送風式イオン生成装置
【課題】装置全体の小型化や軽量化を図ることができると共に、空気イオンを移送する空気流を円滑に発生させる送風式イオン生成装置を提供する。
【解決手段】空気導入口6、空気吹出し口7をそれぞれ第1の壁面2b、第2の壁面2aに開設した筐体2内に配置される交流高圧電源4は、空気吹出し口7に臨むコロナ放電発生用電極部材3の高電圧印加部に高圧ケーブル15を介して二次巻線16bが接続された巻線トランス16と、巻線トランス16の一次巻線16aに正極性のパルス列からなるパルス列電圧および負極性のパルス列からなるパルス列電圧を交互に周期的に印加するパルス発生回路17とを並列させて構成され、空気導入口6から空気吹出し口7に向かう空気の流れを避ける位置で筐体2内に配置される。
【解決手段】空気導入口6、空気吹出し口7をそれぞれ第1の壁面2b、第2の壁面2aに開設した筐体2内に配置される交流高圧電源4は、空気吹出し口7に臨むコロナ放電発生用電極部材3の高電圧印加部に高圧ケーブル15を介して二次巻線16bが接続された巻線トランス16と、巻線トランス16の一次巻線16aに正極性のパルス列からなるパルス列電圧および負極性のパルス列からなるパルス列電圧を交互に周期的に印加するパルス発生回路17とを並列させて構成され、空気導入口6から空気吹出し口7に向かう空気の流れを避ける位置で筐体2内に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空中でのコロナ放電によって空気イオンを生成し、その空気イオンを空気流により移送する送風式イオン生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の外壁面に空気導入口と空気吹出し口とを開設すると共に、放電針などを有するコロナ放電発生用電極部材を空気吹出し口に臨ませて配置し、コロナ放電発生用電極部材でのコロナ放電(空中コロナ放電)によって生成される空気イオンを、空気導入口からファンなどの送風機により筐体の内部に導入されて空気吹出し口から吹出される空気の流れによって、空気吹出し口の前方に移送するようにした送風式イオン生成装置が、従来から知られている。該送風式イオン生成装置は、一般に、帯電物の除電に利用され、正負の空気イオンを含む空気流を帯電物に吹き付けることによって、該帯電物の除電を行なう。
【0003】
この種の送風式イオン生成装置では、通常、コロナ放電発生用電極部材の電圧印加部に、交流高圧電源から交流高電圧を印加することによって、放電針などからコロナ放電を発生させ、正負の空気イオンを生成するようにしている。
【0004】
この場合、従来の送風式イオン生成装置では、交流高圧電源として、商用電源から商用周波数(50Hzまたは60Hz)の交流電圧が入力される一次巻線を有する巻線トランスが一般に使用されていた。
【0005】
ところが、このような商用周波数の巻線トランスにより構成される交流高圧電源は、大型で重いものとなることから、これを筐体内に収容した送風式イオン生成装置は、小型化や軽量化が困難となるという不都合がある。また、筐体内で、交流高圧電源の占める容積が比較的大きくなることから、空気導入口から筐体内に導入される空気が交流高圧電源によって阻害されて、空気吹出し口に向かって円滑に流れにくいものとなる。この結果、空気吹出し口から吹出される空気が不均一なものとなったり、乱流を生じてしまうことがあり、ひいては、生成された空気イオンを円滑に効率よく帯電物などに供給することができない場合が生じるという不都合があった。
【0006】
このため、近年では、交流高圧電源として、高周波トランスや圧電トランスを利用した小型且つ軽量な高周波電源が使用されるようになってきている(例えば特許文献1,2を参照)。
【0007】
しかるに、高周波電源は、一般に出力電流をあまり大きくすることができず、また、数十kHzの高周波を使用するために、浮遊容量などによる電流損失が大きくなりやすい。このため、生成される空気イオン量が少なくなりやすいと共に、放電針の汚れなどに起因してコロナ放電の発生不良が生じやすいという不都合があった。
【特許文献1】特開昭62−86699号公報
【特許文献2】特開2005−216539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、比較的低周波の交流高電圧を生成することができる小型且つ軽量な交流高圧電源を使用して、装置全体の小型化や軽量化を図ることができると共に、空気イオンを移送する空気流を円滑に発生させることができる送風式イオン生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の送風式イオン生成装置は、かかる目的を達成するために、交流高圧電源を内蔵した筐体と、該筐体の外壁面のうちの第1の壁面に開設された空気導入口および第2の壁面に開設された空気吹出し口と、前記空気吹出し口から吹出す空気を前記空気導入口から前記筐体の内部に導入するように該空気導入口に臨んで該筐体に取り付けられた装着された送風機と、前記空気吹出し口に臨んで前記筐体に取り付けられたコロナ放電発生用電極部材と、前記交流高圧電源を該コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に接続する高圧ケーブルとを備え、前記コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に、前記交流高圧電源から交流高電圧を印加することにより該コロナ放電発生用電極部材でコロナ放電を発生させ、このコロナ放電により生成される空気イオンを前記空気吹出し口から吹出す空気により移送する送風式イオン生成装置において、前記交流高圧電源は、前記コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に前記高圧ケーブルを介して二次巻線が接続された巻線トランスと、該巻線トランスの一次巻線に正極性のパルス列からなるパルス列電圧および負極性のパルス列からなるパルス列電圧を交互に周期的に印加するパルス発生回路とを並列させて構成され、前記空気導入口から空気吹出し口に向かう空気の流れを避ける位置で前記筐体内に配置されていることを特徴とする(第1発明)。
【0010】
この第1発明によれば、前記交流高圧電源は、前記巻線トランスとパルス発生回路とを並列させて構成される。
【0011】
ここで、この交流高圧電源では、巻線トランスの一次巻線にパルス発生回路から正極性および負極性のパルス列電圧(より具体的には、例えば複数の矩形波状のパルスの時系列)が交互に周期的に印加されるので、その両極性のパルス列電圧を交互に印加する周期に同期した交流高電圧が巻線トランスの二次巻線に発生する。すなわち、正極性のパルス列電圧の一次巻線への印加に応じて、正極性または負極性で増減する高電圧が二次巻線に発生し、負極性のパルス列電圧の一次巻線への印加に応じて、正極性のパルス列電圧の印加時と逆極性で増減するような高電圧が二次巻線に発生する。そして、このように互いに異なる極性の高電圧の発生が、両極性のパルス列電圧を交互に印加する周期で繰り返される。また、このとき、各極性のパルス列電圧の各パルスの一次巻線への断続的な印加が、その両極性のパルス列電圧を交互に印加する周期に比して高速で行なわれることとなる。このため、巻線トランスの一次巻線および二次巻線の巻き数比較的少なく、該巻線トランスが比較的小型なものであっても、両極性のパルス列電圧を交互に印加する周期の逆数、すなわち二次巻線に発生する交流高電圧の周波数が、比較的低周波(例えば1kHz以下の低周波)であっても、滑らかな波形で且つ所望の波高値を有する交流高電圧を二次巻線に発生させることができる。
【0012】
また、前記パルス列発生回路は、例えば半導体スイッチ素子を使用して、小型に構成できる。
【0013】
従って、第1発明における交流高圧電源は、比較的低周波の交流高電圧を小型且つ軽量なものとすることができる。そして、このように交流高圧電源が小型なものとなることから、筐体の容積が比較的小さいものであっても、該交流高圧電源を、空気導入口から空気吹出し口に向かう空気の流れを避ける位置で前記筐体内に配置することを容易に行なうことができる。さらに、このように、交流高圧電源を筐体内で配置することによって、空気導入口から空気吹出し口への空気の流れを円滑に行なうことができ、空気導入口から筐体内に導入される空気を効率よく均一的に空気吹出し口から吹出させることができる。
【0014】
よって、第1発明の送風式イオン生成装置によれば、比較的低周波の交流高電圧を生成することができる小型且つ軽量な交流高圧電源を使用して、装置全体の小型化や軽量化を図ることができると共に、空気イオンを移送する空気流を円滑に発生させることができる。すなわち、空気吹出し口から吹出される空気流を乱れの少ない空気流にすることができ、空気イオンを空気吹出し口から遠方まで効率よく移送することができる。
【0015】
かかる第1発明では、交流高圧電源は、例えば、次のような位置に配置される。
【0016】
すなわち、前記空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に導く整流板が前記筐体内に設けられると共に、該整流板によって、前記筐体内の空間が、前記空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に向かって流す第1の空間と、該第1の空間以外の空間である第2の空間とに画成され、前記交流高圧電源が前記第2の空間に配置される(第2発明)。
【0017】
この第2発明によれば、前記交流高圧電源が、前記整流板によって前記第1の空間と隔てられた前記第2の空間に配置され、前記第1の空間において、空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に向かって流すので、その空気流が交流高圧電源によって阻害されることがない。この場合、交流高圧電源を小型なものとすることができるので、第2の空間が狭くても、該第2の空間に交流高圧電源を支障なく配置することができる。
【0018】
あるいは、前記交流高圧電源は、前記第1の壁面の法線方向で見たとき、該第1の壁面のうち、前記空気導入口が開設された箇所以外の箇所にのみ対向して、該第1の壁面寄りの位置に配置されてもよい(第3発明)。
【0019】
この第3発明によれば、空気導入口から筐体内に導入される空気が交流高圧電源に直接的に当たることが回避されるので、その空気を円滑に空気吹出し口から吹出させることができる。この場合、交流高圧電源を小型なものとすることができるので、前記第1の壁面のうちの前記空気導入口が開設された箇所以外の箇所の面積が比較的小さくても、その箇所に対向させて交流高圧電源を配置することができる。
【0020】
また、前記第1〜第3発明では、前記巻線トランスは、単一の巻線トランスでもよいが、次のように構成してもよい。すなわち、前記巻線トランスは、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの一次巻線を並列接続すると共に、該第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの二次巻線を直列接続してなる2段の巻線トランスであり、前記交流高圧電源は、前記第1の巻線トランスと第2の巻線トランスと前記パルス発生回路とを1列に並べて構成される(第4発明)。
【0021】
この第4発明では、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの一次巻線に前記パルス発生回路から互いに同じパルス列電圧が印加される。そして、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの二次巻線に発生する交流電圧の和が前記交流高電圧として発生する。このとき、前記巻線トランスを単一構成のものとした場合よりも、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスは小型なものとなる。そして、この第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスと前記パルス発生回路とを1列に並べて交流高圧電源を構成することによって、該交流高圧電源をより細長いものとすることができるので、該交流高圧電源を筐体内の所望の箇所(空気導入口から空気吹出し口への空気流を避ける位置)に配置することが容易になる。
【0022】
前記第1〜第4発明においては、前記コロナ放電発生用電極部材は、例えば次のように構成される。すなわち、前記空気吹出し口は、長尺な吹出し口であり、前記コロナ放電発生用電極部材は、前記空気吹出し口の長手方向に延在して前記筐体の内部に配置された前記高電圧印加部としての長尺導体部材と、該長尺導体部材から前記空気吹出し口に向かって該長尺導体部材の長手方向に垂直な方向に突設されると共に該長尺導体部材に電気的に接続され、前記空気吹出し口の長手方向に並ぶように配列された複数の先鋭な放電部とを備える放電電極部材と、前記筐体の内部における前記放電部の列の両側で前記長尺導体部材と平行に延在して配設される共に接地された一対の棒状対向電極部材とから構成される(第5発明)。
【0023】
この第5発明では、前記各放電部には、交流高圧電源から高圧ケーブルおよび長尺導体部材を介して交流高電圧が印加される。そして、このとき、各放電部と接地された一対の棒状対向電極部材との間で形成される電界が各放電部の先端部に集中することで、各放電部の先端部でコロナ放電が発生し、正負の空気イオンが生成される。さらに、その空気イオンは、空気吹出し口から吹出す空気流によって移送される。また、この第5発明では、交流高電圧が印加される長尺導体部材および各放電部が筐体内に設けられているので、これらに異物が接触するのが防止される。
【0024】
あるいは、コロナ放電発生用電極部材を次のように構成してもよい。すなわち、前記空気吹出し口は、長尺な吹出し口であると共に、前記第2の壁面には、該筐体の外部側で前記空気吹出し口の周囲を囲むようにして絶縁物からなる整流用枠体が突設されており、前記コロナ放電発生用電極部材は、前記空気吹出し口の長手方向に延在して前記整流用枠体の内側に配置されると共に接地された長尺導体部材と、該長尺導体部材から前記空気吹出し口と反対側に向かって該長尺導体部材の長手方向に垂直な方向に突設されると共に該長尺導体部材に電気的に接続され、前記空気吹出し口の長手方向に並ぶように配列された複数の先鋭な放電部とを備える放電電極部材と、前記整流用枠体の内側における前記放電部の列の両側で前記長尺導体部材と平行に延在して配設されると共に外周面が絶縁物により被覆された前記高電圧印加部としての一対の棒状対向電極部材とから構成される(第6発明)。
【0025】
この第6発明によれば、前記各放電部は、長尺導体部材を介して接地されており、交流高圧電源から高圧ケーブルを介して前記一対の棒状対向電極部材に交流高電圧が印加される。そして、このとき、各放電部と交流高電圧が印加された一対の棒状対向電極部材との間で形成される電界が各放電部の先端部に集中することで、各放電部の先端部でコロナ放電が発生し、正負の空気イオンが生成される。さらに、その空気イオンは、空気吹出し口から吹出す空気流によって移送される。また、この第6発明では、筐体の外側で、コロナ放電発生用電極部材が配置されるものの、各放電部は、長尺導体部材を介して接地され、また、各棒状対向電極部材は、その外周面が絶縁物によって被覆されているので、これらの放電部や棒状対向電極部材に異物が接触したときに短絡電流が流れるのが防止される。さらに、コロナ放電発生用電極部材が内側に配置される前記整流用枠体が絶縁物であるので、筐体が金属製の導体であっても、交流高電圧が印加される棒状対向電極部材と筐体の間で電界が形成されるのを防止して、該棒状対向電極部材と各放電部との間に電界を集中させることができ、ひいては、コロナ放電を円滑に発生させることができる。
【0026】
なお、前記第5発明においては、前記各放電部は、前記長尺導体部材に直接的に導通していてもよいが、該長尺導体部材に容量を介して接続されていてもよい(第7発明)。あるいは、各放電部は、前記長尺導体部材に抵抗を介して接続されていてもよい(第8発明)。
【0027】
上記第7発明または第8発明によれば、交流高電圧が印加させる各放電部に異物が接触しても、大きな短絡電流が流れるのを抑制することができる。
【0028】
また、前記第5発明または第6発明では、前記放電電極部材は、次のように構成してもよい。すなわち、前記長尺導体部材を、平板状部材とし、前記複数の放電部を、該長尺導体部材の側縁のうちの該長尺導体部材の長手方向に延在する一側縁から該長尺導体部材と一体に突設された鋸歯状の複数の板状突起部とする(第9発明)。
【0029】
この第9発明によれば、放電電極部材を原板から型抜きによって容易に作成できる。
【0030】
補足すると、以上説明した第1〜第9発明では、筐体の前記第1の壁面および第2の壁面は、互いに対向する壁面でよいが、その一方の壁面に対して他方の壁面が起立するものとなるような2つの壁面であってもよい。
【0031】
また、前記交流高圧電源が生成する交流高電圧の周期は、周波数換算で、50Hz〜1kHzの範囲内の値であることが、交流高圧電源の巻線トランスの小型化や、放電部の汚れを防止する上で、好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の送風式イオン生成装置の外観斜視図、図2は図1のII−II線断面図、図3は該送風式イオン生成装置に備えた交流高圧電源の回路構成図、図4は該交流高圧電源の動作説明図である。
【0033】
図1および図2に示すように、本実施形態の送風式イオン生成装置1は、直方体状の筐体2を備える。筐体2は金属製の導体であり、図示しない接地線を介して筐体2の外部の適所に接地される。そして、この筐体2内に、コロナ放電発生用電極部材3、交流高圧電源4、2つの送風機5,5が収容されている。
【0034】
筐体2の外壁面のうちの互いに対向する壁面である前面パネル2aおよび背面パネル2bは、それぞれ本発明における第2の壁面、第1の壁面に相当する。そして、第1の壁面としての背面パネル2bには、方形状の2つの空気導入口6,6が、筐体2の長手方向に並んで開設されている。また、第2の壁面としての前面パネル2aの上部には、筐体2の長手方向に延在する長尺な方形状の空気吹出し口7が開設されている。空気吹出し口7は、筐体2の前後方向で、該筐体2の内部空間を介して各空気導入口6に直線的に連通している。
【0035】
送風機5,5は、それぞれ、筐体2の外部の空気を空気導入口6,6から筐体2の内部に導入し、その導入した空気を筐体2の空気吹出し口7から吹出させるものである。各送風機5は、図2に示す如く、その外枠5a内に内蔵された電動ファン5bを備える。そして、各送風機5は、その電動ファン5bを、各送風機5毎に各別の空気導入口6に臨ませる(対面させる)ようにして筐体2の内部に配置されると共に、その外枠5aが筐体2の背面パネル2bなどに図示しない取り付け部材を介して取り付けられている。
【0036】
これにより、各送風機5は、その電動ファン5bの回転動作によって、該電動ファン5bが対面する空気導入口6から筐体2の外部の空気を吸引し、その吸引した空気を筐体2の前面パネル2aに向かって送り出す。
【0037】
なお、本実施形態では、送風機5および空気導入口6の組を2組備えるようにしたが、筐体2の前面パネル2aの空気吹出し口7の長手方向の長さがより短い場合には、送風機5および空気導入口6の組は一組でもよい。また、空気吹出し口7の長手方向の長さがより長い場合には、送風機5および空気導入口6の組を3組以上備えるようにしてもよい。さらに、本実施形態では、送風機5を筐体2の内部に配置したが、筐体2の外部で背面パネル2bの外面側に配置するようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、筐体2の内部には、図2に示すように、空気導入口6,6から送風機5,5によって筐体2の内部に導入される空気を前記空気吹出し口7に向かって案内する整流板8が送風機5,5と、前面パネル2aとの間で設けられている。この整流板8は、前面パネル2aの内面のうちの空気吹出し口7の下端付近の箇所から背面パネル2b側に向かって筐体2の底板および天板とほぼ平行な平坦部8aと、この平坦部8aの背面パネル2b側の側縁から筐体2の底板のうちの送風機5,5寄りの箇所まで送風機5,5に徐々に接近していくようにして傾斜した傾斜部8bとを備え、筐体2の長手方向の両側壁間で該長手方向に延在している。この整流板8によって、筐体2の内部空間は、整流板8の上方または斜め上方の空間である第1の空間9aと、整流板8の下方または斜め下方の空間である第2の空間9bとに画成されている。
【0039】
ここで、第1の空間9aは、空気吹出し口7および空気導入口6,6に連通する空間であるので、各送風機5の電動ファン5bの回転動作によって各空気導入口6から筐体2内に導入される空気は、第1の空間9aにおいて、空気吹出し口7に向かって流れるようになっている。このとき、空気導入口6,6の上部から第1の空間9aに導入される空気は、ほぼ直接的に空気吹出し口7に向かって流れる。また、空気導入口6,6の下部から第1の空間9aに導入される空気が整流板8の傾斜部8bに案内されて、空気吹出し口7に向かって流れる。このため、空気導入口6,6から導入される空気のほぼ全体が、円滑に空気吹出し口7に流れ、該空気吹出し口7から前方に吹出されるようになっている。また、空気導入口6,6から導入される空気は、第2の空間9bにはほとんど流れないようになっている。
【0040】
コロナ放電発生用電極部材3は、本実施形態では、金属製の棒状の長尺導体部材10と、該長尺導体部材10からその長手方向に垂直な方向に突設された複数の先鋭な放電部としての放電針11とを備える放電電極部材12と、一対の棒状の対向電極部材13,13とを備える。
【0041】
長尺導体部材10は、空気吹出し口7に対向し、且つ、該空気吹出し口7の長手方向に延在するようにして筐体2の内部の第1の空間9aに配置されている。この場合、筐体2の内部には、前面パネル2aのうちの空気吹出し口7の両側箇所から背面パネル2b側に向かって突設された一対の支持部材14,14(図1および図2では一方の支持部材14のみが図示されている)が設けられている。これらの支持部材14,14は絶縁物である。そして、長尺導体部材10は、その両端部が支持部材14,14に挿着されて、該支持部材14,14に支持されている。
【0042】
本実施形態では、この長尺導体部材10が本発明における高電圧印加部として機能するものである。そして、該長尺導体部材10は、図2に示すように、筐体2の内部に配線された高圧ケーブル15を介して、詳細を後述する交流高圧電源4に接続されている。
【0043】
複数の放電針11は、長尺導体部材10から、空気吹出し口7に向かって互いに同方向に(筐体2の前後方向に)突設されており、空気吹出し口7の長手方向に等間隔で1列に配列されている。これらの放電針11は金属製の導体である。なお、図示は省略するが、本実施形態では、各放電針11の長尺導体部材10側の基端部は、放電針11と一体に形成された環状部となっており、その環状部が長尺導体部材10に挿着されている。そして、その環状部と長尺導体部材10との接触によって、放電針11が長尺導体部材10に電気的に導通している。
【0044】
対向電極部材13,13は、いずれも金属製の導体であり、放電針11の列の両側(図1および図2では上側および下側)で、各放電針11の先端に近接し、且つ、空気吹出し口7の長手方向に(長尺導体部材10と平行に)延在するようにして筐体2の内部の第1の空間9aに配置されている。そして、これらの対向電極部材13,13は、その両端部が前記支持部材14,14に挿着されて、該支持部材14,14に支持されている。さらに、対向電極部材13,13は、図2に示すように、筐体2内で該筐体2などに接地されている。なお、各支持部材14は、絶縁物であるので、対向電極部材13,13と、長尺導体部材10および放電針11とは、電気的に絶縁されている。
【0045】
交流高圧電源4は、巻線トランス16と、この巻線トランス16の一次巻線16a(図3を参照)に正極性および負極性のパルス列電圧を交互に周期的に印加するパルス発生回路17とを1列に並列させて構成され、その列方向に長尺な細長い筐体4a内に収容されている。そして、この交流高圧電源4は、本実施形態では、図1および図2に示すように、その筐体4aの長手方向を空気吹出し口7の長手方向に向けた状態で筐体2の内部空間のうちの前記第2の空間9bにおいて筐体2の底板上の前面パネル2a寄りの箇所に設置されている。この場合、空気導入口6,6から空気吹出し口7に流れる空気は、第2の空間9bには流れないので、該第2の空間9bに配置された交流高圧電源4は、空気導入口6,6から空気吹出し口7に向かう空気の流れを阻害することがなく、その空気の流れを避ける位置に設けられていることとなる。
【0046】
ここで、交流高圧電源4のより具体的な回路構成例と、該交流高圧電源4の動作とを図3および図4を参照して説明する。
【0047】
図3に示すように、本実施形態では、パルス発生回路17は、2つの半導体スイッチ素子18,19を直列接続してなる第1の直列回路22と2つの半導体スイッチ素子20,21を直列接続してなる第2の直列回路23とを並列に接続して構成されたスイッチ素子回路24と、このスイッチ素子回路24の各半導体スイッチ素子18〜21(以下、これらを単にスイッチ素子18〜21という)のオン・オフ制御を行なうスイッチング制御回路25とから構成される。なお、図示例では、スイッチ素子18〜21は、いずれもMOSFETであるが、スイッチングトランジスタであってもよい。
【0048】
この場合、スイッチ素子回路24の両直列回路22,23の両端のうちの、スイッチ素子19,21側の一端が接地され、他端が電源電圧入力端とされている。そして、その電源電圧入力端に図示しない電池などの直流電源から直流電源電圧Vinが印加されるようになっている。さらに、各スイッチ素子18〜21のオン・オフを行なうために、各スイッチ素子18〜21の制御信号入力部(ゲート)にスイッチング制御回路25が接続されている。
【0049】
また、第1の直列回路22の両スイッチ素子18,19の間の箇所17aと、第2の直列回路23の両スイッチ素子20,21の間の箇所17bとが、パルス発生回路17の一対の出力部17a,17bとされ、この出力部17a,17bの間に巻線トランス16の一次巻線16aが接続されている。なお、巻線トランス16の二次巻線16bは、その一端が接地され、他端が前記高圧ケーブル15を介してコロナ放電発生用電極部材3の長尺導体部材10に接続される。
【0050】
スイッチング制御回路24は、マイクロコンピュータや制御信号生成回路により構成されるものである。このスイッチング制御回路25は、スイッチ素子回路24の第1の直列回路22の非接地側(電源電圧入力端側)のスイッチ素子18と接地側のスイッチ素子19と第2の直列回路23の非接地側のスイッチ素子20とをそれぞれオン、オフ、オフに制御しつつ、第2の直列回路23の接地側のスイッチ素子21を間欠的にオン・オフさせる制御処理(以下、第1オン・オフ制御処理という)と、第2の直列回路23の非接地側のスイッチ素子20と接地側のスイッチ素子21と第1の直列回路22の非接地側のスイッチ素子18とをそれぞれオン、オフ、オフに制御しつつ、第1の直列回路22の接地側のスイッチ素子19を間欠的にオン・オフさせる制御処理(以下、第2オン・オフ制御処理という)とを、周期的に交互に繰り返す。なお、第1オン・オフ制御処理では、スイッチ素子20をスイッチ素子21と逆相で間欠的にオン・オフさせる(スイッチ素子21のオン期間、オフ期間でそれぞれスイッチ素子20をオフ、オンに制御する)ようにしてもよい。同様に、第2オン・オフ制御処理では、スイッチ素子18をスイッチ素子19と逆相で間欠的にオン・オフさせるようにしてもよい。
【0051】
このとき、第1オン・オフ制御処理の実行期間では、スイッチ素子21のオン・オフ波形と同様の波形を有する正極性のパルス状の入力電圧が巻線トランス16の一次巻線16aに印加される。その入力電圧は、より詳しく言えば、スイッチ素子21のオン・オフ波形に同期した正極性のパルス列電圧(正極性の矩形波状パルス電圧の時系列)である。また、第2オン・オフ制御処理の実行期間では、スイッチ素子19のオン・オフ波形と同様の波形を有する負極性のパルス状の入力電圧が巻線トランス16の一次巻線16aに印加される。その入力電圧は、より詳しく言えば、スイッチ素子19のオン・オフ波形に同期した負極性のパルス列電圧(負極性の矩形波状パルス電圧の時系列)である。
【0052】
なお、ここでの説明では、入力電圧(パルス列電圧)の極性に関しては、便宜上、スイッチ素子回路24の前記出力部17a,17bのうち、出力部17aが出力部17bに対して正電位となるときの一次巻線16aの入力電圧を正極性とし、出力部17aが出力部17bに対して負電位となるときの一次巻線16aの入力電圧を負極性としている。ただし、一次巻線16aの入力電圧の極性は、上記と逆に定義してもよい。
【0053】
上記のように第1オン・オフ制御処理の実行期間で正極性のパルス列電圧を巻線トランス16の一次巻線16aに印加したとき、該巻線トランス16の二次巻線16bに、第1オン・オフ制御処理の実行期間でほぼ連続的に滑らかに増減するような波形を有する正極性(または負極性)の高電圧を発生させることができる。例えば、図4の上段に示すようにスイッチ素子21をオン・オフさせて、そのオン・オフ波形と同様の波形のパルス列電圧を巻線トランス16の一次巻線16aに印加すると、二次巻線16bには、図4の下段に示すような波形の高電圧(図示例では正極性の高電圧)が発生する。
【0054】
同様に、第2オン・オフ制御処理の実行期間で負極性のパルス列電圧を巻線トランス16の一次巻線16aに印加したとき、該巻線トランス16の二次巻線16bに、第2オン・オフ制御処理の実行期間でほぼ連続的に滑らかに増減するような波形をを有する負極性の(第1オン・オフ制御処理の実行期間と逆極性の)高電圧を発生させることができる。
【0055】
そこで、本実施形態の交流高圧電源4では、前記スイッチング制御回路25により第1オン・オフ制御処理と第2オン・オフ制御処理とを交互に周期的に実行することにより、巻線トランス16の二次巻線16bに交流高電圧を発生させるようにしている。
【0056】
補足すると、前記第1オン・オフ制御処理の実行期間で巻線トランス16の二次巻線16bに発生する高電圧の波形や波高値は、スイッチ素子21のオン・オフ波形のパターン(ひいては一次巻線16aに印加されるパルス列電圧における各パルス幅や、パルス間の間隔、デューティ、パルス数など)に応じたものとなる。同様に、前記第2オン・オフ制御処理の実行期間で巻線トランス16の二次巻線16bに発生する高電圧の波形や波高値は、スイッチ素子19のオン・オフ波形のパターンに応じたものとなる。そして、第1オン・オフ制御処理におけるスイッチ素子21のオン・オフ波形のパターンと、第2オン・オフ制御処理におけるスイッチ素子19のオン・オフ波形のパターンとは、それぞれの制御処理の実行期間で二次巻線16bに発生する高電圧の波形や波高値が所望の波形や波高値となるようにあらかじめ設定される。
【0057】
以上のように構成された本実施形態の交流高圧電源4では、巻線トランス16の一次巻線16aに、正極性および負極性のパルス列電圧を交互に周期的に印加することで、二次巻線16bに正極性および負極性の高電圧を交互に発生するものであるため、巻線トランス16が比較的小型なもの(巻線の巻き数が比較的少ないもの)であっても、二次巻線16bに数十から数百Hz程度の比較的低周波の交流高電圧を高効率で発生させることができる。また、パルス発生回路17は、集積回路化によって小型なものとすることができる。
【0058】
そこで、本実施形態では、小型な巻線トランス16およびパスル発生回路17を1列に並べて交流高圧電源4を構成することで、該交流高圧電源4を小型で細長いものとして、前記した如く筐体2内の第2の空間9bに収容するようにした。この場合、第2の空間9bは空気導入口6,6から空気吹出し口7に空気を流すための第1の空間9aに比して狭い空間となるものの、交流高圧電源4が小型であることから、該第2の空間9bに支障なく交流高圧電源4を収容できる。
【0059】
補足すると、巻線トランス16における各巻線16a,16bの1巻き当たりの起電力は入力電圧の周波数に比例するから、それらの巻き数を少なくして巻線トランス16の小型化を図る上では、一次巻線16aの入力電圧の周波数は、高い方が有利である。その周波数は、例えば商用周波数の50Hzよりも高いことが巻線トランス16の小型化の上で望ましい。一方、巻線トランス10の二次巻線16bから出力する交流高電圧の周波数が1kHzを超えるような高周波となると、この交流高電圧を印加する放電針への異物の付着等による該放電針の汚れが発生しやすいことが経験的に知られている。従って、一次巻線16aに正極性および負極性のパルス列電圧を印加する周期(二次巻線16bに発生する交流高電圧の1周期)は、周波数換算で50Hz〜1KHzの範囲内の周期とすることが適している。その周期は、本実施形態では、例えば5ms(周波数換算で200Hz)である。
【0060】
なお、パルス発生回路17は、本実施形態では図3に示す回路構成としたが、これに限られるものではない。パルス発生回路17は、正極性および負極性のパルス列電圧を交互に周期的に出力できるものであれば、他の形態の回路構成であってもよい。パルス発生回路は、複数のスイッチ素子とこれをオン・オフさせる制御回路とを組合わせて構成できる。
【0061】
以上が、本実施形態の送風式イオン生成装置1の構成である。
【0062】
この送風式イオン生成装置1では、送風機5,5を作動させながら、交流高圧電源4を起動すると、放電電極部材12の各放電針11に高圧ケーブル15および長尺導体部材10を介して交流高電圧が印加される。このとき、各放電針11の先端部と接地された各対向電極部材13との間に形成される電界によって各放電針11の先端部近傍でコロナ放電が発生する。そして、そのコロナ放電によって、各放電針11の近傍の空気がイオン化され、正負の空気イオンが交互に生成されると共に、その空気イオンが、空気吹出し口7から吹出す空気流によって、該空気吹出し口7からその正面前方に向かって移送される。なお、空気吹出し口7の正面前方に移送される空気イオンは、例えば空気吹出し口7の正面前方に配置される帯電物(図示省略)に供給され、該帯電物の除電が行なわれる。
【0063】
この場合、筐体2の内部で空気導入口6,6から空気吹出し口7に流れる空気は、交流高圧電源4によって妨げられることがないので、空気吹出し口7の各所から均一的に該空気吹出し口7の正面前方に向かって空気流が送出される。ひいては、生成された空気イオンを効率よく均一的に空気吹出し口7の正面前方に移送することができると共に、その移送を遠方まで行なうことができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図5および図6を参照して説明する。図5は本実施形態の送風式イオン生成装置の外観斜視図、図6は図5のVI−VI線断面図である。なお、本実施形態の送風式イオン生成装置は、第1実施形態のものと一部の構成のみが相違するものであるので、その相違点を中心に説明する。そして、第1実施形態と同一の構成要素については第1実施形態と同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
図5および図6に示すように、本実施形態の送風式イオン生成装置31は、直方体状の筐体2の前面パネル2aの外面に、空気吹出し口7の外周を囲むようにして整流用枠体32が前面パネル2aの前方に向かって突設されている。この整流用枠体32は、絶縁物であり、空気吹出し口7の上側および下側で該空気吹出し口7の長手方向に延在する一対の横板32a,32aと、空気吹出し口7の長手方向の両端部で横板32a,32aに対してほぼ垂直な姿勢で設けられた一対の縦板32b,32bとを一体に結合して構成されている。この場合、筐体2の前後方向での横板32a,32aの長さ(前面パネル2aからの突出量)は、筐体2の前後方向での縦板32b,32bの長さ(前面パネル2aからの突出量)よりも若干短いものとなっている。なお、整流用枠体32は、空気吹出し口7から吹出す空気を該空気吹出し口7の正面前方に向かって案内する機能を有する。
【0065】
また、筐体2の内部には、図6に示すように、前記第1実施形態の整流板8と同様の機能を担う整流板33が送風機5,5と前面パネル2aとの間で設けられている。この整流板33は、本実施形態では、その全体が傾斜している。より詳しくは、整流板33は、前面パネル2aの内面のうちの空気吹出し口7の下端付近の箇所から筐体2の底板のうちの送風機5,5寄りの箇所まで送風機5,5に徐々に接近していくようにして傾斜し、筐体2の長手方向の両側壁間で該長手方向に延在している。そして、この整流板33によって、筐体2の内部空間が、整流板33の上方または斜め上方の空間である第1の空間34aと、整流板33の下方または斜め下方の空間である第2の空間34bとに画成され、第1の空間34aにおいて、空気導入口6から導入される空気を整流板33で案内しつつ、空気吹出し口7に向かって流すようにしている。また、第2の空間34bには、第1実施形態のものと同一の交流高圧電源4が前面パネル2a寄りの位置で、筐体2の底板上に設置されている。この場合、交流高圧電源4は、小型なものであるので、第2の空間34bが比較的狭くても支障なく、該第2の空間34bに交流高圧電源4を設置することができる。
【0066】
また、本実施形態では、前記整流用枠体32の内側(筐体2の外部)で、空気吹出し口7に臨むようにして、コロナ放電発生用電極部材35が配置されている。
【0067】
このコロナ放電発生用電極部材35は、長尺導体部材10と複数の放電針11とを備える放電電極部材12と、一対の棒状の対向電極部材36,36とから構成される。この場合、放電電極部材12の構造は、第1実施形態と同じである。ただし、本実施形態では、放電電極部材12の長尺導体部材10は、整流用枠体32の内側において、空気吹出し口7の長手方向に延在するように配置されている。そして、該長尺導体部材10は、その両端部が整流用枠体32の縦板32b,32bに挿着され、該縦板32b,32bに支持されている。また、各放電針11は、長尺導体部材10から、前方に向かって(空気吹出し口7と反対側に向かって)突設され、長尺導体部材10の長手方向に1列に並列されている。また、本実施形態では、長尺導体部材10が筐体2などに接地されている。
【0068】
一方、本実施形態における各対向電極部材36は、第1実施形態のものと若干相違している。さらに詳細には、各対向電極部材36は、金属製の線状もしくは棒状の細長導体36aの外周を、該細長導体36aのほぼ全長にわたって管状の絶縁物36bで被覆して構成したものである。これらの対向電極部材36,36は、図6に示す如く、放電針11の列の両側(図5および図6では上側および下側)で、各放電針11の先端に近接し、且つ、空気吹出し口7の長手方向に延在するようにして整流用枠体32の内側に配置されている。この場合、対向電極部材36,36のうちの上側の対向電極部材36は、整流用枠体32の上側の横板32aの先端に対向するように配置され、下側の対向電極部材36は、整流用枠体32の下側の横板32aの先端に対向するように配置されている。そして、これらの対向電極部材36,36は、その両端部が整流用枠体32の縦板32b,32bに挿着されて、該縦板32b,32bに支持されている。さらに、本実施形態では、対向電極部材36,36は、コロナ放電発生用電極部材35の高電圧印加部とされ、筐体2内に配線される高圧ケーブル15を介して交流高圧電源4の巻線トランス16の二次巻線16b(図5および図6では図示省略)に接続されている。
【0069】
以上説明した以外の構成は前記第1実施形態と同じである。
【0070】
ここで、本実施形態におけるコロナ放電発生用電極部材35の構成に関して補足しておく。本実施形態では、放電電極部材12を接地し、対向電極部材36,36に交流高圧電源4から交流高電圧を印加する。このため、仮に、コロナ放電発生用電極部材35を第1実施形態と同様に筐体2内に収容した場合には、対向電極部材36,36に交流高電圧を印加した時に、各対向電極部材36,36と各放電針11との間だけでなく、各対向電極部材36,36と、導体である筐体2の、該対向電極部材36,36に近接した部分との間でも電界が形成されるようになり、各放電針11への電界の集中が弱まる。ひいては、コロナ放電が円滑に発生しなくなる恐れがある。
【0071】
そこで、本実施形態では、筐体2の外部に絶縁物からなる整流用枠体32を設け、この整流用枠体32の内側にコロナ放電発生用電極部材35を配置するようにした。そして、この場合、高電圧印加部としての対向電極部材36,36が筐体2の外部に配置されることから、各対向電極部材36,36に異物が接触したときに短絡電流が流れるのを防止するために、各対向電極部材36の外周面を絶縁物36bで形成するようにした。
【0072】
かかる本実施形態の送風式イオン生成装置31では、交流高圧電源4から対向電極部材36,36に高圧ケーブル15を介して交流高電圧が印加される。このとき、第1実施形態と同様に、コロナ放電の発生および空気イオンの生成が行なわれ、生成された空気イオンが、送風機5,5の作動によって空気吹出し口7から吹出す空気流により、該空気吹出し口7からその正面前方に向かって移送される。
【0073】
この場合、第1実施形態と同様に、筐体2の内部で空気導入口6,6から空気吹出し口7に流れる空気は、交流高圧電源4によって妨げられることがないので、空気吹出し口7の各所から均一的に該空気吹出し口7の正面前方に向かって空気流が送出される。
【0074】
なお、本実施形態のように対向電極部材の外周面を絶縁物で形成した場合には、その絶縁物の厚みなどの調整によって、イオンバランス(コロナ放電により生成される正負の空気インの量の割合)を調整することもできる。このことは、前記第1実施形態の送風式イオン生成装置1における各対向電極部材13の外周を本実施形態の如く絶縁物で被覆するようにしても同様である。
【0075】
また、本実施形態の構造の送風式イオン生成装置31において、第1実施形態と同様に、各対向電極部材36を接地すると共に、放電電極部12に交流高電圧を印加するようにしても、コロナ放電の発生および空気イオンの生成を適切に行なう上では支障が無い。ただし、コロナ放電発生用電極部材35を本実施形態の如く筐体2の外部に配置する場合には、コロナ放電発生電極部材35の高電圧印加部に対する異物の接触を考慮すると、本実施形態で説明した如く、放電電極部12を接地すると共に、外周面を絶縁物36bで形成した対向電極部材36,36に交流高電圧を印加するようにすることが望ましい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図7を参照して説明する。図7は本実施形態における交流高圧電源の構造を模式的に示す図である。なお、前記第1実施形態または第2実施形態と同一の構成要素については、第1実施形態または第2実施形態と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0076】
本実施形態は、交流高圧電源の構造のみが、第1実施形態または第2実施形態と相違するものである。図7に示すように、本実施形態における交流高圧電源40は、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42から構成された巻線トランス43と、前記したパルス発生回路17と、イオンバランス制御回路44とを備え、これらの低圧段巻線トランス41、高圧段巻線トランス42、パルス発生回路17、イオンバランス制御回路44を1列に並べて構成されている。
【0077】
この場合、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42は、それぞれ本発明における第1の巻線トランス、第2の巻線トランスに相当するものである。そして、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42のそれぞれの一次巻線41a,42aがパルス発生回路17の前記出力部17a,17bの間に並列に接続されている。さらに、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42のそれぞれの二次巻線41b,42bが直列に接続され、その直列回路における低圧段巻線トランス41の二次巻線41b側の一端が接地されると共に、高圧段巻線トランス42の二次巻線41b側の他端に前記高圧ケーブル15が接続される。また、イオンバランス制御回路44はマイクロコンピュータなどにより構成されるものであり、パルス発生回路17の前記スイッチング制御回路25に接続されている。そして、該イオンバランス制御回路44は、スイッチング制御回路25を介して、前記スイッチ素子回路24のスイッチ素子19,21のそれぞれのオン・オフ波形のパターンを適宜、調整可能とされている。
【0078】
以上説明した交流高圧電源40以外の構成は、第1実施形態または第2実施形態の送風式イオン生成装置1または31と同じである。
【0079】
上記のような構成の交流高圧電源40では、巻線トランス43を低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42により構成するので、前記交流高圧電源4と同等の大きさの交流高電圧を生成する上で、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42のそれぞれの巻き数、ひいては大きさを前記交流高圧電源4の巻線トランス16よりも小さくすることができる。そのため、交流高圧電源40のサイズをより細長なものとすることができ、前記第2の空間9bまたは34bへの収容が容易になる。
【0080】
また、巻線トランス43の二次側に生成される高電圧(低圧段巻線トランス41の二次側の出力電圧と高圧段巻線トランス42の二次側の出力電圧との和の電圧)の波形や波高値は、前記した巻線トランス16と同様に、スイッチ素子19,21のオン・オフ波形のパターンに応じたものとなるので、そのオン・オフ波形のパターンをイオンバランス制御回路44により調整することによって、送風式イオン生成装置のイオンバランスを適宜調整することができる。
【0081】
なお、本実施形態の交流高圧電源40では、イオンバランス制御回路44を備えたが、これを省略してもよい。また、前記第1実施形態または第2実施形態における交流高圧電源4にイオンバランス制御回路44を付加するようにしてもよい。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図8を参照して説明する。図8は、本実施形態における放電電極部材の構造を示す断面図である。なお、前記第1実施形態と同一の構成要素については、第1実施形態と同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施形態は、放電電極部材の一部の構造のみが、第1実施形態と相違するものである。図8に示すように、本実施形態における放電電極部材50では、前記長尺導体部材10の外周面が絶縁物51により被覆され、その絶縁物51の外周に、金属製の短尺な集電環52が挿着されている。そして、この集電環52に導通された前記放電針11が該集電環52の外周面から該集電環52の径方向に突設されている。さらに、集電環52の外周が、放電針11を突出させた状態で絶縁物53により被覆されている。なお、放電針11と集電環52との組は、複数組備えられ、長尺導体部材10に沿って1列に並べられている。
【0083】
以上説明した放電電極部材50以外の構成は、前記第1実施形態と同じである。
【0084】
上記のように構成された放電電極部材50では、集電環52と長尺導体部材10との間の絶縁物51は、容量性部材として機能する。従って、各放電針11は、長尺導体部材10に容量を介して接続されている(容量結合されている)こととなる。このため、交流高電圧が印加される各放電針11に異物が接触しても短絡電流が流れるのを抑制することができる。
【0085】
なお、放電電極部材50を構成する長尺導体部材10と各放電針11とをコンデンサ素子を介して接続してもよい。また、各放電針11に異物が接触したときに短絡電流が流れるのを抑制する上では、放電電極部材50を構成する長尺導体部材10と各放電針11とを抵抗を介して接続するようにしてもよい。この場合、抵抗素子を用いてもよいが、放電電極部材50を図8に示すような構造とした場合には、上記絶縁物51の代わりに、例えば電気抵抗が1MΩ程度の静電気拡散性材料からなる部材を用いるようにすればよい。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を図9を参照して説明する。図9は、本実施形態における放電電極部材の平面図である。
【0086】
本実施形態は、前記第1実施形態または第2実施形態と放電電極部材の構造のみが相違するものである。図9に示すように、本実施形態における放電電極部材60は、金属製の細長い平板状の長尺導体部材61と、この長尺導体部材61の一側縁(長辺)から、複数の先鋭な放電部としての鋸歯状の突起部62を該長尺導体部材61と一体に形成したものである。これらの突起部62は、長尺導体部材61の長手方向に等間隔で1列に配列されている。このような構造の放電電極部材60は、金属製の原板の型抜きによって容易に作成できる。
【0087】
以上説明した放電電極部材60以外の構成は、前記第1実施形態または第2実施形態と同じである。
【0088】
なお、上記第4実施形態および第5実施形態における交流高圧電源としては、前記第1実施形態または第2実施形態における交流高圧電源4の代わりに、前記第3実施形態における交流高圧電源40を使用してもよい。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態を図10を参照して説明する。図10は、本実施形態における送風式イオン生成装置の要部の外観斜視図である。なお、前記第1〜第5実施形態のいずれかと同一の構成要素については、第1〜第5実施形態と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0089】
前記第1〜第5実施形態では、筐体2の背面パネル2bに空気導入口6,6を開設するようにしたが、筐体の他の壁面に空気導入口を開設するようにしてもよい。本実施形態は、その一例を示すものである。
【0090】
図10に示すように、本実施形態の送風式イオン生成装置71は、直方体状の筐体72を備え、その筐体72の第1の壁面としての底板72cに2つの方形状の空気導入口73,73が筐体72の長手方向に並んで開設されている。そして、各空気導入口73,73にそれぞれ臨んで、第1実施形態または第2実施形態と同じ構造の送風機5,5が底板72cに取り付けられている。なお、図示例では、送風機5,5は、筐体72の内部に収容されている。また、筐体72の底板72cに対して起立した第2の壁面としての前面パネル72aの上部に、前記第1実施形態または第2実施形態と同様に長尺な方形状の空気吹出し口74が開設されている。
【0091】
また、底板72c上には、送風機5,5と前面パネル72aとの間で、前記交流高圧電源4がその長手方向を筐体72の長手方向に向けて設置されている。この場合、交流高圧電源4は、底板72cの法線方向(図10の上下方向)で見たとき、底板72cのうちの、空気導入口73,73が開設された箇所以外の箇所にのみ対向している。
【0092】
なお、図示は省略するが、筐体72の内部には、例えば前記第1実施形態と同様に、前記コロナ放電発生用電極部材3が空気吹出し口74に臨んで設けられている。ただし、第2実施形態と同様に前面パネル72aの外側に整流用枠体32を設けて、該整流用枠体32の内側にコロナ放電発生用電極部材35を配置するようにしてもよい。また、放電電極部材は、前記第4実施形態または第5実施形態の構造のものであってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、筐体72の内部には、第1実施形態または第2実施形態のような整流板8,33は備えられていない。
【0094】
以上説明した以外の構成は、前記第1〜第5実施形態のいずれかと同じである。
【0095】
かかる本実施形態においては、送風機5,5の作動によって空気導入口73,73から筐体72の内部に導入される空気は、筐体72の天板72dに当たった後に、該天板72d沿いに空気吹出し口74に向かって流れ、該空気吹出し口74から吹出される。このとき、交流高圧電源4が、底板72のうち、空気導入口73,73の開設箇所以外の箇所にのみ対向するようにして、該底板72上に設置されているので、空気導入口73,73から空気吹出し口74に流れる空気が該交流高圧電源4に当たるのが回避される。従って、筐体72の内部に導入された空気を前記第1実施形態または第2実施形態と同様に、均一的に空気吹出し口74から吹出すことができる。
【0096】
なお、本実施形態では、交流高圧電源として、前記第1実施形態または第2実施形態における交流高圧電源4を使用したが、前記第3実施形態における交流高圧電源40を使用してもよい。
【0097】
また、本実施形態において、筐体72の内部に整流板を設けて、該筐体72の内部空間を、空気を流す空間と、それ以外の空間とに画成し、空気を流さない空間に交流高圧電源4または40を設置するようにしてもよい。
【0098】
また、前記第1〜第5実施形態において、空気導入口6,6を開設した壁面である背面パネル2bの法線方向(筐体2の前後方向)で見たときに、交流高圧電源4または40が、空気導入口6,6の開設箇所以外の箇所にのみ対向するようにして、背面パネル2b寄りの箇所に該交流高圧電源4または40を配置するようにしてもよい。例えば、送風機5,5と底板との間に隙間を設け、その隙間に、交流高圧電源4または40を配置するようにしてもよい。このようにした場合には、前記第6実施形態と同様に、空気導入口6,6から筐体2の内部に導入される空気が、交流高圧電源4または40に直接的に当たるのが回避される。従って、この場合には、筐体2の内部の整流板8,33を省略するようにしてもよい。
【0099】
また、前記第1〜第6実施形態では、筐体2または72を直方体状にしたが、正方体状の形状など、他の形状であってもよい。
[除電性能試験]
次に、本発明の実施形態の送風式イオン生成装置を使用して帯電物の除電を行なう場合の性能試験について図11を参照して説明する。図11は、その性能試験におけるシステム構成を示す図である。
【0100】
本願発明者は、例えば前記第1実施形態における放電電極部材12の代わりに、前記第4実施形態で説明した図8の放電電極部材50(放電針11を長尺導体部材10に絶縁物51を介して容量結合した構造の放電電極部材50)を使用した送風式イオン生成装置81を、実施例の送風式イオン生成装置として作成した。そして、図11に示す帯電プレートモニタ装置90を使用して、この送風式イオン生成装置81の除電性能を測定した。
【0101】
ここで、帯電プレートモニタ装置90は、その本体91に複数の絶縁物92を介して支持された150mm角の金属製プレート93を備える。該金属製プレート93は、除電すべき帯電物を模擬するものである。この場合、本体91には、直流高圧電源94、表面電位測定器95、およびタイマ96が内蔵されている。そして、直流高圧電源94から金属製プレート93に、所定値の直流電圧(+1000Vまたは−1000V)を印加することで、該金属製プレート93を正極性または負極性の電荷で帯電させることができるようになっている。また、該金属製プレート93の電位を表面電位測定器95により測定することができるようになっている。さらに、タイマ96によって、金属製プレート93の電位が、+1000Vから+100Vまで減衰する減衰時間、並びに−1000Vから−100Vまで減衰する減衰時間をそれぞれ計測することができるようになっている。
【0102】
このような帯電プレートモニタ装置90の金属製プレート93を、図11に示す如く、送風式イオン生成装置81の前面パネル2aの正面前方に、該前面パネル2aから所定距離L(例えば300mm)だけ離して配置した。
【0103】
そして、金属製プレート93を+1000Vに帯電させた後に、送風式イオン生成装置81の運転を行い(送風式イオン生成装置81から正負の空気イオンを含んだ空気を金属製プレート93に吹き当てる)、金属製プレート93の電位が+100Vまで減衰する減衰時間を測定した。同様に、金属製プレート93を−1000Vに帯電させた後に、送風式イオン生成装置81の運転を行い、金属製プレート93の電位が−100Vまで減衰する減衰時間を測定した。さらに、金属製プレート93の減衰後の定常状態(送風式イオン生成装置81の運転を十分に長い時間行なった状態)における金属製プレート93の電位としてのオフセット電圧を測定した。該オフセット電圧は、送風式イオン生成装置81のイオンバランスの指標となるものである。
【0104】
なお、実施例の送風式イオン生成装置81の交流高圧電源4が出力する交流高電圧のピーク値は9kV、周波数は200Hzである。また、金属製プレート93の位置での空気流の速度は、約1.5m/secである。
【0105】
また、実施例の送風式イオン生成装置81と比較するために、商用周波数(50Hz)の交流電圧を一次巻線に入力する巻線トランスにより構成される交流高圧電源を筐体内に内蔵する従来構造の送風式イオン生成装置を比較例の送風式イオン生成装置として作成し、この比較例の送風式イオン生成装置に対して、実施例の送風式イオン生成装置81と同様の試験を行なった。なお、この比較例の送風式イオン生成装置は、交流高圧電源の構造およびその配置構成のみが、実施例の送風式イオン生成装置81と相違するものである。この場合、比較例の送風式イオン生成装置では、交流高圧電源は、筐体の一側部寄りに配置されているものの、比較的大型であるため、その一部が、空気導入口と空気吹出し口との間に張り出している。なお、比較例の送風式イオン生成装置の交流高圧電源が出力する交流高電圧の実効値は7kV(ピーク値は9.8kV)、周波数は50Hzである。
【0106】
上記の試験結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
表1に見られるように、実施例と比較例とでは、オフセット電圧は、ほぼ同等であるが、減衰時間は、比較例よりも実施例の方が短くなっている。このことから、実施例の送風式イオン生成装置81では、比較例の送風式イオン生成装置に比べて、空気イオンが効率よく金属製プレート93に供給されることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施形態の送風式イオン生成装置の外観斜視図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】第1実施形態の送風式イオン生成装置に備えた交流高圧電源の回路構成図。
【図4】図3の交流高圧電源の動作説明図。
【図5】本発明の第2実施形態の送風式イオン生成装置の外観斜視図。
【図6】図5のVI−VI線断面図。
【図7】本発明の第3実施形態の送風式イオン生成装置に備えた交流高圧電源の構造を模式的に示す図。
【図8】本発明の第4実施形態の送風式イオン生成装置に備えた放電電極部材の断面図。
【図9】本発明の第5実施形態の送風式イオン生成装置に備えた放電電極部材の平面図。
【図10】本発明の第6実施形態の送風式イオン生成装置の要部の外観斜視図。
【図11】除電性能の試験におけるシステム構成を示す図。
【符号の説明】
【0110】
1,31,71,81…送風式イオン生成装置、2,72…筐体、2a,72a…前面パネル(第2の壁面)、2b…背面パネル(第1の壁面)、72c…底板(第1の壁面)、3,35…コロナ放電発生用電極部材、4,40…交流高圧電源、5…送風機、6,73…空気導入口、7,74…空気吹出し口、8,33…整流板、9a,34a…第1の空間、9b,34b…第2の空間、10,61…長尺導体部材、11,62…放電部、12,50,60…放電電極部材、13,36…対向電極部材、15…高圧ケーブル、16,43…巻線トランス、17…パルス発生回路、41…低圧段巻線トランス(第1の巻線トランス)、42…高圧段巻線トランス(第2の巻線トランス)。
【技術分野】
【0001】
本発明は空中でのコロナ放電によって空気イオンを生成し、その空気イオンを空気流により移送する送風式イオン生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の外壁面に空気導入口と空気吹出し口とを開設すると共に、放電針などを有するコロナ放電発生用電極部材を空気吹出し口に臨ませて配置し、コロナ放電発生用電極部材でのコロナ放電(空中コロナ放電)によって生成される空気イオンを、空気導入口からファンなどの送風機により筐体の内部に導入されて空気吹出し口から吹出される空気の流れによって、空気吹出し口の前方に移送するようにした送風式イオン生成装置が、従来から知られている。該送風式イオン生成装置は、一般に、帯電物の除電に利用され、正負の空気イオンを含む空気流を帯電物に吹き付けることによって、該帯電物の除電を行なう。
【0003】
この種の送風式イオン生成装置では、通常、コロナ放電発生用電極部材の電圧印加部に、交流高圧電源から交流高電圧を印加することによって、放電針などからコロナ放電を発生させ、正負の空気イオンを生成するようにしている。
【0004】
この場合、従来の送風式イオン生成装置では、交流高圧電源として、商用電源から商用周波数(50Hzまたは60Hz)の交流電圧が入力される一次巻線を有する巻線トランスが一般に使用されていた。
【0005】
ところが、このような商用周波数の巻線トランスにより構成される交流高圧電源は、大型で重いものとなることから、これを筐体内に収容した送風式イオン生成装置は、小型化や軽量化が困難となるという不都合がある。また、筐体内で、交流高圧電源の占める容積が比較的大きくなることから、空気導入口から筐体内に導入される空気が交流高圧電源によって阻害されて、空気吹出し口に向かって円滑に流れにくいものとなる。この結果、空気吹出し口から吹出される空気が不均一なものとなったり、乱流を生じてしまうことがあり、ひいては、生成された空気イオンを円滑に効率よく帯電物などに供給することができない場合が生じるという不都合があった。
【0006】
このため、近年では、交流高圧電源として、高周波トランスや圧電トランスを利用した小型且つ軽量な高周波電源が使用されるようになってきている(例えば特許文献1,2を参照)。
【0007】
しかるに、高周波電源は、一般に出力電流をあまり大きくすることができず、また、数十kHzの高周波を使用するために、浮遊容量などによる電流損失が大きくなりやすい。このため、生成される空気イオン量が少なくなりやすいと共に、放電針の汚れなどに起因してコロナ放電の発生不良が生じやすいという不都合があった。
【特許文献1】特開昭62−86699号公報
【特許文献2】特開2005−216539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、比較的低周波の交流高電圧を生成することができる小型且つ軽量な交流高圧電源を使用して、装置全体の小型化や軽量化を図ることができると共に、空気イオンを移送する空気流を円滑に発生させることができる送風式イオン生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の送風式イオン生成装置は、かかる目的を達成するために、交流高圧電源を内蔵した筐体と、該筐体の外壁面のうちの第1の壁面に開設された空気導入口および第2の壁面に開設された空気吹出し口と、前記空気吹出し口から吹出す空気を前記空気導入口から前記筐体の内部に導入するように該空気導入口に臨んで該筐体に取り付けられた装着された送風機と、前記空気吹出し口に臨んで前記筐体に取り付けられたコロナ放電発生用電極部材と、前記交流高圧電源を該コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に接続する高圧ケーブルとを備え、前記コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に、前記交流高圧電源から交流高電圧を印加することにより該コロナ放電発生用電極部材でコロナ放電を発生させ、このコロナ放電により生成される空気イオンを前記空気吹出し口から吹出す空気により移送する送風式イオン生成装置において、前記交流高圧電源は、前記コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に前記高圧ケーブルを介して二次巻線が接続された巻線トランスと、該巻線トランスの一次巻線に正極性のパルス列からなるパルス列電圧および負極性のパルス列からなるパルス列電圧を交互に周期的に印加するパルス発生回路とを並列させて構成され、前記空気導入口から空気吹出し口に向かう空気の流れを避ける位置で前記筐体内に配置されていることを特徴とする(第1発明)。
【0010】
この第1発明によれば、前記交流高圧電源は、前記巻線トランスとパルス発生回路とを並列させて構成される。
【0011】
ここで、この交流高圧電源では、巻線トランスの一次巻線にパルス発生回路から正極性および負極性のパルス列電圧(より具体的には、例えば複数の矩形波状のパルスの時系列)が交互に周期的に印加されるので、その両極性のパルス列電圧を交互に印加する周期に同期した交流高電圧が巻線トランスの二次巻線に発生する。すなわち、正極性のパルス列電圧の一次巻線への印加に応じて、正極性または負極性で増減する高電圧が二次巻線に発生し、負極性のパルス列電圧の一次巻線への印加に応じて、正極性のパルス列電圧の印加時と逆極性で増減するような高電圧が二次巻線に発生する。そして、このように互いに異なる極性の高電圧の発生が、両極性のパルス列電圧を交互に印加する周期で繰り返される。また、このとき、各極性のパルス列電圧の各パルスの一次巻線への断続的な印加が、その両極性のパルス列電圧を交互に印加する周期に比して高速で行なわれることとなる。このため、巻線トランスの一次巻線および二次巻線の巻き数比較的少なく、該巻線トランスが比較的小型なものであっても、両極性のパルス列電圧を交互に印加する周期の逆数、すなわち二次巻線に発生する交流高電圧の周波数が、比較的低周波(例えば1kHz以下の低周波)であっても、滑らかな波形で且つ所望の波高値を有する交流高電圧を二次巻線に発生させることができる。
【0012】
また、前記パルス列発生回路は、例えば半導体スイッチ素子を使用して、小型に構成できる。
【0013】
従って、第1発明における交流高圧電源は、比較的低周波の交流高電圧を小型且つ軽量なものとすることができる。そして、このように交流高圧電源が小型なものとなることから、筐体の容積が比較的小さいものであっても、該交流高圧電源を、空気導入口から空気吹出し口に向かう空気の流れを避ける位置で前記筐体内に配置することを容易に行なうことができる。さらに、このように、交流高圧電源を筐体内で配置することによって、空気導入口から空気吹出し口への空気の流れを円滑に行なうことができ、空気導入口から筐体内に導入される空気を効率よく均一的に空気吹出し口から吹出させることができる。
【0014】
よって、第1発明の送風式イオン生成装置によれば、比較的低周波の交流高電圧を生成することができる小型且つ軽量な交流高圧電源を使用して、装置全体の小型化や軽量化を図ることができると共に、空気イオンを移送する空気流を円滑に発生させることができる。すなわち、空気吹出し口から吹出される空気流を乱れの少ない空気流にすることができ、空気イオンを空気吹出し口から遠方まで効率よく移送することができる。
【0015】
かかる第1発明では、交流高圧電源は、例えば、次のような位置に配置される。
【0016】
すなわち、前記空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に導く整流板が前記筐体内に設けられると共に、該整流板によって、前記筐体内の空間が、前記空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に向かって流す第1の空間と、該第1の空間以外の空間である第2の空間とに画成され、前記交流高圧電源が前記第2の空間に配置される(第2発明)。
【0017】
この第2発明によれば、前記交流高圧電源が、前記整流板によって前記第1の空間と隔てられた前記第2の空間に配置され、前記第1の空間において、空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に向かって流すので、その空気流が交流高圧電源によって阻害されることがない。この場合、交流高圧電源を小型なものとすることができるので、第2の空間が狭くても、該第2の空間に交流高圧電源を支障なく配置することができる。
【0018】
あるいは、前記交流高圧電源は、前記第1の壁面の法線方向で見たとき、該第1の壁面のうち、前記空気導入口が開設された箇所以外の箇所にのみ対向して、該第1の壁面寄りの位置に配置されてもよい(第3発明)。
【0019】
この第3発明によれば、空気導入口から筐体内に導入される空気が交流高圧電源に直接的に当たることが回避されるので、その空気を円滑に空気吹出し口から吹出させることができる。この場合、交流高圧電源を小型なものとすることができるので、前記第1の壁面のうちの前記空気導入口が開設された箇所以外の箇所の面積が比較的小さくても、その箇所に対向させて交流高圧電源を配置することができる。
【0020】
また、前記第1〜第3発明では、前記巻線トランスは、単一の巻線トランスでもよいが、次のように構成してもよい。すなわち、前記巻線トランスは、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの一次巻線を並列接続すると共に、該第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの二次巻線を直列接続してなる2段の巻線トランスであり、前記交流高圧電源は、前記第1の巻線トランスと第2の巻線トランスと前記パルス発生回路とを1列に並べて構成される(第4発明)。
【0021】
この第4発明では、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの一次巻線に前記パルス発生回路から互いに同じパルス列電圧が印加される。そして、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの二次巻線に発生する交流電圧の和が前記交流高電圧として発生する。このとき、前記巻線トランスを単一構成のものとした場合よりも、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスは小型なものとなる。そして、この第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスと前記パルス発生回路とを1列に並べて交流高圧電源を構成することによって、該交流高圧電源をより細長いものとすることができるので、該交流高圧電源を筐体内の所望の箇所(空気導入口から空気吹出し口への空気流を避ける位置)に配置することが容易になる。
【0022】
前記第1〜第4発明においては、前記コロナ放電発生用電極部材は、例えば次のように構成される。すなわち、前記空気吹出し口は、長尺な吹出し口であり、前記コロナ放電発生用電極部材は、前記空気吹出し口の長手方向に延在して前記筐体の内部に配置された前記高電圧印加部としての長尺導体部材と、該長尺導体部材から前記空気吹出し口に向かって該長尺導体部材の長手方向に垂直な方向に突設されると共に該長尺導体部材に電気的に接続され、前記空気吹出し口の長手方向に並ぶように配列された複数の先鋭な放電部とを備える放電電極部材と、前記筐体の内部における前記放電部の列の両側で前記長尺導体部材と平行に延在して配設される共に接地された一対の棒状対向電極部材とから構成される(第5発明)。
【0023】
この第5発明では、前記各放電部には、交流高圧電源から高圧ケーブルおよび長尺導体部材を介して交流高電圧が印加される。そして、このとき、各放電部と接地された一対の棒状対向電極部材との間で形成される電界が各放電部の先端部に集中することで、各放電部の先端部でコロナ放電が発生し、正負の空気イオンが生成される。さらに、その空気イオンは、空気吹出し口から吹出す空気流によって移送される。また、この第5発明では、交流高電圧が印加される長尺導体部材および各放電部が筐体内に設けられているので、これらに異物が接触するのが防止される。
【0024】
あるいは、コロナ放電発生用電極部材を次のように構成してもよい。すなわち、前記空気吹出し口は、長尺な吹出し口であると共に、前記第2の壁面には、該筐体の外部側で前記空気吹出し口の周囲を囲むようにして絶縁物からなる整流用枠体が突設されており、前記コロナ放電発生用電極部材は、前記空気吹出し口の長手方向に延在して前記整流用枠体の内側に配置されると共に接地された長尺導体部材と、該長尺導体部材から前記空気吹出し口と反対側に向かって該長尺導体部材の長手方向に垂直な方向に突設されると共に該長尺導体部材に電気的に接続され、前記空気吹出し口の長手方向に並ぶように配列された複数の先鋭な放電部とを備える放電電極部材と、前記整流用枠体の内側における前記放電部の列の両側で前記長尺導体部材と平行に延在して配設されると共に外周面が絶縁物により被覆された前記高電圧印加部としての一対の棒状対向電極部材とから構成される(第6発明)。
【0025】
この第6発明によれば、前記各放電部は、長尺導体部材を介して接地されており、交流高圧電源から高圧ケーブルを介して前記一対の棒状対向電極部材に交流高電圧が印加される。そして、このとき、各放電部と交流高電圧が印加された一対の棒状対向電極部材との間で形成される電界が各放電部の先端部に集中することで、各放電部の先端部でコロナ放電が発生し、正負の空気イオンが生成される。さらに、その空気イオンは、空気吹出し口から吹出す空気流によって移送される。また、この第6発明では、筐体の外側で、コロナ放電発生用電極部材が配置されるものの、各放電部は、長尺導体部材を介して接地され、また、各棒状対向電極部材は、その外周面が絶縁物によって被覆されているので、これらの放電部や棒状対向電極部材に異物が接触したときに短絡電流が流れるのが防止される。さらに、コロナ放電発生用電極部材が内側に配置される前記整流用枠体が絶縁物であるので、筐体が金属製の導体であっても、交流高電圧が印加される棒状対向電極部材と筐体の間で電界が形成されるのを防止して、該棒状対向電極部材と各放電部との間に電界を集中させることができ、ひいては、コロナ放電を円滑に発生させることができる。
【0026】
なお、前記第5発明においては、前記各放電部は、前記長尺導体部材に直接的に導通していてもよいが、該長尺導体部材に容量を介して接続されていてもよい(第7発明)。あるいは、各放電部は、前記長尺導体部材に抵抗を介して接続されていてもよい(第8発明)。
【0027】
上記第7発明または第8発明によれば、交流高電圧が印加させる各放電部に異物が接触しても、大きな短絡電流が流れるのを抑制することができる。
【0028】
また、前記第5発明または第6発明では、前記放電電極部材は、次のように構成してもよい。すなわち、前記長尺導体部材を、平板状部材とし、前記複数の放電部を、該長尺導体部材の側縁のうちの該長尺導体部材の長手方向に延在する一側縁から該長尺導体部材と一体に突設された鋸歯状の複数の板状突起部とする(第9発明)。
【0029】
この第9発明によれば、放電電極部材を原板から型抜きによって容易に作成できる。
【0030】
補足すると、以上説明した第1〜第9発明では、筐体の前記第1の壁面および第2の壁面は、互いに対向する壁面でよいが、その一方の壁面に対して他方の壁面が起立するものとなるような2つの壁面であってもよい。
【0031】
また、前記交流高圧電源が生成する交流高電圧の周期は、周波数換算で、50Hz〜1kHzの範囲内の値であることが、交流高圧電源の巻線トランスの小型化や、放電部の汚れを防止する上で、好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の送風式イオン生成装置の外観斜視図、図2は図1のII−II線断面図、図3は該送風式イオン生成装置に備えた交流高圧電源の回路構成図、図4は該交流高圧電源の動作説明図である。
【0033】
図1および図2に示すように、本実施形態の送風式イオン生成装置1は、直方体状の筐体2を備える。筐体2は金属製の導体であり、図示しない接地線を介して筐体2の外部の適所に接地される。そして、この筐体2内に、コロナ放電発生用電極部材3、交流高圧電源4、2つの送風機5,5が収容されている。
【0034】
筐体2の外壁面のうちの互いに対向する壁面である前面パネル2aおよび背面パネル2bは、それぞれ本発明における第2の壁面、第1の壁面に相当する。そして、第1の壁面としての背面パネル2bには、方形状の2つの空気導入口6,6が、筐体2の長手方向に並んで開設されている。また、第2の壁面としての前面パネル2aの上部には、筐体2の長手方向に延在する長尺な方形状の空気吹出し口7が開設されている。空気吹出し口7は、筐体2の前後方向で、該筐体2の内部空間を介して各空気導入口6に直線的に連通している。
【0035】
送風機5,5は、それぞれ、筐体2の外部の空気を空気導入口6,6から筐体2の内部に導入し、その導入した空気を筐体2の空気吹出し口7から吹出させるものである。各送風機5は、図2に示す如く、その外枠5a内に内蔵された電動ファン5bを備える。そして、各送風機5は、その電動ファン5bを、各送風機5毎に各別の空気導入口6に臨ませる(対面させる)ようにして筐体2の内部に配置されると共に、その外枠5aが筐体2の背面パネル2bなどに図示しない取り付け部材を介して取り付けられている。
【0036】
これにより、各送風機5は、その電動ファン5bの回転動作によって、該電動ファン5bが対面する空気導入口6から筐体2の外部の空気を吸引し、その吸引した空気を筐体2の前面パネル2aに向かって送り出す。
【0037】
なお、本実施形態では、送風機5および空気導入口6の組を2組備えるようにしたが、筐体2の前面パネル2aの空気吹出し口7の長手方向の長さがより短い場合には、送風機5および空気導入口6の組は一組でもよい。また、空気吹出し口7の長手方向の長さがより長い場合には、送風機5および空気導入口6の組を3組以上備えるようにしてもよい。さらに、本実施形態では、送風機5を筐体2の内部に配置したが、筐体2の外部で背面パネル2bの外面側に配置するようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、筐体2の内部には、図2に示すように、空気導入口6,6から送風機5,5によって筐体2の内部に導入される空気を前記空気吹出し口7に向かって案内する整流板8が送風機5,5と、前面パネル2aとの間で設けられている。この整流板8は、前面パネル2aの内面のうちの空気吹出し口7の下端付近の箇所から背面パネル2b側に向かって筐体2の底板および天板とほぼ平行な平坦部8aと、この平坦部8aの背面パネル2b側の側縁から筐体2の底板のうちの送風機5,5寄りの箇所まで送風機5,5に徐々に接近していくようにして傾斜した傾斜部8bとを備え、筐体2の長手方向の両側壁間で該長手方向に延在している。この整流板8によって、筐体2の内部空間は、整流板8の上方または斜め上方の空間である第1の空間9aと、整流板8の下方または斜め下方の空間である第2の空間9bとに画成されている。
【0039】
ここで、第1の空間9aは、空気吹出し口7および空気導入口6,6に連通する空間であるので、各送風機5の電動ファン5bの回転動作によって各空気導入口6から筐体2内に導入される空気は、第1の空間9aにおいて、空気吹出し口7に向かって流れるようになっている。このとき、空気導入口6,6の上部から第1の空間9aに導入される空気は、ほぼ直接的に空気吹出し口7に向かって流れる。また、空気導入口6,6の下部から第1の空間9aに導入される空気が整流板8の傾斜部8bに案内されて、空気吹出し口7に向かって流れる。このため、空気導入口6,6から導入される空気のほぼ全体が、円滑に空気吹出し口7に流れ、該空気吹出し口7から前方に吹出されるようになっている。また、空気導入口6,6から導入される空気は、第2の空間9bにはほとんど流れないようになっている。
【0040】
コロナ放電発生用電極部材3は、本実施形態では、金属製の棒状の長尺導体部材10と、該長尺導体部材10からその長手方向に垂直な方向に突設された複数の先鋭な放電部としての放電針11とを備える放電電極部材12と、一対の棒状の対向電極部材13,13とを備える。
【0041】
長尺導体部材10は、空気吹出し口7に対向し、且つ、該空気吹出し口7の長手方向に延在するようにして筐体2の内部の第1の空間9aに配置されている。この場合、筐体2の内部には、前面パネル2aのうちの空気吹出し口7の両側箇所から背面パネル2b側に向かって突設された一対の支持部材14,14(図1および図2では一方の支持部材14のみが図示されている)が設けられている。これらの支持部材14,14は絶縁物である。そして、長尺導体部材10は、その両端部が支持部材14,14に挿着されて、該支持部材14,14に支持されている。
【0042】
本実施形態では、この長尺導体部材10が本発明における高電圧印加部として機能するものである。そして、該長尺導体部材10は、図2に示すように、筐体2の内部に配線された高圧ケーブル15を介して、詳細を後述する交流高圧電源4に接続されている。
【0043】
複数の放電針11は、長尺導体部材10から、空気吹出し口7に向かって互いに同方向に(筐体2の前後方向に)突設されており、空気吹出し口7の長手方向に等間隔で1列に配列されている。これらの放電針11は金属製の導体である。なお、図示は省略するが、本実施形態では、各放電針11の長尺導体部材10側の基端部は、放電針11と一体に形成された環状部となっており、その環状部が長尺導体部材10に挿着されている。そして、その環状部と長尺導体部材10との接触によって、放電針11が長尺導体部材10に電気的に導通している。
【0044】
対向電極部材13,13は、いずれも金属製の導体であり、放電針11の列の両側(図1および図2では上側および下側)で、各放電針11の先端に近接し、且つ、空気吹出し口7の長手方向に(長尺導体部材10と平行に)延在するようにして筐体2の内部の第1の空間9aに配置されている。そして、これらの対向電極部材13,13は、その両端部が前記支持部材14,14に挿着されて、該支持部材14,14に支持されている。さらに、対向電極部材13,13は、図2に示すように、筐体2内で該筐体2などに接地されている。なお、各支持部材14は、絶縁物であるので、対向電極部材13,13と、長尺導体部材10および放電針11とは、電気的に絶縁されている。
【0045】
交流高圧電源4は、巻線トランス16と、この巻線トランス16の一次巻線16a(図3を参照)に正極性および負極性のパルス列電圧を交互に周期的に印加するパルス発生回路17とを1列に並列させて構成され、その列方向に長尺な細長い筐体4a内に収容されている。そして、この交流高圧電源4は、本実施形態では、図1および図2に示すように、その筐体4aの長手方向を空気吹出し口7の長手方向に向けた状態で筐体2の内部空間のうちの前記第2の空間9bにおいて筐体2の底板上の前面パネル2a寄りの箇所に設置されている。この場合、空気導入口6,6から空気吹出し口7に流れる空気は、第2の空間9bには流れないので、該第2の空間9bに配置された交流高圧電源4は、空気導入口6,6から空気吹出し口7に向かう空気の流れを阻害することがなく、その空気の流れを避ける位置に設けられていることとなる。
【0046】
ここで、交流高圧電源4のより具体的な回路構成例と、該交流高圧電源4の動作とを図3および図4を参照して説明する。
【0047】
図3に示すように、本実施形態では、パルス発生回路17は、2つの半導体スイッチ素子18,19を直列接続してなる第1の直列回路22と2つの半導体スイッチ素子20,21を直列接続してなる第2の直列回路23とを並列に接続して構成されたスイッチ素子回路24と、このスイッチ素子回路24の各半導体スイッチ素子18〜21(以下、これらを単にスイッチ素子18〜21という)のオン・オフ制御を行なうスイッチング制御回路25とから構成される。なお、図示例では、スイッチ素子18〜21は、いずれもMOSFETであるが、スイッチングトランジスタであってもよい。
【0048】
この場合、スイッチ素子回路24の両直列回路22,23の両端のうちの、スイッチ素子19,21側の一端が接地され、他端が電源電圧入力端とされている。そして、その電源電圧入力端に図示しない電池などの直流電源から直流電源電圧Vinが印加されるようになっている。さらに、各スイッチ素子18〜21のオン・オフを行なうために、各スイッチ素子18〜21の制御信号入力部(ゲート)にスイッチング制御回路25が接続されている。
【0049】
また、第1の直列回路22の両スイッチ素子18,19の間の箇所17aと、第2の直列回路23の両スイッチ素子20,21の間の箇所17bとが、パルス発生回路17の一対の出力部17a,17bとされ、この出力部17a,17bの間に巻線トランス16の一次巻線16aが接続されている。なお、巻線トランス16の二次巻線16bは、その一端が接地され、他端が前記高圧ケーブル15を介してコロナ放電発生用電極部材3の長尺導体部材10に接続される。
【0050】
スイッチング制御回路24は、マイクロコンピュータや制御信号生成回路により構成されるものである。このスイッチング制御回路25は、スイッチ素子回路24の第1の直列回路22の非接地側(電源電圧入力端側)のスイッチ素子18と接地側のスイッチ素子19と第2の直列回路23の非接地側のスイッチ素子20とをそれぞれオン、オフ、オフに制御しつつ、第2の直列回路23の接地側のスイッチ素子21を間欠的にオン・オフさせる制御処理(以下、第1オン・オフ制御処理という)と、第2の直列回路23の非接地側のスイッチ素子20と接地側のスイッチ素子21と第1の直列回路22の非接地側のスイッチ素子18とをそれぞれオン、オフ、オフに制御しつつ、第1の直列回路22の接地側のスイッチ素子19を間欠的にオン・オフさせる制御処理(以下、第2オン・オフ制御処理という)とを、周期的に交互に繰り返す。なお、第1オン・オフ制御処理では、スイッチ素子20をスイッチ素子21と逆相で間欠的にオン・オフさせる(スイッチ素子21のオン期間、オフ期間でそれぞれスイッチ素子20をオフ、オンに制御する)ようにしてもよい。同様に、第2オン・オフ制御処理では、スイッチ素子18をスイッチ素子19と逆相で間欠的にオン・オフさせるようにしてもよい。
【0051】
このとき、第1オン・オフ制御処理の実行期間では、スイッチ素子21のオン・オフ波形と同様の波形を有する正極性のパルス状の入力電圧が巻線トランス16の一次巻線16aに印加される。その入力電圧は、より詳しく言えば、スイッチ素子21のオン・オフ波形に同期した正極性のパルス列電圧(正極性の矩形波状パルス電圧の時系列)である。また、第2オン・オフ制御処理の実行期間では、スイッチ素子19のオン・オフ波形と同様の波形を有する負極性のパルス状の入力電圧が巻線トランス16の一次巻線16aに印加される。その入力電圧は、より詳しく言えば、スイッチ素子19のオン・オフ波形に同期した負極性のパルス列電圧(負極性の矩形波状パルス電圧の時系列)である。
【0052】
なお、ここでの説明では、入力電圧(パルス列電圧)の極性に関しては、便宜上、スイッチ素子回路24の前記出力部17a,17bのうち、出力部17aが出力部17bに対して正電位となるときの一次巻線16aの入力電圧を正極性とし、出力部17aが出力部17bに対して負電位となるときの一次巻線16aの入力電圧を負極性としている。ただし、一次巻線16aの入力電圧の極性は、上記と逆に定義してもよい。
【0053】
上記のように第1オン・オフ制御処理の実行期間で正極性のパルス列電圧を巻線トランス16の一次巻線16aに印加したとき、該巻線トランス16の二次巻線16bに、第1オン・オフ制御処理の実行期間でほぼ連続的に滑らかに増減するような波形を有する正極性(または負極性)の高電圧を発生させることができる。例えば、図4の上段に示すようにスイッチ素子21をオン・オフさせて、そのオン・オフ波形と同様の波形のパルス列電圧を巻線トランス16の一次巻線16aに印加すると、二次巻線16bには、図4の下段に示すような波形の高電圧(図示例では正極性の高電圧)が発生する。
【0054】
同様に、第2オン・オフ制御処理の実行期間で負極性のパルス列電圧を巻線トランス16の一次巻線16aに印加したとき、該巻線トランス16の二次巻線16bに、第2オン・オフ制御処理の実行期間でほぼ連続的に滑らかに増減するような波形をを有する負極性の(第1オン・オフ制御処理の実行期間と逆極性の)高電圧を発生させることができる。
【0055】
そこで、本実施形態の交流高圧電源4では、前記スイッチング制御回路25により第1オン・オフ制御処理と第2オン・オフ制御処理とを交互に周期的に実行することにより、巻線トランス16の二次巻線16bに交流高電圧を発生させるようにしている。
【0056】
補足すると、前記第1オン・オフ制御処理の実行期間で巻線トランス16の二次巻線16bに発生する高電圧の波形や波高値は、スイッチ素子21のオン・オフ波形のパターン(ひいては一次巻線16aに印加されるパルス列電圧における各パルス幅や、パルス間の間隔、デューティ、パルス数など)に応じたものとなる。同様に、前記第2オン・オフ制御処理の実行期間で巻線トランス16の二次巻線16bに発生する高電圧の波形や波高値は、スイッチ素子19のオン・オフ波形のパターンに応じたものとなる。そして、第1オン・オフ制御処理におけるスイッチ素子21のオン・オフ波形のパターンと、第2オン・オフ制御処理におけるスイッチ素子19のオン・オフ波形のパターンとは、それぞれの制御処理の実行期間で二次巻線16bに発生する高電圧の波形や波高値が所望の波形や波高値となるようにあらかじめ設定される。
【0057】
以上のように構成された本実施形態の交流高圧電源4では、巻線トランス16の一次巻線16aに、正極性および負極性のパルス列電圧を交互に周期的に印加することで、二次巻線16bに正極性および負極性の高電圧を交互に発生するものであるため、巻線トランス16が比較的小型なもの(巻線の巻き数が比較的少ないもの)であっても、二次巻線16bに数十から数百Hz程度の比較的低周波の交流高電圧を高効率で発生させることができる。また、パルス発生回路17は、集積回路化によって小型なものとすることができる。
【0058】
そこで、本実施形態では、小型な巻線トランス16およびパスル発生回路17を1列に並べて交流高圧電源4を構成することで、該交流高圧電源4を小型で細長いものとして、前記した如く筐体2内の第2の空間9bに収容するようにした。この場合、第2の空間9bは空気導入口6,6から空気吹出し口7に空気を流すための第1の空間9aに比して狭い空間となるものの、交流高圧電源4が小型であることから、該第2の空間9bに支障なく交流高圧電源4を収容できる。
【0059】
補足すると、巻線トランス16における各巻線16a,16bの1巻き当たりの起電力は入力電圧の周波数に比例するから、それらの巻き数を少なくして巻線トランス16の小型化を図る上では、一次巻線16aの入力電圧の周波数は、高い方が有利である。その周波数は、例えば商用周波数の50Hzよりも高いことが巻線トランス16の小型化の上で望ましい。一方、巻線トランス10の二次巻線16bから出力する交流高電圧の周波数が1kHzを超えるような高周波となると、この交流高電圧を印加する放電針への異物の付着等による該放電針の汚れが発生しやすいことが経験的に知られている。従って、一次巻線16aに正極性および負極性のパルス列電圧を印加する周期(二次巻線16bに発生する交流高電圧の1周期)は、周波数換算で50Hz〜1KHzの範囲内の周期とすることが適している。その周期は、本実施形態では、例えば5ms(周波数換算で200Hz)である。
【0060】
なお、パルス発生回路17は、本実施形態では図3に示す回路構成としたが、これに限られるものではない。パルス発生回路17は、正極性および負極性のパルス列電圧を交互に周期的に出力できるものであれば、他の形態の回路構成であってもよい。パルス発生回路は、複数のスイッチ素子とこれをオン・オフさせる制御回路とを組合わせて構成できる。
【0061】
以上が、本実施形態の送風式イオン生成装置1の構成である。
【0062】
この送風式イオン生成装置1では、送風機5,5を作動させながら、交流高圧電源4を起動すると、放電電極部材12の各放電針11に高圧ケーブル15および長尺導体部材10を介して交流高電圧が印加される。このとき、各放電針11の先端部と接地された各対向電極部材13との間に形成される電界によって各放電針11の先端部近傍でコロナ放電が発生する。そして、そのコロナ放電によって、各放電針11の近傍の空気がイオン化され、正負の空気イオンが交互に生成されると共に、その空気イオンが、空気吹出し口7から吹出す空気流によって、該空気吹出し口7からその正面前方に向かって移送される。なお、空気吹出し口7の正面前方に移送される空気イオンは、例えば空気吹出し口7の正面前方に配置される帯電物(図示省略)に供給され、該帯電物の除電が行なわれる。
【0063】
この場合、筐体2の内部で空気導入口6,6から空気吹出し口7に流れる空気は、交流高圧電源4によって妨げられることがないので、空気吹出し口7の各所から均一的に該空気吹出し口7の正面前方に向かって空気流が送出される。ひいては、生成された空気イオンを効率よく均一的に空気吹出し口7の正面前方に移送することができると共に、その移送を遠方まで行なうことができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図5および図6を参照して説明する。図5は本実施形態の送風式イオン生成装置の外観斜視図、図6は図5のVI−VI線断面図である。なお、本実施形態の送風式イオン生成装置は、第1実施形態のものと一部の構成のみが相違するものであるので、その相違点を中心に説明する。そして、第1実施形態と同一の構成要素については第1実施形態と同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
図5および図6に示すように、本実施形態の送風式イオン生成装置31は、直方体状の筐体2の前面パネル2aの外面に、空気吹出し口7の外周を囲むようにして整流用枠体32が前面パネル2aの前方に向かって突設されている。この整流用枠体32は、絶縁物であり、空気吹出し口7の上側および下側で該空気吹出し口7の長手方向に延在する一対の横板32a,32aと、空気吹出し口7の長手方向の両端部で横板32a,32aに対してほぼ垂直な姿勢で設けられた一対の縦板32b,32bとを一体に結合して構成されている。この場合、筐体2の前後方向での横板32a,32aの長さ(前面パネル2aからの突出量)は、筐体2の前後方向での縦板32b,32bの長さ(前面パネル2aからの突出量)よりも若干短いものとなっている。なお、整流用枠体32は、空気吹出し口7から吹出す空気を該空気吹出し口7の正面前方に向かって案内する機能を有する。
【0065】
また、筐体2の内部には、図6に示すように、前記第1実施形態の整流板8と同様の機能を担う整流板33が送風機5,5と前面パネル2aとの間で設けられている。この整流板33は、本実施形態では、その全体が傾斜している。より詳しくは、整流板33は、前面パネル2aの内面のうちの空気吹出し口7の下端付近の箇所から筐体2の底板のうちの送風機5,5寄りの箇所まで送風機5,5に徐々に接近していくようにして傾斜し、筐体2の長手方向の両側壁間で該長手方向に延在している。そして、この整流板33によって、筐体2の内部空間が、整流板33の上方または斜め上方の空間である第1の空間34aと、整流板33の下方または斜め下方の空間である第2の空間34bとに画成され、第1の空間34aにおいて、空気導入口6から導入される空気を整流板33で案内しつつ、空気吹出し口7に向かって流すようにしている。また、第2の空間34bには、第1実施形態のものと同一の交流高圧電源4が前面パネル2a寄りの位置で、筐体2の底板上に設置されている。この場合、交流高圧電源4は、小型なものであるので、第2の空間34bが比較的狭くても支障なく、該第2の空間34bに交流高圧電源4を設置することができる。
【0066】
また、本実施形態では、前記整流用枠体32の内側(筐体2の外部)で、空気吹出し口7に臨むようにして、コロナ放電発生用電極部材35が配置されている。
【0067】
このコロナ放電発生用電極部材35は、長尺導体部材10と複数の放電針11とを備える放電電極部材12と、一対の棒状の対向電極部材36,36とから構成される。この場合、放電電極部材12の構造は、第1実施形態と同じである。ただし、本実施形態では、放電電極部材12の長尺導体部材10は、整流用枠体32の内側において、空気吹出し口7の長手方向に延在するように配置されている。そして、該長尺導体部材10は、その両端部が整流用枠体32の縦板32b,32bに挿着され、該縦板32b,32bに支持されている。また、各放電針11は、長尺導体部材10から、前方に向かって(空気吹出し口7と反対側に向かって)突設され、長尺導体部材10の長手方向に1列に並列されている。また、本実施形態では、長尺導体部材10が筐体2などに接地されている。
【0068】
一方、本実施形態における各対向電極部材36は、第1実施形態のものと若干相違している。さらに詳細には、各対向電極部材36は、金属製の線状もしくは棒状の細長導体36aの外周を、該細長導体36aのほぼ全長にわたって管状の絶縁物36bで被覆して構成したものである。これらの対向電極部材36,36は、図6に示す如く、放電針11の列の両側(図5および図6では上側および下側)で、各放電針11の先端に近接し、且つ、空気吹出し口7の長手方向に延在するようにして整流用枠体32の内側に配置されている。この場合、対向電極部材36,36のうちの上側の対向電極部材36は、整流用枠体32の上側の横板32aの先端に対向するように配置され、下側の対向電極部材36は、整流用枠体32の下側の横板32aの先端に対向するように配置されている。そして、これらの対向電極部材36,36は、その両端部が整流用枠体32の縦板32b,32bに挿着されて、該縦板32b,32bに支持されている。さらに、本実施形態では、対向電極部材36,36は、コロナ放電発生用電極部材35の高電圧印加部とされ、筐体2内に配線される高圧ケーブル15を介して交流高圧電源4の巻線トランス16の二次巻線16b(図5および図6では図示省略)に接続されている。
【0069】
以上説明した以外の構成は前記第1実施形態と同じである。
【0070】
ここで、本実施形態におけるコロナ放電発生用電極部材35の構成に関して補足しておく。本実施形態では、放電電極部材12を接地し、対向電極部材36,36に交流高圧電源4から交流高電圧を印加する。このため、仮に、コロナ放電発生用電極部材35を第1実施形態と同様に筐体2内に収容した場合には、対向電極部材36,36に交流高電圧を印加した時に、各対向電極部材36,36と各放電針11との間だけでなく、各対向電極部材36,36と、導体である筐体2の、該対向電極部材36,36に近接した部分との間でも電界が形成されるようになり、各放電針11への電界の集中が弱まる。ひいては、コロナ放電が円滑に発生しなくなる恐れがある。
【0071】
そこで、本実施形態では、筐体2の外部に絶縁物からなる整流用枠体32を設け、この整流用枠体32の内側にコロナ放電発生用電極部材35を配置するようにした。そして、この場合、高電圧印加部としての対向電極部材36,36が筐体2の外部に配置されることから、各対向電極部材36,36に異物が接触したときに短絡電流が流れるのを防止するために、各対向電極部材36の外周面を絶縁物36bで形成するようにした。
【0072】
かかる本実施形態の送風式イオン生成装置31では、交流高圧電源4から対向電極部材36,36に高圧ケーブル15を介して交流高電圧が印加される。このとき、第1実施形態と同様に、コロナ放電の発生および空気イオンの生成が行なわれ、生成された空気イオンが、送風機5,5の作動によって空気吹出し口7から吹出す空気流により、該空気吹出し口7からその正面前方に向かって移送される。
【0073】
この場合、第1実施形態と同様に、筐体2の内部で空気導入口6,6から空気吹出し口7に流れる空気は、交流高圧電源4によって妨げられることがないので、空気吹出し口7の各所から均一的に該空気吹出し口7の正面前方に向かって空気流が送出される。
【0074】
なお、本実施形態のように対向電極部材の外周面を絶縁物で形成した場合には、その絶縁物の厚みなどの調整によって、イオンバランス(コロナ放電により生成される正負の空気インの量の割合)を調整することもできる。このことは、前記第1実施形態の送風式イオン生成装置1における各対向電極部材13の外周を本実施形態の如く絶縁物で被覆するようにしても同様である。
【0075】
また、本実施形態の構造の送風式イオン生成装置31において、第1実施形態と同様に、各対向電極部材36を接地すると共に、放電電極部12に交流高電圧を印加するようにしても、コロナ放電の発生および空気イオンの生成を適切に行なう上では支障が無い。ただし、コロナ放電発生用電極部材35を本実施形態の如く筐体2の外部に配置する場合には、コロナ放電発生電極部材35の高電圧印加部に対する異物の接触を考慮すると、本実施形態で説明した如く、放電電極部12を接地すると共に、外周面を絶縁物36bで形成した対向電極部材36,36に交流高電圧を印加するようにすることが望ましい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図7を参照して説明する。図7は本実施形態における交流高圧電源の構造を模式的に示す図である。なお、前記第1実施形態または第2実施形態と同一の構成要素については、第1実施形態または第2実施形態と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0076】
本実施形態は、交流高圧電源の構造のみが、第1実施形態または第2実施形態と相違するものである。図7に示すように、本実施形態における交流高圧電源40は、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42から構成された巻線トランス43と、前記したパルス発生回路17と、イオンバランス制御回路44とを備え、これらの低圧段巻線トランス41、高圧段巻線トランス42、パルス発生回路17、イオンバランス制御回路44を1列に並べて構成されている。
【0077】
この場合、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42は、それぞれ本発明における第1の巻線トランス、第2の巻線トランスに相当するものである。そして、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42のそれぞれの一次巻線41a,42aがパルス発生回路17の前記出力部17a,17bの間に並列に接続されている。さらに、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42のそれぞれの二次巻線41b,42bが直列に接続され、その直列回路における低圧段巻線トランス41の二次巻線41b側の一端が接地されると共に、高圧段巻線トランス42の二次巻線41b側の他端に前記高圧ケーブル15が接続される。また、イオンバランス制御回路44はマイクロコンピュータなどにより構成されるものであり、パルス発生回路17の前記スイッチング制御回路25に接続されている。そして、該イオンバランス制御回路44は、スイッチング制御回路25を介して、前記スイッチ素子回路24のスイッチ素子19,21のそれぞれのオン・オフ波形のパターンを適宜、調整可能とされている。
【0078】
以上説明した交流高圧電源40以外の構成は、第1実施形態または第2実施形態の送風式イオン生成装置1または31と同じである。
【0079】
上記のような構成の交流高圧電源40では、巻線トランス43を低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42により構成するので、前記交流高圧電源4と同等の大きさの交流高電圧を生成する上で、低圧段巻線トランス41および高圧段巻線トランス42のそれぞれの巻き数、ひいては大きさを前記交流高圧電源4の巻線トランス16よりも小さくすることができる。そのため、交流高圧電源40のサイズをより細長なものとすることができ、前記第2の空間9bまたは34bへの収容が容易になる。
【0080】
また、巻線トランス43の二次側に生成される高電圧(低圧段巻線トランス41の二次側の出力電圧と高圧段巻線トランス42の二次側の出力電圧との和の電圧)の波形や波高値は、前記した巻線トランス16と同様に、スイッチ素子19,21のオン・オフ波形のパターンに応じたものとなるので、そのオン・オフ波形のパターンをイオンバランス制御回路44により調整することによって、送風式イオン生成装置のイオンバランスを適宜調整することができる。
【0081】
なお、本実施形態の交流高圧電源40では、イオンバランス制御回路44を備えたが、これを省略してもよい。また、前記第1実施形態または第2実施形態における交流高圧電源4にイオンバランス制御回路44を付加するようにしてもよい。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図8を参照して説明する。図8は、本実施形態における放電電極部材の構造を示す断面図である。なお、前記第1実施形態と同一の構成要素については、第1実施形態と同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施形態は、放電電極部材の一部の構造のみが、第1実施形態と相違するものである。図8に示すように、本実施形態における放電電極部材50では、前記長尺導体部材10の外周面が絶縁物51により被覆され、その絶縁物51の外周に、金属製の短尺な集電環52が挿着されている。そして、この集電環52に導通された前記放電針11が該集電環52の外周面から該集電環52の径方向に突設されている。さらに、集電環52の外周が、放電針11を突出させた状態で絶縁物53により被覆されている。なお、放電針11と集電環52との組は、複数組備えられ、長尺導体部材10に沿って1列に並べられている。
【0083】
以上説明した放電電極部材50以外の構成は、前記第1実施形態と同じである。
【0084】
上記のように構成された放電電極部材50では、集電環52と長尺導体部材10との間の絶縁物51は、容量性部材として機能する。従って、各放電針11は、長尺導体部材10に容量を介して接続されている(容量結合されている)こととなる。このため、交流高電圧が印加される各放電針11に異物が接触しても短絡電流が流れるのを抑制することができる。
【0085】
なお、放電電極部材50を構成する長尺導体部材10と各放電針11とをコンデンサ素子を介して接続してもよい。また、各放電針11に異物が接触したときに短絡電流が流れるのを抑制する上では、放電電極部材50を構成する長尺導体部材10と各放電針11とを抵抗を介して接続するようにしてもよい。この場合、抵抗素子を用いてもよいが、放電電極部材50を図8に示すような構造とした場合には、上記絶縁物51の代わりに、例えば電気抵抗が1MΩ程度の静電気拡散性材料からなる部材を用いるようにすればよい。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を図9を参照して説明する。図9は、本実施形態における放電電極部材の平面図である。
【0086】
本実施形態は、前記第1実施形態または第2実施形態と放電電極部材の構造のみが相違するものである。図9に示すように、本実施形態における放電電極部材60は、金属製の細長い平板状の長尺導体部材61と、この長尺導体部材61の一側縁(長辺)から、複数の先鋭な放電部としての鋸歯状の突起部62を該長尺導体部材61と一体に形成したものである。これらの突起部62は、長尺導体部材61の長手方向に等間隔で1列に配列されている。このような構造の放電電極部材60は、金属製の原板の型抜きによって容易に作成できる。
【0087】
以上説明した放電電極部材60以外の構成は、前記第1実施形態または第2実施形態と同じである。
【0088】
なお、上記第4実施形態および第5実施形態における交流高圧電源としては、前記第1実施形態または第2実施形態における交流高圧電源4の代わりに、前記第3実施形態における交流高圧電源40を使用してもよい。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態を図10を参照して説明する。図10は、本実施形態における送風式イオン生成装置の要部の外観斜視図である。なお、前記第1〜第5実施形態のいずれかと同一の構成要素については、第1〜第5実施形態と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0089】
前記第1〜第5実施形態では、筐体2の背面パネル2bに空気導入口6,6を開設するようにしたが、筐体の他の壁面に空気導入口を開設するようにしてもよい。本実施形態は、その一例を示すものである。
【0090】
図10に示すように、本実施形態の送風式イオン生成装置71は、直方体状の筐体72を備え、その筐体72の第1の壁面としての底板72cに2つの方形状の空気導入口73,73が筐体72の長手方向に並んで開設されている。そして、各空気導入口73,73にそれぞれ臨んで、第1実施形態または第2実施形態と同じ構造の送風機5,5が底板72cに取り付けられている。なお、図示例では、送風機5,5は、筐体72の内部に収容されている。また、筐体72の底板72cに対して起立した第2の壁面としての前面パネル72aの上部に、前記第1実施形態または第2実施形態と同様に長尺な方形状の空気吹出し口74が開設されている。
【0091】
また、底板72c上には、送風機5,5と前面パネル72aとの間で、前記交流高圧電源4がその長手方向を筐体72の長手方向に向けて設置されている。この場合、交流高圧電源4は、底板72cの法線方向(図10の上下方向)で見たとき、底板72cのうちの、空気導入口73,73が開設された箇所以外の箇所にのみ対向している。
【0092】
なお、図示は省略するが、筐体72の内部には、例えば前記第1実施形態と同様に、前記コロナ放電発生用電極部材3が空気吹出し口74に臨んで設けられている。ただし、第2実施形態と同様に前面パネル72aの外側に整流用枠体32を設けて、該整流用枠体32の内側にコロナ放電発生用電極部材35を配置するようにしてもよい。また、放電電極部材は、前記第4実施形態または第5実施形態の構造のものであってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、筐体72の内部には、第1実施形態または第2実施形態のような整流板8,33は備えられていない。
【0094】
以上説明した以外の構成は、前記第1〜第5実施形態のいずれかと同じである。
【0095】
かかる本実施形態においては、送風機5,5の作動によって空気導入口73,73から筐体72の内部に導入される空気は、筐体72の天板72dに当たった後に、該天板72d沿いに空気吹出し口74に向かって流れ、該空気吹出し口74から吹出される。このとき、交流高圧電源4が、底板72のうち、空気導入口73,73の開設箇所以外の箇所にのみ対向するようにして、該底板72上に設置されているので、空気導入口73,73から空気吹出し口74に流れる空気が該交流高圧電源4に当たるのが回避される。従って、筐体72の内部に導入された空気を前記第1実施形態または第2実施形態と同様に、均一的に空気吹出し口74から吹出すことができる。
【0096】
なお、本実施形態では、交流高圧電源として、前記第1実施形態または第2実施形態における交流高圧電源4を使用したが、前記第3実施形態における交流高圧電源40を使用してもよい。
【0097】
また、本実施形態において、筐体72の内部に整流板を設けて、該筐体72の内部空間を、空気を流す空間と、それ以外の空間とに画成し、空気を流さない空間に交流高圧電源4または40を設置するようにしてもよい。
【0098】
また、前記第1〜第5実施形態において、空気導入口6,6を開設した壁面である背面パネル2bの法線方向(筐体2の前後方向)で見たときに、交流高圧電源4または40が、空気導入口6,6の開設箇所以外の箇所にのみ対向するようにして、背面パネル2b寄りの箇所に該交流高圧電源4または40を配置するようにしてもよい。例えば、送風機5,5と底板との間に隙間を設け、その隙間に、交流高圧電源4または40を配置するようにしてもよい。このようにした場合には、前記第6実施形態と同様に、空気導入口6,6から筐体2の内部に導入される空気が、交流高圧電源4または40に直接的に当たるのが回避される。従って、この場合には、筐体2の内部の整流板8,33を省略するようにしてもよい。
【0099】
また、前記第1〜第6実施形態では、筐体2または72を直方体状にしたが、正方体状の形状など、他の形状であってもよい。
[除電性能試験]
次に、本発明の実施形態の送風式イオン生成装置を使用して帯電物の除電を行なう場合の性能試験について図11を参照して説明する。図11は、その性能試験におけるシステム構成を示す図である。
【0100】
本願発明者は、例えば前記第1実施形態における放電電極部材12の代わりに、前記第4実施形態で説明した図8の放電電極部材50(放電針11を長尺導体部材10に絶縁物51を介して容量結合した構造の放電電極部材50)を使用した送風式イオン生成装置81を、実施例の送風式イオン生成装置として作成した。そして、図11に示す帯電プレートモニタ装置90を使用して、この送風式イオン生成装置81の除電性能を測定した。
【0101】
ここで、帯電プレートモニタ装置90は、その本体91に複数の絶縁物92を介して支持された150mm角の金属製プレート93を備える。該金属製プレート93は、除電すべき帯電物を模擬するものである。この場合、本体91には、直流高圧電源94、表面電位測定器95、およびタイマ96が内蔵されている。そして、直流高圧電源94から金属製プレート93に、所定値の直流電圧(+1000Vまたは−1000V)を印加することで、該金属製プレート93を正極性または負極性の電荷で帯電させることができるようになっている。また、該金属製プレート93の電位を表面電位測定器95により測定することができるようになっている。さらに、タイマ96によって、金属製プレート93の電位が、+1000Vから+100Vまで減衰する減衰時間、並びに−1000Vから−100Vまで減衰する減衰時間をそれぞれ計測することができるようになっている。
【0102】
このような帯電プレートモニタ装置90の金属製プレート93を、図11に示す如く、送風式イオン生成装置81の前面パネル2aの正面前方に、該前面パネル2aから所定距離L(例えば300mm)だけ離して配置した。
【0103】
そして、金属製プレート93を+1000Vに帯電させた後に、送風式イオン生成装置81の運転を行い(送風式イオン生成装置81から正負の空気イオンを含んだ空気を金属製プレート93に吹き当てる)、金属製プレート93の電位が+100Vまで減衰する減衰時間を測定した。同様に、金属製プレート93を−1000Vに帯電させた後に、送風式イオン生成装置81の運転を行い、金属製プレート93の電位が−100Vまで減衰する減衰時間を測定した。さらに、金属製プレート93の減衰後の定常状態(送風式イオン生成装置81の運転を十分に長い時間行なった状態)における金属製プレート93の電位としてのオフセット電圧を測定した。該オフセット電圧は、送風式イオン生成装置81のイオンバランスの指標となるものである。
【0104】
なお、実施例の送風式イオン生成装置81の交流高圧電源4が出力する交流高電圧のピーク値は9kV、周波数は200Hzである。また、金属製プレート93の位置での空気流の速度は、約1.5m/secである。
【0105】
また、実施例の送風式イオン生成装置81と比較するために、商用周波数(50Hz)の交流電圧を一次巻線に入力する巻線トランスにより構成される交流高圧電源を筐体内に内蔵する従来構造の送風式イオン生成装置を比較例の送風式イオン生成装置として作成し、この比較例の送風式イオン生成装置に対して、実施例の送風式イオン生成装置81と同様の試験を行なった。なお、この比較例の送風式イオン生成装置は、交流高圧電源の構造およびその配置構成のみが、実施例の送風式イオン生成装置81と相違するものである。この場合、比較例の送風式イオン生成装置では、交流高圧電源は、筐体の一側部寄りに配置されているものの、比較的大型であるため、その一部が、空気導入口と空気吹出し口との間に張り出している。なお、比較例の送風式イオン生成装置の交流高圧電源が出力する交流高電圧の実効値は7kV(ピーク値は9.8kV)、周波数は50Hzである。
【0106】
上記の試験結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
表1に見られるように、実施例と比較例とでは、オフセット電圧は、ほぼ同等であるが、減衰時間は、比較例よりも実施例の方が短くなっている。このことから、実施例の送風式イオン生成装置81では、比較例の送風式イオン生成装置に比べて、空気イオンが効率よく金属製プレート93に供給されることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施形態の送風式イオン生成装置の外観斜視図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】第1実施形態の送風式イオン生成装置に備えた交流高圧電源の回路構成図。
【図4】図3の交流高圧電源の動作説明図。
【図5】本発明の第2実施形態の送風式イオン生成装置の外観斜視図。
【図6】図5のVI−VI線断面図。
【図7】本発明の第3実施形態の送風式イオン生成装置に備えた交流高圧電源の構造を模式的に示す図。
【図8】本発明の第4実施形態の送風式イオン生成装置に備えた放電電極部材の断面図。
【図9】本発明の第5実施形態の送風式イオン生成装置に備えた放電電極部材の平面図。
【図10】本発明の第6実施形態の送風式イオン生成装置の要部の外観斜視図。
【図11】除電性能の試験におけるシステム構成を示す図。
【符号の説明】
【0110】
1,31,71,81…送風式イオン生成装置、2,72…筐体、2a,72a…前面パネル(第2の壁面)、2b…背面パネル(第1の壁面)、72c…底板(第1の壁面)、3,35…コロナ放電発生用電極部材、4,40…交流高圧電源、5…送風機、6,73…空気導入口、7,74…空気吹出し口、8,33…整流板、9a,34a…第1の空間、9b,34b…第2の空間、10,61…長尺導体部材、11,62…放電部、12,50,60…放電電極部材、13,36…対向電極部材、15…高圧ケーブル、16,43…巻線トランス、17…パルス発生回路、41…低圧段巻線トランス(第1の巻線トランス)、42…高圧段巻線トランス(第2の巻線トランス)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流高圧電源を内蔵した筐体と、該筐体の外壁面のうちの第1の壁面に開設された空気導入口および第2の壁面に開設された空気吹出し口と、前記空気吹出し口から吹出す空気を前記空気導入口から前記筐体の内部に導入するように該空気導入口に臨んで該筐体に取り付けられた装着された送風機と、前記空気吹出し口に臨んで前記筐体に取り付けられたコロナ放電発生用電極部材と、前記交流高圧電源を該コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に接続する高圧ケーブルとを備え、前記コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に、前記交流高圧電源から交流高電圧を印加することにより該コロナ放電発生用電極部材でコロナ放電を発生させ、このコロナ放電により生成される空気イオンを前記空気吹出し口から吹出す空気により移送する送風式イオン生成装置において、
前記交流高圧電源は、前記コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に前記高圧ケーブルを介して二次巻線が接続された巻線トランスと、該巻線トランスの一次巻線に正極性のパルス列からなるパルス列電圧および負極性のパルス列からなるパルス列電圧を交互に周期的に印加するパルス発生回路とを並列させて構成され、前記空気導入口から空気吹出し口に向かう空気の流れを避ける位置で前記筐体内に配置されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の送風式イオン生成装置において、前記空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に導く整流板が前記筐体内に設けられると共に、該整流板によって、前記筐体内の空間が、前記空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に向かって流す第1の空間と、該第1の空間以外の空間である第2の空間とに画成され、前記交流高圧電源が前記第2の空間に配置されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項3】
請求項1記載の送風式イオン生成装置において、前記交流高圧電源は、前記第1の壁面の法線方向で見たとき、該第1の壁面のうち、前記空気導入口が開設された箇所以外の箇所にのみ対向して、該第1の壁面寄りの位置に配置されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の送風式イオン生成装置において、前記巻線トランスは、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの一次巻線を並列接続すると共に、該第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの二次巻線を直列接続してなる2段の巻線トランスであり、前記交流高圧電源は、前記第1の巻線トランスと第2の巻線トランスと前記パルス発生回路とを1列に並べて構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の送風式イオン生成装置において、
前記空気吹出し口は、長尺な吹出し口であり、前記コロナ放電発生用電極部材は、前記空気吹出し口の長手方向に延在して前記筐体の内部に配置された前記高電圧印加部としての長尺導体部材と、該長尺導体部材から前記空気吹出し口に向かって該長尺導体部材の長手方向に垂直な方向に突設されると共に該長尺導体部材に電気的に接続され、前記空気吹出し口の長手方向に並ぶように配列された複数の先鋭な放電部とを備える放電電極部材と、前記筐体の内部における前記放電部の列の両側で前記長尺導体部材と平行に延在して配設される共に接地された一対の棒状対向電極部材とから構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の送風式イオン生成装置において、
前記空気吹出し口は、長尺な吹出し口であると共に、前記第2の壁面には、該筐体の外部側で前記空気吹出し口の周囲を囲むようにして絶縁物からなる整流用枠体が突設されており、
前記コロナ放電発生用電極部材は、前記空気吹出し口の長手方向に延在して前記整流用枠体の内側に配置されると共に接地された長尺導体部材と、該長尺導体部材から前記空気吹出し口と反対側に向かって該長尺導体部材の長手方向に垂直な方向に突設されると共に該長尺導体部材に電気的に接続され、前記空気吹出し口の長手方向に並ぶように配列された複数の先鋭な放電部とを備える放電電極部材と、前記整流用枠体の内側における前記放電部の列の両側で前記長尺導体部材と平行に延在して配設されると共に外周面が絶縁物により被覆された前記高電圧印加部としての一対の棒状対向電極部材とから構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項7】
請求項5記載の送風式イオン生成装置において、前記各放電部は、前記長尺導体部材に容量を介して接続されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項8】
請求項5記載の送風式イオン生成装置において、前記各放電部は、前記長尺導体部材に抵抗を介して接続されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項9】
請求項5または6記載の送風式イオン生成装置において、前記長尺導体部材は、平板状部材であり、前記複数の放電部は、該長尺導体部材の側縁のうちの該長尺導体部材の長手方向に延在する一側縁から該長尺導体部材と一体に突設された鋸歯状の複数の板状突起部であることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項1】
交流高圧電源を内蔵した筐体と、該筐体の外壁面のうちの第1の壁面に開設された空気導入口および第2の壁面に開設された空気吹出し口と、前記空気吹出し口から吹出す空気を前記空気導入口から前記筐体の内部に導入するように該空気導入口に臨んで該筐体に取り付けられた装着された送風機と、前記空気吹出し口に臨んで前記筐体に取り付けられたコロナ放電発生用電極部材と、前記交流高圧電源を該コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に接続する高圧ケーブルとを備え、前記コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に、前記交流高圧電源から交流高電圧を印加することにより該コロナ放電発生用電極部材でコロナ放電を発生させ、このコロナ放電により生成される空気イオンを前記空気吹出し口から吹出す空気により移送する送風式イオン生成装置において、
前記交流高圧電源は、前記コロナ放電発生用電極部材の高電圧印加部に前記高圧ケーブルを介して二次巻線が接続された巻線トランスと、該巻線トランスの一次巻線に正極性のパルス列からなるパルス列電圧および負極性のパルス列からなるパルス列電圧を交互に周期的に印加するパルス発生回路とを並列させて構成され、前記空気導入口から空気吹出し口に向かう空気の流れを避ける位置で前記筐体内に配置されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の送風式イオン生成装置において、前記空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に導く整流板が前記筐体内に設けられると共に、該整流板によって、前記筐体内の空間が、前記空気導入口から導入された空気を前記空気吹出し口に向かって流す第1の空間と、該第1の空間以外の空間である第2の空間とに画成され、前記交流高圧電源が前記第2の空間に配置されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項3】
請求項1記載の送風式イオン生成装置において、前記交流高圧電源は、前記第1の壁面の法線方向で見たとき、該第1の壁面のうち、前記空気導入口が開設された箇所以外の箇所にのみ対向して、該第1の壁面寄りの位置に配置されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の送風式イオン生成装置において、前記巻線トランスは、第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの一次巻線を並列接続すると共に、該第1の巻線トランスおよび第2の巻線トランスのそれぞれの二次巻線を直列接続してなる2段の巻線トランスであり、前記交流高圧電源は、前記第1の巻線トランスと第2の巻線トランスと前記パルス発生回路とを1列に並べて構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の送風式イオン生成装置において、
前記空気吹出し口は、長尺な吹出し口であり、前記コロナ放電発生用電極部材は、前記空気吹出し口の長手方向に延在して前記筐体の内部に配置された前記高電圧印加部としての長尺導体部材と、該長尺導体部材から前記空気吹出し口に向かって該長尺導体部材の長手方向に垂直な方向に突設されると共に該長尺導体部材に電気的に接続され、前記空気吹出し口の長手方向に並ぶように配列された複数の先鋭な放電部とを備える放電電極部材と、前記筐体の内部における前記放電部の列の両側で前記長尺導体部材と平行に延在して配設される共に接地された一対の棒状対向電極部材とから構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の送風式イオン生成装置において、
前記空気吹出し口は、長尺な吹出し口であると共に、前記第2の壁面には、該筐体の外部側で前記空気吹出し口の周囲を囲むようにして絶縁物からなる整流用枠体が突設されており、
前記コロナ放電発生用電極部材は、前記空気吹出し口の長手方向に延在して前記整流用枠体の内側に配置されると共に接地された長尺導体部材と、該長尺導体部材から前記空気吹出し口と反対側に向かって該長尺導体部材の長手方向に垂直な方向に突設されると共に該長尺導体部材に電気的に接続され、前記空気吹出し口の長手方向に並ぶように配列された複数の先鋭な放電部とを備える放電電極部材と、前記整流用枠体の内側における前記放電部の列の両側で前記長尺導体部材と平行に延在して配設されると共に外周面が絶縁物により被覆された前記高電圧印加部としての一対の棒状対向電極部材とから構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項7】
請求項5記載の送風式イオン生成装置において、前記各放電部は、前記長尺導体部材に容量を介して接続されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項8】
請求項5記載の送風式イオン生成装置において、前記各放電部は、前記長尺導体部材に抵抗を介して接続されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項9】
請求項5または6記載の送風式イオン生成装置において、前記長尺導体部材は、平板状部材であり、前記複数の放電部は、該長尺導体部材の側縁のうちの該長尺導体部材の長手方向に延在する一側縁から該長尺導体部材と一体に突設された鋸歯状の複数の板状突起部であることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−99472(P2009−99472A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271787(P2007−271787)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000106900)シシド静電気株式会社 (39)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000106900)シシド静電気株式会社 (39)
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