説明

農薬組成物

本発明は農薬組成物、並びに、特に水溶性農薬活性成分及びアジュバント:好ましくはトリエチレンジアミン(TEDA)若しくはその塩;又はテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)若しくはその塩を含む農薬水性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農薬組成物、並びに特に農薬活性成分及びアジュバントを含んで成る水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
農薬活性成分は、頻繁に界面活性剤であるアジュバントとの組み合わせにおいて一般的に利用される。最も一般的には、アジュバントは活性成分のバイオパフォーマンスを増強するために添加され、そしてこのような多くのバイオパフォーマンス増強アジュバントは当業者に既知である。我々はこの度、一定のアミンが界面活性剤の特性をほとんど又は全く有さないにも関わらず、当該活性成分の有効なバイオパフォーマンス増強を供することを発見した。
【発明の開示】
【0003】
本発明に従い、農薬活性成分、及びアジュバント、好ましくはトリエチレンジアミン若しくはその塩、又はテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)若しくはその塩を含んで成る農薬組成物が供される。
【0004】
トリエチレンジアミン(TEDA)は工業において、及び触媒における主要な用途を伴う商業的に入手可能な既知の化合物である。TEDAは強塩基化合物であり、酸性又は陰イオン種と塩を形成することができる。
【0005】
我々はこの度、驚くべきことに、TEDA若しくはその塩、又はTMEDA若しくはその塩が、農薬活性成分の生物有効性を向上するために有効なアジュバントであることを発見した。TEDAは界面活性剤の特性を有さないため、これは特に予想外である。農薬活性成分のバイオパフォーマンスを増強するためにこれらのアミンが作用することによるメカニズムは現在のところ知られていない。また他のアミンも既知の化合物であり、例えば、本発明のTEDA等のアミンは有意な界面活性特性を有さない。
【0006】
本発明のアミンは塩基性化合物であり、そしてその塩基形態において使用される場合、塩基感受性農薬、例えば、パラコート、及び/又は塩基感受性製剤(例えば、いくつかのアルコールエトキシラート)に不適合であり、並びに人への暴露に対して有害である可能性がある。このため、通常の使用において、及び特に塩基感受性の農薬及び/又は製剤とともに使用する場合において、本発明のアミンは完全に又は部分的に中和されることが好ましい。本発明のアミンは、酸、例えば、鉱酸、例えば、ハロゲン酸、例えば、塩酸、又は有機酸、例えば、酢酸の添加により慣習的に中和することができる。本発明のアミンはまた、しかしながら、いずれかの適当な陰イオン種、例えば、以下により詳細に説明されるとおり、陰イオン性界面活性剤の添加により中和することができる。
【0007】
本明細書に使用される「本発明のアミンの塩」の語は、陰イオン種により完全に又は部分的に中和された本発明のアミンを含み、当該組成物中のアミン陽イオンと陰イオン種の物理的会合を必ずしも意味しない。本発明の組成物中に混和する前に、本発明のアミンを中和又は部分的に中和することが一般的に都合がよい。
【0008】
本発明に使用される「農薬活性成分」の語は、制限することなく、除草剤、殺虫剤、植物成長制御剤、及び種子処理剤を含む。当該農薬組成物は水性組成物であることが好ましく、当該農薬活性は水溶性農薬活性であることが特に好ましい。当該水性農薬組成物は一般的に噴霧により標的に適用でき、そして当該組成物は、適用の前に水で希釈するように設計された濃縮物であってよく、又は適用に用意することができる。具体的には、本発明のアミン又はアミンの塩は、タンク混合として、適用の前に噴霧組成物中に混和することができ、又は使用前の希釈を意図した農薬濃縮物の成分を形成することができる。本発明のアミンの塩が特に有利であり、これらは容易に水に溶解し、そして一般的に水溶性農薬に適合する。従って本発明の塩は、特に、水溶性活性成分を含んで成る濃縮物に「組み込まれている」ことが適当である。
【0009】
適当な農薬活性成分は当業者に既知であり、標準参考書、例えば、殺虫剤マニュアルに挙げられている。適当な水溶性活性成分の例として、パラコート、ジクワット、グリホサート、ホメサフェン、チアメトキサム、メソトリオン、及びトリフロキシスルフロンが挙げられる。「水溶性」農薬の語は、少なくとも1g/l、そして好ましくは少なくとも4g/l、例えば少なくとも100g/lの水中の溶解度を有する農薬を意味する。当然に多くの農薬はこれよりも極めて高い溶解度、例えば、300g/l以上、又は500以下、又は600g/l以上を有する。パラコート及びジクワット、並びにこれらの混合物は、特に適当な水溶性農薬活性成分である。
【0010】
以下の記載は、好ましい水溶性農薬活性物質に焦点をあてるが、本発明において他の水溶性農薬活性物質も使用することができることが理解されるだろう。
【0011】
好ましくは、本発明に従う水性組成物は、ビピリジリウムイオンとして表される、少なくとも40グラム毎リットルのパラコート若しくはジクワット又はこれらの混合物(本明細書において、個々又は組み合わせにおけるビピリジリウム塩として意味する)を含む。当該組成物は、50グラム毎リットル以上、例えば、100グラム毎リットル以上のビピリジリウムイオンを含んでよい。約250又は300g/l超のパラコートの濃縮物は不安定となる傾向にあるが、リットルあたり200グラム以上を含む組成物を調製することができる。一般的に、組成物は400グラム毎リットル以上のビピリジリウムイオンを含まない。
【0012】
従って、本発明の更なる観点に従い、パラコート若しくはジクワット又はこれらの混合物;及びトリエチレンジアミン若しくはその塩、又はテトラメチルエチレンジアミン若しくはその塩から選択されるアジュバントを含んで成る、水性農薬組成物が開示される。TEDA及びTMEDAは今後、本発明のアミンとして集団的に意味される。
【0013】
本発明のより更なる観点に従い、パラコート又はジクワット、及びTEDAの塩又は、TMEDA若しくはその塩を含んで成り、ここで当該パラコート又はジクワットの濃度が100g/l以上である、水性農薬濃縮組成物が開示される。
【0014】
典型的には本発明のパラコート又はジクワット組成物のpHは3.0〜8.0、及び好ましくは4.0〜8.0である。一般的に上記アミンのpHは、酸で適当にパラコート又はジクワット組成物のpHに調節され、そして十分に塩基性であるアミンのこれらの窒素原子はプロトン化される。我々は、驚くべきことに、アミンは一般的に皮膚的有害性を示す傾向にあるが、本発明において使用される部分的に中和されたアミンにより当該問題を極めて軽減することを発見した。
【0015】
本発明の範囲は、特にいずれかのビピリジル組成物に制限されることはないが、本発明はビピリジリウム除草剤の水性製剤、例えば、WO 02/076212 A1 に記載される製剤との使用に特に適当である。WO 02/076212 において、パラコートの塩、ジクワットの塩、又はこれらの混合物を含んで成る、除草剤組成物の製造におけるpH誘発性ゲル化剤としてアルギン酸塩の使用が開示される。当該組成物は、更に、pH誘発性ゲル効果がヒト胃液組成物の酸pHにおいて起こるような催吐剤及び/又は下剤を含んで成る。上記除草剤のバイオパフォーマンスを向上させるために、このような組成物中に1又は複数の界面活性剤又はアジュバントを含むことが一般的に所望される。いくつかの可能なアジュバントは WO 02/076212 に挙げられている。更に、上記組成物はまた、好ましくは、下剤、例えば、硫酸マグネシウムを含む。我々は、この度、物理的適合性の問題が、WO 02/076212 に挙げられている多くのアジュバントに起因することを発見した。このような適合性の問題は、比較的高濃度のビピリジリウムイオンにおいて悪化する(例えば、100g/l以上、特に濃度が約200g/l以上に達する場合)。更に、WO 02/076212 において推奨される比較的高濃度の下剤の電解質硫酸マグネシウムは、潜在的な適合の困難性を増大する。従って、WO 02/076212 は、本発明の組成物が下剤、好ましくは硫酸マグネシウムを含む場合、硫酸マグネシウムの濃度は、好ましくは組成物のリットルあたり10〜400グラム、及びより好ましくはリットルあたり10〜100グラムであることを推奨する。より高濃度の硫酸マグネシウム、例えば、400グラム毎リットル以下は、増大した下剤効果を供するために使用し、継続することができるが、このようなレベルの硫酸マグネシウムは剤形安定性において有害な効果を有しうる。上述のとおり、我々は特に、剤形安定性が400g/l以下、例えば、100g/lの濃度で妥協できることを発見した。
【0016】
ビピリジル組成物中で使用されるアジュバントに関する物理的不適合性は、剤形流体力学又はバルク均一性において有意な変化により達成できる又は達成できない、いずれかの組成物の1又は複数の成分の肉眼的分離を示す。上記組成物は、厳密な物理的意味において完全に均一であることが必ずしも必要ではないが、当該組成物は実質的にバルク中で均一である。従って、第二層の僅かな分離は受容可能であるが、分離層はバルク中で完全に分散されたままである。しかしながらいずれかの分離層がバルク中で完全に分散しない場合、例えば、組成物の表面に産生する場合、当該組成物はバルク均一性を示すことはできず、そしてバルクのある部分から得られる試料は、バルクの異なる部分から得られた試料とは異なる組成物を有しうる。これは明らかにいくつかの理由で望ましくない。物理的適合性の語は上に定義した物理的不適合性の逆を意味する。
【0017】
我々は、例えば、アルギン酸塩の存在下における約120g/lのパラコートイオン及び約80g/lのジクワットイオン、並びに約120g/lの硫酸マグネシウム七水和物を含む WO 02/076212 の組成物が、そこで挙げられる多くのアジュバントを混和することを試みた場合、物理的不適合を示しうることを発見した。このように、獣脂アミンエトキシラートを約10g/l以上のレベルで混和する場合、物理的分離が観察された。ドデシルベンゼンスルホナートのナトリウム塩を約10g/l以上のレベルにおいて混和する場合、二層が形成された。また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを10g/l以下の濃度において混和することを試みた場合にもまた、二層が形成された。アルキルエトキシカルボキシラートを50g/lのレベルにおいて混和することを試みた場合、いくつかの物理的分離が観察され、そして上記アジュバントはこれよりも低いレベルにおいて受容できないものと信じられる。10g/l以下の濃度でさえ、一定のアルコールエトキシラートで極めて乏しい適合性が観察された。1又は複数の成分の濃度を低下することにより、あるいはアジュバント、低下させた濃度における全て、を慎重に混ぜることにより、このような適合性の問題を解決又は軽減する可能性がある一方、比較的高添加において、WO 02/076212 に記載されている組成物に適合でき、そして更に、潜在的な不適合性を示す慣習的なアジュバントと同等又はそれほど低下しない良好なバイオパフォーマンスの増強を示すアジュバントの必要性が存在する。我々は、本発明のアミンアジュバント、特にトリエチレンジアミン(TEDA)、及びテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)がこの必要性に合致することを発見した。従って、例えば、TEDAは、少なくとも60g/l以上の実際のアミンの添加において、WO 02/076212 の組成物と適合する。TMEDAは、約30g/l以下の添加において、WO 02/076212 の組成物と適合する。他の関連アミンもTEDA及びTMEDAと同じクラスに存在しうるが、これらは本発明の農薬組成物中の使用に適合しない。例えば、トリエチレンテトラミン(TETA)は30g/l以下の添加においてWO 02/076212 の組成物と適合し、一方エチレンジアミン(EDA)は20g/l以下の添加においてWO 02/076212 の組成物と適合する。
【0018】
本発明のより更なる観点に従い、パラコート又はジクワット、及びTEDAの塩又はTMEDAの塩を含んで成り、ここで当該パラコート又はジクワットの濃度が100g/l以上であり、更に10〜400グラム毎リットル、例えば、10〜100グラム毎リットルの電解質下剤(electrolyte purgative)、例えば、硫酸マグネシウムを含む、水性農薬濃縮組成物が開示される。
【0019】
本発明のより更なる観点に従い、パラコート又はジクワット、及びTEDAの塩又はTMEDAの塩を含んで成り、ここで当該パラコート又はジクワットの濃度が100g/l以上であり、そして更にpH誘発性ゲル効果がヒト胃酸の酸性pHにおいて起こるようなpH誘発性ゲル化剤であるアルギン酸塩と、10〜400グラム毎リットル、例えば、10〜100グラム毎リットルの電解質下剤、例えば、硫酸マグネシウムを更に一緒に含んで成る、水性農薬濃縮組成物が開示される。
【0020】
唯一のアジュバントとして使用される本発明のアミンは、有効なバイオパフォーマンス増強を供することができる。しかしながら、第二アジュバントとの組み合わせにおいて本発明のアミンを使用することにおいて有利となりうる。当該第二アジュバントは好ましくは界面活性剤である。使用できる界面活性剤に特に制限はなく、多くの例が当業者に認識されるだろう。我々は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、又は両性界面活性剤が有効となりうることを発見した。
【0021】
上記第二アジュバントは本発明のアミンアジュバントよりも低い濃度において存在してもよいが当該観点が決定的でないように、当該第二アジュバントもまた、例えば、組成物、例えば、WO 02/076212 に開示されるものと受容可能な適合性を示すことが当然に所望される。適当な第二アジュバントの例として、アルキルポリグリコシド、ベタイン、アルキルエトキシホスファート及びその塩、アルコールエーテルカルボン酸及びその塩、アルコールエーテルスルファート及びその塩を挙げることができる。より高い濃度において物理的不適合性を示すが、アミンアジュバントと比較して比較的低レベルにおいて混和される場合に受容可能な第二アジュバントの例として、アルコールエトキシラート、アミンエトキシラート、アミンオキシド、及び陽イオン性、例えば、第四級アンモニウム塩を挙げることができる。
【0022】
適当なアルキルポリグリコシド(APG)の例として、例えば、1.5〜2.0の重合度を伴うC8-10アルキルポリグリコシド(商業的に入手可能な例としてAQNIQUE8107−Uを含む)が挙げられる。アミンエトキシラートの例は、例えば、C12-18アルキルアミンエトキシラート(5〜50モル)が挙げられる。商業的に入手可能な例として、SYNPROLAM35X15、ETHOMEEN C25又T25を含む。第四級アンモニウム塩及びエトキシル化第四級アンモニウム塩の例として、C8-18アルキルトリアルキルアンモニウムハライド(商業的に入手可能な例としてARQUAD 16−50を含む)が挙げられる。アミンオキシドの例として、C12-18飽和又は不飽和アルキル−ジメチルアミンオキシド(商業的に入手可能な例としてAROMOX MCD−Wを含む)を含む。ベタインの例として、例えば、アルキルジメチルベタイン、及びアルキルアミドプロピルベタインを含み、ここでアルキル鎖長はC12-18であってよい(商業的に入手可能な例としてTEGOBETAINE F50を含む)。アルキルエトキシホスファートの例として、例えば、C14-18アルキルエトキシ(2〜10モル)モノ−、ジ−、又はセスキ−リン酸エステル(酸、無機又は有機塩として)を含む。商業的に入手可能な例としてCRODAFOS T5A、N10A、及びGERONOL CF/ARを含む。アルコールエーテルカルボキシラートの例として、例えば、C8-18アルコールのものを含む。
【0023】
界面活性剤に対する本発明のアミンの重量比は、エトキシラート(2〜15モル)カルボキシラート(酸、無機又は有機塩として)でよい。商業的に入手可能な例は、EMPICOL CBF、CBJ、及びCED−5を含む。アルコールエーテルスフファートの例として、例えば、C8-18アルコールエトキシラート(2〜10モル)スルファート(酸、無機又は有機塩として)を含む。商業的に入手可能な例としてEMPICOL EAC70、EGC70、及びESC70を含む。
【0024】
上述のとおり、本発明のアミンは、陰イオン性界面活性剤、又は酸形態を有する界面活性剤と塩を形成することができる。所望するならば、このような塩は、例えば、水溶液中における本発明のアミンと陰イオン性界面活性剤との反応により前もって形成させることができるが、このような予備反応は特に必要ではない。
【0025】
第二アジュバント、又は共アジュバントに対する本発明のアミンの重量比は、広い制限において、例えば、重量において、50:1〜1:50、及び特に10:1〜1:10で変化してよい。
【0026】
農薬活性成分に対する本発明のアミンの重量比は、好ましくは1:20〜10:1、例えば、1:10〜1:2である。本発明のアミンが1又は複数の追加的なアジュバント、例えば、追加的界面活性剤との組み合わせにおいて使用される場合、全アジュバントの重量比(本発明のアミンと追加的界面活性剤の合計)は好ましくは1:10〜10:1、例えば、1:5〜10:1である。当該組成物は、更に当業界に慣習的な添加剤を含んでよい。
【0027】
本発明は、他に述べられない限り、全ての部分及びパーセンテージは重量によるものである以下の実施例により説明される。
【実施例】
【0028】
実施例1
当該実施例は、TEDAの存在下におけるパラコートのバイオパフォーマンスの増強を説明する。まず、TEDA塩酸塩を形成するために、TEDAを塩酸で中和した。総噴霧量に基づく0.5重量%のTEDAを含むパラコートジクロライドの水性製剤を、10及び30g/haにおいて(パラコートイオンに基づく)、試験種のアメリカアサガオ(Ipomoea hederacea)(IPOHE)、及びアメリカキンゴジカ(Sida spinosa)(SIDSP)に適用した。噴霧容積は200L/haに相当した。処理後6日における生物学データ(%活性)は、併合割合における平均応答として表1に示し、パラコートクロライドのみを含む相当する製剤と比較する。
【表1】

【0029】
実施例2
実施例1の一般的な手順を使用して、以下の組成物を比較した。TEDAはその塩酸塩形態において使用した。
1.パラコートジクロライド、及び総噴霧量に基づく0.5重量%のTEDA塩酸塩を含む水性製剤;
2.パラコートジクロライド、及び総噴霧量に基づく0.5重量%のTEDA塩酸塩、及び5:2のTEDA対EMPIGEN BBの割合における、TEDAヒドロクロライドと界面活性剤EMPIGEN BBの混合物を含む水性製剤。上記及び下記に与えられる比率はラウリルベタイン含量に基づく。
3.パラコートジクロライド、及び総噴霧量に基づく0.5重量%のEMPIGEN BBを含む水性製剤(比較)
4.パラコートジクロライド、及び5:2のTEDA対AGRIMUL PG2067の割合における、総噴霧量に基づく0.5重量%のTEDA塩酸塩と界面活性剤AGRIMUL PG2067の混合物を含む水性製剤。AGRIMUL PG2067は70%の濃度において供されるアルキルポリグリコシドである。上記及び下記に与えられる比率はアルキルポリグリコシド含量に基づく。
5.パラコートジクロライド、及び総噴霧量に基づく0.5重量%のAGRIMUL PG2067を含む水性製剤(比較)。
【表2】

TEDAの添加は、界面活性剤ラウリルベタイン及びアルキルポリグリコシドを使用して得られたバイオパフォーマンス効果を有意に増強し、そしてまたそれ自体において有効であるように思われる。
【0030】
実施例3
TEDAと陰イオン性界面活性剤の塩は、以下のとおり調製した:
3.1TEDA(1g)をEMPICOL CVH(12.5g)と混合した。塩酸は添加しなかった。EMPICOL CVHはカプリレス−9−カルボン酸の90%溶液である。
【0031】
1.CRODAFOS T5A(11g)を186.5gの蒸留水に添加し、そしてTEDA(2.5g)を添加し、透明な溶液を得た。塩酸は添加しなかった。CRODAFOS T5Aはエトキシ(5)イソトリデカノール酸性リン酸エステルである。
【0032】
上記組成物を、実施例1の手順を使用して総噴霧量に基づく0.5重量%において評価し、そして総噴霧量に基づく0.5重量%におけるTEDA塩酸塩のみ、及び総噴霧量に基づく0.5重量%における界面活性剤のみを含む対応する組成物と比較した。
【表3】

【0033】
慣習的な界面活性剤に対して比較的少ない割合のTEDAの添加は、活性を非常に有意に増大させ、そしてまたTEDAそれ自体において有効であるように思われる。
【0034】
実施例4
本発明のアミンの存在下におけるパラコートのバイオパフォーマンス増強を評価した。試験したアミン及び結果を表4に示す。0.5重量%のアミン(親アミンの重量に基づき、且つ総噴霧量に基づく)を含むパラコートジクロライドの水性製剤を、移動式トラック噴霧器(moving track sprayer)を使用して、10、20、及び40g/ha(パラコートイオンに基づく)において8つの代表的な雑草種に適用した。当該噴霧容積は200l/haに相当した。
【0035】
各試験を3回繰り返し、そして処理後7日目における生物学データ(0%が除草効果を示さず且つ100%が完全な死滅を示す場合の%活性)を、併合割合における平均応答に基づく全ての種にわたる平均として表4に示す。当該結果をパラコートクロライドのみを含む対応製剤と比較する。
【表4】

【0036】
実施例5
本発明のいくつかのアミンの存在下におけるパラコートのバイオパフォーマンス増強を評価した。エチレンジアミン(EDA)とTMEDAが試験した2つのアミンであり、そして当該結果を表5に示す。0.2重量%のアミン(親アミンの重量に基づき、且つ総噴霧量に基づく)を含むパラコートジクロライドの水性製剤を、移動式トラック噴霧器を使用して、10、20、及び40g/ha(パラコートイオンに基づく)において8つの代表的な雑草種に適用した。当該噴霧容積は200l/haに相当した。
【0037】
各試験を3回繰り返し、そして処理後7日目における生物学データ(0%が除草効果を示さず且つ100%が完全な死滅を示す場合の%活性)を、併合割合における平均応答に基づく全ての種にわたる平均として表5に示す。当該結果をパラコートクロライド、及び0.2%の有効アジュバントブレンド含む対応標準製剤と比較する。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性成分及びアミンアジュバントを含んで成る、農薬組成物。
【請求項2】
前記農薬活性成分が、パラコート、ジクワット、グリホサート、ホメサフェン、チアメトキサム、メソトリオン、及びトリフロキシスルフロン、又はこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の農薬組成物。
【請求項3】
前記農薬活性成分が、パラコート若しくはジクワット、又はこれらの混合物である、請求項2に記載の農薬組成物。
【請求項4】
前記パラコート若しくはジクワット、又はこれらの混合物の濃度が、100g/l以上である、請求項3に記載の農薬組成物。
【請求項5】
前記アミンアジュバントが、トリエチレンジアミン(TEDA)若しくはその塩;又はテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)若しくはその塩である、請求項1に記載の農薬組成物。
【請求項6】
農薬活性成分に対するアミンアジュバントの重量比が、好ましくは1:20〜10:1である、請求項1に記載の農薬組成物。
【請求項7】
農薬活性成分に対するアミンアジュバントの重量比が、好ましくは1:10〜1:2である、請求項1に記載の農薬組成物。
【請求項8】
10〜400グラム毎リットルの電解質下剤を更に含んで成る、請求項4に記載の農薬組成物。
【請求項9】
前記電解質下剤が硫酸マグネシウムである、請求項8に記載の農薬組成物。
【請求項10】
pH誘発性ゲル効果がヒト胃酸の酸性pHにおいて起こるようなpH誘発性ゲル化剤であるアルギン酸塩を更に含んで成る、請求項8に記載の農薬組成物。
【請求項11】
電解質下剤として10〜100グラム毎リットルの硫酸マグネシウムを含んで成る、請求項9に記載の農薬組成物。
【請求項12】
第二アジュバントを更に含んで成る、請求項1に記載の農薬組成物。
【請求項13】
前記第二アジュバントが界面活性剤である、請求項12に記載の農薬組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤が、アルキルポリグリコシド、ベタイン、アルキルエトキシホスファート及びその塩、アルコールエーテルカルボン酸及びその塩、アルコールエーテルスルファート及びその塩から成る群から選択される、請求項13に記載の農薬組成物。
【請求項15】
前記第二アジュバントが前記アミンアジュバントよりも低濃度において存在する、請求項12に記載の農薬組成物。
【請求項16】
前記第二アジュバントが、アルコールエトキシラート、アミンエトキシラート、アミンオキシド、及び陽イオン性、例えば、第四級アンモニウム塩から成る群から選択される、請求項15に記載の農薬組成物。
【請求項17】
第二アジュバントに対するアミンアジュバントの重量比が約50:1〜1:50の範囲である、請求項16に記載の農薬組成物。
【請求項18】
第二アジュバントに対するアミンアジュバントの重量比が約10:1〜1:10の範囲である、請求項17に記載の農薬組成物。
【請求項19】
第二アジュバントに対するアミンアジュバントの重量比が約1:1〜1:25の範囲である、請求項16に記載の農薬組成物。
【請求項20】
第二アジュバントに対するアミンアジュバントの重量比が約1:4〜1:15の範囲である、請求項19に記載の農薬組成物。
【請求項21】
農薬活性成分に対するアミンアジュバントと第二アジュバントの重量比が約1:10〜10:1の範囲である、請求項12に記載の農薬組成物。
【請求項22】
農薬活性成分に対するアミンアジュバントと第二アジュバントの重量比が約1:5〜10:1の範囲である、請求項21に記載の農薬組成物。

【公表番号】特表2007−513933(P2007−513933A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543608(P2006−543608)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005117
【国際公開番号】WO2005/055717
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(501008820)シンジェンタ リミテッド (33)
【Fターム(参考)】