説明

透光型表示機構

【課題】発光手段を点灯した際に表示部に表示される色彩が、発光手段を消灯した際に表示部に表示されることなく、これによって発光手段を点灯しているときと消灯しているときの表示部での色彩の違いをはっきり区別できる透光型表示機構を提供する。
【解決手段】透明な合成樹脂からなり、表面に透光性を有する第1色彩層10と、第1色彩層10の表面を覆って光の透過を遮断するとともに第1色彩層10を露出する表示部31を設けた第2色彩層30とを形成してなる透明基材40と、有色透明な合成樹脂からなり、透明基材40の表示部31を設けた部分の背面側に配置される有色透明基材50と、透明な合成樹脂からなり、有色透明基材50の背面側に配置されて発光手段70からの光を有色透明基材50に導入させる導光部材60と、を具備してなる透光型表示機構1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作パネルや自動車のコンソールボックスなどに取り付けられる透光型表示機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば自動車のコンソールボックスなどには、その外装面に各種操作用の操作つまみが設置され、これら操作つまみを操作することで前記自動車の各種電装部品が操作されように構成されている。そしてこの外装面や操作つまみには、夜間などにこれらをその裏面側から照光してこれらの所定位置に設けた文字や図形などの表示部を明るく照らし出す透光型表示機構が設置されている。そしてこの種の透光型表示機構の中には、昼間に表示される表示部の色彩と、夜間に照光によって表示される表示部の色彩とを異ならせる構造のものがある。
【0003】
この種の透光型表示機構は、例えば図6に示す透光型表示機構500のように、無色透明な合成樹脂製の外装ケース510の背面側に無色透明な合成樹脂製の導光部材530を配置し、さらにその背面側に発光ダイオードなどの発光手段550を配置し、一方外装ケース510の表面にたとえば緑色の塗料を塗布してなる第1色彩層511と、第1色彩層511の表面を覆う例えば灰色の塗料を塗布してなる第2色彩層513と、第2色彩層513の表面を覆うとともに第2色彩層513を露出する表示部517を設けたたとえば黒色の塗料を塗布してなる第3色彩層515とを形成して構成されている。
【0004】
そしてたとえば昼間などに前記発光手段550を消灯しておけば、外部からは前記第2色彩層513の色彩である灰色が表示部517に表示される。一方たとえば夜間などに前記発光手段550を点灯すれば、第2色彩層513の背面側から第1色彩層511が照光されることで第1色彩層511の緑色が第2色彩層513を通して表示部517の表面側に現れ、表示部517の色彩は緑色に表示される。
【0005】
ところで上記透光型表示機構500においては、第2色彩層513は、これを背面側から照光した際に緑色の光が透過できる程度に薄く形成しておく必要があるが、第2色彩層513の背面側に直接第1色彩層511を形成しているため、光の加減などによっては、発光手段550を消灯していても第1色彩層511の色彩(緑色)が第2色彩層513を通してその表面側に透けて見えてしまう場合があった。つまりたとえば昼間でも表示部517が少し緑色に見えてしまう場合があった。
【0006】
上記問題を軽減する別の透光型表示機構として、例えば図7に示す透光型表示機構600のように、外装ケース610自体を緑色の透明(つまり有色透明)な合成樹脂製とし、その背面側に無色透明な合成樹脂製の導光部材630を配置し、さらにその背面側に発光ダイオードなどの発光手段650を配置し、一方外装ケース610の表面にたとえば灰色の塗料を塗布してなる第1色彩層611と、第1色彩層611の表面を覆うとともに第1色彩層611を露出する表示部617を設けたたとえば黒色の塗料を塗布してなる第2色彩層615とを形成する構成が考えられる。
【0007】
そしてたとえば発光手段650を消灯しておけば外部からは第1色彩層611の色彩である灰色が表示部617に表示される。一方発光手段650を点灯すれば第1色彩層611の背面側から外装ケース610自体の色彩(緑色)が第1色彩層611を通して表示部617の表面側に現れ、表示部617の色彩は緑色に表示される。このように構成すれば第1色彩層611の背面側に前記図6に示す第1色彩層511の色彩よりも薄い色彩となる有色透明の外装ケース610が設置されるので、外装ケース610の色彩が第1色彩層611の表面側に透けて見えにくい。
【0008】
しかしながらこの透光型表示機構600においても、光を通す薄い第1色彩層611の背面側に直接有色の透明合成樹脂を設置するので、やはり光の加減によっては、発光手段650を消灯していても第1色彩層611の裏面側に設置した外装ケース610の色彩(緑色)が透けて見えてしまう恐れがあり、さらにこのような問題が生じにくい透光型表示機構が望まれていた。
【特許文献1】実開平4−37984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、発光手段を点灯した際に表示部に表示される色彩が、発光手段を消灯した際に表示部に表示されることなく、これによって発光手段を点灯しているときと消灯しているときの表示部での色彩の違いをはっきり区別させることができる透光型表示機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願請求項1に記載の発明は、透明な合成樹脂からなり、表面に透光性を有する第1色彩層と、第1色彩層の表面を覆って光の透過を遮断するとともに前記第1色彩層を露出する表示部を設けた第2色彩層とを形成してなる透明基材と、有色の透明な合成樹脂からなり、前記透明基材の表示部を設けた部分の背面側に配置される有色透明基材と、透明な合成樹脂からなり、前記有色透明基材の背面側に配置されて発光手段からの光を有色透明基材に導入させる導光部材と、を具備してなることを特徴とする透光型表示機構にある。
【0011】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の透光型表示機構において、前記透明基材の第2色彩層に設ける表示部の数を複数とし、前記複数の表示部の内の何れかの表示部を設けた部分の透明基材の背面側に前記有色透明基材を配置するとともに、有色透明基材を配置しない方の表示部を設けた部分の透明基材の背面側には直接導光部材を対向して配置したことを特徴とする透光型表示機構にある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、光を通す薄い第1色彩層を表面に施した透明基材が設置され、その背面側に前記透明基材とは別部材の有色透明基材が設置されることになる。この配置により、第1色彩層を有する透明基材と有色透明基材の間には薄い空気層があるため、発光手段の消灯時には、外部からの光はこの空気層で反射させられ有色透明基材の色は見えず、第1色彩層のみが見える。一方発光手段を点灯したときは背面側に配置された光が有色透明基材を通し、さらに透明基材と透光性の第1色彩層を通して外部に放射されるので、有色透明基材の色がはっきりと外部から見えるようになる。これによって発光手段を点灯しているときと消灯しているときの表示部での色彩の違いをはっきり区別させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、複数の表示部の内の何れかの表示部については発光素子を点灯した時と消灯した時とで表示部に表示する色彩が変更でき、その他の表示部についてはその色彩を変更しないまま表示部が照光できるように容易に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態にかかる透光型表示機構1の基本的概略構成図である。同図に示すように透光型表示機構1は、表面側に第1色彩層10と第2色彩層30とを積層形成してなる透明基材(以下「外装ケース」という)40と、有色(この例では緑色)の透明な合成樹脂からなる有色透明基材50と、透明な合成樹脂からなる導光部材60と、発光手段70とを具備して構成されている。
【0015】
外装ケース40は無色透明の合成樹脂を略平板状に成形することで構成されている。合成樹脂材としてこの例ではアクリル樹脂を用いているが、もちろん他の各種合成樹脂材を用いてもよい。
【0016】
第1色彩層10は有色(この実施形態では明るい灰色)の塗料を外装ケース40の表面に吹き付けなどの手段によって塗布することで形成されている。第1色彩層10は塗装の厚みが薄く、また色彩も明るい色なので、ある程度光を透過するもの、つまり透光性を有するものである。
【0017】
第2色彩層30は有色(この実施形態では黒色)の塗料を第1色彩層10の表面に吹き付けなどの手段によって塗布することで形成されている。この第2色彩層30はその色彩が暗い色なので、光を透過しにくい。つまり第2色彩層30は第1色彩層10の表面を覆って背面側からの光の透過を遮断するものである。第2色彩層30の所定位置には第2色彩層30を切り欠くことで第1色彩層10を露出させる表示部31を設けている。表示部31はたとえば各種記号や数字,模様などの形状に切り欠くことで構成される。表示部31を形成する方法としては、第1色彩層10の表面全体に第2色彩層30を塗布した後に、レーザー光によって第2色彩層30のみを前記表示部31の形状に除去することで行う。もちろんたとえば第1色彩層10の表面に表示部31の形状のマスクを取り付けてから第2色彩層30を塗布するなど、他の各種方法を用いて表示部31を形成してもよい。
【0018】
有色透明基材50は透明ではあるが有色(緑色)の合成樹脂を略平板状に成形して構成されている。合成樹脂材としてこの例ではアクリル樹脂を用いているが、もちろん他の各種合成樹脂材を用いてもよい。言い換えればこの有色透明基材50は有色の導光路(カラーフィルタ)である。この有色透明基材50は、少なくとも外装ケース40の表示部31を設けた部分の背面側に配置される。
【0019】
導光部材60は無色透明の合成樹脂を所定形状に成形することで構成されている。合成樹脂材としてこの例ではアクリル樹脂を用いているが、もちろん他の各種合成樹脂材を用いてもよい。導光部材60の所定部分に対向する位置には、この導光部材60に光を導入する発光手段70が設置されている。導光部材60は有色透明基材50の背面側に配置され、発光手段70からの光を有色透明基材50に導入させるものである。
【0020】
発光手段70はこの実施形態では発光ダイオードを用いているが、他の各種発光手段、たとえばEL(エレクトロルミネッセンス)などのその他の光源や、別にある光源から光を導光部材60まで導いてこれに導入する別の導光部材などであってもよい。
【0021】
上記透光型表示機構1において、昼間などに発光手段70を消灯している場合、外装ケース40の外部(図1の左側)から表示部31を見ると、表示部31には第1色彩層10が露出しているので、表示部31は第1色彩層10の色彩である明るい灰色で表示される。
【0022】
一方夜間などに発光手段70を点灯してその光を導光部材60に導入すると、導入された光は有色透明基材50を透過した後に外装ケース40に導入され、第1色彩層10も透過して表示部31から外部に放射される。この光は有色透明基材50を透過する際に緑色の光となっているので、表示部31から外部に放射される光も緑色になる。
【0023】
そしてこの透光型表示機構1によれば上述のように、光を通す薄い第1色彩層10を表面に施した無色透明な外装ケース40が設置され、その背面側に外装ケース40とは別部材の有色透明基材50が設置されているので、この配置により、第1色彩層10を有する外装ケース40と有色透明基材50の間には薄い空気層があるため、発光手段70の消灯時には、外部からの光はこの空気層で反射させられ有色透明基材50の色は見えず、第1色彩層10のみが見える。一方発光手段70を点灯したときは背面側に配置された光が有色透明基材50を通し、さらに外装ケース40と透光性の第1色彩層10を通して外部に放射されるので、有色透明基材50の色がはっきりと外部から見えるようになる。これによって発光手段70を点灯しているときと消灯しているときの表示部31で表示される色彩の違いをはっきり区別させることができる。
【0024】
図2〜図5は図1に示す透光型表示機構1を用いて自動車のコンソールボックスやインストルメントパネルなどに設置される電装機器操作用のコントロールボックス100の1例を示す図であり、図2はその斜視図、図3は分解斜視図、図4は機器本体110と導光部材60´と有色透明基材50´の分解斜視図、図5は図2のA線部分断面概略拡大図である。なお図1に示す各部材と同一部材については「´」を付した上で同一符号を用いて示している。ただし外装ケース40´とともに透明基材に相当する回転つまみ115,117については説明の都合上、符号「40´」とは別の符号を付している。以下で説明する事項以外の事項については、前記図1で説明した内容と同じである。
【0025】
これらの図に示すようにコントロールボックス100は、機器本体110に導光部材60´と有色透明基材50´とを組み込んだ上で、その上面にカバー150を被せて取り付け、さらに機器本体110の前面に外装ケース40´を装着して構成されている。
【0026】
機器本体110は図4に示すように、略矩形状に形成されたケース111内に各種電子部品を収納して構成されており、その上板113上に4つの発光手段70´を設置し、その前面に一対の回転つまみ115,117の外周の一部を突出している。なお回転つまみ115,117は外装ケース40´とともに、本発明の透明基材の一部を構成するものである。4つの発光手段70´はいずれも機器本体110の前面側を向いている。機器本体110の上面の前記発光手段70´の前方には3つの小突起状の導光部材係止部119が設けられている。回転つまみ115,117は同一の形状・構造であり、円板の外周辺から上方向に向けて円筒状の側壁部115a、117aを突出して構成されている。回転つまみ115,117は前述のように本発明の透明基材の一部であり、無色透明な合成樹脂製であって、図5に示すようにその外周側壁の外周面に所望の色彩からなる透光性を有する第1色彩層10´と、第1色彩層10´の表面を覆って光の透過を遮断するとともに第1色彩層10´を露出する表示部31´を設けた第2色彩層30´とを形成している。第1色彩層10´は透光性を有する程度に薄く明るい色彩である。第2色彩層30´は光を通しにくい比較的暗い色彩(例えば黒色など)である。回転つまみ115,117に形成する表示部31´は円周方向に複数設けられ、必要に応じてそれらの表示部31´に露出させる第1色彩層10´の色彩を異ならせている(たとえば灰色と赤色と青色を用いる)。回転つまみ115,117はいずれも機器本体110内に設置している電子部品とともに回転式スイッチ(または回転式可変抵抗器)を構成するものであり、これら回転つまみ115,117を回転することでスイッチが切り換わる(または抵抗値が変化する)ものである。
【0027】
導光部材60´は、前記図1に示す導光部材60と同一の合成樹脂材製であり、機器本体110の上板113上に設置される略平板状の導光本体部61と、導光本体部61の前面側の辺から略垂直に垂下するように形成される一対の光放射部63,65とを有している。導光本体部61の上面の所定位置には小突起状の一対の有色透明基材係止部67,67が形成され、また図示はしていないが導光本体部61下面の前記各導光部材係止部119に対向する位置にはこれらを挿入・係合する小穴からなる係合凹部が設けられている。光放射部63,65はいずれも略円弧板状であり、前記各回転つまみ115,117の側壁部115a、117aの上面側の凹部内に挿入でき、同時にそれらの前面が側壁部115a、117aの内周面に略同一離間距離で対向する形状に形成されている。光放射部63,65の中央上部の前面は有色透明基材対向面63a,65aであり、下部の面は透明基材対向面63b,65bである。また導光部材60´の一対の光放射部63,65を設けた辺69の両光放射部63,65の間の部分も有色透明基材対向面69aとなっている。
【0028】
有色透明基材50´は、前記図1に示す有色透明基材50と同一の合成樹脂材製であり、導光部材60´の導光本体部61上に設置される略平板状の一対の本体部51,51と、各本体部51,51の前面側の辺から略コ字状に突出するアーム部53,53と、両本体部51,51間を連結する略平板棒状の連結部55とを有している。各アーム部53,53の中央部分は前記導光部材60´の有色透明基材対向面63a,65aの前面に当接してこれを覆う覆い部53a,53aとなっており、また前記連結部55自体も前記導光部材60´の有色透明基材対向面69aの前面に所定距離離間してこれを覆う覆い部55aとなっている。両本体部51,51の前記導光部材60´の各有色透明基材係止部67,67に対向する位置にはこれらを係合する小孔からなる位置決め孔57,57が設けられている。
【0029】
カバー150は合成樹脂(たとえばABS樹脂)を前記機器本体110の上面を覆う形状、つまり略矩形平板状に成形して構成されており、前記機器本体110の側面に形成された係止孔121に対向する位置に一対の係止爪151(図3では手前側の一方のみ示す)を設けて構成されている。
【0030】
外装ケース40´は、前記図1に示す外装ケース40と同一の無色透明の合成樹脂材製であり、図3に示すように前記機器本体110の回転つまみ115,117を突出している側の部分を覆うように、機器本体110側が開口となる内部が空洞の略矩形状の箱型に形成されている。外装ケース40´の前面には前記回転つまみ115,117を露出する一対のつまみ露出孔41,41が形成され、また左右両側面には機器本体110の左右両側辺に設けた一対の係合爪153(図3では手前側の一方のみ示す)にスナップイン係合される一対の係合孔43(図3では手前側の一方のみ示す)が形成されている。
【0031】
図5に示すように、外装ケース40´の外表面のほぼ全面には前記図1に示すのと同一の明るい灰色の第1色彩層10´と、黒色の第2色彩層30´とが塗布されている。そして図3に示すように、第1色彩層30´を露出させる表示部31´は、一対のつまみ露出孔41,41の上部中央と、これら一対の表示部31´,31´の間の位置(2か所)とである。つまみ露出孔41,41の上部中央の表示部31´,31´は前記有色透明基材50の一対の覆い部53a,53aに対向する位置に形成され、それらの間の位置(2か所)の表示部31´,31´は前記有色透明基材50の覆い部55aに対向する位置に形成されている。
【0032】
そして図4においてまず機器本体110上に導光部材60´と有色透明基材50´とを載置し、その際機器本体110の各導光部材係止部119を導光部材60´の図示しない係合凹部に挿入・位置決めし、導光部材60´の有色透明基材係止部67,67を有色透明基材50´の位置決め孔57,57に挿入・位置決めする。このとき図3,図5に示すように導光部材60´の一対の光放射部63,65はいずれも回転つまみ115,117の側壁部115a、117a内側の凹部内に挿入されてこれら側壁部115a、117aの内周面に透明基材対向面63b,65bが対向する。また導光部材60´の有色透明基材対向面63a,65aの部分には有色透明基材50´の覆い部53a,53aが当接してこれを覆っており、また導光部材60´の有色透明基材対向面69aの部分の前方には有色透明基材50´の覆い部55aが所定距離離間して位置してこれを覆っている。
【0033】
そして機器本体110の上面にカバー150を被せ、その際カバー150の係止爪151を機器本体110の係止孔121に係合し、次に外装ケース40´を機器本体110の前面側に装着し、その際両回転つまみ115,117の一部を外装ケース40´のつまみ露出孔41,41に露出し、同時に機器本体110の係合爪153を外装ケース40´の係合孔43にスナップイン係合する。これによって図2に示すコントロールボックス100が完成する。このとき外装ケース40´のつまみ露出孔41,41の上部中央に設けた表示部31´の裏面側には前記有色透明基材50´の覆い部53a,53aが位置し、中央側の2つの表示部31´の裏面側には前記有色透明基材50´の覆い部55aが位置する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0034】
そして発光手段70´を消灯している状態では、前記外装ケース40´の4つの表示部31´はいずれも第1色彩層10´の色彩、すなわち明るい灰色が表示される。このとき前記図1を用いて説明したように、有色透明部材50´の色彩が表面に現れることはない。同時に回転つまみ115,117の表示部31´にはそれぞれの表示部31´の部分に露出している第1色彩層10´の色彩(たとえば灰色や赤色や青色など)が表示される。一方発光手段70´を点灯すれば、前記図1を用いて説明したように、外装ケース40´の4つの表示部31´はいずれも有色透明基材50´の色彩、すなわち緑色が表示される。同時に回転つまみ115,117の表示部31´はそれぞれの表示部31´の部分に露出している第1色彩層10´の色彩(たとえば灰色や赤色や青色など)がそのまま明るく表示される。
【0035】
すなわちこのコントロールボックス100においては図5に示すように、透明基材である外装ケース40´の第2色彩層30´に設ける表示部31´の他に、透明基材である回転つまみ115,117の第2色彩層30´に設ける表示部31´を有し、前記複数の表示部31´の内の何れかの(外装ケース40´に設けた側の)表示部31´を設けた部分の透明基材である外装ケース40´の背面側に有色透明基材50´を配置するとともに、有色透明基材50´を配置しない方の表示部31´を設けた部分の透明基材である回転つまみ115,117の背面側に直接導光部材60´を対向して配置している。これによって複数の表示部31´の内の何れかの表示部31´については発光素子70´を点灯した時と消灯した時とで表示部31´に表示する色彩を変更でき、その他の表示部31´についてはその色彩を変更しないまま表示部31´を照光できるように容易に構成することができる。
【0036】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記図2〜図5に示す実施形態においては、透明基材として外装ケース40´と回転つまみ115,117とを用い、外装ケース40´側の表示部31´の背面側に有色透明基材50´を配置し、回転つまみ115,117には有色透明基材50´を配置しなかったが、たとえば同一の外装ケース40´に設けた複数の表示部31´の内の所定の表示部31´のみの背面側に有色透明基材50´を配置し、その他の表示部31´の背面側には有色透明基材50´を配置しないで直接導光部材60´を対向して配置してもよい。また透明基材40(40´)と有色透明基材50(50´)と導光部材60(60´)とは相互に当接して配置しなくても良く、これら各部材は所定の隙間を介在して配置してもよい。
【0037】
なお第1色彩層10(10´)や第2色彩層30(30´)や有色透明基材50(50´)の色彩に種々の変更が可能であることは言うまでもない。また透明基材40(40´)や導光部材60(60´)も無色透明に限られず、場合によっては有色透明としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】透光型表示機構1の基本的概略構成図である。
【図2】コントロールボックス100の斜視図である。
【図3】コントロールボックス100の分解斜視図である。
【図4】コントロールボックス100の機器本体110と導光部材60´と有色透明基材50´の分解斜視図である。
【図5】図2のA線部分断面概略拡大図である。
【図6】透光型表示機構500の概略構成図である。
【図7】透光型表示機構600の概略構成図である。
【符号の説明】
【0039】
1 透光型表示機構
10(10´) 第1色彩層
30(30´)第2色彩層
31(31´) 表示部
40(40´) 外装ケース(透明基材)
50(50´) 有色透明基材
60(60´) 導光部材
70(70´) 発光手段
100 コントロールボックス
110 機器本体
115,117 回転つまみ(透明基材)
150 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な合成樹脂からなり、表面に透光性を有する第1色彩層と、第1色彩層の表面を覆って光の透過を遮断するとともに前記第1色彩層を露出する表示部を設けた第2色彩層とを形成してなる透明基材と、
有色の透明な合成樹脂からなり、前記透明基材の表示部を設けた部分の背面側に配置される有色透明基材と、
透明な合成樹脂からなり、前記有色透明基材の背面側に配置されて発光手段からの光を有色透明基材に導入させる導光部材と、を具備してなることを特徴とする透光型表示機構。
【請求項2】
請求項1に記載の透光型表示機構において、
前記透明基材の第2色彩層に設ける表示部の数を複数とし、
前記複数の表示部の内の何れかの表示部を設けた部分の透明基材の背面側に前記有色透明基材を配置するとともに、有色透明基材を配置しない方の表示部を設けた部分の透明基材の背面側には直接導光部材を対向して配置したことを特徴とする透光型表示機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−156806(P2010−156806A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334585(P2008−334585)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】