説明

追い焚き可能なヒートポンプ式蓄熱給湯機およびチラー

【課題】貯湯タンク内に貯蔵された湯を追焚き可能で、所望の温度の湯を素早く給湯することができるヒートポンプ式蓄熱給湯機として使用することができる熱交換システムを提供する。
【解決手段】ヒートポンプ式蓄熱給湯機は、圧縮機1、加熱用熱交換器2、液化用熱交換機構3、レシーバタンク4、膨張機構5および外気用熱交換器6を有する。圧縮機1の吐出口と加熱用熱交換器2の高温側の入口との間、加熱用熱交換器2の高温側の出口と液化用熱交換機構3の高温側の入口との間、液化用熱交換機構3の高温側の出口とレシーバタンク4の入口との間、レシーバタンク4の出口と膨張機構5との間、膨張機構5と液化用熱交換機構3の低温側の入口との間、液化用熱交換機構3の低温側の出口と外気用熱交換器6との間、外気用熱交換器6の出口と圧縮機1の吸入口との間をそれぞれ冷媒配管7により接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は熱交換システムに関し、例えば、ヒートポンプ式蓄熱給湯機、チラー、空気調和機などに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
給湯器としては、従来より、ガスを燃焼させて、その強力な燃焼熱で瞬間的に水を沸き上げて湯を供給するガス燃焼式給湯器や、大容量の貯湯タンクを備え、夜間の安価な電力を利用して電気ヒータで加熱した大量の湯を貯湯タンクに夜間のうちに貯蔵し、日中に貯湯タンクに貯蔵した湯を使う電気温水器などが一般的に用いられてきた。
【0003】
しかしながら、ガス燃焼式給湯器は燃焼によるCO2 排出の問題があり、電気温水器は電気ヒータ加熱に大量の電力を消費するためエネルギー効率が低いという問題があった。そこで、近年の省エネルギー化の要求から、CO2 を排出せず、電気ヒータ加熱よりも数倍エネルギー効率が良く省エネルギー運転が可能な、冷凍サイクルを利用したヒートポンプユニットを有するヒートポンプ式蓄熱給湯機の開発が盛んに行われており、より一層の普及が期待されている。
【0004】
従来のヒートポンプ式蓄熱給湯機は、上記の電気温水器と同様に大容量の貯湯タンクを備え、夜間の安価な電力を使って夜中にヒートポンプで湯を焚き上げて貯湯タンクに貯蔵し、貯蔵した湯を日中に使うものが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
従来の一般的な、貯湯タンクを備えたヒートポンプ式蓄熱給湯機を図8に示す。図8に示すように、ヒートポンプ式蓄熱給湯機は、圧縮機501、加熱用熱交換器502、膨張弁503および外気用熱交換器504を有する。圧縮機501の吐出口と加熱用熱交換器502の高温側の入口との間、加熱用熱交換器502の高温側の出口と膨張弁503との間、膨張弁503と外気用熱交換器504の入口との間、外気用熱交換器504の出口と圧縮機501の吸入口との間がそれぞれ冷媒配管505により接続されている。冷媒配管505は冷媒流路である。膨張弁503は、外気用熱交換器504の出口に取り付けられた感温筒503aにより、外気用熱交換器504を出る冷媒ガスの過熱度の変化を検知し、その検知結果に応じて弁の開閉度を制御して外気用熱交換器504に流入する冷媒量を調整することにより冷媒ガスの過熱度を一定に保持するようになっている。冷媒配管505により接続された圧縮機501、加熱用熱交換器502、膨張弁503および外気用熱交換器504によりヒートポンプユニットが構成されている。
【0006】
加熱用熱交換器502には、水道水が流される配管506が設置されている。この加熱用熱交換器502において、配管506に流される水道水と冷媒配管505に流される冷媒との間で熱交換が行われる。配管506に流される水道水はポンプ507により加熱用熱交換器502に供給される。加熱用熱交換器502で加熱されて出口から出てくる湯は配管506を通って貯湯タンク508に入り、貯蔵される。配管506はポンプ507の上流で分岐しており、貯湯タンク508の底部に接続されている。貯湯タンク508に貯蔵された湯は三方弁からなる調整弁509を通って外部に給湯される。配管506は、貯湯タンク508への分岐部の上流でも分岐して調整弁509に接続されており、この分岐部がバイパス配管を構成している。
【0007】
このヒートポンプ式蓄熱給湯機の動作について説明する。外気用熱交換器504から出てくる冷媒ガスは、圧縮機501により圧縮されて高温高圧の状態になる。この高温高圧の冷媒ガスは加熱用熱交換器502に供給され、ポンプ507により供給された比較的温度の低い水道水と熱交換が行われ、高圧の状態で冷媒の凝縮温度まで冷却されて液化する。加熱用熱交換器502における冷媒との熱交換により水道水が加熱されて湯となり、貯湯タンク508に貯蔵される。液化した冷媒は膨張弁503で減圧、膨張した後、外気用熱交換器504で熱交換が行われて蒸発し、この際に外気から熱を吸収して低温のガス状態となる。この低温の冷媒ガスは圧縮機501に供給され、圧縮から始まる上記のサイクルが繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−193958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の従来のヒートポンプ式蓄熱給湯機は、加熱用熱交換器502に冷媒の凝縮温度より高温の水道水が供給されると、冷媒が凝縮することができなくなることから、冷媒の圧力が急激に上昇し、危険な状態になる。このため、ヒートポンプ式蓄熱給湯機を安定して運転するためには、ヒートポンプユニットの冷媒が凝縮可能な温度の水道水を供給する必要がある。この結果、このヒートポンプ式蓄熱給湯機では、湯を追い焚きしてより高温の湯にすることは不可能であった。具体的には、例えば、70℃の温度の湯を再度沸かして90℃の温度の湯にするといったことは不可能であった。
【0010】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、例えば貯湯タンク内に貯蔵された湯を追焚き可能で、所望の温度の湯を素早く給湯することができるヒートポンプ式蓄熱給湯機に使用することができるだけでなく、外気の温度が高い場合であっても冷却が可能なチラーに使用することができ、また、外気の温度が高い場合であっても冷房が可能な空気調和機に使用することができる熱交換システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、従来のヒートポンプ式蓄熱給湯機が有する上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、図8に示すヒートポンプ式蓄熱給湯機において、加熱用熱交換器502と膨張弁503との間に冷媒の液化用熱交換器およびこの液化用熱交換器により液化された冷媒を一定量溜めることができるレシーバタンクを順次設けるとともに、膨張弁503から出てくる低温の冷媒を液化用熱交換器504における熱交換用に用いることが有効であるという結論に至った。
【0012】
本発明者らはさらに検討を行った結果、上記の対策はチラーや空気調和機でも有効であるという結論に至った。すなわち、図9A、BおよびCはそれぞれ、ヒートポンプ式蓄熱給湯機、チラーおよび空気調和機の構成を示す。図9Aに示すように、ヒートポンプ式蓄熱給湯機における外気用熱交換器504は蒸発器、加熱用熱交換器502は凝縮器である。言い換えると、ヒートポンプ式蓄熱給湯機の基本的構成要素は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器であると言える。これに対して、図9Bに示すチラーおよび図9Cに示す空気調和機の基本的構成要素も圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器である。従って、ヒートポンプ式蓄熱給湯機、チラーおよび空気調和機のいずれも、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を基本的構成要素とする点で共通する。チラーおよび空気調和機においては、外気の温度が冷媒の凝縮温度以上であると、圧縮機から吐出された高温高圧の冷媒ガスは凝縮器で熱を完全に放出できず、全部または一部の冷媒ガスは液化されない。この凝縮器において液化されなかった冷媒ガスは冷媒圧力の異常上昇をもたらし、圧縮機や冷媒配管に大きな負荷をかけるだけでなく、危険な状態となる。従って、上記のヒートポンプ式蓄熱給湯機に対する対策は、チラーおよび空気調和機においても有効である。
【0013】
この発明は、本発明者らの上記の検討に基づいて案出されたものである。
すなわち、この発明は、
圧縮機、凝縮器、液化用熱交換機構、レシーバタンク、膨張機構および蒸発器を有し、
上記圧縮機の吐出口と上記凝縮器の高温側の入口との間、上記凝縮器の高温側の出口と上記液化用熱交換機構の高温側の入口との間、上記液化用熱交換機構の高温側の出口と上記レシーバタンクの入口との間、上記レシーバタンクの出口と上記膨張機構との間、上記膨張機構と上記液化用熱交換機構の低温側の入口との間、上記液化用熱交換機構の低温側の出口と上記蒸発器の入口との間、上記蒸発器の出口と上記圧縮機の吸入口との間がそれぞれ冷媒配管により接続されていることを特徴とする熱交換システムである。
【0014】
この熱交換システムにおいては、圧縮機から吐出された高温高圧の冷媒ガスは、凝縮器において熱を放出し、全部または一部が液化されて高圧の液体の冷媒となる。凝縮器で凝縮し切れなかった冷媒ガスが存在しても、この冷媒ガスは液化用熱交換機構の高温側の入口と高温側の出口との間で熱交換により冷却されて液化される。液化用熱交換機構の高温側の出口から出てくる液体の冷媒はレシーバタンク内に溜まる。レシーバタンクから出てくる液体の冷媒は、膨張機構において減圧、膨張した後、液化用熱交換機構の低温側の入口と低温側の出口との間で熱交換により加熱され、続いて蒸発器において熱を吸収することで気化し、低圧の冷媒ガスとなる。この低圧の冷媒ガスは圧縮機の吸入口から吸入され、圧縮から始まるサイクルが繰り返される。
【0015】
圧縮機は、開放型、密閉型、半密閉型のいずれでもよく、例えば往復式圧縮機、遠心式圧縮機、回転式圧縮機などが挙げられ、特に多筒式圧縮機、ロータリー圧縮機、スクリュー圧縮機、スクロール圧縮機などが好適である。圧縮機は、冷媒ガスを圧縮する機構を有している限り、基本的にはどのようなものであってもよい。
【0016】
凝縮器は、冷媒ガスの熱を放出して液化する機能を有する限り、基本的にはどのようなものであってもよい。凝縮器は、液冷式、空冷式のいずれでもよく、例えばプレートフィンチューブ型熱交換器、フィンコイル型熱交換器、シェルアンドチューブ型熱交換器、シェルアンドコイル型熱交換器、二重管型熱交換器、パラレルフロー型熱交換器、プレート型熱交換器などが好適である。
【0017】
液化用熱交換機構は、凝縮器で液化されなかった冷媒ガスを低温側の液体冷媒に熱を吸収させることで熱交換して液化する機構であって、高温側の冷媒ガスと低温側の冷媒とが熱交換可能に構成されている限り、基本的にはどのようなものでもよく、例えばプレートフィンチューブ型熱交換器、フィンコイル型熱交換器、シェルアンドチューブ型熱交換器、シェルアンドコイル型熱交換器、二重管型熱交換器、パラレルフロー型熱交換器、プレート型熱交換器などが好適である。
【0018】
液化用熱交換機構は必ずしも熱交換器である必要はなく、低温側の冷媒配管と高温側の冷媒配管のいずれか一方の配管を他方に巻き付ける構成、低温側の冷媒配管と高温側の冷媒配管とを束ねる構成、特に低温側の冷媒配管と高温側の冷媒配管とを捩る形で束ねる構成も有効である。このとき、高温側の冷媒配管と低温側の冷媒配管とは互いに平行流もしくは対向流のいずれをなす形での配置でもよいが、伝熱効率の高い対向流をなす構成が特に望ましい。また、一方の冷媒配管内に他方の冷媒配管を直接接触させて熱交換することも有効である。このとき、一方の冷媒配管と他方の冷媒配管とは互いに平行流もしくは対向流のいずれをなす形での配置でもよいが、伝熱効率の高い対向流をなす構成が特に望ましい。また、液化用熱交換機構にさらに水配管を高温側の冷媒配管と熱交換可能に追加配置する構成や、液化用熱交換機構全体を覆う形でウォータージャケットを配置して構成してもよい。
【0019】
レシーバタンクは、液体冷媒を貯蔵する機構を有している限り、基本的にはどのようなものであってもよい。レシーバタンクは、ユニオンタイプ、ブロックジョイントタイプのいずれでもよい。膨張機構に液体冷媒を供給するため、例えば、レシーバタンクの出口にはレシーバタンク底部から冷媒を取り出せるように冷媒配管がレシーバタンク内に入り込む形で接続されるようにする。必要に応じて、レシーバタンクの内部に冷媒内のゴミや水分を取り除くストレーナや乾燥剤を封入してもよい。
【0020】
膨張機構は、典型的には膨張弁であって、例えば、手動膨張弁、低圧膨張弁、温度自動膨張弁、低圧側フロート弁、高圧側フロート弁、電子膨張弁などが好適である。膨張弁は、蒸発器へ輸送される液体冷媒を減圧し膨張させるとともに、負荷に応じて流量を調整する構成を有している限り、基本的にはどのようなものでもよく、蒸発器の種類に応じて適宜選択される。膨張機構としては、キャピラリチューブを用いてもよい。
【0021】
蒸発器は、冷媒が熱を吸収して気化する機構を有している限り、基本的にはどのようなものであってもよい。蒸発器は、乾式、満液式のいずれでもよく、例えばプレートフィンチューブ型熱交換器、フィンコイル型熱交換器、シェルアンドチューブ型熱交換器などが好適である。
【0022】
冷媒は、典型的には炭酸ガス冷媒(R774)、アンモニア冷媒(R717)、プロパン冷媒、イソブタン冷媒、エチレン冷媒、ハロゲン化メタン冷媒(R13、R13B1、R14、R21、R22、R23など)、フルオロカーボン冷媒(R123、R134a、R407C、R410A、R407Aなど)などが挙げられるが、これらには限定されず、物質的に安定であって蒸発しやすく蒸発時の潜熱が大きい性質を持っている物質であればどのようなものであってもよく、特に蒸発時の圧力が大気圧以下ではなく真空領域でない物質であることが望ましい。また、二つ以上の冷媒を混合した混合冷媒を使用することもできる。
【0023】
冷媒配管は、使用する冷媒に対して耐腐食性を持ち、耐熱性が高く、温度変化に安定で熱伝導性が高い物質材料であって、耐圧性が高く圧力損失の低い構成を有している限り基本的にはどのような物質材料や構成であってもよく、例えば銅管や鋼管などの金属管が使用されるが、これらに限定されず、使用する冷媒によって適宜設計選択される。
【0024】
凝縮器において冷媒と熱交換を行う流体は、液体、気体のいずれでもよく、例えば、水、オイル(油)、空気などが好適であるが、これらに限定されず、流動性を有する物質であればどのようなものであってもよい。凝縮器で熱交換を行う流体は、熱交換システムの用途に応じて適宜選ばれる。例えば、熱交換システムを給湯機に適用する場合には、凝縮器で熱交換を行う流体は水または湯である。
【0025】
この熱交換システムは、ヒートポンプ式蓄熱給湯機、チラー、空気調和機などに使用することができる。
この熱交換システムは、例えば、貯湯タンクを備えたヒートポンプ式蓄熱給湯機に適用することができる。この貯湯タンクには、凝縮器の低温側の入口と低温側の出口との間に水または湯を流すことにより得られる湯が貯蔵される。貯湯タンクの壁の材料や構成は必要に応じて選ばれ、従来公知のものを用いることができる。貯湯タンクの耐圧性を確保しつつ、軽量性の向上を図る観点から、好適には、貯湯タンクの壁は、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層と、ポリアミド樹脂からなり上記内層の外方に設けられる外層と、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなり、上記内層と上記外層との間に位置する中間層とを有する多層構造体から構成される。最も好適には、貯湯タンクの壁の厚さは7mm以上であり、上記内層、上記中間層、上記外層の厚さ比率は、内層:中間層:外層=4:1:5〜8:1:1の範囲である。
【0026】
この熱交換システムが、貯湯タンクを備えたヒートポンプ式蓄熱給湯機である場合、この熱交換システムは、蒸発器が外気用熱交換器であり、液化用熱交換機構の低温側の出口と冷却用熱交換器の低温側の入口との間、冷却用熱交換器の低温側の出口と外気用熱交換器との間がそれぞれ冷媒配管により接続され、冷却用熱交換器における冷媒との熱交換により冷却された水を用いて冷房を行うことが可能な室内空気調和機をさらに有することもある。さらに、この熱交換システムにおいては、冷却用熱交換器による吸熱を貯冷タンクに蓄冷し、室内空気調和機による室内の冷房に使用するようにしてもよい。より具体的には、この熱交換システムは、冷却用熱交換器により冷却された水を貯蔵する貯冷タンクをさらに有し、貯冷タンクに貯蔵された冷却された水を室内空気調和機による室内の冷房に使用するようにしてもよい。必要に応じて、貯冷タンクに氷蓄熱をしてもよい。必要に応じて、室内空気調和機により室内の暖房を行う時、貯冷タンクを貯湯タンクとして使用することが可能に構成してもよい。
【0027】
熱交換システムがチラーである場合、熱交換システムは、蒸発器の高温側の入口と高温側の出口との間に流体を流すことにより得られる流体を貯蔵する貯蔵タンクをさらに有することもある。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、凝縮器内における冷媒が凝縮温度に達しないような環境下であっても、簡易な構成で熱交換システムを安全に連続運転することが可能となる。このため、ヒートポンプ式蓄熱給湯機においては、例えば貯湯タンク内に貯蔵された湯を追焚き可能で、所望の温度の湯を素早く給湯することができ、チラーにおいては、外気の温度が高い場合であっても冷却が可能であり、空気調和機においては、外気の温度が高い場合であっても冷房が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の第1の実施の形態による、貯湯タンクを備えたヒートポンプ式蓄熱給湯機を示す略線図である。
【図2】この発明の第2の実施の形態によるチラーを示す略線図である。
【図3】この発明の第3の実施の形態によるチラーを示す略線図である。
【図4】この発明の第4の実施の形態による空気調和機を示す略線図である。
【図5】この発明の第5の実施の形態による空気調和機を示す略線図である。
【図6】この発明の第6の実施の形態による給湯機/室内空気調和機複合システムを示す略線図である。
【図7】この発明の第1の実施の形態によるヒートポンプ式蓄熱給湯機または第6の実施の形態による給湯機/室内空気調和機複合システムにおいて用いられる貯湯タンクを示す略線図である。
【図8】従来の、貯湯タンクを備えたヒートポンプ式蓄熱給湯器を示す略線図である。
【図9】ヒートポンプ式蓄熱給湯機、チラーおよび空気調和機の基本的構成要素を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について説明する。
第1の実施の形態
図1は、第1の実施の形態による、貯湯タンクを備えたヒートポンプ式蓄熱給湯機を示す。
図1に示すように、このヒートポンプ式蓄熱給湯機は、圧縮機1、加熱用熱交換器2、液化用熱交換器3、レシーバタンク4、膨張弁5および外気用熱交換器6を有する。圧縮機1の吐出口と加熱用熱交換器2の高温側の入口との間、加熱用熱交換器2の高温側の出口と液化用熱交換器3の高温側の入口との間、液化用熱交換器3の高温側の出口とレシーバタンク4の入口との間、レシーバタンク4の出口と膨張弁5との間、膨張弁5と液化用熱交換器3の低温側の入口との間、液化用熱交換器3の低温側の出口と外気用熱交換器6の入口との間、外気用熱交換器6の出口と圧縮機1の吸入口との間がそれぞれ冷媒配管7により接続されている。冷媒配管7は冷媒流路である。膨張弁5は、外気用熱交換器6の出口に取り付けられた感温筒5aにより、外気用熱交換器6を出る冷媒ガスの過熱度の変化を検知し、その検知結果に応じて弁の開閉度を制御して外気用熱交換器6に流入する冷媒量を調整することにより冷媒ガスの過熱度を一定に保持するようになっている。冷媒配管7により接続された圧縮機1、加熱用熱交換器2、液化用熱交換器3、レシーバタンク4、膨張弁5および外気用熱交換器6によりヒートポンプユニットが構成されている。
【0031】
加熱用熱交換器2の低温側の入口および出口に、水道水が流される配管8が設置されている。この加熱用熱交換器2において、配管8に流される水道水と冷媒配管7に流される冷媒との間で熱交換が行われる。配管8に流される水道水はポンプ9により加熱用熱交換器2に供給される。加熱用熱交換器2で加熱されて出口から出てくる湯は配管8を通って貯湯タンク10に入り、貯蔵される。配管8はポンプ9の上流で分岐しており、貯湯タンク10の下部に接続されている。貯湯タンク10に貯蔵された湯は三方弁からなる調整弁11を通って外部に給湯される。配管8は、貯湯タンク10への分岐部の上流でも分岐して調整弁11に接続されており、この分岐部がバイパス配管を構成している。
【0032】
このヒートポンプ式蓄熱給湯機の動作を、配管8に供給される水道水の温度が冷媒の凝縮温度より低い場合と冷媒の凝縮温度以上である場合とに分けて説明する。
まず、配管8に供給される水道水の温度が冷媒の凝縮温度より低い場合のヒートポンプ式蓄熱給湯機の動作について説明する。外気用熱交換器6から出てくる冷媒ガスは、圧縮機1により圧縮されて高温高圧の状態になる。この高温高圧の冷媒ガスは加熱用熱交換器2に供給され、ポンプ9により供給された比較的温度の低い水道水と熱交換が行われ、高圧の状態で冷媒の凝縮温度まで冷却されて液化する。加熱用熱交換器2における熱交換により水道水が加熱されて湯となり、貯湯タンク10に貯蔵される。液化した冷媒は液化用熱交換器3で熱交換が行われた後、レシーバタンク4に供給される。レシーバタンク4にはあらかじめ冷媒が一定量液体の状態で貯蔵されており、冷媒はレシーバタンク4から出て膨張弁5で減圧、膨張した後、液化用熱交換器3で熱交換が行われる。こうして液化用熱交換器3で熱交換が行われて、過冷却の状態になり、冷媒は外気用熱交換器6に供給されて蒸発し、この際に外気から熱を吸収して低温のガス状態となる。この低温の冷媒ガスは圧縮機1に供給され、圧縮から始まる上記のサイクルが繰り返される。
【0033】
次に、配管8に供給される水道水の温度が冷媒の凝縮温度以上である場合のヒートポンプ式蓄熱給湯機の動作について説明する。外気用熱交換器6から出てくる冷媒ガスは、圧縮機1により圧縮されて高温高圧の状態になるのは上記と同様であるが、この高温高圧の冷媒ガスが加熱用熱交換器2に供給されても、ポンプ9により供給される水道水の温度が冷媒の凝縮温度より高いため凝縮せず、加熱用熱交換器2から高圧で凝縮温度以上の高温の冷媒ガスのまま出てくる。この冷媒ガスは液化用熱交換器3に入り、膨張弁5で減圧、膨張した後の低圧で低温の冷媒との間で熱交換が行われることにより、冷媒の凝縮温度まで冷却されて液化する。こうして液化用熱交換器3で熱交換が行われた後、冷媒は外気用熱交換器6に供給されて蒸発し、この際に外気から熱を吸収して低温のガス状態となる。この低温の冷媒ガスは圧縮機1に供給され、圧縮から始まる上記のサイクルが繰り返される。
【0034】
貯湯タンク10に貯蔵される湯の温度が所望の温度であれば、そのまま外部に供給されて使用される。貯湯タンク10に貯蔵される湯の温度が所望の温度よりも低い場合は貯湯タンク10の底部の出口から配管8に再び戻され、ポンプ9により加熱用熱交換器2に供給されて再び加熱され、所望の温度となるまで加熱が繰り返される。貯湯タンク10に貯蔵される湯の温度が所望の温度よりも高い場合は、配管8に供給される水道水を貯湯タンク10の底部から内部に導入して貯湯タンク10の内部の高温の湯と調整弁11で混合することにより温度調整が行われ、湯の温度が所望の温度とされる。
【0035】
以上のように、この第1の実施の形態によれば、加熱用熱交換器2の出口と外気用熱交換器6の入口との間に、液化用熱交換器3、レシーバタンク4および膨張弁5が順次接続され、液化用熱交換器3において、冷媒配管7を通る冷媒が、レシーバタンク4から膨張弁5を通って供給される低温低圧の冷媒との間で熱交換が行われることにより冷却されて液化することにより、配管8から供給される水の温度が冷媒の凝縮温度以上でも、従来のように冷媒の圧力が異常に上昇する問題が発生しない。このため、配管8から供給される水を追い焚きすることが可能となる。例えば、70℃のお湯を追い焚きにより90℃に加熱することができる。しかも、従来のヒートポンプ式蓄熱給湯機に比べて液化用熱交換器3およびレシーバタンク4を加えるだけで済むので、構成を複雑化しないで済み、コスト増も少なくて済む。
【0036】
第2の実施の形態
図2は、第2の実施の形態によるチラーを示す。
図2に示すように、このチラーは、圧縮機21、凝縮器22、液化用熱交換器23、レシーバタンク24、膨張弁25および蒸発器26を有する。圧縮機21の吐出口と凝縮器22の高温側の入口との間、凝縮器22の高温側の出口と液化用熱交換器23の高温側の入口との間、液化用熱交換器23の高温側の出口とレシーバタンク24の入口との間、レシーバタンク24の出口と膨張弁25との間、膨張弁25と液化用熱交換器23の低温側の入口との間、液化用熱交換器23の低温側の出口と蒸発器26の入口との間、蒸発器26の出口と圧縮機21の吸入口との間がそれぞれ冷媒配管27により接続されている。冷媒配管27は冷媒流路である。膨張弁25は、蒸発器26の出口に取り付けられた感温筒25aにより、蒸発器26を出る冷媒ガスの過熱度の変化を検知し、その検知結果に応じて弁の開閉度を制御して蒸発器26に流入する冷媒量を調整することにより冷媒ガスの過熱度を一定に保持するようになっている。
【0037】
蒸発器26には、流体が流される配管28が設置されている。流体はチラーの用途などに応じて適宜選ばれるが、例えば、水、オイル(油)、不凍液などである。この蒸発器26において、配管28に流される流体と冷媒配管27に流される冷媒との間で熱交換が行われる。その後、蒸発器26で冷却されて出口から出てくる流体は配管28を通って貯蔵タンク30の上部に入り、貯蔵される。貯蔵タンク30に貯蔵された流体は、貯蔵タンク30の下部に接続された配管28からポンプ29で外部の負荷Lに供給されて使用される。
【0038】
このチラーの動作を、外気の温度が冷媒の凝縮温度より低い場合と冷媒の凝縮温度以上である場合とに分けて説明する。
まず、外気の温度が冷媒の凝縮温度より低い場合のチラーの動作について説明する。蒸発器26から出てくる冷媒ガスは、圧縮機21により圧縮されて高温高圧の状態になる。この高温高圧の冷媒ガスは凝縮器22に供給され、熱を放出し、高圧の状態で冷媒の凝縮温度まで冷却されて液化する。液化した冷媒は液化用熱交換器23で熱交換が行われた後、レシーバタンク24に供給される。レシーバタンク24にはあらかじめ液化した冷媒が一定量貯蔵されており、冷媒はレシーバタンク24から出て膨張弁25で減圧、膨張した後、蒸発器26に供給されて蒸発し、低温のガス状態となる。この際、この蒸発器26において、配管28に供給される流体が冷却される。蒸発器26から出てくる低温の冷媒ガスは圧縮機21に供給され、圧縮から始まる上記のサイクルが繰り返される。
【0039】
次に、外気の温度が冷媒の凝縮温度以上である場合のチラーの動作について説明する。蒸発器26から出てくる冷媒ガスは、圧縮機21により圧縮されて高温高圧の状態になるのは上記と同様であるが、この高温高圧の冷媒ガスが凝縮器22に供給されても、外気の温度が冷媒の凝縮温度より高いため全部または一部が凝縮せず、凝縮器22から高圧で凝縮温度以上の高温の冷媒ガスのまま出てくる。この冷媒ガスは液化用熱交換器23に入り、膨張弁25で減圧、膨張した後の低圧で低温の冷媒との間で熱交換が行われることにより、冷媒の凝縮温度まで冷却されて液化する。こうして液化された冷媒は蒸発器26に供給されて蒸発し、低温のガス状態となる。この際、この蒸発器26において、配管28に供給される流体が冷却される。蒸発器26から出てくる低温の冷媒ガスは圧縮機21に供給され、圧縮から始まる上記のサイクルが繰り返される。
【0040】
チラーの流体の温度制御は、例えば、貯蔵タンク30内の温度の情報から圧縮機21のインバータ制御を行ったり、膨張弁25とレシーバタンク24との間の部位の冷媒配管27と、蒸発器26と圧縮機21との間の部位の冷媒配管27との間をバイパス配管により接続し、冷媒のホットガスバイパス制御を行ったりすることにより行われ、この温度制御により流体の温度が規定の温度に調整される。
【0041】
以上のように、この第2の実施の形態によれば、凝縮器22の出口と蒸発器26の入口との間に、液化用熱交換器23、レシーバタンク24および膨張弁25が順次接続され、液化用熱交換器23において、冷媒配管27を通る冷媒が、レシーバタンク24から膨張弁5を通って供給される低温低圧の冷媒との間で熱交換が行われることにより冷却されて液化することにより、外気の温度が冷媒の凝縮温度以上でも、冷媒の圧力が異常に上昇する問題が発生しない。このため、配管28から供給される高温の流体を冷却することが可能となる。しかも、従来のチラーに比べて液化用熱交換器23およびレシーバタンク24を加えるだけで済むので、構成を複雑化しないで済み、コスト増も少なくて済む。
【0042】
第3の実施の形態
図3は、第3の実施の形態によるチラーを示す。
図3に示すように、このチラーは、膨張弁25から出て液化用熱交換器23に入り、液化用熱交換器23から出る冷媒配管27に、液化用熱交換器23を通らないバイパス配管部27aが設けられている。バイパス配管部27aにはバイパス弁33が設けられている。バイパス弁33は、例えば、凝縮器22の付近などに設けられた温度センサーや、高温側の冷媒配管27bなどに設けられた圧力センサーなどからの信号によって開閉する電磁弁であるが、一定の条件において配管を開閉可能な構成を有するものであれば、電磁弁以外のものであってもよく、例えば機械式の圧力弁などであってもよい。また、バイパス弁33に対して信号を送るセンサーなどは上述のものに限られず、凝縮器22において冷媒が十分に液化されていないと判別した後にバイパス弁33に信号を送る構成を有していれば基本的にはどのようなものであってもよい。
このチラーの上記以外の構成は第2の実施の形態によるチラーと同様である。
【0043】
上記のバイパス機構の動作について説明する。バイパス弁33は、外気温の低い通常環境での運転であれば全開となり、膨張弁25から供給される冷媒は液化用熱交換器23ではなくバイパス配管部27aを通り、液化用熱交換器23を通過しない。一方、外気温度が冷媒配管27を通る冷媒の凝縮温度付近まで上昇するとバイパス弁33は閉じ、膨張弁25から供給される冷媒は液化用熱交換器23に供給され、第2の実施の形態と同様に高温側の冷媒ガスを液化する。
この第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0044】
第4の実施の形態
図4は、第4の実施の形態による空気調和機を示す。
図4に示すように、この空気調和機は、圧縮機41、凝縮器42、液化用熱交換器43、レシーバタンク44、膨張弁45および蒸発器46を有する。圧縮機41の吐出口と凝縮器42の高温側の入口との間、凝縮器42の高温側の出口と液化用熱交換器43の高温側の入口との間、液化用熱交換器43の高温側の出口とレシーバタンク44の入口との間、レシーバタンク44の出口と膨張弁45との間、膨張弁45と液化用熱交換器43の低温側の入口との間、液化用熱交換器43の低温側の出口と蒸発器46の入口との間、蒸発器46の出口と圧縮機41の吸入口との間がそれぞれ冷媒配管47により接続されている。冷媒配管47は冷媒流路である。膨張弁45は、蒸発器46の出口に取り付けられた感温筒45aにより、蒸発器46を出る冷媒ガスの過熱度の変化を検知し、その検知結果に応じて弁の開閉度を制御して蒸発器46に流入する冷媒量を調整することにより冷媒ガスの過熱度を一定に保持するようになっている。
【0045】
この空気調和機の動作を、外気の温度が冷媒の凝縮温度より低い場合と冷媒の凝縮温度以上である場合とに分けて説明する。
まず、外気の温度が冷媒の凝縮温度より低い場合の空気調和機の動作について説明する。蒸発器46から出てくる冷媒ガスは、圧縮機41により圧縮されて高温高圧の状態になる。この高温高圧の冷媒ガスは凝縮器42に供給され、熱を放出し、高圧の状態で冷媒の凝縮温度まで冷却されて液化する。液化した冷媒は液化用熱交換器43で熱交換が行われた後、レシーバタンク44に供給される。レシーバタンク44にはあらかじめ冷媒が一定量貯蔵されており、冷媒はレシーバタンク44から出て膨張弁45で減圧、膨張した後、液化用熱交換器43を通って蒸発器46に供給されて蒸発し、低温のガス状態となる。この際、この蒸発器46において、外気が冷却される。蒸発器46から出てくる低温の冷媒ガスは圧縮機41に供給され、圧縮から始まる上記のサイクルが繰り返される。
【0046】
次に、外気の温度が冷媒の凝縮温度以上である場合の空気調和機の動作について説明する。蒸発器46から出てくる冷媒ガスは、圧縮機41により圧縮されて高温高圧の状態になるのは上記と同様であるが、この高温高圧の冷媒ガスが凝縮器42に供給されても、外気の温度が冷媒の凝縮温度より高いため全部または一部が凝縮せず、凝縮器42から高圧で凝縮温度以上の高温の冷媒ガスのまま出てくる。この冷媒ガスは液化用熱交換器43に入り、膨張弁45で減圧、膨張した後の低圧で低温の冷媒との間で熱交換が行われることにより、冷媒の凝縮温度まで冷却されて液化する。こうして液化された冷媒は蒸発器46に供給されて蒸発し、低温のガス状態となる。この際、この蒸発器46において、外気が冷却される。蒸発器46から出てくる低温の冷媒ガスは圧縮機41に供給され、圧縮から始まる上記のサイクルが繰り返される。
【0047】
以上のように、この第4の実施の形態によれば、凝縮器42の出口と蒸発器46の入口との間に、液化用熱交換器43、レシーバタンク44および膨張弁45が順次接続され、液化用熱交換器43において、冷媒配管47を通る冷媒が、レシーバタンク44から膨張弁45を通って供給される低温低圧の冷媒との間で熱交換が行われることにより冷却されて液化することにより、外気の温度が冷媒の凝縮温度以上でも、冷媒の圧力が異常に上昇する問題が発生しない。このため、外気を冷却することが可能となる。しかも、従来の空気調和機に比べて液化用熱交換器43およびレシーバタンク44を加えるだけで済むので、構成を複雑化しないで済み、コスト増も少なくて済む。
【0048】
第5の実施の形態
図5は、第5の実施の形態による空気調和機を示す。
図5に示すように、この空気調和機は、膨張弁45から出て液化用熱交換器43の低温側の入口に接続され、液化用熱交換器43の低温側の出口に接続されている冷媒配管47に、液化用熱交換器43を通らないバイパス配管部47aが設けられている。バイパス配管部47aにはバイパス弁48が設けられている。バイパス弁48は、例えば、凝縮器42の付近などに設けられた温度センサーや、高圧側の冷媒配管47bなどに設けられた圧力センサーなどからの信号によって開閉する電磁弁であるが、一定の条件において配管を開閉可能な構成を有するものであれば、電磁弁以外のものであってもよく、例えば機械式の圧力弁などであってもよい。また、バイパス弁48に対して信号を送るセンサーなどは上述のものに限られず、凝縮器42において冷媒が十分に液化されていないと判別した後にバイパス弁48に信号を送る構成を有していれば、基本的にはどのようなものであってもよい。
この空気調和機の上記以外の構成は第4の実施の形態による空気調和機と同様である。
【0049】
上記のバイパス機構の動作について説明する。バイパス弁48は、外気温の低い通常環境での運転であれば全開となり、膨張弁45から供給される冷媒は液化用熱交換器43ではなくバイパス配管部47aを通る。一方、外気温度が冷媒配管47を通る冷媒の凝縮温度付近まで上昇するとバイパス弁48は閉じ、膨張弁44から供給される冷媒は液化用熱交換器45に供給され、第4の実施の形態と同様に高温側の冷媒ガスを液化する。
この第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0050】
第6の実施の形態
図6は、第6の実施の形態による給湯機/室内空気調和機複合システムを示す。この給湯機/室内空気調和機複合システムは、第1の実施の形態による、貯湯タンクを備えたヒートポンプ式蓄熱給湯機と室内空気調和機とを組み合わせたものである。
【0051】
図6に示すように、この給湯機/室内空気調和機複合システムは、第1の実施の形態による、貯湯タンクを備えたヒートポンプ式蓄熱給湯機を含む。この場合、加熱用熱交換器2の低温側の出口と貯湯タンク10の入口との間に三方弁からなる分流弁61が設けられている。一方、液化用熱交換器3と外気用熱交換器6との間に冷却用熱交換器62が設けられている。より詳細には、液化用熱交換器3の低温側の出口と冷却用熱交換器62の低温側の入口との間、冷却用熱交換器62の低温側の出口と外気用熱交換器6との間がそれぞれ冷媒配管7により接続されている。冷却用熱交換器62の高温側の入口および出口に配管63が接続されている。配管63には三方弁からなる分流弁64が設けられている。冷却用熱交換器62の高温側の出口は配管63を介して貯冷/貯湯タンク65の入口と接続されている。貯冷/貯湯タンク65の入口に接続された配管63は分岐しており、この分岐部が仕切弁66を介して調整弁11と接続されている。貯冷/貯湯タンク65の出口は配管63を介して分流弁61と接続されている。
【0052】
室内空気調和機67の入口は三方弁からなる分流弁68を介して配管69により分流弁64と接続されている。室内空気調和機67の出口も配管69により分流弁64と接続されている。分流弁68は、ポンプ70を介して配管71により貯冷/貯湯タンク65の底部の入口と接続されている。貯冷/貯湯タンク65の底部の入口と貯湯タンク10の底部の入口との間も配管71により接続されている。
【0053】
この給湯機/室内空気調和機複合システムの動作について説明する。
この給湯機/室内空気調和機複合システムにおいては、第1の実施の形態と同様にしてヒートポンプ式蓄熱給湯機により、分流弁61、調整弁11などを操作して貯湯タンク10に所望の温度の湯を貯蔵し、必要に応じて外部に給湯する。一方、冷却用熱交換器62においては、分流弁64、68などを操作してポンプ70により流される水道水が、この冷却用熱交換器62の低温側の入口と低温側の出口との間に流される低温の冷媒との熱交換により冷却される。この冷却された水道水は貯冷/貯湯タンク65に貯蔵される。この貯冷/貯湯タンク65に貯蔵された冷却された水道水は室内空気調和機67に流され、冷房に使用される。
【0054】
冬季など冷房の必要性がなく、室内の暖房が必要である時には、分流弁64、68などを操作して貯冷/貯湯タンク65に湯を貯蔵してもよい。すなわち、貯冷/貯湯タンク65を貯湯タンクとして用いてもよい。
【0055】
この第6の実施の形態によれば、所望の温度の湯を供給することができ、しかも室内空気調和機により室内の冷房を効率的に行うことができる給湯機/室内空気調和機複合システムを実現することができる。
【0056】
第7の実施の形態
第7の実施の形態においては、第1または第6の実施の形態における貯湯タンク10として、図7に示すものを用いる。
図7に示すように、この貯湯タンク10は、壁が、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層10aと、ポリアミド樹脂からなり内層10aの外方に設けられる外層10bと、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなり、内層10aと外層10bとの間に位置する中間層10cとを有する多層構造体から構成される。こうすることで、貯湯タンク10の耐熱性および耐圧の向上を図ることができるだけでなく、壁が樹脂により構成されているため貯湯タンク10の軽量化を図ることができる。好適には、この貯湯タンク10の壁の厚さは7mm以上であり、内層10a、中間層10c、外層10bの厚さ比率は、内層:中間層:外層=4:1:5〜8:1:1の範囲であり、最も好適には内層:中間層:外層=6:1:3である。例えば、壁の厚さが7mm、内層10a、中間層10c、外層10bの厚さ比率が6:1:3である時、87℃での耐圧は1.0MPaとなり、一般水道圧0.5MPaに対し安全係数2を確保することができる。
【0057】
この第7の実施の形態によれば、第1または第6の実施の形態と同様な利点に加えて、貯湯タンク10の耐熱化、高耐圧化および軽量化を図ることができるという利点も得ることができる。
【0058】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…圧縮機、2…加熱用熱交換器、3…液化用熱交換器、4…レシーバタンク、5…膨張弁、6…外気用熱交換器、7…冷媒配管、8…配管、9…ポンプ、10…貯湯タンク、11…調整弁、21…圧縮機、22…凝縮器、23…液化用熱交換器、24…レシーバタンク、25…膨張弁、26…蒸発器、27…冷媒配管、28…配管、29…ポンプ、30…貯蔵タンク、33…バイパス弁、41…圧縮機、42…凝縮器、43…液化用熱交換器、44…レシーバタンク、45…膨張弁、46…蒸発器、47…冷媒配管、48…バイパス弁、61…分流弁、62…冷却用熱交換器、63…配管、64…分流弁、65…貯冷/貯湯タンク、66…仕切弁、67…室内空気調和機、68…分流弁、69…配管、70…ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、液化用熱交換機構、レシーバタンク、膨張機構および蒸発器を有し、
上記圧縮機の吐出口と上記凝縮器の高温側の入口との間、上記凝縮器の高温側の出口と上記液化用熱交換機構の高温側の入口との間、上記液化用熱交換機構の高温側の出口と上記レシーバタンクの入口との間、上記レシーバタンクの出口と上記膨張機構との間、上記膨張機構と上記液化用熱交換機構の低温側の入口との間、上記液化用熱交換機構の低温側の出口と上記蒸発器の入口との間、上記蒸発器の出口と上記圧縮機の吸入口との間がそれぞれ冷媒配管により接続されていることを特徴とする熱交換システム。
【請求項2】
上記熱交換システムはヒートポンプ式蓄熱給湯機、チラーまたは空気調和機であることを特徴とする請求項1記載の熱交換システム。
【請求項3】
上記熱交換システムはヒートポンプ式蓄熱給湯機であり、上記凝縮器の低温側の入口と低温側の出口との間に水または湯を流すことにより得られる湯を貯蔵する貯湯タンクをさらに有することを特徴とする請求項2記載の熱交換システム。
【請求項4】
上記貯湯タンクの壁が、ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる内層と、ポリアミド樹脂からなり上記内層の外方に設けられる外層と、ポリフェニレンエーテル系樹脂およびポリアミド樹脂を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなり、上記内層と上記外層との間に位置する中間層とを有する多層構造体から構成されていることを特徴とする請求項3記載の熱交換システム。
【請求項5】
上記貯湯タンクの上記壁の厚さは7mm以上であり、上記内層、上記中間層、上記外層の厚さ比率は、内層:中間層:外層=4:1:5〜8:1:1の範囲であることを特徴とする請求項4記載の熱交換システム。
【請求項6】
上記蒸発器は外気用熱交換器であり、上記液化用熱交換機構の低温側の出口と冷却用熱交換器の低温側の入口との間、上記冷却用熱交換器の低温側の出口と上記外気用熱交換器との間がそれぞれ冷媒配管により接続され、上記冷却用熱交換器における冷媒との熱交換により冷却された水を用いて冷房を行うことが可能な室内空気調和機をさらに有することを特徴とする請求項3記載の熱交換システム。
【請求項7】
上記冷却用熱交換器により冷却された水を貯蔵する貯冷タンクをさらに有し、上記貯冷タンクに貯蔵された上記冷却された水を上記室内空気調和機による室内の冷房に使用することを特徴とする請求項6記載の熱交換システム。
【請求項8】
上記室内空気調和機により室内の暖房を行う時、上記貯冷タンクを貯湯タンクとして使用することが可能に構成されていることを特徴とする請求項7記載の熱交換システム。
【請求項9】
上記熱交換システムはチラーであり、上記蒸発器の高温側の入口と高温側の出口との間に流体を流すことにより得られる流体を貯蔵する貯蔵タンクをさらに有することを特徴とする請求項2記載の熱交換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−117717(P2012−117717A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266382(P2010−266382)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000134903)株式会社ニシヤマ (33)
【Fターム(参考)】