説明

透過照明部品及び透過照明部品用加飾部材

【課題】加飾部材を挿着する貫通穴から照明光が露出するのを防止することを透過照明部品の基体の外面側で行なうことなく、該貫通穴の内部で簡易な構造により行なうことができ、外面側における意匠の自由度を高める透過照明部品を提供する。
【解決手段】基体20の非透光性部分20bに穿設された貫通穴20cに挿着される非透光性の加飾部材25を備える透過照明部品1において、加飾部材25のうちの貫通穴20cの内部に挿入される部分25bに、貫通穴20cの内径よりも大きい外径を有し、貫通穴20cを閉塞するように該貫通穴20cの内周面に弾性的に撓んだ状態で接触する非透光性の可撓性遮光部25dを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器の操作スイッチ等として利用される透過照明部品と、その透過照明部品に備えられる加飾部材とに関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器の操作スイッチ等においては、暗所での装飾性や操作性、視認性の向上等を目的として、その操作部本体(基体)に透光性部分と非透光性部分とを形成しておき、操作部本体の内側に備えたLED等の照明光源の照明光を、操作部本体の透光性部分だけを透過させて外部に出射するようにしたものが、従来より知られている。例えば、特許文献1には、押ボタンスイッチのキートップの中央部のキープレートの周囲の部分を透光性部分として構成したものが開示されている。本明細書では、このように透光性部分と非透光性部分とを有する操作スイッチ等の部品を透過照明部品という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−146806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように透光性部分と非透光性部分とを有する透過照明部品においては、装飾性の向上等を目的として、非透光性部分に穿設した貫通穴に、該貫通穴の周囲の部分と色合いや意匠性が相違する非透光性の加飾部材を挿着する場合がある。
【0005】
この場合、貫通穴への加飾部材の挿着作業を行い易くするために、加飾部材のうちの貫通穴の内部に挿入される部分(以下、単に加飾部材の穴挿入部分ということがある)は、通常、該貫通穴よりも小径なものとされる。また、加飾部材の穴挿入部分を、該貫通穴とほぼ同径に形成した場合であっても、一般には、加飾部材もしくは貫通穴の寸法誤差等に起因して、加飾部材の穴挿入部分の外周面と、貫通穴の内周面との間にはある程度の隙間が形成される。
【0006】
このため、前記貫通穴に加飾部材を挿着する透過照明部品においては、該貫通穴の内周面と加飾部材の穴挿入部分の外周面との間のクリアランスに照明光が進入し、その進入した照明光が貫通穴から透過照明部品の外部に外面側に漏出してしまう恐れがある。そして、このような照明光の漏出が生じると、特に、夜間における車室内等、照度の乏しい暗闇環境下では、その漏出光が目立つようになって装飾性が損なわれてしまう。
【0007】
そこで、このような不都合を防止するために、次のような方策が一般に採用されている。すなわち、加飾部材のうち、透過照明部品の基体の外面側に露出する装飾部分を、貫通穴よりも大径に形成して、その装飾部分を貫通穴の外面側開口端の周縁に接触させておく。あるいは、所謂ラビリンス構造によって、貫通穴の外面側開口端の周囲にて、装飾部分と透過照明部品の基体とを凹凸嵌合させておく。
【0008】
しかるに、このような方策では、加飾部材の装飾部分を貫通穴よりも十分に余裕をもって大径に形成しておく必要がある。このため、透過照明部品の基体の透光性部分の配置位置や、加飾部材の装飾部分の形状もしくはサイズが制約を受け、透過照明部品の意匠の自由度が損なわれるという不都合があった。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、加飾部材を挿着する貫通穴から照明光が露出するのを防止することを透過照明部品の基体の外面側で行なうことなく、該貫通穴の内部で簡易な構造により行なうことができ、外面側における意匠の自由度を高めることができる透過照明部品及び加飾部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の透過照明部品は、かかる目的を達成するために、照明光源から照明光が内面部に照射され、該内面部に照射された照明光を外面側に透過して出射する透光性部分と該照明光を外面側に透過しない非透光性部分とを有する基体と、前記基体の非透光性部分に穿設された貫通穴に挿着された非透光性の加飾部材とを備える透過照明部品であって、前記加飾部材のうちの前記貫通穴の内部に挿入される部分である穴挿入部分に、該貫通穴の内径よりも大きい外径を有し、該貫通穴を閉塞するように該貫通穴の内周面に弾性的に撓んだ状態で接触する非透光性の可撓性遮光部が設けられていることを特徴とする(第1発明)。
【0011】
なお、本発明において、「非透光性」の部材もしくは部分というのは、照明光を実質的に透過できない部材又は部分(照明光の透過量が十分に微小なものとなるものを含む)を意味する。この場合、該部材又は部分の全体が非透光性の材質により構成されたものでよいことはもちろんであるが、該部材もしくは部分の表面に非透光性の材質の塗装やメッキが施されたものであってもよい。このことは、後述の第2〜第7発明においても同様である。
【0012】
上記第1発明の透過照明部品によれば、前記加飾部材を前記基体の貫通穴に挿着した状態において、該加飾部材の穴挿入部に設けられた前記可撓性遮光部が、該貫通穴を閉塞するように該貫通穴の内周面に弾性的に撓んだ状態で接触することとなる。この場合、可撓性遮光部が、貫通穴の内周面に弾性的に撓んだ状態で接触することによって、可撓性遮光部の外周縁の全周を、貫通穴の内周面に隙間無く接触させることができることとなる。
【0013】
これにより、前記基体の内面側で貫通穴に進入する照明光が該貫通穴を通って基体の外面側に漏出するのを、可撓性遮光部によって確実に遮ることが可能となる。そして、このように貫通穴内で、照明光の漏出を遮断できることから、基体の外面側では照明光の漏出を防止するための方策をとる必要がなくなる。
【0014】
よって、第1発明によれば、加飾部材を挿着する貫通穴から照明光が露出するのを防止することを透過照明部品の基体の外面側で行なうことなく、該貫通穴の内部で簡易な構造により行なうことができる。ひいては、基体の外面側における加飾部材の形状や大きさ、あるいは前記透光性部分の配置パターン等、透過照明部品の意匠の自由度を高めることができる。
【0015】
かかる第1発明では、前記可撓性遮光部は単一である必要はなく、前記加飾部材の穴挿入部分に、前記貫通穴の軸心方向に間隔を存して複数の前記可撓性遮光部が設けられていてもよい(第2発明)。
【0016】
これによれば、照明光の強度が比較的高い場合や、1つの可撓性遮光部では、照明光の遮断が不十分となる場合であっても、該照明光が貫通穴を通って基体の外面側に漏出するのを確実に防止することができる。
【0017】
また、上記第1発明又は第2発明では、前記加飾部材は、前記貫通穴の両開口端のうちの前記基体の外面側の開口端を覆うように該基体の外面側に配置される装飾部と、前記貫通穴の内径よりも小さい外径で前記装飾部から前記穴挿入部分として延設された軸部とを有し、前記可撓性遮光部は、前記軸部の外周に該軸部と一体に形成されていることが好ましい(第3発明)。
【0018】
これによれば、前記貫通穴の中心部(軸心近辺の部分)においては、貫通穴からの照明光の漏出を前記装飾部又は軸部によって遮断することができると共に、軸部の周囲においては、前記可撓性遮光部によって貫通穴からの照明光の漏出を遮断することができる。また、可撓性遮光部を軸部の外周に該軸部と一体に形成することによって、照明光の漏出の防止を損なうことなく、軸部の先端側に、加飾部品を基体に係止させるための係止機構部等を容易に形成することが可能となる。
【0019】
また、上記第1〜第3発明では、前記貫通穴のうち、前記加飾部材の挿着状態で前記可撓性遮光部が接触する位置よりも前記基体の外面側の開口端寄りの部分の内周面は、該貫通穴の径が該貫通穴の内奥側から前記基体の外面側の開口端に向かって拡径していくようにテーパ面状に形成されていることが好ましい(第4発明)。
【0020】
これによれば、前記加飾部材を貫通穴に挿着する作業を行なう場合に、可撓性遮光部を、基体の外面側の開口端側から徐々に撓ませるようにして貫通穴に挿入していくことができる。このため、可撓性遮光部の撓みの均一性を容易に確保することができる。ひいては、可撓性遮光部の外周縁を、貫通穴の内周面に隙間なく接触させることを該外周縁の全周にわたって均一的に行なうことができる。この結果、可撓性遮光部による照明光の遮断をより一層確実に行なうことができる。
【0021】
次に、本発明の透過照明部品用加飾部材は、照明光源から照明光が内面部に照射され、該内面部に照射された照明光を外面側に透過して出射する透光性部分と該照明光を外面側に透過しない非透光性部分とを有する基体に対し、該基体の非透光性部分に穿設された貫通穴に挿着される非透光性の加飾部材であって、前記貫通穴の内部に挿入される部分である穴挿入部分に、該貫通穴の内径よりも大きい外径を有し、該貫通穴を閉塞するように該貫通穴の内周面に弾性的に撓んだ状態で接触する非透光性の可撓性遮光部が設けられていることを特徴とする(第5発明)。
【0022】
この第5発明によれば、前記第1発明で説明した如く加飾部材を前記基体の貫通穴に挿着することができるので、加飾部材を挿着する貫通穴から照明光が露出するのを防止することを透過照明部品の基体の外面側で行なうことなく、該貫通穴の内部で簡易な構造により行なうことができる。ひいては、基体の外面側における加飾部材の形状や大きさ、あるいは前記透光性部分の配置パターン等、透過照明部品の意匠の自由度を高めることができる。
【0023】
また、上記第5発明では、前記穴挿入部分に、前記貫通穴の軸心方向に間隔を存して複数の前記可撓性遮光部が設けられていてもよい(第6発明)。
【0024】
この第6発明によれば、前記第2発明と同様に、照明光の強度が比較的高い場合や、1つの可撓性遮光部では、照明光の遮断が不十分となる場合であっても、該照明光が貫通穴を通って基体の外面側に漏出するのを確実に防止することができるように加飾部材を貫通穴に挿着することができる。
【0025】
また、上記第5発明又は第6発明では、前記貫通穴の両開口端のうちの前記基体の外面側の開口端を覆うように該基体の外面側に配置される装飾部と、前記貫通穴の内径よりも小さい外径で前記装飾部から前記穴挿入部分として延設された軸部とを有し、前記可撓性遮光部は、前記軸部の外周に該軸部と一体に形成されていることが好ましい(第7発明)。
【0026】
この第7発明によれば、前記加飾部材を貫通穴に挿着した状態において、前記第3発明と同様に、前記貫通穴の中心部(軸心近辺の部分)においては、貫通穴からの照明光の漏出を前記装飾部又は軸部によって遮断することができると共に、軸部の周囲においては、前記可撓性遮光部によって貫通穴からの照明光の漏出を遮断することができる。また、可撓性遮光部を軸部の外周に該軸部と一体に形成することによって、照明光の漏出の防止を損なうことなく、軸部の先端側に、加飾部品を基体に係止させるための係止機構部等を容易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態の透過照明部品の外観斜視図。
【図2】図1の透過照明部品の要部を分解して示した斜視図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】図1のIV−IV線断面図。
【図5】図4のA部の拡大図。
【図6】本発明の他の実施形態の透過照明部品の要部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態を図1〜図5を参照して以下に説明する。
【0029】
図1を参照して、本実施形態で例示する透過照明部品1は、例えば、自動車のエアコン等の機器を操作するために車室内に配置されるスイッチ部品である。このスイッチ部品1は、照明光源が収容されるケース部10と、このケース部10に支持された操作ノブ20とを備える。
【0030】
図3及び図4に示すように、ケース部10の底部には回路基板11が設けられており、この回路基板11に照明光源12が搭載されている。照明光源12は、例えばLED(発光ダイオード)やランプ等により構成された光源である。そして、ケース部10は、その底部と反対側の部分10aがケース部10の内部を開口させる筒状の開口部10aとして形成されている。
【0031】
なお、ケース部10は、非透光性の樹脂材等により構成される。あるいは、ケース部10の外表面には、非透光性の塗装もしくはメッキが施されている。
【0032】
操作ノブ20は、本発明における基体に相当する部材であり、本実施形態では、一端が開口する容器状に形成されている。そして、この容器状の操作ノブ20は、図3及び図4に示すように、ケース部10の開口部10aを閉蓋するようにして該開口部10aに外挿されている。
【0033】
操作ノブ20の開口端と反対側の端面部は、その外表面に装飾パターンが付与される部分とされている。本実施形態における操作ノブ20においては、例えば、図1及び図2に例示する如く、該操作ノブ20の端面部の中央部の周囲に周方向に等間隔で並ぶようにして配置された複数(図示例は4つ)の三角形から成る装飾パターン21が付されている。
【0034】
なお、装飾パターン21の形状は、任意に所望のパターンに設定すればよく、そのパターンは、図示例のパターンに限られないことはもちろんである。
【0035】
そして、本実施形態では、操作ノブ20のうち、装飾パターン21が付された部分20a(図示例では三角形領域の部分)は、前記照明光源12の照明光を透過する透光性部分20aとなっており、それ以外の部分20bが照明光を透過しない非透光性部分20bとなっている。
【0036】
このように透光性部分20aと非透光性部分20bとを有する操作ノブ20は、例えば次のようにして作製される。すなわち、操作ノブ20を透光性の樹脂材等により成形しておき、その外表面に非透光性の材質の塗料によって塗装を施す。そして、その操作ノブ20の外表面のうちの装飾パターン21の形成予定部分の塗装膜をレーザ等により除去することによって、装飾パターン21を形成する。これにより、操作ノブ20が透光性部分20aと非透光性部分20bとに区分けされることとなる。
【0037】
操作ノブ20の非透光性部分20bのうちの所定の部位、例えば、操作ノブ20の端面部のうちの装飾パターン21により囲まれた中央部分には、貫通穴20cが穿設されている。そして、この貫通穴20cに図2〜図5に示すような形状の加飾部材25が挿着されている。
【0038】
本実施形態では、操作ノブ20の端面部の中央部の内面側には操作ノブ20の軸心方向にボス20dが立設されており、上記貫通穴20cは、このボス20dを貫通して形成されている。以降、この貫通穴20cの両開口端のうち、操作ノブ20の外部側に開口する開口端(図3〜5では貫通穴20cの上端)を外側開口端、操作ノブ20の内部側に開口する開口端(図3〜5では貫通穴20cの下端)を内側開口端という。
【0039】
そして、図5に示すように、本実施形態では、貫通穴20cのうち、外側開口端寄りの部分20c1(以降、外開口寄り部分20c1という)以外の部分20c2(以降、内奥側部分20c2という)は一定内径とされ、外開口寄り部分20c1は、その内径が内奥側部分20c2と同じ径から外側開口端に向かって徐々に拡径していくように、その内周面がテーパ面状に形成されている。
【0040】
但し、貫通穴20の内径の形態は、他の形態でもよい。例えば外開口寄り部分20c1部分は、内奥側部分20c2よりも大径の一定内径であってもよい。あるいは、貫通穴20cの全体が一定内径であってもよい。あるいは、貫通穴20の内径が、外側開口端から内側開口端まで縮径していくように形成されていてもよい。
【0041】
加飾部材25は、図2〜図5に示すように、操作ノブ20の端面部の外面側に配置される装飾部25aと、この装飾部25aの中央部から操作ノブ20の内部側に向かって延設された軸部25bと、該軸部25bの先端の周縁部から周方向に間隔を存して軸部25bの軸心方向に延設された複数、例えば2つの脚部25c,25cと、軸部25bの外周に横方向に張り出すようにして形成された可撓性遮光部25dとを一体に備えている。
【0042】
装飾部25aは、大略円板形状に形成されており、貫通穴20cの外側開口端の径よりも若干大きな外径を有するものとされている。なお、装飾部25aの表面には、適宜の装飾模様が付されていてもよい。また、装飾部25aの形状は、円形以外の適宜の形状であってもよい。
【0043】
軸部25bは、円柱状に形成されており、貫通穴20cの全長よりも短いものとされると共に、貫通穴20cの外開口側部分20c1及び内奥側部分20c2内径よりも小さい外径を有するものとされている。なお、軸部25bは中空の筒形状のものであってもよい。また、軸部25bは、本発明における穴挿入部分に相当するものである。
【0044】
脚部25c,25cは、それぞれ軸部25b側の基端部を支点として貫通穴20cの径方向に弾性的に揺動可能となっており、それにより脚部25c,25cの先端部の間隔の拡縮が可能となっている。そして、各脚部25cは、軸部25bとのトータルの長さが貫通穴20cの全長よりも若干長いものとなるように形成されると共に、各脚部25cの先端部には、貫通穴20cの内側開口端の周縁部に係止させる係止部25c1(図3参照)が貫通穴20cの径方向外方に張り出すようにして形成されている。
【0045】
可撓性遮光部25dは、円環状に形成されており、軸部25bの軸心方向の中間部に該軸部25bと同軸心に設けられている。この場合、可撓性遮光部25dは、貫通穴20cの内奥側部分20c2の内径よりも若干大きい外径を有するものとされている。また、可撓性遮光部25dは、例えば0.2〜0.5mm程度の薄い肉厚とされ、弾性的に撓むことが可能となっている。
【0046】
なお、加飾部材25は、本実施形態では、非透光性の材質により構成される。その材質としては、例えば、ABS、PC、PP等の熱可塑性樹脂、あるいは、シリコン、エラストマー、ゴム等が使用される。
【0047】
補足すると、加飾部材25の表面に非透光性の材質の塗装、もしくはメッキを施すようにしてもよい。このようにした場合には、加飾部材25の本体の材質は、透光性の材質であってもよい。
【0048】
上記の如き構造の加飾部材25は、次のように貫通穴20cに挿着される。すなわち、まず、加飾部材25の脚部25c,25cの先端部の間隔を若干縮めた状態で該脚部25c,25cが貫通穴20cにその外側開口端から挿入され、これに続いて、軸部25b及び可撓性遮光部25dが貫通穴20cに挿入される。この場合、軸部25b及び可撓性遮光部25dの挿入は、可撓性遮光部25dが貫通穴20cの内奥側部分20c2に達するまで行なわれる。
【0049】
この時、該可撓性遮光部25dの外径は貫通穴20cの内奥側部分20c2の内径よりも大きいので、該可撓性遮光部25dは、図5に示す如く、弾性的に撓んだ状態で、貫通穴20cの内奥側部分20c2の内周面に該可撓性遮光部25dの外周縁の全体が摺接しつつ、貫通穴20cの内奥側部分20c2に挿入される。
【0050】
また、貫通穴20cの外開口寄り部分20c1の内周面は、前記したようにテーパ面状に形成されているので、該外開口寄り部分20c1において、可撓性遮光部25dの撓みが均一的に円滑に行われる。
【0051】
そして、最終的に、加飾部材25の装飾部25aが、貫通穴20cの外側開口端の周縁で、該外側開口端を閉塞するようにして操作ノブ20の端面部の外表面に当接して係止される。この時、加飾部材25の脚部25c,25cのそれぞれの先端部の係止部25c1が貫通穴20cの内部側開口端から突出し、該内部側開口端の周縁で操作ノブ20のボス20dに係止される。これにより、加飾部材25が、貫通穴20cから抜け落ちないように操作ノブ20に係止されて、貫通穴20cへの挿着がなされる。
【0052】
また、この挿着状態では、可撓性遮光部25dは、弾性的に撓むことによって、その外周縁の全体が貫通穴20cの内奥側部分20c2の内周面に隙間無く密着するようにして、該内周面に圧接されることとなる。
【0053】
以上が、本実施形態の透過照明部品1の構造である。
【0054】
かかる構造の透過照明部品1にあっては、照明光源12を点灯させると、該照明光源12から出射する照明光のうち、ケース部10の開口部10aを通って操作ノブ20の端面部の透光性部分20a(装飾パターン21が付された領域)に向かう照明光が、図3に示す如く、該透光性部分20aを透過し、外部に出射する。これにより、前記装飾パターン21が光って見えることとなる。
【0055】
この場合、照明光源12の照明光の一部は、貫通穴20cにその内側開口端から進入するものの、該貫通穴20cの軸心部には、非透光性の加飾部材25の軸部25bが存在すると共に、その軸部25bの周囲には、非透光性の可撓性遮光部25dが存在する。そして、その可撓性遮光部25dは、弾性的に撓んだ状態で、その外周縁が隙間無く貫通穴20cの内奥側部分20c2の内周面に圧接されている。
【0056】
このため、貫通穴20cの内部は、それに進入する照明光に対して、軸部20b及び可撓性遮光部20dによって隙間無く閉塞されている。従って、貫通穴20cに進入した照明光が、軸部20bの周囲で貫通穴20cの外側開口端まで到達することは無く(図5を参照)、ひいては、加飾部材25の装飾部25aと操作ノブ20の端面部との隙間から照明光が漏出するようなことはない。
【0057】
従って、本実施形態の透過照明部品1によれば、照明光源12から出射する照明光は、装飾パターン21が付されている透光性部分20aだけを透過して外部に出射することとなり、好適な照明意匠が実現できることとなる。
【0058】
また、照明光が貫通穴20を通って漏出することが、該貫通穴20の内部で遮られるので、加飾部材25の装飾部25aの外径は、貫通穴20cの外側開口端の内径と同程度でもよく、貫通穴20cの外側開口端の内径よりも余裕をもって大きな外径に形成しておく必要がない。このため、加飾部材25の装飾部25aの形状や大きさの自由度が高まると共に、装飾パターン21の配置位置の自由度も高まる。ひいては、透過照明部品1の操作ノブ20の端面部の意匠を種々様々な意匠に設計することが可能となる。
【0059】
なお、以上説明した実施形態では、加飾部材25に備える可撓性遮光部25dを1つだけとしたが、例えば、図6に示す如く、貫通穴20cの軸心方向に間隔を存して複数(図示例では2つ)の可撓性遮光部25dを備えるようにしてもよい。このようにした場合には、照明光源12の照明光の強度が比較的高い場合や、1つの薄肉の可撓性遮光部25dだけでは照明光の遮断が不十分となる場合であっても、貫通穴20cに進入した照明光が、貫通穴20cの外側開口端まで到達することを、複数の可撓性遮光部25dによって確実に防止することができる。
【0060】
また、以上説明した実施形態では、透過照明部品1として、スイッチ部品を例にとって説明したが、本発明における透過照明部品は、スイッチ部品に限らず、例えばボリューム摘み等の回転式の操作部品等であってもよい。あるいは、例えば、人為的な手操作がなされないような装飾的な部品であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…透過照明部品、12…照明光源、20…操作ノブ(基体)、20a…透光性部分、20b…非透光性部分、20c…貫通穴、25…加飾部材、25a…装飾部、25b…軸部(穴挿入部分)、25d…可撓性遮光部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光源から照明光が内面部に照射され、該内面部に照射された照明光を外面側に透過して出射する透光性部分と該照明光を外面側に透過しない非透光性部分とを有する基体と、前記基体の非透光性部分に穿設された貫通穴に挿着された非透光性の加飾部材とを備える透過照明部品であって、
前記加飾部材のうちの前記貫通穴の内部に挿入される部分である穴挿入部分に、該貫通穴の内径よりも大きい外径を有し、該貫通穴を閉塞するように該貫通穴の内周面に弾性的に撓んだ状態で接触する非透光性の可撓性遮光部が設けられていることを特徴とする透過照明部品。
【請求項2】
請求項1記載の透過照明部品において、
前記加飾部材の穴挿入部分に、前記貫通穴の軸心方向に間隔を存して複数の前記可撓性遮光部が設けられていることを特徴とする透過照明部品。
【請求項3】
請求項1又は2記載の透過照明部品において、
前記加飾部材は、前記貫通穴の両開口端のうちの前記基体の外面側の開口端を覆うように該基体の外面側に配置される装飾部と、前記貫通穴の内径よりも小さい外径で前記装飾部から前記穴挿入部分として延設された軸部とを有し、前記可撓性遮光部は、前記軸部の外周に該軸部と一体に形成されていることを特徴とする透過照明部品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の透過照明部品において、
前記貫通穴のうち、前記加飾部材の挿着状態で前記可撓性遮光部が接触する位置よりも前記基体の外面側の開口端寄りの部分の内周面は、該貫通穴の径が該貫通穴の内奥側から前記基体の外面側の開口端に向かって拡径していくようにテーパ面状に形成されていることを特徴とする透過照明部品。
【請求項5】
照明光源から照明光が内面部に照射され、該内面部に照射された照明光を外面側に透過して出射する透光性部分と該照明光を外面側に透過しない非透光性部分とを有する基体に対し、該基体の非透光性部分に穿設された貫通穴に挿着される非透光性の加飾部材であって、
前記貫通穴の内部に挿入される部分である穴挿入部分に、該貫通穴の内径よりも大きい外径を有し、該貫通穴を閉塞するように該貫通穴の内周面に弾性的に撓んだ状態で接触する非透光性の可撓性遮光部が設けられていることを特徴とする透過照明部品用加飾部材。
【請求項6】
請求項5記載の透過照明部品用加飾部材において、
前記穴挿入部分に、前記貫通穴の軸心方向に間隔を存して複数の前記可撓性遮光部が設けられていることを特徴とする透過照明部品用加飾部材。
【請求項7】
請求項5又は6記載の透過照明部品用加飾部材において、
前記貫通穴の両開口端のうちの前記基体の外面側の開口端を覆うように該基体の外面側に配置される装飾部と、前記貫通穴の内径よりも小さい外径で前記装飾部から前記穴挿入部分として延設された軸部とを有し、前記可撓性遮光部は、前記軸部の外周に該軸部と一体に形成されていることを特徴とする透過照明部品用加飾部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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