説明

農園芸用土壌保水材

【課題】 植物育成のために適した吸水保持能力を有し、土壌中においてもブロッキングを起こすことのないゲル強度を持ち、且つ、生分解性を有する優れた農園芸用土壌保水材を提供すること。
【解決手段】 多価金属イオンで架橋されたセルロース誘導体又はその塩を必須に含む吸水性材料であって、0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水量が自重の20倍以上であり、且つ、その0.1質量%塩化カルシウム水溶液に対する吸水保持率(保水量/吸水量)が5%〜60%であり、さらに、0.1質量%塩化カルシウム水溶液20倍吸水後のゲル強度が2.0×10-5N/mm2以上であることを特徴とする農園芸用土壌保水材を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な農園芸用土壌保水材に関する。詳しくは、大きくは砂漠地帯の緑化から国内における樹木の栽培、畑作、或いは身近な家庭園芸用として広く用いることができる農園芸用土壌保水材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から農園芸用の土壌保水材として、無機物や有機物からなる各種の保水材が知られている。無機系保水材としては保水性を有する天然土壌、ベントナイト、ゼオライト、珪藻土などを挙げることができる。しかし、これらは水の吸収は容易であるが、水の放出が早く水を長時間保持することが困難である。
【0003】
また、有機系保水材としては、架橋ポリアクリル酸部分中和物(例えば特許文献1、2参照)、N−ビニルアセトアミドの単独重合体架橋物、又はアクリル酸ソーダなどの共重合し得るモノマーとの共重合体架橋物(例えば特許文献3参照)、N−イソプロピルアクリルアミドを主成分とする重合架橋体(例えば特許文献4参照)、アクリル酸とソルビン酸を重合開始剤の存在下に共重合させることからなる不飽和カルボン酸系共重合体(例えば特許文献5参照)、コーヒー粕と吸水材からなる土壌保水材(例えば特許文献6参照)、高吸湿性合成有機系微粒子を含む発芽促進シート(例えば特許文献7参照)、ノニオン性の水溶性エチレン性不飽和単量体と、必要によりアニオン性の水溶性エチレン性不飽和単量体とを構成単位とし、且つ、エーテル系の架橋剤により架橋されてなる農園芸用吸水性樹脂(例えば特許文献8参照)などの高吸水性樹脂が提案されている。
【0004】
上記の合成高分子系の高吸水性樹脂はその主用途が紙おむつなどの衛生材料用であることからもわかるように、自重の100〜1000倍という非常に高い吸水性能と、吸収した被吸収液に対して非常に高い吸水保持能力を持つ。しかし、土壌保水材として用いる場合、農園芸用植物が生育するために必要な水分までも吸収してしまい、しかも、水の放出性が悪いため植物の育成に効果がないという欠点がある。衛生材料用でのメリットとなる被吸収液に対する吸水保持能力の高さが、植物に与えるべき水分を奪ってしまっているのである。したがって植物育成における給水能力が不十分となる。また、吸水したゲルは軟化などゲルブロッキングを起こし易く、土壌の通気性と透水性の悪化から根腐れ等を引き起こし、植物の育成を阻害してしまうため農園芸用土壌保水材として満足できるものではなかった。
【0005】
また、合成高分子系吸水材料を土壌保水材として使用する場合、合成高分子系吸水材は生分解性を有しない、或いは有していてもそのレベルは非常に低いため、使用後はそのまま土壌に残留してしまう。残留した合成高分子材料は、土壌中でカルシウムイオン等の多価イオンとコンプレックスを形成し、不溶性の層を形成すると報告されている(非特許文献1参照)。このような層はそのもの自体の毒性は低いと言われてはいる。しかし、元来の自然界には、全く存在してこなかった物質である。そのため、長期に亘るそれら樹脂の土中への蓄積による生態系への影響は不明であり、十分に調べる必要があり、その使用には慎重な態度が望まれる。このような理由から、次の作物の栽培のためにも、土壌中の合成高分子吸水材料を放置しておくことはできない。また、土壌中からうまく合成高分子吸水材料を取り除けたとしても、廃棄物としての処理に費用や手間がかかるというデメリットがあるに加え、廃棄物処理における環境保全を考えると、これらの樹脂の廃棄問題が非常に重大であることは明白である。
【0006】
そこで求められるのは高吸水性と生分解性の両方を兼ね備えた樹脂である。その代表的な例として、多糖類などによる天然系樹脂、およびポリアミノ酸系樹脂などが知られている。具体的には澱粉やセルロースを原料とした吸水性樹脂として、それらをアミノ酸類により架橋した樹脂がある(例えば特許文献9参照)。他にも、ポリエチレンオキシド架橋体(例えば特許文献10参照)、澱粉架橋体(例えば特許文献11参照)、ポリアミノ酸架橋体(例えば特許文献12〜17参照)、ガラクトマンナン−金属イオン架橋体(例えば特許文献18〜20参照)、膨潤性澱粉エステル(例えば特許文献21参照)などが挙げられる。尚、生分解性を有したガラクトマンナン−金属イオン架橋体からなる土壌保水材については本発明者らも提案している(例えば特許文献22参照)。しかし、これらの生分解性吸水材料は環境中で使用するには分解されて安全である反面、土壌用保水材として用いるには吸水性能が低い、コストが高い、製造工程が非常に複雑である、生分解速度が速すぎる、などの理由から土壌保水材としては改善の余地があった。
【0007】
特にセルロース誘導体又はその塩からなる土壌保水材としては、水溶性セルロースエーテルとベントナイトとを含む粒状の土壌改良保水剤(例えば特許文献23参照)、カルボキシメチルセルロースと、水と、防菌・防黴剤とを配合してなる植物育成用の生分解性保水ゲル培地(例えば特許文献24参照)などがあり、さらに、カルボキシメチルセルロースゲル組成物(例えば特許文献25、26参照)などが提案されているが、これらはゲルの運搬などにかかる手間や費用等に於ける負担が大きいというデメリットがある。また、該組成物(特許文献25、26参照)の使用方法として「ゲル組成物を粉砕、乾燥して植物の根圏部に設置し、水を付与して保水させる」とあるが、その乾燥物の吸水量は極めて低く、植物に供給できる水分量が少ないという欠点がある。また特許文献25におけるアルミニウム対カルボキシメチルセルロースのイオン当量比は1.0〜1.5と記載されている。
【0008】
また別のカルボキシメチルセルロース架橋体(例えば特許文献27参照)は優れた吸収性能を備えているが、ゲル強度が低く、ゲルブロッキング現象を示す。このゲルブロッキング現象により土壌中の通気性、及び透水性が悪化して根腐れを引き起こす等、植物の生育を阻害するという欠点がある。
【0009】
これらの技術は有意義なものであるが、いまだ改善の余地があり、土壌保水材のさらなる高性能化が要望されていた。特に、二価のカチオンを含む水溶液として代表的な0.1質量%塩化カルシウム水溶液に対するより高い吸水量、植物の生育にとって適度な吸水保持率を有すると同時に、ゲル強度の強い土壌保水材が望まれていた。
【0010】
なお、本明細書で言う生分解性とは、構成材料が、自然環境中、又はコンポスト等の人為的に制御された条件の下で、微生物、菌、酵素等の生物体によって分解され、安全な物質(水や二酸化炭素など)に無機化されることを指す。
【特許文献1】特開平05−339567号公報
【特許文献2】特開2000−139208号公報
【特許文献3】特開平07−163648号公報
【特許文献4】特開平09−302339号公報
【特許文献5】特開2002-012628号公報
【特許文献6】特開平5−43874号公報
【特許文献7】特開2003−88208号公報
【特許文献8】特開平10−191777号公報
【特許文献9】特開平08−89796号公報
【特許文献10】特開平06−157795号公報
【特許文献11】特開昭55−15634号公報
【特許文献12】特開平07−224163号公報
【特許文献13】特開平07−309943号公報
【特許文献14】特開平08−59820号公報
【特許文献15】特開平08−504219号公報
【特許文献16】特開平09−169840号公報
【特許文献17】特開2002−128899号公報
【特許文献18】特開平08−59891号公報
【特許文献19】特公平03−66321号公報
【特許文献20】特開昭56−97450号公報
【特許文献21】特開平08−208703号公報
【特許文献22】特開2002−53859号公報
【特許文献23】特開2002−363562号公報
【特許文献24】特開2002−138162号公報
【特許文献25】特開2000−44728号公報
【特許文献26】特開2000−53965号公報
【特許文献27】米国特許第4959341号明細書
【非特許文献1】松本 他、高分子、第42巻、8月号、1993年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、植物育成のために優れた0.1質量%塩化カルシウム水溶液に対する吸水量、及び植物育成のために適当な吸水保持能力を有し、土壌中においてもブロッキングを起こすことのないゲル強度を備え、且つ、生分解性を有する農園芸用土壌保水材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、多価金属イオンで架橋されたセルロース誘導体又はその塩を必須に含む吸水性材料が、良好な生分解性を有する一方で、植物が育成するために適切な吸水保持率とゲル強度を有し、結果として土壌中で植物の発芽率を高めて生育速度を早める効果があることを見出し、本発明を完成させた。本発明における吸水保持率は非常に重要な要素であり、吸水保持率が5%〜60%の範囲であれば、土壌中においても植物の生育に必要な水分を徐放しつつ、ゲルブロッキングを起こして根腐れなどを誘発しない適度なゲル強度を有する。
【0013】
本発明は第一に、多価金属イオンで架橋されたセルロース誘導体又はその塩を必須に含み、次の(1)〜(3)全ての性能を満たすことを特徴とする農園芸用土壌保水材を提供する:
(1)0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水量が自重の20倍以上であり、
(2)0.1質量%塩化カルシウム水溶液に対する吸水保持率(保水量/吸水量)が5%〜60%であり、
(3)20倍量の0.1質量%塩化カルシウム水溶液を吸水後のゲル強度が2.0×10-5N/mm2以上である。
【0014】
多価金属イオンは、アルミニウムイオン、チタニウムイオンおよび鉄イオンからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。セルロース誘導体又はその塩として、カルボキシメチルセルロース塩(以下、CMCと略記する)、好ましくはカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩、特にカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を用い、且つ、多価金属イオンとしてアルミニウムイオンを用いることが特に好ましく、この場合アルミニウムイオン含有量がCMC1kg当たり0.1〜110ミリモル、即ち、アルミニウム対CMCのイオン当量比が1.0×10−4〜0.099であることが好ましい。CMCはエーテル置換度が0.3〜2.8であり、且つ、その1質量%水溶液の粘度が10−20000mPa・sであるのが好ましい。
【0015】
本発明は第二に、
a)多価金属イオン及び界面活性剤を含み、且つ、pHを1.0〜7.0に調整した水溶液を調製する工程、
b)該水溶液にセルロース誘導体又はその塩を添加後の混合液に対して固形分濃度が5〜40質量%となるように添加し、セルロース誘導体又はその塩を架橋させると共に水で膨潤、水和させてゲル化させる工程、
c)得られたセルロース誘導体又はその塩の架橋体のゲルを親水性揮発性溶媒と接触させて脱水させる工程、そして、
d)乾燥する工程、
を含むことを特徴とする上記した農園芸用土壌保水材の製造方法を提供する。
【0016】
好ましくは、本発明の方法は、工程c)により得られた固形物又は工程d)により得られた固形物を、表面架橋剤により処理することを含むものである。
【0017】
(用語の定義)
〔0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水量〕
本発明の農園芸用土壌保水材の吸水量の測定は、ティーバッグ法にて0.1質量%塩化カルシウム水溶液を用いて行う。すなわち、250メッシュのナイロン製ティーバッグに農園芸用土壌保水材1gを入れ、1Lの0.1質量%塩化カルシウム水溶液にティーバッグを3時間浸し、ティーバッグを引き上げ、10分間水切りを行った後、農園芸用土壌保水材の入ったティーバッグの質量を測定する。農園芸用土壌保水材の吸水量は、3時間0.1質量%塩化カルシウム水溶液に浸した農園芸用土壌保水材が入っていないティーバッグの質量をブランクとし、吸水して膨潤した農園芸用土壌保水材が入ったティーバッグの質量から、膨潤前の農園芸用土壌保水材の質量とブランクの質量を減じた値を、膨潤前の農園芸用土壌保水材の質量で除した値を吸水量(g/g樹脂)とする。
【0018】
〔0.1質量%塩化カルシウム水溶液保水量〕
本発明における農園芸用土壌保水材の保水量は、3時間0.1質量%塩化カルシウム水溶液に浸して900rpmで90秒間遠心脱水を行った農園芸用土壌保水材が入っていないティーバッグの質量をブランクとし、上記の吸水量測定後に得られた吸水して膨潤した農園芸用土壌保水材が入ったティーバッグを900rpmで90秒間遠心脱水したものの質量から、膨潤前の農園芸用土壌保水材の質量とブランクの質量を減じた値を、膨潤前の農園芸用土壌保水材の質量で除した値を保水量(g/g樹脂)とする。
【0019】
〔0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水保持率〕
本発明における農園芸用土壌保水材の吸水保持率(%)は、上記の測定より得られた各水溶液における吸水量(g/g樹脂)と保水量(g/g樹脂)を用いて、下記式、
吸水保持率(%)=(保水量/吸水量)×100
に基づいて算出する。
【0020】
〔0.1質量%塩化カルシウム水溶液の自由吸水下でのゲル強度〕
自由吸水下でのゲル強度の測定は、粒径500〜1000μmに篩い分けた土壌保水材粒子に、その土壌保水材質量の20倍量の0.1質量%塩化カルシウム水溶液を3時間自由吸水させ、サイエンティフィク社のレオメトリックSR−5000を用いて1Hz、室温にて粘弾性G*を測定し、その数値をゲル強度とする。
尚、自由吸水下で吸水させる0.1質量%塩化カルシウム水溶液量は、0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水量の測定結果に従って決定する。0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水量の測定結果の40%〜100%の範囲内に入る0.1質量%塩化カルシウム水溶液量を自由吸水させることが好ましい。0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水量の測定結果の100%以上の0.1質量%塩化カルシウム水溶液量を自由吸水させた場合、ゲルと水が混在し、正確なゲル強度が測定できない。また、40%以下の0.1質量%塩化カルシウム水溶液量を自由吸水させるとゲルが十分に膨潤できず、この場合も正確なゲル強度が測定できないため好ましくない。
【0021】
〔二十日大根の生育度合い試験〕
一般に市販されている赤玉土と腐葉土を4:3で均一に混合した土壌150質量部に、農園芸用土壌保水材0.15質量部、および消石灰5質量部を混合し、該混合物(以下、混合土壌と略記する)を所定の育苗箱に均一に入れる。次いで、上記の混合土壌に、育苗箱から水が流れ出すまで、水道水を滴下する(以下、灌水と略記する)。その後、混合土壌に、二十日大根の種子(株式会社トーホク製;商品名 チェリーメイト)30粒を播種する。そして、播種後、灌水を行うことなく、散光を当てながら該育苗箱を放置しておく。
【0022】
その結果、播種してから3日目における種子の発芽率を算出する。また、播種してから10日目における二十日大根の生育状況を目視にて評価を行う。尚、発芽率は、下記式、
発芽率(%)=(発芽した種子の数/播種した種子の数)×100
に基づいて算出する。
【0023】
〔生分解性試験〕
二十日大根の生育度合い試験を行った後、そのまま60日間散光を当てながら生育を続け、60日後に土壌中の土壌保水材の状態を観察する。土中に土壌保水材が目視により観察されなければ分解されたものと判断して分解とし、土中に土壌保水材が残存していることが目視により観察されれば分解されずに残存していると判断し、非分解とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の農園芸用土壌保水材は、生分解性を有し、カルシウムやマグネシウムなどの二価以下のカチオン水溶液に対しても高い吸水量、ゲル強度を有している。本発明の農園芸用土壌保水材を用いた改良土壌を使用することにより、土壌の保水性が向上し、5〜60%の吸水保持率を有することから植物の生長に必要な水分を適切に供給することができ、植物の生育度合いが良好になる。前記効果を奏することから、本発明の農園芸用土壌保水材は、畑作、家庭菜園、プランター等での家庭園芸などの用途に特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明において、原料として使用するセルロース誘導体又はその塩とは、セルロースの有する水酸基をエーテル化したセルロースエーテル類又はその塩である。かかるセルロース誘導体又はその塩としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等、及び、これらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよいが、コスト、性能面からカルボキシアルキルセルロース塩が好ましく、カルボキシメチルセルロース塩(以下、CMCと略記する)がさらに好ましい。
【0026】
CMCは好ましくはカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
CMCはリンターパルプや木材パルプなどのセルロースをイソプロピルアルコール等の有機溶媒と水との混合溶媒中でアルカリ金属水酸化物存在下にクロロ酢酸等のエーテル化剤を反応させることにより得ることができる。
セルロース誘導体又はその塩の分子量としては、5万〜150万が好ましく、20万〜80万がさらに好ましい。
【0027】
CMCとしては、カルボキシル基による水酸基の置換度、即ち、エーテル置換度が0.3〜2.8の範囲のものが好ましく、0.5〜1.0の範囲のものが特に好ましい。エーテル置換度が0.3未満ではCMCの溶解性が低いため、均一なゲルが得られない。逆に、エーテル置換度が2.8を超えると、アルミニウムイオン等による架橋が分子内で進行し、均一なゲルが生じないまま沈降してしまう場合が生じる。
【0028】
また、CMCとしては、1質量%水溶液とした時に粘度が10mPa・s〜20000mPa・s、より好ましくは10000mPa・s〜20000mPa・sの範囲内にあるものが好ましい。10mPa・s未満の場合ではアルミニウムイオン等で架橋しても強度のあるゲルを形成しにくいので不適当である。20000mPa・sを超えると粘性が非常に高くなるため、撹拌等の作業性が著しく悪化し、均一なゲルが得られない場合があるので好ましくない。10000mPa・sを超えるCMCをアルミニウムイオン等で架橋した場合、強度の高いゲルを得やすくなるため、より好ましい。
尚、粘度の測定については細管粘度計、回転粘度計、落球粘度計などを用いて周知の方法で測定したものである。
【0029】
CMCは食品(乳製品、冷凍菓子等)や化粧品(頭髪化粧品、入浴剤等)、医薬品(錠剤、パップ剤等)から建材(繊維壁、砂壁等)、農芸産業(飼料、農薬)にまで幅広く用いられている多糖類であり、増粘剤や安定剤として使用されていることからも、安全性の高い材料であると言える。
【0030】
本発明の農園芸用土壌保水材においては、必要に応じて、セルロース誘導体又はその塩の他に、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガム、カラギーナン、キサンタンガム、寒天、ペクチン、タラガントガム、プルラン、ジェランガム、タマリンドシードガム、カードラン、アラビアガム、グルコマンナン、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸又はこれらの誘導体もしくはその塩などの天然多糖類を混合してもよい。
これらを混合する割合としては、多糖類の組み合わせ等にもよるが、セルロース誘導体又はその塩に対し1〜100質量部の範囲内、より好ましくは10〜50質量部の範囲内とすればよい。
【0031】
以下、本発明を土壌保水材の製造方法に言及して説明する。
工程a)は、多価金属イオン及び界面活性剤を含み、且つ、pHが1.0〜7.0に調整された水溶液を提供する工程である。
【0032】
工程a)で用いられる架橋剤として作用する多価金属イオンは、セルロース誘導体又はその塩の有する官能基(即ち、水酸基、カルボキシル基)と架橋を形成し得る三価以上の多価金属イオンであれば、特に限定されない。
例えば、アルミニウムイオン、チタニウムイオン、鉄イオン、バリウムイオン、マンガンイオン、カドミウムイオン、クロムイオン、アンチモンイオンなどの多価金属イオンが挙げられるが、安全性、性能、価格からアルミニウムイオン、チタニウムイオン、鉄イオンが好ましい。これらの中でもアルミニウムイオン、チタニウムイオンが特に好ましい。架橋剤として、これらからなる群の一種のみを使用しても良いが、2種以上を使用しても構わない。
【0033】
多価金属イオンの形態としては、塩化物、硫酸化物、炭酸化物、酢酸化物、蟻酸化物、乳酸化物、アルコキシド誘導体などが挙げられるが、使用する金属によって好ましい形態が異なるので適宜選択する必要がある。アルミニウムイオン源としてはカリミョウバン、ナトリウムミョウバン、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが挙げられる。また、チタニウムイオン源としては例えばチタニウム(IV)ジイソプロポキシドビスアセチルアセトネート、チタニウム(IV)トリエタノールアミネートイソプロポキシド、チタニウム(IV)テトライソプロポキシド、チタニウム(IV)ジ−n−ブトキシビストリエタノールアミネート、チタニウム(IV)イソプロポキシオクチレングリコネート、チタニウム(IV)ビスアンモニウムラクテートヒドロキサイド、チタニウム(IV)ビストリエタノールアミネートジイソプロポキシド、Tyzor131(Du pont社)、TyzorGBA(Du pont社)などが挙げられる。また、鉄イオン源としては塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄などの鉄塩が例示される。
【0034】
工程a)で調製される水溶液中の多価金属イオン濃度は、金属イオンの種類やその形態によって適宜異なるが、CMC質量1kg当たり金属原子に換算して0.1〜1000ミリモルが好ましく、より好ましくは1〜500ミリモルであり、10〜250ミリモルが特に好ましい。
0.1ミリモル未満では、十分に架橋できず、非常にゲル強度が弱くなる。一方、1000ミリモルを越えると吸水量、保水量が顕著に低下するため好ましくない。
【0035】
特に、アルミニウムイオンを用いる場合、アルミニウム対CMCのイオン当量比が1.0×10−4〜0.099であることが好ましく、1.0×10−3〜0.09が特に好ましい。
アルミニウム対CMCのイオン当量比が1.0×10−4未満では、十分に架橋できず、非常にゲル強度が弱くなる。一方、アルミニウム対CMCのイオン当量比が0.099を超えると吸水量、保水量が顕著に低下するため好ましくない。
ここで、アルミニウム対CMCのイオン当量比は、1.0×10−4≦[アルミニウムのイオン当量/CMCのイオン当量]≦0.099、好ましくは1.0×10−3≦[アルミニウムのイオン当量/CMCのイオン当量]≦0.09である。ただし、アルミニウムのイオン当量は、[アルミニウム金属塩の重量(g)/アルミニウム金属塩の分子量(g)]×[アルミニウム金属塩1分子中のアルミニウム分子の個数]×3として表され、CMCのイオン当量は、[CMCの重量(g)/(162.1+エーテル化度×80]×[エーテル化度]として表される。
【0036】
工程a)で用いられる界面活性剤としては、水溶液を発泡させるものであれば特に限定されず、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両面界面活性剤のいずれでもよい。
【0037】
アニオン性界面活性剤としては、混合脂肪酸ナトリウム石けん、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム石けん、ステアリン酸ナトリウム石けん、オレイン酸カリウム石けん、ヒマシ油カリウム石けん等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;アルキルリン酸カリウム等のアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルアリル)硫酸エステル塩;特殊反応型アニオン界面活性剤;特殊カルボン酸型界面活性剤;β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
【0038】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレン誘導体;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
【0039】
カチオン性界面活性剤および両面界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルベタイン;ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイドが挙げられる。
【0040】
かかる界面活性剤の中では、水溶性で、高い発泡性を有するもの、例えばラウリル硫酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチンジアミンナトリウム水溶液、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムがより好ましい。また、使用する界面活性剤としてはこれらからなる群の1種だけでもよいが、2種以上を混合し、使用してもよい。
【0041】
セルロース誘導体又はその塩に対する界面活性剤の添加量は、界面活性剤にもよるが、セルロース誘導体又はその塩100質量部に対して界面活性剤0.05〜20質量部を添加するのが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部、特に好ましくは1〜5質量部である。セルロース誘導体又はその塩に対する界面活性剤の添加量が0.05質量部未満の場合、工程b)でゲルを得る際に、作業性が悪化し、ママコが発生するなど均一なゲルが得られなくなる。一方、界面活性剤の添加量が20質量部を超えると、吸水量が低下してくる。
【0042】
工程a)における水溶液のpHは1.0〜7.0に調整する。好ましくは、pH2.0〜4.0である。このため水溶液のpHがこの範囲外にある場合は、pH調整剤を添加してpHを調整すればよい。本発明で用いるpH調整剤としては、水溶液のpHを1.0〜7.0に調整できるものであれば特に限定されるものではなく、一般によく知られている酸性、塩基性試薬を用いればよい。
pH値を下げる場合には、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸、酢酸等があり、pH値を上げる場合には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオンの水酸化物・炭酸塩・リン酸塩などが例示される。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ニカリウム、アンモニア水などが挙げられ、安価であることから水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0043】
水溶液のpHが1.0以下の場合、強酸性により多糖類の分解が生じてしまう恐れがある。該多糖類の分解に伴い、ゲル強度の著しい低下が引き起こされる場合があるため好ましくない。一方、水溶液のpHが7.0以上の場合、セルロース誘導体又はその塩を水溶液に添加した際にママコが発生するなどの問題が生じる場合があり、さらに、性能面からもゲル強度が低下することから好ましくない。
【0044】
工程b)は、工程a)で得られた水溶液にセルロース誘導体又はその塩を添加し、それらを架橋させるとともに水で膨潤、水和させてゲル化させる工程である。
工程b)においてセルロース誘導体又はその塩を添加する量としては、固形分濃度がこれらの多糖類の添加後の全質量に対して5〜40質量%であることが必要であり、10〜25質量%が好ましい。
5質量%未満では製造コストの上昇を招くだけでなく、ゲル強度が低下するため好ましくない。また、40質量%を超えると0.1質量%塩化カルシウム水溶液に対しての吸水量が低下するため、好ましくない。
【0045】
工程b)を行う際の温度は特に限定されないが、架橋反応を促進させるためにも5〜100℃が好ましく、45〜80℃がさらに好ましい。
セルロース誘導体又はその塩のゲルの最終的なpHは3.0〜9.0が好ましく、pH4.0〜7.0がさらに好ましい。このためpHがこの範囲外にある場合は、適宜水酸化ナトリウムや塩酸などを添加してゲルpHを調整すればよい。
【0046】
本発明におけるa)及び工程b)において、反応操作を実施する為の反応装置は、特に限定されず、原料の混合、及び加熱を連続式及び/又は回分式で実施できる装置であればよい。また、原料の混合と加熱を2つ以上の装置に分割して行ってもよい。具体的には、撹拌槽、解砕・粉砕機構付乾燥機、遊星運動撹拌装置付乾燥機、撹拌乾燥機、1軸又は多軸混練機等、任意の装置を用いることができる。
【0047】
工程c)は、前記工程b)で得られたセルロース誘導体又はその塩架橋体のゲルと親水性揮発性有機溶媒を接触させ、脱水させる工程である。即ち、ゲル中の一部又は全部の水分を親水性揮発性有機溶媒中に脱水させ、固形物内の水分を溶媒に置換する工程である。
【0048】
ここで使用する親水性揮発性有機溶媒は特に制限されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等を挙げることができる。コストや安全性の面からメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類が好ましい。
【0049】
該親水性揮発性有機溶媒の使用量は、セルロース誘導体又はその塩からなる架橋ゲル中の水分に対して0.5〜5倍容量の使用が好ましく、1〜2.5倍容量が特に好ましい。使用量がゲル中の水分に対して0.5倍容量未満の場合は、ゲル中の水分の親水性有機溶媒との置換が不十分であり、吸水量、吸水速度が低下する場合がある。また5倍容量を超える量を用いても使用量に見合った効果は得られず、コストの上昇を招くだけであり、工業的に好ましくない。
【0050】
親水性揮発性有機溶媒と接触させた後に得られる固形物の形状は特に限定されるものではないが、使用する目的に合わせて種々の形状とすることができる。例えば、顆粒状、フレーク状、シート状、粉末状、断片状、薄片状、棒状、線状などである。例えば顆粒状、粉末状固形物を得る場合は、ゲルを親水性揮発性有機溶媒と接触させると同時に破砕すればよい。破砕する混合装置としては、剪断力の大きいものが好ましいが、通常の混合機、捏和機、破砕機を用いることができる。例えば円筒型混合機、石臼式粉砕機、二重壁円錐型混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーデスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等である。
【0051】
また得られる固形物を繊維状にする場合は、ゲルを適切なノズル径の紡糸機により連続的に繊維状ゲルを吐出させてから親水性揮発性有機溶媒に接触させればよい。さらに固形物をフィルム状にする場合は適切な支持体上にゲルを適度な厚さに塗布、コーティングし、次いで親水性揮発性有機溶媒と接触させればよい。
【0052】
有機溶媒でゲル中の水分を置換した後、固形物を回収する方法としては、濾過、デカンテーション、遠心分離などの公知の方法により、固形物と含水親水性揮発性溶媒とを分離し、固形分を回収すればよい。
【0053】
工程d)は、前記工程c)で回収された固形物を乾燥する工程である。工程d)において、固形物を乾燥する方法としては、乾燥後の吸水能、吸水速度、吸水後のゲル強度を低下させるような方法でなければいかなる乾燥方法でも限定されるものではないが、例えば常温乾燥、加熱乾燥や凍結乾燥、減圧乾燥、真空乾燥があるが、好ましくは経済的な30〜100℃での加熱乾燥である。加熱乾燥では装置内を風が循環しないものでもよいが、速やかな乾燥を行うためには発生させた熱風が装置内を循環する熱風循環式乾燥機、流動床式乾燥機などが好ましい。
【0054】
以上説明した本発明の製造方法においては、工程c)により得られる固形物又は工程d)により得られる固形物を、表面架橋剤により処理することが好ましい。
【0055】
ここで用いられる表面架橋剤は、上述した三価以上の多価金属イオンの他に、CMCの有する官能基(即ち、水酸基、カルボキシル基)と反応しうる官能基を2個以上有する化合物である。かかる化合物は、好ましくは親水性、より好ましくは水溶性の化合物である。例えば以下に挙げる化合物が好ましい。グルタルアルデヒド、グリオキサール等の如き多価アルデヒド類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、等の如き多価グリシジル化合物類;二塩化エタン、テトラメチレンクロロブロマイド、ジブロモプロパン、ジブロモブタン等の如き多価ハロゲン化物類、エピクロルヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等の如きハロエポキシ化合物類を例示することができる。
【0056】
固形物に対する表面架橋剤の使用量は、固形物および表面架橋剤の組み合わせ等にもよるが、乾燥状態の固形物100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲内で添加するのが好ましく、0.05〜3質量部の範囲内で添加するのがより好ましい。上記の範囲内で表面架橋剤を用いることにより、ゲルブロッキングや撥水性の防止等、被吸収液に対する吸水特性をより一層向上させることができる。
【0057】
表面架橋剤の使用量が0.01質量部未満では、土壌保水材としての表面近傍の架橋密度をほとんど高めることができない。また、表面架橋剤の使用量が5質量部より多い場合には、該表面架橋剤が過剰となり、不経済であるとともに、架橋密度を適正な値に制御することが困難となるおそれがある。
【0058】
固形物に表面架橋剤を用いて処理する際の処理方法は、特に限定されるものではない。例えば、工程c)又はd)において固形物を回収後、回収物と表面架橋剤とを無溶媒で混合する方法、シクロヘキサンやペンタン等の疎水性溶媒に回収物を分散させた後、表面架橋剤を混合する方法、親水性溶媒に表面架橋剤を溶解もしくは分散させた後、該溶液もしくは分散液を回収物に噴霧あるいは滴下して混合する方法等が挙げられる。なお、上記親水性溶媒としては、水、または水と水に可溶な前記工程c)で述べた親水性揮発性有機溶媒との混合物が好適である。
【0059】
本発明の土壌保水材には、さらに、必要に応じて消臭剤、香料、骨材、各種の無機粉末、発泡剤、体質顔料、染料、抗菌剤、発泡剤、農薬殺虫剤、殺菌剤、除草剤、土壌改質材、親水性短繊維、可塑剤、粘着剤、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類等の添加剤を配合してもよい。
【0060】
かかる添加剤は、本発明の土壌保水材の製造工程a)〜d)において適宜添加しても良く、製造後の土壌保水材に添加しても良い。該添加剤の配合量は、土壌保水材、及び添加剤の組み合わせにもよるが、セルロース誘導体又はその塩100質量部に対し0.001〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜5質量部の範囲内であることがより好ましい。
【0061】
ここで用いられる骨材としてはケイ砂、寒水石、陶磁器質細粒、色粉、パーライト、バーミキュライトなどの軽質骨材などが挙げられる。また、体質顔料としては炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、沈降性硫酸バリウム、クレー、タルクなどが挙げられる。
【0062】
さらに、無機粉末としては、水性液体等に対して不活性な物質、例えば各種の無機化合物の微粒子、粘土鉱物の微粒子等が挙げられる。該無機粉体は、水に対して適度な親和性を有し、且つ、水に不溶、もしくは難溶であるものが好ましい。具体的には、例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナゲル、多孔質ガラス等が挙げられる。このうち、二酸化珪素、及び珪酸(塩)がより好ましい。
【0063】
ここでの無機粉末の使用量は、無機粉体の種類や粒子の大きさ等によって適宜異なるが、セルロース誘導体又はその塩100質量部に対し0.001〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜5質量部の範囲内であることがさらに好ましい。土壌保水材と無機粉体との混合方法は、例えばドライブレンド法、湿式混合法等を採用できるが、本発明の土壌保水材の吸水量、吸水後のゲル強度を低下させるような方法でなければ特に限定されるものではない。
【0064】
また、本発明の農園芸用土壌保水材は、必要により各種肥料(窒素系肥料、リン酸質肥料、カリ質肥料、石灰、苦土など)と混合した後、土壌に添加・混合してもよいし、本発明の農園芸用土壌保水材を土壌に添加・混合した後、必要により各種肥料を添加してもよい。
【0065】
本発明の農園芸用土壌保水材は、上述した本発明の製造方法により得ることができる。本発明の農園芸用土壌保水材は、生分解性を有するとともに、次の(1)〜(3)全ての性能を満たすことを特徴とする。
(1)0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水量が自重の20倍以上であり、
(2)0.1質量%塩化カルシウム水溶液に対する吸水保持率(保水量/吸水量)が5%〜60%であり、
(3)0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水後のゲル強度が2.0×10--5N/mm2以上である。
【0066】
0.1質量%塩化カルシウム水溶液の吸水保持率が5%以下では保水性能が低すぎて、吸水した水を容易に放出してしまい、土壌全体が短時間で乾燥状態になる。一方、吸水保持率が60%以上では、ゲル強度低下の原因となるだけでなく、ゲル内に保持した水分の放出性が悪いため、水分が必要とされる植物に供給されず、結果として発芽率が低くなり生育も遅くなる。
吸水後のゲル強度が2.0×10--5N/mm2未満では、ゲルブロッキング現象を起こしやすくなり、土壌中の通気性、及び透水性を悪化させ、根腐れなどを引き起こす要因となる。また、吸水後のゲルは高い流動性を有するために、土壌中に浸透拡散してしまい、土壌保水材としての役目が弱まるため好ましくない。
【0067】
本発明の農園芸用土壌保水材の形状は、特に限定されるものではないが、使用する目的に合わせて種々の形状とすることができる。例えば、顆粒状、粉末状、断片状、薄片状、棒状、繊維状、不織布状、フィルム状などである。これらの形状は乾燥後に成形されてもよいし、乾燥時にゲルをこのような形状の成形器内に入れて乾燥してもよい。土壌に混合する場合は、土壌と均一に混合すること、及び土壌の通気性と透水性を悪化させないために、農園芸用土壌保水材の好ましい形状は顆粒状、又は粉末状であり、その粒径は100μm〜5000μmが好ましく、500μm〜2000μmがさらに好ましい。粒径が100μm未満では、農園芸用土壌保水材として使用する場合、風による飛散や土壌と均一に混合しにくいため好ましくない。平均粒径を100μm〜5000μmとすることにより、土壌中に混合する際の均一分散性、粒度分布が良好となるほか、土壌中に適度な間隙を保持することができるため、植物種子の発芽性が促進され、土壌中の微生物の活性化を図ることができる。
【0068】
本発明の農園芸用土壌保水材を使用する方法としては、例えば、使用する土壌に本発明の農園芸用土壌保水材を、土壌100質量部に対して0.05〜10質量部混合する方法;種植などの際に種植する穴に本発明の農園芸用土壌保水材を添加する方法;ゴルフ場・公園などの芝の活着のために本発明の農園芸用土壌保水材を、活着させたい土壌に少量散布しトラクターなどで土壌と混合してその上に芝を敷き詰める方法;などを例示することができる。
【0069】
以下実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。尚、下記実施例によって得られた農園芸用土壌保水材について、0.1質量%塩化カルシウム水溶液を用いて農園芸用土壌保水材の吸水量、保水量、吸水保持率、ゲル強度を上記のように測定し、本発明の農園芸用土壌保水材を使用した場合の二十日大根の成育度合いを上記の方法で試験した。また、二十日大根の成育度合い試験の後、そのまま生分解性試験を行った。
【実施例1】
【0070】
(生分解性農園芸用土壌保水材の作製)
CMC100質量部に対して1質量部の界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ローディア日華社製;RHODAPEX ESB)を純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に硫酸アルミニウムカリウムをアルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり100ミリモル、即ち、アルミニウム対CMCのイオン当量比が0.089になるようにそれぞれ攪拌しながら添加した。この時の水溶液のpHは3.8であった。
【0071】
次に上記水溶液にCMC粉末(ダイセル化学工業株式会社製;ダイセルCMC2280、エーテル置換度=0.75、1質量%水溶液の粘度11100mPa・s)を固形分濃度12質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させた。得られた水和物を室温で60分間放置し、架橋ゲルを得た。この時のCMCゲルのpHは4.8であった。
【0072】
上記のゲル中に含まれる水100mlをイソプロピルアルコール100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。エタノールで脱水された固形物にチタニウムIV ジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製;TEAT)溶液をチタンイオン換算量としてCMC重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/イソプロピルアルコール混合溶液(水/イソプロピルアルコール=50/50)中、室温20分間撹拌し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物をイソプロピルアルコール100mlで室温において20分間撹拌することで洗浄した。洗浄後に吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間熱風乾燥し、農園芸用土壌保水材を得た。
【0073】
上記で得られた農園芸用土壌保水材について0.1質量%塩化カルシウム水溶液の吸水量・保水量・吸水保持率、及びゲル強度の結果を表1に、二十日大根の生育度合い試験、及び生分解性試験の結果を表2に示す。
【比較例1】
【0074】
比較例1として、CMC100質量部に対して1質量部の界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(ローディア日華社製;RHODAPEX ESB)を純水100mlにあらかじめ溶解させた後、該水溶液に硫酸アルミニウムカリウムをアルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり50ミリモル、即ち、アルミニウム対CMCのイオン当量比が0.044になるようにそれぞれ攪拌しながら添加した。この時の水溶液のpHは4.3であった。
【0075】
次に上記水溶液にCMC粉末(ダイセル化学工業株式会社製;ダイセルCMC2280、エーテル置換度=0.75、1質量%水溶液の粘度11100mPa・s)を固形分濃度3質量%になるように攪拌しながら添加し、膨潤・架橋させた。得られた水和物を室温で60分間放置し、架橋ゲルを得た。この時のCMCゲルのpHは5.4であった。
【0076】
上記のゲル中に含まれる水100mlをイソプロピルアルコール100mlで置換し、ブレンダーで破砕した。エタノールで脱水された固形物にチタニウムIV ジイソプロポキシビストリエタノールアミネート(三菱ガス化学社製;TEAT)溶液をチタンイオン換算量としてCMC重量1kg当たり50ミリモルになるように添加し、水/イソプロピルアルコール混合溶液(水/イソプロピルアルコール=50/50)中、室温20分間撹拌し、ゲル粒子表面を架橋した。濾過後、反応物をイソプロピルアルコール100mlで室温において20分間撹拌することで洗浄した。洗浄後に吸引濾過し、その固形分を80℃で10時間熱風乾燥し、農園芸用土壌保水材を得た。
【0077】
上記で得られた農園芸用土壌保水材について0.1質量%塩化カルシウム水溶液の吸水量・保水量・吸水保持率、及びゲル強度の結果を表1に、二十日大根の生育度合い試験、及び生分解性試験の結果を表2に示す。
【比較例2】
【0078】
比較例2として、特開2002−44728号公報、実施例1に従ってゲル組成物を作製した。すなわち、純水212.5mlにCMC粉末5.0g(ダイセル化学工業株式会社製;ダイセルCMC1130、エーテル置換度=0.73、1質量%水溶液の粘度75mPa・s)を溶解させ、該水溶液に塩基性酢酸アルミニウム(平均組成式:AlO(CHCO)4・4(HO)、和光純薬工業株式会社製)0.5g(アルミニウムイオン換算量としてCMC重量1kg当たり134ミリモル、即ち、アルミニウム対CMCのイオン当量比が0.48)をグリセリン12.0gに分散させて調整した分散液を添加した。該水溶液を均一になるまで撹拌してCMCゲルを得た。
次に上記CMCゲルを80℃で10時間熱風乾燥し、乾燥物を小型粉砕機(大阪ケミカル株式会社製;WONDER BLENDER)で粉砕した。
上記で得られた粉砕物について0.1質量%塩化カルシウム水溶液の吸水量・保水量・給水保持率、及びゲル強度の結果を表1に、二十日大根の生育度合い試験、及び生分解性試験の結果を表2に示す。
【比較例3】
【0079】
比較例3として、市販されているポリアクリル酸系の農園芸用土壌保水材(日本合成化学社製;商品名 アクアリザーブGP−43)について0.1質量%塩化カルシウム水溶液の吸水量・保水量・吸水保持率、及びゲル強度の結果を表1に、二十日大根の生育度合い試験の結果、及び生分解性試験の結果を表2に示す。
【比較例4】
【0080】
比較例4として、農園芸用土壌保水材を混合していない土壌を用いて行った二十日大根の生育度合い試験の結果を表2に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
本発明の実施例1では、0.1質量%塩化カルシウム水溶液の吸水量、及びゲル強度において優れた性能を有していた。また、表2から明らかなように、高い発芽率を示し、二十日大根の生育度合いは非常に良好であった。さらに、土壌中の農園芸用土壌保水材も60日後には完全に生分解されて消失していた。
【0084】
比較例1では、固形分濃度を3質量%、アルミニウムイオン量をCMC1kg当たり50ミリモルとした以外は実施例1と同様にして作製したものである。比較例1は0.1質量%塩化カルシウム水溶液に対して吸水量、生分解性においては非常に優れた性能を有していたが、ゲル強度が極めて低く、土中で軟化してゲルブロッキングを起こしており、二十日大根が根腐れしていることが確認された。表2に示したように、二十日大根の発芽率は低く、生育状況は不良であった。すなわち、吸水量、及び水の放出性に優れていても、吸水後のゲル強度が低くては植物の育成に効果がないことがわかる。
【0085】
比較例2では、0.1質量%塩化カルシウム水溶液の吸水量は低いものの、保水量が吸水量とほぼ同じ数値となり、結果として給水保持率は86%と高くなった。二十日大根の生育度合い試験における発芽率も低く、生育状況も不良で枯死した。これは揮発性親水性溶媒などでゲル中水分の脱水を行わず、ゲルを単に熱風で乾燥させただけのため、保水材に多孔性が付与されず、水分を速やかに吸収して膨潤できなくなったことが原因と考えられる。一方、低固形分濃度でゲルを作成しているため保水量が高く吸水量と同等となってしまい、給水保持率が86%であった。このため植物が生育するために必要な水分まで吸収してしまい、水の放出性が悪いため農園芸用植物に適当量の水分を供給できておらず、給水保持率が60%を超える保水材は植物の生育に悪影響を及ぼすことが証明された。
【0086】
比較例3では、0.1質量%塩化カルシウム水溶液の吸水量、保水量、吸水保持率は高い数値をとった。しかし、二十日大根の生育度合い試験において発芽率は低く、生育状況も不良で枯死した。これは吸水保持率が高い、すなわち水の放出性が悪く、農園芸用植物が生育するために必要な水分を供給できておらず、農園芸用植物の育成に効果がないことがわかる。
【0087】
比較例4では、二十日大根の生育度合い試験において、土壌が容易に乾燥してしまった。土壌だけでは農園芸用植物を生育するために必要な水分を保持できず、枯死させてしまう。
【0088】
以上のことから、本発明の土壌保水材は二価のカチオンを含む水溶液、0.1質量%塩化カルシウム水溶液に対して優れた吸水量、ゲル強度を持つことがわかる。また、植物の生育に必要な水分を適度に供給することができるこれまでにない吸水保持能力を持ち、さらに、地球環境にも低負荷である生分解性の材料であることから、本発明により植物の発芽を促進し、安全性の高い農園芸用保水材を提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価金属イオンで架橋されたセルロース誘導体又はその塩を必須に含み、下記の(1)〜(3)全ての性能を満たすことを特徴とする農園芸用土壌保水材:
(1)該農園芸用土壌保水材の0.1質量%塩化カルシウム水溶液吸水量が自重の20倍以上である、
(2)該農園芸用土壌保水材の0.1質量%塩化カルシウム水溶液に対する吸水保持率(保水量/吸水量)が5%〜60%である、そして、
(3)該農園芸用土壌保水材の0.1質量%塩化カルシウム水溶液20倍吸水後のゲル強度が2.0×10-5N/mm2以上である。
【請求項2】
多価金属イオンが、アルミニウムイオン、チタニウムイオンおよび鉄イオンからなる群から選ばれる1種以上の金属であることを特徴とする請求項1記載の農園芸用土壌保水材。
【請求項3】
セルロース誘導体又はその塩が、カルボキシメチルセルロース塩であることを特徴とする請求項1又は2記載の農園芸用土壌保水材。
【請求項4】
多価金属イオンが、アルミニウムイオンであり、セルロース誘導体又はその塩が、カルボキシメチルセルロース塩であり、かつ、アルミニウム対カルボキシメチルセルロース塩のイオン当量比が1.0×10-4〜0.099であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の農園芸用土壌保水材。
【請求項5】
カルボキシメチルセルロース塩が、エーテル置換度が0.3〜2.8であり、且つその1質量%水溶液の粘度が10mPa・s〜20000mPa・sであることを特徴とする請求項3または4記載の農園芸用土壌保水材。
【請求項6】
a)多価金属イオン及び界面活性剤を含み、且つ、pHを1.0〜7.0に調整した水溶液を提供する工程、
b)該水溶液にセルロース誘導体又はその塩を、その添加後の混合液に対して固形分濃度が5〜40質量%となるように添加し、セルロース誘導体又はその塩を架橋させると共に水で膨潤、水和させてゲル化させる工程、
c)得られたセルロース誘導体又はその塩の架橋体のゲルを親水性揮発性溶媒と接触させて脱水する工程、及び、
d)乾燥する工程、
を含む請求項1〜5のいずれかに記載の農園芸用土壌保水材の製造方法。
【請求項7】
さらに工程c)またはd)の後に表面架橋剤にて処理する工程を含む、請求項6記載の方法。

【公開番号】特開2006−262847(P2006−262847A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88954(P2005−88954)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(591178012)財団法人地球環境産業技術研究機構 (153)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】