説明

農薬粒剤組成物

【課題】優れた性能を有する農薬製剤を提供すること。
【解決手段】式(I)


で示される化合物と、チアジニル、イソチアニル、プロベナゾール及びアシベンゾラル−S−メチルからなる群より選ばれる1以上の植物病害防除活性化合物と、スメクタイト鉱物を含む増量剤と、水溶性結合剤とを含有する農薬粒剤組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬粒剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物の栽培においては、有害生物防除活性化合物、植物病害防除活性化合物、除草活性化合物など多くの農薬活性成分が、種々の形態で適用されている。
例えば、水稲の栽培においては、育苗箱に予め農薬製剤を施用することにより、当該育苗箱で生育した幼苗の水田への移植と同時に前記農薬製剤に含有される農薬活性成分も水田に施用されることとなる。移植後も前記農薬活性成分の効力が発現可能である場合、これは、水稲栽培における有害生物、植物病害、雑草などに対する効率的な防除方法となる。そのため、当該防除方法に適用するための多くの農薬製剤が開発されている。
前記防除方法においては、長期にわたり農薬活性成分の防除効力を発揮することが望まれており、大量の農薬活性成分の施用が求められる。しかしながら、イネの幼苗などの生育初期の植物体に対して過剰量の農薬活性成分を施用すると、植物体の生育不良等を引き起こす場合もあり、その改善が求められていた。
【0003】
農薬活性成分としては、クロラントラニリプロール(一般名、式(I):
【化1】

で示される化合物)が有害生物防除活性化合物として知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、チアジニル、イソチアニル、プロベナゾール及びアシベンゾラル−S−メチルはいずれも、イネの植物体に作用することにより、イネいもち病などの植物病害に対する抵抗性誘導を発現させる活性化合物として知られている(例えば、特許文献2及び非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−538328公報
【特許文献2】国際公開第2008/007778号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】植物防疫、第61巻 第10号(2007)、第531頁−第536頁(社団法人日本植物防疫協会発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記式(I)で示される化合物を含有し、かつ優れた性能を有する農薬製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記式(I)で示される化合物を含有し、かつ優れた性能を有する農薬製剤を見出すべく鋭意検討した結果、前記式(I)で示される化合物と、チアジニル、イソチアニル、プロベナゾール及びアシベンゾラル−S−メチルからなる群より選ばれる1以上の植物病害防除活性化合物と、スメクタイト鉱物を含む増量剤と、水溶性結合剤とを含有する農薬粒剤組成物が優れた性能を有することを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔11〕の通りである。
〔1〕 式(I):
【化2】

で示される化合物と、
チアジニル、イソチアニル、プロベナゾール及びアシベンゾラル−S−メチルからなる群より選ばれる1以上の植物病害防除活性化合物と、
スメクタイト鉱物を含む増量剤と、
水溶性結合剤と
を含有する農薬粒剤組成物。
〔2〕 式(I)で示される化合物100重量部に対して、植物病害防除活性化合物が100〜5000重量部の含有割合である〔1〕記載の農薬粒剤組成物。
〔3〕 農薬粒剤組成物における、式(I)で示される化合物及び植物病害防除活性化合物の合計の含有割合が1〜30重量パーセントである〔1〕又は〔2〕記載の農薬粒剤組成物。
〔4〕 農薬粒剤組成物における、スメクタイト鉱物を含む増量剤の含有割合が40〜98重量パーセントである〔1〕〜〔3〕いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
〔5〕 農薬粒剤組成物における、水溶性結合剤の含有割合が1〜10重量パーセントである〔1〕〜〔4〕いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
〔6〕 植物病害防除活性化合物が、イソチアニルである〔1〕〜〔5〕いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
〔7〕 さらにネオニコチノイド化合物を含有する〔1〕〜〔6〕いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
〔8〕 ネオニコチノイド化合物が、クロチアニジンである〔7〕記載の農薬粒剤組成物。
〔9〕 スメクタイト鉱物を含む増量剤が、スメクタイト鉱物及び炭酸カルシウムを含む〔1〕〜〔8〕いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
〔10〕 スメクタイト鉱物が、ベントナイトである〔1〕〜〔9〕いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
〔11〕 水溶性結合剤が、アルファー化デンプンである〔1〕〜〔10〕いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、優れた性能を有する農薬製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の農薬粒剤組成物とは、式(I):
【化3】

で示される化合物と、
チアジニル、イソチアニル、プロベナゾール及びアシベンゾラル−S−メチルからなる群より選ばれる1以上の植物病害防除活性化合物(以下、本植物病害防除活性化合物と記す場合もある。)と、
スメクタイト鉱物を含む増量剤と、
水溶性結合剤と
を含有するものである。
【0011】
前記式(I)の化合物は、一般名がクロラントラニリプロールとして知られるアミド化合物である。式(I)の化合物は、例えば特表2004−538328公報の実施例6に記載されており、当該文献に記載の方法で製造することができる。
本発明の農薬粒剤組成物における式(I)の化合物の含有量は、通常、約0.1〜5重量パーセント、好ましくは、約0.5〜2重量パーセントである。
【0012】
本植物病害防除活性化合物は、チアジニルが下記式(II):
【化4】

で示される化合物であり、イソチアニルが下記式(III):
【化5】

で示される化合物であり、プロベナゾールが下記式(IV):
【化6】

で示される化合物であり、アシベンゾラル−S−メチルが下記式(V):
【化7】

で示される化合物であり、いずれも市販されるものを用いることができる。
【0013】
本発明の農薬粒剤組成物には、本植物病害防除活性化合物の1種又は2種以上が含有されるが、その含有量は通常、約1〜25重量パーセント、好ましくは、約1〜5重量パーセントである。
【0014】
また、本発明の農薬粒剤組成物に含有される式(I)の化合物と本植物病害防除活性化合物との含有割合は、式(I)の化合物100重量部に対して、本植物病害防除活性化合物が通常、約100〜5000重量部、好ましくは、約100〜600重量部である。
本発明の農薬粒剤組成物における式(I)の化合物と本植物病害防除活性化合物との合計含有量は、通常、約1〜30重量パーセント、好ましくは、約1.5〜7重量パーセント、さらに好ましくは、約1.5〜5重量パーセントである。
【0015】
本発明の農薬粒剤組成物は、式(I)の化合物及び本植物病害防除活性化合物に加えてさらに、他の農薬活性化合物を含有することができる。かかる他の農薬活性化合物としては、例えば、殺虫活性化合物、殺菌活性化合物、昆虫成長制御活性化合物、除草活性化合物及び植物成長制御活性成分を挙げることができる。
本発明の農薬粒剤組成物が他の農薬活性化合物を含有する場合、かかる他の農薬活性化合物の本発明の農薬粒剤組成物における含有量は、通常、約0.5〜40重量パーセント、好ましくは、1〜10重量パーセントである。
【0016】
本発明の農薬粒剤組成物に含有されるスメクタイト鉱物を含む増量剤は、スメクタイト鉱物そのものであってもよく、またはスメクタイト鉱物とスメクタイト鉱物以外の物質の混合物であってもよい。
【0017】
スメクタイト鉱物としては、詳しくは、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、ノントロナイト、モンモリロナイト及びバイデライトが挙げられ、好適にはモンモリロナイトが挙げられる。モンモリロナイトとして具体的には、例えば、ベントナイト富士、ベントナイト穂高、ベントナイト赤城、ベントナイト妙義、スーパークレー(いずれも商品名、ホージュン社製)、クニゲルV1、クニゲルV2、クニゲルVA、クニボンド(いずれも登録商標、クニミネ工業社製)、関西ベントナイト(商品名、カネサン工業社製)等のベントナイトが挙げられる。
【0018】
増量剤がスメクタイト鉱物とスメクタイト鉱物以外の物質の混合物である場合、スメクタイト鉱物以外の物質としては、例えば、カオリナイト、ディッカナイト、ナクライト、ハロサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等の蛇紋石、パイロフィライト、タルク、ロウ石、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等のシリカ、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、石膏等の硫酸塩鉱物、ドロマイト、ギプサム、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、炭酸カルシウム等の鉱物質担体;トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉、籾殻、小麦粉、木粉、糠、ふすま、大豆粉等の植物系担体;尿素、乳糖、ショ糖、食塩、芒硝等の水溶性固体担体が挙げられる。
【0019】
本発明の農薬粒剤組成物には、スメクタイト鉱物を含む増量剤が、本発明の農薬粒剤組成物全体に対して、通常、約40〜98重量パーセント、好ましくは、約60〜95重量パーセント含有される。
本発明の農薬粒剤組成物における増量剤が、スメクタイト鉱物とスメクタイト鉱物以外の物質との混合物である場合、本発明の農薬粒剤組成物全体に対するスメクタイト鉱物の含有量としては、例えば、5〜40重量パーセント、好ましくは7.5〜20重量パーセントが挙げられる。
【0020】
本発明の農薬粒剤組成物には、水溶性結合剤が含有される。かかる水溶性結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、トラガントガム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルファー化デンプン、デキストリン、アルギン酸及びアルギン酸ナトリウムが挙げられる。
本発明の農薬粒剤組成物において、水溶性結合剤が通常、約1〜10重量パーセント、好ましくは、約1〜5重量パーセント含有される。
【0021】
本発明の農薬粒剤組成物は、式(I)の化合物、本植物病害防除活性化合物、スメクタイト鉱物を含む増量剤及び水溶性結合剤、さらに任意に含有される他の農薬活性化合物に加えて、界面活性剤、溶剤、安定剤、防腐剤、着色料、香料等を含有することもできる。
本発明の農薬粒剤組成物は、例えば、押出造粒法、含浸法又はコーティング法により粒剤に製剤化される。
【0022】
本発明の農薬粒剤組成物は、式(I)の化合物、本植物病害防除活性化合物、スメクタイト鉱物を含む増量剤及び水溶性結合剤、さらに必要に応じて、他の農薬活性化合物、界面活性剤、溶剤、安定剤、防腐剤、着色料、香料等を含有する混合物に、水を加えて混練し、得られた混練物を造粒し、得られた造粒物を乾燥し、必要により解砕、篩分、整粒等を行い製造することができる。
【0023】
前記混練には、練合機が用いられる。練合機としては、ニーダー、ナウターミキサー、レディゲミキサー等が挙げられる。
混練の際に用いられる水の量は、前記混合物100重量部に対して、通常3〜50重量部の割合である。
【0024】
前記混練物を押出造粒する場合、通常0.5〜2.0mmφ、好ましくは0.7〜1.5mmφのスクリーンを用いて行われる。
用いられる押出造粒機としては、スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ディスクペレッター型押出造粒機、ペレットミル型押出造粒機、バスケット型押出造粒機、プレード型押出造粒機、オシレーティング型押出造粒機、ギア式押出造粒機、リングダイス式押出造粒機等が挙げられ、具体的には不二パウダル(株)のツインドームグラン、シングルドームグラン等を用いることができる。
【0025】
得られた造粒物は、通常30〜90℃、好ましくは30〜80℃で乾燥される。
乾燥後、得られた本発明の農薬粒剤組成物の粒長は、通常0.5〜6.0mm、好ましくは0.7〜4.0mmである。なお、本発明における粒長とは、粒が取り得る最大長さを意味する。
【0026】
本発明の農薬粒剤組成物は、イネの育苗箱への播種時や発芽後から水田への移植前のイネの育苗時に育苗箱に施用することができる。その施用量は、式(I)の化合物及び本植物病害防除活性化合物の含有量や水稲育苗箱の大きさなどにより変動し得るものであるが、例えば、30cm×60cmの大きさの水稲育苗箱1枚あたり、式(I)の化合物及び本植物病害防除活性化合物の合計量として約0.05〜4.0gである。
【実施例】
【0027】
次に、本発明を参考製造例、製造例、比較例及び試験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
参考製造例1 粉状農薬組成物1の調製
70.0重量部の2’−シアノ−3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボキシアニリド(一般名:イソチアニル)及び30.0重量部のロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)を均一に混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕して、体積中位径が4.12μm(MALVERN製MASTERSIZER2000で測定)の2’−シアノ−3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボキシアニリドを含有する粉状農薬組成物(以下、粉状農薬組成物1と記す。)を得た。
【0029】
参考製造例2 粉状農薬組成物2の調製
70.0重量部の式(I)の化合物及び30.0重量部のロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)を均一に混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕して、体積中位径が3.92μm(MALVERN製MASTERSIZER2000で測定)の式(I)の化合物を含有する粉状農薬組成物(以下、粉状農薬組成物2と記す。)を得た。
【0030】
参考製造例3 粉状農薬組成物3の調製
70.0重量部の(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)及び30.0重量部のロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)を均一に混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕して、体積中位径が8.20μm(MALVERN製MASTERSIZER2000で測定)の(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンを含有する粉状農薬組成物(以下、粉状農薬組成物3と記す。)を得た。
【0031】
参考製造例4 農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1の調製
46.3重量部のスミフェンTM(登録商標、住化バイエルウレタン製分岐型ポリエーテルポリオール)、52.2重量部のスミフェン1600U(登録商標、住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)、及び1.5重量部の2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(化薬アクゾ製)を均一に混合し、ポリオールと触媒との液状混合物(以下、ポリオールプレミックス1と記す。)を得た。ポリオールプレミックス1の粘度は322m・Pa(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1で測定)であった。
ハイスピードミキサー装置(深江パウテック株式会社製FS−GS−25型;丸皿型の容器部の底面の中心を通る垂直線を回転軸とするアジテータ羽根及び丸皿型の容器部の側面を貫通する水平線を回転軸とするチョッパー羽根を有する装置)の容器内に、100重量部の粉状農薬組成物3を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:382rpm)及びチョッパー羽根(回転数:3500rpm)を回転させた。次に、混合容器を加温し、粉状農薬組成物3の品温を85±5℃に保持したまま、1.93重量部のポリオールプレミックス1を2分間かけて添加した。該ポリオールプレミックス1が粉状農薬組成物3に湿潤される様子が観察された。3分後、品温を85±5℃に保持したまま、1.07重量部のスミジュール44V10(登録商標、住化バイエルウレタン製ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、粘度130m・Pa(25℃))を2分間かけて添加した。添加直後から、増粘現象が確認され、その後、粘度が低下し、ポリウレタン樹脂の硬化が観察された(100重量部の粉状農薬組成物3に対して、3.0重量部のポリウレタン樹脂に相当)。6分後、品温を85±5℃に保持したまま、下記のウレタン添加操作を34回繰り返し行った。
〔ウレタン添加操作〕
1.93重量部のポリオールプレミックス1を2分間かけて添加する→3分間待つ→1.07重量部のスミジュール44V10を2分間かけて添加する→6分間待つ。
上記のウレタン添加操作の間、ハイスピードミキサー装置は、同条件にてせん断力のある攪拌混合を継続させた。
100重量部の粉状農薬組成物3に対し、合計105重量部のポリウレタン樹脂原料を添加した。上記操作終了後、4.76重量部の炭酸カルシウムNS#2300(日東粉化株式会社製)を添加し、3分間混合した。混合後、該混合物を冷却することにより、粉状農薬組成物3がポリウレタン樹脂で固められ、被覆されてなる農薬含有熱硬化性樹脂微粉末(以下、農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1と記す;体積中位径:44μm、見掛比重:0.42g/ml)を得た。
【0032】
製造例1 農薬粒剤組成物1の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:ベントナイト穂高、ホージュン社製)10.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)65.6重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物1を得た。
【0033】
製造例2 農薬粒剤組成物2の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:ベントナイト穂高、ホージュン社製)7.5重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)68.1重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物2を得た。
【0034】
製造例3 農薬粒剤組成物3の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:ベントナイト妙義、ホージュン社製)10.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)65.6重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物3を得た。
【0035】
製造例4 農薬粒剤組成物4の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:クニゲルVA(登録商標)、クニミネ工業社製)10.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)65.6重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物4を得た。
【0036】
製造例5 農薬粒剤組成物5の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:クニゲルV2(登録商標)、クニミネ工業社製)10.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)65.6重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物5を得た。
【0037】
製造例6 農薬粒剤組成物6の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:クニボンド(登録商標)、クニミネ工業社製)10.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)65.6重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物6を得た。
【0038】
製造例7 農薬粒剤組成物7の調製
粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:ベントナイト穂高、ホージュン社製)10.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)70.0重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物7を得た。
【0039】
製造例8 農薬粒剤組成物8の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:ベントナイト穂高、ホージュン社製)20.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)55.6重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物8を得た。
【0040】
製造例9 農薬粒剤組成物9の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を0.7重量部(農薬活性化合物として0.50重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:ベントナイト穂高、ホージュン社製)20.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)56.0重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物9を得た。
【0041】
製造例10 農薬粒剤組成物10の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を0.7重量部(農薬活性化合物として0.50重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、モンモリロナイト(商品名:ベントナイト穂高、ホージュン社製)10.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)66.0重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、農薬粒剤組成物10を得た。
【0042】
比較例1 対照農薬粒剤組成物1の調製
農薬含有熱硬化性樹脂微粉末1を4.4重量部(農薬活性化合物として1.5重量部)、粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)75.6重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、対照農薬粒剤組成物1を得た。
【0043】
比較例2 対照農薬粒剤組成物2の調製
粉状農薬組成物1を2.9重量部(農薬活性化合物として2.0重量部)、粉状農薬組成物2を1.1重量部(農薬活性化合物として0.75重量部)、アルファ化澱粉(商品名:アミロックスNo.1A、日本コーンスターチ製)5.0重量部、重質炭酸カルシウム(SS♯80、日東粉化工業製)10.0重量部、及びロウ石(商品名:勝光山クレーS、勝光山鉱業所製)80.0重量部の混合物に、界面活性剤(ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、Sorpol T−20(登録商標)、東邦化学工業製)1.0重量部を含有する水 約20重量部を加えて、混練した。得られた混練物の約1.5kgを、0.9mmφのスクリーン付きバスケット型押出造粒機(HU−G型畑式造粒機、畑製作所機)に投入し、まず10秒間だけ当該造粒機を運転した。10秒間で得られた造粒物を取り除いた後、当該造粒機の運転を再開し、30秒間で得られた造粒物を取得し、当該造粒物を70℃で30分間乾燥して、対照農薬粒剤組成物2を得た。
【0044】
試験例1 水稲の播種時覆土前処理によるイネに対する生育試験
水稲育苗箱(30cm×60cm)の播種前覆土前に供試粒剤組成物を100g/育苗箱の割合で処理し、湿籾(品種:ヒノヒカリ)を160g播種した。育苗器(終日30℃)で3日間発芽させた後、屋外に移動させて育苗を行い、播種1週間後にイネ(処理区)の草丈を測定した。一方、粒剤組成物を処理しない以外は前記と同様に播種及び育苗を行ったイネ(無処理区)の草丈を測定した(2連制)。処理区の草丈と無処理区の草丈とを下記式(A)により対比して生育率(%)を算出し、下記の判定基準に従い生育状況を評価した。その結果を、表1に示す。
【数1】


《生育状況の判定基準》
[評価] 生育率
−− : 98%以上
− : 95%以上98%未満
+ : 92%以上95%未満
++ : 89%以上92%未満
+++ : 85%以上88%未満
++++ : 85%未満
【0045】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で示される化合物と、
チアジニル、イソチアニル、プロベナゾール及びアシベンゾラル−S−メチルからなる群より選ばれる1以上の植物病害防除活性化合物と、
スメクタイト鉱物を含む増量剤と、
水溶性結合剤と
を含有する農薬粒剤組成物。
【請求項2】
式(I)で示される化合物100重量部に対して、植物病害防除活性化合物が100〜5000重量部の含有割合である請求項1記載の農薬粒剤組成物。
【請求項3】
農薬粒剤組成物における、式(I)で示される化合物及び植物病害防除活性化合物の合計の含有割合が1〜30重量パーセントである請求項1又は2記載の農薬粒剤組成物。
【請求項4】
農薬粒剤組成物における、スメクタイト鉱物を含む増量剤の含有割合が40〜98重量パーセントである請求項1〜3いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
【請求項5】
農薬粒剤組成物における、水溶性結合剤の含有割合が1〜10重量パーセントである請求項1〜4いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
【請求項6】
植物病害防除活性化合物が、イソチアニルである請求項1〜5いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
【請求項7】
さらにネオニコチノイド化合物を含有する請求項1〜6いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
【請求項8】
ネオニコチノイド化合物が、クロチアニジンである請求項7記載の農薬粒剤組成物。
【請求項9】
スメクタイト鉱物を含む増量剤が、スメクタイト鉱物及び炭酸カルシウムを含む請求項1〜8いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
【請求項10】
スメクタイト鉱物が、ベントナイトである請求項1〜9いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。
【請求項11】
水溶性結合剤が、アルファー化デンプンである請求項1〜10いずれか一項記載の農薬粒剤組成物。

【公開番号】特開2012−17271(P2012−17271A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153985(P2010−153985)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(393025921)デュポン株式会社 (5)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】