説明

近赤外線吸収画像形成用組成物

【課題】印画したときの高い不可視性と近赤外線吸収能を示す近赤外線吸収画像形成用組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物を含む近赤外線吸収画像形成用組成物。


(式中、R1a及びR1bは同じであっても異なってもよく、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R及びRは各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R及びRは結合して環を形成してもよい。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素または金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はRと共有結合もしくは配位結合してもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線で読み取り可能な近赤外線吸収画像形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外線吸収色素は広い分野において様々な用途に適用されている。例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)やCCD用の赤外線カットフィルム、熱線遮蔽フィルムにおいて光学フィルターとして、あるいは追記型光ディスク(CD−R)やフラッシュ溶融定着材料において光熱変換材料として用いられている。また、セキュリティーインクや、不可視バーコードインクにおいて情報表示材料として用いられている。このセキュリティーインクは、紙幣・金券類・有価証券類・プラスチック金融カード・通帳・保険証等の証明書類等に暗号化された情報(バーコード、2次元コード、OCR文字等)を印刷し、偽造を防止するために用いられている。あるいは、同様に印刷して、近赤外線検出によるOCR読み取りや、位置確認、機器の誤動作の防止等を目的として用いられる。また、偽造防止以外にも、目立たないため、印刷物の意匠性を損なわない隠しインクとしても有用である。
【0003】
こうした情報表示用途に用いる近赤外線吸収色素は、近赤外領域に強い吸収を有することに併せて、目に見えないという不可視性に優れることが非常に重要である。また、色素全般に要求される性能として高い耐久性が要求される。この点、不可視性及び高耐性のいずれかを高めた近赤外線吸収色素であれば、これを開示したものもあるが(特許文献1〜7参照)、不可視性と耐久性とを両立したものはなく、これらの性能を併せ持つ近赤外線吸収色素が強く望まれる。
【0004】
無機物イオン(銅、鉄、イッテルビウムなど)を含有する赤外線吸収インクを用いて、赤外線吸収画像を形成することが提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、これらのインクでは、画像の赤外線吸収性は十分でも不可視性が不十分である。その不可視性を高めようとすると、逆に赤外線吸収性が不十分となり可視画像と混在するときの識別能が不十分になる。さらに、上記のインクに含まれる重金属は環境への負荷が大きい。
【0005】
また、フタロシアニン色素、ジオチール化合物色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、ニッケル錯体色素などを含有する赤外線吸収インクを用いて、赤外線吸収画像を形成する例が知られている(特許文献3〜6参照)。さらに、ジインモニウム化合物からなる赤外線吸収剤を含むトナーも検討されている(特許文献7参照)。近赤外線吸収剤を含むトナーは不可視トナーとして用いることができ、上記コードパターンなどとする不可視画像の形成に利用できる。しかしながら、上記で特許文献3〜7に開示されたインクないしトナーは不可視性及び耐久性の両立という点では未だ不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−143853号公報
【特許文献2】特開平10−60409号公報
【特許文献3】特開平7−164729号公報
【特許文献4】特開平11−279465号公報
【特許文献5】特開2008−291072号公報
【特許文献6】特開2002−146254号公報
【特許文献7】特開2006−78888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、印画したときの高い不可視性と近赤外線吸収能を示し、さらに高い耐久性を実現する近赤外線吸収画像形成用組成物、これを用いて調製した近赤外線吸収画像形成用の平版インクないしグラビアインクに適したインク組成物及び電子写真用トナー、これらを用いて近赤外線吸収画像を印刷した印刷物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、下記の手段により解決された。
<1>下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物を含むことを特徴とする近赤外線吸収画像形成用組成物。
【化1】

(式中、R1a及びR1bは同じであっても異なってもよく、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R及びRは各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R及びRは結合して環を形成してもよい。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素または金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はRと共有結合もしくは配位結合してもよい。)
【0009】
<2>実質的に不可視である、<1>に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物。
【0010】
<3>前記一般式(1)のRは置換ホウ素を表すことを特徴とする<1>または<2>に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物。
【0011】
<4>下記一般式(1)で表される化合物を微粒子分散状態で含有することを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物。
【0012】
<5>極大吸収波長が700nm〜1000nmであることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物。
【0013】
<6><1>〜<5>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物からなることを特徴とするインク組成物。
【0014】
<7>少なくとも1種のビヒクル、少なくとも1種の有機溶媒をさらに含むことを特徴とする<6>に記載のインク組成物。
【0015】
<8>インク組成物が平版インクであることを特徴とする<6>または<7>に記載のインク組成物。
【0016】
<9>インク組成物が、グラビアインクであることを特徴とする<6>または<7>に記載のインク組成物。
【0017】
<10><6>〜<9>のいずれか1項に記載のインク組成物を基材に付着させ該インクからなる近赤外線吸収画像を形成したことを特徴とする印刷物。
【0018】
<11><1>〜<5>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物からなることを特徴とする電子写真用トナー。
【0019】
<12>少なくとも1種の結着樹脂を含むことを特徴とする<10>に記載の電子写真用トナー。
【0020】
<13><11>または<12>に記載の電子写真用トナーを基材に付着させて該トナーからなる近赤外線吸収画像を形成したことを特徴とする電子写真方式による印刷物。
【発明の効果】
【0021】
本発明の近赤外線吸収画像形成用組成物は、印画したときに可視部の吸収が実質的に無く、かつ近赤外線吸収能を示し、しかも高い耐久性を実現するという優れた作用効果を奏する。また、これを用いた平版インクないしグラビアインクに特に適したインク組成物、及び電子写真用トナーにより形成した印刷物の画像は、耐光性に優れる。また、これらの画像は見た目に目立たず、かつ近赤外線による読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】例示化合物D−10およびD−28の溶液吸収スペクトルを表すグラフである。
【図2】例示化合物D−10を用いたグラビア印刷物の反射スペクトルを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の近赤外線吸収画像形成用組成物は、下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物を含有し、適宜その他の機能性の材料を含んでもよい。前記近赤外線吸収化合物は、適切な分散剤を用いて分散操作を行うことで、平版インク、グラビアインク、及び電子写真トナー用に好適に用いることができる。
【0024】
(i)近赤外線吸収化合物
以下、一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物について説明する。
【0025】
【化2】

【0026】
式中、R1a及びR1bは同じであっても異なってもよく、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R及びRは各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R及びRは結合して環を形成してもよい。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素または金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はRと共有結合もしくは配位結合してもよい。
【0027】
一般式(1)中、R1a、R1bで表されるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30(本発明では、「A〜B」は、「A以上B以下」の意味で用いる。)、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、2−メチルブチル、2−エチルシクロへキシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
また、R1a、R1bで表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル、o−メチルフェニル、p−メチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。
1a、R1bで表されるヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロアリール基であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ナフトチアゾリル、ベンズオキサゾリ、m‐カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。
一般式(1)中のR1a及びR1bは、互いに同一でも異なってもよい。
【0028】
及びRは各々独立に水素原子または置換基Tを表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R及びRは結合して環を形成してもよい。置換基Tとしては例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、2−メチルブチル、2−エチルシクロへキシル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
【0029】
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、
【0030】
芳香族ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されていてもよい。
【0031】
又はRで表される基において電子吸引性基は、Hammettのσp値(シグマパラ値)が正の置換基を表し、好ましくはシアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、ヘテロ環基などが挙げられる。これら電子吸引性基はさらに置換されていてもよい。
【0032】
ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版,1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)、Chem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページなどに詳しい。本発明におけるハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基とは電子求引性基であることを示している。σp値として好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。上限は特に制限はないが、好ましくは0.80である。
【0033】
具体例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(−COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(−COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(−COOPh:0.44)、カルバモイル基(−CONH:0.36)、アルキルカルボニル基(−COMe:0.50)、アリールカルボニル基(−COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(−SOMe:0.72)、またはアリールスルホニル基(−SOPh:0.68)などが挙げられる。特に好ましくは、シアノ基である。
本明細書において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。なお、括弧内の値は代表的な置換基のσp値をChem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページから抜粋したものである。
【0034】
さらに、R及びRが結合して環を形成する場合は、5ないし7員環(好ましくは5ないし6員環)の環を形成し、形成される環としては通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましく、その具体例としては例えば以下のものが挙げられる。
(a)1,3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン核、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオンなど。
(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オンなど。
(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オンなど。
(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドールなど。
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツル酸または2−チオバルビツル酸およびその誘導体など。誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体、1,3−ジ(2−ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニンおよびその誘導体など。誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン、3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオンなど。
(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイドなど。
(i)2−チオ−2,5−チオゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオンなど。
(j)2,4−チオゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオンなど。
(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、2−エチル−4−チアゾリノンなど。
(l)4−チアゾリジノン核:例えば2−エチルメルカプト−5−チアゾリン−4−オン、2−アルキルフェニルアミノ−5−チアゾリン−4−オンなど。
(m)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(n)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(o)イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オンなど。
(p)3,5−ピラゾリジンジオン核:例えば1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン、1,2−ジメチル−3,5−ピラゾリジンジオンなど。
(q)ベンゾチオフェン−3−オン核:例えばベンゾチオフェン−3−オン、オキソベンゾチオフェンー3−オン、ジオキソベンゾチオフェンー3−オンなど。
(r)インダノン核:例えば1−インダノン、3−フェニル−1−インダノン、3−メチル−1−インダノン、3,3−ジフェニル−1−インダノン、3,3−ジメチル−1−インダノンなど。
【0035】
なお、環を形成する場合のR及びRのσp値を規定することができないが、本発明においてはR及びRにそれぞれ環の部分構造が置換しているとみなして、環形成の場合のσp値を定義することとする。例えば1,3−インダンジオン環を形成している場合、R及びRにそれぞれベンゾイル基が置換したものとして考える。
【0036】
及びRが結合して形成される環としては、好ましくは1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、またはインダノン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、またはインダノン核である。
【0037】
はヘテロ環であることが特に好ましい。ヘテロ環として特に好ましくは、ピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、これらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環、又はこれら縮環の複合体である。
一般式(1)中の2つのRは、互いに同一でも異なってもよく、また、2つのRは、互いに同一でも異なってもよい。
【0038】
で表される基がアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基であるとき、この基は、R1a、R1bで説明したものと同義であり、好ましい範囲も同様である。Rで表される基が置換ホウ素であるときその置換基は、R及びRについて上述した置換基Tと同義であり、好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基である。また、Rで表される基が金属原子であるときは、好ましくは遷移金属、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、又はスズであり、より好ましくはアルミニウム、亜鉛、スズ、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、イリジウム、又は白金であり、特に好ましくはアルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、又は白金である。
で特に好ましくは置換ホウ素である。
は、R1a、R1b及び/又はRと共有結合もしくは配位結合してもよく、特にRがRと配位結合することが好ましい。
一般式(1)中の2つのRは、互いに同一でも異なってもよい。
【0039】
前記一般式(1)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(2)、(3)、及び(4)のいずれかで表される近赤外線吸収化合物である。
【0040】
【化3】

【0041】
式中、Z1a及びZ1bは各々独立にアリール環もしくはヘテロアリール環を形成する原子群を表す。R5a及びR5bは各々独立に炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のカルバモイル基、ハロゲン原子、又はシアノ基のいずれか1つを表し、R5a又はR5bとZ1a又はZ1bとが結合して縮合環を形成してもよい。R22及びR23は各々独立にシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜20の含窒素ヘテロアリール基を表し、又はR22及びR23が結合して環状酸性核を表す。R24は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、金属原子、又は置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20のヘテロアリール基を有する置換ホウ素を表し、R23と共有結合もしくは配位結合を有してもよい。また、当該化合物は更に置換基を有してもよい。
【0042】
【化4】

【0043】
式中、R31a及びR31bは各々独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表す。R32はシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基を表す。R及びRは各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数4〜10のヘテロアリール基を表し、R及びRは結合して環を形成してよく、形成する環としては炭素数5〜10の脂環、炭素数6〜10のアリール環、又は炭素数3〜10のヘテロアリール環である。R及びRは各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数3〜10のヘテロアリール基を表す。Xは酸素原子、イオウ原子、−NR−、−CRR’−、−CH=CH−を表し、R及びR’は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。
【0044】
【化5】

【0045】
式中、R41a及びR41bは互いに異なる基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表す。R42はシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基を表す。Zは−C=N−と共に含窒素ヘテロ5又は6員環を形成する原子群を表し、含窒素ヘテロ環としてはピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、これらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環、又はこれら縮環の複合体を表す。R44は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、金属原子、又は置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20のヘテロアリール基を有する置換ホウ素を表し、Zが形成する含窒素ヘテロ環と共有結合もしくは配位結合を有してもよい。また、当該化合物は更に置換基を有してもよい。
【0046】
<前記一般式(2)について>
前記一般式(2)中、Z1a及びZ1bは各々独立にアリール環もしくはヘテロアリール環を形成する原子群を表す。形成されるアリール環、ヘテロアリール環は、前記一般式(1)におけるR及びRの置換基として説明したアリール基、ヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Z1a及びZ1bは同一であることが好ましい。
5a及びR5bは各々独立に炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のカルバモイル基、ハロゲン原子、又はシアノ基のいずれか1つを表す。具体例には、前記一般式(1)におけるR及びRで説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。R5a及びR5bは同一であることが好ましい。
5a又はR5bとZ1a又はZ1bとが結合し縮合環を形成してもよく、該縮合環としてはナフチル環、キノリン環などが挙げられる。
1a又はZ1bが形成するアリール環もしくはヘテロアリール環にR5a又はR5bで表される基を導入することで、不可視性を大きく向上することができる。
【0047】
22及びR23は各々独立にシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜20の含窒素ヘテロアリール基を表し、又はR22及びR23が結合して環状酸性核を表す。具体的には、前記一般式(1)におけるR及びRで説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。Rは前記一般式(1)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。RはR23と共有結合もしくは配位結合を有しても良い。
【0048】
前記一般式(2)で表される化合物は更に置換基を有してもよく、該置換基としてはR及びRの置換基Tと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0049】
前記一般式(2)における好ましい組合せとしては、Z1a及びZ1bが各々独立にベンゼン環もしくはピリジン環を形成し、R5a及びR5bが各々独立にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基であり、R22及びR23が各々独立にヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はR22及びR23が結合した環状酸性核であり、Rが水素原子、置換ホウ素、遷移金属原子、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、スズである場合である。特に好ましい組合せとしては、Z1a及びZ1bが共にベンゼン環を形成し、R5a及びR5bが共にアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基であり、R22及びR23が各々独立に含窒素ヘテロ環基とシアノ基もしくはアルコキシカルボニル基との組合せ、又はR22及びR23が結合した環状酸性核であり、Rが水素原子、置換ホウ素、アルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、白金である場合である。
【0050】
<前記一般式(3)について>
一般式(3)中、R31a及びR31bは各々独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表し、具体的には、前記一般式(1)におけるR1a及びR1bで説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。R31a及びR31bは同一であることが好ましい。
32はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるRの例と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0051】
及びRは各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数4〜10のヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR及びRの置換基の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。また、R及びRは結合して環を形成してよく、形成する環としては炭素数5〜10の脂環、炭素数6〜10のアリール環、炭素数3〜10のヘテロアリール環であり、好ましい例としてはベンゼン環やナフタレン環、ビリジン環などが挙げられる。
及びRが置換した5員含窒素ヘテロ環を導入し、更にホウ素錯体とすることで、高い堅牢性、高い不可視性を両立する赤外線吸収色素を実現することができる。
【0052】
及びRは各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数3〜10のヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR及びRの置換基の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Xは酸素原子、イオウ原子、−NR−、−CRR’−、−CH=CH−を表す。R及びR’は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表し、好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基である。
【0053】
前記一般式(3)における好ましい組合せとしては、R31a及びR31bが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、ベンゼン環もしくはピリジン環であり、R32がシアノ基、アルコキシカルボニル基であり、R及びRが結合してベンゼン環もしくはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環を形成し、R及びRが各々独立に炭素原子1〜6のアルキル基、フェニル基、ナフチル基であり、Xが酸素原子、イオウ原子、−NR−、−CRR’−、−CH=CH−であり、R及びR’が各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基である場合である。特に好ましい組合せとしては、R31a及びR31bが共に炭素数1〜10のアルキル基またはベンゼン環であり、R32がシアノ基であり、R及びRが結合してベンゼン環もしくはピリジン環であり、R及びRが各々独立に炭素原子1〜6のアルキル基、フェニル基、ナフチル基であり、Xが酸素、硫黄である場合である。
【0054】
<前記一般式(4)について>
一般式(4)中、R41a及びR41bは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表し、具体的には、前記一般式(1)におけるR1a及びR1bで説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。ただし、R41a及びR41bは互いに異なる基を表す。
42はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるRの例と同義であり、好ましい範囲も同様である。
は−C=N−と共に含窒素ヘテロ5又は6員環を形成する原子団を表し、含窒素ヘテロ環としてはピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、これらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環、又はこれら縮環の複合体を表す。
44は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、金属原子または置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20のヘテロアリール基を有する置換ホウ素を表し、Zが形成する含窒素ヘテロ環と共有結合もしくは配位結合を有してもよい。
互いに異なるR41a及びR41bで表される基を導入し、Zが−C=N−と共に形成する含窒素ヘテロ5又は6員環を導入することで、高い堅牢性および高い不可視性、優れた分散性、高い有機溶媒溶解性を付与することができる。
【0055】
前記一般式(4)における好ましい組合せとしては、R41a及びR41bが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、ベンゼン環もしくはピリジン環であり、R42がシアノ基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基であり、Zが−C=N−と共にチアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、又はこれらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環を形成し、R44が水素原子、置換ホウ素、遷移金属原子、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、又はスズである場合である。特に好ましい組合せとしては、R41a及びR41bが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基またはベンゼン環であり、R42がシアノ基であり、Zが−C=N−と共にチアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、又はこれらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環を形成し、R44が水素原子、置換ホウ素(置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、ベンゼン環、ピリジン環、又はチオフェン環)、アルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、又は白金である場合である。
【0056】
以下に、前記一般式(1)で表される化合物(好ましくは一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物)(色素化合物)の具体例を示すが、本発明は下記具体例に限定されるものではない。本明細書において、Meはメチル、Etはエチル基を、Buはブチル基、Phはフェニル基を表す。なお、以下の化学式において例えば式D−1やD−17等は一般式(1)の置換基Rにあたる水素原子が置換基Rを構成するヘテロ環の窒素原子と配位結合を形成するが、これを省略して示している(後記スキーム1参照)。
【0057】
【化6】

【0058】
【化7】

【0059】
【化8】

【0060】
【化9】

【0061】
【化10】

【0062】
【化11】

【0063】
【化12】

【0064】
【化13】

【0065】
【化14】

【0066】
【化15】

【0067】
【化16】

【0068】
次に、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物の合成法について説明する。
前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、該当するジケトピロロピロール化合物に、活性メチレン化合物を縮合させ、場合によっては、さらに、ホウ素や金属を反応させることで合成することができる。ジケトピロロピロール化合物は、「ハイパフォーマンス・ピグメンツ(High Performance Pigments)」,Wiley−VCH,2002年,160〜163ページに記載の方法で合成でき、より具体的な例としては米国特許第5,969,154号明細書や特開平9−323993号公報に記載の方法で合成できる。また、ジケトピロロピロール化合物と活性メチレン化合物との縮合反応やその後のホウ素化については、非特許文献Angewante Chemie International Edition of English,第46巻,第3750〜3753ページ(2007年)に従って合成できる。ホウ素化試薬はJ.Med.Chem.第3巻356〜360頁(1976年)を参考にして合成することができる。また、例えばブロモカテコールボランは東京化成工業社より購入して使用することができる。
【0069】
前記一般式(1)で表される化合物(好ましくは一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物)は、特に限定されないが、好ましくは700〜1200nm、より好ましくは700〜1000nmに吸収極大を有する。前記一般式(1)で表される化合物は、波長700nm以上1000nm以下の赤外線を選択的に吸収することが好ましい。
また、前記一般式(1)で表される化合物は、モル吸光係数εは特に限定されないが、好ましくは50,000〜500,000であり、より好ましくは100,000〜300,000である。
【0070】
前記一般式(1)で表される化合物は、IR色素として好ましく用いることができる。不可視であるため化合物の色は透明であることが好ましいが、ごくわずかに緑色、灰色に着色していてもよい。
【0071】
本発明の近赤外線吸収画像形成用組成物における前記一般式(1)で表される化合物の含有量は、必要に応じて調節することができるが、近赤外線吸収画像形成用組成物中に0.01〜50質量%含有させることが好ましく、0.1〜30質量%含有させることがより好ましい。この量を上記下限値以上とすることで有意な近赤外吸収能を付与することができ好ましく、上記上限値以下とすることで不可視性を付与することができ好ましい。
【0072】
前記一般式(1)で表される化合物(好ましくは一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物)の固体微粒子分散物の製造方法は、例えば、株式会社 技術情報協会 発行の「顔料分散技術−表面処理と分散剤の使い方および分散性評価−」、株式会社 朝倉書店発行の「顔料の事典」、株式会社 技術情報協会発行の「最新『顔料分散』実務ノウハウ・事例集」に詳しく記載されている。固体微粒子分散物にするためには、通常の分散機を用いることができる。分散機の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル及びローラミルが含まれる。分散機については、特開昭52−92716号公報及び国際公開第88/074794号パンフレットに記載がある。縦型又は横型の媒体分散機が好ましい。
分散は、適当な媒体の存在下で実施してもよく、分散用界面活性剤を用いて行ってもよい。これら分散媒や分散用界面活性剤として好ましい例は、印刷用インクや電子写真用トナーなど、近赤外線吸収画像形成用組成物の使い方によって異なる。
【0073】
本発明の近赤外線吸収画像形成用組成物には、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物の固体微粒子分散物の分散性を向上させる目的で、通常の顔料用分散剤や界面活性剤を添加することができる。これらの分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(市販品:EFKA−745(商品名、エフカ社製))、ソルスパース5000(商品名、ゼネカ社製);オルガノシロキサンポリマーKP341(商品名、信越化学工業(株)社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(商品名、共栄社油脂化学工業(株)社製)、W001(商品名、裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(商品名、裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、商品名、森下産業(株)製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(商品名、サンノプコ(株)社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000、55000などの各種ソルスパース分散剤(商品名、ゼネカ(株)社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(商品名、旭電化(株)社製)およびイソネットS−20(商品名、三洋化成(株)社製)が挙げられる。
【0074】
また、特開平10−254133号公報に記載される主鎖部に特定の酸アミド基含有モノマーおよび四級アンモニウム塩モノマー残基を有するグラフト共重合体は、顔料を微分散する優れた作用を有することから、上記分散剤として用いることができる。上記グラフト共重合体を用いることによって、エネルギーや時間の消費を低減しながら顔料を微細に分散させることができ、且つ、分散した顔料が、時間経過しても凝集したり沈降したりすることがなく長期にわたる分散安定性を維持することができる。
【0075】
上記分散剤は、単独で用いてもよくまた2種以上組み合わせて用いてもよい。上記分散剤の添加量は、前記一般式(1)で表される化合物(好ましくは一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物)の固体微粒子分散物100質量部に対して1〜150質量部程度が好ましい。
【0076】
前記一般式(1)で表される化合物(好ましくは一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物)の固体微粒子は、その平均粒子径が500μm以下であることが好ましく、0.001μm〜50μmであることがより好ましく、0.001μm〜10μmであることが特に好ましい。特に平均粒子径が0.001μm〜0.2μmの場合、粒子散乱の影響が少なくなるため、極めてシャープな吸収スペクトルを示す近赤外線吸収画像形成用組成物を得ることができる。
【0077】
(インク)
本発明の近赤外線吸収画像形成用組成物を有するインクは、ビヒクルを構成する樹脂、本発明の近赤外線吸収画像形成用組成物、可塑剤および溶剤等で構成されていることが好ましい。ビヒクルを構成する樹脂としては、一般的には、蛋白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん粉、ロジン等などの天然樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂、レゾール型フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。さらに、ビヒクル中に、必要に応じて、印刷皮膜の柔軟性・強度安定化のための可塑剤、粘度調整、乾燥性のための溶剤、さらに乾燥、粘度、分散性、各種反応剤等の助剤を適宜添加することができる。
【0078】
また、本発明の近赤外線吸収画像形成用組成物からなるインク組成物は、形成された近赤外線吸収画像が油脂成分の汚染物質を吸着することが望ましくないために、常温で液体の油脂成分を用いない光重合硬化型、もしくは電子線硬化型インクとしてもよい。これらインクの硬化物の主成分は、アクリル系樹脂である。従って、上記インクはアルキルモノマーを含有するものである。
【0079】
これらの樹脂又はモノマーからなるインクは無溶剤性で、電磁波や電子線照射により、連鎖的重合反応を起こして硬化する。このうち、紫外線照射型のものについては、光重合開始剤と必要に応じて増感剤および助剤として重合禁止剤、連鎖移動剤などを適宜添加することができる。また、電子線硬化型のものについては、上記紫外線照射型と同様な樹脂又はモノマーを用いて、光重合開始剤を必要とせず、必要に応じて各種助剤を添加して得ることができる。
【0080】
本発明の近赤外線吸収画像形成用組成物からなる印刷用インク組成物による印刷方式は、特に制限はなく、例えば、活版、平版、フレキソ、グラビア又はシルク印刷等であり、一般的に使用されている印刷機を用いて行うことができる。この中でも、本発明のインク組成物としては、好ましくは、平版インク又はグラビアインクである。
【0081】
(平版インク)
平版インクについて説明する。平版インクは、オフ輪インクなどであってもよいが、枚葉インクである場合が多い。なお、濡し水を用いる平版インクでパターンを形成すると、輪郭部が鮮明でない場合や、微細な水滴によりドットに巣抜け又は白抜け部が生成し、不均一なパターンが形成され、パターン精度が低下する場合がある。そこで、情報パターンの精度を高めるため、水なし平版インクであるのが好ましい。湿し水を用いる一般的な平版インクに比べて、水なし平版インクを用いると、厚みが均一で、しかもシャープな輪郭の情報パターンを形成でき、基材と情報パターンとの境界域のコントラストが高くなり、微細なパターンを薄くしかも均一に精度よく形成できる。なお、平版インクは、通常、乾性油又は半乾性油(不飽和油脂類)を含む酸化重合型インクである場合が多いが、先に述べたように、紫外線硬化型インクなどの活性光線硬化型インクであってもかまわない。
【0082】
酸化重合型平版インクは、種類に応じてバインダー樹脂、油脂類、高沸点溶媒、ドライヤー、乾燥抑制剤、補助剤などを使用することができる。
【0083】
より具体的には、酸化重合型平版インクのバインダー樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂(フェノール系樹脂、ロジン、硬化ロジン、重合ロジンなどのロジン類を用いたロジン変性フェノール系樹脂など)、マレイン酸系樹脂(ロジン変性マレイン酸系樹脂、ロジンエステル系樹脂など)、アルキド樹脂又は変性アルキド樹脂、石油樹脂などを示し、それらは任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0084】
油脂類としては、植物油並びに植物油由来の化合物であり、例えばグリセリンと脂肪酸とのトリグリセリドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセリドと、それらのトリグリセリドから飽和または不飽和アルコールとをエステル反応させてなる脂肪酸モノエステル、あるいは植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステル、エーテル類が挙げられる。
【0085】
植物油として代表的なものは、アサ実油、亜麻仁油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、桐油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。
【0086】
ドライヤーとしては、酸化重合を促進する酸化重合触媒であり、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチル酪酸、ナフテン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、セカノイック酸、トール油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ジメチルヘキサノイック酸、3,5,5,−トリメチルヘキサノイック酸、ジメチルオクタノイック酸、などの有機カルボン酸の金属塩、例えばカルシウム、コバルト、鉛、鉄、マンガン、亜鉛、ジルコニウム、塩などの公知公用の化合物が使用可能であり、印刷インク表面及び内部硬化を促進するために、これらの複数を適宜併用して使用することもできる。
【0087】
乾燥抑制剤としては、酸化重合反応に対して阻害効果を有する重合禁止剤であり、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン等に代表されるハイドロキノン誘導体、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン等に代表されるフェノール誘導体、アスコルビン酸、トコフェロール等に代表される抗酸化作用を有するビタミン化合物類などを示し、それらは任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0088】
補助剤としては、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、顔料分散剤、カルナバワックス、木ろう、ラノリンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプシュ合成ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフロオロエチレンワックス、ポリアミドワックスなどの合成ワックス、シリコーン添加剤、レベリング剤などを適宜しようすることができる。
紫外線硬化型平版インクは、種類に応じてバインダー樹脂、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤、補助剤などを使用することができる。
【0089】
紫外線硬化型平版インクのバインダー樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、石油樹脂、尿素樹脂、ブタジエン−アクリルニトリル共重合体のような合成ゴム等を示し、それらは任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。何れもエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー可溶である樹脂が用いられる。
【0090】
モノマーとしては、単官能または多官能の(メタ)アクリレート類をいい、これらを適宜用いることでインク組成物の粘度を調整することができる。
【0091】
オリゴマーとしては、アルキッドアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン変性アクリレート等が使用される。
【0092】
紫外線硬化型インクにはその硬化作用を促す成分として1種もしくは2種以上の光重合開始剤を適宜添加することができる。
【0093】
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4‘−メチルジフェニルサルファイド、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ビス−2、6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6、−トリメチルベンジル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モノフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。光重合開始剤と併用して、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート等の光促進剤を使用してもよい。
【0094】
補助剤としては、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、顔料分散剤、カルナバワックス、木ろう、ラノリンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプシュ合成ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフロオロエチレンワックス、ポリアミドワックスなどの合成ワックス、シリコーン添加剤、レベリング剤などを適宜しようすることができる。
【0095】
更に、平版インクには、体質顔料、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカなどを添加していてもよい。体質顔料の平均粒子径は、例えば、0.01〜1μm(好ましくは0.01〜0.1μm)程度である場合が多く、炭酸カルシウムを用いる場合が多い。必要であれば、情報パターンを形成するための平版インクには、目視により基材と情報パターンとが識別できない限り、赤外線透過性又は赤外線吸収性顔料(例えば、酸化チタンなどの白色顔料、ジスアゾイエローなどの黄色顔料、ブリリアントカーミン6Bなどの赤色顔料、フタロシアニンブルーなどの青色顔料、黒色顔料、特に減色混合を利用して複数の着色剤成分で調製された黒色着色剤など)を含んでいてもよい。
【0096】
本発明の平版インクにおいて、近赤外線吸収材料の含有量は、近赤外線反射率(又は吸収率)により情報パターンと基材とを光学的に判別又は識別できればよく、平版インク全体に対して0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜15質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%程度である。
【0097】
近赤外線吸収材料の含有量が少ないと、平版インクの稠度、粘度特性などが変化し情報パターンの精度が低下する場合がある。そのため、近赤外線吸収材料を含む平版インクでは、近赤外線吸収材料の種類によって体質顔料は含まなくてもよいが、近赤外線吸収材料と体質顔料とを組み合わせるのが好ましい。体質顔料は近赤外線吸収性を有していてもよく近赤外線吸収性がなくてもよい。体質顔料の含有量は、平版インク全体に対して1〜30質量%、好ましくは5〜25質量%である。又、近赤外線吸収材料と体質顔料との質量比は、5/95〜50/50であり、10/90〜45/55が好ましく、15/85〜40/60が更に好ましく、20/80〜30/70が特に好ましい。
【0098】
平版インクにおいて、各成分の割合は、近赤外線吸材料0.5〜10質量部、体質顔料5〜25質量部、バインダー樹脂10〜40質量部、油脂類20〜30質量部、鉱物油20〜30質量部程度であり、助剤などの添加剤を含めて総量100質量部となる割合が好ましい。
【0099】
平版インクは、コーンプレート粘度計で25℃、シェアレート100/sにおける粘度が100.0Pa・s以下が好ましく、40.0Pa・s〜80.0Pa・sが更に好ましい。粘度が上記数値より大きくなると、流動性、転移性が低下するため印刷物全体にがさつきの傾向が出てくる。また粘度と共にインクのタック値も上昇するため、紙剥け、紙離れ不良などが発生しやすくなる。また水無し平版インクは、コーンプレート粘度計で25℃、シェアレート100/sにおける粘度が150Pa・s以下が好ましく、60.0Pa・s〜120Pa・sが更に好ましい。粘度が上記数値より大きくなると、平版インクと同様の傾向がでてくると共に、着肉不良が起こりやすくなりドット抜け等印刷品質の低下に繋がり、赤外線センサーに対する読み取り精度にも問題が発生する。また上記数値より小さくなると、地汚れが起こりやすくなり、それによって印刷紙面上に形成される情報パターンが曖昧になり、赤外線センサーによる読み取り精度が低下するばかりでなく、印刷そのものに支障がでるようになる。
【0100】
本発明の平版インクを用いて印刷した画像の赤外線の反射率は、照射する赤外線(例えば、波長850の赤外線)に対して、例えば、0〜60%、好ましくは0〜50%、さらに好ましくは0〜40%程度である。
【0101】
基材は、赤外線反射性の表面を有する限り特に制限されず、印刷用紙、グラビア用紙、上質紙、コート紙、バライタ紙、アート紙、キャストコート紙などの紙基材、合成紙、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などで構成されたプラスチック基材(又はプラスチックシート)であってもよく、複数の層が積層された積層体(例えば、プラスチックシートに紙がラミネートされた積層体、蒸着フィルムなど)であってもよい。また、基材は、赤外線反射性を有する限り、着色していてもよい。基材としては、通常、白色コート紙などの紙基材、特に白色紙基材を用いる場合が多い。基材の赤外線反射率は、照射する赤外線(例えば、波長850mの赤外線)に対して、好ましくは60〜100%、さらに好ましくは70〜100%である。
【0102】
(グラビアインク)
次にグラビアインクについて説明する。グラビアインクは、出版用グラビア印刷インク、包装用及び紙用グラビア印刷インク、セロファン用グラビア印刷インク、プラスチックフィルム用グラビア印刷インク等が挙げられるが、本発明のグラビアインクはそのいずれにも用いることができる。本発明のグラビアインクの構成としては、本発明の近赤外線吸収材料、バインダー樹脂、溶剤からなり、その他補助剤として、体質顔料、可塑剤、紫外線防止剤、顔料分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス等を含む。
【0103】
バインダー樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、ロジンエステル、石灰硬化ロジン、亜鉛化硬化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリウレタン、環化ゴム、塩化ゴム、アクリル樹脂等を用いることができ、それらは任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。中でもセルロース誘導体、ポリアミドが好ましい。
【0104】
ポリアミド樹脂としては、主に重合脂肪酸、さらに脂肪族、脂環族および芳香族ジカルボン酸や脂肪族モノカルボン酸を一部含有してもよい酸成分と、主に脂肪族、脂環族、芳香脂肪族および芳香族ポリアミンの単独または混合物、さらには一級および二級モノアミンを一部含有してもよいアミン成分とを反応させたものである。
【0105】
ここで、重合脂肪酸とは一般に炭素数が16から22の不飽和脂肪酸またはそのエステルの重合により得られるもので、一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸、三量化重合脂肪酸等を含むものである。また、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、マレイン酸など、脂環族ジカルボン酸としてはシクロヘキサンジカルボン酸など、芳香族のジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸などを挙げることができる。さらに、脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などを挙げることができる。
【0106】
一方、アミン成分の内の脂肪族ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミンを挙げることができ、脂環族ポリアミンとしては、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン等を挙げることができる。また、芳香脂肪族ポリアミンとしてはキシリレンジアミン、芳香族ポリアミンとしてはフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。
【0107】
さらに一級および二級モノアミンとしては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどを挙げることができる。特にポリアミド樹脂のみをインクのバインダー樹脂とする場合、架橋剤と反応性を持たせるために、一級または二級モノアミン成分としてアルカノールアミンを用い、分子内に水酸基を有するポリアミド樹脂を併用する。以上の酸成分とアミン成分からポリアミド樹脂を合成する方法としては、反応成分のカルボキシル基/アミノ基の比率を0.9/1.0〜1.0/0.9、好ましくは1.0/1.0とし、反応温度を160〜280℃、好ましくは180〜230℃として、最終段階では100torr程度の減圧下で反応させることが望ましい。
【0108】
セルロース誘導体としては、ニトロ基置換体としてニトロセルロース、低級アシル基置換体としてセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、低級アルキル基置換体としてメチルセルロース、エチルセルロースなどを挙げることができる。これらセルロース誘導体の分子量や置換度などは、通常の塗料やインク組成物で使用される範囲のものが本発明でも支障なく利用できるが、セルロース誘導体のみをインクのバインダーとして使用する場合は、分子内に水酸基を有するものとして置換度は30〜85%程度が好ましい。また、耐熱性の面からはニトロ基置換体の使用が有利であり、接着性の面からは低級アシル基置換体および低級アルキル基置換体が有利であるから、使用の目的に応じて適宜選択して使用することが好ましい。
【0109】
インク溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブなどのグリコール誘導体類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類およびそれらの混合物が挙げられる。
【0110】
本発明のインク組成物で使用される近赤外線吸収材料の通常の使用量は、インク組成物中で1〜50質量%程度である。また、バインダー樹脂の通常の使用量は、インク組成物中に5〜40質量%程度であり、好ましくはポリアミド樹脂/セルロース誘導体の併用系で、その比率が1.0/0.1〜1.0/0.5(質量比率)の範囲である。
【0111】
また、本発明のグラビアインクは、芳香族性溶剤の使用量を低減したインクや、有機溶剤そのものの使用量を抑えた低公害、低毒性の印刷インクにも適用可能であり、例えば、特開平9−296143号公報や、特開2004―331894号公報を参考にして調整することができる。
【0112】
(電子写真用トナー)
本発明の電子写真用トナーは、上記の近赤外線吸収画像形成用組成物を含み、少なくとも結着樹脂をさらに含むものであることが好ましく、光定着用トナーや不可視トナーとして用いることが好ましい。
【0113】
ここで、前記不可視トナーとは、赤外線などの不可視光を用いて解読するためのトナーであり、用紙等にトナー画像として定着した場合目視で認識できる場合を含み、目視で認識できても、できなくともよく、不可視光によって読み取りを行うことのできるトナーを指す。すなわち、バーコードのような赤外線吸収パターン等の不可視画像を形成するためのトナーをいう。着色剤は明らかに着色剤の存在を確認できないレベルの1質量%以下であれば添加しても不可視トナーと呼ぶことができる。なお、不可視トナーには、光定着される不可視トナーも含まれる。
【0114】
本発明の電子写真用トナーには、通常の結着樹脂を含有させることができる。結着樹脂の主成分としては、ポリエステル、ポリオレフィンが好ましく、例えば、スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等などを単独または併用することができる。耐久性や透光性等の点から、ポリエステル系樹脂またはノルボルネンポリオレフィン樹脂を使用することが好ましい。なお、トナーに使用される結着樹脂のTg(ガラス転移点)は、好ましくは50〜70℃の範囲である。
本発明の電子写真用トナーには、必要に応じて帯電制御剤やワックスを加えるようにしてもよい。帯電制御剤としては、カリックスアレン、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物、アゾクロム系、アゾ亜鉛系などが使用できる。その他、トナーには鉄粉、マグネタイト、フェライト等の磁性材料を混合し磁性トナーでも使用できる。
【0115】
本発明の電子写真用トナーに含有させるワックスとしては、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が最も好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0116】
本発明の電子写真用トナーを製造するにあたっては、一般に使用されている混練粉砕法や湿式造粒法等を利用することができる。ここで、湿式造粒法としては、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法、in−situ重合法、界面重合法、乳化分散造粒法等を用いることができる。
前記混練粉砕法で作製するには、結着樹脂、一般式(I)で表される化合物、ワックス、帯電制御剤、及びその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合し、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、上記の剤等を分散または溶解せしめ、冷却固化後粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。一般式(I)で表される化合物は溶融混練の前に添加してもよいし、溶融混連のあとに添加してもよい。また、一般式(I)で表される化合物の分散性を向上させるため、マスターバッチを行ってもよい。
【0117】
本発明の電子写真用トナーにおいて、一般式(I)で表される化合物の含有量は特に限定されないが、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。
【0118】
本発明の電子写真用トナーは、その体積平均粒径D50vが3〜10μmの範囲が好ましく、4〜8μmの範囲内であることがより好ましい。また、その個数平均粒径D50pに対する体積平均粒径D50vの比(D50v/D50p)が1.0〜1.25の範囲であることが好ましい。そして、このように小粒径で粒径の揃ったトナーを使用することにより、トナーの帯電性能のバラツキが抑制されて、形成される画像におけるカブリが低減されると共に、トナーの定着性を向上させることができる。また、形成される画像における細線再現性やドット再現性も向上させることができる。
【0119】
本発明の電子写真記録方法においては、複写機、プリンタ、印刷機などにおける通常の態様によればよく、例えば以下のような画像形成態様が挙げられる。まず、感光体ドラムの光導電性絶縁体表面に正または負の均一な静電荷を与える帯電工程の後、光導電性絶縁体表面に例えばレーザ光を照射し、絶縁体表面上の静電荷を部分的に消去して画像情報に応じた静電潜像を形成する。次いで、例えば光導電性絶縁体上の静電荷の残った潜像部分にトナー(静電荷像現像用トナー)と呼ばれる現像剤の微粉体を付着させ、潜像をトナー像に可視化する。このようにして得られたトナー像を印刷物となすため、一般的に、記録紙などの記録媒体に静電的に転写し、その後トナー像は記録媒体に定着される。
上記転写後のトナー像の定着には、加圧、加熱あるいはこれらを併用した方法によってトナーを溶融させた後に固化定着させる方法、もしくは光エネルギーを照射してトナーを溶融させた後に固化定着させる方法などがある。
【0120】
また、本発明のインクや電子写真用トナーを用いて形成した画像は、形態的に目視により認識又は識別困難な種々の形態の微細パターンで構成してもよい。その形状はドット状であってもよく、細線状であってもよい。
【0121】
このような微細パターンは、視覚により識別し難いため、基材に施す部位が制約を受けることがなく、基材の任意の部位に施すことができ、プロセスカラーインク(赤外線吸収性がないか又は低いインク)などにより形成される画像部に情報パターンを施しても、画像の品質を損なうことがない。特に、情報パターンと基材とが色彩的にも識別し難いインクを用いると、さらに画像品質を高めることができる。
【0122】
プロセスインクによる画像は必ずしも必要ではないが、情報パターンが形成された基材表面には、少なくとも1つの有彩色又は無彩色インク、特に少なくとも3色のプロセスインクにより、赤外線を透過可能な所定の画像が形成されている場合が多い。この画像を形成するためのインクは、特に制限されず、平版インク、凸版インク、グラビアインク、フレキソインク、スクリーンインクなどの印刷インク、インクジェット用インク、感熱転写用インクなどであってもよい。また静電荷像現像用トナーにおいても同様である。
【0123】
また、有彩色又は3色のプロセスインクは、赤外線を透過可能な着色剤、例えば、ジスアゾイエロー、縮合アゾなどの黄色顔料、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、ローダミン6G、ローダミンB、ウォッチングレッドなどの赤色顔料、フタロシアニンブルーなどの青色顔料、フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などを含んでいてもよい。なお、無彩色又は黒色インクの着色剤は、減色混合を利用して、赤外線を透過可能な複数の着色剤、例えば、黄色、赤色及び青色顔料の組合せ、オレンジ色顔料と青色顔料との組合せ、緑色顔料と赤色顔料との組合せ、黄色顔料と紫色顔料との組合せなどにより調製された黒色着色剤であるのが好ましい。
【実施例】
【0124】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下の実施例及び比較例において単に「部」又は「%」というとき、特に断らない限り、質量基準である。
【0125】
合成例1
[例示化合物(D−17)の調製]
下記スキーム1に従って、例示化合物(D−17)を調製した。
【0126】
【化17】

【0127】
まず、ジケトピロロピロール化合物(DPP)を、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゾニトリルを原料にして、米国特許第5,969,154号明細書に記載された方法に従って、合成した。
【0128】
ジケトピロロピロール化合物3グラム(1モル当量)とピリジンアセトニトリル1.6グラム(2.5モル当量)をトルエン60mL中で攪拌し、オキシ塩化リン6.5グラム(8モル当量)を加えて4時間加熱還流した。室温(25℃)に冷却してクロロホルム50mLと水20mLを加え、さらに30分攪拌した。分液操作により有機層を取り出し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒クロロホルム)で精製し、さらにクロロホルム/アセトニトリル溶媒を用いて再結晶し、目的化合物(D−17)を3.3グラム、収率70%で得た。
H−NMR(CDCl):δ0.9−1.0(m,12H),1.35−1.6(m,16H),1.8(m,2H),3.95(d,4H),7.1(d,4H),7.4−7.5(m,4H),7.7(d,4H),7.75(d,2H),8.0(d,2H)
【0129】
合成例2
[例示化合物(D−10)の調製]
前記スキームに従い例示化合物(D−10)を調製した。
ジフェニルボリン酸2−アミノメチルエステル(1.4g、3モル当量)のトルエン溶液(1.2M)に塩化チタン(0.9mL、3モル当量)を添加し、30分間、外接温度100℃で攪拌した。次に、例示化合物(D−17)(2.3g)のトルエン混合液(0.2M)を添加し、さらに2時間加熱還流条件で攪拌した。室温まで冷やし、メタノールを加えたところ、結晶が析出したため、これをろ別し、クロロホルム/メタノールで再結晶を行い、例示化合物(D−10)を3.0g、収率93%で得た。
λmaxはクロロホルム中で779nmであった。モル吸収係数は、クロロホルム中、2.06×10dm/mol・cmであった。
H−NMR(CDCl):δ0.9−1.0(m,12H),1.35−1.6(m,16H),1.8(m,2H),3.85(d,4H),6.45(s,8H),7.0(d,4H),7.15(m12H),7.2(m,2H),7.25(m,4H+4H),7.5(m,2H)
【0130】
合成例3
[例示化合物(D−28)の調製]
例示化合物(D−28)を、原料を代えたこと以外は同様にして調製した。構造同定したH−NMRを示す。
例示化合物(D−28)
H−NMR(CDCl):1.9(s,6H),6.65(d,2H),6.7−6.8(m,6H),6.95(m,8H),7.0−7.1(m,4H),7.25−7.35(m,12H),7.5(m,2H),7.85(d,2H)
λmaxはクロロホルム中で752nmであった。モル吸収係数は、クロロホルム中、1.53×10dm/mol・cmであった。
なお、例示化合物(D−10)、(D−28)の溶液吸収スペクトルを図1に示す。
例示化合物(D−10)、(D−28)はいずれも近赤外光の吸収性に優れ、400〜500nmの吸収が小さく、不可視性が非常に優れることがわかった。
【0131】
[水無し平版インクによる印刷]
(ロジン変性フェノール樹脂)
撹拌機、冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコにP−オクチルフェノール720部、P−ドデシルフェノール375部、パラホルムアルデヒド290部、93%水酸化ナトリウム60部、キシレン800部を加えて、80〜90℃で5時間反応させた。その後6N塩酸125部、水道水200部の塩酸水溶液を添加し、撹拌、静置し、上層部を取り出し、不揮発分63%のレゾールタイプフェノール樹脂のキシレン溶液2000部を得て、これをレゾール液とした。続いて、撹拌機、水分分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、ガムロジン600部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃で溶解し、上記で製造したレゾール液770部を添加し、トルエンを除去しながら220℃で4時間反応させた後、グリセリン67部を仕込み、250℃で12時間反応させ、質量平均分子量200000、新日本石油化学(株)社製のAFソルベント6号[商品名]での白濁温度100℃、樹脂粘度23.0Pa・sの水無し平版インク用ロジン変性フェノール樹脂を得た。
【0132】
(ワニス)
ロジン変性フェノール樹脂42部、大豆油28部、大豆脂肪酸イソブチルエステル(当栄ケミカル(株)製)5部、ダイヤレン168[商品名](三菱化学(株)製、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン混合物)10部、AFソルベント6号[商品名](新日本石油化学(株)製溶剤)14部、ALCH[商品名](川研ファインケミカル(株)製ゲル化剤)、1.0部を190℃で1時間加熱撹拌して、水無し平版インク用ワニスを得た。
【0133】
(メジウムベースインク)
水無し平版インク用ワニス33.5部、炭酸カルシウム22部、AFソルベント6号8.2部を3本ロールミル、温度条件60℃にて、分散粒子径測定器(グラインドメーター)で粒子径が7.5ミクロン以下になるまで練肉し、水無し平版インク用メジウムベースインクを得た。
【0134】
[実施例1]
(近赤外線吸収ベースインク1)
水無し平版インク用ワニス22部、例示化合物(D−10)2部を、3本ロール、温度条件30℃にて、分散粒子径測定器(グラインドメーター)で粒子径が7.5ミクロン以下になるまで練肉し、水無し平版インク用近赤外線吸収ベースインク1を得た。グラインドメーターでの粒度測定より7.5ミクロン以上の粗大粒子は確認されず、ワニスに対する分散性は非常に良好であった。
3本ロール、温度条件30℃にて、メジウムベースインクを64%、近赤外線吸収ベースインク1を22.5%、金属ドライヤーを1%、AFソルベントを5%、コンパウンドを7%、重合禁止剤を0.5%の割合で希釈調整し、近赤外線吸収水無し平版印刷用インクNIR−1を粘度95.0Pa・sで得た。
【0135】
[実施例2]
(近赤外線吸収ベースインク2)
例示化合物(D−10)を例示化合物(D−28)に変更した以外は、近赤外線吸収ベースインク1と同様にして、水無し平版インク用近赤外線吸収ベースインク2を得た。グラインドメーターでの粒度測定より7.5ミクロン以上の粗大粒子は確認されず、ワニスに対する分散性は非常に良好であった。
近赤外線吸収ベースインクを1から2に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、近赤外線吸収水無し平版印刷用インクNIR−2を粘度90.0Pa・sで得た。
【0136】
[比較例1]
(近赤外線吸収ベースインク3)
例示化合物(D−10)を前記特許文献8に記載の例示化合物1−2に変更した以外は、近赤外線吸収ベースインク1と同様にして、水無し平版インク用近赤外線吸収ベースインク3を得た。グラインドメーターでの粒度測定より7.5ミクロン以上の粗大粒子は確認されず、ワニスに対する分散性は良好であった。
近赤外線吸収ベースインクを1から3に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、近赤外線吸収水無し平版印刷用インクNIR−1を粘度88.0Pa・sで得た。
【0137】
実施例1、2及び比較例1で得られたインクを用いて、各々ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ200μm)上に、オフセット印刷した。得られた印刷物について、分光反射濃度測定、耐光性試験を行い、不可視性と耐光性を評価した。
【0138】
<分光反射濃度測定条件>
測定器 :UV3100([商品名](株)島津製作所社製 紫外可視近赤外分光光度計)
波長範囲 :350−1000nm
サンプリングピッチ :0.50nm
スキャンスピード :高速
スリット幅 :20nm
検出器 :積分球(ISR−3100[商品名](株)島津製作所社製)
【0139】
測定した分光反射スペクトルについて、近赤外領域の極大吸収波長における反射濃度(Dir)と、波長550nmにおける反射濃度(Dvis)の比Dir/Dvisの値を不可視度と定義し、この値を用いて、近赤外線吸収画像の不可視性を評価した。なお、不可視度が大きいほど、近赤外線吸収画像の不可視性は良好である。
【0140】
<耐光性測定条件>
ウェザーメーター(アトラスC.I65、商品名、アトラス社製)を用いて、キセノン光(85000lx)を3日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度をUV−3100を用いて測定し、近赤外領域の極大吸収波長における照射後濃度/照射前濃度=色素残存率として評価した。
以上の結果を表1に示す
【0141】
[表1]水無し平版インク
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
分光反射濃度 不可視度
Dir Dvis Dir/Dvis 耐光性
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
NIR−1 1.18 0.05 24 95% 実施例1
NIR−2 0.83 0.02 42 91% 実施例2
NIR−3 0.95 0.10 10 62% 比較例1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0142】
表1に示すとおり、本発明の平版インクを用いた印刷物は、比較例に比べて、不可視度が大きく、優れた近赤外線吸収画像であった。また、本発明の平版インクを用いた印刷物は、比較例に比べて、耐光性が非常に優れていることがわかった。
【0143】
[グラビアインクによる印刷]
<ポリアマイドワニスの調製>
ポリアマイド(レオマイドS2310[商品名]、花王(株)製)40部を、トルオール 30部、イソプロピルアルコール20部と酢酸エチル10部に混合溶解させて、試験用ポリアマイドワニス(PA ワニス)を得た。
【0144】
<ニトロセルロースワニスの調製>
ニトロセルロース(1/4、太平化学製品(株)製)30部を、酢酸エチル30部とイソプロピルアルコール40部に混合溶解させて、試験用ニトロセルロースワニス(NCワニス)を得た。
【0145】
(実施例3)
例示化合物(D−10)3部、ソルスパース55000[商品名](ゼネカ社製)1部、 PA ワニス50部、NCワニス10部、トルオール15部、酢酸エチル8部、イソプロピルアルコール3部の混合物をサンドグライダーミルで混練し、近赤外線吸収グラビアインクNIR−4を得た。
【0146】
(比較例2)
例示化合物(D−10)に変えて、特開2002−146254号公報に記載の例示化合物1−2(下記)を用いた以外は、実施例1と同様にして、近赤外線吸収グラビアインクNIR−5を得た。
【0147】
【化18】

【0148】
実施例3、比較例2の近赤外線吸収グラビアインクについて、特開2008−246989号公報[0200]〜[0203]に記載の支持体オモテ面側に、線、版深35μmのグラビア版を用いて小型校正機にて印刷速度50m/分、乾燥温度60℃で印刷した。得られた印刷物について、分光反射濃度測定、耐光性試験を行い、不可視性と耐光性を評価した。それぞれの評価方法は平版インクによる印刷物と同様である。結果を表2に示す。また、図2にNIR−4を用いて印刷した画像の分光反射スペクトルを示す。
【0149】
[表2]グラビアインク
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
分光反射濃度 不可視度
Dir Dvis Dir/Dvis 耐光性
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
NIR−4 0.91 0.12 8 89% 実施例3
NIR−5 0.82 0.20 4 52% 比較例2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0150】
表2に示すとおり、本発明のグラビアインクを用いた印刷物は、比較例に比べて、不可視度が大きく、優れた近赤外線吸収画像であった。また、本発明の平版インクを用いた印刷物は、比較例に比べて、耐光性が非常に優れていることがわかった。
【0151】
[電子写真トナーによる印刷]
(実施例4)
<トナーNIR−6の調製>
第一工業(株)社製 ネオゲンSC(商品名)1.0g、例示化合物(D−10)5.0g、イオン交換水50.0gの混合物を、アイガーモーターミルを用いて3時間分散させ、濾取、乾燥して例示化合物(D−10)を含有する本発明の組成物粉末Aを得た。次に、スチレン37.5g、アクリル酸ブチル8.7g、アクリル酸1.1g、ドデカンチオール0.5g、1,10−ジアクリロイルオキシドデカン0.2g、上記組成物粉末A1.5gを混合し、アイガーモーターミルを用いて3時間分散させた。デモールSNB[商品名](花王(株)社製)0.4gをイオン交換水55gに溶解した水溶液に、上記分散液40gを徐々に加えてフラスコ中で分散、乳化させ、10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム0.6gを溶解したイオン交換水5gをフラスコに投入し、次いで、フラスコ内を窒素で置換した後、攪拌しながら内温が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続してアニオン性の樹脂微粒子分散液を得た。分散液を冷却後、濾過、イオン交換水で洗浄した。得られた個体をイオン交換水に再分散し、濾過し、減圧乾燥、粉砕し、近赤外線吸収トナー試料NIR−6を得た。
【0152】
(実施例5)
<トナーNIR−7の調製>
例示化合物をD−10からD−28に変えた以外は、実施例4と同様の方法で、近赤外線吸収トナー試料NIR−7を得た。
【0153】
(比較例3)
例示化合物(D−10)に変えて、特開2002−146254号公報に記載の前記例示化合物1−2を用いた以外は、実施例1と同様にして、近赤外線吸収トナー試料NIR−8を得た。
【0154】
得られたトナー試料NIR−6、NIR−7、NIR−8を、記録媒体として普通紙を用い、熱定着が可能な画像形成装置により印画物を形成した。なお、用いた画像形成装置は、熱定着器としてヒートローラーを備えた画像形成装置(富士ゼロックス社製、Docucentre402FS(商品名))である。不可視性、耐光性は平版インクやグラビアインクによる印刷物と同様に評価した。なお、トナー付着量は0.7±0.05(mg/cm2)の範囲で評価した。その結果を表3に示す。
【0155】
[表3]トナー
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
分光反射濃度 不可視度
Dir Dvis Dir/Dvis 耐光性
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
NIR−6 0.72 0.06 12 88% 実施例4
NIR−7 0.69 0.01 69 97% 実施例5
NIR−8 0.78 0.15 5 59% 比較例3
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0156】
表3から明らかなように、本発明のトナーは、比較例に比べて、不可視性、耐光性に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物を含むことを特徴とする近赤外線吸収画像形成用組成物。
【化1】

(式中、R1a及びR1bは同じであっても異なってもよく、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R及びRは各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R及びRは結合して環を形成してもよい。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素または金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はRと共有結合もしくは配位結合してもよい。)
【請求項2】
実質的に不可視である、請求項1に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)のRは置換ホウ素を表すことを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物。
【請求項4】
下記一般式(1)で表される化合物を微粒子分散状態で含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物。
【請求項5】
極大吸収波長が700nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物からなることを特徴とするインク組成物。
【請求項7】
少なくとも1種のビヒクル、少なくとも1種の有機溶媒をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のインク組成物。
【請求項8】
インク組成物が平版インクであることを特徴とする請求項6または7に記載のインク組成物。
【請求項9】
インク組成物が、グラビアインクであることを特徴とする請求項6または7に記載のインク組成物。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載のインク組成物を基材に付着させ該インクからなる近赤外線吸収画像を形成したことを特徴とする印刷物。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線吸収画像形成用組成物からなることを特徴とする電子写真用トナー。
【請求項12】
少なくとも1種の結着樹脂を含むことを特徴とする請求項10に記載の電子写真用トナー。
【請求項13】
請求項11または12に記載の電子写真用トナー基材に付着させて該トナーからなる近赤外線吸収画像を形成したことを特徴とする電子写真方式による印刷物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−235871(P2010−235871A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87585(P2009−87585)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】