可動板部51を有し、取付板部47が取付具であるボルト48およびナット49にて整地板部33の上端部前面にこの前面に沿って固定的に取り付けられている。また、例えば上挟持板62および下挟持板65にて可動板部51の下端部が挟持され、操作体41の軸部43の下端部が可動板部51の下端部に連結固定されている。
【0075】
そして、操作体41の押し操作時に可動体46が操作体41の動きに連動して可動(例えば前動)し、この可動体46の可動により少なくとも整地体6の前面および可動体46の前面に付着していた付着土が落ちる構成となっている。なお、例えば可動体46で整地体6の耕耘体3側の面である前面の全部(略全部を含む意味)を覆うようにしてもよく、この場合には、操作体41の操作に基づいて可動体46の前面に付着していた付着土が落ちる。
【0076】
また、例えば耕耘体3の側方部を覆う覆い体であるサイドカバー体20に付着土落し手段10を設けてもよい。なお、耕耘部カバー体5、整地体6およびサイドカバー体20のすべてに付着土落し手段10が設けられた構成には限定されず、耕耘部カバー体5、整地体6およびサイドカバー体20の少なくともいずれか1つに付着土落し手段10が設けられた構成であればよい。
【0077】
さらに、例えば1つの操作体41の操作で複数の可動板部51が一斉に可動するようにしてもよい。
【0078】
また、例えばコイルばね45を用いずに、操作体41が可動体46の可動板部51の弾性復元力のみで非操作位置に戻るようにしてもよい。
【0079】
さらに、農作業機1は、上記各実施の形態を適宜組み合わせた構成でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 農作業機
3 耕耘体
5 覆い体である耕耘部カバー体
6 覆い体である整地体
10 付着土落し手段
41 操作体
42 操作板部
43 軸部
45 付勢体であるコイルばね
46 可動体
51 可動板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体を覆う覆い体と、
この覆い体に設けられた付着土落し手段とを備え、
前記付着土落し手段は、
前記覆い体に対して動く操作体と、
前記覆い体の前記耕耘体側の面の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記操作体の動きに連動して可動する可動体とを有し、
前記操作体の操作時に前記可動体が前記操作体の動きに連動して可動する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
可動体は、それぞれ個別に可動する複数の可動板部を有し、
前記各可動板部ごとに操作体が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
可動体の各可動板部は、弾性変形可能な弾性板にて構成されている
ことを特徴とする請求項2記載の農作業機。
【請求項4】
付着土落し手段は、操作体を非操作位置に戻す付勢体を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項5】
操作体は、操作板部およびこの操作板部に設けられた軸部を有し、
付勢体は、軸部の外周側に配設されたコイルばねである
ことを特徴とする請求項4記載の農作業機。
【請求項6】
覆い体は、耕耘体の上方部を覆う耕耘部カバー体である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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