説明

透明電気活性システム

本発明は、電気活性物質を収容する閉空間(12)の同じ側面上に隣接配置された2つの電極(2、3)を含む透明電気活性システムに関する。2つの電極は、250μm未満の距離を置いて分離されている。閉空間の内部に向かって延びる障壁(1)は、電極間に配置される。よって、電極間の分離は視認できない。電気活性物質間の相互中和が防止される。電気活性物質は、閉空間内に互いに分離されたセル(5)内に収容されることが有利である。よって、障壁(1)は、セル間の分離壁(4)とは異なるか、又はセル間の壁の一部と同化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な電気活性システムに関する。
【0002】
本発明は、とりわけ異なる酸化還元電位を有する電気活性物質を内蔵する透明な電気活性システムに関する。このような物質は、電気化学的に活性であり、その各々は、この物質の場所で生成される電位を用いて、酸化型と還元型との間で変換することができる。該物質はエレクトロクロミック物質とすることができ、読者はこの主題について次の文献を参照することができる:P. M. S. Monk, R. J. Mortimer and D. R. Rosseinsky, Electrochromism and electrochromic devices, 2007, Cambridge University Press(非特許文献1)。
【背景技術】
【0003】
このような物質から、電気信号を用いて変更可能な光透過特性を有する透明なシステムを製造することが知られている。この目的のために、電気活性物質は、その酸化還元電位と、その酸化型と還元型との間での光吸収率及び/又は色の変化とに応じて、選択される。よって、本システムの光透過率及び/又はその色は、電気的命令により変更することができる。
【0004】
電気的命令は、電気活性物質を含む媒体と接触する2つの電極間に印加される電位差又は電流である。この媒体は、液体及び/又はゲルであり、これにより電気活性物質の各々が一方の電極に向けて拡散又は移動することができる。第1の物質は、高い方の電位を有する電極と接触すると、酸化される。同時に、第2の物質は、低い方の電位を有する電極と接触すると、還元される。よって、2つの物質は、酸化型及び還元型に対して逆の型に変換される。システムの光透過率及び/又は色の全体的変化は、各物質の酸化型と還元型との間での、吸収率及び/又は色の個別の変化からもたらされる。
【0005】
2つの電極は、透明である。これらは、酸化スズインジウム(ITO: Indium Tin Oxide)を基にし、例えばフッ素などでドープした酸化スズ(FTO: Fluorine Tin Oxide)を基にし、十分に薄い金属フィルムを基にし、又は不可視の金属メッシュなどを基にすることができる。
【0006】
2つの電極は、電気活性物質を有する媒体を囲む空間の2つの対向する側面上に配置することができる。しかし、このようなシステムの構成では、システムを透過する所定の光線は、一方の電極を通過し、電気活性物質を含む媒体を通過し、次に他方の電極を通過する。よって、2つの電極のそれぞれの残存光の吸収は、累積的であり、システムの光透過率の低減を引き起こす。現在電極に用いられている材料は、かなりの光吸収率を有し、特定用途にとってはシステムを過度に暗くする。
【0007】
電気活性システムの構成の可能な代案によれば、2つの電極は、電気活性物質を含む媒体の1つの側面上だけに隣接配置することができる。しかし、この代案構成により製造されるシステムは、完全に透明ではない。該システムは、電極の材料とこれらの電極を分離するギャップ内にある材料との屈折率の差により、光を散乱又は回折させ得る。さらに、2つの電極を分離する距離が長い場合、これらの電極を分離するギャップは、これらの電極を形成する材料とギャップを形成する材料との異なる光吸収率により、可視になる。
【0008】
逆に、2つの電極を分離する距離が短い場合、該電極間にストリップが現れ得る。該ストリップ内では、電気活性物質が互いに相手を中和する。このような中和は、システムの漂白の進行を引き起こす。なぜなら、2つの電極のうち一方の電極上で反応した物質は、他方の電極に向かって拡散又は移動し、他方の電極から発生する物質と反応するからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】P. M. S. Monk, R. J. Mortimer and D. R. Rosseinsky, Electrochromism and electrochromic devices, 2007, Cambridge University Press.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的の1つは、透明であり、上述した欠点を有しない電気活性システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明は、透明電気活性システムを通した明瞭な視覚を可能にする該透明電気活性システムを提供し、該透明電気活性システムは次のものを備える:
− 閉空間を規定する外壁であって、上記システムは、該外壁と、2つの対向する側面間にある該閉空間とを通る視線方向について透明である外壁;
− 上記閉空間内に収容された液体及び/又はゲル;
− 電子移動表面上で上記液体又はゲルと接触し、可変電源の2つの端子にそれぞれ接続するための2つの透明電極;
− 上記液体又はゲル中に分布し、それぞれ異なる酸化還元電位を有する第1及び第2の電気活性物質であって、該第1及び第2の電気活性物質のうち少なくとも一部は、これらの物質の酸化型と還元型との間で可変の光学効果を有する、第1及び第2の電気活性物質。
【0012】
本発明のシステムは、上記2つの電極が、上記2つの外壁のうち同じ1つの外壁に支えられ、上記液体又はゲルを収容する上記閉空間の側面のうち同じ1つの側面上に、この外壁と平行に隣接配置され、これらの電極間の分離距離が250μm(ミクロン)未満であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本システムは、上記2つの電極間に、高さhに延びる障壁をさらに備える。高さhは、物質の移動性、電極に印加される電場、及びシステムの幾何学的形状に依存させることができる。一般的に、上記2つの電極の上記電子移動表面の平均レベルから測定されるこの高さは、1μm(ミクロン)〜20μmである。
【0014】
よって、本発明によるシステムは、透明であるとともに、上記2つの電極が上記電気活性物質を収容する空間の同じ側面上にある構成を有する。この構成により、所定の光線は、2つの電極の両方ではなく片方のみを通過する。よって、本システムは、高度の光透過率を示すことができる。
【0015】
本明細書において、「透明」という用語は、システムの一方の側に配置されたあらゆる物体又は光景を、他方の側からこのシステムを通して明瞭に見ることができることを意味することを、理解すべきである。換言すれば、本システムを通過する光は、視覚を不鮮明にし得るような悪影響を受けない。特に、該光は、散乱又は回折されないため、システムの第1の側の、システムから離れた場所に配置された点光源は、他方の側からシステムを通して、点として知覚される。
【0016】
さらに、2つの電極は、これらを支える共通壁に対して平行に、互いに十分に近接しているため、これらの電極を分離するギャップは裸眼では見えない。このようにして、本発明を実現するシステムは、美的であり、光学分野、眼科分野、及び特に建築分野における、数多くの用途に用いることができる。2つの電極を分離する距離は、さらに見えにくくするためには、100μm未満とすることが好ましく、1μm〜40μmとすることがさらに好ましい。
【0017】
最後に、本発明は、2つの電極間に配置される障壁を、電極どうしを分離するギャップ内に設ける。障壁は、電気活性物質を収容する空間の内部に向かって延びる。この十分な高さの障壁により、一方の電極から他方の電極への電気活性物質の拡散又は移動(マイグレーション)が阻止又は低減される。これにより、2つの電極のいずれか一方で還元又は酸化された電気活性物質の大幅な相互中和が起こらなくなる。よって、本システムは、2つの電極間に、光学的変化を自発的に制御できない中間ストリップを示さない。換言すれば、光透過率及び/又は色の変化を能動的に生じさせるシステムの有効領域が増加する。よって、本システムは、より高く明確なコントラストを有することができる。障壁の高さは、2つの電極の電子移動表面の平均レベルから5μm以上であることが好ましい。よって、電極で酸化又は還元された物質の残りの中和を生じさせやすい、2つの電極間の電気活性物質の残りの拡散又は移動が、さらに低減される。
【0018】
本発明の第1の利点は、電気活性物質が分散している媒体の液体又はゲル状態からもたらされる。この状態により、電気活性物質は2つの電極のいずれか一方へとより急速に拡散又は移動することができる。よって、本システムは、電源により印加される電圧を変化させることにより供給される切り換え信号に対して、短い応答時間を示す。この媒体の液体又はゲル状態は、本システムの製造工程も簡略化する。
【0019】
第2の利点は、ただ1つの壁により支えられる2つの電極を有する構成からもたらされる。この構成により、本システムは、より簡単に、より少ない処理工程数で、製造することができる。特に、2つの電極は、共通の堆積及びエッチング工程により、同時に製造することができる。さらに、本システムの組立中に、2つの外壁を、互いに対して整列することがもはや必要でなくなる。
【0020】
本発明の改良案によれば、本システムは、上記閉空間を、外壁と平行に隣接配置されたセルに分割する壁を形成する内壁の網目を、さらに備えることができる。よって、2つの電極の少なくとも一方が、各セル内に収容される液体又はゲルと接触する。このような2つの外壁間に囲まれた空間の分割により、システム全体の電気活性物質を含む液体又はゲルが、セルのうち1つが開放されたときにシステムの外部に流出し得ない。開放されたセル内に収容された液体又はゲルのみが漏出し得るため、開放されたセルを除く全てのセルについて、本システムの完全性及び機能性が維持される。特に、このような分割により、本システムは、切断経路に沿った部分を除いて、損傷無しに切断することが可能になる。
【0021】
さらに、内壁は、外壁間の一定距離を維持するスペーサー機能を有することができる。本システムが鉛直に配向される場合、内壁は、特に、液体又はゲルの静水圧の影響下で、外壁が底部で分離するのを防止する。随意に、内壁は、液体又はゲル内のデカンテーションをも防止する。
【0022】
内壁の各々は、外壁に対して垂直な向きの、障壁の高さ以上の高さを有することができ、好ましくは5μm〜25μmの高さを有することができる。実際には、電気活性物質を含むこのような厚さの媒体により、2つの電極間に印加される電圧変化により制御される2つの極限のスイッチング状態間で、大幅なコントラストが得られるようになる。
【0023】
本発明の第1の好適例によれば、セルの少なくとも一部について、2つの電極の各々は、各セル内に収容された液体又はゲルと接触し、障壁の一部分は、セル内で2つの電極間に配置される。よって、セル内に収容された液体又はゲルは、第1及び第2の電気活性物質の両方を含む。よって、各セルは、電気制御スイッチング中のシステムの動作に関連して、他のセルから独立している。この場合、各セルは、密閉して他のセルから隔離することができる。これにより、化学変化が隣接セル間を伝播することを防止することができる。
【0024】
本発明の第2の好適例によれば、セルの少なくとも一部について、2つの電極のうち一方のみが、各セル内に収容された液体又はゲルと接触する。よって、これらのセルのうち、一方の電極により給電される第1のセルは、他方の電極により給電される第2のセルと、隣接している。また、本システムは、2つのセル間に、塩橋を備える。該塩橋により、個別のセル毎に、電荷のバランスがとれていることが保証される。よって、分離した電極によりそれぞれが給電される2つの隣接セルを分離する内壁は、本発明により提供される2つの電極間で、障壁の一部分を形成する。この場合、この障壁の一部分は、本システムの一方の外壁から他方の外壁へと延び、3μmを越える高さを有し、好ましくは5μmを越える高さを有する。2つの電極は、2つの隣接セル内にそれぞれ配置されたエッジを有し、これらのエッジは依然として少なくとも150μmだけ分離され、好ましくは少なくとも100μmだけ分離され、さらに好ましくは5μm〜40μmの距離だけ分離されている。
【0025】
2つの電極間に印加される電圧により制御されるシステムの異なる状態間で、高い光学的コントラストが望まれる場合、第1及び第2の電気活性物質の各々は、これらの物質の酸化型又は還元型間で可変な光学効果を有することができる。
【0026】
特に、第1及び第2の電気活性物質は、酸化型又は還元型の少なくとも一方で、それぞれの色を、該色どうしがこれらの型に関連して補色になるように、有することができる。これにより、これらの色は、本システムが動作するときに、同時に現れる。この場合、2つの電極は、システムを見る距離からこれらの補色を区別できなくなるような間隙幅で、有利に交互に配置することができる。これにより均一な平均色を知覚することができる。
【0027】
本発明の他の改良案によれば、本システムは、2つの電極間に配置された透明絶縁材料のストリップをさらに備えることができる。このストリップ及びこれらの電極は、電極の電子移動表面に対して直角に伝播する可視光の光波に対して、ストリップ及び電極のそれぞれが等しい位相遅延を生じさせるように設計されたそれぞれの光学的厚さを有することができる。このようにして、電極のエッジ又は電極を分離するギャップが引き起こし得る光の散乱又は回折が、低減又は防止される。よって、システムの透明度が向上する。
【0028】
代案として、また、本システムの透明度の向上という目的で、本システムは、2つの電極間に配置された、可視光の少なくとも一部を吸収する物質をも備えることができる。この吸収物質は、電極と同じ外壁により、電極と同じ側で支えられることが好ましい。
【0029】
また、本システムの透明度の向上という目的で、電極どうしを分離するギャップの形態は、不規則とすることができる。これにより、電極の規則正しい配列が引き起こす散乱又は回折を、空間内で平均化する。「不規則な形態」という表現は、直線的でもなく、4つ未満の直線部分からなる反復パターンも有しない形態を意味することを、理解すべきである。障壁の形態は、ギャップの形態に相似させることができる。壁の形態は、場合によっては不規則とし、壁により引き起こされる散乱又は回折をさらに低減することが有利である。
【0030】
これらの様々な改善により、システムの透明度が向上する。また、これらの改善により、高い透明度を維持しつつ、電極どうしを分離するギャップの増加が可能になる。
【0031】
本発明による透明電気活性システムは、幅広い用途に利用することができる。特に、該システムは、窓ガラス、例えば建物の前面の窓ガラス、眼鏡レンズ、ヘルメットバイザー、又はマスクレンズを形成することができる。
【0032】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照した、以下の非限定的な実施形態の説明により、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明によるシステムの断面図である。図1及び2はそれぞれ別個の構成に対応する。
【図2】本発明によるシステムの断面図である。図1及び2はそれぞれ別個の構成に対応する。
【図3】図3a及び図3bは、本発明によるシステムの平面図であり、図1に係るシステムの可能な電極の輪郭を示す。
【図4】図4a及び図4bは、本発明によるシステムの平面図であり、図2に係るシステムの可能な電極の輪郭を示す。
【図5】図5a及び図5bは、それぞれ図1及び図2に係る拡大図であり、本発明を改良した代案実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付の図面を明瞭にするために、図面に示す要素の寸法は、実際の寸法と実際の寸法比とのいずれにも相当しない。さらに、異なる図面内の同一の参照符号は、同一の要素又は同一の機能を有する要素を示す。
【0035】
さらに、詳細に説明する本発明の実施形態は、眼科分野に関連する。しかし、この応用分野は、一例としてとりあげるに過ぎず、本発明は異なる適用分野で同様に利用することができることは明らかである。
【0036】
図1及び2によれば、2つの外壁10及び11は、両者間に閉空間12を規定する。壁10及び11は、互いに平行であり、平坦又は湾曲しており、任意の面積を有する。例えば、壁10は、透明有機フィルム、眼鏡レンズ、又は眼鏡ブランクとすることができる。壁11は、透明有機キャッピングフィルムとすることができる。この場合、壁10は、現在眼科分野で使用されている、あらゆる透明有機又は無機材料製とすることができる。壁11は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET: Polyethylene Terephthalate)製、環状オレフィンコポリマー(COC: Cyclic Olefin Copolymer)製、トリアセチルセルロース(TAC: Triacetyl Cellulose)製、又はポリカーボネート(PC: Polycarbonate)製とすることができる。さらに、壁11は、壁10を形成する眼鏡レンズの凹面上に配置することができる。壁11の厚さは、壁11をレンズ10と組み立てる際に用いる方法に適合させることができる。例えば、該厚さは、50μm〜200μmとすることができる。さらに、壁10及び11の各々は、複合構造とすることができる。特に、これらは、それぞれ、ベース壁要素と該ベース壁要素上に配置された一つ以上の被覆とを備えることにより、該ベース壁要素に付加的な特性を与えることができる。非限定的な例として、これらの被覆は、反射防止機能、汚れ防止機能、機械的保護機能、UV保護機能、又は気体遮断機能などを有することができる。
【0037】
壁10又は壁11が透明有機フィルムである場合、この積層を有機又は無機基板上へと移動することができる。この場合、壁10又は代わりに壁11は、該基板と接触させて配置することができる。
【0038】
壁10は、2つの分離した電極2及び3を、空間12に向けて配向された壁10の側面上で支えている。これらの電極は、当業者に既知のあらゆる導電材料製とすることができる。例えば、これらはITO製とすることができる。電極2及び3は、これらの電極を分離するギャップISを除く壁全体を覆うように、壁10の領域に対して相補的なそれぞれのパターンを有することができる。ギャップISは、壁10上で、2つの電極を互いに電気的に絶縁する。例えば、電極2及び3は、交互に組み合わさったそれぞれのくし状のパターンを有することができる。
【0039】
図3a/4b及び図3b/4bは、それぞれ電極2及び3の2つの可能なパターンを示している。これらの図では、参照符号2a及び3aは、電極2及び3を電源(図示せず)の出力端子に接続するための端子をそれぞれ示す。該電源は、システムを制御し、システムに電流を供給するために用いる。
【0040】
図3a及び4aのパターンは、直線状である。各電極2、3は、それぞれベース分枝2b及び3bと、対応するベース分枝にそれぞれ接続された延長部2c及び3cとを備える。延長部2c及び3cは、ベース分枝2b及び3bと平行な方向に交互に配置され、ギャップISを除く壁10を完全に覆う。
【0041】
図3b及び4bのパターンは、不規則である。換言すれば、電極2及び3は、外壁10及び11と平行な、不規則な輪郭を有する。このような不規則な輪郭は、相当量の光が、電極の輪郭により特定の方向に回折されるのを防止する。このようにして、本システムが外部の観察者に対して旋回される際、又は眼鏡レンズの着用者の眼がレンズを通して異なる方向を見る際に、ちらつきが観測されない。電極2及び3の輪郭は、壁10及び11に平行な2次元の不規則性を有することが好ましい。「2次元の不規則性」という表現は、壁10及び11に平行な全ての方向の不規則性を意味することを理解すべきである。障壁1は、電極の不規則パターンに対して整列されている。壁4の形態は、壁により引き起こされる散乱又は回折をさらに低減するように、不規則に構造化することが有利である。これにより、システムを通過する光線に生じうる全ての偏向に対して、ちらつきを低減又は防止することができる。
【0042】
電極2と3を分離するギャップISの幅dは、一定、かつ1μm〜40μmとすることができる。例えば、幅dは、20μmにほぼ等しくすることができる。
【0043】
電極2c及び3cの延長部の幅eは、10μm〜5000μmとすることができる。例えば、幅eは、平均、約50〜500μmとすることができる。
【0044】
電極2及び3は、壁10に対して垂直な、同じ厚さe2、例えば0.3μmを有することができる。
【0045】
随意に、透明材料のストリップ7を、2つの電極2及び3の間のギャップIS内に配置することができる。ストリップ7は、壁10に垂直な向きの電極の厚さに応じた、壁10に垂直な向きの厚さを有する。このようにして、電極2及び3は、ストリップ7とともに、電極のいずれか一方を通って、又はギャップISを通って、システム10を通過する光線に対して、壁10全体に渡って均一な位相遅延を生じさせることができる。図1及び2において、Dは、本発明のシステムを、該システムの2つの対向する側面間を通って通過する光線の経路を表している。Dは、壁10及び11に対して垂直又は非垂直とすることができる。ストリップ7により、電極2及び3のエッジにより散乱又は回折される光の強度を低減することが可能になる。例えば、ストリップ7は、酸化チタニウム(TiO2)製又はアルミナ(Al2O3)製とすることができ、ストリップ7の厚さe7は式Δn7 × e7 = Δn2 × e2を用いて決定することができる。ここで、Δn7及びΔn2は、空間12内の媒体に対する、ストリップ7の材料の屈折率と電極2、3の屈折率との差をそれぞれ示す。
【0046】
代案として、本システムは、電極2及び3の間のギャップIS内に配置された、可視光の少なくとも一部を吸収する物質をも備えることができる。このような物質も、電極2及び3のエッジにより散乱され得る光を低減する。このような吸収物質は黒色であることが有利である。本システムに吸収物質を導入する経済的な方法によれば、1つ以上の染料を、好ましくは電極2及び3の間で壁10内に拡散させることができる。このような吸収物質は、図5a及び5bにおいて8で参照される。
【0047】
電気活性物質は、閉空間12内に収容され、電極2及び3とともに可逆的な電気化学システムを形成する。既知の方法で、これらの物質は、異なる酸化電位に関連する少なくとも2つの別個の電気化学的対に属さなければならない。よって、第1の物質は第1の電気化学的対に属し、その各々は酸化型と還元型とを有する。これらの第1の物質の各々は、電源の正端子に接続された2つの電極2及び3の各々と接触すると、その還元型から酸化型へと変換される。第1の物質は、その初期の酸化型にあるときに、電源の負端子に接続された電極と接触すると、逆の変換を受ける。2つの酸化型及び還元型が異なる光吸収特性又は色を有するとき、これらの変換の各々は、対応する電極にてシステムの光透過率又は色の変化を生じさせる。
【0048】
同様に、第2の物質は、各々が酸化型及び還元型を有する第2の電気化学的対に属する。この第2の対の挙動は、第1の対の挙動と同一である。電極2と3の間に印加される電圧が該2つの対の酸化電位の差より大きい場合、低い方の酸化電位を有する対の酸化物質は、所定瞬時に電源の負端子に接続されている、2つの電極2又は3の酸化物質と反応する。他方の対の還元物質は、他方の電極と反応する。よって、本システムは、電源により送られる電圧により制御される光スイッチングを生成する。
【0049】
電極2と3の間に印加された電圧が除去されると、2つの対の物質は反応し合い、自発的にそれぞれ初期の酸化型及び還元型に戻る。これにより、システムは、その初期の光学的態様を回復する。逆方向の光スイッチングが得られる。
【0050】
第1及び第2の電気活性物質は、当業者に既知の電気化学的対から選択することができる。非限定的な例として、これらは、エレクトロクロミック物質、例えばビオロゲン、カルバゾール、フェニレンジアミンをベースとした化合物、キノンをベースとした化合物、ナフトピランをベースとした化合物などとすることができる。これらは、空間12を充填する液体又はゲル内に分散させることができる。これにより、これらの物質が、電極2及び3のいずれか一方と電気化学的に反応するように移動可能であることが保証される。この分散媒体は、2つの電気化学的対の酸化型及び還元型の両方の溶媒とすることができる。例えば、第1の電気活性物質が過塩素酸エチルビオロゲン(0.2M)であり、第2の電気活性物質がN,N,N’,N’-テトラメチルフェニレンジアミン(0.2M)である場合、この分散媒体はプロピレンカーボネートをベースとすることができる。
【0051】
2つの電気化学的対の物質の各々は、それぞれの酸化型と還元型との間で可変な光学効果を有することができる。この場合、本システムの光スイッチングは、一方の対の酸化方向と他方の対の還元方向の、2つの電気化学的対のそれぞれの光学的変化の組み合わせである。特に、一方の対の物質は、その酸化型又は還元型のうち一方において発色することができ、他方の対の物質は、その酸化型又は還元型のうち他方において発色することができる。この場合、これらの色は、電極を介して本システムに適用される電気的命令に応じて、同時に現れ又は消える。これらが同時にそれぞれ対応する電極で現れる場合、本システムの見掛けの色は、電極が十分に微細な間隙幅で交互に組み合わさっている場合、均一であると知覚され得る。特に、電極の交互配置の間隙幅は、観察者とシステムとの間の距離に応じて選択することができる。該見掛けの色は、各発色した物質の実際の色の混合色である。
【0052】
随意に、それぞれの電極で同時に現れ又は消える2つの対の物質は、ほぼ同一の色を有することができる。
【0053】
代案として、一方の対に属する第1又は第2の電気活性物質は、その酸化型とその還元型との間で可変な光学効果を有することができる。これに対し、他方の対に属する他の物質は、その酸化型とその還元型との間で光学的に可変ではない。この場合、光学的に可変でない物質への電子の移動のみを行う電極2又は3のうちいずれか一方は、光学的に可変な物質と電子を交換することのみを行う他方の電極の電子移動表面より小さい電子移動表面を有する。よって、2つの対のうち1つが光学的に可変でないにも関わらず、壁10の領域を、スイッチング状態間で高い光学的コントラストを得るために用いることができる。
【0054】
本発明による電極間に配置された障壁は、図面内において1で参照される。該障壁は、システムの内部にある壁10の側面から、又はストリップ7が存在するときはストリップ7から、電極2と3の間で空間12内に延びる。障壁1の高さ及び厚さは、それぞれh及びfと示す。厚さfは、0.1μm以上、例えば0.5μm〜8μmとすることができる。
【0055】
電極2及び3のそれぞれの電子移動表面は、壁10に対して平行である。これらは図1及び2でそれぞれS2及びS3と示す。ほとんどの場合、これらは、2つの電極を支える壁10の側面より、電極の厚さe2に相当する1レベルだけ上にある。この場合、障壁1の高さhは、2つの電極2及び3の電子移動表面の共通レベルから測定する。一般的な場合には、特に電子移動表面が壁10より共通の1レベルだけ上に無い場合、高さhは、電極の電子移動表面のそれぞれのレベルの平均レベルから測定する。
【0056】
障壁1は、液体又はゲル内の電気活性物質に対して、電極2と3の間の距離を増加させ、電極2及び3のエレクトロマイグレーションを低減する。この増加により、2つの電極のいずれか一方と反応した各対の物質は、大きく増加した拡散又は移動時間後まで、互いに出会うことができない。実際には、障壁1の高さh次第では、この時間は、システムの2つの逆のスイッチング状態間で切り換えるための連続した命令を隔てる時間より、ずっと長い場合がある。よって、それぞれの電極で還元又は酸化された2つの対の物質の相互の中和反応が防止される。よって、本システムは、2つの電極間に、電気的に制御される状態に対応しない発色のストリップを示すことがない。さらに、本システムの電流消費量も低減される。
【0057】
さらに、本明細書で説明する本発明の好適な実施形態では、空間12は、内壁4の網目によりセル5に分割される。壁4は、外壁10から、又は外壁10により支えられ得る要素から、空間12の内部に延びる。壁4は、特に、電極2及び3のいずれか一方により、又はシステム内にストリップ7があるときはストリップ7により、支えることができる。内壁4の各々は、壁10に対して垂直な向きに、1〜50μmの高さ、好ましくは5〜25μmの高さを有し、約0.5μmの厚さを有することができる。壁4の網目は、空間12の分割壁を形成することにより、電気活性物質を含む液体又はゲルがセル5内に分配されて包囲される。そして、調節された組成を有する、適量の液体又はゲルを、例えばラミネーションにより全てのセル5内に均一に導入し、又は例えばインクジェットヘッドなどの材料射出ヘッドを用いて各セル5内に個別に導入する。次に、セル5を、壁10と反対側で、外壁11によりキャッピング(蓋付け)する。このために、接着剤からなるフィルム13を、外壁11と内壁4の上部との間に配置することができる。フィルム13の厚さは、良好な接着を保証するように選択する。フィルム13は、例えば8〜15μmの厚さを有することができ、ポリスチレン(PS)製、ポリアクリロニトリル(PAN)製、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)製、ポリメチルメタクリレート(PMMA)製、ポリウレタン(PU)製、等とすることができる。
【0058】
障壁1及び内壁4は、少なくとも1つの有機材料、無機材料、又はハイブリッド材料をベースとすることができる。この材料は、特にエンボス加工、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スピンコーティング、又は噴霧と、これに続くエッチング工程とにより、外壁10上に堆積させることができる。この材料は、例えばシリカ(SiO2)又はアルミナ(Al2O3)とすることができる。代案として、障壁1及び内壁4は、フォトレジスト製とすることができる。
【0059】
よって、本システムは、時系列順に次のステップを外壁10上で実行することにより製造する:電極2及び3を形成し、随意にストリップ7又は8を形成し、障壁1及び内壁4を形成し、セル5を充填する。次に、壁10及び11を組み合わせて、完成したシステムを閉じる。
【0060】
本発明によるシステムの2つの異なる構成によれば、障壁1を、内壁4から分離し、又は壁4の一部と一致させることができる。しかし、一般的に、本発明による障壁1の使用が、空間12を隣接配置されたセルに分割するための内壁4の使用から独立していることは明らかである。
【0061】
障壁1が内壁4から分離している第1の構成を、図1、3a、3b、及び5aに示す。障壁1の高さhは、例えば5μmとし、壁4の高さは20μmとすることができる。この第1の構成では、各セル5は、電極2の一部分及び電極3の一部分の両方と、2つの電極の一部分どうしの間にある障壁1の一部分とを、収容する。各セル5内に収容される液体は、2つの電気化学的対の各々の物質を同時に含む。よって、各セル5は、他のセルから独立しており、全てのセルは、2つの電極間に印加される同じ電圧に応答して、並行して動作することができる。よって、各セル5を密閉し、隣接セル間を通過できる材料が無いようにすることができる。例えば、フィルム13は、外壁11と内壁4の上部との両方に接着する、感圧材料製とすることができる。該感圧材料は、通常、感圧接着剤を略してPSAと呼ばれる。
【0062】
第2の構成では、図2、4a、4b、及び5bに示すように、障壁1は内壁4の一部と一致する。よって、該当する壁4が、障壁1の一部分を構成する。この場合、障壁1の高さhは、壁4の高さである。この第2の構成では、各セル5は、電極2又は電極3のいずれかに属する単一の電極部分のみを収容する。さらに、一方の電極の一部分を収容する各セルは、他方の電極の一部分を収容する少なくとも1つの他のセルに隣接している。システムが切り換えられるとき、2つのセルは、電池のように、相補的な方法で動作する。これらの条件下で、各セル5は、特に2つの電極2及び3に適用されるそれぞれの極性に応じて、2つの電気化学的対のうち一方のみの物質、あるいは両方の物質を、収容することができる。次に、一方が電極2により給電され、他方が電極3により給電される、2つの隣接したセルを、塩橋6により電気的に繋げる。このような塩橋の電気的挙動及び組成は、当業者に知られているものと考える。塩橋6は、電解質の全ての電気活性種及びイオン化種に対して透過性とすることができ、又は第1及び第2の電気活性物質に対して不透過性とすることができる。この2つ目の場合では、電気活性物質の各々は、隣接セルのうち一方の中に恒久的に収容することができる。このようにして、各セルが、該セルに給電する電極により活性化されない電気化学的対に属する物質を収容しないようにすることができる。これにより電気活性物質の節約がもたらされる。
【0063】
第1の変形例によれば、塩橋6は、電極2、3と対向する側面上に、内壁4の最上部に配置されるゲル又は膜のフィルムにより構成することができる。塩橋6を構成するこのようなフィルムは、特に内壁4の高さに応じた厚さを有する。この厚さは、壁10及び11に対して垂直な向きに、例えば約10μmとすることができる。随意に、このゲルは、壁10及び11を互いに対して固定することにより、システムの凝集を保証するフィルム13を構成することもできる。
【0064】
第2の変形例によれば、一方が電極2により給電され、他方が電極3により給電される、2つのセル5を分離する内部壁4は、塩橋を形成することができる。このために、この壁を、多孔質かつイオンに対して透過性とし、イオンが2つのセル間を移動可能にすることができる。この場合、壁4より上方の封止を密封にし、封止自体を、電気活性物質も電解質のイオン種も通過し得ないようにすることができる。
【0065】
壁4より上方に形成される塩橋6と、壁4により形成される塩橋との、2つの変形例は、所定システム内で同時に用いることができる。
【0066】
第2のシステム構成は、酸化型又は還元型で補色を有し、これらの補色が、システムが切り換えられるときに同時に生成される、少なくとも3つの電気化学的対が、隣接したセル群と関連しているときに、特に有利であり得る。なぜなら、このセル群は、これにより、高い光透過率状態と低い光透過率状態との間で切り換わるシステム領域の1要素として、微視的に現れるからである。これら2つの状態は、中間色を有する場合がある。よって、各セル群の寸法は、観察者と電気活性システムとの間の距離に応じて選択することができる。
【0067】
塩橋が第1及び第2の電気活性種に対して不透過性である様々な場合には、発色後の種の再結合が完全に防止される。このように形成されたシステムは、双安定である。逆方向の電圧又は電流を印加することにより、漂白が得られる。
【0068】
本発明は、上述した利点の少なくとも一部を維持しつつ、以上で詳細に説明した実施形態に対してシステムに変更を加えた上で、利用できることは明らかである。特に、特定要素の寸法及び材料は、各用途に適合させることができる。図3a、3b、4a、及び4bに示す電極パターンは、変更することができる。
【0069】
さらに、本発明は、エレクトロクロミックシステム以外の電気活性システムを製造するために利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電気活性システムを通した明瞭な視覚を可能にする該透明電気活性システムであって、該透明電気活性システムは、
閉空間(12)を規定する外壁であって、前記システムは、該外壁と、2つの対向する側面間にある前記閉空間とを通る視線方向(D)について透明である外壁(10、11)と、
前記閉空間(12)内に収容された液体及び/又はゲルと、
電子移動表面上で前記液体又はゲルと接触し、可変電源の2つの端子にそれぞれ接続するための2つの透明な電極(2、3)と、
前記液体又はゲル内に分布し、それぞれ異なる酸化還元電位を有する第1及び第2の電気活性物質であって、前記第1及び第2の電気活性物質のうち少なくとも一部は、該第1及び第2の電気活性物質の酸化型と還元型との間で可変の光学効果を有する、第1及び第2の電気活性物質とを備え、
前記2つの電極(2、3)は、前記2つの外壁のうち同じ1つの外壁(10)により支えられ、前記液体又はゲルを収容する前記閉空間(12)の側面のうち同じ1つの側面上に、前記外壁と平行に隣接配置され、前記電極間の分離距離(d)は250μm未満であり、
前記システムは、前記2つの電極(2、3)間に、前記閉空間の内部に向かって1μm〜20μmの高さ(h)に延びる障壁(1)をさらに備え、前記高さは、前記2つの電極の前記電子移動表面の平均レベルから測定される
ことを特徴とする透明電気活性システム。
【請求項2】
前記障壁(1)の高さ(h)は、前記2つの電極(2、3)の前記電子移動表面の前記平均レベルから5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記2つの電極(2、3)を分離する前記距離(d)は100μm未満であり、好ましくは1μm〜40μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記閉空間(12)を、前記外壁(10、11)と平行に隣接配置されたセル(5)に分割する内壁(4)の網目をさらに備え、
前記2つの電極(2、3)のうち少なくとも一方は、各前記セル内に収容された前記液体又はゲルと接触している
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記内壁(4)の各々は、前記外壁(10、11)に対して垂直な向きに、前記障壁(1)の高さ以上の高さを有し、好ましくは15μm〜25μmの高さを有することを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記セル(5)の少なくとも一部について、前記2つの電極(2、3)の各々は、各前記セル内に収容される前記液体又はゲルと接触し、
前記障壁(1)の一部分は、前記セル内の前記2つの電極間に配置され、
前記セル内に収容される前記液体又はゲルは、前記第1及び第2の電気活性物質の両方を含む
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記セル(5)の少なくとも一部について、前記2つの電極(2、3)のうち一方のみが、各前記セル内に収容される前記液体又はゲルと接触し、
一方の前記電極(2)により給電される第1の前記セルは、他方の電極(3)により給電される第2の前記セルに隣接し、
前記2つのセル間に塩橋(6)があり、
前記内壁(4)は、前記第1と第2のセルを分離して前記2つの電極間の前記障壁(1)の一部分を形成する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項8】
前記塩橋(6)は、前記第1及び第2の電気活性物質に対して不透過性であることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記塩橋(6)は、前記電極(2、3)に対向する側面上に、前記内壁(4)の最上部に配置されたゲル又は膜のフィルムからなることを特徴とする請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1及び第2の電気活性物質の各々は、該第1及び第2の電気活性物質の酸化型と還元型との間で可変な光学効果を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記第1及び第2の電気活性物質は、酸化型又は還元型の少なくとも一方で、それぞれの色を有し、該色どうしは前記型に関連して補色であり、前記システムが動作するときに前記色が同時に現れることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記2つの電極(2、3)は、前記2つの電極を支える前記外壁(10)に対して平行に、1 mm未満の間隙幅で、交互に配置されていることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1又は第2の電気活性物質は、当該電気活性物質の酸化型と還元型との間で可変な光学効果を有し、
前記第1及び第2の電気活性物質の他のものは、当該電気活性物質の酸化型と還元型との間で可変な光学効果を有さず、
可変な光学効果を有しない前記電気活性物質への電子の移動のみを行う一方の前記電極(2、3)は、可変の光学効果を有する前記電気活性物質への電子の移動のみを行う他方の前記電極(2、3)より、小さな電子移動表面を有する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記障壁(1)は、少なくとも1つの有機材料、無機材料、ハイブリッド材料、又はフォトレジストをベースにすることを特徴とする請求項1〜13に記載のシステム。
【請求項15】
前記2つの電極(2、3)間に配置された透明絶縁材料のストリップ(7)をさらに備え、
前記電極と前記ストリップのそれぞれの厚さは、前記電極の前記電子移動表面に対して直角に伝播する可視光の光波に対して、前記電極と前記ストリップのそれぞれが等しい位相遅延を生じさせるように設計されている
ことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記可視光の少なくとも一部を吸収し、前記2つの電極(2、3)の間に配置された物質(8)をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記吸収物質は黒色であることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記吸収物質は、前記電極(2、3)の側、かつ前記電極(2、3)間で、前記電極(2、3)を支える前記外壁(10)内に拡散した少なくとも1つの染料を備えていることを特徴とする請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記電極(2、3)は、前記外壁(10、11)に平行で不規則な輪郭を有することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記電極(2、3)の輪郭は、前記外壁(10、11)に平行な2次元の不規則性を有することを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
窓ガラス、眼鏡レンズ、ヘルメットバイザー、又はマスクレンズを形成することを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2012−505426(P2012−505426A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530530(P2011−530530)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051911
【国際公開番号】WO2010/040954
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(504268065)エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク) (16)
【Fターム(参考)】