説明

送信装置、送受信装置および移動局装置

【課題】移動体通信システムに適用される送信装置において、送信信号のデータレートの高速化に的確に対応すること。
【解決手段】拡散率が1の場合を含む拡散信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号の送信を行う送信装置において、DS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部(15)を具備する送信等化処理部(14)が備えられ、周波数等化処理部(15)では、DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、任意の値をとり得る制御パラメータと、に基づいて生成された所定のウェイトに基づく重み付け処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として送信装置に関するものであり、特に、移動体通信に好適な送信装置、ならびに、この送信装置を備えた送受信装置および移動局装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体通信では、送信波は建物などで反射されて異なる経路長の多重波(マルチパス)、すなわち遅延時間の異なるマルチパスとなって受信される。一方、マルチパスを克服することのできる伝送方式として、例えば、DS−CDMA(Direct Sequence−Code Division Multiple Access)伝送方式が存在する。このDS−CDMA伝送方式では、送信信号に拡散符号系列が乗算されてより広い周波数帯域に拡散された拡散信号が送信される。受信機では、受信された拡散信号と拡散符号系列との相関演算(逆拡散処理)を行って遅延時間の異なるパスに分離し、この分離した信号を一つに集める合成処理を行うことで受信信号電力を高めるようにしている。この手法はRAKE合成と呼ばれる手法であり、2〜10Mbps程度の伝送速度を有する第3世代移動通信のDS−CDMA伝送方式に採用されている。
【0003】
ところで、一般的な通信は双方向通信であり、双方向通信方式に上述のRake合成を適用すると、双方の送受信局の受信機にこのRake合成機能が必要になる。
【0004】
このような状況下において、Rake合成機能を送信側に持たせるPre−Rake送信と呼ばれる手法が提案されている(例えば、非特許文献1)。この手法によれば、一方の送受信局にPre−Rake送信機能とRake合成機能を持たせればよく、他方の送受信局には当該機能が必要ないという特徴を有しており、一方または他方の送受信局をコンパクトに構成できるという利点を有している。
【0005】
【非特許文献1】R・Esmailzadeh and M・Nakagawa,“Pre−rake diversity combination for direct sequence spread spectrum mobile comunications systems,” IEICE Trans. Commun.,vol. E76−B,No.8,PP.1008−1015,Aug. 1993.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、次世代の移動体通信システムを考えるとき、特に、送信信号のデータレートの高速化に対して柔軟かつ的確に対処していかなければならない。例えば、上記従来技術に示されるPre−Rake送信方式を含み、Rake合成処理の必要な通信システムでは、送信信号のデータレートの増大とともに分離すべきパス数が増大するので、RAKE合成のための多数の相関器が必要となり、装置規模が増大するといった問題点があった。
【0007】
また、RAKE合成では各パスの振幅と位相を推定して相関器出力を同相合成することが必要である。しかしながら、パス数が多くなると、各パスの平均信号電力が小さくなるので遅延パスの振幅と位相を精度よく推定することができなくなるとともに、遅延パス間の干渉による符号直交性の崩れが大きくなってしまうことから、BER特性が劣化してしまうといった問題点があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、送信信号のデータレートの高速化に的確に対応することができ、装置規模の増加を抑制可能な送信装置ならびに、当該送信装置を備えた送受信装置および移動局装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる送信装置は、拡散率が1の場合を含む拡散信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号の送信を行う送信装置において、前記DS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する送信等化処理部と、前記送信等化処理部によって周波数領域での等化処理が行われたDS−CDMA信号に基づいて生成される信号を送信信号として送信する送信アンテナと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、前記周波数等化処理部では、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、任意の値をとり得る制御パラメータと、に基づいて生成された所定のウェイトに基づく重み付け処理が行われることを特徴とする。
【0011】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、前記所定のウェイトは、前記拡散信号をFFT処理したときの周波数要素と、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、前記制御パラメータと、前記送信アンテナのアンテナ数と、に基づいて正規化されることを特徴とする。
【0012】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、前記送信アンテナは、複数のアンテナを有するとともに、前記複数のアンテナにそれぞれ接続される複数の前記送信等化処理部が備えられることを特徴とする。
【0013】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、前記伝搬路のチャネル利得は、前記DS−CDMA信号に基づいて生成された送信信号を受信した受信手段から伝達されることを特徴とする。
【0014】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、拡散率が1の場合を含む拡散信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号の送信を行う送信装置と、他局から送信された送信信号を受信してDS−CDMA信号に含まれる情報を生成出力する受信装置と、を備えた送受信装置において、前記送信装置は、前記自身が生成したDS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する送信等化処理部と、前記送信等化処理部によって周波数領域での等化処理が行われたDS−CDMA信号に基づいて生成された信号を送信信号として送信する送信アンテナと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、上記において、前記受信装置は、伝送信号を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナが受信した伝送信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する受信等化処理部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、上記において、前記受信装置には、伝搬路のチャネル状態を推定するチャネル推定部が備えられ、前記チャネル推定部は、通信相手方と自局との間の通信に基づいて前記伝搬路のチャネル状態を推定するとともに、該推定された伝搬路のチャネル状態を前記送信等化処理部に出力することを特徴とする。
【0017】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、上記において、前記送信装置の周波数等化処理部の機能と、前記受信装置の周波数等化処理部の機能と、が共用されることを特徴とする。
【0018】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、上記において、前記送信装置の周波数等化処理部では、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、任意の値をとり得る制御パラメータと、に基づいて生成された所定のウェイトに基づく重み付け処理が行われることを特徴とする。
【0019】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、上記において、前記所定のウェイトは、前記拡散信号をFFT処理したときの周波数要素と、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、前記制御パラメータと、前記送信アンテナのアンテナ数と、に基づいて正規化されることを特徴とする。
【0020】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、上記において、前記送信アンテナは、複数のアンテナを有するとともに、前記複数のアンテナにそれぞれ接続される複数の前記送信等化処理部が備えられることを特徴とする。
【0021】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、拡散率が1の場合を含む拡散信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号の送信を行う送信装置において、前記DS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する複数の送信等化処理部と、前記複数の送信等化処理部に接続され、該複数の送信等化処理部によって周波数領域での等化処理が行われたDS−CDMA信号に基づいて生成された信号を送信信号として送信する複数の送信アンテナと、を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、前記周波数等化処理部では、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、前記送信アンテナのアンテナ数と、に基づいて生成された所定のウェイトに基づく重み付け処理が行われることを特徴とする。
【0023】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、前記所定のウェイトが、最大比合成(MRC:Maximum Ratio Combining)ウェイトであることを特徴とする。
【0024】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、前記所定のウェイトが、前記MRCウェイトと、等利得合成(EGC:Equal Gain Combining)ウェイトとを所定のしきい値を用いて切り替えるしきい値制御等化合成(CEC:Control Gain Combining)ウェイトであることを特徴とする。
【0025】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、前記所定のしきい値は、前記複数の送信等化処理部によって周波数領域等化送信処理が行われたときに受信側で観測される等化チャネル利得であることを特徴とする。
【0026】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、拡散率が1の場合を含む拡散信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号の送信を行う送信装置と、他局から送信された送信信号を受信してDS−CDMA信号に含まれる情報を生成出力する受信装置と、を備えた送受信装置において、前記送信装置は、前記自身が生成したDS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する複数の送信等化処理部と、前記複数の送信等化処理部に接続され、該複数の送信等化処理部よって周波数領域での等化処理が行われたDS−CDMA信号に基づいて生成された信号を送信信号として送信する複数の送信アンテナと、を備えたことを特徴とする。
【0027】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、上記において、前記受信装置は、伝送信号を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナが受信した伝送信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する受信等化処理部と、を備えることを特徴とする。
【0028】
また、つぎの発明にかかる送受信装置は、上記において、前記受信装置には、伝搬路のチャネル状態を推定するチャネル推定部が備えられ、前記チャネル推定部は、通信相手方と自局との間の通信に基づいて前記伝搬路のチャネル状態を推定するとともに、該推定された伝搬路のチャネル状態を前記送信等化処理部に出力することを特徴とする。
【0029】
また、つぎの発明にかかる送信装置は、上記において、前記送信装置の周波数等化処理部の機能と、前記受信装置の周波数等化処理部の機能と、が共用されることを特徴とする。
【0030】
また、つぎの発明にかかる移動局装置は、上記に記載の送信装置を備えることを特徴とする。
【0031】
また、つぎの発明にかかる移動局装置は、上記に記載の送受信装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明にかかる送信装置によれば、サブキャリア個々に割り当てるパワーが好適に配分されるようなウェイトや、あるいは複数の送信アンテナ個々に割り当てるパワーが好適に配分されるようなウェイトを用いて周波数領域等化送信処理を行うようにしているので、受信系で受信される信号の平均BER特性を改善できるという効果が得られる。
【0033】
また、本発明にかかる移動局装置によれば、異なるユーザ間の信号に基づいて生ずるチャネル内の直交性の崩れを補償することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明にかかる送信装置、ならびに、この送信装置を備えた送受信装置および移動局装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明するが、以下に詳述する実施の形態により本発明が限定されるものではない。なお、本発明の実施の形態を説明する前に、本発明にかかる送信装置、および、この送信装置を備えた送受信装置および移動局装置の特徴について説明する。
【0035】
(本発明の特徴)
近時の移動体通信では、Rake合成に代えて周波数領域等化受信が注目されている。一方、双方向通信方式に周波数領域等化受信を適用すると、双方の送受信局の受信機にこの周波数領域等化受信機能が必要になる。そこで、本発明は、一方の送受信局のみに周波数領域等化処理を持たせる技術を開示する。
【0036】
つぎに、本発明の理解を容易にするため、基地局と移動局とを用いて本発明の機能の特徴を説明する。まず、移動局→基地局通信(アップリンク)では、移動局においてあらかじめ周波数領域等化送信処理を行って送信する。したがって、基地局受信では周波数領域等化受信機能が不要になる。一方、基地局→移動局通信(ダウンリンク)では、基地局は等化処理を行うことなく送信し(従来通り)、他方、移動局は周波数領域等化受信処理を行う。このようにすれば、移動局にのみ周波数領域等化送信処理と受信処理の機能があればよい。なお、これらの関係は、基地局と移動局との関係を逆にした場合でも成立するので、基地局または移動局のいずれか一方の機能の一部を削減することができる。また、周波数領域等化送信処理および周波数領域等化受信処理の機能には共通点が多数あるので、両者の機能を共用することで、周波数領域等化処理が実装される基地局または移動局の装置規模の増加を局限することも可能となる。
【0037】
また、本発明の処理の第2の特徴は、以下に詳述するような周波数等化処理部における重み付け処理にある。本発明では、重み付け処理のための幾つかのウェイト(値)を開示する。これらのうちの1のウェイトは、サブキャリア個々に割り当てるパワーが好適に配分される。また、他のウェイトでは、複数の送信アンテナ個々に割り当てるパワーが好適に配分される。
【0038】
なお、本発明は、移動局装置に備えることが好適となるが、その詳細については、実施の形態3において説明する。以下、発明を実施するための最良の形態として、DS−CDMA伝送への適用にかかる3つの実施形態の構成および動作等について詳述する。
【0039】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるDS−CDMA送受信系の構成を示すブロック図であり、より詳細には、送信系において、周波数等化処理を行うDS−CDMA送受信系の構成を示すブロック図である。同図に示す送受信装置は、送信アンテナ9を通じて送信信号を送信するための送信系(同図の上段部分)と、受信アンテナ10を介して受信信号を受信する受信系(同図の下段部分)とから構成される。
【0040】
図1において、送信系には、送信データ(di)にPSK変調やQAM変調などの1次変調を施した変調データを生成するデータ変調部11と、この変調データから拡散信号を生成する拡散部12と、拡散部12で生成された拡散信号に対してスクランブル符号を用いた変調を行うスクランブル変調部13と、スクランブル変調部13から出力された変調信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部15と、周波数等化処理部15から出力された信号に対してガードインターバルと呼ばれる冗長な信号を付加するガードインターバル挿入部(以下「GI挿入部」と呼称)16と、が備えられている。なお、上記の構成の中で、周波数等化処理部15とGI挿入部16とを総称して送信等化処理部14と呼称する。
【0041】
一方、受信系では、周波数等化処理を除いて、送信系で行われる処理と全く逆の処理が行われ、これの処理に対応する処理部がそれぞれ備えられる。すなわち、受信系には、受信アンテナ10を介して受信された受信信号からガードインターバルを除去するガードインターバル除去部(以下「GI除去部」と呼称)21と、GI除去部21から出力された擬似雑音系列の広帯域信号を拡散信号に戻すスクランブル解除部23と、スクランブル解除部23から出力された拡散信号に対して元の変調データを生成するための逆拡散部24と、逆拡散部24から出力された変調データを復調するデータ復調部25と、が備えられている。
【0042】
つぎに、この送受信装置の動作について図2および図3を用いて説明する。図2は、マルチコードDS−CDMA通信における送信系の処理を説明するためのブロック図であり、図3は、マルチコードDS−CDMA通信における受信系の処理を説明するためのブロック図である。
【0043】
図2において、入力信号データ(di,i=1〜u)(“u”は、例えばユーザ数)がデータ変調部11にて変調(1次変調)され、変調されたデータが拡散部12に入力される。拡散部12は、変調データにW−H(Walsh−Hadamard)系列符号などの直交拡散符号系列(Ci,i=1〜u)を乗算して拡散信号を生成する。スクランブル変調部13は、この拡散信号にM系列などのスクランブル符号(Cscr)を乗算する。このスクランブル変調処理は、拡散信号として生成された信号系列を擬似雑音系列の信号に変換するために行われる。この擬似雑音系列の信号は、シリアル/パラレル変換部41においてパラレルデータに変換され、FFT処理部42において時間領域の信号が周波数領域の信号に変換された後、周波数等化処理部15、IFFT処理部44、パラレル/シリアル変換部45およびGI挿入部16を備えた送信等化処理部14に出力される。
【0044】
送信等化処理部14では、FFT処理部42から出力された周波数領域の信号が周波数等化処理部15にて所定のウェイト値にて重み付け処理され、IFFT処理部44にて時間領域の信号に戻され、パラレル/シリアル変換部45にてシリアルデータに変換される。GI挿入部16は、パラレル/シリアル変換部45から出力されたシリアル信号、すなわち周波数等化処理された擬似雑音信号に対してガードインターバルを付加する。このガードインターバル挿入処理は、マルチパスによるシンボル間干渉を防止するために行われる。このガードインターバルが付加された信号が送信信号として送信アンテナ9から送信される。
【0045】
図3において、受信アンテナ10を介して受信された受信信号は、GI除去部21にてガードインターバルが除去され、スクランブル解除部23に出力される。スクランブル解除部23では、送信系で用いられたスクランブル符号(Cscr)と複素共役なスクランブル符号(Cscr*)を用いて擬似雑音系列の広帯域信号が拡散信号に変換され、逆拡散部24 に出力される。逆拡散部24は、スライディング相関器や、マッチドフィルタなどによって実現される相関器471〜47uを有している。これらの相関器471〜47uでは、送信系で用いられた直交拡散符号系列(Ci)と複素共役な直交拡散符号系列(Ci*)を用いて拡散信号から変調データが生成され、データ復調部25において入力データ信号が復調される。
【0046】
図4は、上述のガードインターバル(GI)が付加されたDS−CDMA信号のデータフレームを示す図である。ガードインターバルは、遅延時間の異なる複数の遅延パスによって生ずるデータフレーム間の干渉を防止するために挿入されるものであり、伝送路における最大遅延時間に応じてその長さが設定される。最大遅延時間がガードインターバル以内であれば、受信信号はFFT処理の時間内で周期波形とみなすことができる。
【0047】
図4に示すように、送信側では、拡散符号によって拡散された拡散信号のチップ系列の末尾のNgチップがコピーされ、データフレームの先頭にガードインターバル(GI)として付加される。ここで、拡散符号によって帯域拡大された高速のデータ系列をチップ系列といい、そのデータ系列の最小単位を指して1チップという。例えば、周期256チップといったら、1ビットの帯域が拡散符号化によって256倍の帯域に拡大されることを意味する。いま、チップ長(1チップの長さ)をTCとするとガードインターバル長Tgは、Tg=Ng×TCで表される。また、拡散率をSF(Spreading Factor)で表すと、1ビットの拡散信号長であるデータシンボル長は、SF×TCとなる。1フレーム内で1ユーザあたりNシンボル送信するものとすると、ガードインターバルを付加した変調データのデータ長である送信シンボル長は、(Ng+N×SF)×TCとなる。なお、N×SFはFFT処理およびIFFT処理の処理ポイント数Ncになる。
【0048】
図5−1〜図5−3は、移動体通信環境下におけるチャネル利得を説明するための説明図である。図5−1に示すように、移動体通信では送信局(Tx)から送信された信号は、複数の異なる伝搬路(遅延パス1,2)を通った異なる信号として受信される。いま、これらの遅延パス1,2によって受信局(Rx)で受信される受信信号の遅延時間をそれぞれτ1,τ2とすれば、図5−2に示すように、遅延パスに依存したインパルス応答h(t)が得られる。一方、インパルス応答h(t)をフーリエ変換した関数が伝達関数であり、移動体通信環境下における伝達関数H(f)は、図5−3に示すような周波数軸に沿ってレベル変動するような変動特性を示す関数となる。なお、この伝達関数は、移動体通信システムの解析において、重要な役割を果たすものであり、チャネル利得と呼ばれる。また、同図に示すように、n番目の周波数におけるチャネル利得をH(n)で表す。
【0049】
つぎに、周波数等化処理部15で行われる重み付け処理に用いられるウェイトについて数式を用いて説明する。いま、n番目のチャネルにおけるチャネル利得をH(n)とし、FFT処理部42で実行されるFFT処理のポイント数をNcとすれば、重み付け処理のためのウェイトW(n)(n=1〜Nc)は、次式のように示される。
【0050】
【数1】

【0051】
ここで、λは制御パラメータと呼ばれるものであり、遅延パス数や、拡散率などの設定値に依存して好適な値が決定される。式(1)において、λ=0のときは、ZF(Zero Focing)ウェイト、すなわち、W(n)=H*(n)/|H(n)|2のウェイトを与える。一方、λ=∞のときは、MR(Maximum Ratio)ウェイト、すなわち、W(n)=H*(n)のウェイトを与える。
【0052】
また、式(1)において、Cは正規化係数であり、制御パラメータλが所定の値をとるときに、式(1)を用いて算出されるウェイトに基づく送信パワーを常に一定値にするために付加されている。なお、この正規化係数Cは次式のように示される。
【0053】
【数2】

【0054】
ここで、S(n)は、拡散信号をs(t)とするとき、拡散信号s(t)をFFT処理したときのn番目の周波数要素(コンポーネント)を示している。
【0055】
図6−1および図6−2は、式(1)のウェイトを用いて解析したシミュレーション結果を示すグラフであり、より詳細には、図6−1は、SF(拡散率)=1、L(遅延パス数)=16のときの送信信号のSN比に対する平均BERを示すグラフであり、図6−2は、SF=8、L=16のときの送信信号のSN比に対する平均BERを示すグラフである。なお、いずれのシミュレーションにおいても、λ=0(ZFウェイト)、λ=∞(MRウェイト)および、MMSE−FDE reception(周波数領域等化受信)に基づく各処理結果を示している。
【0056】
SF=1(すなわち非拡散)の場合には、図6−1に示すように、ZFウェイト(λ=0)や、MRウェイト(λ=∞)と比較して、遙かに良好な性能が得られている。また、λを略0.02に設定することにより周波数領域等化受信のときとほぼ同様な性能値が得られている。
【0057】
さらに、SF=8の場合にも、図6−2に示すように、送信信号のSN比が所定値(同図の例では略13dB)以下の場合にはλを略0.45に設定し、送信信号のSN比が当該所定値以上の場合にはλを略0.12に設定することで、周波数領域等化受信のときとほぼ同様な性能値が得られている。
【0058】
このように、この実施の形態では、式(1)に示すウェイト値を用いるとともに、このウェイト値に含まれる制御パラメータを送信信号の条件に応じて所定値に設定するようにしているので、周波数領域等化受信処理を行う通信装置と同等の性能を有する送信装置を実現することができる。
【0059】
なお、式(1)に示されるウェイト値を算出するためには、伝搬路のチャネル利得(H(n))があらかじめ送信側でわかっていることが前提である。これを実現する一の手法として、例えば、受信側で得られたチャネル利得情報を制御チャネルなどを利用して送信側に伝達すればよい。また、他の手法として、移動体通信システムのような双方向通信システムであれば、送信を行う側の受信系にチャネル推定手段を備えるように構成し、このチャネル推定手段の推定結果を送信系で利用するようにしてもよい。
【0060】
図7は、この実施の形態の送信装置を用いて構成した双方向通信システムのシステム構成を示すブロック図である。同図において、下段部左側に示す送信部1が図2に示す送信系に相当し、下段部右側に示す受信部2が図3に示す受信系に相当する。一方、上段部右側に示す送信部2および上段部左側に示す受信部1は、従来技術にかかる周波数領域等化受信処理を行う送受信系の構成を示している。なお、受信部1には上記のチャネル推定手段に相当するチャネル推定部56が備えられ、チャネル推定部56から送信部1の周波数等化処理部15に対してチャネル利得情報が伝達されるように構成されている。なお、図7において、図2および図3の各構成部と同一機能あるいは同等機能を有する部分については、同一符号を付して示している。
【0061】
図7に示すように、上述したこの実施の形態の送信装置を従来から存在する周波数領域等化受信処理を行う送受信系の構成に適用することで、一方の送受信局の機能を削減できることが明らかである。例えば、送信部1と受信部1とによって一つの送受信系が構成されるが、同一番号を付して示した構成部の機能を共用することができるので送受信系の機能の一部を削減することができ、周波数領域等化処理を行う送受信系の構成をコンパクトにすることが可能となる。また、逆に、周波数領域等化処理を行わない送受信系においては、従来技術では必要であった周波数領域等化受信処理の機能を削減することができるので、当該受信系の構成もコンパクトにすることが可能となる。
【0062】
以上説明したように、この実施の形態の送信装置および送受信装置によれば、DS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行うようにしているので、周波数領域等化受信処理を行う通信装置と同等の性能を有する送信装置および送受信装置を実現することができる。
【0063】
また、この実施の形態の通信システムによれば、双方向通信が行われる送受信局の一方および他方のいずれかに周波数領域等化(送信または受信)処理の機能を有するように構成できるので、送受信局の一方および他方のいずれかの機能を削減することができ、装置規模の増加を抑制することができる。
【0064】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2にかかる送信装置の主要部の構成を示す図である。同図に示す送信装置は、図2に示す実施の形態1の送信系において、2つの送信等化処理部141,142と、これらの送信等化処理部141,142にそれぞれ接続される送信アンテナ91,92を備えるように構成されている。すなわち、この実施の形態の送信装置は、送信信号を複数の送信アンテナから送信するとともに、送信アンテナごとに好適なウェイトを用いて送信等化処理を行うように構成している点に特徴がある。なお、このとき用いられるウェイトW1(n),W2(n)は、それぞれ次式のように示される。
【0065】
【数3】

【0066】
図8において、スクランブル変調部13から出力された擬似雑音系列の信号は、送信等化処理部141,142のそれぞれに入力される。送信等化処理部141,142では、好適なウェイトW1(n),W2(n)をそれぞれ用いて重み付け処理され、送信アンテナ91,92からそれぞれ送信される。一方、受信側では、各送信アンテナ91,92から送信された双方の信号を用いて受信処理を行うことができるので、単一の送信アンテナを用いて送信した場合に比して、受信信号のSN比を高めることができ、同時にBERを低減させることもできる。
【0067】
なお、送信等化処理部141,142の図示しない各周波数等化処理部において行われる重み付け処理に用いられるウェイトは、実施の形態1と同様に、式(1),(2)に基づいて算出すればよい。
【0068】
以上説明したように、この実施の形態の送信装置および送受信装置によれば、周波数等化処理された送信信号を複数の送信アンテナを用いて送信するようにしているので、単一の送信アンテナを用いて送信した場合に比して、受信信号のSN比を高めることができ、BERを低減させることができる。
【0069】
なお、図8では2つの送信アンテナを用いた構成を例示しているが、スペース的な搭載条件を除き、送信アンテナの数には制限がなく、3つ以上の送信アンテナを用いて構成してもよい。
【0070】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3にかかる送受信装置の構成を示す図である。同図に示す送受信装置は、図7に示す実施の形態1の送信部1の構成において、実施の形態2に示すような複数の送信等化処理部141,142と、FFT処理された周波数領域信号を送信等化処理部141,142に複製して供給する複製部591〜59Ncと、を備えるように構成されている。また、同図の受信部1の構成においては、複数の受信等化処理部551,552と、受信等化処理部551,552の出力を合成する出力合成部58と、を備えるように構成されている。
【0071】
つぎに、図9に示す送受信装置の動作について説明する。なお、実施の形態1,2の送信装置、あるいは送受信装置と共通する動作については、その説明を省略する。
【0072】
図9に示す送信系(送信部1)において、FFT処理部42から出力された周波数領域の信号(NcポイントのFFT出力)が複製部591〜59Ncに出力される。複製部591〜59Ncでは、送信アンテナ数と同数の出力が複製され、送信等化処理部141,142に出力される。送信等化処理部141,142では、あらかじめ送受信アンテナ511,512のそれぞれに割り当てるパワー配分を考慮したウェイトを用いて重み付け処理された送信信号が生成され、送受信アンテナ511,512からそれぞれ送信される。なお、上述の処理の中で、パワー配分を考慮したウェイトは、受信部1に具備されるチャネル推定部561,562の出力に基づいて算出することができる。また、このウェイト算出機能は、図示しない制御手段などに具現することができる。なお、パワー配分を考慮したウェイトの算出要領については後述する。
【0073】
一方、図9に示す受信系(受信部1)において、送受信アンテナ511,512を介して受信された受信信号(ガードインターバル付加信号)は、GI除去部21、シリアル/パラレル変換部41、FFT処理部44および周波数等化処理部15を備えた受信等化処理部551,552にそれぞれ出力される。GI除去部21にてガードインターバルが除去された信号は、シリアル/パラレル変換部41にてパラレルデータに変換され、FFT処理部42において周波数領域の信号に変換された後、周波数等化処理部15に出力される。周波数等化処理部15では、FFT処理部42から出力された周波数領域の信号が所定のウェイト値にて重み付け処理され、出力合成部58に出力される。出力合成部58では、受信等化処理部551,552の個々から出力されたNcポイントの出力信号が加算され、IFFT処理部44に出力される。以後の動作は、実施の形態1のところで説明したとおりである。
【0074】
なお、この実施の形態では、図9に示すように、受信等化処理部551,552の各周波数等化処理部15において、所定の重み付け処理を行うようにしているが、送信部1において、あらかじめ送信等化処理(周波数等化処理)を行うようにしているので、受信部1の周波数等化処理部15による処理を省略してもよい。また、実施の形態1の項でも触れたように、チャネル推定部561,562が行うチャネル推定結果の情報を他の手段(例えば、通信の相手方の受信手段)から伝達されるようなシステム構成とすれば、GI除去部21を除く受信等化処理部551,552の機能を省略することができる。
【0075】
つぎに、実施の形態1の場合と同様に、周波数等化処理部15で行われる重み付け処理に用いられるウェイトについて数式を用いて説明する。なお、この実施の形態において用いられるウェイトには2種類ある。具体的には、第1のウェイトは、最大比合成(MRC:Maximum Ratio Combining)ウェイトであり、第2のウェイトは、このMRCウェイトと、等利得合成(EGC:Equal Gain Combining)ウェイトとをしきい値を用いて切り替えるしきい値制御等化合成(CEC:Controlled Equalization Combining)ウェイトである。
【0076】
まず、第1のウェイトであるMRCウェイトは、次式のように示される。
【0077】
【数4】

【0078】
式(4)において、Hu(m,n)は、m番目のアンテナの、n番目のチャネルの、ユーザuにおけるチャネル利得であり、Ntは送受信アンテナの数である。また、記号「*」は複素共役を示している。
【0079】
また、第2のウェイトであるCECウェイトは、次式のように示される。
【0080】
【数5】

【0081】
式(5)において、かっこ内の|HMRC,u(n)|は、周波数領域等化送信を用いたときに受信側で観測される等化チャネル利得と呼ばれるものであり、次式にて表すことができる。
【0082】
【数6】

【0083】
式(6)において、Hu(n)=[Hu(1,n),Hu(2,n),・・・,Hu(Nt,n)]は、ユーザuのチャネル利得ベクトルである。また、r0は上述のCECウェイトを制御するしきい値である。
【0084】
式(5)で示されるMRCウェイトは、各サブキャリアの瞬時受信SN比を最大化するウェイトである。一方、式(6)で示されるCECウェイトは、MRCウェイトを用いたときの等価チャネル利得|HMRC,u(n)|がr0よりも大きい場合には全てのアンテナに等しい送信電力を与えるEGCウェイトとなり、r0よりも小さい場合にはMRC重みを用いることで、受信側で観測されるチャネルを周波数非選択性により近づける性質のウェイトとなる。なお、Nt=1の場合には、CECウェイトはMRCウェイトと同じになる。
【0085】
つぎに、シミュレーション結果について説明する。ただし、重み付けのウェイトに依存する効果を説明する前に、アンテナ数増加に依存する効果について説明する。図10は、MRCウェイトを用いて解析したシミュレーション結果を示すグラフであり、より詳細には、アンテナ数が異なる場合の送信信号のSN比に対する平均BERを示すグラフである。同図において、「白丸,黒丸」はユーザ数が32のときの結果であり、「白三角,黒三角」はユーザ数が16のときの結果である。また、「白丸,白三角」はNt(アンテナ数)=1のときの結果であり、「黒丸,黒三角」はNt=4のときの結果である。なお、SF(拡散率)=64、L(遅延パス数)=16に設定されている。
【0086】
図10に示すように、アンテナ数を増加させることによって平均BER特性が大幅に改善されている。また、ユーザ数が増加した場合であっても、平均BER特性の低下の程度が小さいことが理解できる。
【0087】
一方、図11は、MRCウェイトとCECウェイトとを用いて解析したシミュレーション結果であり、それぞれの送信信号のSN比に対する平均BERを示すグラフである。同図において、「黒丸」はMRCウェイトを用いたときの結果であり、「黒四角」はMRCウェイトを用いたときの結果であり、各設定パラメータは、L=16、SF=64、Nt=4、U=32である。なお、「白丸」は、送信アンテナNtと同数の受信アンテナ(すなわちNr=4)のときに、受信アンテナダイバーシチ法を用いたMMSE周波数領域等化受信を行った場合の解析結果を比較のために示している。
【0088】
同図に示すように、MRCウェイトまたはCECウェイトを用いた場合にあっては、32ユーザのときに、送信信号のSN比が5〜6dB前後の値において、平均BER=10-4を確保することができる。一方、MMSEの場合にあっては、32ユーザのときには、送信信号のSN比をどんなに増加させたとしても、平均BER=10-4はもちろんのこと、平均BER=10-3程度の値をも得ることができない。
【0089】
上記の理由は、受信ダイバーシチを用いた場合では、ユーザごとに異なることによるチャネル内の直交性の崩れを、本発明の根幹をなす周波数領域等化送信処理のように補償することができないからである。また、本発明の根幹をなす周波数領域等化送信処理では、各ユーザごとに周波数領域等化送信を行うので、全てのユーザの各サブキャリア成分の位相を同相にすることができるが、周波数領域等化受信処理では、各ユーザのサブキャリア成分の位相差はそのまま残留するため、ユーザ間の直交性が崩れた状態が維持されてしまうからである。このことから、マルチユーザ環境下においては、基地局側にアンテナを複数備えるよりも移動機側に複数の送信アンテナを備えた方が効果的であることが分かる。
【0090】
また、MRCウェイトとCECウェイトとを比較した場合、ユーザ数が大きい場合にCECウェイトはMRCウェイトより優れたBER特性を与えることも分かる。
【0091】
ところで、本発明の根幹をなす周波数領域等化送信処理では、送信チャネルの伝撒状況を知ることが必要である。周波数分割複信(FDD)方式は、送受信において異なる周波数を使用する方式なので、特に、高速移動体通信では、送信チャネルの正確なチャネル利得を推定することが困難となる場合がある。しかしながら、送受信チャネルに同じ周波数を使う時分割複信(TDD)方式では、この問題を解決することができる。なぜなら、受信チャネルを使って推定したチャネル状況を送信チャネルのチャネル状況として使うことができるからである。現時点で、TDDは、次世代の複信方式になり得ると考えられており、本発明は、この時分割複信(TDD)方式の送信装置として好適である。
【0092】
以上説明したように、この実施の形態の送信装置および送受信装置によれば、複数の送信アンテナが備えられ、この複数の送信アンテナ個々に割り当てるパワーが好適に配分されるようなウェイトを用いて重み付け処理を行うようにしているので、受信系で受信される信号の平均BER特性を改善できるという効果が得られる。
【0093】
また、この実施の形態の送信装置によれば、時分割複信(TDD)方式の移動局装置に適用することで異なるユーザ間の信号に基づいて生ずるチャネル内の直交性の崩れを補償することができ、多数ユーザが加入する通信システムにおける受信品質の劣化を局限することができるという効果が得られる。
【0094】
なお、この実施の形態において開示した各ウェイト(MRCウェイトおよびCECウェイト)では、複数の送信アンテナ個々に好適なパワーを割り当てるようにしているが、制御パラメータを用いてサブキャリア個々に好適なパワーを割り当てる実施の形態1および2の手法を組み込むことも可能であり、この場合には、複数の送信アンテナ個々に割り当てるパワーが好適に配分されるだけでなく、サブキャリア個々に割り当てるパワーが好適に配分されるので、図10および図11に示した平均BER特性をさらに改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明にかかるDS−CDMA送受信系の構成を示すブロック図である。
【図2】マルチコードDS−CDMA通信における送信系の処理を説明するためのブロック図である。
【図3】マルチコードDS−CDMA通信における受信系の処理を説明するためのブロック図である。
【図4】ガードインターバル(GI)が付加されたDS−CDMA信号のデータフレームを示す図である。
【図5−1】移動体通信環境下における送信局と受信局との間の通信を説明するための図である。
【図5−2】移動体通信環境下におけるインパルス応答を説明するための図である。
【図5−3】移動体通信環境下におけるチャネル利得を示す図である。
【図6−1】制御パラメータによるウェイトを用いて解析したシミュレーション結果(SF=1,L=16)を示すグラフである。
【図6−2】制御パラメータによるウェイトを用いて解析したシミュレーション結果(SF=8,L=16)を示すグラフである。
【図7】実施の形態1の送信装置を用いて構成した双方向通信システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態2にかかる送信装置の主要部の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3にかかる送受信装置の構成を示す図である。
【図10】MRCウェイトを用いて解析したアンテナ数が異なる場合のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図11】MRCウェイトとCECウェイトとを用いて解析したシミュレーション結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0096】
9,91,92 送信アンテナ
10 受信アンテナ
11 データ変調部
12 拡散部
13 スクランブル変調部
14,141,142 送信等化処理部
15 周波数等化処理部
16 GI挿入部
21 GI除去部
23 スクランブル解除部
24 逆拡散部
25 データ復調部
41 シリアル/パラレル変換部
42 FFT処理部
44 IFFT処理部
45 パラレル/シリアル変換部
471〜47u 相関器
511,512 送受信アンテナ
551,552 受信等化処理部
56,561,562 チャネル推定部
58 出力合成部
591,592 複製部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散率が1の場合を含む拡散信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号の送信を行う送信装置において、
前記DS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する送信等化処理部と、
前記送信等化処理部によって周波数領域での等化処理が行われたDS−CDMA信号に基づいて生成される信号を送信信号として送信する送信アンテナと、
を備えたことを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記周波数等化処理部では、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、任意の値をとり得る制御パラメータと、に基づいて生成された所定のウェイトに基づく重み付け処理が行われることを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記所定のウェイトは、前記拡散信号をFFT処理したときの周波数要素と、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、前記制御パラメータと、前記送信アンテナのアンテナ数と、に基づいて正規化されることを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記送信アンテナは、複数のアンテナを有するとともに、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続される複数の前記送信等化処理部が備えられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の送信装置。
【請求項5】
前記伝搬路のチャネル利得は、前記DS−CDMA信号に基づいて生成された送信信号を受信した受信手段から伝達されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の送信装置。
【請求項6】
拡散率が1の場合を含む拡散信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号の送信を行う送信装置と、
他局から送信された送信信号を受信してDS−CDMA信号に含まれる情報を生成出力する受信装置と、
を備えた送受信装置において、
前記送信装置は、
前記自身が生成したDS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する送信等化処理部と、
前記送信等化処理部によって周波数領域での等化処理が行われたDS−CDMA信号に基づいて生成された信号を送信信号として送信する送信アンテナと、
を備えたことを特徴とする送受信装置。
【請求項7】
前記受信装置は、
伝送信号を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナが受信した伝送信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する受信等化処理部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の送受信装置。
【請求項8】
前記受信装置には、伝搬路のチャネル状態を推定するチャネル推定部が備えられ、
前記チャネル推定部は、通信相手方と自局との間の通信に基づいて前記伝搬路のチャネル状態を推定するとともに、該推定された伝搬路のチャネル状態を前記送信等化処理部に出力することを特徴とする請求項7に記載の送受信装置。
【請求項9】
前記送信装置の周波数等化処理部の機能と、前記受信装置の周波数等化処理部の機能と、が共用されることを特徴とする請求項7また8に記載の送受信装置。
【請求項10】
前記送信装置の周波数等化処理部では、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、任意の値をとり得る制御パラメータと、に基づいて生成された所定のウェイトに基づく重み付け処理が行われることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一つに記載の送受信装置。
【請求項11】
前記所定のウェイトは、前記拡散信号をFFT処理したときの周波数要素と、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、前記制御パラメータと、前記送信アンテナのアンテナ数と、に基づいて正規化されることを特徴とする請求項10に記載の送受信装置。
【請求項12】
前記送信アンテナは、複数のアンテナを有するとともに、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続される複数の前記送信等化処理部が備えられることを特徴とする請求項6〜11のいずれか一つに記載の送受信装置。
【請求項13】
拡散率が1の場合を含む拡散信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号の送信を行う送信装置において、
前記DS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する複数の送信等化処理部と、
前記複数の送信等化処理部に接続され、該複数の送信等化処理部によって周波数領域での等化処理が行われたDS−CDMA信号に基づいて生成された信号を送信信号として送信する複数の送信アンテナと、
を備えたことを特徴とする送信装置。
【請求項14】
前記周波数等化処理部では、前記DS−CDMA信号が送信される伝搬路のチャネル利得と、前記送信アンテナのアンテナ数と、に基づいて生成された所定のウェイトに基づく重み付け処理が行われることを特徴とする請求項13に記載の送信装置。
【請求項15】
前記所定のウェイトが、最大比合成(MRC:Maximum Ratio Combining)ウェイトであることを特徴とする請求項14に記載の送信装置。
【請求項16】
前記所定のウェイトが、前記MRCウェイトと、等利得合成(EGC:Equal Gain Combining)ウェイトとを所定のしきい値を用いて切り替えるしきい値制御等化合成(CEC:Controlled Equalization Combining)ウェイトであることを特徴とする請求項14に記載の送信装置。
【請求項17】
前記所定のしきい値は、前記複数の送信等化処理部によって周波数領域等化送信処理が行われたときに受信側で観測される等化チャネル利得であることを特徴とする請求項16に記載の送信装置。
【請求項18】
拡散率が1の場合を含む拡散信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号の送信を行う送信装置と、
他局から送信された送信信号を受信してDS−CDMA信号に含まれる情報を生成出力する受信装置と、
を備えた送受信装置において、
前記送信装置は、
前記自身が生成したDS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する複数の送信等化処理部と、
前記複数の送信等化処理部に接続され、該複数の送信等化処理部よって周波数領域での等化処理が行われたDS−CDMA信号に基づいて生成された信号を送信信号として送信する複数の送信アンテナと、
を備えたことを特徴とする送受信装置。
【請求項19】
前記受信装置は、
伝送信号を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナが受信した伝送信号に基づいて生成されたDS−CDMA信号に対して周波数領域での等化処理を行う周波数等化処理部を具備する受信等化処理部と、
を備えることを特徴とする請求項18に記載の送受信装置。
【請求項20】
前記受信装置には、伝搬路のチャネル状態を推定するチャネル推定部が備えられ、
前記チャネル推定部は、通信相手方と自局との間の通信に基づいて前記伝搬路のチャネル状態を推定するとともに、該推定された伝搬路のチャネル状態を前記送信等化処理部に出力することを特徴とする請求項19に記載の送受信装置。
【請求項21】
前記送信装置の周波数等化処理部の機能と、前記受信装置の周波数等化処理部の機能と、が共用されることを特徴とする請求項19または20に記載の送受信装置。
【請求項22】
請求項1〜5または請求項13〜17のいずれか一つに記載の送信装置を備えることを特徴とする移動局装置。
【請求項23】
請求項6〜12または請求項18〜21のいずれか一つに記載の送受信装置を備えることを特徴とする移動局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−54759(P2006−54759A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236091(P2004−236091)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】