説明

透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体

【課題】貼付する発熱体の稼動温度で透明性と伝導性に優れる透明熱伝導性組成物および透明熱伝導性成形体を提供すること。
【解決手段】高分子組成物を主材とする液状のマトリクス材中に熱伝導性充填材を含有し所定温度T(℃)で透明性を有する透明熱伝導性組成物において、下記数式(1)
【数1】



(但し、数式(1)において、n’25:マトリクス材の25℃における最適屈折率、α:マトリクス材の線膨張係数、(dn/dT):熱伝導性充填材の屈折率温度係数、n25:熱伝導性充填材の25℃における屈折率、T:所定温度、をそれぞれ表す。)によって求められるマトリクス材の25℃における最適屈折率n’25とマトリクス材の25℃における実際の屈折率の差が絶対値で0.01未満となる関係を有するマトリクス材と熱伝導性充填材とでなる透明熱伝導性組成物とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明性と熱伝導性を兼ね備えた透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの画像表示装置は、高性能化が進むのに伴い制御モジュールや光源などからの発熱が大きくなっている。そこで、現状の熱対策としては、放熱シートや放熱グリスなどを用いて、熱源からヒートシンクや筐体に熱を逃がすなどの手法が採られている。しかし、さらなる高性能化が進むに従い現状の熱対策では対応できなくなる可能性がある。新たな対策として、画像表示部から放熱させることが考えられるが、画像表示部を構成している透明樹脂は熱伝導性が低いため実現が難しく、この対策を具現化するには透明かつ高熱伝導性を有する材料が求められている。
【0003】
また、液晶ディスプレイのバックライトや照明の光源などに用いられる発光ダイオードにおいて特に高輝度タイプのものは、これら発光素子より発生した熱をより効率的に逃がす放熱経路が必要である。通常輝度タイプの放熱経路は発生した熱をリードフレームや基板を通じて逃がしているが、高輝度タイプの放熱要求に応えるためにはこの放熱経路だけでは不十分である。新たな放熱経路として、レンズ部側から熱を逃がすことが考えられるが、レンズに用いられているエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの透明樹脂は熱伝導性に乏しいため、これらの透明樹脂に熱伝導性を付与することが求められている。
【0004】
以上のような要求に応えるものとして、例えば、熱伝導性に優れる気相法炭素繊維を透明樹脂に配合した特開2007−091884号公報(特許文献1)に記載の透明高熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いた発光ダイオードや、平均繊維径が可視光の波長(380〜800nm)より小さいセルロース繊維を透明樹脂に配合することで透明性と熱伝導性を両立した特開2007−146143号公報(特許文献2)に記載の繊維強化複合樹脂組成物及び接着剤、封止剤が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−091884号公報
【特許文献2】特開2007−146143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの特許文献に記載された発明では透明樹脂内部の充填材の大きさを可視光の波長(380〜800nm)以下にして、透明樹脂の中で光を散乱せずに透明に見えることを利用している。しかし、一般にナノオーダーの大きさの充填材は比表面積が大きいために、樹脂に配合すると粘度が上昇し易く、大量に充填するのが困難である。特に繊維状の充填材の場合は繊維どうしの絡み合いも関係するため、著しく増粘し易い。このため特開2007−091884号公報(特許文献1)記載の樹脂組成物は、気相法炭素繊維の充填量が少なく、不十分な熱伝導率となっている。また特開2007−146143号公報(特許文献2)記載の樹脂組成物は、直径が可視光の波長より小さい繊維を最大で75%含んでおり、熱伝導性、透明性ともに良好な特性を示している。しかし、これだけの量の繊維を充填するためには、セルロース繊維の希薄な水懸濁液と液状樹脂を混ぜ、攪拌しながらの加圧と減圧を何回も繰り返して水と液状樹脂を置換するという非常に煩雑な製造工程を必要としている。
【0007】
このような背景から出願人は、比較的粒径の大きい熱伝導性充填材と、この熱伝導性充填材の屈折率と略同一の屈折率を有するマトリクス材を含む透明な熱伝導性組成物を創作した。このような熱伝導性組成物は、固化させてシート状成形体とすることで発熱体に貼付し、発熱体の熱量や熱設計に応じた温度まで加熱された状態で用いる。ところが、発明者らの実験において、常温で透明な熱伝導性成形体が、温度の上昇にともなって、その透明性が低下することが見出され、見た目には透明な熱伝導性成形体であっても、実際の使用温度では透明性を維持できないことが懸念された。
【0008】
以上のような技術を背景としてなされたのが本発明である。すなわち、本発明の目的は、熱伝導性に優れ、貼付する発熱体の稼動温度で透明性にも優れる透明熱伝導性組成物および透明熱伝導性成形体を提供することにある。また、本発明の目的は簡易な工程で製造できる透明熱伝導性組成物および透明熱伝導性成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく以下の構成を提供する。
即ち、高分子組成物を主材とする液状のマトリクス材中に熱伝導性充填材を含有し所定温度T(℃)で透明性を有する透明熱伝導性組成物であって、下記数式(1)
【数1】



但し、数式(1)において、
n’25:マトリクス材の25℃における最適屈折率
α:マトリクス材の線膨張係数
(dn/dT):熱伝導性充填材の屈折率温度係数
25:熱伝導性充填材の25℃における屈折率
T:所定温度、をそれぞれ表す。
によって求められるマトリクス材の25℃における最適屈折率n’25とマトリクス材の25℃における実際の屈折率の差が絶対値で0.01未満となる関係を有するマトリクス材と熱伝導性充填材でなる透明熱伝導性組成物である。
【0010】
マトリクス材の25℃における実際の屈折率と数式(1)により求められる25℃におけるマトリクス材の最適屈折率(以下、本明細書において単に「最適屈折率」ともいう)との差の絶対値を0.01未満としたため、所定温度Tにおいてマトリクス材の屈折率と熱伝導性充填材の屈折率との差の絶対値を0.01未満とすることができる。なぜなら、所定温度Tにおける熱伝導性充填材の屈折率と同じ値である所定温度Tにおけるマトリクス材の屈折率を基準に数式(1)により求めた25℃におけるマトリクス材の屈折率が最適屈折率n’25であるからである。よって、最適屈折率n’25に対し差の絶対値が0.01未満となる屈折率を25℃で有するマトリクス材を用いれば、その値から数式(1)を介して所定温度Tにおける屈折率を求めると、その温度Tでの熱伝導性充填材の屈折率との差の絶対値が0.01未満となる。
【0011】
したがって、所定温度Tにおいて、マトリクス材中で熱伝導性充填材によって光を拡散しにくくすることができ、所定温度Tで透明性の高い透明熱伝導性組成物を得ることができる。即ち、所定温度Tを、発熱体が稼動している状態の温度とすれば、発熱体が稼動する温度において透明性の高い透明熱伝導性組成物となる。そしてこの透明熱伝導性組成物で成形体を形成すれば、透明性を維持することができ、曇り難く透明性の高い透明熱伝導性成形体を得ることができる。
マトリクス材の25℃における屈折率と数式(1)により求められる25℃における最適屈折率との差の絶対値は0.01未満であるが、0.005未満であることがより好ましい。0.005未満であれば全光線透過率がより高く、ヘイズ値がより低い透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体となるからである。
所定温度Tを、透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を貼付する発熱体の発熱したときの温度、または発熱したと想定したときの想定温度である稼動温度Tとすれば、透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体が実際に用いられる際の温度、または実際に用いられる温度での透明性を高くすることができる。
【0012】
マトリクス材の25℃における最適屈折率n'25は、マトリクス材の線膨張係数(α)と、熱伝導性充填材の屈折率温度係数((dn/dT))、熱伝導性充填材の25℃における屈折率が分かれば所定温度(T)の関数として表されるため、所望の温度(T)において透明性の高い透明熱伝導性組成物を得ることができる。
また、この透明熱伝導性組成物を得るには、マトリクス材と熱伝導性充填材とを配合し混練と脱泡を行って製造することができるため、加圧や減圧などの煩雑な工程を繰り返す必要がない簡単な工程で製造することができる。
【0013】
前記所定温度Tを50℃〜140℃とすることができる。即ち、所定温度Tを50℃〜140℃の範囲内で設定した任意の温度において、透明性の高い透明熱伝導性組成物を得ることができる。50℃より低い温度では、こうした低温で稼動する発熱体は放熱の必要がほとんどなく透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を適用する必要が少ないからである。また、140℃を超える温度では、こうした高温まで発熱してしまう発熱体を冷却するには透明性が劣っても熱伝導率の高い材料を用いる方が好ましく、この場合も透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を適用する必要が少ないからである。
【0014】
厚さ500μm、温度Tで測定したヘイズ値が0%を超え50%以下である透明性を有する透明熱伝導性組成物である。
温度Tにおける500μmの厚さで測定したヘイズ値を0%を超え50%以下の値とすれば、温度Tにおいて高い透明性を有するため、光学用途の熱伝導性部材として好適に用いることができる。
【0015】
熱伝導性充填材の屈折率は等方性とすることができる。熱伝導性充填材の屈折率を等方性とすれば、熱伝導性充填材の方向によらず温度Tでのマトリクス材の屈折率との差を小さくすることができる。
【0016】
主材となる高分子組成物の25℃における実際の屈折率とマトリクス材の25℃における最適屈折率n’25との差を絶対値で0.01未満にする屈折率調整剤を該マトリクス材に含有することができる。主材となる高分子組成物の25℃における実際の屈折率とマトリクス材の25℃における最適屈折率n’25との差を絶対値で0.01未満にする屈折率調整剤を含有することとしたため、主材となる高分子組成物の25℃における実際の屈折率と最適屈折率n’25との差が絶対値で0.01以上あったとしても、屈折率調整剤を含むマトリクス材としては、その差を絶対値で0.01未満とすることができる。そのため、主材となる高分子組成物だけでは透明性が悪い場合であっても屈折率調整剤の添加で透明性を高くすることができる。
【0017】
主材となる高分子組成物と硬化反応を起こす硬化剤をマトリクス材に含有することができる。主材となる高分子組成物との間で硬化反応を起こす硬化剤をマトリクス材の中に含むため、硬化剤独自の屈折率を考慮せずともマトリクス剤の屈折率に反映される。そのため、硬化剤を含んでいても透明性が高く光学用途の熱伝導性部材として好適に用いることができる。
【0018】
熱伝導性充填材の含有量を50体積%〜70体積%とすることができる。熱伝導性充填材を50体積%〜70体積%の割合で含有したため、熱伝導性が良く成形が容易な透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を実現することができる。熱伝導性充填材が50体積%未満では熱伝導性を高め難い。また、70体積%を超えると、透明熱伝導性組成物の粘度が上昇し、また気泡が入り易くなるためその製造が困難になる。また、温度Tにおいてヘイズ値が上がり、曇ってしまうおそれがある。
熱伝導性充填材の含有量は60体積%〜70体積%であることがより好ましい。熱伝導性が低くなく、透明性が高くヘイズ値が低い透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体が得られるからである。
【0019】
25℃における10rpmでの粘度は、5000mPa・s〜300000mPa・sとすることができる。25℃における10rpmでの粘度が、5000mPa・s〜300000mPa・sとすれば、透明熱伝導性組成物を幅広い用途に適用することができる。例えば、シート状やフィルム状に容易に成形することができる。また発熱体を含む電子部品間の隙間に透明熱伝導性組成物を流し込んで成形することができ、入り組んだ隙間であってもその隙間を透明熱伝導性成形体で埋めることができる。また、透明熱伝導性成形体を発熱体に密着させることができ、熱伝導性能の高まりを期待することができる。粘度が5000mPa・s未満であると、加工性は良好であるが熱伝導性充填材の配合量が少なくなりがちで熱伝導性が低い傾向にあり、粘度が300000mPa・sを超えると、透明熱伝導性組成物が流動し難くなり、また製造も困難である。
【0020】
そして、前記何れかの透明熱伝導性組成物の固化体である透明熱伝導性成形体を提供する。前記何れかの透明熱伝導性組成物を固化した透明熱伝導性成形体であれば、熱伝導性に優れ、所定温度Tにおいて透明性が高い成形体であり、光学用途の熱伝導性部材として好適に用いることができる。また、所定温度Tを適宜変更しても、その変更した温度において透明性の高い透明熱伝導性成形体を得ることができ、発熱体の性能に応じた透明熱伝導性成形体を容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、発熱体の稼動温度に応じた温度で透明性が高い透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を実現することができる。
また、本発明の透明熱伝導性組成物は、加圧や減圧などの煩雑な工程を繰り返す必要が無くマトリクス材と熱伝導性充填材とを配合し、混練と脱泡を行う簡単な工程で製造することができる。さらに本発明の透明熱伝導性成形体もこの透明熱伝導性組成物を固化することで簡単に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を具体的な実施形態に基づいて説明する。なお、以下の説明において稼動温度Tとは、透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を用いて放熱する発熱体の発熱したときの温度、または発熱したと想定したときの想定温度を示す。換言すれば、透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体が実際に用いられる際の温度、または実際に用いられる温度と想定される温度を示す。
【0023】
透明熱伝導性組成物
透明熱伝導性組成物は、高分子組成物を主材とした液状で透明なマトリクス材中に熱伝導性充填材を含有している。
マトリクス材は、熱伝導性充填材を包含するバインダーの役割を果すものであり、液状で透明または半透明である。このマトリクス材は、主材となる高分子組成物を含んでいる。
マトリクス材の屈折率は、稼動温度Tにおける熱伝導性充填材の屈折率との差が絶対値で0.01未満であることが要求される。稼動温度Tでのマトリクス材と熱伝導性充填材との屈折率差がその絶対値で0.01未満とすれば、稼動温度Tにおいてマトリクス材中で熱伝導性充填材による光の散乱を起こしにくくすることができ、透明性の高い透明熱伝導性組成物を実現することができる。そしてこの透明熱伝導性組成物で成形体を形成すれば、透明性を維持することができ、稼動温度Tにおいて透明性の高い透明熱伝導性成形体を得ることができる。
【0024】
絶対値の差が0.01以上であると、マトリクス材中を透過する光がマトリクス材と熱伝導性充填材の界面で屈折し、光が散乱してしまい透明性が損なわれる。
このように稼動温度Tにおけるマトリクス材の屈折率と熱伝導性充填材の屈折率との差の絶対値の値を0.01未満にするためには、25℃における熱伝導性充填材の屈折率と、以下に説明するマトリクス材の最適屈折率n'25との差を0.01未満にすれば良い。このマトリクス材の最適屈折率n'25について説明する。
【0025】
透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体は、電子機器の発熱体に貼付される放熱部材であるから室温より高い温度環境下で用いられる。しかし、マトリクス材の屈折率温度係数と熱伝導性充填材の屈折率温度係数は異なるため、室温でのマトリクス材の屈折率と熱伝導性充填材の屈折率とが略同等であっても、稼動温度Tではマトリクス材と熱伝導性充填剤の屈折率に差が出てしまう。その結果、稼動温度Tでの透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体の透明性が損なわれてしまう。稼動温度Tで透明性を高くするためには、稼動温度Tでのマトリクス材の屈折率と熱伝導性充填材の屈折率を略同等にする必要がある。
【0026】
熱伝導性充填材の稼動温度Tでの屈折率をn、25℃での屈折率をn25とすると、熱伝導性充填材の屈折率温度係数(dn/dT)は、次の数式(2)で表せる。
(dn/dT) =(nT−n25)/(T−25)・・・(2)
【0027】
これを変形すると、次の数式(3)となる。
=n25+(T−25)(dn/dT)・・・・・(3)
即ち、熱伝導性充填材の25℃における屈折率n25と屈折率温度係数(dn/dT)から稼動温度Tにおける熱伝導性充填材の屈折率nを計算することができる。
熱伝導性充填材の屈折率温度係数(dn/dT)は、温度調整機能の付属する屈折率測定装置(例えばSAIRON TECHNOLOGY社製の「プリズムカプラSPAシリーズ」)で測定することができる。例えばシリカでは(dn/dT)=10×10−6である。また、熱伝導性充填材の25℃における屈折率n25は、ベッケ法などの測定手法により測定することができる。例えばシリカではn25=1.4585である。
【0028】
一方、マトリクス材の屈折率温度係数(dn/dT)は、次の数式(4)で表すことができる。
(dn/dT)=(n'25−1)×(−3α)・・・・・(4)
但し、n'25はマトリクス材の25℃での最適屈折率
αはマトリクス材の線膨張係数を示す。
また、マトリクス材の屈折率温度係数(dn/dT)は、熱伝導性充填材の屈折率温度係数を表す数式(2)と同様に次の数式(5)でも表すことができる。
(dn/dT)=(n−n25)/(T−25)・・・・(5)
【0029】
数式(4)と数式(5)から、次の数式(6)を導くことができる。
(n−n25)/(T−25)=(n'25−1)×(−3α)・・・(6)
数式(6)を変形すると次の数式(7)になる。
n'25={n−3α(T−25)}/{1−3α(T−25)}・・・(7)
【0030】
ここで、稼動温度Tでの透明熱伝導性組成物の透明性を高めるためには、nがnと略同等であることを発明者らは見出している。そのことから、n=nとして、数式(7)のnにnである数式(3)の右辺を代入すると、次の数式(1)を導くことができる。
【数2】


【0031】
この数式(1)の中で、マトリクス材の線膨張係数αは熱機械分析装置などでその値を容易に測定することができる。例えば、シリコーンゴムでは290×10−6/℃程度である。
したがって、稼動温度Tで稼動する発熱体に用いるマトリクス材の25℃における最適屈折率n’25は、マトリクス材の線膨張係数α、熱伝導性充填剤の25℃における屈折率n25、熱伝導性充填剤の屈折率温度係数(dn/dT)から数式(1)を用いて計算で求めることができるのである。
数式(1)を用いることにより、透明熱伝導性組成物を製造する場合に、稼動温度Tの下でマトリクス材の屈折率を測定する必要がなくなり、透明熱伝導性組成物の設計効率を大幅に高めることができる。
【0032】
液状のマトリクス材の主材となる高分子組成物には、液状樹脂材料のほか、樹脂前駆体も含んでも良いものとし、この樹脂前駆体には、反応して樹脂材料となるモノマーやオリゴマーが含まれる。さらに高分子組成物は熱伝導性充填材を多量に配合するため、液状で低粘度であることが好ましい。
また、このマトリクス材には、主材となる高分子組成物以外にこの高分子組成物との間で硬化反応に寄与する硬化剤や、架橋剤、反応開始剤、可塑剤、溶剤などの更なる添加材を含んでいても良い。また、後述する屈折率調整剤を含んでいても良い。
例えば、主材である高分子組成物の粘度が高い場合や成形後の成形体の硬度を小さくしたい場合に可塑剤を添加したり、主材となる高分子組成物を可溶な溶剤で希釈したりすることができる。こうした添加材は透明性が高い方が好ましく、透明であることがより好ましい。
なお、上記添加材は、マトリクス材の25℃における最適屈折率との差の絶対値が0.01未満となる範囲で添加されている必要がある。
【0033】
高分子組成物の材質としては、例えば、ビニル基を有する液状シリコーン、官能基を有する(メタ)アクリレート、2つ以上のエポキシ基を持つエポキシモノマーなどが挙げられる。また、硬化剤には、高分子組成物との間で硬化反応を起こす種々の硬化剤を用いることができる。例えば、Si−H基を有するシリコーン、無水フタル酸化合物などが挙げられる。硬化剤も透明または半透明の硬化剤を用いることが好ましい。
そして、紫外線や電子線などの活性エネルギー線による方法、熱をかけて熱重合させる方法など、またこれらを併用して、液状の高分子組成物を架橋、硬化させることができる。
【0034】
屈折率調整剤は、主材となる高分子組成物の屈折率と熱伝導性充填材の屈折率との稼動温度Tにおける差が大きい際に、マトリクス材の屈折率と熱伝導性充填材の屈折率との稼動温度Tにおける差を絶対値で0.01未満に調整するものである。
但し、透明熱伝導性組成物の調製時においては、最適屈折率との差の絶対値が0.01以上である場合に添加して、25℃におけるマトリクス材の実際の屈折率と最適屈折率の差が絶対値で0.01未満にするものである。
【0035】
主材となる高分子組成物の屈折率と最適屈折率との差が0.01未満となるような材料の組合せは選択肢が少ないので、その差が大きい組合せであっても、屈折率調整剤を用いることによって透明性の高い透明熱伝導性組成物を実現することができる。
【0036】
このような屈折率調整剤は、高分子組成物と混ざり合って透明になる必要がある。そして、高分子組成物の屈折率が熱伝導性充填材の屈折率より大きい場合には、屈折率調整剤の屈折率が熱伝導性充填材の屈折率より小さいものを選定する。また、高分子組成物の屈折率が熱伝導性充填材の屈折率より小さい場合には、屈折率調整剤の屈折率が熱伝導性充填材の屈折率より大きいものを選定する。
なお、屈折率調整剤は、高分子組成物と反応する官能基を持っていてもよい。また、硬化剤を屈折率調整剤として用いることもできる。
屈折率調整剤は、例えば、高分子組成物がシリコーン樹脂の場合にそのシリコーン樹脂とは別のシリコーン樹脂やシリコーンオイル等が挙げられる。
【0037】
次に、屈折率調整剤の適用例を例示する。主材となる高分子組成物に液状シリコーン樹脂を用い、熱伝導性充填剤にシリカを用いた場合は、稼動温度T=100℃とすると、マトリクス材の線膨張係数α=290×10−6/℃(主材となる液状シリコーン樹脂の線膨張係数と略同一であるため主材となる高分子組成物である液状シリコーン樹脂の線膨張係数で代替)、熱伝導性充填剤の25℃における屈折率n25=1.4585、熱伝導性充填剤の屈折率温度係数(dn/dT)=10×10−6であるから、これを上記数式(1)に代入してマトリクス材の最適屈折率n'25を計算すると、1.4913となる。そこで、液状シリコーン樹脂に屈折率調整剤としてシリコーンオイル等を添加して、25℃における実際のマトリクス材の屈折率を1.4813を超え1.5013未満に調整すれば、100℃で透明性が高い透明熱伝導性組成物が得られることになる。
【0038】
同様の計算を各温度に対して行うと、稼動温度が50℃のときは25℃での屈折率を1.4689±0.01に(理解の容易のために「1.4689±0.01」としたが、正確には『1.4589を超えて1.4789未満』の意である。以下同様とする)、60℃のときは1.4733±0.01に、70℃のときは1.4776±0.01に、80℃のときは1.4821±0.01に、90℃のときは1.4821±0.01に、110℃のときは1.4960±0.01に、120℃のときは1.5008±0.01に、130℃のときは1.5058±0.01に、140℃のときは1.5108±0.01に、それぞれ調整すれば良い。
【0039】
熱伝導性充填材としては、無機物や有機物でなる充填材を用いることができる。なかでも熱伝導率が高いことから無機物充填材を用いることが好ましいが、光を透過しない金属製の無機物充填材を用いることは難しい。
熱伝導性充填材としての無機物充填材は、その25℃での屈折率が1.38〜1.65であることが好ましく、1.42〜1.60であることがより好ましい。25℃での屈折率が1.65より大きい無機物充填材や1.38より小さい無機物充填材を用いると、屈折率の差の絶対値を0.01未満にするように調整できるマトリクス材がある程度決まってくるため、マトリクス材の選択範囲が狭まり、また透明熱伝導性組成物の調製が困難になる。25℃の屈折率が1.42〜1.60となる無機物充填材であれば、高分子組成物や屈折率調整剤の選択が容易になる。
【0040】
25℃で屈折率が1.42〜1.60である無機物充填材としては、水酸化アルミニウムや、水酸化マグネシウム、シリカなどが挙げられる。ここで、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムは、それらを熱伝導性成形体の熱伝導率値から推定して8W/m・K程度の熱伝導率を有すると予想されている。シリカは、結晶性のもので8W/m・K程度(結晶c軸方向で10.4W/m・K、c軸に垂直方向で6.2W/m・K)、非結晶性のものでは1.38W/m・Kの熱伝導率を有する。
【0041】
熱伝導性充填材の屈折率は、異方性が小さいほど好ましく、屈折率の異方性が無いこと、即ち、屈折率が等方性であることがより好ましい。熱伝導性充填材の屈折率が等方性であれば、熱伝導性充填材の方向によらずマトリクス材の屈折率との差を小さくすることができる。
熱伝導性充填材の形状は、略球状であることが好ましい。表面が滑らかでない破砕されたままの熱伝導性充填材を用いると、マトリクス材と熱伝導性充填材との界面で光が散乱してしまうおそれや、界面の気泡が抜けずに残ってしまい、透明性を低下させるおそれがある。こうした観点から球状シリカの方が破砕状シリカに比べて好ましい。
【0042】
熱伝導性充填材の平均粒径は、1μm以上であることが好ましい。平均粒径が小さい熱伝導性充填材は比表面積が大きいため、平均粒径が大きい熱伝導性充填材と比較して得られる透明熱伝導性組成物の粘度が高くなり、熱伝導性充填材の高充填が困難になる。より好ましい熱伝導性充填材の平均粒径は4μm以上である。
また、熱伝導性充填材の最大粒子の粒径は15μm以下であることが好ましい。形状が略球状である充填材は、粗大粒子に気泡を含有していることが多いため、マトリクス材に配合した際に透明性が低下するおそれがある。より好ましくは、10μm以下である。
【0043】
熱伝導性充填材の含有量は、透明熱伝導性組成物全体に対して50体積%〜70体積%であることが好ましい。熱伝導性充填材の含有量が50体積%未満では熱伝導性を高め難い。熱伝導性充填材の含有量が70体積%を超えると、透明熱伝導性組成物の粘度が上昇し、また気泡が入り易くなって、透明熱伝導性組成物の製造が困難になるからである。また、熱伝導率を高める観点からは、熱伝導性充填材を60体積%〜70体積%含有することがより好ましい。熱伝導性が低くなく、透明性が高くヘイズ値が低い透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体が得られるからである。
【0044】
以上のような透明熱伝導性組成物の製造当初の粘度は、25℃で回転速度10rpmの条件において、5000mPa・s〜300000mPa・sであることが好ましい。粘度が5000mPa・s未満である場合、熱伝導性組成物が流れ易く加工性が悪く、また熱伝導性も高くなりにくい。粘度が300000mPa・sを超えると、透明熱伝導性組成物の流動性が劣り、攪拌し難く、脱泡し難いためにこの透明熱伝導性組成物から得られる透明熱伝導性成形体に気泡が入り易くなる。さらに透明熱伝導性成形体が硬く脆くなり易い。粘度が5000mPa・s〜300000mPa・sの範囲であれば、容易にシート状やフィルム状に成形することができ、また発熱体を含む電子部品間の隙間に透明熱伝導性組成物を流し込んで成形することもできるなど、透明熱伝導性組成物を幅広い用途に用いることができる。
【0045】
透明熱伝導性成形体
上記の透明熱伝導性組成物から形成される透明熱伝導性成形体は、稼動温度Tで厚さ500μmにおけるヘイズ値(曇価)が50%以下であることが好ましい。ヘイズ値は、透明熱伝導性成形体の内部又は表面の不明瞭な曇り様の外観の度合いを意味し、ヘイズ値が高い程この曇り様の外観の度合いが強く表れていることを示す。全光線透過率が90%以上と高い値を示しても、白い曇り様の外観となるようなヘイズ値が高い場合は透明性に優れるとはいえない。したがって、稼動温度Tにおいてヘイズ値を50%以下とすると、透明性に優れ、光学用途の熱伝導性部材として好適に用いることができる。
【0046】
透明熱伝導性成形体の製造方法について説明する。
まず、マトリクス材と熱伝導性充填材とを混合して透明熱伝導性組成物を調製する。次に真空下で攪拌することにより脱泡する。そして、透明熱伝導性組成物を金型等に注入し固化させることで透明熱伝導性成形体を得る。
また、高分子組成物が溶剤に可溶な熱可塑性樹脂である場合には、熱可塑性樹脂を溶剤に溶かし、屈折率調整剤と熱伝導性充填材を添加して撹拌したのち、キャストしてシート状やフィルム状に成形することもできる。
さらにまた、ディスプレイの表面や照明の光源の表面に透明熱伝導性組成物を塗布したり、発熱体を含む電子部品等の隙間に透明熱伝導性組成物を流し込んだりした後、この透明熱伝導性組成物を硬化させて透明熱伝導性成形体を形成することができる。
【実施例】
【0047】
次に実験例から本発明を説明する。
[1.試料の調製] 本実験例では、マトリクス材に以下の液状シリコーンAを用い、熱伝導性充填材に以下の非晶性球状シリカを用いて、稼動温度Tを100℃としたときの上記数式(1)に基づいてマトリクス材の最適屈折率を計算した。そして、この最適屈折率の値に対する屈折率値の差が種々に変化するように、さらに屈折率調整剤を調整添加した以下に示す試料1〜試料3を作製した。
実験に用いた液状シリコーンAの硬化物の線膨張係数はα=290×10−6/℃であり、シリカの25℃における屈折率はn25=1.4585、非晶性球状シリカの屈折率温度係数は(dn/dT)=10×10−6である。これを数式(1)に代入するとマトリクス材の最適屈折率がn'25=1.4913と計算される。なお、液状シリコーンB、Cの硬化物の線膨張率の値は略同じであったため、それらの混合物の最適屈折率も同じ値であるとした。
【0048】
試料1: 高分子組成物としての液状シリコーンA(主剤であるモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:XE5844(A))25.0重量部と、その硬化剤A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:XE5844(B))25.0重量部の液状混合物50.0重量部と、屈折率調整剤として液状シリコーンB(Gelest社製、商品名:PDV−1625)45.5重量部と、液状シリコーンC(Gelest社製、商品名:HDP−111)4.5重量部を混合し、さらに硬化触媒(Gelest社製、商品名SIP6832.2)0.0025重量部を添加してマトリクス材を調製した。次にこのマトリクス材に、熱伝導性充填材として屈折率が等方性で略球状の非晶性球状シリカ(株式会社龍森製、PLV−6、平均粒径4.3μm、屈折率1.4585)413重量部を加え、攪拌と真空脱泡を行い、透明熱伝導性組成物を調製した。なお、透明熱伝導性組成物において前記熱伝導性充填剤は66.7vol%である。
【0049】
その透明熱伝導性組成物を樹脂フィルム上に塗布して、もう一枚の樹脂フィルムで挟み、気泡を生じないようにして一定の厚さとなるようにロールで延伸し、それを120℃の恒温槽で20分間放置して透明熱伝導性組成物を硬化させてシート状の透明熱伝導性成形体を製造した。
一定の厚さとしては、全光線透過率及びヘイズ値の測定用試験片としての500μmと、熱伝導率測定用の試験片としての5mmの2種類とした。こうして得た透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を試料1とした。試料1の組成は表1に示す。
マトリクス材の25℃での屈折率は1.4893であり、最適屈折率との差の絶対値は0.0020であった。
【0050】
試料2: 高分子組成物として上記液状シリコーンA:45.0重量部と、その上記硬化剤A:45.0重量部の液状混合物:90.0重量部と、屈折率調整剤として液状シリコーンD(東レダウコーニング社製、商品名:OE−6520A)5.0重量部とその硬化剤D(商品名:OE−6520B)5.0重量部の液状混合物:10.0重量部を混合してマトリクス材を調製した。次にこのマトリクス材に、熱伝導性充填材として上記非晶性球状シリカ:413重量部を加え、攪拌と真空脱泡を行い、透明熱伝導性組成物を調製した。
この透明熱伝導性組成物を試料1と同様にして透明熱伝導性成形体を製造した。こうして得た透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を試料2とした。試料2の組成も表1に示す。
マトリクス材の25℃での屈折率は1.5108であり、最適屈折率との差の絶対値は0.0195であった。
【0051】
試料3: 高分子組成物として上記液状シリコーンB:80.6重量部と、硬化剤B(東レダウコーニング社製、商品名:PRK−3 CATALYST−A)1.0重量部の液状混合物:81.6重量部と、屈折率調整剤として液状シリコーンE(Gelest社製、商品名:DMS−H03)18.4重量部と、上記硬化触媒:0.0050重量部を混合してマトリクス材を調製した。次にこのマトリクス材に、熱伝導性充填材として上記非晶性球状シリカ:413重量部を加え、攪拌と真空脱泡を行い、透明熱伝導性組成物を調製した。
この透明熱伝導性組成物を試料1と同様にして透明熱伝導性成形体を製造した。こうして得た透明熱伝導性組成物及び透明熱伝導性成形体を試料3とした。試料3の組成も表1に示す。
マトリクス材の25℃での屈折率は1.4604であり、最適屈折率との差の絶対値は0.0309であった。
【0052】
【表1】

【0053】
[2.試験方法] 試料1〜試料3について、透明熱伝導性組成物の「粘度」と、マトリクス材の「25℃での屈折率」、透明熱伝導性成形体の「100℃での全光線透過率」、「100℃でのヘイズ値」、「熱伝導率」を測定した。その結果を表1に示す。
【0054】
粘度: 試料1〜試料3の透明熱伝導性組成物の回転速度10rpm、25℃での粘度を回転粘度計(ブルックフィールド社製、商品名:DV−E型、スピンドルNo.14)を用いて測定した。
25℃での屈折率: 熱伝導性充填材を添加する前の試料1〜試料3のマトリクス材を硬化させ、マトリクス材のみでなる成形体を製造した後、25℃での波長589nmにおける屈折率を屈折計(株式会社アタゴ製、アッベ屈折計DR−M2)を用いて測定した。
100℃での全光線透過率および100℃でのヘイズ: 厚さ500μmの透明熱伝導性成形体である試料1〜試料3で全光線透過率及びヘイズ値測定用の試験片を作製した。そして、スガ試験機株式会社製TMダブルビーム方式ヘイズコンピューターHZ−2を用いて、発熱体の稼動温度を想定した100℃で全光線透過率及びヘイズ(曇価)を測定した。なお、上記温度条件を除いてJIS K7136記載の条件とした。
熱伝導率: 透明熱伝導性組成物である試料1〜試料3から厚さ5mmの熱伝導率測定用の試験片を作製し、各試験片について、京都電子工業株式会社製迅速熱伝導率計QTM−500を用いて薄膜測定法にて熱伝導率を測定した。
【0055】
[3.試験結果] 試料1の透明熱伝導性成形体は、100℃での高い全光線透過率と低いヘイズを有しており、かつ高い熱伝導率を示している。
試料2の透明熱伝導性成形体は、熱伝導率は高い値を示したものの、マトリクス材の100℃での屈折率が熱伝導性充填材の100℃での屈折率よりも高くなり、その差は0.0195と大きくなっている。この結果、透過光が散乱して全光線透過率が低下し、ヘイズが高くなっている。
試料3の透明熱伝導性成形体についても、熱伝導率は高い値を示したものの、マトリクス材の100℃での屈折率が熱伝導性充填材の100℃での屈折率よりも低くなり、その差が0.0309と大きくなっている。その結果、透過光が散乱して全光線透過率が低下し、ヘイズが高くなっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子組成物を主材とする液状のマトリクス材中に熱伝導性充填材を含有し所定温度T(℃)で透明性を有する透明熱伝導性組成物であって、下記数式(1)
【数1】



但し、数式(1)において、
n’25:マトリクス材の25℃における最適屈折率
α:マトリクス材の線膨張係数
(dn/dT):熱伝導性充填材の屈折率温度係数
25:熱伝導性充填材の25℃における屈折率
T:所定温度、をそれぞれ表す。
によって求められるマトリクス材の25℃における最適屈折率n’25とマトリクス材の25℃における実際の屈折率の差が絶対値で0.01未満となる関係を有するマトリクス材と熱伝導性充填材でなる透明熱伝導性組成物。
【請求項2】
前記所定温度Tが、50℃〜140℃である請求項1記載の透明熱伝導性組成物。
【請求項3】
厚さ500μm、温度Tで測定したヘイズ値が0%を超え50%以下である透明性を有する請求項1または請求項2記載の透明熱伝導性組成物。
【請求項4】
前記熱伝導性充填材の屈折率が等方性である請求項1〜請求項3何れか1項記載の透明熱伝導性組成物。
【請求項5】
主材となる高分子組成物の25℃における実際の屈折率とマトリクス材の25℃における最適屈折率n’25との差を絶対値で0.01未満にする屈折率調整剤を該マトリクス材に含有する請求項1〜請求項4何れか1項記載の透明熱伝導性組成物。
【請求項6】
前記主材となる高分子組成物と硬化反応を起こす硬化剤を前記マトリクス材に含有する請求項1〜請求項5何れか1項記載の透明熱伝導性組成物。
【請求項7】
熱伝導性充填材の含有量が50体積%〜70体積%である請求項1〜請求項6何れか1項記載の透明熱伝導性組成物。
【請求項8】
請求項1〜請求項7何れか1項記載の透明熱伝導性組成物の固化体である透明熱伝導性成形体。

【公開番号】特開2012−82314(P2012−82314A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229588(P2010−229588)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】