説明

透かし埋め込みプログラム、透かし埋め込み方法及び透かし埋め込み装置

【課題】 ファイルの印刷時に印刷イメージに情報漏洩時の漏洩ルートの追跡に有効な透かし文書を埋め込んで印刷するとともに、透かし文書を埋め込む対象を効率的に選択することにより処理負担を低減することが可能な、印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込みプログラムを提供する。
【解決手段】 印刷イベントからファイルパスとユーザIDを取得し、透かし文書の埋め込みが必要なケースをファイルパスとユーザIDを定めたルールを参照して、透かし文書埋め込みの要否を判定する。埋め込みが必要な場合は、端末を識別するアドレス情報等と日時情報を取得し、ユーザ情報、ファイル情報と合せた透かしデータを作成し、印刷イメージに埋め込んで出力する。情報漏洩時には透かし文書から流出元を特定することができるので、情報漏洩対策に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷イメージに情報漏洩時の漏洩ルートの追跡に有効な透かし文書を埋め込むための透かし埋め込みプログラム、透かし埋め込み方法及び透かし埋め込み装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な重要情報が電子ファイルとして管理されることが一般的になる中で、かかる電子ファイルの漏洩や改ざんを防止するための情報セキュリティ技術の確立が、社会的に重要な課題となっている。電子ファイルの漏洩や改ざんを防止するための技術としては、電子ファイルへのパスワードやアクセス権限の設定、暗号化などが広く用いられているが、これらの技術はいずれも電子ファイルそのものを保護するものであって、電子ファイルが一旦紙媒体に出力されると、重要な情報が印刷された紙媒体の不正コピー等による流出を回避することができないという限界を有している。
【0003】
このような問題に対応して、電子ファイルを紙媒体等へ印刷する際に、機密情報を透かしとして印刷イメージに埋め込むことにより、電子ファイルに類するセキュリティ管理を紙媒体にも応用することが可能な透かし情報埋め込み装置及び透かし情報検出装置に関する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、上記の透かし情報埋め込み装置及び透かし情報検出装置を利用して、電子ファイルから印刷された印刷イメージに透かし情報を埋め込んで出力し、情報の漏洩や改ざんを防止するための具体的な方法として、例えば目視可能な印刷パターンを透かしとして埋め込んで、紙面に印刷された情報との対比から改ざんの有無を確認する発明(例えば、特許文献2参照。)や、本人確認情報やパスワードなどの認証情報を透かしとして埋め込んで、透かしから読み取った認証情報をキーとして権限を認証する発明(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−101762号公報
【特許文献2】特開2004−64327号公報
【特許文献3】特開2004−58410号公報
【特許文献4】特開2004−94348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1記載の発明によれば、電子ファイルから印刷された印刷イメージに透かし埋め込んで出力し、情報の漏洩や改ざんなどのセキュリティ管理に用いることができるが、どのような場合にどのような情報を透かしとして埋め込むことによってセキュリティ管理を実現するかについては、各々の目的に対応した用途開発を行うことが必要である。前記特許文献2記載の発明は、情報の改ざん防止に有効なものであるが、情報を改ざんすることなく不正に流用する情報漏洩には対応することができない。
【0007】
これに対して、前記特許文献3及び前記特許文献4記載の発明は、透かし情報に認証情報などのキーを埋め込むことにより、対象となる電子ファイルの出力を制限して情報漏洩に効果的に用いることが可能になる。しかしながら、権限を確認して出力された情報を権限者が不正に流出させる場合や、権限者が正当に出力した情報を第三者が不正に取得する場合など、権限を確認した後に出力された情報が不正に漏洩するケースには対応することができない。
【0008】
かかる権限者による出力後の不正な情報漏洩自体を事前に防止することは困難であるが、情報漏洩後の対応策としては、情報が漏洩したルートを追跡して、情報の漏洩元を速やかに特定することが好ましい。透かし埋め込みに関する技術を情報漏洩ルートの追跡に応用することができると、上記のような権限者による出力後の不正な情報漏洩に対して、効果的な手段を提供することが可能になる。
【0009】
また、情報漏洩等の対策に透かし埋め込みに関する技術を利用する場合、出力される全ての電子ファイルが機密情報であるとは限らないため、印刷処理時間の短縮やコンピュータにかかる負荷の軽減、印刷用のトナーの節減を考慮すると、透かしを埋め込む対象は必要十分な範囲に限定して、効率的に処理することが好ましい。さらに、透かしを埋め込む対象を限定するための処理において取得した情報を、情報漏洩ルートを追跡するための透かしの埋め込み処理に適用して、透かしとして埋め込む情報がより情報漏洩ルートの追跡に適したものになると、なお好ましい。
【0010】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、ファイルの印刷時に印刷イメージに情報漏洩時の漏洩ルートの追跡に有効な透かし文書を埋め込んで印刷するとともに、透かし文書を埋め込む対象を効率的に選択することにより処理負担を低減することが可能な、印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込みプログラム、透かし埋め込み方法及び透かし埋め込み装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願にかかる課題を解決する第1の発明は、印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込みプログラムであって、印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータに、前記印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得するステップと、前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定するステップと、前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納部に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定するステップと、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定されると、前記コンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記ファイル情報、前記ユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成するステップと、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定されると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込むステップと、を実行させることを特徴とする透かし埋め込みプログラムである。
【0012】
第1の発明においては、透かし文書を埋め込むための透かしデータとして、出力したファイル、出力を行ったユーザ、出力を行った端末、出力時間等を取得して用いることにより、正当権限を有する者によって出力された印刷物等が不正に漏洩した際に、透かし文書から流出元を追跡することが可能になる。また、透かし文書を埋め込むプログラムを起動する前に、印刷イベントの対象となるファイルと印刷イベントを実行したユーザから透かし文書の埋め込みの要否を判定することにより、透かし文書の埋め込みを情報漏洩時に流出元の追跡が必要なケースに限定することが可能になる。
【0013】
本願にかかる課題を解決する第2の発明は、印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込みプログラムであって、印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータに、前記印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得するステップと、前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定するステップと、前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納部に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定するステップと、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定されると、前記ファイル情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のファイル情報又は前記ユーザ情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のユーザ情報の少なくとも一つの情報を前記透かし印刷ルール格納部から取得し、前記コンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記第2のファイル情報、前記第2のユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成するステップと、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定されると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込むステップと、を実行させることを特徴とする透かし埋め込みプログラムである。
【0014】
第2の発明も、透かし文書を埋め込むための透かしデータとして、出力したファイル、出力を行ったユーザ、出力を行った端末、出力時間等を取得して用いて、正当権限を有する者によって出力された印刷物等が不正に漏洩した際に、透かし文書から流出元を追跡することが可能になることは、第1の発明と同様である。また、第1の発明と同様に透かし文書を埋め込むプログラムを起動する前に、印刷イベントの対象となるファイルと印刷イベントを実行したユーザから透かし文書の埋め込みの要否を判定するが、ここで判定に用いたデータベース等から透かし文書として埋め込むためのファイル情報やユーザ情報を取得することにより、流出元を追跡するために必要なより多くの情報を透かし文書に埋め込むことが可能になる。
【0015】
第2のファイルと第2のユーザ情報の具体例として、例えば印刷イベントからファイル情報としてファイルパスを取得した場合において、第2のファイル情報としてファイルのサイズや更新日時等を用いることができる。例えば印刷イベントからユーザ情報としてユーザIDを取得した場合において、第2のユーザ情報としてユーザ名や所属部署等を用いることができる。
【0016】
また、第1の発明及び第2の発明は、前記透かしデータを作成するステップでは、前記印刷イメージの出力指示を行ったコンピュータを識別する第2の端末情報を前記印刷イベントから取得し、前記第2の端末情報が前記透かしデータの作成に用いられることを特徴とすることもできる。
【0017】
第1の発明及び第2の発明においては、透かし文書には印刷イベントにかかる処理を実行する端末情報や時間情報が埋め込まれるが、印刷イベントがネットワークを通じて他の端末から要求される場合は、上記のように印刷イベントを要求した端末を識別する情報を透かし文書に埋め込んで、情報漏洩時に流出元を追跡するための情報として追加することが好ましい。
【0018】
さらに、第1の発明及び第2の発明は、それぞれの発明にかかる透かし埋め込みプログラムにより実行される透かし埋め込み方法、透かし埋め込みプログラムによる処理を実行する透かし埋め込み装置として構成することもできる。
【0019】
つまり、第1の発明に対応する透かし埋め込み方法は、印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込み方法であって、印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータが、前記印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得するステップと、前記コンピュータが、前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定するステップと、前記コンピュータが、前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納部に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定するステップと、前記コンピュータが、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定すると、前記コンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記ファイル情報、前記ユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成するステップと、前記コンピュータが、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定すると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込むステップと、を有することを特徴とする透かし埋め込み方法である。
【0020】
第2の発明に対応する透かし埋め込み方法は、印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込み方法であって、印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータが、前記印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得するステップと、前記コンピュータが、前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定するステップと、前記コンピュータが、前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納部に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定するステップと、前記コンピュータが、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定すると、前記ファイル情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のファイル情報又は前記ユーザ情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のユーザ情報の少なくとも一つの情報を、前記透かし印刷ルール格納部から取得し、前記コンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記第2のファイル情報、前記第2のユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成するステップと、前記コンピュータが、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定すると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込むステップと、を実行させることを特徴とする透かし埋め込み方法である。
【0021】
第1の発明及び第2の発明に対応する透かし埋め込み方法は、前記透かしデータを作成するステップでは、前記コンピュータが、前記印刷イメージの出力指示を行ったコンピュータを識別する第2の端末情報を前記印刷イベントから取得し、前記第2の端末情報が前記透かしデータの作成に用いられることを特徴とすることもできる。
【0022】
第1の発明に対応する透かし埋め込み装置は、印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込み装置であって、印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得する取得手段と、前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定する特定手段と、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納手段と、前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、前記透かし印刷ルール格納手段に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が透かし文書を埋め込むと判定すると、前記印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記ファイル情報、前記ユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成する作成手段と、前記判定手段が透かし文書を埋め込むと判定されると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込む埋め込み手段と、を備えることを特徴とする透かし埋め込み装置である。
【0023】
第2の発明に対応する透かし埋め込み装置は、印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込み装置であって、印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得する取得手段と、前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定する特定手段と、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納手段と、前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、前記透かし印刷ルール格納手段に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が透かし文書を埋め込むと判定すると、前記ファイル情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のファイル情報又は前記ユーザ情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のユーザ情報の少なくとも一つの情報を前記透かし印刷ルール格納手段から取得し、前記印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記第2のファイル情報、前記第2のユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成する作成手段と、前記判定手段が透かし文書を埋め込むと判定すると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込む埋め込み手段と、を備えることを特徴とする透かし埋め込み装置である。
【0024】
第1の発明及び第2の発明に対応する透かし埋め込み装置は、前記作成手段は、前記印刷イメージの出力指示を行ったコンピュータを識別する第2の端末情報を前記印刷イベントから取得し、前記第2の端末情報が前記透かしデータの作成に用いられることを特徴とすることもできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、正当権限を有する者によって出力された印刷物等が不正に漏洩した際に、透かし文書として印刷された情報から流出元を特定して、不正の発生源を追跡することが可能になる。また、印刷時に対象となるファイルを限定して透かし文書を埋め込むことにより、透かし文書の埋め込みにかかる処理負担を効率的に低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は本発明の実施形態の一例であって、透かし文書埋め込みの要否の判定に用いられるデータや透かし文書として印刷されるデータの組合せなど、本発明の実施態様は以下の説明に限定されるものではない。
【0027】
図1、図2は、本発明にかかる透かし埋め込み装置を、それぞれネットワーク上で使用する場合、スタンドアロンで使用する場合の構成を示すブロック図である。図3、図4は、本発明にかかる透かし埋め込みプログラムの処理フローの概要と、処理フローの具体例を示す図である。図5、図6は、本発明にかかる透かし埋め込み装置で用いられる透かし印刷ルールとして、それぞれファイル情報を指定するテーブル、ユーザ情報を指定するテーブルの一例を示す図である。図7、図8は、本発明にかかる透かし埋め込みプログラムの処理フローを示す第1、第2のフローチャートである。
【0028】
図1は、本発明にかかる透かし埋め込み装置をネットワーク上で使用する場合の構成を示している。本発明にかかる電子透かし埋め込み装置は、LAN等の社内ネットワークに接続されたプリンタサーバ10に備えられていて、ユーザ端末20、ユーザ端末30、又はユーザ端末40から社内ネットワークを介して印刷処理を実行するための印刷イベントを受け付けると、透かし文書の埋め込みの要否を判定して、透かし文書の埋め込みが必要な場合は印刷イベントに透かし文書を埋め込んだ印刷イメージを、不要な場合は印刷イベントどおりの印刷イメージを、プリンタ50より出力する処理を実行する。
【0029】
さらに詳しく説明すると、例えば社内ネットワーク上のユーザ端末20を操作するユーザがあるファイルを印刷したい場合、ユーザ端末20で当該ファイルの印刷処理の実行を選択すると、HDD25に格納された印刷プログラム251が読み出されて、RAM22をワーキングエリアとして機能させながらCPU24において演算処理を実行し、当該ファイルを出力するための印刷イベントをNIC21から社内ネットワークに送出する。
【0030】
送出された印刷イベントは、プリンタサーバ10のNIC11で受け付けられる。印刷イベントにより印刷要求を受け付けたプリンタサーバ10は、印刷プログラム151を起動して出力処理を実行するが、当該印刷イベントにより指定されたファイルの出力時に透かし文書を埋め込む必要が無いかを判定するために、透かし判定プログラム153が読み出される。
【0031】
透かし判定プログラム153は、RAM12をワーキングエリアとして機能させながらCPU14において演算処理を実行し、透かし文書埋め込みの判定を行う。判定には受け付けた印刷イベントに含まれる出力対象となるファイルのファイル情報と印刷要求を行ったユーザを識別するユーザ情報等が用いられ、透かし文書の埋め込みが必要なケースのファイル情報やユーザ情報がルールとして指定された透かし印刷ルール格納部154に格納されたデータとの対比を行って、透かし文書の埋め込みが必要な場合には透かし印刷プログラム152を起動して印刷イメージに埋め込む透かしデータを作成する。作成された透かしデータは印刷プログラム151に引き渡されて、印刷プログラム151はファイルの内容を出力するため印刷イメージに透かしデータを埋め込んだ出力用の印刷イメージを作成し、プリンタ50に当該印刷イメージの出力要求を送出する。プリンタ50では、透かし文書の埋め込まれたイメージが紙媒体に出力される。
【0032】
一方、透かし文書の埋め込みが不要な場合には透かし印刷プログラム152は起動されず、印刷プログラム151が印刷イベントに従ってファイルの内容を出力するため印刷イメージを作成し、プリンタ50に当該印刷イメージの出力要求を送出する。プリンタ50では、透かし文書の埋め込まれていないイメージが紙媒体に出力される。
【0033】
本発明にかかる透かし埋め込み装置がスタンドアロンで用いられる場合は、図2の例のように構成される。本発明にかかる電子透かし埋め込み装置は、スタンドアロンで用いられる端末装置60に備えられていて、入力装置70からの入力操作によって印刷処理を実行するための印刷イベントを受け付けると、透かし文書の埋め込みの要否を判定して、透かし文書の埋め込みが必要な場合は印刷イベントに透かし文書を埋め込んだ印刷イメージを、不要な場合は印刷イベントどおりの印刷イメージを、プリンタ80より出力する処理を実行する。
【0034】
さらに詳しく説明すると、端末装置60を操作するユーザが文書作成ソフト等のアプリケーションソフトを起動して、入力装置70より印刷したいファイルを指定して印刷処理の実行を選択する。印刷処理の選択が受け付けられると、多くの場合は当該アプリケーションソフトの一部であるHDD65に格納された印刷プログラム651が読み出されて、RAM62をワーキングエリアとして機能させながらCPU64において演算処理を実行し、印刷イベントを生成する。
【0035】
印刷イベントが生成されると、印刷プログラム651は指定されたファイルを出力する印刷イメージを生成し、これをプリンタドライバに引き渡してファイルの出力処理が実行されるが、ここで当該印刷イベントにより指定されたファイルの出力時に透かし文書を埋め込む必要が無いかを判定するために、透かし判定プログラム653が読み出される。
【0036】
透かし判定プログラム653は、RAM62をワーキングエリアとして機能させながらCPU64において演算処理を実行し、透かし文書埋め込みの判定を行う。判定には受け付けた印刷イベントに含まれる出力対象となるファイルのファイル情報と印刷要求を行ったユーザを識別するユーザ情報等が用いられ、透かし文書の埋め込みが必要なケースのファイル情報やユーザ情報がルールとして指定された透かし印刷ルール格納部654に格納されたデータとの対比を行って、透かし文書の埋め込みが必要な場合には透かし印刷プログラム652を起動して印刷イメージに埋め込む透かしデータを作成する。作成された透かしデータは印刷プログラム651に引き渡されて、印刷プログラム651はファイルの内容を出力するため印刷イメージに透かしデータを埋め込んだ出力用の印刷イメージを作成し、これをプリンタドライバに引き渡して、透かし文書の埋め込まれたイメージがプリンタ80で紙媒体に出力される。
【0037】
一方、透かし文書の埋め込みが不要な場合には透かし印刷プログラム652は起動されず、印刷プログラム651が印刷イベントに従ってファイルの内容を出力するため印刷イメージを作成し、これをプリンタドライバに引き渡して、透かし文書の埋め込まれていないイメージがプリンタ80で紙媒体に出力される。
【0038】
図3を用いて、本発明にかかる透かし埋め込みプログラムによって、受け付けた印刷イベントから透かし文書を埋め込んだ印刷イメージを作成するフローの概要について説明する。印刷機能を備えたコンピュータが印刷イベントを受け付けると、通常の処理においては、印刷イベントで指定されたファイルから印刷イメージを生成して、出力処理を実行する。尚、印刷イベントにより取得されるファイルは、文書ファイル、画像ファイルなどファイル形式が限定されるものではないが、出力時にはイメージデータに変換して出力されることになる。
【0039】
これに対して本発明にかかる透かし埋め込みプログラムは、出力処理の実行前に印刷イベントを横取りし、当該印刷イベントに含まれる印刷するファイルを特定するファイルパス等と印刷要求を行ったユーザを識別するユーザID等を取得する。ファイルパスとユーザIDを取得すると、透かし文書の埋め込みが必要なファイル及びユーザを指定する透かし印刷ルールと対比して、取得したファイルパスとユーザIDが透かし印刷ルールとして指定されたファイルパスとユーザIDに含まれる場合には、透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成する。
【0040】
出力される印刷イメージに埋め込まれる透かし文書には、情報漏洩が生じた際に流出元を追跡するために有効な情報が記述される。そこで、透かしデータを作成する際には、印刷処理を実行する端末を特定するIPアドレスやMACアドレスをOSやNICから取得し、また出力する日時に関する情報をコンピュータ内に備えられたタイマーから取得して、これらの出力した場所や時間の特定に有効な情報を透かし文書として記述する。さらに、透かし文書埋め込みの要否の判定に用いたファイルパスやユーザIDを透かしデータの作成に用いて透かし文書に記述することで、出力対象や出力を行った者の特定に有効な情報として利用することができる。透かし文書が埋め込まれた印刷イメージの出力が行われると、印刷したファイル、印刷を要求したユーザ、印刷日時などの印刷履歴に関する情報が印刷履歴の記録用のデータベースに格納される。かかる履歴の記録については、情報漏洩を監視するための監査ログ等の一部として、透かし文書を埋め込んだ印刷を実行した情報を記録することとしてもよい。
【0041】
尚、上記では透かしデータの作成に用いられるファイルパスやユーザIDには印刷イベントに含まれる情報を用いることとしているが、これらの情報に加えて、又はこれらの情報に代えて、透かし文書埋め込みの要否判定に用いた透かし印刷ルールと併せてデータベースに格納されたファイル情報やユーザ情報を用いることとしてもよい。例えば、ファイル情報としてファイル名、ファイルサイズや更新日時等に関する情報をデータベースから取得して、透かし文書の一部として記述してもよいし、ユーザ情報としてユーザ名や所属部署等に関する情報をデータベースから取得して、透かし文書の一部として記述してもよい。このように付加的な情報を透かし文書に加えることによって、情報漏洩が生じて流出元を追跡する際には、透かし文書を読み取ることによって出力された環境を特定することが容易になる。
【0042】
また、透かし埋め込みの要否判定の前段階として、印刷イベントから所定の情報を取得して、印刷の可否そのものを判定することとしてもよい。出力後の流出元を追跡する対策のみでなく、そもそも情報の出力を許諾しないケースを設定することにより、情報漏洩防止のためにより効果的な対策を施すことができる。
【0043】
印刷の可否を判定する方法は特に限定されるものではなく、ファイル名とユーザIDを指定したアクセスコントロール、情報の出力を許諾しない一般的なパターンをルールとして設定したルールベースによる判定、ユーザ毎の挙動パターンをプロファイルとして蓄積し、出力要求を行ったユーザのプロファイルと対比した特異挙動の判定、端末に対する操作パターンをプロファイルとして蓄積し、出力要求を受け付けた端末のプロファイルと対比した特異操作の判定など、様々な方法によって印刷の可否を判定することができる。また、これらの方法を組み合わせて、より精緻な判定を行うこととしてもよい(例えば、特願2003−387213において開示された技術を用いることができる。)。印刷が否とされた場合には、直ちに印刷処理を中止することとしてもよいし、権限を確認するためのパスワードの入力等を要求することとしてもよい。
【0044】
図4は、図3で説明したフローの具体例を示している。印刷イベントより取得したファイルパス(図4の例ではC:¥security¥documents¥file01.doc)とユーザID(図4の例ではiwi10101)を透かし印刷ルールにおいて透かし文書の埋め込みが必要と指定されたそれぞれファイルパス、ユーザIDと対比する。いずれも透かし印刷ルールに含まれる場合は、透かしデータを作成するために、出力処理を実行する端末を特定するための情報としてIPアドレスやMACアドレス(図4の例では210.159.128.143)を、さらに出力した時間を特定するための日時情報(図4の例では2004/08/02)を、出力処理を実行する端末から取得する。
【0045】
透かし文書として埋め込む透かしデータには、上記の出力処理を実行する端末から取得したデータの他に、印刷イベントより取得したファイルパスとユーザIDが用いられる。また、印刷イベントより取得したデータと併せて、又は印刷イベントより取得したデータに替えて、透かし文書埋め込みの要否判定に用いた透かし印刷ルールを格納するデータベースから取得した、さらに詳細なファイル情報やユーザ情報を用いることもできる。このように取得した透かしデータから、地紋状の透かし文書のイメージが作成され、指定されたファイルを出力するために作成された印刷イメージに埋め込まれる。
【0046】
例えば、図4の透かし文書の例では、ファイル名、ファイルサイズ、更新日時がファイル情報から埋め込まれ、ユーザ名と所属部署がユーザ情報から埋め込まれている。かかる情報は、図5及び図6に示した透かし印刷ルールとしてファイル情報及びユーザ情報を指定するテーブルから取得される。
【0047】
このようなテーブルは、図2の構成であれば、透かし印刷ルール格納部654に格納されていて、透かし文書埋め込みの要否判定にも用いられる。図5は、透かし印刷ルールとしてファイル情報を指定するテーブルの一例であるが、透かし文書を埋め込むことが必要なファイルをファイルパスで特定するとともに、ファイル名やサイズなど当該ファイルに関する他の情報が併せて格納されている。このテーブルで指定されたパスと対比して、印刷イベントから取得したファイルパスが存在する場合には、透かし文書の埋め込みが必要なファイルであると判定する。
【0048】
図6は、透かし印刷ルールとしてユーザ情報を指定するテーブルの一例であるが、透かし文書を埋め込むことが必要なユーザの操作をユーザIDで特定するとともに、ユーザ名や部署など当該ユーザに関する他の情報が併せて格納されている。このテーブルで指定されたユーザIDと対比して、印刷イベントから取得したユーザIDが存在する場合には、透かし文書の埋め込みが必要なファイルであると判定する。
【0049】
透かし文書埋め込みの要否判定において、ファイルパスとユーザIDの関係は特に限定されるものではないが、透かし文書の埋め込みを必要なケースになるべく限定するためには、ファイルパスとユーザIDがいずれも一致することを条件に、透かし文書の埋め込みが必要であると判定することが好ましい。また、ファイル毎に透かし文書の埋め込みが必要なユーザを指定することとしてもよく、図5のテーブルの例では、ファイルパスに対応して透かし文書埋め込みが必要なユーザのユーザIDが指定されている。つまり、図4のケースであれば、ファイルパス「C:¥security¥documents¥file01.doc」には、透かし文書埋め込みが必要なユーザにユーザID「iwi10101」が含まれているので、透かし文書の埋め込みが必要であると判定される。
【0050】
図7、図8のフローチャートは、本発明にかかる透かし埋め込みプログラムの処理フローを示している。印刷処理を行うプログラムが起動されて印刷処理の要求が行われると、本発明にかかる透かし埋め込みプログラムが印刷処理を行うプログラムが生成した印刷イベントを取得する(S01)。当該印刷イベントに含まれるデータから、印刷の可否判定や透かし文書埋め込みの要否判定に用いるためのファイルパスやユーザIDを取得する(S02)。
【0051】
まず、指定されたファイルを印刷することについての可否を判定するために、印刷が許可されたファイルであるか、印刷権限を有するユーザからのリクエストか、などの印刷ルールと対比して(S03)、受け付けた印刷イベントが印刷中止のルールに該当しないかを判定する(S04)。印刷中止のルールに該当する場合は、印刷は中止される(S07)。尚、直ちに印刷の中止処理を行うのではなく、パスワードの入力等の権限確認等を行い、権限が確認されなかった場合に中止処理を行うこととしてもよい。
【0052】
印刷中止のルールに該当しないと判定された場合は、印刷イベントがユーザの通常の行動パターンに対して特異な操作ではないか、印刷要求を行ったユーザIDに対応するユーザの過去の操作パターンを記録したプロファイルを参照して(S05)、受け付けた印刷イベントが特異行動に該当しないかを判定する(S06)。特異行動のルールに該当する場合は不正な出力である可能性があるので、印刷は中止される(S07)。尚、直ちに印刷の中止処理を行うのではなく、パスワードの入力等でも権限が確認されなかった場合に中止処理を行うこととしてもよいことは、先のケースと同様である。
【0053】
特異行動に該当しないと判定された場合は、印刷権限を有するものによる正当な出力要求であると判断し、次の透かし文書埋め込みの要否を判定するステップに進む。尚、図7で示したフローは印刷権限の判定フローの一例であって、判定項目や判定の順序などはこのフローに限定されるものではない。
【0054】
続いて、ステップ02で取得したファイルパスとユーザIDを用いて、透かし印刷ルールと対比することによって、印刷するファイルへの透かし文書埋め込みの要否を判定する(S08)。まず、取得したファイルパスが、透かし印刷ルールに定められたファイルパスに含まれるかどうかを判定する(S09)。ルールに定められたファイルパスに含まれる場合は、取得したユーザIDが、透かし印刷ルールに定められたユーザIDに含まれるかどうかを判定する(S10)。
【0055】
いずれか少なくとも一つが透かし印刷ルールに該当しない場合には、透かし文書の埋め込みは不要であると判定され、印刷イベントの内容に従って作成された印刷イメージをそのまま出力するように、印刷プログラムに対して印刷指示が行われる(S15)。尚、不要であるとする判定基準は、少なくとも一方が透かし印刷ルールに該当しない場合に不要と判定する設定に限られず、双方がいずれも透かし印刷ルールに該当しない場合にのみ、透かし文書の埋め込みは不要であると判定することとしてもよい。この場合は、いずれか一方でも透かし印刷ルールに該当すれば、透かし文書が埋め込まれることとなる。
【0056】
ファイルパスとユーザIDがいずれも透かし印刷ルールに含まれる場合は、透かし印刷ルールを格納するデータベースから、ユーザ名等のユーザやファイルに関する追加的な情報を取得する(S11)。ファイルについては例えばファイル名やファイルの更新日時等、ユーザについては例えばユーザ名や所属部署等に関する情報を取得して、これらの情報を透かし文書として埋め込むことにより、情報漏洩時の流出元の特定が容易になる。
【0057】
また、透かし埋め込みプログラムによる処理と出力処理を実行する端末より、当該端末を識別するためのIPアドレスやMACアドレスなどのアドレス情報と、出力時間を特定するための処理時点の日時情報を取得する(S12)。尚、ステップ11とステップ12の処理手順は特に限定されるものではない。
【0058】
ステップ11とステップ12によって透かし文書の作成に必要な情報を取得すると、ファイルパス、ファイル名、ファイルの更新日時、ユーザID、ユーザ名、ユーザの所属部署、IPアドレス、出力処理の日時などのデータを用いて、透かし文書を出力するための透かしデータを作成する(S13)。透かしデータに含まれる項目は特に限定されるものではなく、上記の情報の一部を用いてもよいし、その他の情報を追加することとしてもよい。
【0059】
透かしデータを作成すると、当該透かしデータを印刷用のイメージに埋め込むためのイメージを作成するために、透かし印刷用のプログラムが読み出される。透かし印刷用のプログラムは作成された透かし印刷データを引き継いで、印刷イベントにより作成される印刷イメージに透かしデータを埋め込んで、出力用の印刷イメージを作成する(S14)。尚、透かし印刷用のプログラムの起動タイミングは上記のフローに限定されるものではなく、透かし埋め込みプログラムにより作成された透かしデータを引き継ぐことが可能なタイミングであればよい。
【0060】
透かしデータを埋め込んだ印刷イメージが作成されると、当該印刷イメージを出力するように印刷プログラムに対して印刷指示が行われる(S15)。印刷指示を行うと、印刷したファイル、印刷を行ったユーザ、印刷を行った時間に関する履歴情報が作成されて、監査ログ等を記録するデータベースに透かし印刷を行った動作に関する情報が格納される(S16)。印刷履歴の格納は、全ての印刷処理を対象に行ってもよいし、透かし文書を埋め込んだ文書のみを対象とすることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明にかかる透かし埋め込み装置をネットワーク上で使用する場合の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる透かし埋め込み装置をスタンドアロンで使用する場合の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかる透かし埋め込みプログラムの処理フローの概要を示す図である。
【図4】本発明にかかる透かし埋め込みプログラムの処理フローの具体例を示す図である。
【図5】本発明にかかる透かし埋め込み装置で用いられる透かし印刷ルールとして、ファイル情報を指定するテーブルの一例を示す図である。
【図6】本発明にかかる透かし埋め込み装置で用いられる透かし印刷ルールとして、ユーザ情報を指定するテーブルの一例を示す図である。
【図7】本発明にかかる透かし埋め込みプログラムの処理フローを示す第1のフローチャートである。
【図8】本発明にかかる透かし埋め込みプログラムの処理フローを示す第2のフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10 プリンタサーバ
11 NIC
12 RAM
13 ROM
14 CPU
15 HDD
151 印刷プログラム
152 透かし印刷プログラム
153 透かし判定プログラム
154 透かし印刷ルール格納部
155 印刷履歴格納部
20 ユーザ端末
21 NIC
22 RAM
23 ROM
24 CPU
25 HDD
251 印刷プログラム
30 ユーザ端末
31 NIC
32 RAM
33 ROM
34 CPU
35 HDD
351 印刷プログラム
40 ユーザ端末
41 NIC
42 RAM
43 ROM
44 CPU
45 HDD
451 印刷プログラム
50 プリンタ
60 端末装置
62 RAM
63 ROM
64 CPU
65 HDD
651 印刷プログラム
652 透かし印刷プログラム
653 透かし判定プログラム
654 透かし印刷ルール格納部
655 印刷履歴格納部
70 入力装置
80 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込みプログラムであって、印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータに、
前記印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得するステップと、
前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定するステップと、
前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納部に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定するステップと、
前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定されると、前記コンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記ファイル情報、前記ユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成するステップと、
前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定されると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込むステップと、
を実行させることを特徴とする透かし埋め込みプログラム。
【請求項2】
印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込みプログラムであって、印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータに、
前記印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得するステップと、
前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定するステップと、
前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納部に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定するステップと、
前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定されると、前記ファイル情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のファイル情報又は前記ユーザ情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のユーザ情報の少なくとも一つの情報を前記透かし印刷ルール格納部から取得し、前記コンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記第2のファイル情報、前記第2のユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成するステップと、
前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定されると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込むステップと、
を実行させることを特徴とする透かし埋め込みプログラム。
【請求項3】
前記透かしデータを作成するステップでは、前記印刷イメージの出力指示を行ったコンピュータを識別する第2の端末情報を前記印刷イベントから取得し、前記第2の端末情報が前記透かしデータの作成に用いられること
を特徴とする請求項1又は2記載の透かし埋め込みプログラム。
【請求項4】
印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込み方法であって、
印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータが、前記印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定するステップと、
前記コンピュータが、前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納部に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定するステップと、
前記コンピュータが、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定すると、前記コンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記ファイル情報、前記ユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成するステップと、
前記コンピュータが、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定すると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込むステップと、
を有することを特徴とする透かし埋め込み方法。
【請求項5】
印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込み方法であって、
印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータが、前記印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定するステップと、
前記コンピュータが、前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納部に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定するステップと、
前記コンピュータが、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定すると、前記ファイル情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のファイル情報又は前記ユーザ情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のユーザ情報の少なくとも一つの情報を、前記透かし印刷ルール格納部から取得し、前記コンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記第2のファイル情報、前記第2のユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成するステップと、
前記コンピュータが、前記印刷イメージに透かし文書を埋め込むと判定すると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込むステップと、
を実行させることを特徴とする透かし埋め込み方法。
【請求項6】
前記透かしデータを作成するステップでは、前記コンピュータが、前記印刷イメージの出力指示を行ったコンピュータを識別する第2の端末情報を前記印刷イベントから取得し、前記第2の端末情報が前記透かしデータの作成に用いられること
を特徴とする請求項4又は5記載の透かし埋め込み方法。
【請求項7】
印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込み装置であって、
印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得する取得手段と、
前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定する特定手段と、
印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納手段と、
前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、前記透かし印刷ルール格納手段に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が透かし文書を埋め込むと判定すると、前記印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記ファイル情報、前記ユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成する作成手段と、
前記判定手段が透かし文書を埋め込むと判定されると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込む埋め込み手段と、
を備えることを特徴とする透かし埋め込み装置。
【請求項8】
印刷イメージに透かし文書を埋め込むための透かし埋め込み装置であって、
印刷イメージを出力するための印刷イベントを取得する取得手段と、
前記印刷イベントから、前記印刷イメージの対象となるファイルを識別するファイル情報及び前記印刷イメージの出力指示を行ったユーザを識別するユーザ情報を特定する特定手段と、
印刷イメージの出力時に透かし文書を埋め込む対象となるファイル及びユーザに関するルールを格納する透かし印刷ルール格納手段と、
前記ファイル情報及び前記ユーザ情報を、前記透かし印刷ルール格納手段に格納されたファイル情報及びユーザ情報と対比して、前記印刷イベントによって作成する印刷イメージに透かし文書を埋め込むか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が透かし文書を埋め込むと判定すると、前記ファイル情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のファイル情報又は前記ユーザ情報に関連する前記透かし文書に用いるための第2のユーザ情報の少なくとも一つの情報を前記透かし印刷ルール格納手段から取得し、前記印刷イメージの出力処理を実行するコンピュータを識別する端末情報又は前記印刷イメージを出力する時間に関する出力時間情報の少なくとも一つの情報を前記コンピュータから取得して、前記第2のファイル情報、前記第2のユーザ情報、前記端末情報又は前記出力時間情報の少なくとも一つの情報から前記透かし文書を埋め込むための透かしデータを作成する作成手段と、
前記判定手段が透かし文書を埋め込むと判定すると、印刷イメージに透かし文書を埋め込むためのプログラムを起動して、前記印刷イベントによって作成された印刷イメージに前記透かしデータを埋め込む埋め込み手段と、
を備えることを特徴とする透かし埋め込み装置。
【請求項9】
前記作成手段は、前記印刷イメージの出力指示を行ったコンピュータを識別する第2の端末情報を前記印刷イベントから取得し、前記第2の端末情報が前記透かしデータの作成に用いられること
を特徴とする請求項7又は8記載の透かし埋め込み装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−115237(P2006−115237A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300780(P2004−300780)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(397067853)株式会社インテリジェントウェイブ (20)
【Fターム(参考)】