説明

透明植木根袋

【課題】植木鉢の底や周りからの漏水は無駄水であり、毎日の給水もたいへんで、鉢に植えられた植木はたくさん吸水出来たり、干されて枯らされたり植木の環境は変動的である植木鉢の栽培環境を改善する。
【解決手段】透明な厚てのナイロン袋や耐候性に強いフッ素樹脂フイルムで造った袋1の底に、袋の筒周長と同じ辺周長に合わした正方形の変形しない底板2を設置した透明植木根袋を製作して、その底板の上に培養土入れて、底板が袋の変形を拘束することで、四角い底板より上の袋が円柱形になり、座りのよい安定な形の良い植木の支持基盤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物を栽培する従来の植木鉢の容器はすり鉢状の解放型であるのに対して今回の発明は新分野の植木や果樹の根を透明袋で密閉保護して栽培する透明植木根袋に関する新分野である。
【背景技術】
【0002】
従来の開放型の植木鉢は培養土を囲う機能だけで根鉢になるから抜き取りやすいようにすり鉢型で給水した水や雨水が底から抜けるように底穴をあけるというのが従来の広口の解放型植木鉢で、水を貯留する機能は培養土の含水能力だけですぐに乾燥するというのが問題である
給水を忘れたら枯らしてしまう環境にある。吸水出来ないと光合成が十分に出来ないので樹の成長は止まることになる。
果樹が常時吸水出来るような環境を整えてやれば光合成が無駄なく出来て、果樹の成長は水耕栽培のトマトのように、継続成長促進出来る。
果樹は成長を継続出来れば摘果をしなくても咲かせた花のすべてに立派な果樹が実らせる可能性もあるのではないかと考える。
土嚢袋やナイロン袋で栽培することは誰でもやった事はあるが袋そのままでは座りが悪く、ナイロン袋では雨水が溜まりすぎて失敗するが本発明はそれらとは違うのはナイロン袋の底に▲1▼底板を入れる事と▲2▼袋の口を塞いで栽培すること、▲3▼透明な袋で中が見えることの3点を特徴としており、従来の解放型植木鉢とは異なる新規性のある透明植木根袋である。
今はナイロンよりも耐候性に優れたフッ素樹脂フイルムが実用化されていて、これにより大容量の丈夫な袋が製作出来ることにより透明植木根袋の用途の可能性が広がった事も発明した背景技術である
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の開放的な植木鉢は水を給水すると下に流れ出る。
植木鉢の底や周りからの漏水は無駄水であり、毎日の給水もたいへんである、鉢に植えられた植木も人間の気分次第でたくさん吸水出来たり、干されて枯らされたり植木の環境は変動的であり、この変動的な給水環境を改善して光合成に必要な水分の吸収を常時行わせて果樹の成長促進をさせることや、植木鉢の中の根の張り具合も脱鉢しないとわからないのが不便である。このような植木鉢の栽培環境を改善することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
植木鉢を乾燥しない密閉型にするには植木鉢ごとチャック付きナイロン袋に入れて幹で固定しても乾燥は防止出来るが植木鉢の中の根の成長状態は観察出来ない。根の状態は透明ナイロン袋に入れて育てれば見えるが、ナイロン袋に培養土を入れて果樹を植えても袋がくびれたり、接地面が少なくて座りが悪い。これらを改善するには
▲1▼袋の底中央に袋の筒周長と同じ辺長の正方形の底板を入れてその上に培養土を入れると、培養土の水平土圧が袋側面を均等に張り垂直土圧が底板を均等に加圧することで袋の変形を拘束して安定な円柱形の良い植木支持基盤になる。
▲2▼ナイロン袋栽培は皆が試みる既知であるが既知なのは袋の口は開けて雨水が溜まれば抜けるように底に穴を開けた従来の解放型植木鉢と同じタイプであるが、本発明はこれらとは異なるのは雨水が入らないように、又培養土が乾燥しないように袋の口を密閉することに違いがある。
▲3▼従来の植木鉢は材質的に中の根の状況が見えなかったのを透明な袋を採用することで外から袋中の根や滞水状況を観察出来ることこれらの3点を満足させた透明植木根袋に果樹を植え、袋の口を閉めることにより、雨水や虫も入らずに袋内は温室効果で蒸発結露流下を繰り返して培養土は常に含水率100%が維持出来て果樹は常に吸水して光合成が無駄なく進み樹の成長促進になるし、給水は果樹からの水分の蒸発分だけを補充してやればいいので給水回数、量は大幅に軽減出来る事で課題解決になる
【発明の効果】
【0007】
1.袋を密閉するので水分の蒸発は植木の葉っぱからだけとなり、水分の消費量は従来の開放型植木鉢と比較したら格段に少なくなり旅行にいく日の給水量は余分に貯水出来て時間的ゆとりが出来る
2.果樹以外に幹の伸びるトマトトウモロコシなどの野菜も栽培可能である
3.フッ素樹脂フイルムで作った透明植木根袋では熱には−100度から+180度と熱に強いので培養土の熱湯消毒に耐えられるから連作が可能になる
4.袋の口を閉めておけば中は密閉なので温室になり中の水分は蒸発して袋に結露流下環流を繰り返しており、植木に対して簡易温室効果があり、夏場の実施例0010からも細胞活性化されて成長促進が伺える
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】透明ナイロン袋に正方形の底板を入れて培養土を入れると水平土圧で袋は引っ張られて円柱形に変形し、袋の底の角二カ所が耳のように出ているところを上から見た平面図
【図2】透明ナイロン袋の底に底板を入れ、含水率100%の培養土に果樹を植え、袋の口を塞いで、樹には果樹保護袋をかぶせた様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための最良の形態としては透明植木根袋を使用して果樹などを植えて、よりよい果実を収穫することが目的であるがその過程の栽培状態が最良の形態と成る。
果樹栽培において地植えしていても渇水期には水分不足になることもあり、給水の必要性があるが透明植木根袋栽培であると確実に袋の中は保水するので管理をしている限り、水分の吸収がとぎれる時はなく成長が止まる事はない
透明植木根袋は透明なナイロン袋または耐候性に優れたフッ素樹脂フイルムを袋にしてその中に袋の筒円周と同じ辺長さの正方形の変形しない底板を袋の底中央に設置すると袋の角は底板の外側に耳のようにはみ出すがここには培養土は入れないで溜まり水のプールとする。袋の底に水が溜まると耳がふくれて水の量がわかる
ナイロン袋は耐久性が劣るので持ち上げれる程度までならば複数枚の破損予備を重ねて使用するか、又は、太陽光線から遮蔽するのがよい
持ち上げ困難な大型になれば耐久性の優れた透明フッ素樹脂フイルムで大型容量の透明植木根袋を製作する事で破れる心配が無くなる袋の底板の上に含水率100パーセントの粒状培養土をいれて、殺菌消毒した果樹苗を植え付け、保水状態確認の上、果樹の幹で根袋の口を閉じて、洗濯はさみでとめておくのが確実である。
果樹の枝葉には果樹保護袋で保護して虫が付かないようにする
透明植木根袋に植え付けた果樹は陽当たりのよい場所において管理育成する。給水は観察しながら適切に行う。
植木の最初は小さい容量で育成して、樹の成長に合わして適時次頁の表の中の適当な大きさの透明植木根袋に移し替えて栽培をする

発明を実施するための最良の形態を説明するためのモデルを、果樹が結実する樹高さ1.0メートル内の大きさのサクランボ樹等を透明植木根袋に植える状態で説明する。
1.最初は冬初めに買ってきた芽の動いていない苗樹に熱湯消毒を掛けて病気の菌や虫の卵を駆除する
2.チャック付き透明ナイロン袋長さ560*幅400*厚み0.04を3枚重ねにして袋の幅40cmを円柱にすると円周長さは80cmで80cmの正方形辺長さは一辺20cmになる。20cm角に切ったベニヤ板を袋底中央にいれて、袋の角は底板の外に耳のように飛び出した状態の透明植木根袋を製作して、熱湯消毒した果樹を含水率100%の培養土で植え付ける。植え付け深さは底より浮かして根が底水に浸らないように毛細管現象で細根が水を吸う感覚で植えるのがよい。袋の口は乾燥しないようにチャックを閉めておく。上部の枝葉にも果樹保護袋を被せて虫の付かないようにして観察、時々給水して育てる
3.2年もすれば根も伸びるので一回り大きなフッ素樹脂フイルム製袋1000*630mmを二辺溶着して作り、幅63cmの袋筒円周を正方形にすると一辺が315mmになるのでコンパネを315mm角に切って底板を製作する。
切ったコンパネを底板として袋の底中央に設置して袋の角は底板の外に耳のように飛び出した透明植木根袋に製作する、これに植え換え、含水率100%の水がしたたる粒状培養土を25リットルほどを補充する
果樹を植え付けた透明植木根袋の口を果樹の幹で雨水の入らないように絞り込んで締めて開かないように洗濯はさみで固定しておく、果樹上部には虫が付かないように、果樹保護袋を被せて幹に固定して陽当たりの良い場所に安置して樹の成長を待つ。
時々点検して水補給、根の観察、枝葉の管理をして成長を待つ
植え換えは冬に大きめの透明植木根袋に植え替えて成長を見守る
春に花が咲いたら交配して、虫が付かないように果樹保護袋で保護して果実の成熟を待つ、根が伸びて底に張り付いて満担になってきたら培養土の補充か一回り大きな根袋に植え替える、以後同様に栽培継続する。
【実施例】
【0010】
透明ナイロン袋4枚重ね 600*700*0.04の中に30cm角の底板をいれて25リットルの粒状培養土にスイカを植えて袋の口を閉めなかったから雨水が溜り過ぎて枯らしてしまった失敗例と21年4月に屋上で植えていたサクランボのナポレオンを従来の解放型植木鉢に植えていて、7月に給水を怠って枯らしかけて、ほとんど葉っぱの無くなったナポレオンを透明植木根袋のスイカのあとに平成21年7月29日に植えかえて雨がはいらないように口を塞ぎ洗濯はさみで固定して、上部の枝葉には虫のつかないように果樹保護袋を被せて栽培観察を続けた
7月29日以後の給水日は8月18日 8月28日 9月21日 10月21日 11月7日 一回の給水は2リットルを給水した。
従来の解放型植木鉢ならば毎日給水しなければならないが、真夏の日でも間欠給水でよく、給水を忘れたとしても枯らすことは無くなった屋上に植えている大型植木鉢の別のナポレオンに比べても透明植木根袋の方の葉っぱがいつまでも青く順調に成長してきた。
果樹保護袋を被せていたので虫は付かなかったが最初から菌が付いている兆候を感じたので葉っぱが落ちるのを待って熱湯消毒をしたかったがなかなか葉っぱが落ちなくて年をあけてから平成22年1月8日に初めて熱湯消毒が出来た、その湯が給水になった
平成22年の2月時点では根も見えずナイロン袋の交換の必要もないのでそのまま栽培観察を継続して状況をみて袋の交換更新を行いたい
【0011】
実施例2.透明ナイロン袋チャック付き480*340*0.04の三枚重ねで幅34*2=円周68cmで一辺17cmの正方形にベニヤを切って屋上で畑の土を3リットルほど入れて、秋に播いた菜種の苗の花芽軸の伸びた苗を平成22年2月10日に植え換えて雨水の入らないように、伸びた幹の途中で袋の口を塞いで上部の葉っぱは外に出ている状態にした。水分は根袋の中に含まれているので当分給水の必要はない。
このほか野菜類についても栽培を増やしていきたい
【産業上の利用可能性】
【0012】
1.果樹栽培を透明植木根袋で行えば給水手間が軽減できるから、果樹栽培を楽しむ人が増える、
2.乾燥地域においても透明植木根袋で樹木を植えれば、水分の補給さえ続ければ緑化は維持出来るし干害になることはなくなる
3.農作物の生産環境に新天地を開く
【符号の説明】
【0013】
1 袋角(水タンク)
2 底板
3 培養土
4 透明植木根袋
5 果樹
6 果樹保護袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な厚てのナイロン袋や耐候性に強いフッ素樹脂フイルムで造った袋の底に、袋の筒周長と同じ辺周長に合わした正方形の変形しない底板を設置することにより、その上に入れた培養土の水平土圧が袋を均等に引張り、垂直土圧が底板を加圧して、底板が袋の変形を拘束することで、底板より上の袋が円柱形になり、座りのよい安定な形の良い植木の支持基盤になる。培養土の含水率を100%にして果樹等を植えて、樹の幹部分で袋の口を閉めておくと、雨水や虫も入らずに、葉っぱ以外からの水分の蒸発流出はなくなり、袋内での水分の環流と袋内温室の高温多湿で培養土が乾きにくくなるから果樹は常時吸水可能となって、光合成が無駄なく行われ、成長著しく、且つ透明な袋なので滞水状況、根の成長状況を確認しやすく、給水労務が大幅に軽減出来る、透明袋に底板を入れて袋の口を閉められる透明植木根袋

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−182769(P2011−182769A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70895(P2010−70895)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(504454750)
【Fターム(参考)】