説明

透明なシリンダ状の容器内壁を有する容器

本発明は、透明なシリンダ状の容器内壁(2)及び容器内壁の全体を覆っているケース(8)を有する容器(1)に関する。このような容器は、薬瓶又はアンプル又は注射器の形態で例えば薬物又は治療薬による臨床検査時に使用される。本発明によれば、確かに固定の粒子又は液体又はまだ溶解していない粒子を有する液体が容器内に存在するものの、その内容物の実際の色がどうであるかは確認できないように、このケースは不透明に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬では、品質の安全性の問題、すなわち治療薬の効き目及び副作用を知ることがより重要になる。それ故にこれらの効き目が、臨床検査で数値統計解析によって確認され保証される。
【背景技術】
【0002】
このような検査の場合、多数の被検査者が、所定の期間にわたり特別な投与計画にしたがって検査すべき薬物を経口的に、非経口的に又は部位的に摂取する。被検査者の反応及び薬物の効き目が記録され統計学的に評価される。
【0003】
臨床検査の統計学的に重要な評価は、一連の実験中の異なる調剤及び/又はこれらの調剤の調合品及び/又は濃度が例えば所定の順序で使用されること及びこれらの調合品等がその最初の包装,色,最初の付記等に関係なく一様な外観を有することを必要とする。その結果、これらの調合品等の特徴が、被検査者によっても実験の実施に関与する別の者によっても識別できない。
【0004】
特に上述した用途目的に対しても使用される一般に公知の丸薬や糖衣錠を含むカプセルに加えて、その他のガレノス式投与形態、例えば液体の投与形態や凍結乾燥、すなわち急速冷凍乾燥した物質がある。液体の投与形態は、注射器及びアンプルで被検査者に注入される。急速冷凍乾燥した物質は、薬瓶内に保管され使用前に注射器によって注入された液体中で再び解かされる。したがってこれらの物質は、口径的に又は注射によって投与することができる。このような投与形態も、臨床検査に益々使用される。これらの使用の場合、検査すべき薬物並びに統計学的な評価に同様に必要な検査調合品及び比較調合品がそれぞれ、密閉されている容器、例えば薬瓶,アンプル又は注射器内に入れられている。
【特許文献1】仏国特許発明第2 731 210 号明細書
【特許文献2】米国特許発明第3 965 920 号明細書
【特許文献3】米国特許発明第5 261 546 号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、液体投与又は急速冷凍乾燥したガレノス式の投与を使用するための新規の容器を提供することにある。この容器は、このような実験で必要な匿名要求/目隠しが考慮される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1に記載のこの目的に対して使用可能な容器に関する。この容器は、薬瓶,アンプル又は使い捨ての注射器及び請求項9に記載の多数のこのような容器を有するセットとして構成され得る。
【0007】
本発明の好適な実施の形態は、請求項1の従属請求項に記載されている。
【0008】
容器の内壁を多少とも完全に覆うケースを有する透明な容器が公知である:例えば仏国特許発明第2 731 210 号明細書が、貼り付けられたケースを有し開くことのできる市販の水薬瓶を記す。このケースは、熱遮断機能と美観機能との双方を有し、さらに一方では瓶の破損に多少なりとも強くし、他方では破損時に破片を撒き散らさない。この公知のケースは光を透すものの、このケースによって瓶の内容物の色を識別できなくすることは開示されていない。何故なら水薬瓶の場合、内容物の色を確認できるようにすることは重要でないからである。
【0009】
米国特許発明第3 965 920 号明細書も、合成樹脂から成り一部が多層に貼り付けられたケースを有する水薬瓶を記す。このケースは、ガラスを破損から保護し、破損時に飛び散らないようにするために使用される。これに対して米国特許発明第5 261 546 号明細書は、調剤液用のガラス瓶を記す。しかしこのガラス瓶は、本発明の容器とはほとんど違って内容物の精確な検査に使用される特別な開口部を有する。
【0010】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1,4及び5中に示された全体を1で示したシリンダ状の容器、以下では薬瓶と呼ぶ、は、透明な例えば底3付きの透明なガラス又は合成樹脂の内壁2及び瓶のくび4に取り外し可能に又は取り外し不可能に固定されている蓋6付きのつぎ口5を有する。この場合、蓋6が、固定状態で注入口の縁、この例では瓶のくび4から突出するように、この蓋6は形成され寸法決めされている。薬瓶1は、液体の又は急速冷凍乾燥した、すなわち固体の又はガレノス式の調合物7を有する。この場合、この調合物7は、液体中の溶解の間に溶解可能な粒子9をさらに有し得る。
【0012】
本発明により図4から分かるように、薬瓶は、容器の全ての内壁を覆うケース8を有する。このケースは、特に彩色した熱変形可能な合成樹脂、すなわち例えばPVC又はポリエチレンから成る。異なる内容物で満たされている2つの容器が同じ外観を持つように、このケースの色が選択されることが重要であり必要である。この場合、溶解しなかった粒子が液体中に存在するかどうかがさらに確認され得る程度に容器の内壁を通した透明性が著しく制限されているように、この色の濃度を強くする必要がある。
【0013】
多数の合成樹脂ケースが、図2,3中に示されているように最初に簡単な工具又は複数の工具を用いてPVCフィルムで生成されるように、このようなケースは好ましくは深絞り法で製造される。その後これらのケースは、このフィルムから打ち抜かれる。その結果、各ケースが、被覆線8eに沿って互いに枢着接合されている2つの同じ二分割シェル8a,8bから構成される。これらの二分割シェル8a,8bの内面が、薬瓶1の形に精確に一致する。これらの二分割シェル8a,8bはそれぞれ、二分割部分8c,8d及び底部分も有する。
【0014】
2つの二分割シェルから構成されるこのケース8が図1の薬瓶の周りに設置された後に、これらの二分割シェルの両部分が、ケース8を包囲する安全接着テープ10を取り付けることによって被せられ一緒に保持される。好ましくは刻み込まれている分離線を有する片面を接着剤で塗布された合成樹脂テープが、安全接着テープとして使用される。これらの分離線は、テープをその撤去時に使用不能にするために使用される。したがって再取付けが不可能になる。この接着テープは透明でもよいし又は色付きでもよい。好ましくは、このテープの接着層のない面、すなわち外面が付記され得るか又は印刷され得るように、この外面は構成されている。任意に使用できる面が多言語による情報を載せるのには非常に小さい場合は、容器を1回又は多数回包囲する紙テープ又は合成樹脂テープを使用してもよい。このテープの一方の端部は、接着剤によって容器に固定されていて、このテープの他方の端部は、必要に応じて何回も使用可能な接着剤が塗布されている。
【0015】
明らかに、ケースを接着剤によって容器に取り外し不可能に接合することも可能である。
【0016】
図5は、5つの同じ外観の薬瓶11−15を有するセットを示す。しかしこれらの5つの薬瓶の各々は、違う内容物を有する。この場合、固まってまだ溶解していない粒子が存在する。確かにまだ溶解していない粒子の存在は確認できるものの、これらの異なる薬瓶の内容物の色の違いは確認できないように、これらの5つのケースの光の透過度が設定されている。
【0017】
この実施の形態では容器が薬瓶として説明されているが、容器は別の容器、例えばアンプルとして又は注射器として構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】液体を含む容器の断面図である。
【図2】容器に装着する前の合成樹脂から成るケースの展開した状態の図である。
【図3】図2の矢印III 方向から見た図である。
【図4】装着された合成樹脂ケースを有する容器の図である。この場合、個々の部分が省略されている。
【図5】一組の図1による5つの同じ容器を示す。この場合、各容器は、異なる内容物を有し得る。
【符号の説明】
【0019】
1 容器
2 内壁
3 底
4 瓶のくび
5 つぎ口
6 蓋
7 調合物
8 ケース
8a 二分割シェル
8b 二分割シェル
8c 二分割部分
8d 二分割部分
8e 被覆線
9 粒子
10 安全接着テープ
11 薬瓶
12 薬瓶
13 薬瓶
14 薬瓶
15 薬瓶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なシリンダ状の容器内壁及びこの容器内壁の全体を覆っているケース(8)から構成される液体の又は急速冷凍乾燥したガレノス式の調合物(7)を含む容器(1)において、確かに固定の粒子又は液体又はまだ溶解していない粒子(9)を有する液体が容器内に存在するものの、その内容物の実際の色がどうであるかは確認できないように、このケース(8)は不透明に形成されていることを特徴とする容器(1)。
【請求項2】
ケース(8)は、色付きの材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
ケース(8)は、熱変形可能な合成樹脂から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
ケース(8)は、容器内壁に密着している成形された合成樹脂被覆部から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
合成樹脂被服部は、互いに枢着接合している2つの二分割シェル(8a,8b)から構成される請求項4に記載の容器。
【請求項6】
両二分割シェルは、これらの二分割シェルを包囲している安全接着テープ(10)によって一体化されることを特徴とする請求項5に記載の容器。
【請求項7】
安全接着テープは書き込み可能であること、又は、書き込まれた若しくは書き込み可能なラベルがこれらの安全接着テープ上に貼付されていることを特徴とする請求項6に記載の容器。
【請求項8】
二分割シェル(8a,8b)は、容器内壁(2)に取り外し不可能に接合されていることを特徴とする請求項5に記載の容器。
【請求項9】
全ての容器が同じ容器を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の多数の容器(11−15)を有するセットにおいて、全ての容器は、同じケース(8)を有し、その結果、これらの容器は、付記又は番号付けによって互いに判別され得ることを特徴とするセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−501041(P2006−501041A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560979(P2004−560979)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000817
【国際公開番号】WO2004/056668
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(504467314)フィッシャー・クリニカル・サービシズ・アクチエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】