説明

透明多層板を積層する装置、および、その液状接着剤があふれ出ることを防止する方法

【課題】積層プロセスにおいて光硬化接着剤があふれ出るのを防止する。
【解決手段】透明多層板を積層する装置1は、押し付け機構11および照明装置12を備える。押し付け機構11は、透明多層板10の第1の基板101および第2の基板102を支持する。第1の基板101の積層面および第2の基板102の積層面の少なくとも1つは、光硬化液状接着剤103によってコーティングされている。 照明装置12は、押し付け機構11に対応して配置され、透明多層板10上に光線を形成し、光線の照射された位置が積層境界線Lになる。押し付け機構11が第1の基板101および第2の基板102を押し付けて光硬化液状接着剤103を分布させる時に、積層境界線Lまで分布された光硬化液状接着剤103が硬化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化液状接着剤を利用して多層板を積層する装置、およびその積層時に液状接着剤があふれ出ることを防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液状接着剤の開発が進歩的に成熟化し、多層板を積層する積層プロセスでは、積層するための媒体として液状接着剤が徐々に利用されるようになってきた。透明多層板に対しては、光硬化液状接着剤が高い頻度で利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許第100361011号明細書
【特許文献2】米国特許第6825612号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液状接着剤を分布させる手順において、リング状の泡を生成させ(ringing bubbles)液状接着剤があふれ出るという問題が容易に発生する。従って、製造プロセスおよび環境に対して新しく改良した技術が必要とされる。
【0005】
多層板の積層プロセスにおけるリング状の泡(ringing bubbles)の生成を防止するために、異なるパターンがコーティングされて基板の異なる形状を満足させている。例えば、液状接着剤が正方形基板にコーティングされている場合、液状接着剤は中心から外側に向けて分布されてリング状の泡(ringing bubbles)の生成確率が減少するように、放射パターンでコーティングされて設計されることができる。
【0006】
しかしながら、コーティングパターンの要因のために、コーティングされた液状接着剤から基板の全ての側面までの距離は完全に一致しない。その結果、多層板の押し付けを開始する時に、基板の全ての側面に対して液状接着剤を分布するタイミングもまた、完全に一致しない。そのため、積層プロセスでは、製造者が基板の積層境界領域の内側を液状接着剤で一様に満たそうとすると、積層境界領域のいくつかの部分から液状接着剤があふれ出てしまうおそれがある。
【0007】
上述した記述から分かるように、液状接着剤を積層媒体として利用する従来の積層プロセスでは、液状接着剤の流れる方向、およびそれぞれ事前に定義された積層境界線まで液状接着剤を分布させるタイミング、を容易にコントロールすることができないものであった。従って、積層プロセスでの液状接着剤のあふれ出ることを防止する改良が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した問題を考慮してなされたものであり、透明多層板の積層の改良を提供することを目的とするものである。本発明によれば、透明多層板が光硬化液状接着剤を通して積層される時に、光硬化液状接着剤のあふれ出ることを防止することができる。本発明は、光源の円形走査を通して透明多層板に光線を形成し、最終的な目標地点が最初の開始点と同じになり、かつ、光線の照射された位置によって形成された領域が積層境界領域になる。従って、透明多層板が積層される時に、積層境界領域に分布された光硬化液状接着剤は光によって硬化されて積層境界領域からあふれ出ることがない。
【0009】
一つの態様は、透明多層板を積層する装置を提供する。装置は、押し付け機構および照明装置を備える。押し付け機構は、透明多層板の第1の基板および第2の基板を支持するのに利用され、第1の基板の積層面および第2の基板の積層面の少なくとも1つが光硬化接着剤によってコーティングされている。照明装置は、押し付け機構に対応して配置されるとともに透明多層板上に光線を形成し、光線の照射された位置は積層境界線となる。従って、押し付け機構が第1の基板および第2の基板を押し付けて光硬化液状接着剤を分布させる時には、積層境界線にまで分布された光硬化液状接着剤が硬化される。
【0010】
他の態様では、液状接着剤があふれ出ることを防止する方法を提供し、その方法は、透明多層板を積層する装置に適用される。その装置は、透明多層板の第1の基板および第2の基板を支持するのに利用され、第1の基板の積層面および第2の基板の積層面の少なくとも1つが光硬化液状接着剤によってコーティングされている。その方法は、第1の基板および第2の基板を押し付けて光硬化液状接着剤を分布させるステップと、透明多層板上に光線を形成するステップと、を備える。その結果、光線の照射された位置が積層境界線となり、積層境界線まで分布された光硬化液状接着剤が硬化される。
【0011】
本発明による恩恵として、多層板の基板は構造におけるさらなる設計を必要とせず、積層境界線の機能を持つという点が挙げられる。そのため、積層プロセスにおいて光硬化液状接着剤があふれ出ることを効率的に防止することができ、光積層媒体として光硬化液状接着剤を利用する積層プロセスを向上させることができる。さらに、透明多層板プロダクトの品質をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上述した従来のタッチディスプレイパネルの問題を克服することができ、透明多層板が光硬化液状接着剤を通して積層される時に、光硬化液状接着剤のあふれ出ることを防止することができる透明多層板を積層する装置、および、その方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る透明多層板を積層する積層装置の概略的な構造図を示す。
【図2】本発明の実施の形態1に係る移動スライドレールの概略的な構造図を示す。
【図3】本発明の実施の形態2に係る透明多層板を積層する積層装置の概略的な構造図を示す。
【図4】本発明のある実施の形態に係る透明多層板の概略的な積層状態図を示す。本発明の実施の形態に係るタッチデバイスを説明する平面図である。
【図5】本発明に係る液状接着剤があふれ出ることを防止する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述した説明および以下の説明と添付した図面は全て、説明した目的および効果を達成するために本発明が取る技術および手段を説明するために提供され、決して本発明のスコープを限定するものではない。
【0015】
本発明は、円形に走査する照明装置を通して透明多層板上に光線を形成し、光線の照射された位置によって形成される領域が積層境界領域に形成される装置に関する。光硬化液状接着剤を積層境界領域まで分布させる時に、積層境界領域まで分布された光硬化液状接着剤が硬化される。従って、光硬化液状接着剤が実際の積層領域からあふれ出るという問題を単純かつ効率的に解決することができる。透明多層板は、積層境界領域内が光硬化液状接着剤で一様に満たされる。その結果、透明多層板の製造品質が改良される。
【0016】
さらに、本発明で述べる透明多層板は、少なくとも2つの基板の層から構成される構造であり、基板は基本的に透明材料で設計される。透明多層板は、例えば、タッチパネル、液晶表示パネル、プラスチックコンパウンド板(plastic compound plate), ガラスコンパウンド板(glass compound plate)などで設計される。基板の材料は同一である必要はなく、それぞれ異なる材料(ガラス、フィルム、プラスチックなど)で設計されるものとしてもよいし、さらに異なる事前の積層プロセスを経て設計されるものとしてもよい。
【0017】
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る透明多層板を積層する積層装置の概略的な構造図を説明する。描かれているように、本実施の形態に係る積層装置1は、押し付け機構11と、照明装置12と、コントローラ13と、支持ブラケット14と、を備える。押し付け機構11は、透明多層板10の第1の基板101および第2の基板102を支持するのに利用される。第1の基板101の積層面または第2の基板102の積層面が光硬化液状接着剤103によってコーティングされており、光硬化液状接着剤103は、第1の基板および第2の基板の積層において積層媒体となる。もちろん、実際上の設計の要求に従って、光硬化液状接着剤103はまた、第1の基板の積層面上および第2の積層面上に同時にコーティングされるようにしてもよい。
【0018】
光硬化液状接着剤103の注入器(不図示)に関しては、注入器は、積層装置1に統合されて押し付け機構11と一緒に用いられて光硬化液状接着剤103を注入する、ということが当業者であれば理解することができる。さらに、注入器はまた、積層装置1の上流の装置として独立して設計されてもよいが、ここでは特に限定されるものではない。
【0019】
次に、本実施の形態に係る押し付け機構11は、さらに、運び台110と、第1の位置ツーリング部111と、第2の位置ツーリング部112と、昇降機構113と、を備える。そこで、第1の位置ツーリング部111は、第1の基板101の支持および位置の調整をする運び台110上に配置される。第2の位置ツーリング部112は、第2の基板102の支持および位置の調整をするのに利用される。さらに、第1の位置ツーリング部11および第2の位置ツーリング112は、吸入装置(inhaling device)、切り抜き機構、座屈機構、切り抜きおよび座屈機構などのような位置機構をそれぞれ含み、第1の基板101および第2の基板102の位置をそれぞれ調整する。本実施の形態では、第1の位置ツーリング部111および第2の位置ツーリング部112は、第1の吸入装置(inhaling device)1110および第2の吸入装置(inhaling device)1120に対応して設計され、支持および位置調整の機能を実行する。昇降機構113は、第1の位置ツーリング部111および第2の位置ツーリング部112に接続され、第1の位置ツーリング部111および第2の位置ツーリング部112の少なくとも1つの鉛直変位を操作するために利用され、第1の基板101および第2の基板102を押し付ける。
【0020】
さらに説明すると、実際の積層プロセスでは、本実施の形態に係る第2の基板102は、第1の基板101の積層面または第2の基板102の積層面の上に注入器が光硬化液状接着剤103を注入した後にひっくり返されて、第2の基板102の積層面を第1の基板101の積層面に向い合せる。さらにまた、第2の基板102の積層面を第1の基板101の積層面に最初に向い合せて、その後、第1の基板101および第2の基板102の間の空間に注入器が直接進入して、第1の基板101の積層面または第2の基板102の積層面の上に光硬化液状接着剤103を注入するように実行されるものとしてもよい。その結果、第1の基板101、第2の基板102、および光硬化液状接着剤103によって構成される、図1に示した透明多層板の積層構造を形成することができる。
【0021】
次に、照明装置12は、押し付け機構11に対応して配置される。コントローラ13は、押し付け機構11および照明装置12に電気的に接続され、パターンを事前に定義する。操作において、コントローラ13は、照明装置12をコントロールしてパターンに従って透明多層板10上に光線を形成し、光線の照射された位置が積層境界線Lとして形成される。従って、コントローラ13は、押し付け機構11をコントロールして第1の基板101および第2の基板102を押し付けて光硬化液状接着剤103を分布させ、その結果、積層境界線Lまで分布された光硬化液状接着剤103が硬化されて積層境界線からあふれ出なくなる。
【0022】
さらに、光硬化液状接着剤103は透明多層板10の全ての側面まで任意に分布するために、コントローラ13は、照明装置12をコントロールして光線を円形に走査および形成するように設計される。円形光線は、透明多層板10の全ての側面にわたる仮想的な積層境界領域として形成される。言い換えると、光線の照射された位置によって形成された積層境界線Lは、透明多層板10の全ての側面において円形に表れる。
【0023】
そこで、照明装置12は、実際のコントロールプロセスの要求に従って、局部(spot)照明装置または線状(linear)照明装置で設計されることができる。さらに、照明装置12の仕様は、光硬化液状装置103の特性によって決定される。例えば、照明装置12は、波長355±50nmの紫外線(UV)を照明するものとして設計されることができる。さらに、照明装置12が局部照明装置で設計される場合、コントローラ13は、光硬化液状接着剤103の粘度特性に従って局部照明装置の走査レートを調整するようにしてもよい。実際上の設計では、コントローラ13は、例えば、照明装置12をコントロールして、パターンに従って、周波数3Hzで光線を円形に走査および形成するように設計される。
【0024】
本実施の形態に係る積層装置1の構造に関して、支持ブラケット13は、押し付け機構11の支持および位置を調整するのに利用される。従って、照明装置12は、押し付け機構11に支持された透明多層板10に対応して下側に配置され、光線を上方へ形成する。もちろん、本実施の形態の構造に加えて、応用として、支持ブラケット13は、照明装置12を支持および位置調整するように設計されることもできる。従って、照明装置12は、押し付け機構11に支持された透明多層板10に対応して上側に配置され、光線を下方へ形成する。従って、光線を形成する照明装置12の便宜のためには、照明装置12および透明多層板10の間の照明距離を構成することができる任意の構造は、本発明のスコープの範囲内であることを、当業者であれば理解できる。
【0025】
運び台110、第1の位置ツーリング部111、第2の位置ツーリング部112が光線を遮ることを防止するために、運び台110の部分的または全体的な領域が例えば透明材料で設計される、または、運び台110が少なくとも1つの貫通孔(不図示)で穴が開けられるようにしてもよい。そこで、運び台110の透明材料の領域または貫通孔の配置は、透明多層板10の要求される積層境界によって決定されて、照明装置12から形成された光線の経路を遮ることがない。本実施の形態では、運び台110の全体領域を透明材料で設計する。なお、運び台110が貫通孔で穴が開けられる場合、貫通孔はさらに、光線の照明効果を増加させる光導体を用いて埋め込まれる。
【0026】
同様にして、第1の位置ツーリング部111および第2の位置ツーリング部112は、同じ設計理由に基づき、透明材料で設計される。さらに、第1の位置ツーリング部111および第2の位置ツーリング部112にそれぞれ含まれる(第1の吸入装置(inhaling device)1110および第2の吸入装置(inhaling device)1120のような)位置機構は、照明装置12から形成された光線の経路を遮ることはない。
【0027】
照明装置12の構造を説明すると、本実施の形態に係る照明装置12は、ある種の機械的なスライドレールを備えた光照明装置に属する。照明装置12は、移動スライドレール120と、光源放射体121と、処理部122と、を備える。移動スライドレール120に関して、図2を同時に参照して、本実施の形態に係る移動スライドレールの概略的な構造図を説明する。移動スライドレール120は、少なくとも1つの第1のガイドレール1201と、少なくとも1つの第2のガイドレール1202と、を備える。そこで、第2のガイドレール1202は、第1のガイドレール1201上に配置されて鉛直構造を形成し、第1のガイドレール1201を通して第1の方向における変位を操作する。光源放射体121は、第2のガイドレール1202上に配置され、第2のガイドレール1202を通しての第2の方向における変位を操作する。処理部122は、移動スライドレール120、光源放射体121、コントローラ13に電気的に接続されている。さらに、処理部122は、コントローラ13によってコントロールされて、移動スライドレール120および光源放射体121を操作する。
【0028】
実際上の設計では、図2に示された移動スライドレール120の構造を除いて、1つの第2のガイドレール1202が2つの第1のガイドレール1201の上に配置されて、I形状の鉛直構造を形成する。また、1つの第2のガイドレール1202が1つの第1のガイドレール1201の上に配置されて、直交形状の鉛直構造を形成するように直接的に設計されるようにしてもよい。実質的には、本発明は、移動スライドレール120の設計および位置調整の種類を、特に限定するものでない。
【0029】
従って、上述した構造は、透明多層板10を積層する本発明に係る積層装置1を実現することができる。
【0030】
補助的な説明として、コントローラ13に格納される事前に定義されたパターンに関しては、以下の例を与えて初期設定状態における設定方法を説明する。まず、コントローラ13は、要求される透明多層板10の積層領域に従った寸法で走査パターンを描くように操作され、走査パターン上の開始位置を定める。コントローラ13は、さらに操作されて、照明装置12の照明位置が開始位置を狙うように、照明装置12の位置を調整する。コントローラ13は、照明装置12の現在の位置を記録して、開始座標にすることができる。従って、実際の操作状態において、コントローラ13は、照明装置12をコントロールして、走査パターンに従って光線の走査および形成を開始座標から開始する。
【0031】
図3を参照して、本発明の実施の形態2に係る透明多層板を積層する積層装置の概略的な構造図を説明する。描かれているように、本実施の形態に係る積層装置1'の構造および操作原理は、実施の形態1に係る積層装置1に類似する。本実施の形態に係る照明装置12'は、検流計式(galvanometric)照明装置として設計される点が異なる。当業者は、検流計式(galvanometric)照明装置が、モジュール式の光源放射体121'と、処理部122'と、を備えることを理解する。光源放射体121'は、処理部122'によってコントロールされ、内部の水平垂直レンズ(不図示)の振動を通しての光線の照明経路をコントロールする。従って、光源放射体121'は、外部の機械的なスライドレールの設計を省略することができる。光源放射体121'の詳細な機構は、ここではさらに詳細に説明されない。この結果、本実施の形態に係る照明装置12'は、実施の形態1に係る機械的なスライドレールを備えた光形成装置と比較して、光線の経路をより高速に切り替えるものとなる。
【0032】
図4を参照して、本発明の実施の形態に係る透明多層板の積層状態の概略的な図を説明する。本発明は、光線を形成する照明装置12を設けたので、光線が照射された位置が積層境界線Lに形成されて、光硬化液状接着剤102が積層境界線Lからあふれ出ることを防止する。図4の上部に示されるように、第1の基板および第2の基板を押し付けて光硬化液状接着剤103を分布させる時に、透明多層板10の右側側面における積層境界線Lまで光硬化液状接着剤103の一部が分布されて照明装置12の照明位置に形成された場合、光硬化液状接着剤103の一部は、照明によって影響されて直ちに硬化される。
【0033】
その結果、図4の下部に示されるように、光硬化液状接着剤103を分布させ続けると、本発明は、照明装置12のコントロールを通して光硬化液状接着剤103を透明多層板10の右側側面まで連続的に分布させ、あふれ出ることを停止させて防止できる。さらに、透明多層板10の左側側面における積層境界線Lまで光硬化液状接着剤103の他の部分が分布されて照明装置12の照明位置に形成された場合、光硬化液状接着剤103の他の部分もまた、照明によって影響されて直ちに硬化される。従って、本発明は、透明多層板10が、積層境界線Lの内側が光硬化液状接着剤103で一様に満たされ、あふれ出るという問題を有さない。
【0034】
図5を参照して、本発明の実施の形態に係る液状接着剤があふれ出ることを防止する方法のフローチャートを説明する。描かれているように、本実施の形態は、液状接着剤があふれ出ることを防止する方法を提供する。方法は、透明多層板を積層する積層装置に適用される。積層装置は、透明多層板の第1の基板および第2の基板を予め支持するのに利用される。そこで、第1の基板の積層面および第2の基板の積層面の少なくとも1つが、光硬化液状接着剤によってコーティングされている。さらに、この段階で、第1の基板および第2の基板が、積層構造を形成されていることが好ましく、光硬化液状接着剤を通して接近しており、完全に積層することなしに透明多層板を構成する。
【0035】
上述した状態下で、本発明に係る液状接着剤があふれ出ることを防止する方法は、以下のステップを備える。第1の基板および第2の基板を押し付けて、光硬化液状接着剤を分布させるステップ(S501)。この時、光硬化液状接着剤は、任意に分布および広がり、パターンに従って透明多層板上に(局部光線または線状光線のような)光線を円形に形成し、光線が照射された位置が積層境界線に形成される(S502)。照明を通して積層境界線まで分布された任意の光硬化液状接着剤を硬化させる(S503)。従って、積層における光硬化液状接着剤があふれ出ることを防止するという目的を達成することができる。
【0036】
ところで、本実施の形態で説明されたステップS501およびステップS503はまた、光硬化液状接着剤を分布させて光線が形成されたのを確認した後に、第1の基板および第2の基板を押し付けるように、実際に実行する順序において相互に変更可能である。実行する順序は、本実施の形態によって特に限定されない。
【0037】
要するに、本発明は照明によって硬化される光硬化液状接着剤の特性に従った仮想的な積層境界線を提供し、積層において光硬化液状接着剤が容易にあふれ出るという問題を防止するのに利用される。そこで、光硬化液状接着剤の硬化された領域は積層境界線にちょうど配置され、積層境界線の内側の光硬化液状接着剤の部分は、透明多層板が続く硬化プロセスに入るまでの間は硬化されない。従って、続く硬化プロセスに入った段階で、積層境界線の上側および内側の光硬化液状接着剤の全体が硬化される。従って、本発明は、異なった程度での硬化を引き起こさず、硬化された光硬化液状接着剤の品質に影響することがない。さらに、本発明は、構造において透明多層板の基板の修正および設計を必要とせず、積層境界線の機能を持つことができる。さらに、本発明は、積層における光硬化液状接着剤があふれ出ることを防止するという目的を達成することができ、光硬化液状接着剤を積層媒体として利用する積層プロセスの改良および透明多層板の製品の品質の改良に効果的である。
【0038】
特定の実施の形態を示して説明したが、本発明の精神およびスコープを離れることなくして、これに対する種々の変更および取り換えを行ってもよい。従って、本発明は説明として説明されたものであり、限定されるものでないことが理解される。
【符号の説明】
【0039】
1、1' 積層装置、
10 透明多層板、
101 第1の基板、
102 第2の基板、
103 光硬化接着剤、
11 押し付け機構、
110 運び台、
111 第1の位置ツーリング部、
1110 第1の吸入装置、
112 第2の位置ツーリング部、
1120 第2の吸入装置、
113 昇降機構、
12、12' 照明装置、
120 移動スライドレール、
1201 第1のガイドレール、
1202 第2のガイドレール、
121、121' 光源放射体、
122、122' 処理部、
13 コントローラ、
14 支持ブラケット、
L 積層境界線、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明多層板を積層する装置であって、
前記透明多層板上に光線を形成して積層境界線とし、前記透明多層板の第1の基板および第2の基板の間にコーティングされた光硬化液状接着剤が、前記積層境界線からあふれ出ることを防止する、
装置。
【請求項2】
パターンに従って光線を形成する照明装置を更に備え、
前記照明装置は、局部照明装置もしくは線状照明装置で設計される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
透明多層板を積層する装置であって、
前記透明多層板の第1の基板についての積層面および前記透明多層板の第2の基板についての積層面の少なくとも1つが光硬化液状接着剤によってコーティングされており、前記第1の基板および前記第2の基板を支持する押し付け機構と、
前記押し付け機構に対応して配置され、光線の照射された位置が積層境界線となり、前記透明多層板上に前記光線を形成する照明装置と、を備え、
前記押し付け機構は、光硬化液状接着剤を前記積層境界線へと分布させて硬化されるように前記第1の基板および前記第2の基板を押し付ける、
装置。
【請求項4】
前記押し付け機構および前記照明装置に電気的に接続されたコントローラを更に備え、
前記コントローラは、前記押し付け機構をコントロールして押し付けし、前記照明装置をコントロールしてパターンに従って光線を円形に形成する、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記照明装置は、
少なくとも1つの第1のガイドレールと、前記第1のガイドレールに配置されて鉛直構造を形成する少なくとも1つの第2のガイドレールと、を含み、前記第1のガイドレールを介する第1の方向での変位を操作する移動スライドレールと、
前記第2のガイドレールに配置され、前記第2のガイドレールを介する第2の方向での変位を操作する光源放射体と、
前記移動スライドレールと、前記光源放射体と、前記コントローラと、に電気的に接続された処理部と、を更に備え、
前記処理部は、前記コントローラによってコントロールされて、前記移動スライドレールおよび前記光源放射体をコントロールする、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記照明装置は、検流計式(galvanometric)照明装置である、
請求項3または4に記載の装置。
【請求項7】
前記照明装置は、局部照明装置または線状照明装置で設計される、
請求項3〜6いずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記透明多層板に対応して下側に配置されて前記光線を上方へ形成する前記照明装置と一体となり、前記押し付け機構を支持および位置調整する支持ブラケット、または、前記透明多層板に対応して上側に配置されて前記光線を下方へ形成する前記照明装置と一体となり、前記押し付け機構を支持および位置調整する支持ブラケットを更に備える、
請求項3〜7いずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記押し付け機構は、
運び台と、
前記運び台の上に配置されて前記第1の基板の位置を調整する第1の位置ツーリング部と、
前記第2の基板を支持および位置調整する第2の位置ツーリング部と、
前記第1の位置ツーリング部および前記第2の位置ツーリング部に接続され、前記第1の位置ツーリング部および前記第2の位置ツーリング部の少なくとも1つの鉛直変位を操作して前記第1の基板および前記第2の基板を押し付ける昇降機構と、を更に備える、
請求項3〜8いずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記運び台の部分的または全体的な領域は、透明材料で設計される、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記運び台はさらに、少なくとも1つの貫通孔で穴が開けられる、
請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記貫通孔はさらに、光導体で埋め込まれる、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の位置ツーリング部は、位置機構を含み、かつ、透明材料で設計される、
請求項9〜12いずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の位置ツーリング部は、位置機構を含み、かつ、透明材料で設計される、
請求項9〜12いずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記位置機構は、吸入装置(inhaling device)と、切り抜き機構と、座屈機構と、切り抜きおよび座屈機構と、のいずれか少なくとも1つである
請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
液状接着剤があふれ出ることを防止する方法であって、
透明多層板の第1の基板についての積層面および前記透明多層板についての第2の基板の積層面の少なくとも1つに予めコーティングされた光硬化液状接着材を分布させるように前記第1の基板および前記第2の基板を押し付けるステップと、
前記透明多層板上に光線を形成して、当該光線の照射された位置が積層境界線とされ、積層境界領域に分布された光硬化液状接着剤が硬化されるステップと、
を備え、任意の順序でこれらステップが実行される、
方法。
【請求項17】
パターンに従って前記光線を円形に形成するステップを更に備える、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記光線は、局部光線または線状光線で設計される、
請求項16または17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−241190(P2012−241190A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−54110(P2012−54110)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【出願人】(509205375)宸鴻科技(廈門)有限公司 (17)
【Fターム(参考)】