説明

農業用組成物

(i)2次的栄養素又は微量栄養素;(ii)安息香酸又はその生物学的に許容される誘導体;及び(iii)式(I):
【化1】


(式中、R1はC1-10アルキル基、又はC2-10アルケニル基であり、そしてMは原子価nのカチオンである)の水溶性塩を含む、植物に2次的栄養素又は微量栄養素を投与するための農業用組成物。該組成物を含む製剤、及びそれらの使用もまた含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農業用組成物に関し、特に肥料組成物、該組成物を含む製剤、並びに該組成物を利用した植物の処理への使用及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物は健全な成長のためにある範囲の栄養素を必要とする。これらの栄養素には窒素、リン、カリウム、炭素及び水のような主要栄養素、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、塩素及びイオウのような二次的栄養素、並びに微量栄養素が含まれ、微量栄養素には銅、コバルト、鉄、マンガン、ホウ素、モリブデン、亜鉛、ケイ素及びニッケルが含まれる。
【0003】
二次的栄養素及び微量栄養素を植物に導入するのは難しい。それらは土壌中にかなりの量存在しているとしても、植物へのそれらの利用性は低い。植物が次善の非生物的条件に付された場合、問題は悪化する。
【0004】
今までこれらの栄養素の植物への利用性を向上させるために使用された一つの方法は、それらをEDTAのような化学キレート剤と組み合わせて適用することである。しかしながら、合成化学キレートは、土壌中で分解せず、そしてそれらの目的を果たした後に望ましくない要素を掃去しないので、環境に有害である。
【0005】
従って、二次的栄養素及び微量栄養素を、特に長期の又は一時的なストレス条件中で、摂取する植物の能力を改良する手段が要望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人は、二次的栄養素及び微量栄養素を植物に投与する改良方法を見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(i)二次的栄養素又は微量栄養素;(ii)安息香酸又はその生物学的に許容される誘導体若しくは塩;及び(iii)式(I):
【化1】

(式中、R1はC1-10アルキル基、又はC2-10アルケニル基であり、そしてMは原子価nのカチオンである)の水溶性塩を含む農業用組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
二次的栄養素又は微量栄養素は微量元素として知られているものの1種であるのが適当である。二次的栄養素はカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、塩素(chloride)又はイオウであることができる。微量栄養素は銅、コバルト、鉄、マンガン、ホウ素、モリブデン、亜鉛、ケイ素又はニッケルであることができる。二次的栄養素又は微量栄養素の1種又はそれ以上が組成物中に存在することができる。本発明は二次的栄養素又は微量栄養素の組み合わせの摂取に特に有益であることが見いだされた。従って、組成物は2種以上の二次的栄養素又は微量栄養素を含むのが好ましい。組成物は、i)銅、鉄、マンガン及び亜鉛;ii)銅、鉄、マンガン、マグネシウム、ホウ素、モリブデン及び亜鉛;iii)銅、マグネシウム、マンガン及び亜鉛;iV)鉄及びマグネシウム;v)マンガン及び亜鉛;又はvi)マンガン、亜鉛及びカルシウムの組み合わせを含むのが特に好ましい。
【0009】
二次的栄養素又は微量栄養素は塩の形態で存在してもよい。二次的栄養素及び微量栄養素はそれらの水溶性塩の摂取により植物に吸収される。従って、二次的栄養素又は微量栄養素の塩は、水溶性塩であるのが好ましい。本発明での使用のために、二次的栄養素及び微量栄養素の適当な水溶性塩には硝酸塩、硫酸塩、酸化物及び塩化物が含まれる、硝酸塩及び塩化物が好ましい。特定の例には、硝酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硝酸鉄又は硝酸マンガンが含まれる。本発明の一つの態様では、適当な塩には式(I)で表される二次的栄養素及び微量栄養素の塩もまた含まれる。かかる塩では、式(I)のMは二次的栄養素又は微量栄養素を示す。しかしながら、組成物中に存在する唯一の2次的若しくは微量栄養素がマグネシウムの場合は、組成物中に式(I)の化合物の塩として単独で存在しないであろう。ここで該化合物はジヒドロジャスモン酸塩である。
【0010】
二次的栄養素又は微量栄養素の塩は本発明の組成物又は製剤中に10%v/vまでの量、好ましくは5〜10%v/vの量、最も好ましくは4〜6%v/vの量で存在し得る。存在する全ての二次的栄養素及び微量栄養素の合計濃度は0.01〜40%w/wの濃度範囲、好ましくは6〜30%w/wの範囲であることができる。存在する個々の二次的栄養素又は微量栄養素の濃度は0.01〜30%w/wの濃度範囲、好ましくは0.05〜20%w/wの範囲であることができる。
【0011】
二次的栄養素又は微量栄養素の塩は固体粉末として存在し得る。それは例えば粒子又は顆粒の形態であり得る。この形態で、該塩は安息香酸又は誘導体で被覆されてもよい。
【0012】
二次的栄養素又は微量栄養素が、他の化合物又は材料と組み合わせて、例えば錯体を形成して存在すると特に有利であることが見いだされた。二次的栄養素又は微量栄養素が追加の化合物とキレート化するか又はキレート化錯体の一部を形成していると、例えばキレート剤と組み合わされていると、特に好ましい。特に二次的栄養素又は微量栄養素は、栄養生成物及び/又は生育促進剤であるキレート剤と組み合わされて、例えば錯体を形成して、存在し得る。例にはリグナン、リグニン酸(リグノス)、海草抽出物、クエン酸、フミン酸、フルビン酸、ウルミン酸、及びアミノ酸が含まれる。それらは海草粉末、フミン酸及びフルビン酸粉末、及びアミノ酸粉末のようなあらゆる適当な源から得ることができる。二次的栄養素又は微量栄養素は組成物中にリグナン及びリグニン酸(リグノス)、クエン酸、フミン酸又はアミノ酸との錯体、例えばキレート化錯体、として存在するのが好ましい。適当なリグナンにはリグノ硫酸カルシウム、カリウム、ナトリウム及びアンモニウムが含まれる。
【0013】
存在する全てのかかるキレート剤の合計濃度は、0.01〜10%w/wの濃度範囲、好ましくは5〜10%w/wの範囲であり得る。個々のキレート剤の濃度はその特定の性質によるであろう。キレート剤がリグナンの場合、それは5〜10%w/wの濃度範囲、好ましくは7〜8%w/wの範囲で存在し得る。キレート剤がクエン酸の場合、それは0.5〜2.0%w/wの濃度範囲、好ましくは約1%で存在し得る。キレート剤がアミノ酸の場合、それは0.1〜10%w/wの濃度範囲、好ましくは約0.3〜8%w/wで存在し得る。グリシンの好ましい濃度は3〜7%w/w、好ましくはほぼ5%である。アルギニンの好ましい濃度は0.1〜2%w/w、好ましくはほぼ0.5%である。
【0014】
安息香酸は安息香酸として、又はその誘導体の形態で、又は安息香酸とその誘導体の混合物として存在し得る。いかなる生物学的に適当な非植物毒性の安息香酸誘導体が使用し得る。例には、一、二又は三置換安息香酸が含まれ、適当な置換基にはハロ(例えばCl、F)、アルキル(例えばメチル、エチル等)、アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ)及びヒドロキシが含まれる。適当な安息香酸誘導体には、サリチル酸(1−ヒドロキシ安息香酸)及びジカンバ(3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸)が含まれる。
【0015】
許容し得る安息香酸誘導体には、安息香酸基を含む化合物又はその誘導体が含まれ、そして式(V)の化合物:
【化2】

[式中、R4は基OR7、SR7又はNR78(ここで、R7及びR8はそれぞれ独立して、水素又はヒドロカルビルから選ばれる)であり、そしてR5及びR6はそれぞれ独立して水素、ヒドロキカルビル基又は官能基から選ばれるか、又はR5及びR6はそれらが結合する炭素原子と一緒に、酸素、窒素又はイオウから選ばれる1種又は2種以上のヘテロ原子を含んでもよい縮合環系を形成する]が含まれる。
【0016】
特にR4は基OR9(ここでR9は水素又はC1-6アルキル、例えばメチル)である。好ましくはR4はOHである。
【0017】
本願で使用される用語“官能基”とは、反応性基、特に電子求引性基、例えばOR10又はC(O)R10(ここでR10は水素又はメチルのようなC1-6アルキルである)を云う。
【0018】
5及びR6は水素であるか、又は一方が水素で、他方が環のオルト位置に配置された官能基、例えばOH又はC(O)CH3、であるのが適当である。
【0019】
或いは、R5及びR6はそれらが結合する炭素原子、好ましくは隣接する炭素原子と一緒に縮合環を形成し、該縮合環は5又は6個の原子、好ましくは5個の原子を含み、該原子の少なくともいくつかはヘテロ原子である環であるのが好ましい。該環は事実上芳香族であるのが適当である。このタイプの環系の特定の例は1,2,3−ベンゾチアジアゾールである。
【0020】
式(V)の化合物の特定の例には、サリチル酸、アセチルサリチル酸(又は2−アセトキシ安息香酸)、サリチル酸メチル、安息香酸、及びアシベンゾラー−S−メチル(acibenzolar−S−methyl)、並びにそれらの農業的に許容される塩が含まれる。
【0021】
安息香酸又は誘導体は本発明の組成物又は製剤中にその塩、好ましくはその水溶性塩として存在するのが適当である。本発明で使用するための適当な安息香酸又はその誘導体の水溶性塩には、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ニッケル、鉄、亜鉛、クロム、カリウム、アンモニウム、及びモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−アルキルアンモニウム塩が含まれる。有機塩又は誘導体もまた使用し得、例えば安息香酸又はその誘導体のエステル又はアミド、特にアルキルエステル、例えばC1-10アルキルエステル、を使用し得る。安息香酸については、安息香酸ナトリウムのようなナトリウム塩が好ましい。サリチル酸については、サリチル酸アセチルが特に適当である。
【0022】
安息香酸又は誘導体の合成又は天然形態を使用し得る。天然形態には安息香酸又はその誘導体を主要成分として含むエッセンシャルオイル(精油)が含まれる。例として、冬緑油の主要成分はサリチル酸メチルである。サリチル酸又はサリチレートを含むエッセンシャルオイルの例には、冬緑油、及びケノポジ(Chenopodium)、エリトロキシラム(Erythroxylum)、ユージニア(Eugenia)、ゴールテリア(Gaultheria)、ミリスチカ(Myristica)、シジジウム(Syzygium)、キサントフィラム(Xanthophyllum)、シナモニウム(Cinnamonium)、ゴールテリア(Gualtheria)、ゴシピウム(Gossypium)及びハッカからの油が含まれる。
【0023】
安息香酸又は誘導体は本発明の組成物又は製剤中に2%v/vまでの割合、好ましくは0.001〜0.5%v/vの割合で存在するのが適当である。安息香酸又は誘導体は、例えば適用される製剤中に1g/L以上の割合で存在し得る。安息香酸又は誘導体は0.001〜1.000%w/wの濃度範囲、好ましくは0.003〜0.500%w/wの濃度範囲、そして更に好ましくは0.005〜0.300%w/wの濃度範囲で存在し得る。
【0024】
式(I)の水溶性塩については、Mは金属カチオン、例えばアルカリ金属、特にカリウム又はナトリウム(nが1の場合)、又はアルカリ土類金属、例えばマグネシウム(nが2の場合)であることができ、但し、それらから形成される塩は水溶性である。従って、Mはカルシウム以外であるのが適当である。塩は水混和性油の形態(例えばカリウム塩及びナトリウム塩)であるか、又は固体の形態、例えばマグネシウム塩、であり得る。
【0025】
アルキル又はアルケニル基R1は直鎖でも分枝鎖でもよい。しかしながら、R1は直鎖アルキル若しくはアルケニル基であるのが好ましい。
【0026】
特定の態様で、R1は5個の炭素原子を含む。それは、式(I)の化合物をジヒドロジャスモン酸塩にするペンチル基、又は式(I)の化合物がジャスモン酸塩となるようにペンタ−2−エニル基から選ばれるのが好ましい。
【0027】
式(I)の化合物はジヒドロジャスモン酸の誘導体の水溶性塩であるのが適当である。従って、特に好ましい塩はジヒドロジャスモン酸マグネシウムである。この塩は非常に良好な取扱い性及び流動性を有し、農業用製剤の状況で特に有用となる。
【0028】
式(I)の化合物の本発明の一態様で、Mは上記の通りであるが、但しR1がペンタ−2−エニル基である場合は、Mはナトリウム又はカリウム以外のものである。
【0029】
式(I)の化合物の塩は0.001〜1.000%w/wの濃度範囲、好ましくは0.003〜0.500%w/wの濃度範囲、更に好ましくは0.003〜0.100%w/wの濃度範囲、そして最も好ましくは0.005〜0.050%w/wの濃度範囲で存在し得る。
【0030】
式(I)の化合物は、式(II)の化合物:
【化3】

(式中、R1は式(I)において定義した通りであり、そしてR2は水素又はヒドロカルビル基から選ばれる)を、式(III)の化合物:
n+ (OR3)n (III)
(式中、M及びnは式(I)において定義した通りであり、そしてR3は水素又はC1-3アルキル基、例えばメチル、である)と反応させることを含む方法により製造し得る。反応は溶媒中で行うのが適当であり、該溶媒は水、又は有機溶媒、例えばアルカノール、特にメタノール、又はトルエンであることができる。
【0031】
製造される特定の塩しだいで、反応は中程度の温度、例えば0〜50℃、便利には室温、で行うか、又は高温、例えば50℃〜100℃、便利には溶媒の還流温度、で行い得る。
【0032】
生成物は、溶媒の蒸発後、固体として、又は水溶液の形態で採取するのが適当であり、それは製剤に直接使用される。
【0033】
本願で使用される用語“ヒドロカルビル”とは、炭素と水素を含む有機基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、又はベンジルのようなアラアルキル基、を云う。用語“アルキル”とは、適当には1〜20個、好ましくは1〜10個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖を云う。同様に用語“アルケニル”及び“アルキニル”とは、適当には2〜20個、好ましくは2〜10個の炭素原子を含む不飽和ヒドロカルビル基を云う。用語“アリール”とは芳香族ヒドロカルビル基、例えばフェニル及びナフチル、を云い、一方“アラアルキル”とは、アリール基で置換されたアルキル基、例えばベンジル、を云う。
【0034】
2がヒドロカルビル基である特定の態様では、R2はC1-10アルキル基、適当にはC1-6アルキル基、例えばメチル、から選ばれる。
【0035】
式(III)の化合物は、水酸化カリウムのような公知の化合物であり、それは直接使用できる。或いは、式(III)の化合物はその場で生成し得る。これはMがマグネシウムであり、そしてR3がメチルのようなC1-3アルキルである場合に特に適用し得る。本出願人は、この化合物を製造するのによい方法は、マグネシウムをメタノールのようなC1-3アルカノールとヨウ素のような触媒の存在下で反応させることであることを見いだした。反応混合物を適当に加熱して式(III)の化合物を形成し、そこで式(II)の化合物の同じアルカノールの溶液を加え、そして反応を開始する。
【0036】
式(II)の化合物は公知の化合物であるか、或いは慣用法を用いて製造し得る。適当な反応条件は当業者に明らかであるが、R2がヒドロカルビル基である式(II)の化合物を水酸化ナトリウムのような塩基と反応させ、次に塩酸のような酸と反応させることを含んでいる。
【0037】
式(I)の化合物はキラル中心を含み、本発明は光学活性体、及びラセミ混合物を含むあらゆる割合のその混合物を含む全ての形態を含み得る。
【0038】
本発明は、組成物がそれを適用した植物による微量元素摂取を改善するので、有利である。組成物の成分、即ち、安息香酸またはその誘導体、式(I)の化合物、及び二次的栄養素又は微量栄養素は一緒になって植物に供給した栄養材料の摂取を向上させるという点で相乗作用的に働く。組成物は、長期の又は一時的なストレスの条件中で植物が栄養素を摂取する能力を改良する。特に、組成物は乾燥土壌、高温、低温、日中の温度変化、水浸し、極度のpH及び極度の塩分のような条件中での栄養素の採取を改良する。本発明は、変化する条件中での栄養素供給の継続性を改良することにより、植物、特に作物、の成長の質を改良することができる。本発明は、特にストレス条件下で、乏しい栄養素摂取及び不完全なコンパートメント化による減少した栄養状態に関連する植物病害(例えば、穀類における病害(立ち枯れ病(Take All))を減少させる助けとなる。栄養素摂取における改良は、二次的栄養素又は微量栄養素が組成物中にリグナン及びリグニン酸(リグノス)、クエン酸、フミン酸又はアミノ酸との錯体として存在する場合に特に著しいことが見いだされた。かかる場合、本発明は更にキレート化を使用して微量元素栄養摂取を改良する。該組成物は、ファイトアレキシンの生成を刺激しそしてエチレン(ストレスホルモン)合成を減少させることにより、植物の“全身獲得抵抗性”(SAR)を増加させて、植物のストレス及び病気への抵抗を増加させるので、有益である。
【0039】
前に概説したように、本発明の組成物はストレス時に植物の助けとなる。植物が非生物的ストレスに遭遇した時(それは強い光り、除草剤、オゾン、熱、低温、凍結、かんばつ、塩分、洪水、及び重金属毒性であり得る)、植物は酸化性ストレスを生じる活性酸素種(ROS)の生成を増加させる。ROSは植物の細胞構成物に化学的損傷を引き起こす。ROSが、植物が対処できるよりも高いレベルまで蓄積すると、細胞内にタンパク質溶解が起き、毒性アンモニアが蓄積することが有り得る。これは植物が非常に多くのアンモニアを外部環境から摂取した場合(通常、尿素又はアンモニア含有肥料の施肥による)も起き、そして肥料使用の主な制限因子である。ジャスモン酸及び類似の化合物、例えばジャスモン酸、ジャスモン酸メチル及びジャスモン酸ジヒドロメチル、は誘導全身抵抗性(ISR)と呼ばれる過程を刺激することが知られ、これはストレス及び病気への耐性を生じる助けとなる。しかしながら、ジャスモン酸及びその誘導体は一般に油であり、水に非混和性であり、配合及び施用の問題を生じることになる。式(I)の化合物は、ISR性が望ましいであろう農業用製剤に適切に使用される。本発明の化合物の水溶性は、慣用のジャスモネートをこの方法で使用した場合に存在した配合問題及び利用困難性を克服する。しかしながら、いくつかの化合物はROSを増加させる望ましくない作用を有し、これは細胞に損傷を引き起こし、そして酸化性ストレスを生じ得る。これはかかる化合物の効果を制限する。何故なら、かかる化合物が植物内に蓄積すると有毒性となり、そして究極的には非生物的ストレス耐性を与える効能における制限因子となるからである。例えば、アセチルサリチル酸のストレス耐性を与える効能は、それを使用した場合に酸化性ストレスを生じるので制限され、そしてカルシウムフラックスが細胞質に入るのを制限する(これにより、タンパク質溶解−これは酸化性ストレスにより増加する−又は肥料の使用によるアンモニア蓄積に対する細胞の耐性が少なくなる)ことが知られている。同様に、ジャスモネート化合物のような式(I)の化合物はISRを引き起こし得るが、それらの使用は(適当度ないと)、エチレン生成を増加させ、それはある条件下では細胞壁から細胞質ゾルへのカルシウムのフラックスを増加させることにより細胞壁を弱める、というマイナス面を有し得る。細胞質のカルシウムの増加は、植物が長期の非生物的ストレスの間に蓄積するアンモニアを中和するのを助けるが、カルシウムが細胞壁カルシウム(カルモジュリン結合位置に保持される)を補給するのに利用可能でないと、細胞壁は一体性を失い、そして植物は生物的ストレスを一層受け易い。
【0040】
従って、特に好ましい態様では、本発明は酸化防止性化合物を更に含む組成物を提供する。
【0041】
特に好ましい態様では、本発明は(i)二次的栄養素又は微量栄養素;(ii)安息香酸又は生物学的に許容されるその誘導体若しくは塩;(iii)前に定義した式(I)の化合物の水溶性塩;及び(iv)酸化防止剤を含む組成物を提供する。
【0042】
特に適した酸化防止剤にはアルギニン、又はアルギニンが前駆体であるポリアミン、例えばプトリシン、スペルミン、及びスペルミジン、が含まれる。これらの化合物は、非生物的ストレスの間ROSの蓄積に対抗するのに使用でき、そして非生物的ストレス耐性にも関係する酸化防止性を有する。特に好ましい酸化防止剤はアルギニンである。
【0043】
この組成物中で、式(I)の化合物はポリアミン(スペルミン、スペルミジン及びプトリシン)の形成を増大させ、それらはアルガニン(arganine)(同じく供給された)から作られる。アルギニンは酸化性ストレスを即時に取り除き、そして充分なアルガニンが存在してポリアミンを生成するのを確実にする(ポリアミンは酸化防止剤であると共に、細胞壁の一体性を保持するのにカルシウムと同様な役割を果たすことができ、従って細胞壁を保護しそしてNH4毒性を制御する役割を有する)。
【0044】
更に、式(I)の化合物と安息香酸又はその誘導体との組み合わせを供給することにより、エチレン蓄積が抑えられるので、個々の化合物の効能が改良され得る。
【0045】
該組成物に使用される成分の割合はこれらの成分の正確な性質により変わるであろう。例えば、成分(ii)及び(iii)は一般に1:1〜1:2w/wの割合で存在するであろう。
【0046】
使用される酸化防止剤の量もまた、その性質に依存して変わり得る。スペルミン、スペルミジン及びプトリシンのようなホルモン効果を有する酸化防止剤は非常に控えめに、例えば成分(iii)と等量で、使用するのが適当であろう。このように、かかる組成物は、成分(iii):(ii):(iv)を1:1:1〜1:2:1w/wの割合で含む組成を有し得る。
【0047】
しかしながら、アルギニンのような好ましい酸化防止剤はより多量、例えば成分(iii)の20倍までの量で存在し得る。従って、この場合の好ましい組成物は、成分(iii):(ii):(iv)が1:2:20又は1:1:20w/wまでの範囲、例えば1:1:10〜1:2:10w/wの範囲で存在し得る。
【0048】
本発明の組成物はまた、他の農業上許容される成分の1種又は2種以上を含み得る。かかる成分の例には、水、追加の栄養材料、カフェイン群の1員、植物油、エッセンシャルオイル、代謝刺激剤、乳化剤、増粘剤、固化防止剤、懸濁剤、分散剤、担体又は賦形剤、及び湿展剤が含まれる。
【0049】
本発明で使用するためのカフェイン群の適当なメンバーには、カフェイン(3,7−ジヒドロ−1,3,7−トリメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)、キサンチン(3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン)、テオブロミン(3,7−ジヒドロ−3,7−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)及びテオフィリン(3,7−ジヒドロ−1,3−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)が含まれる。最も好ましいメンバーはカフェインである。カフェイン群のメンバーは50〜50ppmの範囲、更に好ましくは100〜300ppmの範囲、そして最も好ましくは約200〜250ppmの濃度で存在し得る。
【0050】
本発明の組成物に含めるのに適した植物油には、カノーラ油(菜種油)、大豆油、綿実油、ヒマシ油、アマニ油及びヤシ油が含まれる。
【0051】
本発明の組成物に使用するのに適した乳化剤には、あらゆる農業用に許容される乳化剤が含まれる。特に、乳化剤は界面活性剤、例えば:典型的には、当業界で知られたような、アルキルアリールスルホネート、エトキシ化アルコール、ポリアルコキシ化ブチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム、ポリアルキレングリコールエーテル及びブチルポリアルキレンオキシドブロックコポリマーを含んでもよい。Triton N57(商標)のようなノニルフェノール乳化剤は乳化剤の特定の例であり、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ICIから商品名“Tween(商標)”で販売)のようなポリオキシエチレンソルビタンエステルのように、本発明の組成物に使用し得る。いくつかの場合は、天然有機乳化剤が好ましいことがあり、特に有機農業への適用では好ましい。ココナッツジエタノールアミドのようなヤシ油はかかる化合物の例である。ステアリン酸ラウリルのようなパーム油製品もまた使用し得る。
【0052】
本発明の組成物に存在し得る増粘剤の例には、当業界で知られるように、ガム、例えばキサンタンガム、又はリグノスルホネート複合体が含まれる。
【0053】
本発明の組成物に含まれ得る適当な懸濁剤には、親水性コロイド(例えばポリサッカリド、ポリビニルピロリドン又はナトリウムカルボキシメチルセルロース)及び膨潤性粘土(例えばベントナイト又はアタパルジャイト)が含まれる。
【0054】
本発明の組成物に使用するのに適した湿潤剤には、当業界で知られたような、カチオン性、アニオン性、両性又は非イオン性型の界面活性剤が含まれる。
【0055】
本発明の組成物は更にエッセンシャルオイル又はその活性成分の1種又は2種以上を含んでもよい。該組成物は適当には5%w/w以下のエッセンシャルオイル、更に適当には3%w/w以下、そして好ましくは1.5%w/w以下のエッセンシャルオイルを含み得る。例えば、該組成物は1%w/w以下のエッセンシャルオイルを含み得る。
【0056】
本願で使用する表現“エッセンシャルオイル”とは、植物から得られる天然芳香油を云う。特定のエッセンシャルオイルには、テーゲテスエレクタ(Tagetes erecta)から得られる油のようなテーゲテス(マンジュギク)油、タイムスブルガリス(Thymus vulgaris)から得られる油のようなタイム油、冬緑油、ローズマリー油、ニンニク油、ケノポジ(Chenopodium)、エリトロキシラム(Erythroxylum)、ユージニア(Eugenia)、ゴールテリア(Gaultheria)、ミリスチカ(Myristica)、シジジウム(Syzygium)、キサントフィラム(Xanthophyllum)、シナモニウム(Cinnamonium)、ゴールテリア(Gualtheria)、ゴシピウム(Gossypium)及びハッカから得られる油が含まれる。しかしながら、本発明の組成物に含めるためのエッセンシャルオイルは、下記の表1に掲げた科(ファミリー)を含む広範囲の植物科から得られる。該表はまたこれらの科の各々に見られる特定の種の例を含む。
【0057】
〔表1〕
科(Family)
キツネノマゴ科(Acanthaceae)
アドハトーダ バシカ(Adhatoda vasica)(マルバーナッツ)
ウルシ科(Anacardiaceae)
アナカーダム オシデンターレ(Anacardum occidentale)(カシューナッツ)
バンレイシ科(Annonaceae)
アノナ ラチキュラータ(Annona reticulata)(牛心梨)
アノナ スクアモサ(Annona squamosa)(カスタードアップル)
モノドラ ミリスチカ(Monodora myristica)(ナツメッグ)
カワラニンジン(Apiacea)(セリ科)
アネサム グラベオレンズ(Anethum graveolens)(ディル)
カルム カルビ(carum carvi)(キャラウェー)
カルム ロクスバーギアナム(Carum roxburghianum)(ビショプボーフウ(Bishops weed))
ピンピネラ アニサム(アニシード)
キョウチクトウ科(Apocynaceae)
ナリム オレアンダー(Nerium oleander)(オレアンダー)
サトイモ科(Araceae)
アコルス カラムス(Acorus calamus)(ショウブ)
キク科(Asteraceae)
アゲラタム コンジアイデス(Ageratum conzyaides)(ゴートウィード(goatweed))
アルテメシア バルガリス(Artemesia vulgaris)(ヨモギ)
ブルメア バルサミフェラ(Bulmea balsamifera)(樟脳)
クリサンテマム インジカム(Chrysanthemum indicum)(マンサニリャ)
サウスレア ラッパ(Sausurea lappa)
ヘリアンサス アヌス(Hellianthus annus)(ヒマワリ)
アブラナ科(Brassicaceae)
ラファナス サチブス(Raphanus sativus)(大根)
セアサルピナセアエ(Ceasalpinaceae)
エリスロフレウム スアベオレンズ(Erythrophleum suaveolens)(試練木(ordeal tree))
白花菜科(Cappardaceae)
ボシカ セレガケンシス(Bosica senegalensis)
クレオメ モノフィラ(Cleome monophylla)
ニシキギ科(Cellastraceae)
セラストルス アンギュラタス(Celastrus angulatus)(ツルウメモドキ(Chinese bittersweet))
アカザ科(Chenopodiacea)
ケノポジウム アンブロシオデス(Chenopodium ambrosiodes)(甘いアカザ(Sweet pigweed))
オトギリソウ科(Clusiaceae)
カロフィラム イノフィルガム(Calophyllum inophyllgum)(ラウレルウッド(luarelwood))
ヒルガオ科(Convulvulaceae)
コンブルブルス アルベンシス(Convulvulus arvensis)(セイヨウヒルガオ(field
bindweed))
ウリ科(Cucurbitaceae)
モモルジカ キャランチア(Momordica charantia)(苦ウリ)
フタバガキ科(Dipterocarpaceae)
ショレア ロブスタ(Shorea robusta)(サラノキ)
ツツジ科(Ericaeae)
グアルテリア プロカムベンス(Gualtheria procumbens)(ウインターグリーン(wintergreen))
トウダイグサ科(Euphorbiaceae)
ジャトロファ クルクス(Jatropha curcus)(ナンヨウアブラギリ(Physic nut))
マメ科(Fabaceae)
ブテア フロンドサ(Butea frondosa)(カエンボク(flame of the forest))
グリリシジア セピウム(Gliricidia sepium)(マドレカカオ(Madre de Cacao))
プソラレア コイリフォリア(Psoralea coylifolia)
ポンガミア グラブラ(Pongamia glabra)(カランジャ(karanja))
トリゴネラ フォーナム(Trigonella foenum)(コロハ(fenugreek))
イネ科(Graminaceae)
シンボプゴン マルチニ(Cymbopgon martini)(ジンジャーグラス(gingergrass))
オリザ サチバ(Oryza sativa)(稲(rice))
ラミナエアエ(Laminaeae)
ビストロポゴン(Bystropogon)種(spp.)
コレウス アンボイニクス(Coleus amboinicus)(オレガノ(oregano))
ハイプチス スピシゲラ(Hyptis spicigera)(黒ゴマ(black sesame))
ハイプチス スアベオレンス(Hyptis suaveolens)
ラベンデュラ アングスチフォリア(Lavendula angustifolia)(ラベンダー)
メンタ アルベンシス(Mentha arvensis)(ハッカ(cornmint))
メンタ ロンギフォリア(Mentha longifolia)(ヤグルマハッカ(Horsemint))
メンタ ピペリタ(Mentha piperita)(ペパーミント(peppermint))
メンタ スピカタ(Mentha spicata)(スペアミント(spearmint))
オシマム バシリクム(Osimum basilicum)(メボウキ(sweet basil))
オシマム カヌム(Osimum canum)(アメリカンバジル(American basil))
オシマム キリマンドシャルクム(Osimum kilimandscharicum)
オシマム スアベ(Osimum suave)(野生バジル (wild basil))
オリガナム バルガラエ(Origanum vulgarae)(オレガノ(oregano))
ポゴステモン ヘイネアヌス(Pogostemon heyneanus)
ローズマリアヌス オフィシアニス(Rosmarianus officianis)(ローズマリー(rosemary))
サルビア オフィシアナリス(Salvia officianalis)(セージ(sage))
タイムス バルガリス(Thymus vulgaris)(ガーデンタイム(garden thyme))
テトラデニア リパリア(Tetradenia riparia)
クスノキ科(Lauraceae)
シナモマム アロマチクム(Cinnamomum aromaticum)(カッシア(cassia))
ルアリス ノビリス(Luaris nobilis)(月桂樹(sweet bay))
ユリ科(Liliaceae)
アリウム(Allium)
アリウム サチバム(Allium sativum)(ニンニク(garlic))
センダン科(Meliaceae)
アザジラクタ インジカ(Azadirachta indica)(インドセンダン(neem))
メリア アゼダラク(Melia azedarach)(ペルシァライラック(Persian lilac))
メニスペラセアエ(Menisperaceae)
シッサムペロス オワリエンシス(Cissampelos owariensis)(パレーラ(Pareira brava))
ヤブコウジ科(Myrsinaceae)
エムベリア リベス(Embelia ribes)
フトモモ科(Myrtaceae)
ユーカリプタス(Eucalyptus)spp.
ユーカリプタス シトリオダラ(Eucalyptus citriodara)(レモン香ゴム(lemon-scented gum))
ユーカリプタス グロブス(Eucalyptus globus)(ユーカリ木(Blue gum tree))
ユーカリプタス テレチコミス(Eucalyptus terreticomis)
フィジウム グアジャバ(Psidium guajava)(グァバ(guava))
シジギウム アロマチクム(Syzygium aromaticum)(クローブ(clove))
ニクズク科(Myristicaceae)
ミリスチカ フラグランス(Myristica fragrans)(ニクズク(mace))
コショウ科(Piperaceae)
ピパー クベダ(Piper cubeda)(ヒハツモドキ(java long pepper))
ピパー クイネエンセ(Piper guineense)(アシャンティコショウ(Ashanti pepper))
ピパー ニグルム(Piper nigrum)(黒コショウ(black pepper))
キンポウゲ科(Ranunculaceae)
ニゲラ サチバ(Nigella sativa)(黒クミン(black cumin))
ミカン科(Rutaceae)
アエグレ マルメロス(Aegle marmelos)(ベンガルマルメロ(Bengal quince))
シトルス アウランチフォリア(Citrus aurantifolia)(ライム(lime))
シトルス リモン(Citrus limon)(レモン(lemon))
シトルス パラジシ(Citrus paradisi)(グレープフルーツ(grapefruit))
シトルス シネンシス(Citrus sinensis)(スイートオレンジ(sweet orange))
リモニア アシジシマ(Limonia acidissima)(マツバイ(roem))
ザントキシルム アラツム(Zanthoxylum alatum)(アメリカザンショウ(prickly ash))
ニガキ科(Simarubaceae)
クアッシア アフリカーナ(Quassia Africana)
ナス科(Solanaceae)
カプシクム アヌム(Capsicum annum)(ピーマン(bell pepper))
カプシクム フルテセンス(Capsicum frutescens)(タバスコ(Tabasco))
リコパーシコン エスキュレンツム(Lycopersicon esculentum)(トマト(tomato))
ニコチアナ タバクム(Nicotiana tabacum)(タバコ(tobacco))
ウィタニア ソムニフェラ(Withania somnifera)(ホオズキ(winter cherry))
ベベナセアエ(Vebenaceae)
クレロデンドロン シフォナンタス(Clerodendron siphonanthus)
ランタナ カマラ(Lanatana camara)(ランタナ(yellow sage))
リッピア ゲミナタ(Lippia geminata)(野生セージ(wild sage))
ビテックス ネグンド(Vitex negundo)(ベグニア(begunnia))
ショウガ科(Zingiberaceae)
アフロモマム メラグエタ(Afromomum melagueta)(粒の喜び(grains of pleasure))
アルピニア ガランガ(Alpinia galanga)(ナンキョウ(greater galangal))
クルクマ ロンガ(Curcuma longa)(ターメリック(tumeric))
ジンギバー オフィシナーレ(Zingiber officinale)(しょうが(ginger))
【0058】
用語“その活性成分”とは、植物内で所望の活性を生じるエッセンシャルオイル内の化学物質を云う。かかる活性には、代謝刺激効果、抗菌効果、昆虫又はクモ形類殺滅又は忌避効果、抗ウィルス効果及びウィルス治療効果が含まれる。該オイルは単独で存在しても、又は異なるオイルとの組み合わせを含めてもよい。
【0059】
エッセンシャルオイルを本発明の組成物に含めた場合、該オイルは該組成物が適用された植物の代謝を刺激することができ、従って二次的栄養素又は微量栄養素の根摂取又は葉吸収による摂取及び利用性を増加させる。好ましくは、エッセンシャルオイル又はその活性成分は、組成物に存在する特定の二次的栄養素又は微量栄養素の1種又は2種以上を利用する経路で植物代謝活性を増加させるものを選択する。その結果、植物は、より多くの栄養素を吸収してその要求を満たし、そして組成物の成分間の相乗効果を得ることができる。例えば、冬緑油又は類似のオイルはカルシウムの要求を刺激し、そして逆にカルシウムは冬緑油に存在する化合物への要求を刺激する。従って、冬緑油又は類似のオイル、或いはその活性成分を本発明の組成物に含めるのは有益である。更なる例は、本発明の組成物に、オーキシン生成に関係する経路を刺激するエッセンシャルオイルを混入することであろう。かかるエッセンシャルオイルは相乗作用的に働いて、二次的栄養素又は微量栄養素の摂取を向上させることができる。更に、多くのエッセンシャルオイルは抗菌又は昆虫若しくは節足動物及び線虫忌避若しくは殺滅活性を有し、そしてこれらを本発明の組成物に含ませてもよい。
【0060】
エッセンシャルオイル及びそれらの活性成分とは別に、本発明の組成物に使用して有益な代謝刺激効果を生じ得る他の薬剤が存在する。例えば、本発明の組成物にサイトカイニンを混入して、特定の二次的栄養素又は微量栄養素への要求を増大させるのに使用してもよい。
【0061】
本発明の農業用組成物は植物、特に作物植物に、あらゆる慣用の方法で、例えば土壌施用又は茎葉散布により、施用し得る。該組成物は必要に応じて根系、茎、種子、子実(grains)、球根、花、果実等に施用し得る。施用手段の例は、噴霧、例えば静電噴霧器又は他の慣用の噴霧器による噴霧、又は点滴潅漑法又は滴下施肥システムが含まれ、それらは土壌に直接施用して根からのカルシウム摂取を可能にすることを含む。
【0062】
本発明の組成物は施用手段に合わせることができ、例えば要求される施用手段に適した形態に調製し得る。本発明の組成物は、施用前に希釈を要する液体又は固体濃縮物の形態をとり得る。該組成物は、例えば水分散性粒剤、緩慢若しくは急速放出性粒剤、溶解性製剤、油混和性液剤、微量散布液剤、乳剤、分散性製剤、水中油型及び油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、懸濁製剤、エアゾル、カプセル懸濁小球、散粉粉剤、溶解性粉剤又は錠剤、及び種子処理製剤に形成し得る。組成物のエアゾル形体は適当な噴射剤、例えばn−ブタン、を用いて調製し得る。いかなる場合も、選択する形体の種類は、想定する特定の目的、及び組成物の物理的、化学的及び生物学的性質に依存するであろう。
【0063】
本発明の組成物はあらゆる慣用の技術及び方法を用いて調製し得る。顆粒は、例えば本発明の組成物を単独で、又は1種若しくはそれ以上の粉末化固体希釈剤若しくは担体と共に顆粒化することにより形成し得る。分散性製剤は、本発明の組成物を水中で、又はケトン、アルコール若しくはグリコールエーテルのような有機溶媒中で混合することにより調製し得る。懸濁製剤は、本発明の組成物を適当な媒体中で、場合によっては1種又はそれ以上の分散剤と合わせて懸濁液を生成することにより調製し得る。1種又はそれ以上の湿潤剤を懸濁液に含ませてもよく、そして懸濁剤を含ませて沈殿速度を減少させてもよい。該組成物の成分を合わせて製剤を形成してもよく、それを次に使用前に水のような農業的に許容される担体、又は肥料と混合し得る。かかる製剤は本発明の更なる側面を形成する。
【0064】
更なる側面では、本発明は植物又は植物の周囲に投与するための製剤を提供し、該製剤は本発明の組成物、及び該組成物を分散又は溶解し得る媒体を含む。
【0065】
適した媒体は、製剤の性質に依存して固体又は液体であることができ、そして組成物用の公知の分散剤又は溶媒、例えば水、又はn−プロパノールのような水混和性液体、を含む。該媒体は、非加圧の手動式スプレーポンプに使用し得る製剤を与えるようなものであるのが好ましい。該媒体は好ましくは溶媒、そして最も好ましくは水である。
【0066】
固体の媒体又は希釈剤は、天然粘土、カオリン、ピロフィライト(葉ろう石)、ベントナイト、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土(kieselguhr)、チョーク、珪藻土、リン酸カルシウム、軽石、アタパルガイト粘土、フラー土、粉砕トウモロコシ穂軸、砂、珪酸塩、炭酸ナトリウム、カルシウム若しくはマグネシウム、重炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、石灰、小麦粉、タルク、多糖類及びその他の有機及び無機固体担体を含み得る。
【0067】
液体の媒体又は希釈剤は、水、又はケトン、アルコール若しくはグリコールエーテルのような有機溶媒を含み得る。これらの溶液は界面活性剤(例えば水希釈を改良するため又はスプレータンク中での結晶化を防ぐため)を含んでもよい。
【0068】
使用する分散剤又は溶媒、例えば水の量は製剤の特定の投与態様及びどこに施用するかによるであろう。一般に、本発明の製剤は、本発明の組成物を10−20%v/v含み、残りは分散剤又は溶媒、例えば水であり得る。
【0069】
更に別の側面では、本発明は二次的栄養素又は微量栄養素を植物に供給する方法を提供し、該方法は植物又は植物の周囲に本発明の組成物又は製剤を適用することを含む。
【0070】
本発明は殆どの作物に使用するのに適するが、特に温室作物、野菜及び果物の作物の処理に使用することができる。
【0071】
あらゆる特定の状況で適用される組成物又は製剤の量は、多くの要因、例えば作物の性質及び必要とするカルシウムの量、により変わるであろう。典型的には、組成物又は製剤が溶液の形態の場合、適用する溶液の量は、噴霧する溶液濃度が2ml/ltから20ml/ltの間の流出割合を与えるに充分な量である。特定の態様では、本発明は、本発明の組成物又は製剤の、作物に1ヘクタール当たり1〜30リットルの割合、好ましくは1ヘクタール当たり1〜10リットルの割合で投与するための肥料としての使用を提供する。
【0072】
該組成物及び製剤は単独で(この場合、有機栽培者に適するであろう)又は殺菌剤、殺虫剤若しくは殺ダニ剤のような他の農薬と組み合わせて使用し得る。
【0073】
本発明の他の側面によると、植物による二次的栄養素又は微量栄養素の摂取を向上させる方法が提供され、該方法は、植物又は植物の周囲に本発明の組成物又は製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその誘導体、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を適用することを含む。
【0074】
本発明の他の側面によると、二次的栄養素又は微量栄養素の不足に関連した生理的障害を減少させる方法が提供され、該方法は植物又は植物の周囲に本発明の組成物又は製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその誘導体、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を適用することを含む。
【0075】
本発明の他の側面によると、植物における二次的栄養素又は微量栄養素の欠乏を防止する方法が提供され、該方法は植物又は植物の周囲に本発明の組成物又は製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその誘導体、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を適用することを含む。
【0076】
本発明の他の側面によると、局部的な二次的栄養素又は微量栄養素の不足の領域に起きる植物の病害又は感染を予防又は軽減する方法が提供され、該方法は植物又は植物の周囲に本発明の組成物又は製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその誘導体、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を適用することを含む。
【0077】
本発明の他の側面によると、長期の又は一時的なストレスの条件の間の成長習性を改善する方法が提供され、該方法は植物又は植物の周囲に本発明の組成物又は製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその誘導体、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を適用することを含む。
【0078】
本発明の他の側面によると、本発明の組成物又は製剤の、作物投与用の肥料としての使用が提供される。
【0079】
本発明の他の側面によると、本発明は、非生物的ストレス条件の間、高等植物の生長及び/又は収穫量及び/又は品質を改良する方法を提供し、該方法は植物又は植物の周囲に本発明の組成物又は製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその誘導体、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を施用することを含む。
【0080】
該組成物は、ストレス条件が起きている時又は予想される時に適用することができる。かかる条件には、強い光り、除草剤、オゾン、熱、寒さ、凍結、干ばつ、塩分、洪水、及び重金属毒性が含まれる。該組成物は、pH7未満の酸性土壌、例えば砂質酸性土壌、で生育する植物にかかるストレスを減少させ得る。更に該組成物は、窒素肥料又は窒素が尿素、アミン(NH2)若しくはアンモニウム(NH4)から誘導される窒素含有肥料の性能を改良し得る。これは天然肥料及び合成肥料の両方を含む。使用できるアンモニア性及び尿素性窒素の割合における主な制限因子の一つはアンモニア毒性である。本発明の組成物を肥料に適当な割合で含ませることにより、植物のアンモニア毒性に対処する能力は改良されるが、このことは、これらの肥料を施用できる割合を増加させ得ることを意味する。
【0081】
従って、更なる側面では、本発明は窒素肥料又は窒素を含む肥料の性能を改良する方法を提供し、該方法は植物又はその周囲に、該肥料、本発明の組成物又は製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその誘導体、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を適用することを含む。
【0082】
該方法はまた、酸化防止剤の適用も含む。
【0083】
本発明を下記の実施例により詳細に記載する。
【実施例】
【0084】
実施例1
本発明の農業用製剤を、下記の成分を混合することにより調製した。
【表1】

【0085】
植物の健全性及び収穫量に対するこの製剤の効果を次のように評価した。
【0086】
カカオ樹の反復試験区を用いた2シーズン圃場試験をコスタリカで実施した。1プロットは対照試験区で、他の試験区の植物は上記製剤の0.5%v/v溶液で処理した。第1及び第2シーズンの生長後、2つの試験区からの作物を比較し、結果は次のようであった。
【0087】
対照試験区及び処理試験区のカカオさやの病害発生を比較した。検討した病害は白くなった(frosty)さや、黒いさや、及びシェレール立ち枯れ病(cherelle wilt)(若いさやに影響を及ぼす生理的障害)であった。対照試験区及び処理試験区の両方とも、白くなったさやによるカカオさや損失の発生は、該領域についての典型的な範囲であった(平均:75%)。第1シーズンの終わりに、黒いさやの発生は対照群よりも処理群ではより低く、半減以上であった(7.5%〜3.0%)。第2シーズンでは、黒いさやの減少が処理群に観察されたが、統計的には著しくなかった。第1シーズン及び第2シーズンの両方において、シェレール立ち枯れ病は対照群よりも処理群で低かった。第1シーズンについては、シェレール立ち枯れ病に侵されたさやのパーセントは、処理群で3.6%、そして対照群で5.7%であった。その第1シーズンで、健全なさやのパーセントは、対照群での12.1%から処理群での17.5%に増加した。第2シーズンについては、試験区に観察されたシェレール立ち枯れ病のパーセントは、処理群で1.55%、そして対照群で3.75%であった。
【0088】
対照試験区及び処理試験区のカカオさやの収穫量もまた比較した。第1シーズンの終わりに、未処理の対照群の140kg/haに対して処理群の154kg/haから推定して、処理群は対照群より10%高い収穫量を有した。しかしながら、かかる収穫量の比較増加は第2シーズンには観察されなかった。
【0089】
対照試験区及び処理試験区で得られたカカオ種子のカルシウムレベルもまた比較した。第2シーズンの後、対照試験区と比較して、処理試験区にカルシウムレベルの9%の増加が観察された。
【0090】
栄養供給に基づく処理の十分な利益は第1シーズンの処理及び第2シーズンの処理でさえも通常十分に実現しないが、結果は有望な傾向を示す。第1シーズンにおいて、健全なさやの数、従ってココア収穫量は、実施例1の製剤を用いた処理後に増加し、そして黒いさや及びシェレール立ち枯れ病の発生の減少があった。シェレール立ち枯れ病の減少は、第2シーズンまで続き、その時、カルシウムレベルの増加もまた観察された。これらの利益は次のシーズンで継続すると期待される。
【0091】
実施例2
本発明の農業用製剤を、下記の成分を混合することにより調製した。
【表2】

【0092】
実施例3
本発明の農業用製剤を、下記の成分を混合することにより調製した。
【表3】

【0093】
実施例4
本発明の農業用製剤を、下記の成分を混合することにより調製した。
【表4】

【0094】
実施例5
本発明の農業用製剤を、下記の成分を混合することにより調製した。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)二次的栄養素又は微量栄養素;(ii)安息香酸又はその生物学的に許容される誘導体若しくは塩;及び(iii)式(I):
【化1】

(式中、R1はC1-10アルキル基、又はC2-10アルケニル基であり、そしてMは原子価nのカチオンである)の水溶性塩を含む農業用組成物。
【請求項2】
二次的栄養素がカルシウム又はマグネシウムであり、そして微量栄養素が銅、鉄、マンガン又は亜鉛である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
二次的栄養素又は微量栄養素が水溶性塩の形態で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
水溶性塩が硝酸塩、酸化物、硫酸塩又は塩化物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
存在する全ての二次的栄養素又は微量栄養素の合計濃度が0.01〜40%w/wの濃度範囲である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
二次的栄養素又は微量栄養素がキレート剤と組み合わされて存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
キレート剤が、リグナン及びリグニン酸(リグノス)、クエン酸、フミン酸又はアミノ酸のうちの1種又はそれ以上を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
安息香酸又は誘導体が安息香酸又は一、二若しくは三置換安息香酸であり、ここで置換基が、同じか又は異なっていてもよく、ハロ、アルキル、アルコキシ及びヒドロキシから選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
安息香酸又は誘導体が式(V)の化合物:
【化2】

[式中、R4は基OR7、SR7又はNR78(ここで、R7及びR8はそれぞれ独立して水素又はヒドロカルビルから選ばれる)であり、そしてR5及びR6はそれぞれ独立して水素、ヒドロキカルビル基又は官能基から選ばれるか、又はR5及びR6はそれらが結合する炭素原子と一緒に、酸素、窒素又はイオウから選ばれる1種又は2種以上のヘテロ原子を含んでもよい縮合環系を形成する]である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
安息香酸又はその誘導体若しくは塩が安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸(1−ヒドロキシ安息香酸)、アセチルサリチル酸(又は2−アセトキシ安息香酸)、サリチル酸メチル、又はアシベンゾラー−S−メチルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
安息香酸又は誘導体又は塩が0.001〜1.00%w/wの濃度範囲で存在する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
1がペンチル基である式(I)の化合物において、、式(I)の化合物をジヒドロジャスモン酸塩にするか、又はR1がペンタ−2−エニル基であって、式(I)の化合物がジャスモン酸塩である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
式(I)の化合物の塩が0.001〜1.000%w/wの濃度範囲で存在する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
更に酸化防止剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
下記の農業上許容される成分:水、追加の栄養材料、カフェイン群の1員、植物油、エッセンシャルオイル、代謝刺激剤、担体若しくは賦形剤、乳化剤、増粘剤、懸濁剤、固化防止剤、分散剤、又は湿展剤;の1種又はそれ以上を更に含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物、及び該組成物を分散又は溶解し得る媒体を含む、植物又は植物の周囲に施与するための製剤。
【請求項17】
媒体が溶媒であり、その溶媒が水である、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
植物又は植物の周囲に請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項16若しくは17に記載の製剤を施用することを含む、植物に二次的栄養素又は微量栄養素を供給する方法。
【請求項19】
植物による二次的栄養素又は微量栄養素の摂取を向上させる方法であって、植物又は植物の周囲に請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物、又は請求項16若しくは17記載の製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその生物学的に許容される誘導体若しくは塩、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を施用することを含む上記の方法。
【請求項20】
植物における二次的栄養素又は微量栄養素の欠乏を防止する方法であって、植物又は植物の周囲に請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物、又は請求項16若しくは17記載の製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその生物学的に許容される誘導体若しくは塩、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を施用することを含む上記の方法。
【請求項21】
二次的栄養素又は微量栄養素の不足に関連した生理的障害を減少させる方法であって、植物又は植物の周囲に請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物、又は請求項16若しくは17記載の製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその生物学的に許容される誘導体若しくは塩、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を施用することを含む上記の方法。
【請求項22】
局部的な二次的栄養素又は微量栄養素の不足の領域に起きる植物の病気又は感染を予防又は軽減する方法であって、植物又は植物の周囲に請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物、又は請求項16若しくは17記載の製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその生物学的に許容される誘導体若しくは塩、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を施用することを含む上記の方法。
【請求項23】
長期の又は一時的なストレスの条件の間の成長習性を改善する方法であって、植物又は植物の周囲に請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物、又は請求項16若しくは17記載の製剤、又は同時に又は任意の順序で相次いで(i)二次的栄養素又は微量栄養素、(ii)安息香酸又はその生物学的に許容される誘導体若しくは塩、及び(iii)式(I)の化合物の水溶性塩を施用することを含む上記の方法。
【請求項24】
請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物又は請求項16若しくは17記載の製剤の、作物に施与するための肥料としての使用。

【公表番号】特表2009−511412(P2009−511412A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535088(P2008−535088)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003764
【国際公開番号】WO2007/042795
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(505471679)プラント・インパクト・ピーエルシー (6)
【Fターム(参考)】