説明

退出支援装置

【課題】円滑な交通を確保することができる退出支援装置を提供する。
【解決手段】退出支援装置1は、自車両10の駐車場11からの出庫(退出)を支援するものであり、移動指令部4を有するキー2を備えている。移動指令部4は、他車両20に対して移動指令を送信して他車両20のアクチュエータを適宜動作させ、自動出し入れ機能を実施させる。つまり、退出支援装置1では、他車両20を駐車場11外へ退出させる退出移動指令と、自車両10及び他車両20が駐車場外へ退出した後に他車両20を駐車場11内に再駐車させる再駐車移動指令とが、キー2から他車両20に対して送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の自車両の駐車場からの退出を支援するための退出支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の退出支援装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、自車両が駐車スペースから退出する際、周囲の他車両に対して移動するよう移動指令を発することで、自車両の退出を容易にするものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−220614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような退出支援装置では、自車両の退出が完了した後、自車両の退出を助けるために移動した他車両が交通の邪魔となるおそれがあり、円滑な交通が阻害されてしまう場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、円滑な交通を確保することができる退出支援装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る退出支援装置は、自車両の駐車場からの退出を支援するための退出支援装置であって、他車両に対して移動指令を発する移動指令手段を備え、移動指令手段は、他車両を駐車場外へ退出するよう移動させる退出移動指令と、退出移動指令により他車両が駐車場外へ退出し、且つ自車両が駐車場外へ退出した後に、他車両を駐車場内に再駐車するよう移動させる再駐車移動指令と、を発することを特徴とする。
【0007】
この退出支援装置では、退出移動指令により他車両が駐車場から退出し且つ自車両が駐車場から退出した後、他車両が駐車場内に再駐車するよう移動されることから、自車両の退出のため移動した他車両が交通の邪魔になるのを防ぐことができ、円滑な交通を確保することが可能となる。
【0008】
ここで、上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、自車両及び他車両に関する車両情報を予め記憶する記憶手段を備え、退出移動指令は、車両情報に基づいて他車両を退出軌道に沿って走行させる指令であり、再駐車移動指令は、車両情報に基づいて他車両を再駐車軌道に沿って走行させる指令である構成が挙げられる。
【0009】
また、再駐車軌道は、駐車場外へ退出した後の自車両の進行方向に応じて設定されることが好ましい。この場合、自車両のドライバの進行方向に合わせて他車両を駐車場から退出させることができる。
【0010】
また、再駐車移動指令は、自車両又は他車両が駐車していた駐車スペースに他車両を帰還させる場合がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、円滑な交通を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る退出支援装置を説明するための図である。
【図2】図1の続きを示す図である。
【図3】図1の退出支援装置の指定ボタンの一例を示す図である。
【図4】図1の退出支援装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1,2は、本発明の一実施形態に係る退出支援装置の動作を説明するための図である。図1(a)に示すように、本実施形態の退出支援装置1は、自動車等の自車両10の駐車場11からの出庫(退出)を支援する。
【0015】
駐車場11は、例えば住宅の駐車スペースであって、2台の車両が縦列駐車可能となっている。また、駐車場11は、3方が囲まれた区域とされ、前後方向における一方側のみが出入口とされている。そして、駐車場11においては、その奥側の駐車スペースSaに自車両10が前向きで(つまり、前方を奥側にして)駐車されていると共に、その手前側の駐車スペースSbに他車両20が前向きで駐車されている。
【0016】
この退出支援装置1は、自車両10をドライバレスで自動出庫させるよう構成されており、リモートコントロールキー2(以下、単に「キー2」と称す)を備えている。キー2は、自車両10に対して自動出庫機能を実施させると共に、他車両20に対して自動出入れ機能を実施させる。このキー2は、例えばCPU、ROM、及びRAM等で構成された記憶部(記憶手段)3及び移動指令部(移動指令手段)4を有している。
【0017】
記憶部3は、自車両10及び他車両20に関する車両情報を予め記憶(登録)する。車両情報には、例えば、自車両10を自動運転させるために必要な自車両情報と、他車両20を自動運転させるために必要な他車両情報と、自車両10及び他車両20の駐車状況情報(3方を囲われた駐車場11に縦列駐車されたこと、並び順、車両向き等)と、が少なくとも含まれている。
【0018】
移動指令部4は、記憶部3に記憶された車両情報に基づいて、自車両10及び他車両20に対して移動指令を発する。具体的には、移動指令部4は、自車両10に対して移動指令を送信して自車両10のアクチュエータを適宜動作させ、自動出庫機能を実施させると共に、他車両20に対して移動指令を送信して他車両20のアクチュエータを適宜動作させ、自動出し入れ機能を実施させる(より詳しくは後述する)。
【0019】
図3は、図1の退出支援装置の指定ボタンの一例を示す図である。図3に示すように、ここでのキー2には、指定ボタン2xが設けられている。指定ボタン2xは、自車両10が出庫後に進行する方向(つまり、自動出庫後の自車両10の向き)を指定するものであり、左ボタンL及び右ボタンRを含んでいる。
【0020】
このような退出支援装置1では、図4に示すように駐車場11に駐車された自車両10を自動出庫させる場合、自車両10のドライバによりキー2の指定ボタン2xが押され、出庫後に自車両10のドライバが進行したい方向が選択され指定される(S1)。
【0021】
これにより、自車両10を駐車場11外へ退出させる退出移動指令が自車両10に対しキー2から送信される。これと共に、他車両20を駐車場11外へ退出させる退出移動指令と、自車両10及び他車両20が駐車場外へ退出した後に他車両20を駐車場11内に再駐車させる再駐車移動指令とが、他車両20に対しキー2から送信される。具体的には、以下に示す「自車両10の自動出庫機能」及び「他車両20の自動出入れ機能」が実施されるように、自車両10及び他車両20に移動指令が送信される。
【0022】
すなわち、自車両10及び他車両20が始動される(S2)。そして、自車両10の出庫方向と反対方向に出庫する出庫軌道に沿って、他車両20が走行される(S3)。自車両10の出庫方向は、上記S1での指定方向に応じた方向である。例えば上記S1で左ボタンLが押された場合には、自車両10が前向き駐車されていることから、自車両10を出庫後に左側に進行させる(出庫後に左向きとする)べく該自車両10を右方向に出庫させるため、他車両20が駐車場11に対し左方向に出庫される(図1(b)参照)。
【0023】
続いて、他車両20の出庫が完了した後、上記S1での指定方向に応じた出庫方向に出庫する出庫軌道(退出軌道)に沿って自車両10が走行される(S4,5)。上述したように、例えば上記S1で左ボタンLが押された場合には、自車両10を出庫後に左側に進行させる(出庫後に左向きとする)べく、自車両10が駐車場11に対し右方向に出庫される(図2(a)参照)。
【0024】
続いて、自車両10の出庫が完了した後、駐車場11内に再駐車させる再駐車軌道に沿って他車両20が走行される(S6,7)。ここでは、駐車場11内において自車両10の元の駐車スペースSaまで帰還するよう他車両20が移動される(図2(b)参照)。換言すると、駐車場11内における自車両10が始めにいた場所に他車両20が戻される。そして、他車両20の再駐車が完了した後、該他車両20が停止(OFF状態)とされ、自車両10の出庫が完了される(S8,9)。
【0025】
以上、本実施形態では、他車両20が駐車場11から退出し且つ自車両10が駐車場11から退出した後、他車両20が駐車場11内に再駐車するよう移動されることから、自車両10の退出のため移動した他車両20が交通の邪魔になるのを防ぐことができ、円滑な交通を確保することが可能となる。
【0026】
ところで、本実施形態のように、限られた駐車スペースに複数台の車両を駐車しなくてはならない場合には、複数台の車両を3方を囲まれた区域に縦列前向き駐車させる状況が多く存在する。この状況において奥側の自車両10をドライバレスで自動出庫するときには、手前側の他車両20を出庫した後に自車両10を出庫する手順を踏まなければならないことから、自車両10の自動出庫のためには他車両20の自動出庫も必要となる。
【0027】
この点、本実施形態では、上述したように、2台(自車両10及び他車両20)の同時制御が実施される。つまり、1つのキー2に2台分の車両情報がキー情報として記憶されており、自車両10の自動出庫が選択された場合、キー情報が利用されてドライバが車両外でも自車両10が始動され、自動出庫機能が作動される。加えて、障害となる他車両20もキー情報が利用されて始動され、自動出入れ機能が作動される。よって、縦列奥側の自車両10においても、ドライバにとって利便な自動出庫を実現させることができる。
【0028】
また、本実施形態では、上述したように、キー2で自動出庫したい自車両10の向きを指定することができる。これにより、自車両10のドライバは、出て行きたい方向を指定するのみで、それに合わせた自動出庫が可能となり、簡易且つわかり易いHMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)を実現することができる。
【0029】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る退出支援装置は、実施形態に係る上記退出支援装置1に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0030】
例えば、上記実施形態では、上記S5において自車両10の元の駐車スペースSaに他車両20を再駐車させたが、他車両20の元の駐車スペースSbに再駐車させてもよく、要は、駐車場11内に再駐車させればよい。
【0031】
また、上記実施形態では、駐車場11に対し、他車両20を左方向に出庫すると共に自車両10を右方向に出庫したが、これとは逆に、他車両20を右方向に出庫すると共に自車両10を左方向に出庫してもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、2台の車両が縦列駐車可能な駐車場11で奥側の自車両10を出庫させる場合に適用したが、これに限定されるものではなく、複数台の車両が縦列駐車可能な駐車場で最も出口側以外の駐車スペースに駐車された自車両を出庫させる場合にも適用することができる。
【0033】
また、上記実施形態では、キー2の記憶部3に車両情報を記憶させているが、車両情報は、自車両10及び他車両20それぞれに記憶させてもよい。また、出庫後の自車両10の進行方向(車両の向き)を指定しない場合、キー2における指定ボタン2xは不要となる。
【符号の説明】
【0034】
1…退出支援装置、3…記憶部(記憶手段)、4…移動指令部(移動指令手段)、10…自車両、11…駐車場、20…他車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の駐車場からの退出を支援するための退出支援装置であって、
他車両に対して移動指令を発する移動指令手段を備え、
前記移動指令手段は、
前記他車両を前記駐車場外へ退出するよう移動させる退出移動指令と、
前記退出移動指令により前記他車両が前記駐車場外へ退出し、且つ前記自車両が前記駐車場外へ退出した後に、前記他車両を駐車場内に再駐車するよう移動させる再駐車移動指令と、を発することを特徴とする退出支援装置。
【請求項2】
前記自車両及び前記他車両に関する車両情報を予め記憶する記憶手段を備え、
前記退出移動指令は、前記車両情報に基づいて前記他車両を退出軌道に沿って走行させる指令であり、
前記再駐車移動指令は、前記車両情報に基づいて前記他車両を再駐車軌道に沿って走行させる指令であることを特徴とする請求項1記載の退出支援装置。
【請求項3】
前記再駐車軌道は、前記駐車場外へ退出した後の前記自車両の進行方向に応じて設定されることを特徴とする請求項2記載の退出支援装置。
【請求項4】
前記再駐車移動指令は、前記自車両又は前記他車両が駐車していた駐車スペースに前記他車両を帰還させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の退出支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−178264(P2011−178264A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44104(P2010−44104)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】