説明

途切れずに引渡しを行うためのコンテキスト転送

携帯機器(120)と現在のネットワーク(110)との間の通信リンクを、新しいネットワーク(130)に継目なしで引き渡すための方法及び装置が提供される。この方法には、現在のネットワークにおいて通信リンク及び通信サービスを特徴付けるコンテキストパラメータを収集するステップ、コンテキストパラメータ(150)を少なくとも部分的に現在のネットワークから新しいネットワークに送信するステップ、及び現在のネットワークから新しいネットワークへの通信リンクの引渡しを実行するステップが含まれる。コンテキストパラメータを新しいネットワークに転送することによって、通信を処理するために必要な通信環境を設定することができるため、通信サービスの中断又は終了を避けることができる。実際の引渡しは数個の動作しか必要としないため、短い時間の継目のないネットワーク間の引渡し及び連続したサービスの提供が可能にされる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在のネットワークと携帯機器との間の通信リンクを新しいネットワークに継目なしで引き渡すための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信ネットワークはますます人気が高まってきており、従来の固定式有線通信ネットワークと共存する又はさらに、それに置き換わるようになってきている。無線通信ネットワークにより、ユーザは電話端末間の電話会話又はコンピュータ装置間のデータ通信の間に、他のユーザ又は装置に無線で情報を送信することができる。携帯電話は、音声及び/又はデータ通信で広く使用される無線通信装置の一種である。同様に、携帯形コンピュータは無線通信装置の一種であり、無線通信ネットワークに接続して、データ送信を行うこと及び/又は他の通信装置又はコンピュータ装置との音声通信を支援することができる。
【0003】
無線通信ネットワークに対しては多数の異なる通信規格及び技術が存在し、様々な種類のサービスを提供している。また、同じ又は異なる規格に基づいて動作するネットワークは、同じ地理的な領域の中で共存したり、互いに部分的に重なり合うことができる。個々のネットワークは、携帯機器が望むアクセス技術により、別個の通信規格に基づいて動作することもできる。同様に、携帯機器は無線ネットワークが提供するアクセス技術により、異なる規格に基づいて動作する能力を持つことができる。
【0004】
無線通信ネットワークはセルラーネットワーク構造(cellular network structure)を有し、GSM(移動体通信用の世界的なシステム)、UMTS(ユニバーサル移動体通信システム)などの移動体通信ネットワークの例がある。携帯機器間で無線送信するために利用可能な周波数スペクトルをより効率的に使用するために、セルラーネットワークは一般に個々のセルに細分される。ネットワークの2つのセルは、互いに隣接する又は互いに少なくとも部分的に重なり合う所定の地理的地域をカバーする。
【0005】
音声通信又はデータ通信に関与する携帯機器が通信ネットワークの1つのセルから通信ネットワークの別のセルへ移動する場合、これらのセルの間で引渡しが行われて、1つのセルから他のセルへ進行中の通信が引き継がれる。通信ネットワークの個々のセルがより大きな地理的地域をカバーするので、携帯機器は進行中の音声又はデータ通信に対して妨害を受けることなく、ネットワークの受信可能領域の中を自由に移動できる。
【0006】
例えば、携帯機器のユーザが別の相手との音声又はデータ通信に関与している場合、その携帯機器は対応する通信ネットワークの第1のセルを通して接続されるため、通信はこの第1のセルによって処理される。通信に関係した別の相手はネットワークに直接接続されるか、又は例えば別の移動体通信ネットワーク又は従来の固定式有線通信ネットワークなどの別のネットワークの加入者とすることができる。携帯機器がその後で対応するネットワークの第2のセルの受信可能領域に移動すると、通信はネットワークの第2のセルに引き継がれる。引継の後で、携帯機器と別の相手との間の通信は、ネットワークの第2のセルを通して行われる。別の実施例によれば、携帯機器は、イーメールのサービスプロバイダが提供するイーメールサービスなどの、サービスプロバイダが提供するサービスを使用することができる。この場合も、前の実施例と同様に、サービスプロバイダと携帯機器との間で交換された全ての通信データは携帯機器から使用するネットワークのセルに向けられ、次にサービスプロバイダに向けられるが、逆の場合も同様である。さらに、携帯機器がここで使用中の移動体通信ネットワークの別のセルの受信可能領域に移動する場合は、サービスプロバイダからのサービスに関係する全ての通信は、別のセルに引き継ぎされる。
【0007】
通常は、どちらの場合も、携帯機器のユーザは引継に気が付かない、すなわち音声通信は途切れないように維持され、使用されるイーメールのサービスは間断なく継続される。
【0008】
しかしながら、携帯機器が動作中のネットワーク又は現在のネットワークの受信可能領域を超えて移動する場合、通信はもはやこのネットワークの中では処理されず、第2のネットワークすなわち新しいネットワークへの引渡しが必要になる。例えば、通信を現在のネットワークから新しいネットワークへ移動するために、携帯機器は携帯機器と現在のネットワークとの間の通信経路を終了し、その後新しいネットワークに接続して、新しいネットワークを通る通信経路を再構築することができる。
【0009】
しかしながら、ネットワークは異なるオペレータを有し、引渡しは注意深く取り決める必要がある。さらに、前述したように、多数の異なる共存する通信規格を用いて、性能が異なる様々な種類のネットワーク間の通信の引渡しは望ましくまた要求されている。このため、1つのまた同じ動作中のネットワークの中の引渡しは、携帯機器はこの動作中のネットワークに登録されており、また例えば、ネットワークの1つのセルから同じネットワークの別のセルに単に移動するだけであるため、それほど多くの時間を必要としないが、2つの異なる通信ネットワーク間のネットワーク間の引渡しはかなりの時間を必要とする可能性がある。例えば、現在のネットワークから通信を引き継ぐために選択された新しいネットワークは、音声通信又はサービスの提供などの現行の通信の現在のネットワーク特性と交渉することが要求され、ネットワークは加入者及び認証情報を交換する必要があり、また新しいネットワークは通信を処理するために適当なリソースを確保しておく必要がある。
【0010】
さらに、2つの異なるネットワーク間の単純な音声通信の引渡しは容易に処理できるが、例えば現在のネットワークを通して提供されるサービスに関するより複雑な通信の引渡しは、新しいネットワークは必要な情報が足りないため、サービスの提供を途切れなく継続することはできないので、引渡しの間はサービスの終了になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、短時間にまた連続してサービスが提供される状態で途切れないネットワーク間の引渡しを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、携帯機器と現在のネットワークとの間の、携帯機器に通信サービスを提供する通信リンクを新しいネットワークに引き渡すための方法によって解決される。この方法には、通信リンク及び通信サービスを特徴付けるコンテキストパラメータ(context parameter)を現在のネットワークで収集するステップと、このコンテキストパラメータの少なくとも一部を現在のネットワークから送信するステップと、コンテキストパラメータに基づいて通信リンク及び通信装置の新しいネットワークへの引渡しを実行するステップと、が含まれる。この新しいネットワークはこのように、引渡し又は通信リンクの切換えを実際に実行する前の引渡しの準備段階において引渡しに関連した情報を得るため、引渡しの間又は引渡しの後で、携帯機器と新しいネットワークとの間の通信の設定を適当に準備する状態にある。
都合がよいことに、この方法は、コンテキストパラメータが独立したコンテキストパラメータであるかどうかを決定するための動作を含むことができる。独立したコンテキストパラメータは、引渡しの後の少なくとも1つの通信リンク及び通信サービスに適用できるコンテキストパラメータである。さらにその上、この方法は、コンテキストパラメータが従属したコンテキストパラメータであるかどうかを決定するための動作を含むことができる。この従属したコンテキストパラメータは、引渡しの後の通信リンク及び通信サービスに適用できないコンテキストパラメータである。独立したコンテキストパラメータのみが、新しいネットワークに送信される。このため、通信リンク及び/又は通信サービスに適用できるコンテキストパラメータのみが送信されので、通信に関する要求事項及びコンテキストパラメータを送信するために必要な時間を削減することができる。
独立した及び従属したコンテキストパラメータを決定するための決定過程は、現在のネットワーク及び新しいネットワークにおける少なくとも1つのアクセス技術、現在のネットワークの出資者、新しいネットワークの出資者、及び現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係に基づいている。
別の実施形態によれば、コンテキストパラメータ又はコンテキストパラメータの組に優先順位を割り当てることができ、この優先順位に基づいて、コンテキストパラメータ又はコンテキストパラメータの組を新しいネットワークに送信することができる。このため、より重要なコンテキストパラメータをより早い時点で送信することができる。
例えば、携帯機器と新しいネットワークとの間に通信リンクを確立するために必要なコンテキストパラメータには、最高の優先順位が与えられ、引渡しの後で通信サービスを維持するために必要なコンテキストパラメータには、2番目に高い優先順位が与えられる。
優先順位は方針に基づいて割り当てることができ、また優先順位はサービスの種類、サービスレベルの契約、新しいネットワーク、使用するアクセス技術、及び新しいネットワークの出資者の少なくとも1つに依存する。
さらに、コンテキストパラメータは、携帯機器の特性、通信リンクの特性、通信サービスの特性、及び現在のネットワーク及び/又は新しいネットワークの特性から成るグループの少なくとも1つから構成することができる。
コンテキストの転送を適当に計画するために、引渡しが起こる前の利用可能な時間を決定することができる。さらに、転送するコンテキストパラメータの一部を、利用可能な時間に基づいて及び/又はこのコンテキストパラメータに与えられた優先順位に基づいて決定することができる。
新しいネットワークは、転送されたコンテキストパラメータに基づいて通信リンク及び通信サービスの設定を準備する。
さらにその上、第1の出資者は現在のネットワークを動作させ、第2の出資者は新しいネットワークを動作させる可能性がある。
別の実施形態によれば、前述したどのような動作の方法も実行するように適応された命令を有するプログラムを備えている。さらに、データ処理装置又はデータ処理装置のグループに前述したどのような動作の方法も実行させるプログラムが組み込まれたコンピュータが読取り可能な媒体を備えることができる。コンピュータプログラム製品は、このコンピュータが読取り可能な媒体を備えることができる。
本発明の目的は、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ引き渡すための制御手段によってさらに解決される。ここで、通信リンクは携帯機器に対する通信サービスを実行し、この制御手段には、通信リンク及び通信サービスを特徴付けるコンテキストパラメータを現在のネットワークで収集するための、またコンテキストパラメータの少なくとも一部を現在のネットワークから新しいネットワークへ転送するためのコンテキスト用ハンドラ、及び新しいネットワークに対して通信サービスを実行する通信リンクの引渡しを実行するための引渡しハンドラから構成する。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、さらに従属請求の範囲の中で開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
下記の中で、本発明の第1の実施形態を、図1に関連して説明する。
【0014】
図1は、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ継目なく引き渡すための通信環境の構成要素を例示している。
【0015】
全体的に、携帯機器のユーザは他の相手と音声又はデータ通信を行っていて、その間ユーザの携帯機器は現在のネットワーク、すなわち動作中の通信ネットワークに接続されている。同様に、携帯機器のユーザは、イーメールのサービスプロバイダが提供するイーメールサービスなどのサービスプロバイダが提供するサービスを利用することができ、またサービスプロバイダと携帯機器との間のどのような通信データの交換も現在のネットワークを通して送られる。
【0016】
携帯機器が現在のネットワークの受信可能領域の中を移動する場合、通信は一般に現在のネットワークを通して、例えば現在のネットワークの異なる受信可能領域又はセル間の通信を受け渡すことによって維持することができる。
【0017】
しかしながら、携帯機器が現在のネットワークの受信可能領域を超えて移動する場合、通信はもはや現在のネットワークの中では処理されず、新しいネットワークへの引渡しが必要になる。現在のネットワーク及び新しいネットワークは一般に、別個の所有者又は出資者によって運営され、また同じ又は異なるアクセス技術を使用する。それにもかかわらず、同じ出資者が現在のネットワーク及び新しいネットワークを運営すること、又はより大きなネットワークの別個の部分を形成することさえも可能である。
【0018】
別の携帯機器又はサービスプロバイダなどの他の相手との通信に関係する携帯機器のいわゆるネットワーク間の引渡しは、受信可能領域が地理的に隣接するネットワーク間で発生することがある。この場合、携帯機器が現在のネットワークの受信可能領域の境界に近付くと、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信は新しいネットワークに引き渡される。
【0019】
その上、ネットワーク間の引渡しは、重なりをカバーするネットワーク間でも、また例えば第1のネットワークが過負荷状態になる場合、現在のネットワークとの通信接続が悪い又は妨害される場合、サービスに関する要求事項に適応できない場合などの場合は、同じ地理的な領域の場合でさえも発生することがある。また、移動体のユーザがサービスプロバイダからサービスを得る場合、及び通信を処理している現在のネットワークが帯域幅やサービス機能などの要求されたサービスの特性を提供できない場合、通信の引渡しが要求される。
【0020】
図1に示した本発明の実施形態による通信環境により、前述した2つのネットワーク間の引渡しが可能にされる。より詳細に述べると、図1に示した通信環境により、引渡しの予備段階を行うことによって、現在のネットワークから新しいネットワークへの通信サービスの継目のない引渡しが可能にされる。継目のない引渡しは、提供される通信リンク及び通信サービスに著しい劣化を含まない引渡しを意味する。携帯機器のユーザが、継目のない引渡しに気付きもしないことが理想的である。引渡しの予備段階により、新しいネットワークは実際の引渡しの間に通信をより迅速に引き継ぐことができ、さらに新しいネットワークは進行中の通信、例えばサービスプロバイダが提供する他の携帯機器又はサービスとの通信を容易に継続することができる。
【0021】
引渡しの予備段階には、実際の引渡しを実行する前に、現在のネットワークから新しいネットワークへの通信に関係するコンテキスト情報を転送することが含まれる。このため、新しいネットワークが、例えば現在のネットワークから引き継がれる携帯機器への通信リンクを特徴付ける情報を既に保持しているため、通信リンクの設定を準備することができ、また実際の引渡しを短い時間遅延で行うことができる。さらに、新しいネットワークが引き渡される通信サービスに関するコンテキスト情報を得ることができるので、通信サービスの設定を準備することができ、またサービスの中断を避けることができる。
【0022】
ここで、図1を詳細に参照する。通信環境には、現在のネットワーク110、携帯機器120、及び新しいネットワーク130が含まれる。さらに、図1は、現在のネットワークに配置された制御手段100を例示する。この制御手段100には、コンテキストパラメータを新しいネットワークに転送する動作及び現在のネットワークから新しいネットワークへの通信リンクを引き渡すための動作を制御するための、コンテキストハンドラ101及び引渡しハンドラ102が含まれる。通信リンクは、携帯機器とデータ又は音声などの情報を交換するネットワークとの間の接続である。図1に示すように、制御手段100を現在のネットワークの中に組み込むことができるが、制御手段を少なくとも部分的に携帯機器の中に組み込む及び/又は通信環境のどこかに配置することもできる。通信手段が別のエンティティーを形成することも可能である。
【0023】
携帯機器120は、現在のネットワーク110に対するアクティブな通信リンク160を有する。この通信リンクは、例えばサービスプロバイダから携帯機器120への通信サービスを提供する。例えば、このサービスは、イーメールサービス、ある種のデータサービス、音声通信又は音声サービスなどとすることができる。このサービスは、携帯機器120と音声又はデータ通信する別の携帯電話などの別の携帯機器が提供することもできる。
【0024】
図1では、例えば携帯機器120が新しいネットワーク130の受信可能領域の中に移動するような前に概説した理由に基づいて、携帯機器120と現在のネットワーク110との間の通信160は新しいネットワーク130に引き渡されることがさらに予想される。151で例示した通信リンクが新しいネットワークへ引き渡された後は、161で例示するように、通信サービスは新しいネットワーク130及び携帯機器120に対して切り換えられた通信リンクを通して提供される。引渡しの後、携帯機器120と現在のネットワーク110との間の通信リンク160は終了する。
【0025】
しかしながら、異なる所有者又は出資者が新しいネットワーク及び現在のネットワークを運営することがあり、また新しいネットワークが携帯機器120、提供される通信サービスの種類、及び確立すべき通信リンクのさらなる構成要素又は要求事項を分かっていない可能性がある。
【0026】
従って、通信リンク160を新しいネットワーク130に実際に引き渡す前に、著しい遅延若しくは中断又はさらに通信サービスの終了を避けるために、新しいネットワークが確実に引渡しの間に通信リンク及び通信サービスを迅速に確立する状態にすることが必要である。
【0027】
このため、引渡しの前に、コンテキストパラメータが新しいネットワークに転送され、これにより引渡しを適当に準備することができる。短い時間でまた提供される通信サービスを劣化させずに、この引渡しを実行できる。コンテキストパラメータは、携帯機器120への通信が組み込まれた通信環境の全ての特性に関係する情報である。
【0028】
詳述すると、コンテキストパラメータは、好ましいことに通信リンク及び通信サービスの特徴を記述する。例えば、コンテキストパラメータは、携帯機器120と現在のネットワーク110との間に通信リンク160を確立及び/又は維持するために、技術的な特性又は要求事項を記述することができる。さらに、コンテキストパラメータは、携帯機器又は携帯機器のユーザに対して通信サービスを確立及び/又は維持するために、技術的な特性又は要求事項を記述することができる。
【0029】
携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクの特性には、この通信リンクに対して使用されるアクセス技術、転送用のデータ速度、エラーのコード化又はエラーからの保護などに関する情報が含まれる。さらに、通信リンクの特性には、使用される通信チャネル、時間帯、アクセスコードなどが含まれる。
【0030】
コンテキストパラメータは、携帯機器に提供された通信サービスの全ての特性に関係する。前述したように、通信サービスには、例えばサービスプロバイダ又は別の携帯機器が提供する、携帯機器に対するどのような種類のデータ又は音声サービスも含まれる。その結果、コンテキストパラメータは、サービスの種類、サービスするアプリケーションの設定条件、ユーザの選択物、加入情報、サービス機能を使用するための認証、ユーザの設定値などを記述することができる。
【0031】
これには、携帯機器や機器の種類などの同一性のような携帯機器の特性を定義するコンテキストパラメータも含まれる。さらに、コンテキストパラメータは、例えば処理能力、携帯機器のディスプレイの大きさのような表示能力、ディスプレイの種類などの携帯機器の能力を指定することができる。その上、コンテキストパラメータは、認証情報及びセキュリティ情報などを規定することができる。さらになお、コンテキストパラメータは、携帯機器のユーザのサービスの申込み及び携帯機器に関連した全ての他の情報を規定することができる。
【0032】
コンテキストパラメータは、携帯機器の位置、携帯機器の速度、携帯機器の移動方向などの携帯機器の位置情報も含むことができる。この情報により、引渡しの間の携帯機器の位置、引渡しの後で通信リンク161を確立するときに使用される信号強度などを予想することができる。
【0033】
また、コンテキストパラメータは、現在のネットワーク及び/又は新しいネットワークの特性を含むことができる。これには、現在のネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関係、通信リンクに使用されるアクセス技術などの現在のネットワークの特性、ネットワークの種類などに関する情報が含まれる。
【0034】
前述したように、引渡しの予備段階において、コンテキストパラメータが新しいネットワークに転送されるため、新しいネットワークは引渡しの後で又はその間に、著しい遅延若しくは中断又はさらに通信サービスの終了を避けるために、通信リンク及び通信サービスを迅速に確立することができる。
【0035】
詳述すると、携帯機器120と現在のネットワーク110との間の、通信サービスを携帯機器に提供している通信リンク160を新しいネットワーク130に引き渡す前に、多数のコンテキストパラメータが現在のネットワーク110に収集される。ここで、コンテキストパラメータには好ましいことに、通信リンク及び通信サービスに関する特徴を記述してある。さらに、次に、収集されたコンテキストパラメータの少なくとも一部が現在のネットワークから新しいネットワークに送信され、その後でコンテキストパラメータに基づいて、通信リンク及び通信サービスの新しいネットワークに対する引渡しが実行される。
【0036】
現在のネットワーク110において、通信リンク及び通信サービスの特徴を記述するコンテキストパラメータを収集するためのコンテキストハンドラ101が提供されて、150で示すように、このコンテキストハンドラ101はコンテキストパラメータの少なくとも一部を新しいネットワークに転送する動作を行う。さらに、現在のネットワークにおいて、通信サービスを新しいネットワーク130に伝える通信リンクの引渡しを行うための引渡しハンドラ102が提供される。
【0037】
新しいネットワーク130において、コンテキストパラメータを現在のネットワークから受け取るための通信マネージャ131が提供されて、例えば適当な通信リソースの確保を含みサービスプロバイダ又は他の携帯機器などとのサービス規定を交渉する実際の引渡しの前に、コンテキストパラメータに基づいて通信リンク及び通信サービスの設定を準備する。例えば、新しいネットワークからの通知又は決められた時間により、通信リンク及び通信サービスの設定が完了した後、151で示すように、引渡しを行うことができ、また新しいネットワーク130と携帯機器120との間の通信リンクを確立することができる。さらに、コンテキストパラメータに基づいて、通信マネージャ131は、通信リンクが伝えた通信サービスを継目なく継続することができる。
【0038】
好ましい実施形態によれば、コンテキストハンドラ101は、コンテキストパラメータが独立したコンテキストパラメータであるかどうかを判断するための決定動作を行うように適合される。独立したコンテキストパラメータは、引渡しの後に通信及び/又は通信サービスに適用できるコンテキストパラメータである。さらに、コンテキストパラメータが従属したコンテキストパラメータであろうとなかろうと、コンテキストハンドラは決定動作を行うように適合される。ここで、従属したコンテキストパラメータは、引渡しの後で通信リンク及び通信サービスに適用できないコンテキストパラメータである。決定過程は全体的に、現在のネットワークで使用される通信規格及びプロトコルに照らして、新しいネットワークで使用される通信規格又はプロトコルに基づいている。通信技術が類似している又は同一である場合は、通信リンクを確立及び/又は維持するために現在のネットワークで使用されるパラメータは、新しいネットワークで再利用される。さらに、決定過程は、現在のネットワーク及び/又は現在のネットワークの出資者及び新しいネットワークの出資者に照らして、新しいネットワークにおけるアクセス技術に基づくことができる。さらに、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の信頼関係を、決定過程のために使用できる。例えば、携帯機器と現在のネットワークとの間で取り決めたセキュリティパラメータなどの信頼関係に関する幾つかの構成要素は、新しいネットワークと通信装置との間の通信リンクを確立するために再利用することができる。
【0039】
決定動作を実行した後で、ネットワークの帯域幅を節約するために、独立したコンテキストパラメータのみが新しいネットワークに参照される。
【0040】
別の実施形態によれば、コンテキストハンドラはコンテキストパラメータ又はコンテキストパラメータの組に優先順位を割り当てて、割り当てられた優先順位に基づいてコンテキストパラメータ又はコンテキストパラメータの組を送信するように適合される。この優先順位は、コンテキストパラメータの重要性、すなわちコンテキストパラメータが通信リンク及び通信サービスの設定を準備するために新しいネットワークで要求される時間系列を考慮に入れる。実施例によれば、携帯機器と新しいネットワークとの間に通信リンクを確立するために必要なコンテキストパラメータには、最高の優先順位が与えられる。さらに、引渡しの後で通信サービスを維持するために必要なコンテキストパラメータには、2番目に高い優先順位が与えられる。従って、新しいネットワークと携帯機器との間に通信リンクが最初に適切に確立され、その次に通信サービスが確立されることが保証される。優先順位は、サービスの種類、サービスレベルの契約、新しいネットワークの特性、アクセス技術、及び新しいネットワークの出資者の少なくとも1つに依存する。
【0041】
別の実施例によれば、コンテキスト情報の量を予測できるようにするために、引渡しが行われる前の利用可能な時間を決定できる。実際の引渡しが行われる前に、このコンテキスト情報を現在のネットワークから新しいネットワークに転送することができる。その結果、新しいネットワークに転送されるコンテキストパラメータの一部は、検出された利用可能な時間に基づいて決定される。さらに、転送されるコンテキストパラメータの一部は、優先順位及び決定された利用可能な時間に基づいて決定される。
【0042】
通信環境の上記の構成要素及び制御手段100によって実現される前に概説した動作及び機能性、新しいネットワークの通信ハンドラ及び携帯機器により、新しいネットワークへ引渡しをするための準備を都合よく行うことができるため、新しいネットワークと携帯機器との間の通信リンク及び通信サービスを短時間で、また通信サービスの提供を損なわずに又は少なくともサービスの提供に関する障害を少なくして確立することができる。例えば異なる出資者が運営する異なるネットワーク間の引渡しが可能になるため、既存のネットワークの再利用や、異なるネットワーク間の通信トラフィックの交換が可能にされる。さらに、引渡しを実行するためまたコンテキストパラメータを転送するための標準的な解決策を提供することによって、既存の通信プロトコルを使用して、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の標準的なメッセージに関連した要求されたコンテキストパラメータを交換することができる。
【0043】
以下に、図1に示した通信環境の概要を、より詳細に説明する。下記の内容は単に実施例を示しているだけであり、本発明を限定すると解釈してはならないことに注意されたい。
【0044】
図1に示した携帯機器120は携帯電話として示されているが、それ以外の他の任意の種類の移動体通信装置とすることもできる。例えば、携帯機器は、ラップトップコンピュータ、PDA(携帯情報端末)などを含む携帯コンピュータ装置とすることができる。携帯機器100は、サービスプロバイダ又は他の移動体若しくは固定式の有線通信装置を含む通信システムの任意の他の構成要素との、1方向又は双方向通信の中に含まれる。
【0045】
携帯機器は、GSM、UMTS、D−AMPSなどの任意の規格に基づいて動作し、またIEEE 802.11、「Wireless LAN and medium access control (MAC) and physical layer PHY) specification」、1999年、3G(第三世代)又は3Gを超えたネットワークなどを含む、分散形媒体アクセス制御を有する無線LAN規格又は無線通信ネットワーク用の規格に基づいて動作する。異質の又は特別のネットワークは、通信相手に対する通信チャネルの割当てなどの、通信リソースの中央管理なしに又は集中的管理なしに形成される無線ネットワークである。
【0046】
携帯機器は複数の規格又はアクセス技術を実行することができるため、異なる規格に基づいて動作している無線通信ネットワークに接続できる。
【0047】
携帯機器は、さらに、異なる規格に対応するために、2つ以上のRF接続を行うことができる。その上、これにより携帯機器は現在のネットワークとのアクティブな通信を維持することができ、同時に他の通信ネットワークからの信号をモニタすることができる。
【0048】
ここで、RF接続は、ネットワークが使用するアクセス技術に基づいて、携帯機器が特定の周波数や特定のコードが付いた時間帯などで送信された情報を受信及び分析する能力を意味する。例えば、携帯機器は、GSM、UMTS、D−AMPS、無線LAN規格などの携帯機器が対応する各アクセス技術に基づいて、少なくとも1つのRF接続を維持することもできる。
【0049】
携帯機器100によって又はそれを用いて実行される通信には、例えば通常の電話呼出し又はサービスプロバイダと携帯機器との間のデータ通信の中の音声通信及び/又はデータ通信が含まれる。組み合わせた方法も考えられる。
【0050】
携帯機器は、ニュースの提供に関係するデータサービス、イーメールサービス、地方のイベント情報、交通情報、予約サービス、銀行取引サービスなどの、あらゆる種類の通信サービスをサービスプロバイダ又は他の携帯機器から得ることができる。また、通信サービスには、外部からのアクセスを制限するためのファイアウォールを備えた全社的な通信ネットワークを含む、会社の通信ネットワークへのアクセスが含まれる。
【0051】
携帯機器120は、好ましいことにプロセッサ及び携帯機器の通信機能を実行するためのコード化された命令を記憶するためのメモリを含む。通信機能には、新しいネットワーク130を発見するための制御手段100の機能性、引渡しを行うように現在のネットワークを指導すること、新しいネットワークに関する情報を携帯機器に提供することなどが含まれる、
【0052】
携帯機器は、現在のネットワークから新しいネットワークへのネットワーク間の引渡しの必要性を決定するための手段も備えて、現在のネットワーク及び/又は新しいネットワークから受信した情報に基づいて引渡しの決定を行うことができる。例えば、現在のネットワークの通信負荷が過大である場合、又は通信サービスに対するリソースの要求が変化して、もはや現在のネットワークが満足できない場合は、現在のネットワークは引渡しを示唆することができる。さらに、通信に関する要求事項が変化する場合、及び/又は現在のネットワークが十分な又は適切なリソースを通信に対して割り当てることができない場合は、携帯機器がネットワーク間の引渡しを実行するように決定することは考えられる。例えば、サービスのアプリケーションの中で多量のデータを送信する必要がある場合、又は通信に関する要求事項がリアルタイムの要求事項などのある種の規格を満たす必要がある場合、通信の間の送信の帯域幅に関する要求事項を変えることができる。
【0053】
現在のネットワーク110は、GSM、UMTS、D−AMPS、無線LAN規格、3G(第三世代)又は3Gを超えたネットワークなどの、任意の通信規格又はその組合せに対して動作する任意の種類の無線通信ネットワークから構成する。さらになお、現在のネットワークは、特別な通信ネットワークのような異種の通信ネットワークの少なくとも一部を形成することができる。現在のネットワークが制御手段100の少なくとも一部を組み込んで、少なくとも1つの処理ユニットと少なくとも1つのコード化された命令を記憶するためのメモリを含むことは可能である。これらのコード化された命令は、ロードされたときに、プロセッサに対して前に概説した制御手段の機能及び/又は現在のネットワークの他の機能を実行させる。
【0054】
新しいネットワーク130は、現在のネットワークと同様に、何らかの無線通信ネットワークによって構成される。現在のネットワーク及び新しいネットワークは異なる出資者、すなわち異なる運営会社によって運営されることがある。しかしながら、現在のネットワーク及び新しいネットワークは同じ出資者によって運営される異なるネットワークから構成する、又は1つの通信ネットワークの異なる別個の部分から構成することもある。
【0055】
現在のネットワーク及び新しいネットワークが同じ通信規格に基づいて動作することは可能であるが、現在のネットワーク及び新しいネットワークが異なる通信方式に従って動作することも十分に可能である。例えば、現在のネットワークがGSM規格に基づいて動作し、一方新しいネットワークがIEEE 802.11規格に従って動作する異種の通信ネットワークから構成することがある。
【0056】
151で示した引渡しの前に、サービスプロバイダが提供した通信サービスに関係する全てのデータは、サービスプロバイダから現在のネットワーク100に、また通信リンク160を通って携帯機器120に、又はこの逆の方向に送られる。引渡しの後で、通信サービスに関係するデータはサービスプロバイダから新しいネットワーク130及び通信リンク161を通って携帯機器120に転送される。
【0057】
さらに、引渡しを行う必要性又は要望を検出した後で、第1の動作手順では、妥当な新しいネットワークを多数の候補の中から選択する。この発見は、現在のネットワーク及び/又は携帯機器で行われる。例えば、現在のネットワーク及び/又は携帯機器は、各ネットワークが放送するビーコン信号(beacon signal)に基づいて新しいネットワークを発見することができる。ビーコン信号を近くに存在する候補のネットワークから受信すると、現在のネットワーク及び/又は携帯機器はこのビーコン信号を分析して、近くの候補のネットワークの身元を発見することができる。
【0058】
多数の候補のネットワークを発見した後で、適切なネットワークの1つを新しいネットワークとして選択する。この選択は、発見されたネットワークの性能、例えば引渡しの後の通信を処理する能力、及びリソースの有用性などに基づいて行われる。さらに、この選択は、携帯機器の位置、携帯機器の速度、移動方向、信号の品質、及びネットワークの待ち時間などの測定されたパラメータに基づいている。さらになお、この選択は、例えば候補のネットワークと通信する能力、新しいネットワークのリソース、サービスプロバイダが提供するサービスの種類などの、携帯機器の特性に基づいて行われる。
【0059】
現在のネットワークは測定されたパラメータ及び能力を基準にした決定動作を実行するが、現在のネットワークがこの測定されたパラメータ及び能力に関する情報を、例えば携帯機器からの要求により携帯機器に送信して、携帯機器が決定動作を行えるようにすることも可能である。特に、携帯機器が2つ以上のアクティブなRF接続を維持する場合、携帯機器は自分で決定動作を実行する。
【0060】
さらになお、携帯機器が測定されたパラメータに関する情報を受信していない場合は、携帯機器は現在のネットワークに決定動作を行うように要求する。又は、さらに別の選択肢によれば、携帯機器は現在のネットワークに対して決定動作を行うように要求し、また測定されたパラメータに関する情報を送信するように現在のネットワークに要求する。
【0061】
図1の実施形態は、引渡しに要する時間を短縮するため及びさらに、通信サービスの中断又は終了を避けるために、現在のネットワークから新しいネットワークへの通信の引渡しを適切に準備するための動作を例示している。
【0062】
下記において、本発明のさらに別の実施形態を、図2に関連して説明する。
【0063】
図2は、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークに引き渡すための動作を例示している。この通信リンクは、通信サービスを携帯機器に提供している。より詳細には、図2は、コンテキストパラメータを収集して、収集されたコンテキストパラメータの少なくとも一部を新しいネットワークに送信することによって、事前引渡し段階において引渡しを適当に準備して、これにより新しいネットワークが引渡しの間に又はその後で通信リンクの設定を準備できるようにする動作を例示している。図2に示した動作は、図1に示した通信環境を用いて実行されるが、図2はそれに限定されることはない。
【0064】
第1の動作201において、現在のネットワークは、通信リンク及び通信サービスを特徴付けるコンテキストパラメータを収集する。図1のコンテキストハンドラ101はコンテキストパラメータの収集を実行するが、コンテキストパラメータを通信環境の他の任意の位置又はエンティティーの中で収集して、次に現在のネットワークに転送することもできる。例えば、携帯機器は、携帯機器及び/又は通信サービスに関係するコンテキストパラメータを含む、通信リンクに関係するコンテキストパラメータを収集するように、例えば現在のネットワークによって指示される。前述したように、収集されたコンテキストパラメータは、通信リンク及び通信サービスに照らして、関係する全ての情報を含むことができる。コンテキストパラメータは、引渡しを行うための必要性又は要望を検出すると選択される、又は例えば携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを経由する進行中の通信の間に、早い時点で少しずつ収集される。
【0065】
コンテキストパラメータは、現在のネットワーク又は外部位置にあるメモリユニットに記憶することができる。例えば、現在のネットワークは、携帯機器120との通信のような各進行中の通信に関連したコンテキストパラメータの組を記憶することができる。
【0066】
移動体通信の複雑な環境及びネットワーク間の操作性に照らして、進行中の通信に関連した入手可能なコンテキストの量は極めて大きいため、全てのコンテキストパラメータを新しいネットワークに転送すると引渡しが遅れる原因になることは明らかである。この遅れは許容できないほど長く、また携帯機器120に提供される通信サービスの劣化又は終了をもたらす可能性がある。
【0067】
このため、携帯機器120と引渡しの後の新しいネットワーク130との間の通信リンク及び通信サービスを確立するために関係するコンテキストと、携帯機器と現在のネットワークとの間に確立された通信に大部分が関係するコンテキストの情報との間を区別することが必要である。
【0068】
現在のネットワークでコンテキストパラメータを収集した後の動作202において、コンテキストパラメータの少なくとも一部が現在のネットワークから新しいネットワークに送信される。新しいネットワークに送信するためのコンテキストパラメータの部分は、利用可能な時間によって簡単に決めることができる。すなわち、実際の引渡しのタイミングが許せば、収集したコンテキストパラメータの組の全体を転送できる。しかしながら、時間が限定される場合、コンテキストパラメータの一部のみしか送信できない。さらに、前述したように、新しいネットワーク130と携帯機器120との間に確立される通信リンク及び通信サービスに対して適用できるコンテキストパラメータは転送されるが、通信リンク及び通信サービスに適用できないコンテキストパラメータの送信は、さらに別の実施形態で詳述するように省略される。
【0069】
コンテキストパラメータは、コンテキストメッセージ(context message)又は一連のコンテキストメッセージの中で収集される。このコンテキストメッセージは、何らかの送信媒体を介して新しいネットワークに送信することができる。例えば、コンテキストパラメータ又はコンテキストパラメータを含むコンテキストメッセージは、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の無線リンクを介して、又は別の方法では、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の固定式の有線接続を介して、又はその組合せによって送信される。できるだけ多くのコンテキストパラメータを新しいネットワークに送信するために、任意の利用可能な送信能力を使用できることが望ましい。さらに、圧縮技術を使用して、当業者には周知のように、送信するデータの量を減らすことができる。
【0070】
コンテキストパラメータは、現在のネットワークから新しいネットワークへ直接送信されるか、又は中間の事業体、例えば現在のネットワーク及び新しいネットワークに向かう通信リンクを維持するサービスプロバイダを経由して送信される。このように、既存のサービスプロバイダの通信能力が、コンテキストパラメータを送信するために使用される。
【0071】
さらに、コンテキストパラメータは、現在のネットワークと新しいネットワークとの間で情報を交換するために使用される既存の通信プロトコルのメッセージに関連して送信される。例えば、コンテキストパラメータは、ネットワーク間で送信される既存のメッセージ及び/又はデータメッセージに加えることができるため、GSM規格、UMTS規格、IEEE 802.11規格、無線LAN規格など使用する通信規格に対して最小の適合しか要求しない。
【0072】
次に、コンテキストパラメータを現在のネットワークから受信する新しいネットワーク130は、新しいネットワークと携帯機器との間に確立される通信リンク及び/又は通信サービスの設定の準備に取り掛かることができる。コンテキストパラメータは、理想的には、携帯機器と確立される通信の設定及び要求事項を既に指定し、これにより新しいネットワークが既に適切な通信リソースを決定して、引渡しの間及びその後でその通信リソースを使用するために割り当てることができるようにする。新しいネットワークの通信マネージャ131は、前述の動作、すなわち通信リンク及び通信サービスを設定する準備を行う。この設定には、適切な通信リソースを保存すること、認証又は認証の確認を行うこと、登録を更新することが含まれる。さらに、設定にはサービスプロバイダと接触すること、及び新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の通信リンクを今までに準備することが含まれるため、継目なしの通信サービス、すなわちサービスを低下させない円滑な移行が可能になる。
【0073】
コンテキストパラメータを送信して、新しいネットワークにおける通信リンク及び通信サービスの設定を準備した後で、実際の引渡しを開始することができる。このため、動作203では、通信リンク及び通信サービスが現在のネットワークから新しいネットワークに引き渡され、新しいネットワークは、通信リンク161のような携帯機器と新しいネットワークとの間の通信リンクを用いて通信サービスを続行する。
【0074】
前述の動作は、コンテキストパラメータを現在のネットワークから新しいネットワークに送信することによって引渡しを準備するということで、本発明の利点を例証している。現在のネットワークから新しいネットワークへの通信の円滑な転送が可能になる。
【0075】
上記に加えて、コンテキストパラメータの収集及び転送の前に、複数の新しいネットワークに対する候補の中から、新しいネットワークが選択される。さらに、新しいネットワークと現在のネットワーク及び/又はサービスプロバイダとの間の相互信頼関係が確立されて、必要なセキュリティレベルが維持される。
【0076】
このため、第1の動作では、新しいネットワークが発見される。この発見する動作は、通信リンクが引き渡される新しいネットワークの同一性を決定する動作を含み、またアクセス技術や能力などの新しいネットワークの幾つかの特性を決定する動作を含むことが好ましい。
【0077】
発見するステップは、図1に示した現在のネットワーク110のような現在のネットワークによって実行される。例えば、現在のネットワークは、新しいネットワークに対する可能な候補として多数の隣接する又は重なり合った通信ネットワークを決定して、前述した決定されたパラメータに基づいて決定動作を実行することができる。別の方法では、携帯機器120のような携帯機器は発見する動作を実行できる、すなわち潜在的に新しいネットワークと見なす情報を収集して、選択するステップを実行することができる。
【0078】
現在のネットワーク及び/又は携帯機器は、各ネットワークが送信したビーコン信号をモニタすることによって、又は候補の新しいネットワークが送信したさらなる情報又はメッセージを分析することによって、候補の新しいネットワークに関係する情報を収集することができる。携帯機器が2つ以上のRF接続を維持できる場合、携帯機器は図1に示したサービスプロバイダ140などのサービスプロバイダが提供する通信サービスの中に積極的に加わることができ、また同時に、前述したように、例えば同じ又は異なるアクセス技術を用いるネットワークのような別のネットワークが送信した情報をモニタすることができる。同様に、現在のネットワークが発見するステップを実行する場合、現在のネットワークは異なるアクセス技術を用いて候補の新しいネットワークを検出する。
【0079】
例えば同一性の情報や使用するアクセス技術などの、新しいネットワークを特徴付ける情報は、現在のネットワークと携帯機器との間で交換されて、引渡しの処理手順を容易にすることができる。
【0080】
その後、実際の引渡しを準備する別の動作の中で、信頼関係が現在のネットワーク、新しいネットワーク及びサービスプロバイダの間で確立される。2つのエンティティー間の信頼関係には、認証する目的のために同一性を相互に検証すること、セキュリティデータを転送するためにセキュリティパラメータを交換すること、及びそれぞれ他のエンティティーにアクセスするために、各エンティティーの認証を決定することが含まれる。
【0081】
実施例によれば、2点間(PTP)拡張認証プロトコル(EAP)を使用して、信頼を作るために2つのエンティティーを認証することができる。EAPは、2点間リンクに対するピア間通信用の認証プロトコルを定義する。基本的に、エンティティーの1つが別のエンティティーから同一性の証明を要求する。この証明は、例えば単純な1回限りのパスワード又は呼掛け−応答形の認証、又はEAP TLS(トランスポート層セキュリティ(Transport Layer Security))プロトコルのような複雑なプロトコルとすることができる。このTLSプロトコルは、セッションキーの配布だけでなく交渉も行う。認証に対する要求は2つのエンティティーの1つから他方に送られ、見返りに認証者が検証する応答を受け取る。さらに、間接的な認証方式を構成するRADIUSプロトコルなどの、2つのエンティティー間の信頼を作るための他の認証方式も使用できる。この場合、あらゆる既知の通信エンティティーに対するそれぞれの同一性データを記憶している中央サーバに対して、認証が実行される。さらになお、公開/キー暗号化法を用いて、RSAアルゴリズムなどの相互に信頼するシステムを構築できる。このRSAアルゴリズムは、暗号化及び復号化に使用できる。公開/キー暗号化法は、一対のキーすなわち公開キー及び非公開キーを使用する。いずれのキーも、暗号化及びそれぞれの復号化に使用できる。最初に、キーの対が生成される。非公開キーはそれぞれのエンティティーと共に記憶され、公開キーはそれぞれの他のエンティティーを含む第三者に知らされる。非公開キー及び公開キーを用いることにより、2つのエンティティー間の通信を安全にすることができる。
【0082】
現在のネットワーク、新しいネットワーク及びサービスプロバイダ間の信頼関係は、オンザフライに、すなわち引渡しの準備段階の間に作られるか、又は前もって、例えばネットワークの展開時に、現在のネットワーク、新しいネットワーク及び/又はサービスプロバイダの出資者間の枠組みの合意に達した後で、又は任意の他の時点で作られる。
【0083】
このため、幾つかの相互信頼関係が既に存在することが可能である。この事例では、上記の動作には、現在のネットワーク、新しいネットワーク及びサービスプロバイダ間に信頼関係が存在することを決定すること、及び前述したように、失われた信頼関係を作り出すことが含まれる。
【0084】
下記の中で、本発明のさらに別の実施形態を、図3に関連して説明する。
【0085】
図3は、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークに引き渡す方法の動作を例示しており、特に新しいネットワークに転送するためのコンテキストパラメータを識別する動作を例示している。図3に示した動作は、図1に示した通信環境を用いて実行できる。しかしながら、図3はそれに限定されることはない。
【0086】
図3の実施形態では、図1の現在のネットワーク110などの現在のネットワークと携帯機器120などの携帯機器との間の通信リンクが新しいネットワーク130などの新しいネットワークに引き渡されるものと再度仮定する。さらに、携帯機器は、サービスをサービスプロバイダ又は別の携帯機器から得るものと仮定する。この通信サービスは、前述したように、通常の音声通信、イーメール用アプリケーションなどのより複雑なデータアプリケーション、銀行用アプリケーションなどを含む、どのような種類の音声又はデータサービスであっても良い。引渡しの前は、通信サービスは現在のネットワーク及び現在のネットワークと携帯機器との間の通信リンクを通って携帯機器に送られ、引渡しの後では、通信サービスは新しいネットワーク及び新しいネットワークと携帯機器との間に引き渡された通信リンクを通って携帯機器に送られる。
【0087】
引渡しが必要である又は望まれるという決定は、前の実施形態に関連して説明したように到達される。例えば、引渡しの決定は、信号の品質又はサービスの品質が、現在のネットワーク及び/又は携帯機器により測定されたときに低下することによって引き起こされる。別のネットワークが同じサービスを安価な費用で提供すると判断される場合、引渡しは費用の検討によって引き起こされることもある。
【0088】
さらに、適切で新しいネットワークが、他の実施形態を用いて説明されたように、多数の利用可能な新しいネットワークから選択される。
【0089】
この基本的なシナリオを開始する場合、新しいネットワークへの通信リンクの引渡しを行う必要性又は要求を検出又は決定した後で、かつ実際の引渡しが行われる前に、図3に示した第1の動作301の中で、引渡しの予備段階が、現在のネットワークと携帯機器との間の通信リンクを特徴付け、また携帯機器が得た通信サービスを特徴付けるコンテキストパラメータを収集することによって実行される。コンテキストパラメータの収集は、図2に示した動作201のような上記の実施形態に関連して説明したように実行される。
【0090】
前述したように、引渡しの予備段階は、引渡しを実行する必要性又は要求を検出することと実際の引渡しを実行すること、すなわち、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信を新しいネットワークに切り換えることとの間の一般に短い時間の中でのみ実行することができる。この時間は一般に全てのコンテキストパラメータを転送するには十分ではないため、コンテキストパラメータが独立したコンテキストパラメータであるか又は従属したコンテキストパラメータであるかにかかわらず、動作301で収集されたコンテキストパラメータのそれぞれに対して、決定動作を実行する必要がある。
【0091】
しかしながら、コンテキストパラメータが新しいネットワークに送信される決定の前に、動作302の中で、意思決定工程を容易にするために、新しいネットワークに関する情報が得られる。これには、通信リンク及び通信サービスの設定に関連した新しいネットワークに関するあらゆる種類の情報が含まれることが好ましい。新しいネットワークに関する情報には、例えば、新しいネットワークの同一性、新しいネットワークが動作する通信規格、新しいネットワークが対応するアクセス技術及び対応するデータ転送速度を含む新しいネットワークの能力、サービス提供能力などが含まれる。さらに、新しいネットワークに関する情報は、新しいネットワークの出資者及び、例えば現在のネットワークと新しいネットワークとの間又は新しいネットワークとサービスプロバイダとの間の信頼関連に関する情報の特徴を記述している。一般に、新しいネットワーク上で得られた情報には、現在のネットワークで収集されたコンテキストパラメータが引渡しの後で通信及び/又は通信サービスを確立することに関連するかどうかにかかわらず、意思決定工程を支援するものが含まれる。
【0092】
新しいネットワークに関する情報は、要求に基づいて新しいネットワークから直接的に、又は何らかの他の情報源から得ることができる。
【0093】
次に、動作303において、コンテキストパラメータが独立したコンテキストパラメータであるか又は従属したコンテキストパラメータであるかが決定される。独立したコンテキストパラメータは、引渡しの後で実行されるときに携帯機器と新しいネットワーク及び/又は通信サービスとの間に確立される通信リンクに適用できるコンテキストパラメータである。同様に、コンテキストパラメータが引渡しの後で通信リンク及び通信サービスに適用できない場合は、そのコンテキストパラメータは従属したコンテキストパラメータである。
【0094】
動作303で実行される決定動作は、現在のネットワークの対応する特徴及び機能と比較する場合、動作302の中で得られた新しいネットワークに関する情報に依存する。このため、コンテキストパラメータが独立したコンテキストパラメータであるか又は従属したコンテキストパラメータであるかを決定することは、現在のネットワークの種類、現在のネットワークが使用するアクセス技術、現在のネットワークの能力、現在のネットワークの出資者などにも依存する。例えば、現在のネットワーク及び新しいネットワークが同じ通信規格のもとで動作する場合は、通信リンク及び通信サービスをある規格のもとで携帯機器に対して確立することに関連する全てのコンテキストパラメータは、引渡しの後で新しいネットワークに適用できる、すなわち、これらのコンテキストパラメータは独立したコンテキストパラメータを構成する。同様に、通信チャネルの種類すなわち引渡しの前及び後で通信チャネルに対して使用するアクセス技術が同じである場合、通信リンクの種類及びアクセス技術を記載している全てのコンテキストパラメータは、独立したコンテキストパラメータとして識別することができる。さらに、現在のネットワークと新しいネットワークとの間に相互信頼関係が存在する場合、セキュリティパラメータ、識別情報の許可及び携帯機器の認証情報は、現在のネットワークと新しいネットワークとの間に信頼が存在するという事実に基づいて、それらを新しいネットワークで再使用できるように、独立したコンテキストパラメータとして少なくとも部分的に識別することができる。同様に、現在のネットワークとさらに別のエンティティーとの間及びこのさらに別のエンティティーと新しいネットワークとの間に相互信頼が存在する場合には、そのようになる。さらに、同じ出資者が現在のネットワーク及び新しいネットワークを運営する場合、例えば出資者が使用する独自の特徴や設定値などのコンテキストパラメータに関連する全ての出資者は、独立したコンテキストパラメータとして識別できる。さらに、現在のネットワーク及び新しいネットワークの出資者が異なる場合は、現在のネットワークの出資者と新しいネットワークの出資者との間信頼関係により、独立したコンテキストパラメータを定義することができる。その上、現在のネットワーク及び新しいネットワークによるサービスの提供、すなわち携帯機器への通信サービスの提供が互いに一致する場合、通信サービスに関係する全てのコンテキストパラメータは、独立したコンテキストパラメータとして識別することができる。
【0095】
同様に、独立したコンテキストパラメータに対する上記の決定過程に基づいて、引渡しの後の通信及び通信サービスに適用できない全てのコンテキストパラメータは、従属したコンテキストパラメータとして、すなわち単に現在のネットワークの通信リンク及びサービスの提供に従属するものとして識別することができる。
【0096】
独立したコンテキストパラメータ及び従属したコンテキストパラメータは、例えば現在のネットワークの記憶装置の中のコンテキストパラメータの異なる組の中に記憶される。
【0097】
従属及び独立したコンテキストパラメータを決定した後で、独立したコンテキストパラメータをさらにフィルタ処理するために、随意的にコンテキストを転送する方針を適用できる。独立したコンテキストパラメータをさらに選択する方針は、すなわち独立したコンテキストパラメータの一部を保持すべきかどうかを決定することは、現在のネットワークの出資者又はオペレータが行うことができる。例えば、セキュリティ面に関する幾つかの独自のコンテキストに関する情報又は現在のネットワークの独自の機能は保持される。さらに、規則又は法律により、幾つかのコンテキストパラメータを第三者に送信することは禁止されている。
【0098】
次に、上記の概説した方針に基づいて保持すべき全ての独立したコンテキストパラメータは、独立したコンテキストパラメータの選択された組から取り除くことができる。この後、動作304において、独立したコンテキストパラメータのみが新しいネットワークに送信される。その結果、送信するコンテキストパラメータの量は、引渡しの後で適用できるコンテキストパラメータのみに削減することができる。
【0099】
上記の概説した方法により、新しいネットワークに転送するコンテキストパラメータの量は著しく削減されるため、引渡しの決定と実際の引渡しとの間の、コンテキストパラメータを転送するために利用可能な時間を最適に使用することができる。
【0100】
コンテキストパラメータを転送した後で、前の実施形態に関連して概説したように、新しいネットワークは、通信リンク及び通信サービスの設定を適切に準備する。通信サービスには、例えば適切な通信リソースを確保すること及びサービスプロバイダ又は他の携帯機器とサービスの提供を取り決めることが含まれる。
【0101】
この後で、実際の引渡しが、前述したように動作305の中で実行される。
【0102】
上記の実施形態は、引渡しの前の利用可能な時間をより効率的に使用するために、転送すべきコンテキストパラメータの量を削減することができる本発明の要素を並べている。
【0103】
図3に関して前に概説した動作は、現在のネットワークの制御手段100によって実行される。より正確には、動作301の中で説明したようにコンテキストパラメータを収集するように、動作302の中で概説したように新しいネットワークに関する情報を得るように、動作303の中で詳述したように独立及び従属したコンテキストパラメータを識別するように、コンテキストハンドラを適合することができる。また、コンテキストハンドラは、動作304の中で概説したように、独立したコンテキストパラメータを新しいネットワークに送信するように適合される。引渡しハンドラは、動作305の中で概説したように、引渡しを実行するように適合される。
【0104】
下記の中で、本発明のさらに別の実施形態を図4に関連して説明する。
【0105】
図4は、現在のネットワークと携帯機器との間の通信リンクを新しいネットワークに引き渡すための動作を例示しており、特にコンテキストパラメータを転送するために時間をさらに効率的に使用させる動作を例示している。
【0106】
図4の動作は、図1の通信環境を用いて実行されるが、図4はそれに限定されることはない。
【0107】
図3に関して前に概説したように、独立したコンテキストパラメータを送信することにより、転送すべきコンテキストパラメータの量を著しく減らすことができる。しかしながら、全ての独立したコンテキストパラメータを現在のネットワークから新しいネットワークへ利用可能な短い時間内で転送するために使用できる十分なリソースは、いまだに存在しない。このため、図4は、新しいネットワークに転送するためのコンテキストパラメータに対する優先順位の割当てを、さらに説明する。
【0108】
第1の動作401では、コンテキストパラメータが、例えば上記の実施形態に関連して概説したように収集される。
【0109】
その後、動作402の中で、優先順位がコンテキストパラメータ又はコンテキストパラメータの組に割り当てられる。引渡しの間又は後で通信リンク及び/又は通信サービスを確立するためのコンテキストパラメータの重要性を反映するように、優先順位をコンテキストパラメータに割り当てることが好ましい。このため、通信リンク及び/又は通信サービスを確立するために不可欠なコンテキストパラメータに、最高の優先順位が割り当てられる。さらに、引渡しの間又は後で通信リンク及び/又は通信サービスを確立するための通信及び/又は計算努力を著しく削減できるコンテキストパラメータに、高い優先順位が与えられる。実施例では、携帯機器と新しいネットワークとの間に通信リンクを確立するために必要なコンテキストパラメータには、引渡しを成功させるには、携帯機器と新しいネットワークとの間に通信を確立することが最も重要であるという事実を反映して、最高の優先順位が与えられる。さらに、引渡しの間又は後で通信サービスを維持するために必要なコンテキストパラメータには、2番目に高い優先順位が与えられる。携帯機器と新しいネットワークとの間の動作する通信リンクがうまく確立される場合、このことは、通信サービスを携帯機器とサービスプロバイダとの間の設定手順の中で引渡しの間に取り決める、すなわち確立することもできるという事実を反映している。
【0110】
方針に基づいて独立したコンテキストパラメータを選択することと同様に、優先順位をコンテキストパラメータに割り当てることも、方針に基づいて行うことができる。これらの方針は現在のネットワークの出資者によって規定され、またユーザの好みによることもある。
【0111】
例えば、方針に基づいて、例えば銀行取引又は機密データを取り扱うための任意の他のアプリケーションのような幾つかのサービスに対するセキュリティ面に関係するコンテキストパラメータに対しては、最高の優先順位が与えられる。そのような方針は、セキュリティを第1に据える、すなわち一定のセキュリティレベルがない通信リンク及び通信サービスの確立は望まれない。
【0112】
さらに、優先順位の割当ては、サービスの種類に依存する。例えばサービスによっては、リアルタイムのデータ又は音声通信などの通信サービスをうまく確立するために、データ転送速度が最小であること又は幾つかの設定を必要とすることがある。他のサービスには、ウェブ閲覧アプリケーションなど、引渡しの間のコンテキスト設定の不足に対して敏感でないものがある。さらに、優先順位がサービスレベルの取決めに依存することがある、すなわち、例えば機密データなどの、引渡しに対して高いレベルのセキュリティを要求する通信サービスは、セキュリティ関連のコンテキストパラメータに対して高い優先順位が必要である。さらに、優先順位は、新しいネットワークの特性に依存することがある。例えば、新しいネットワークの中には、ある種のコンテキストパラメータがなくても通信リンク又は通信サービスを確立する能力を有しているもの又は有していないものがある。新しいネットワークの中には、通信リンク又は通信サービスに対して幾つかの設定を取り決める能力を有しているため、必ずしもコンテキストパラメータは必要としないものがあるが、別のネットワークの中には上記の能力を持っていないため、これらのコンテキストパラメータを必要とするものがある。
【0113】
さらに、優先順位が、使用するアクセス技術に依存することがある、例えばアクセス技術の中にはある種のコンテキストパラメータに対して強い要求を有することがある。さらに、優先順位が新しいネットワークの出資者に依存して、新しいネットワークの特定のサービス提供方針を反映することがある。
【0114】
この後、優先順位が付けられたコンテキストパラメータは、各自の優先順位の順に新しいネットワークに送信するようにまとめられる、すなわち、最高の優先順位を有するコンテキストパラメータを優先順位が低いコンテキストパラメータの前に送信するように計画される。
【0115】
さらに、コンテキストパラメータはグループの中にまとめられ、優先順位がコンテキストパラメータの個々のグループに割り当てられる。
【0116】
このため、セキュリティ関連のコンテキストパラメータは1つのグループの中にまとめられ、サービス関連のコンテキストパラメータは別のグループに集められ、通信リンク関連のコンテキストパラメータは別のグループにまとめられ、また認定又はユーザパラメータはコンテキストパラメータのさらに別のグループにまとめられる。次に、上記の方法に基づいて、優先順位がコンテキストパラメータのグループに割り当てられて、これらのコンテキストパラメータのグループが自身の優先順位に従って送信されるように並べられる。
【0117】
次に、コンテキストパラメータ又はコンテキストパラメータのグループは、自身の優先順位の順に新しいネットワークに送信される。
【0118】
さらに、コンテキストパラメータの優先順位は、新しいネットワークにおいてコンテキストパラメータに関連した処理動作を実行するために必要な時間に依存する。例えば、幾つかのコンテキストパラメータは、セキュリティの設定及び認定手続きなど、引渡しの予備段階で新しいネットワークにおいて大規模な計算又は交渉を必要とするのに対して、他方ではコンテキストパラメータの中には、例えばサービスの設定など、新しいネットワークにおいて少ない計算努力しか行わないものがある。このため、新しいネットワークにおいて多大な処理時間を必要とするコンテキストパラメータは高い優先順位に関連付ける必要があり、一方新しいネットワークであまり計算を必要としないコンテキストパラメータは、新しいネットワークでより低い優先順位に関連付けることができる。
【0119】
この後、動作404において、前述の実施形態に関連して述べたように、引渡しが実行される。
【0120】
図4に関して前に概説した動作は、現在のネットワークの制御手段100によって実行される。より正確には、コンテキストパラメータを収集するように、動作402の中で優先順位を割り当てるように、また動作403の中で優先順位に基づいてコンテキストパラメータを送信するように、コンテキストハンドラを適合することができる。
【0121】
図4の動作は図3の動作と組み合わせることができる、すなわち優先順位は独立したコンテキストパラメータ、独立したコンテキストパラメータのグループ、又は全ての利用可能なコンテキストパラメータに割り当てることができることに注意されたい。
【0122】
図4の実施形態は、引渡しの決定と実際の引渡しとの間に利用できる時間を、コンテキストパラメータを転送するためにより効率的に使用できる方法を例示している。最初に、優先順位が最高のコンテキストパラメータが送信されるため、実際の引渡しの前の時間に、最も適切なコンテキストパラメータが転送される。
【0123】
以下に、本発明のさらなる実施形態を、図5に関連して説明する。
【0124】
図5は、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークに引き渡すための動作を例示しており、特に引渡しの前に利用可能な時間内にコンテキストを転送するためのスケジューリングを概説している。
【0125】
図5の動作は、図1に示した通信環境によって実行することができるが、これに限定されることはない。
【0126】
図5の実施形態では、ある時点で、引渡しを実行するための決定に到達されると仮定する。携帯機器又は通信ネットワークは、前の実施形態に関連して概説したように、この決定を引き起こすことができる。一般に、引渡しは、サービス又は通信リンクが終了されることを避けるために、自発的に実行されるか又は要求される。自発的な引渡しは、通信サービスを向上すること及び費用を削減することなどの考察に基づいて行われるため、引渡しの実行を決定することと実際の引渡しに対する計画時間との間の時間を、望ましい値に設定することができる。この値は、全ての関連した又は必要なコンテキストパラメータを送信できるように設定できるため、実際の引渡し用の時間はコンテキストパラメータの量及びコンテキストパラメータ用の送信能力などに基づいて設定されて、送信するように計画された全てのコンテキストパラメータを実際に送信することができる。
【0127】
しかしながら、引渡しの決定と実際の引渡しとの間の時間を任意に設定できないような幾つかの状態、例えば信号の品質又はサービスの品質が急速に低下するような状態がある。例えば、急速な移動又は建物による遮蔽などにより、信号及び/又はサービスの品質が低下したときに、引渡しを開始する必要があることがある。この場合は、信号又はサービスの品質が不十分であるため、決定と通信リンク又はサービスの終了との間に利用できる時間は短くなる。
【0128】
その結果、動作501の中で、引渡しの決定と実際の引渡しとの間に利用できる時間が決定される。現在のネットワーク及び/又は携帯機器は、利用可能な時間を決定できる。
【0129】
さらに、動作502では、前の実施形態に関連して詳述したように、コンテキストパラメータが収集される。
【0130】
利用可能な時間をより効率的に使用するために、動作501及び502は同時に実行されることに注意されたい。
【0131】
この後、動作503において、実際の引渡しの前に利用できる時間に基づいて、転送するためのコンテキストパラメータの部分が決定される。コンテキストパラメータの部分は、前の実施形態に関連して概説したように、割り当てられた優先順位、方針、組み合わされた従属した及び独立したコンテキストパラメータ間の違いに基づいて選択される。引渡しの前に転送可能なコンテキストパラメータの部分は、利用可能な時間と利用可能な送信能力に依存する。コンテキストパラメータを送信するために利用できる通信チャネルの送信能力を検出することによって、送信が決定される。送信能力を増加するために、例えば現在のネットワークと新しいネットワークとの間直接的な通信チャネル、及び例えばサービスプロバイダ又は携帯機器を含む通信環境のさらなる構成要素を経由するさらに別の通信チャネルなどの、複数の送信チャネルを同一に扱うことができる。実際の引渡しの前に転送可能であると決定されたコンテキストパラメータの部分は、前に詳述したように、ここで組にまとめて、例えば通信環境の既存のメッセージに関連して送信するように計画することができる。
【0132】
別の実施形態によれば、引渡しを実行するという基本的な決定に到達した後は、前述したように、例えば携帯機器が高速で現在のネットワークの受信可能領域の境界に向かって移動している場合、通信サービスが終了することを避けるために、実際の引渡しを直ぐに行う必要があり、またコンテキストパラメータの転送は利用可能な時間に基づいて計画する必要がある。しかしながら、実際の引渡しが強い要求によって決定されない場合、引渡しを行うための最適な時点を選択することができる。例えば、引渡しを行う目標のネットワークを決定した後、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクの信号品質が測定及びモニタされて、信号品質、サービスの品質、又は他の任意のリンクパラメータが低いすなわちしきい値の下に入り、コンテキストパラメータを転送するための時間を最大にすることができる場合は、この目標のネットワークへの引渡しが実行される。同様に、信号品質、サービスの品質、又は他の任意のリンクパラメータが高いすなわちしきい値よりも高い位置に留まる場合は、実際の引渡しの実行は保留にされて、例えば、コンテキストパラメータの完全な転送を行うことができる。
【0133】
別の実施例によれば、ネットワークのオーバーレイ状態では、例えば海外のネットワークに対する上向きの垂直引渡し(upward vertical handover)VHOは、コンテキストを転送するため及びサービスの品質を検討するためにできるだけ長く遅らせる必要があり、一方、例えば自身のネットワークに対する下向きのVHOは、必要なコンテキストを転送した後にできるだけ早く実行すべきである。
【0134】
引渡しの前に転送可能なコンテキストパラメータの部分については、予備段階で引渡しの前に必要な、新しいネットワークにおいて通信リンク及び/又は通信サービスの設定を準備する時間も考慮することが好ましい。
【0135】
この後、動作504の中で、前の実施形態に関連して記載したように、引渡しが実行される。
【0136】
図5に関連して前述した動作は、現在のネットワークの制御手段100によって実行される。より正確には、コンテキストハンドラは、引渡しの前に利用可能な時間を決定するために動作501を実行し、動作502でコンテキストを収集し、また動作503の中で転送可能なコンテキストの部分を決定するように適合される。
【0137】
以下に、本発明のさらに別の実施形態を、図6に関連して説明する。
【0138】
図6は、図1に示したものに類似した通信環境の構成要素を例示しており、その上、携帯機器に通信サービスを提供するサービスプロバイダ140も示している。図6の残りの要素は図1に示したものと同じであるため、それについてのさらに詳細な説明は現段階では省略する。
【0139】
図6では、サービスプロバイダ140が通信を携帯機器120に提供すると仮定する。通信サービスは、前述したように、どのような種類の音声及び/又はデータサービスも含むことができる。引渡しの前は、現在のネットワーク110と、サービスプロバイダと現在のネットワークとの間の通信リンク601及び現在のネットワークと携帯機器との間の通信リンク160とを経由して、通信サービスは提供されると考えられる。通信リンク601は、図6で例示されているように無線リンクとすることができるが、少なくとも部分的に有線接続とすることもできる。
【0140】
引渡しの後で、新しいネットワーク130を介して、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間の通信リンク602及び新しいネットワークと携帯機器との間の通信リンク160を通って、通信サービスが携帯機器に提供される。
【0141】
引渡しの予備段階では、コンテキストパラメータが、150で示すように、現在のネットワークから新しいネットワークに転送される。このコンテキストパラメータを用いて、新しいネットワークは通信リンク602及び161の事前設定を行う。例えば、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間の通信リンク602は、サービスプロバイダが同時に2つ以上の通信リンクを確立できる場合は、全面的に動作できるようにされる。この場合、通信はまだ通信リンク601を経由して処理されるが、通信リンク602も動作可能になる。
【0142】
次に、実際の引渡しの間に、通信リンク160のみが通信リンク601に切り替わるため、通信サービスの継目なしの転送を得ることができる。
【0143】
携帯機器が2つ以上のRF接続を確立できる場合、通信リンク161も引渡しの予備段階において動作可能にすることができる。この場合は、携帯機器は通信サービスを通信リンク160を介して維持すると共に、動作可能な状態の通信リンク161を既に保持することになる。次に、引渡しの間に、通信を簡単に新しいネットワークに切り換えることができる。短時間に、通信サービスに関係するデータが現在のネットワーク及び新しいネットワークの両方を経由して送信されること、及び引渡しを完了するために、通信リンク601及び160を簡単にオフに切り換えることも可能である。この場合、完全な継目なしの引渡しが可能になる。
【0144】
サービスプロバイダ140は、例えば携帯機器などの加入者に、現在のネットワーク110及び新しいネットワーク130などの無線ネットワークを経由してある種の通信サービスを提供するどのような種類のエンティティーによって構成されても良い。前述したように、通信サービスは、例えば携帯機器120のユーザが加入しているサービスなどのどのような種類のデータ又は音声サービスであっても良い。サービスプロバイダは、例えば現在のネットワーク又は新しいネットワークなどのネットワークの1つの一部を形成する、又は現在のネットワーク及び新しいネットワークを用いて有線又は無線の通信リンクと通信する別個のエンティティーを形成することができる。サービスプロバイダが多数のサービス加入者を有する大きな組織とすることができるが、通信装置がサービスプロバイダを構成して、携帯機器120にサービスを提供することも可能である。例えば、サービスプロバイダはホームコンピュータ、PDA、ラップトップコンピュータ、又は携帯機器120とデータを交換する他のどのような携帯機器とすることもできる。
【0145】
別の実施形態によれば、引渡しの予備段階では、現在のネットワーク110と新しいネットワーク130との間に信頼関係が存在することが、図6の152で示されるように決定される。前の時点で信頼関係が現在のネットワークと新しいネットワークとの間に確立されているかどうかを判断するために、この決定動作は現在のネットワークによって行われる。
【0146】
例えば、前の引渡し手順の間又はネットワークの展開時などの早い時点で、信頼関係を確立することができる。
【0147】
既存の信頼関係を判断するため及び/又は既存の信頼関係を検証するために、決定動作には、現在のネットワークと新しいネットワークとの間でメッセージを交換する動作が含まれる。これには、検証するためにセキュリティパラメータの交換が含まれる。
【0148】
同様に、別の動作では、信頼関係が現在のネットワーク110とサービスプロバイダ140との間に存在するかどうかが判断される。この場合は、現在のネットワーク及び/又はサービスプロバイダは、相互信頼関係の存在を判断する及び/又はそれを検証することができる。
【0149】
さらに、サービスプロバイダ140と新しいネットワーク130との間に信頼関係の存在を判断する及びそれを検証するために、同様の動作が実行される。
【0150】
現在のネットワーク、サービスプロバイダ及び新しいネットワークとの間に相互信頼関係が存在することを判断し、相互信頼関係を検証するための上記の動作は、制御手段100によって処理される。この制御手段100は、図1に関連して前に説明したように、別個のエンティティーを形成する、及び/又は現在のネットワーク及び/又は新しいネットワーク及び/又はサービスプロバイダの一体部分として少なくとも部分的に実現される。
【0151】
判断する動作が幾つかの相互信頼関係しか存在しないことを明らかにした場合、失われた信頼関係を作り出すことができる。
【0152】
第1の実施例では、相互信頼関係が現在のネットワーク110とサービスプロバイダ140との間に存在し、また現在のネットワーク110と新しいネットワーク130との間にも、相互信頼関係が存在する。しかしながら、サービスプロバイダ140と新しいネットワーク130との間には、相互信頼関係を検出することができない。この場合は、サービスプロバイダ及び新しいネットワークと相互信頼関係を有する現在のネットワーク110が、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間にも信頼関係を作り出すために、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間を仲介する。この仲介には、セキュリティのパラメータを含む、サービスプロバイダ及び新しいネットワークとの信頼に関係する情報及びパラメータの交換が含まれる。サービスプロバイダと新しいネットワークとの間に信頼関係を作り出すことには、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間で情報を直接送信することが含まれる。しかしながら、別の実施形態では、サービスプロバイダと新しいネットワークとの間の信頼関係は、一方では現在のネットワークとサービスプロバイダとの間で、また他方では現在のネットワークと新しいネットワークとの間で、単に信頼に関係する情報を交換することに基づいて生成することもできる。
【0153】
別の実施例では、相互信頼関係が、現在のネットワーク110とサービスプロバイダ140との間、及びサービスプロバイダ140と新しいネットワーク130との間に存在する。しかしながら、現在のネットワークと新しいネットワークとの間の相互信頼関係はまだ存在しない。このシナリオでは、上述した実施例と同様に、サービスプロバイダが現在のネットワークと新しいネットワークとの間に信頼関係が生成するように仲介する。
【0154】
現在のネットワーク、新しいネットワーク及びサービスプロバイダとの間の2つ以上の相互信頼関係が失われている場合、失われている信頼関係を作る仲介をするための相互信頼関係を有するネットワーク環境の別のエンティティーを決定するための、決定動作を実行することができる。この別のエンティティーは、例えば別のネットワーク又は別のサービスプロバイダとすることができる。
【0155】
別の実施例によれば、信頼をさらに容易に作るために、新しいネットワークは信頼に関する情報に関してサービスプロバイダと接触する。例えば、新しいネットワークは、サービスプロバイダと現在のネットワークとの間の信頼関係の情報に関してサービスプロバイダと接触する。
【0156】
現在のネットワーク、新しいネットワーク及びサービスプロバイダとの間の相互信頼関係を決定する及び/又は作り出すための前述した決定動作の後で、例えば前に概説したように、現在のネットワークと新しいネットワークとの間でコンテキストの転送が行われる。
【0157】
前の図8で説明した動作は、制御手段100が行うことができる。この制御手段100は、現在のネットワーク110、携帯機器120、新しいネットワーク130、及びサービスプロバイダ140の中に少なくとも部分的に一体化する、又は別個のエンティティーを形成することができる。
【0158】
データ処理装置又はデータ処理装置のネットワークに対して、上記の実施形態の構成要素を実現させる、また上記動作の少なくとも1つの方法を実行させるように適合された命令を有するプログラムを提供できることに注意されたい。
【0159】
さらに、具体化されたプログラムを有するコンピュータが読取り可能な媒体が提供される。ここでプログラムは、前述した実施例の特徴及び構成要素の機能又は動作を実行する、コンピュータ又はデータ処理装置のシステムを作る。コンピュータが読取り可能な媒体は、磁気的、光学的、又は他のプログラムが記憶されている具体的な媒体とすることができるが、中にプログラムが伝達するために組み込まれている、例えばアナログ又はディジタルの信号、電子的、磁気的、又は光学的な信号とすることもできる。さらに、データ処理手段に対して上記の動作を実行させる命令を含むデータ構造又はデータストリームが提供される。このデータストリーム又はデータ構造は、コンピュータが読取り可能な媒体を構成することができる。さらに、コンピュータが読取り可能な媒体から構成するコンピュータプログラム製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の実施形態に基づいて、携帯機器と現在のネットワークとの間に確立された通信リンクを新しいネットワークへ引き渡すための通信環境の構成要素を例示する図である。
【図2】本発明の実施形態に基づいて、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ引き渡すための方法の動作を例示する図である。
【図3】本発明の別の実施形態に基づいて、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ引き渡すための方法の動作を例示する図であり、特にコンテキストパラメータを分類するための決定動作を例示している。
【図4】本発明の別の実施形態に基づいて、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ引き渡すための方法の動作を例示する図であり、特にコンテキストパラメータの優先順位を決めるための動作を例示している。
【図5】本発明の別の実施形態に基づいて、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ引き渡すための方法の動作を例示する図であり、特に限定された時間内でのコンテキストパラメータの転送を例示している。
【図6】本発明の別の実施形態に基づいて、携帯機器と現在のネットワークとの間の通信リンクを新しいネットワークへ引き渡すための通信環境の構成要素を例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器と現在のネットワークとの間の、通信サービスを前記携帯機器に提供するための通信リンクを新しいネットワークに引き渡すための方法であって、
通信リンク及び通信サービスを特徴付けるコンテキストパラメータを前記現在のネットワークで収集するステップと、
前記コンテキストパラメータの少なくとも一部を前記現在のネットワークから前記新しいネットワークに送信するステップと、
前記コンテキストパラメータに基づいて前記通信リンク及び前記通信サービスの前記新しいネットワークへの引渡しを実行するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
コンテキストパラメータが、引渡しの後で前記通信リンク及び前記通信サービスの少なくとも1つに適用できる独立したコンテキストパラメータであるかどうかを決定するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コンテキストパラメータが、引渡しの後で前記通信リンク及び前記通信サービスに適用できない従属したコンテキストパラメータであるかどうかを決定するステップを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記独立したコンテキストパラメータのみを前記新しいネットワークに送信するステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記決定するステップが、
前記現在のネットワーク及び前記新しいネットワークにおけるアクセス技術、
前記現在のネットワークの出資者、
前記新しいネットワークの出資者、
前記現在のネットワークと前記新しいネットワークとの間の信頼関係、
のいずれか基づくことを特徴とする請求項2〜4の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項6】
優先順位を前記コンテキストパラメータ又は前記コンテキストパラメータの組に割り当てるステップ及び前記優先順位に基づいて前記コンテキストパラメータ又は前記コンテキストパラメータの組を送信するステップを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記優先順位が方針に基づいて割り当てられることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記携帯機器と前記新しいネットワークとの間に前記通信リンクを確立するために必要な前記コンテキストパラメータには、最高の優先順位が与えられることを特徴とする請求項6及び7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
引渡しの後で前記通信サービスを維持するために必要な前記コンテキストパラメータには、2番目に高い優先順位が与えられることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記優先順位が、
サービスの種類、
サービスレベルの契約、
前記新しいネットワーク、
アクセス技術、
新しいネットワークの出資者、
の少なくとも1つに依存することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記コンテキストパラメータを、
携帯機器の特性、
通信リンクの特性、
通信サービスの特性、
現在のネットワーク及び/又は新しいネットワークの特性、
から成るグループの少なくとも1つによって構成することができることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
引渡しが行われる前に利用可能な時間を決定するステップを含むことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記送信されるコンテキストパラメータの一部が前記決定された利用可能な時間に基づいて決定されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記送信されるコンテキストパラメータの一部が前記優先順位及び前記決定された利用可能な時間に基づいて決定されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記新しいネットワークが、前記コンテキストパラメータに基づいて前記通信リンク及び前記通信サービスの設定を準備することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
第1の出資者が前記現在のネットワークを運営し、第2の出資者が新しいネットワークを運営することを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1つの方法を実行するように適合された命令を有するプログラム。
【請求項18】
データ処理装置に請求項1から16のいずれか1つの方法を実行させるプログラムが組み込まれた、コンピュータが読取り可能な媒体。
【請求項19】
請求項18の前記コンピュータが読取り可能な媒体から構成するコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
携帯機器と現在のネットワークとの間の、通信サービスを前記携帯機器に伝える通信リンクを新しいネットワークに引き渡すための制御手段であって、
現在のネットワークで前記通信リンク及び前記通信サービスを特徴付けるコンテキストパラメータを収集し、前記コンテキストパラメータの少なくとも一部を前記現在のネットワークから前記新しいネットワークに送信するためのコンテキストハンドラと、
前記通信サービスを前記新しいネットワークに伝える前記通信リンクの引渡しを実行するための引渡しハンドラと
を備えることを特徴とする制御手段。
【請求項21】
請求項18に記載の制御手段であって、前記コンテキストハンドラが、前記コンテキストパラメータが引渡しの後で前記通信リンク及び前記通信サービスの少なくとも1つに適用できる独立したコンテキストパラメータであるかどうかを決定するように適合されることを特徴とする制御手段。
【請求項22】
前記コンテキストハンドラが、コンテキストパラメータが引渡しの後で前記通信リンク及び前記通信サービスに適用できない従属したコンテキストパラメータであるかどうかを決定するように適合されることを特徴とする請求項20または21に記載の制御手段。
【請求項23】
前記コンテキストハンドラが独立したコンテキストパラメータのみを前記新しいネットワークに送信するように適合されることを特徴とする請求項19に記載の制御手段。
【請求項24】
前記コンテキストハンドラが、
前記現在のネットワーク及び前記新しいネットワークにおけるアクセス技術、
前記現在のネットワークの出資者、
前記新しいネットワークの出資者、
前記現在のネットワークと前記新しいネットワークとの間の信頼関係、
の少なくとも1つに基づいて決定ステップを実行するように適合されることを特徴とする請求項20〜23のいずれかに記載の制御手段。
【請求項25】
前記コンテキストハンドラが、優先順位を前記コンテキストパラメータ又は前記コンテキストパラメータの組に割り当てるように及び前記優先順位に基づいて前記コンテキストパラメータ又は前記コンテキストパラメータの組を送信するように適合されることを特徴とする請求項20〜24のいずれかに記載の制御手段。
【請求項26】
前記優先順位が方針に基づいて割り当てられることを特徴とする請求項25に記載の制御手段。
【請求項27】
前記コンテキストハンドラが、前記携帯機器と前記新しいネットワークとの間に前記通信リンクを確立するために必要な前記コンテキストパラメータには、最高の優先順位を割り当てるように適合されることを特徴とする請求項25または26に記載の制御手段。
【請求項28】
前記コンテキストハンドラが、引渡しの後で前記通信サービスを維持するために必要な前記コンテキストパラメータには、2番目に高い優先順位を割り当てるように適合されることを特徴とする請求項25〜28のいずれかに記載の制御手段。
【請求項29】
前記コンテキストハンドラが、
サービスの種類、
サービスレベルの契約、
前記新しいネットワーク、
アクセス技術、
新しいネットワークの出資者、
の少なくとも1つに基づいて前記優先順位を割り当てるように適合されることを特徴とする請求項25〜28のいずれかに記載の制御手段。
【請求項30】
前記コンテキストハンドラが、引渡しが行われる前に利用可能な時間を決定するように適合されることを特徴とする請求項20〜28のいずれかに記載の制御手段。
【請求項31】
前記コンテキストハンドラが、前記送信されるコンテキストパラメータの一部を前記決定された利用可能な時間に基づいて決定するように適合されることを特徴とする請求項30に記載の制御手段。
【請求項32】
前記コンテキストハンドラが、前記送信されるコンテキストパラメータの一部を前記優先順位及び前記決定された利用可能な時間に基づいて決定するように適合されることを特徴とする請求項30に記載の制御手段。
【請求項33】
第1の出資者が前記現在のネットワークを運営し、第2の出資者が新しいネットワークを運営することを特徴とする請求項20〜32のいずれかに記載の制御手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−515828(P2007−515828A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508865(P2005−508865)
【出願日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010185
【国際公開番号】WO2005/027558
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】