説明

透気性中詰め材の透気性確認試験方法及び透気性確認試験装置

【課題】中詰め材の透気性を標準的に評価する指標を確立し、各種成分の中詰め材に対して、適正な透気性を有するか否かを標準的な指標を基にして迅速に確認することができる確認試験方法を提供する。
【解決手段】試験対象の中詰め材によって形成され、側面に気密樹脂を塗布した設定高さ(L)及び一定断面積(A)を有する柱状供試体Mを、内部に支持する外枠10と、柱状供試体Mの開放された端面の一方(m1)に空気を流入させる空気流入パイプ12の放出端12aを支持すると共に、外枠10を支持する支持台11と、空気流入パイプ12を流れる空気の流量を計測する流量センサ20と、空気流入パイプ12に流入される空気の圧力を計測する圧力センサ21と、空気流入パイプ12に空気を設定された一定圧力で流入する空気供給装置30とを備えた試験装置1を用い、計測された圧力(h)と流量(Q)によって、透気係数K=(L/h)×{Q/(A・t)}を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアモルタル等の透気性中詰め材の透気性確認試験方法及び透気性確認試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガス導管をトンネル内に配管する際に使用されるエアモルタル等の中詰め材は、ガス導管からの漏洩ガスを速やかに検知できるように良好な透気性が求められる。しかしながら、このような中詰め材の透気性を標準的に評価する指標は確立しておらず、各種成分の中詰め材に対して、適正な透気性を有するか否かを標準的な指標を基にして迅速に確認する試験方法が求められている。
【0003】
下記特許文献1には、施工例の気泡コンクリートから直径5cm×高さ10cmの供試体を採取し、20℃、湿度90%以上の恒温槽の中で28日間養生し、この供試体に一定の空気圧を作用させ、流入量と流出量が等しくなったときの流量を測定することにより、透気係数を求めること等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−60188号公報、第5頁第40〜47行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来技術では、供試体の形成寸法誤差によって評価値に差が出てしまい、標準的な評価を行うことができない問題があり、また、流入量と流出量を等しくする調整に手間がかかり、迅速な評価を行うことができない問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、中詰め材の透気性を標準的に評価する指標を確立し、各種成分の中詰め材に対して、適正な透気性を有するか否かを標準的な指標を基にして迅速に確認することができる確認試験方法及び確認試験装置を提供すること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明による透気性中詰め材の透気性確認試験方法及び透気性確認試験装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0008】
試験対象の中詰め材によって、側面に気密樹脂を塗布した設定高さ(L)及び一定断面積(A)を有する柱状供試体を形成し、該柱状供試体の開放された端面の一方から一定圧力の空気を流入させて、前記端面の他方を大気開放させながら、流入される空気の圧力(h)と流量(Q)を設定時間(t)計測し、下記式(1)によって透気係数Kを求めることを特徴とする透気性中詰め材の透気性確認試験方法。
K=(L/h)×{Q/(A・t)} …… (1)
ここに、
L:前記柱状供試体の高さ
A:前記柱状供試体の断面積
h:流入される空気の圧力
Q:流入される空気の流量
t:計測時間
【0009】
試験対象の中詰め材によって、側面に気密樹脂を塗布した設定高さ(L)及び一定断面積(A)を有する柱状供試体を形成し、該柱状供試体の開放された端面の一方から一定圧力の空気を流入させて、前記端面の他方を大気開放させながら、流入される空気の圧力(h)と流量(Q)を設定時間(t)計測し、異なる前記圧力(h)に対してそれぞれ計測された流量(Q)によって、圧力勾配iと流速vとの関係で原点を通る直線回帰を行い、有意な直線近似が得られる前記圧力勾配の範囲で、前記圧力勾配と前記流速の直線回帰式における回帰係数によって柱状供試体の透気係数Kを決定することを特徴とする透気性中詰め材の透気性確認試験方法。
但し、
L:前記柱状供試体の高さ
A:前記柱状供試体の断面積
h:流入される空気の圧力
Q:流入される空気の流量
t:計測時間
i:圧力勾配
v:流速
とすると、v=Q/(A・t),i=h/L
【0010】
試験対象の中詰め材によって形成され、側面に気密樹脂を塗布した設定高さ及び一定断面積を有する柱状供試体を、内部に支持する外枠と、前記柱状供試体の開放された端面の一方に空気を流入させる空気流入パイプの放出端を前記端面の一方に向けて支持すると共に前記外枠を支持する支持台と、前記空気流入パイプを流れる空気の流量を計測する流量センサと、前記空気流入パイプに流入される空気の圧力を計測する圧力センサと、前記空気流入パイプに空気を設定された一定圧力で流入する空気供給装置とを備えることを特徴とする透気性中詰め材の透気性確認試験装置。
【発明の効果】
【0011】
このような特徴によると、中詰め材の透気性を標準的に評価する指標を確立し、各種成分の中詰め材に対して、適正な透気性を有するか否かを標準的な指標を基にして迅速に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る透気性確認試験装置を示す説明図である。
【図2】透気性確認試験におけるダルシー則の適用範囲を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施例を説明する説明図(圧力勾配iと流速vの回帰直線を示したグラフ)である。
【図4】本発明の実施例を説明する説明図(圧力勾配iと流速vの回帰直線を示したグラフ)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る透気性確認試験装置を示す説明図である。本発明の実施形態に係る透気性確認試験装置1は、試験対象の中詰め材によって形成される柱状供試体Mに対して透気性を確認するための試験装置である。ここで柱状供試体Mは、円形,楕円形,矩形等の一定断面を有する柱状に形成された供試体であり、一対の端面を開放状態にして、側面に気密樹脂G1を塗布したものである。ここで用いられる気密樹脂G1は、供試体内部への含浸が少ない高粘度の樹脂が適し、塗布のし易さや気密性の確保を考慮すると高粘度のエポキシ系樹脂が適する。
【0014】
この透気性確認試験装置1は、外枠10、支持台11、空気流入パイプ12、流量センサ20、圧力センサ21、空気供給装置30等を備える。外枠10は、内部に前述した柱状供試体Mを支持する部材であり、形状や材質は特に限定されないが、一例としては、透明なアクリル樹脂板を用い柱状供試体Mを囲むように形成することで、柱状供試体Mの状態を観察しながらの試験が可能になる。外枠10の内部に柱状供試体Mを支持するには、例えば図示のように、外枠10の内部に所定高さ気密樹脂G2を充填する。この場合の気密樹脂G2にもエポキシ系樹脂を用いることができる。柱状供試体Mの両端面m1,m2が開放されるように、柱状供試体Mの外側空間に気密樹脂G2を充填する。なお、何らかの他の手段で後述する支持台11上に柱状供試体Mを支持できれば、外枠10は省いても良い。
【0015】
支持台11は、柱状供試体Mの開放された端面の一方(m1)に空気を流入させる空気流入パイプ12の放出端12aを端面の一方(m1)に向けて支持すると共に、外枠10を支持するものである。図示の例では、外枠10の内部に支持された柱状供試体Mの端面m1が支持台11上に面しており、この端面m1に向かって空気流入パイプ12の放出端12aが当接されている。
【0016】
空気流入パイプ12は柱状供試体Mの内部に空気を流入させるための流入経路であって、その流入経路の途中に流量センサ20が配備され、その端部に圧力センサ21が配備されている。また、必要に応じて、その途中経路にバルブ22を配備する構成にしても良い。流量センサ20は空気流入パイプ12を流れる空気の流量を計測するためのものであり、圧力センサ21は空気流入パイプ12に流入される空気の圧力を計測するためのものである。
【0017】
空気供給装置30は、空気流入パイプ12に空気を設定された一定圧力で流入することができるものであり、より標準化された試験結果を得るために、空気供給装置30は設定圧力を可変調整できるものであることが好ましい。
【0018】
また必要に応じて、外枠10における支持台11に支持される側と逆側の端部に蓋部材13を設けても良い。柱状供試体Mの端面m2は大気開放する必要があるので、蓋部材13を設ける場合であっても、外枠10の端部を気密に塞がないことが必要になり所定の通気性が得られるものが用いられる。
【0019】
このような透気性確認試験装置1を用いた本発明の実施形態に係る透気性確認試験方法を以下に説明する。本発明の実施形態に係る透気性確認試験方法は、試験対象の中詰め材によって、前述した設定高さ(L)及び一定断面積(A)を有する柱状供試体Mを形成し、柱状供試体Mの開放された端面の一方(m1)から一定圧力の空気を流入させて、端面の他方(m2)を大気開放させながら、流入される空気の圧力(h)と流量(Q)を設定時間(t)計測し、下記式(1)によって透気係数Kを求める。
【0020】
K=(L/h)×{Q/(A・t)} …… (1)
ここに、
L:前記柱状供試体の高さ
A:前記柱状供試体の断面積
h:流入される空気の圧力
Q:流入される空気の流量
t:計測時間
【0021】
ここで、透気係数Kの単位をcm/secとするためには、柱状供試体Mの高さLの単位がcmであり、柱状供試体Mの断面積Aの単位がcm2であり、流入される空気の圧力hの単位が高さ変換されたcmであり、流入される空気の流量Qの単位が20℃且つ1気圧の体積流量に換算されたcm3であり、計測時間tがsecである。
【0022】
より具体的には、図1に示すように、支持台11上に柱状供試体Mを配置して、柱状供試体Mの端面m1に空気流入パイプ12の放出端12aを当接させ、空気流入パイプ12から放出される空気が全て柱状供試体M内に流入するように、支持台11と端面m1の外周との気密性を確保し、バルブ22を開放して、空気供給装置30を作動させる。そして、圧力センサ21で計測される圧力h(cm)が一定の設定値を定常的に示していることを確認して、所定の計測時間t(sec)の間の流量Q(cm3)を流量センサ20で計測する。そして、柱状供試体Mの諸元から得られるL(cm)とA(cm2)と計測によって得られたh(cm),Q(cm3),t(sec)によって、式(1)から透気係数K(cm/sec)を求める。
【0023】
式(1)は、本来は圧縮性の流体である空気を非圧縮性流体として扱い、一定圧での透水係数を求めるダルシー則に基づいて導き出した式である。実際上は、空気は圧縮性流体であるから、全ての条件で式(1)の関係が当てはまることにはならないが、柱状供試体Mの外周を気密樹脂G1で覆うことで柱状供試体M内の空気の流れを一軸方向に限定させ、流入する空気の圧力を一定にすることで、ダルシー則が適用できる試験条件を得ることができる。すなわち、透気係数にダルシー則を適用したことだけでなく、柱状供試体Mの両端面を開放させ側面に気密樹脂を塗布すること、更にはこの柱状供試体Mの一端面から一定圧力の空気を流入させ他端面を大気開放することで、ダルシー則を適用できる試験条件を得たことが本発明の一つの特徴である。
【0024】
また、ダルシー則を適用して柱状供試体Mの透気特性を求めるには、ダルシー則が適用可能範囲を見極める必要がある。柱状供試体M内での空気の流速をv(=Q/(A・t)),圧力勾配をi(=h/L)とすると、圧力勾配iと流速vとの関係は、図2に示すように、ダルシー則が成り立つと仮定すると原点を通る直線aの関係になる。しかしながら、圧縮性流体である空気を透過媒体とする場合には、圧力勾配iが大きくなると、圧力勾配iと流速vとの関係が直線aから外れた関係になる。例えば、空気の圧縮性が影響する条件では、圧力勾配iと流速vとの関係が図2の曲線bのような曲線関係となり、空気の流れが層流から乱流に遷移する条件では、圧力勾配iと流速vとの関係が図2の曲線cのような曲線関係になる。
【0025】
したがって、ダルシー則を適用して柱状供試体Mの透気特性を求めるには、圧力勾配iと流速vとの関係が原点を通る直線関係にあることが前提になり、そのような関係にある計測値を基に式(1)を用いた透気係数Kを求めることが必要になる。
【0026】
また、圧力hを変えて、異なる圧力hに対してそれぞれ計測された流量Qによって、圧力勾配iと流速vとの関係を求めることで、画一性のある透気係数Kを得ることができる。すなわち、異なる圧力hに対してそれぞれ計測された流量Qによって、圧力勾配iと流速vとの関係で原点を通る直線回帰を行い、有意な直線近似が得られる圧力勾配iの範囲で、圧力勾配iと流速vの直線回帰式を求め、この直線回帰式における回帰係数によって柱状供試体Mの透気係数Kを決定する。
【0027】
圧力勾配iと流速vとの関係は、ダルシー則が適用できる範囲であれば、v=K・i(K:透気係数)の関係になる。計測値から得られる複数組の(i,v)データによって、v=K・iの直線回帰を行い、その決定係数(相関係数)R2がより1に近くなるように計測データを選択する。前述したように、圧力勾配iが大きくなると(i,v)の関係が直線から外れる要因が増えるので、圧力勾配iの上限を定めて、その圧力勾配iの範囲で、(i,v)の直線回帰式における回帰係数を求め、この回帰係数を柱状供試体の透気係数Kとする。その際の圧力勾配iの範囲は、直線回帰式の決定係数R2が0.90以上、更に好ましくは0.95以上になるように計測値を選択する。
【0028】
このように求めた透気係数Kは、供試体の大きさや計測時間の長さに影響されない標準的な値になる。また、単純に柱状供試体Mへ流入する空気の状態を計測するだけでよいから、計測が簡単であり、供試体の透気性に関して迅速な評価を行うことが可能になる。
【0029】
柱状供試体Mの外周を気密樹脂G1で覆っているので、柱状供試体Mの側面から漏れ出る空気を防ぐことができ、柱状供試体Mの一軸方向の透気性のみに着目した試験結果が得られる。これによって、柱状供試体Mの形状の違いによる計測結果のばらつきを抑止することが可能になり、より標準化した透気性の評価を行うことができる。更には、外枠10の内部に所定高さ気密樹脂G2を充填することで柱状供試体Mを支持しているので、柱状供試体Mの端面m1周囲の気密性を確保しやすい構造になり、より精度の高い計測結果を得ることが可能になる。
【0030】
なお、前述の説明では、図示の透気性確認試験装置1を用いた試験方法の例を説明したが、本発明の実施形態に係る透気性確認試験方法は、図示のような透気性確認試験装置1を用いた場合と同等の圧力(h)と流量(Q)が計測できれば、このような装置を用いなくても実施することができる。
【0031】
本発明の実施形態に係る透気性確認試験方法を採用することで、ガス導管をトンネル内に配管する際に使用する中詰め材について、各種の成分の中詰め材に対して通気性を精度良く且つ高い再現性で評価することができる。これによって、中詰め材の品質を均一化することができ、その結果、配管後の気密試験において、保持時間を正確に且つ低コストで確定することができ、万が一配管からガス漏洩が発生した場合でも、ガスの検知を効率的に行うことが可能になる。このように本発明の実施形態によると、トンネル内配管の中詰め工法における標準化した性能評価方法を確立することができる。
【実施例】
【0032】
以下に、本発明の透気性確認試験方法及び透気性確認試験装置の実施例を説明する。ここでは、エアモルタルを試験対象として、3つの供試体(供試体1,供試体2,供試体3)に対して、前述した透気性確認試験装置を用いた透気性確認試験を行った。試験条件を表1に示す。各供試体の寸法等を表2に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
[試験手順]
(1)供試体の整形及び設置
供試体は直径φ49.9mmの円柱状に整形し、端面は上下の平行度を保ちつつ、滑らかになるように整形する。整形後、供試体密度を測定する。整形した供試体の側面に高粘度エポキシ接着剤を塗る。高粘度エポキシ接着剤が硬化した後、供試体を図1に示す通気性確認試験装置1の支持台11に設置し、気密樹脂G2として低粘度エポキシ接着剤を打設し支持台11に供試体を密着する。
【0036】
(2)透気量計測
空気供給装置30を作動させて、圧力センサ21の計測値が任意の圧力になるまで加圧し、流量センサ20により毎分流量を測定する。圧力を数段階変化させて順次流量センサ20により毎分流量を測定する。
【0037】
(3)透気係数の計算
測定結果を基にして前述した式(1)によって供試体毎に各圧力に対応した透気係数Kを求める。ここで圧力センサの計測値をPとすると、式(1)におけるh(cm)=P(kPa)/0.098となる。
[試験結果]
供試体1〜3の試験結果を表3〜表5に示す。
【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
【表5】

【0041】
[試験結果の整理]
式(1)の関係は、多孔質媒体中の非圧縮性流体の一次元流れに対して成り立つダルシー則が、空気を透過媒体とする場合にも成り立つことが前提になっている。しかしながら、圧縮性流体である空気を透過媒体とする場合には、その圧縮性や層流から乱流への遷移等によってダルシー則が適用できる条件は限られたものになる。
【0042】
表3〜5に示した試験結果では、透気係数kの計算値(計測値0は除く)は、供試体1で0.600〜1.233(cm/s)、供試体2で0.530〜1.173(cm/s)、供試体3で0.747〜1.490(cm/s)と大きくばらついた値になっており、供試体の透過特性を評価する画一的な値になっていない。これは圧力変化の範囲がダルシー則を適用できる範囲を超えていることを意味している。ダルシー則が適用できる範囲では、圧力勾配i(=h/L)と流速v(=Q/(A・t))との関係は原点を通る直線上になる(v=k・i)。
【0043】
表3〜5の試験結果から得られるi(x)とv(y)の原点を通る回帰直線(y=k・x)のグラフを図3に示す。図3に示した直線回帰式は、供試体1がy=0.6734・x(R2=0.8799)、供試体2がy=0.6023・x(R2=0.882)、供試体3がy=0.8486・x(R2=0.8696)となるが、決定係数(相関係数)R2がそれほど高くない。圧力勾配iが高くなるほど圧力勾配iの上昇に対して流速vの上昇率が低くなって直線関係が崩れていることが判るので、これは層流から乱流への遷移の影響を受けていると考えられる。
【0044】
これに対して、層流から乱流への遷移の影響を受けやすい(圧力勾配iが高い)計測値を取り除いて直線回帰を行った解析結果を図4に示す。このときの直線回帰式は、供試体1がy=0.9958・x(R2=0.9357)、供試体2がy=0.9176・x(R2=0.9402)、供試体3がy=0.1.1563・x(R2=0.9701)となり、決定係数(相関係数)R2はいずれも高い値を示す。このように圧力勾配iと流速vの計測値を直線回帰した解析結果、決定係数が十分に高くなり有意な直線近似が得られる圧力勾配iの範囲を特定し、その範囲の計測値から求められた圧力勾配iと流速vの直線回帰式(v=K・i)における回帰係数によって各供試体の透気係数Kを決定する。このように求めた供試体1,供試体2,供試体3の透気係数Kを表6に示す。
【0045】
【表6】

【符号の説明】
【0046】
1:透気性確認試験装置,
10:外枠,11:支持台,12:空気流入パイプ,13:蓋部材,
20:流量センサ,21:圧力センサ,22:バルブ,
30:空気供給装置,
M:柱状供試体,G1,G2:気密樹脂(エポキシ系樹脂)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象の中詰め材によって、側面に気密樹脂を塗布した設定高さ(L)及び一定断面積(A)を有する柱状供試体を形成し、
該柱状供試体の開放された端面の一方から一定圧力の空気を流入させて、前記端面の他方を大気開放させながら、流入される空気の圧力(h)と流量(Q)を設定時間(t)計測し、下記式(1)によって透気係数Kを求めることを特徴とする透気性中詰め材の透気性確認試験方法。
K=(L/h)×{Q/(A・t)} …… (1)
ここに、
L:前記柱状供試体の高さ
A:前記柱状供試体の断面積
h:流入される空気の圧力
Q:流入される空気の流量
t:計測時間
【請求項2】
試験対象の中詰め材によって、側面に気密樹脂を塗布した設定高さ(L)及び一定断面積(A)を有する柱状供試体を形成し、
該柱状供試体の開放された端面の一方から一定圧力の空気を流入させて、前記端面の他方を大気開放させながら、流入される空気の圧力(h)と流量(Q)を設定時間(t)計測し、
異なる前記圧力(h)に対してそれぞれ計測された流量(Q)によって、圧力勾配iと流速vとの関係で原点を通る直線回帰を行い、有意な直線近似が得られる前記圧力勾配の範囲で、前記圧力勾配と前記流速の直線回帰式における回帰係数によって柱状供試体の透気係数Kを決定することを特徴とする透気性中詰め材の透気性確認試験方法。
但し、
L:前記柱状供試体の高さ
A:前記柱状供試体の断面積
h:流入される空気の圧力
Q:流入される空気の流量
t:計測時間
i:圧力勾配
v:流速
とすると、v=Q/(A・t),i=h/L
【請求項3】
前記気密樹脂は高粘度のエポキシ系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載された透気性中詰め材の透気性確認試験方法。
【請求項4】
試験対象の中詰め材によって形成され、側面に気密樹脂を塗布した設定高さ及び一定断面積を有する柱状供試体を、内部に支持する外枠と、
前記柱状供試体の開放された端面の一方に空気を流入させる空気流入パイプの放出端を前記端面の一方に向けて支持すると共に前記外枠を支持する支持台と、
前記空気流入パイプを流れる空気の流量を計測する流量センサと、
前記空気流入パイプに流入される空気の圧力を計測する圧力センサと、
前記空気流入パイプに空気を設定された一定圧力で流入する空気供給装置とを備えること特徴とする透気性中詰め材の透気性確認試験装置。
【請求項5】
前記空気供給装置は設定圧力を可変調整できることを特徴とする請求項4に記載された透気性中詰め材の透気性確認試験装置。
【請求項6】
前記外枠の内部に所定高さ気密樹脂を充填することで前記柱状供試体を支持することを特徴とする請求項4又は5に記載された透気性中詰め材の透気性確認試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−95046(P2011−95046A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247827(P2009−247827)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(594051655)株式会社セントラル技研 (7)