説明

透明なコロイドシルバーの製造方法

【課題】 純水槽内で、+と−の電極に純銀板を用いて、該電極に直流電流を通電して、コロイドシルバーを生産する過程において、酸化銀への化学反応を生起させず、透明なコロイドシルバーを生産する。
【解決手段】 純水槽内において、
+と−の電極に純銀板を使用することと、
該電極をそれぞれ濾紙で囲むことと、
上記電極に直流電流を通電することと、
上記濾紙内の液体を除去することと、
残ったコロイド液を濃縮することと、
からなる透明なコロイドシルバーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純水槽内において、+と−の電極に純銀板を用い、該電極に直流電流を通電して、コロイドシルバーを生産する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コロイドシルバーを生産する方法として、純水槽内において、+と−の電極に純銀板を使用し、該電極に直流電流を通電する方法が一般に知られており、できたコロイドシルバーは、消臭剤、抗菌剤として各種病原菌の繁殖の防止、ペットの健康維持、皮膚病の治療、化粧品の防腐剤、その他抗菌加工原料として、その作用、効果は知られているところである。
【0003】
しかし、上記従来の方法である純水槽内において、純銀板の+と−の電極に直流電流を通電すると、電極の近くで酸化銀が形成され、その酸化銀が石筍して黒い微粒子を作り、生成されたコロイドシルバーは褐色を呈する状態になり、純白の繊維への加工、鮮やかな色への染色、白い素材の物への使用ができず、商品価値が劣るものとなっていた。
また、直流電流の通電によって、電極近辺以外でも純水中の酸素と銀が反応して酸化銀の化学反応を起し、発散してしまう欠点もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記欠点を解消し、製造中に酸化銀への化学反応を生起させず、透明なコロイドシルバーを生産することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題解決の手段として、
本願第1の発明は、
純水槽内において、
+と−の電極に純銀板を使用することと、
該電極をそれぞれ濾紙で囲むことと、
上記電極に直流電流を通電することと、
上記濾紙内の液体を除去することと、
残ったコロイド液を濃縮することと、
からなる透明なコロイドシルバーの製造方法を提案し、
【0006】
本願第2発明は、
純水槽内において、
+と−の電極に純銀板を使用することと、
該電極をそれぞれ濾紙で囲むことと、
上記電極に直流電流を通電することと、
上記濾紙内の液体を除去することと、
残ったコロイドシルバーを25℃〜95℃の温度で加温して、その表面に風を吹きつけて水分を蒸発させることと、
からなる高濃度の透明なコロイドシルバーの製造方法を提案し、
【0007】
さらに、本願第3発明は、
純水槽内において、
+と−の電極に純銀板を使用することと、
該電極に直流電流を通電することと、
上記純水に炭酸ガス又は炭酸ガスと水素ガスの混合ガスをバブリングすることと、
からなる透明なコロイドシルバーの製造方法を提案し、
【0008】
さらにまた、本願第4発明は、
純水槽内において、
予め純水に過酸化水素水を加えるか、濃縮作業開始時にコロイドシルバーに過酸化水素水を加えることと、
+と−の電極に純銀板を使用することと、
上記電極に直流電流を通電することと、
からなる透明なコロイドシルバーの製造方法を提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明第1乃至第3発明は、従来の暗褐色のコロイドシルバーの有する消臭剤、抗菌剤及び殺菌剤として各種病原菌の繁殖の防止、ペットの健康維持、皮膚病の治療、化粧品の防腐剤、その他抗菌加工原料としての作用、効果に加え、コロイドシルバーが透明のため見栄えも良く、従来のものに比し、性能もすぐれ、食品、化粧品の防腐剤、抗菌ペイント、抗菌繊維、抗菌加工紙、抗菌樹脂及び抗菌洗剤等各方面の抗菌剤加工原料として、又は靴、下駄箱、トイレの消臭剤、各種菌に対する殺菌剤として好通であると共に、染色において色そのものの染色ができ、飲料水に加えても種々の殺菌等の薬効がある作用、効果を奏するものである。
【0010】
本願第4発明は、上記第1乃至第3発明の作用効果に比し、過酸化水素水を加えて生成するため、飲料、化粧品等の添加剤としては不向きであるが、その他の作用、効果は上記第1乃至第3発明の作用効果と同一の作用効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
+、−の電極に通電する直流電流は、低電圧を使用しても良いが、生産時の水は純水を使用するため通電しづらく、低電圧では長時間を要するので、高電圧を使用すれば、生産時間を短縮できる。
【0012】
また、一定以上のコロイド濃度を上げることは難しいので、透明のコロイド液を汲み出すか、濾紙内のコロイド液を排出して残ったコロイド液を25℃〜95℃の温度で加温して液体表面に風を吹きつけて水分を蒸発させることは、コロイド液を沸騰した状態で加温するとコロイド状の銀も水と一緒に蒸発して効率を下げるためであり、最初に生成されるコロイドシルバーの濃度は10PPM前後であり、長時間をかければ、最高100PPMの濃度まで向上させることができるが、上述のような温度で加温することによって短時間で濃縮することができる。
【実施例1】
【0013】
図に示すように、水槽(1)に純水(2)を充填し、該純水槽において、+の純銀板の電極(3)及び−の純銀板の電極(4)を装備し、上記+及び−の電極(3)、(4)をそれぞれ濾紙(5)及び(6)で囲み、しかして上記電極(3)、(4)に直流電流を通電し、しかる後濾紙(5)及び(6)内の生成されている酸化銀(石筍)を含む液体(7)、(8)を除去し、水槽内に残った液体を濃縮すると透明なコロイドシルバー液を造ることができる。
【実施例2】
【0014】
水槽(1)に純水(2)を充填し、該純水槽において、
+の純銀板の電極(3)及び−の純銀板の電極(4)を装備し、上記+及び−の電極(3)、(4)をそれぞれ濾紙(5)及び(6)で囲み、しかして上記電極(3)、(4)に直流電流を通電し、しかる後濾紙(5)及び(6)内の生成されている酸化銀(石筍)を含む液体(7)、(8)を除去し、水槽内に残ったコロイドシルバーを25℃〜95℃の温度で加温して、その表面に風を吹きつけて水分を蒸発させれば高濃度の透明なコロイドシルバーを生成することができる。
【実施例3】
【0015】
水槽(1)に純水(2)を充填した純水槽において、
+の純銀板の電極(3)及び−の純銀板の電極(4)を装備し、
上記純水(2)に炭酸ガス又は炭酸ガスと水素ガスの混合ガスをバフリングし、
上記電極に直流電流を通電すると透明なコロイドシルバーを生成することができる。
(化1)
Ag + Co2 + H2O → AgCo3 + H2
【実施例4】
【0016】
水槽(1)に純水(2)を充填した純水槽において、
予め純水(2)に過酸化水素水を3PPMの濃度になるように加え、
+の純銀板の電極(3)及び−の純銀板の電極(4)を装備し、
上記電極に直流を通電すれば、
透明なコロイドシルバーが生成される。
【実施例5】
【0017】
水槽(1)に純水(2)を充填した純水槽において、
+の純銀板の電極(3)と−の純銀板の電極(4)を装備し、
上記+、−の電極(3)、(4)に直流電流を通電し、
生成されたコロイドシルバーの濃縮作業開始時に過酸化水素水を3PPMの濃度になるように加えて濃縮すれば、透明なコロイドシルバーを生成できる。
【0018】
本願第1発明によって生成されたコロイドシルバーの殺菌効果試験を東京都渋谷区元代々木町52番1号に東京本部のある財団法人日本食品分析センターに依頼して行ったところ、大腸菌の検体(1)は、開始後1分後には検出されず、検体(2)は1分後、10分後、30分後と順次生菌類が減って行き、60分後には検出されず、緑膿菌は、検体(1)及び(2)共に開始後10分以後は検出されず、サルモネラは、検体(1)、(2)共に、開始後30分以後は検出されず、黄色ブドウ球菌は、検体(1)、(2)共に、開始後10分以後は検出されない試験結果を得、証明されたように、本件発明により生成した透明コロイドシルバーが各種菌に対する殺菌効果を有することが実証されたのである。
〔表1〕 試験液の生菌数測定結果
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の方法を実証する装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 水槽
2 純水
3 +側電極の純銀板
4 −側電極の純銀板
5 +側電極の純銀板を囲む濾紙
6 −側電極の純銀板を囲む濾紙
7 +側電極の純銀板を囲む濾紙内の液体
8 −側電極の純銀板を囲む濾紙内の液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水槽内において、
+と−の電極に純銀板を使用することと、
該電極をそれぞれ濾紙で囲むことと、
上記電極に直流電流を通電することと、
上記濾紙内の液体を除去することと、
残ったコロイド液を濃縮することと、
からなる透明なコロイドシルバーの製造方法。
【請求項2】
純水槽内において、
+と−の電極に純銀板を使用することと、
該電極をそれぞれ濾紙で囲むことと、
上記電極に直流電流を通電することと、
上記濾紙内の液体を除去することと、
残ったコロイドシルバーを25℃〜95℃の温度で加温して、その表面に風を吹きつけて水分を蒸発させることと、
からなる高濃度の透明なコロイドシルバーの製造方法。
【請求項3】
純水槽内において、
+と−の電極に純銀板を使用することと、
該電極に直流電流を通電することと、
上記純水に炭酸ガス又は炭酸ガスと水素ガスの混合ガスをバブリングすることと、
からなる透明なコロイドシルバーの製造方法。
【請求項4】
純水槽内において、
予め純水に過酸化水素水を加えるか、濃縮作業開始時にコロイドシルバーに過酸化水素水を加えることと、
+と−の電極に純銀板を使用することと、
上記電極に直流電流を通電することと、
からなる透明なコロイドシルバーの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−197261(P2009−197261A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38132(P2008−38132)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(508052444)有限会社ベル (2)
【Fターム(参考)】