通信システム、制御装置および通信方法
【課題】移動中の移動局であっても、複数の基地局が協調して移動局と無線通信を行なうことができる通信システム、そのシステムに向けられた制御装置、およびにその通信システムにおける通信方法を提供する。
【解決手段】通信システムは、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局と、制御手段とを含む。制御手段は、移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調した移動局との間の無線通信を制御する。好ましくは、制御手段は、移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて所定期間後の位置を予測する。
【解決手段】通信システムは、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局と、制御手段とを含む。制御手段は、移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調した移動局との間の無線通信を制御する。好ましくは、制御手段は、移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて所定期間後の位置を予測する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基地局が協調して移動局と無線通信を行なう通信システム、そのシステムに向けられた制御装置、およびその通信システムにおける通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(Third Generation Partnership Project)は、新たな移動体通信技術としてLTE−A(LTE-Advanced)の標準化を進めている。LTE−Aは、LTE(Long Term Evolution)を発展させた規格である。
【0003】
LTEでは、移動局は1つの基地局と通信すると定められている。これに対して、LTE−Aでは、複数の基地局が情報を共有し、協調して移動局と通信することが検討されている。このような技術は、多地点協調送受信(Coordinated multiple point transmission and reception:以下「CoMP」とも称する。)と呼ばれている。
【0004】
LTE−Aでは、LTEと比較して、セルエッジでのユーザスループットやセルスループットを改善することが期待されている。そこで、下りリンク(回線)および上りリンク(回線)のそれぞれに対して、上述のようなCoMPを使用することが検討されている。
【0005】
現在、下りリンクにCoMPを用いる方法として、主として、以下に示すような2種類の方法が検討されている。
【0006】
第1の方法は、LTEと同様に、移動局は基地局と1対1で通信するが、隣接した複数の基地局が情報を共有することにより、協調スケジューリング(CS:Coordinated Scheduling)や協調ビームフォーミング(CB:Coordinated Beam forming)を協調して行なうことで、干渉を低減させる方法である。
【0007】
第2の方法は、LTEとは異なり、複数の基地局が1つの移動局に対して同時に信号を送信し、移動局はそれらの信号を結合して復調する(JP:Joint Processing)ことにより、受信品質を向上させる方法である。
【0008】
いずれの方法においても、複数の基地局が協調して移動局と通信を行なうためには、移動局において測定された基地局との間の通信路の状態に関する情報(典型的には、チャネル品質通知CQI:Channel Quality Indicator)が必要となる。
【0009】
基地局は、自局のセルエッジの近くに移動局が位置する場合などの、CoMPを実施することが望ましいと判断すると、移動局に対してCoMP Measurementの開始を指示する。このCoMP Measurementは、CoMPを実施する前段階として、CQIといったCoMPの実施に必要な情報を収集するための処理である。
【0010】
基地局からの指示に応答して、移動局は、CoMP Measurementを開始し、その結果得られた測定結果を基地局へ報告する。基地局は、移動局から報告されたCoMP Measurementの測定結果に基づいて、CoMPを実施するための条件を満たしているか否かを判断し、移動局に対してCoMPを実施することが望ましいと決定すると、他の基地局と協調してCoMPを開始する。
【0011】
このように、CoMPを実施することで、セルエッジでの移動局のスループットを改善することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP Organizational Partners, "3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Further Advancements for E-UTRA Physical Layer Aspects (Release 9)", 3GGP TR36.814 v9.0.0 (2010-3), p.17-19 (8.1.3 Feedback in support of DL CoMP)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したようなCoMPを実施するにあたっては、移動局の位置を適切に把握する必要がある。例えば、移動局がセル圏内に静止している場合に、その移動局に対してCoMPを実施することが望ましいと判断されると、対応する基地局は、送信する無線信号の指向性を対象の移動局に設定した上でCoMPを開始する。これに対して、移動局が移動中である場合には、その移動局に対してCoMPを実施することが望ましいと判断されたとしても、対応する基地局は、送信する無線信号の指向性を対象の移動局に正確に設定することができないこともある。また、移動局に対してCoMPを実施することが望ましいか否かを基地局が判断している間に、その移動局がセル圏外に移動してしまい、CoMPを実施できないこともある。
【0014】
そこで、本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、移動中の移動局であっても、複数の基地局が協調して移動局と無線通信を行なうことができる通信システム、そのシステムに向けられた制御装置、およびにその通信システムにおける通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある局面に従う通信システムは、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局と、制御手段とを含む。制御手段は、移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調した移動局との間の無線通信を制御する。
【0016】
好ましくは、制御手段は、移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて所定期間後の位置を予測する。
【0017】
さらに好ましくは、制御手段は、移動局の移動手段を特定するとともに、当該特定した移動手段の挙動に基づいて所定期間後の位置を予測する。
【0018】
あるいはさらに好ましくは、制御手段は、移動局の移動速度に基づいて、当該移動局の移動手段を判断する。
【0019】
あるいはさらに好ましくは、制御手段は、移動局から送信される移動手段の利用に関する情報に基づいて、当該移動局の移動手段を判断する。
【0020】
あるいはさらに好ましくは、制御手段は、特定した移動経路と移動局の移動速度とに基づいて、所定期間後の位置を予測する。
【0021】
好ましくは、制御手段は、移動局からの情報に基づいて、所定期間後の位置を予測する。
【0022】
好ましくは、制御手段は、所定期間後の位置に応じて、複数の基地局のうち協調して移動局と無線通信を行なうための基地局を順次選択する。
【0023】
さらに好ましくは、制御手段は、所定期間後の位置に応じたタイミングで、複数の基地局の各々に対して、協調した移動局との間の無線通信に関する開始指示および終了指示を与える。
【0024】
本発明の別の局面に従う通信システムは、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局と、制御装置とを含む。制御装置は、移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置を複数の基地局へ通知し、複数の基地局は、制御装置から通知された所定期間後の位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調して移動局との間で無線通信を行なう。
【0025】
本発明のさらに別の局面に従う通信システムは、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局と、制御装置とを含む。制御装置は、移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて所定期間後の位置を予測し、複数の基地局は、制御装置において予測される所定期間後の位置に応じて、指向性を適応的に変更して移動局と無線通信を行なう。
【0026】
本発明のさらに別の局面に従えば、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局とを含む通信システムに適合される制御装置を提供する。制御装置は、移動局の現在位置を取得する手段と、移動局の所定期間後の位置を予測する手段と、予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調した移動局との間の無線通信を制御する手段とを含む。
【0027】
本発明のさらに別の局面に従えば、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局とを含む通信システムにおける通信方法を提供する。通信方法は、移動局の現在位置を取得するステップと、移動局の所定期間後の位置を予測するステップと、予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調した移動局との間の無線通信を制御するステップとを含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、移動中の移動局であっても、複数の基地局が協調して移動局と無線通信を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】LTE−AにおけるCoMP動作を説明するための図である。
【図2】LTE−AにおけるCoMP動作を説明するための図である。
【図3】本実施の形態に関連する通信システムにおいて移動局が移動中の処理を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う通信システムのシステム構成を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される移動局のブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される基地局のブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される制御装置のブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に従う通信システム全体の制御ブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う制御装置のデータベースに格納される路線図データの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に従う制御装置のデータベースに格納される列車運行スケジュールの一例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に従う制御装置のデータベースに格納されるセルエッジ位置情報の一例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に従う制御装置によって提供される制御マップの一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に従う通信システムにおける制御手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施可能である。
【0031】
<A.関連技術>
まず、本実施の形態に関連する通信システムについて説明する。図1および図2は、LTE−AにおけるCoMP動作を説明するための図である。
【0032】
本実施の形態に従う通信システムおよびその関連する通信システムは、図1および図2に示すように、移動局100と無線通信可能な複数の基地局200−1〜200−3(以下「基地局200」とも総称する。)とを含む。特に、いずれの通信システムにおいても、2つ以上の基地局200が協調して移動局100との間で無線通信を行なうことができるものとする。このような2つ以上の基地局200が協調して移動局100と無線通信を行なう技術の典型例として、本実施の形態においては、LTE−Aにおいて検討中のCoMPを想定する。但し、将来的に、2つ以上の基地局200が協調して移動局100と無線通信を行なう新たな技術が確立された場合には、本発明はそのような技術もその権利範囲に含み得る。
【0033】
上述したように、現在検討中のLTE−A規格においては、下りリンクにCoMPを用いる方法として、主として2種類の方法が提案されている。
【0034】
第1の方法は、LTEと同様に、移動局100は基地局200と1対1で通信するが、隣接した複数の基地局200が情報を共有することにより、スケジューリングやビームフォーミングを協調して行なうことで、干渉を低減させる方法である。
【0035】
例えば、図1に示すように、セル20−1とセル20−2とのセルエッジに、移動局100が位置している場合を考える。この場合には、移動局100は、セル20−1に対応する基地局200−1およびセル20−2に対応する基地局200−2の両方から無線信号を受信できる。そのため、一方の基地局200−1からの信号を受信しているときに、他方の基地局200−2からの信号を受信すると、その受信した信号は干渉源となる。
【0036】
そこで、第1の方法に従うCoMPにおいては、基地局200−1と基地局200−2とが協調して信号の送信タイミングや電波送信範囲などを制御することで、移動局100に対する干渉を低減する。
【0037】
また、第2の方法は、LTEとは異なり、複数の基地局200が1つの移動局100に対して同時に信号を送信し、移動局100はそれらの信号を結合して復調することにより、受信品質を向上させる方法である。
【0038】
例えば、図2を参照して、図1と同様に、セル20−1とセル20−2とのセルエッジに移動局100が位置している場合を考える。この場合には、移動局100は、セル20−1に対応する基地局200−1およびセル20−2に対応する基地局200−2の両方から無線信号を受信できる。そこで、第2の方法に従うCoMPにおいては、基地局200−1と基地局200−2とが協調して信号送信タイミングを同期させることで、移動局100に対して、それぞれ異なるデータ(データ1およびデータ2)を送信する。これにより、移動局100と基地局200−1,200−2との間の下りリンクの速度を高めることができる。
【0039】
次に、図1および図2に示すような、本実施の形態に関連する通信システムにおいて生じ得る問題点について説明する。図3は、本実施の形態に関連する通信システムにおいて移動局100が移動中の処理を説明するための図である。
【0040】
図3に示す通信システムにおいては、3つの基地局200−1〜200−3が線路RRの両側に配置されているものとする。この線路RR上には、A駅およびB駅が設けられており、その線路RR上を列車TRが運行しているものとする。図3に示す例では、移動局100を携帯しているユーザが列車TRに乗車しているものとする。そのため、基地局200−1〜200−3から見れば、移動局100は、線路RR上を移動することになる。
【0041】
図3では、基地局200−1〜200−3の通信可能範囲(セル20−1〜20−3)を実線の円として表している。
【0042】
図3に示すような状況においてCoMPを実施する場合の動作について説明する。まず、移動局100がA駅の近くに位置する場合を初期位置とする。この初期位置においては、移動局100は、基地局200−1が提供するセル20−1の圏内に位置することになる。続いて、列車TRがA駅を出発してB駅に向かうことを考える。B駅は、基地局200−3が提供するセル20−3の圏内に位置することになる。このA駅とB駅との間には、基地局200−2が提供するセル20−2が存在する。このセル20−2は、セル20−1およびセル20−3とセルエッジにおいてそれぞれ重複するように設定されるので、CoMPを利用できる範囲が存在する。
【0043】
列車TRがA駅からB駅に向かう過程において、列車TR上の移動局100が地点401に到達した場合を考える。この地点401は、基地局200−2が提供するセル20−2のセルエッジの近傍である。このような移動局100の移動に伴って、基地局200−1がCoMP通信を実施することが望ましいと判断すると、基地局200−1は、移動局100に対してCoMP Measurementの開始を指示する。
【0044】
基地局200−1からの指示に応答して、移動局100は、CoMP Measurementを開始し、その結果得られた測定結果を基地局200−1へ報告する。基地局200−1は、移動局100から報告されたCoMP Measurementの測定結果に基づいて、予め設定されているCoMPを実施するための条件(CoMP通信実施条件)を満たしているか否かを判断する。条件を満たしていると判断すると、基地局200−1は、移動局100の周辺に位置する基地局(図3に示す例では、基地局200−2および/または基地局200−3)と協調してCoMP通信を開始する。
【0045】
しかしながら、列車TRが比較的高速で移動している場合には、移動局100がセルエッジ近傍に滞在している時間は短くなる。例えば、移動局100がセルエッジ(地点401)に到達してから、CoMP Measurementを開始し、基地局200−1が移動局100から報告されたCoMP Measurementの測定結果に基づいて、CoMP通信実施条件を満たしているか否かを判断していると、CoMPを開始する前に移動局100がセルエッジから離れた地点403まで移動してしまう。
【0046】
また、移動局100が地点401に到達したことをイベントとして、基地局200−1が移動局100から報告されたCoMP Measurementの測定結果に基づいて、CoMP通信実施条件を満たしていると判断し、移動局100の周辺に位置する基地局(図3に示す例では、基地局200−2および/または基地局200−3)と協調して、地点401に指向性を設定してCoMPを開始したとする。しかしながら、このCoMPの開始時点において、移動局100が既に地点402まで移動しているという状況が考えられる。このような場合には、基地局200が送信する無線信号の指向性を対象の移動局100に正確に設定することが困難となる。
【0047】
<B.本発明の概要>
上述のような課題を鑑みて、本実施の形態に従う通信システムにおいては、移動局100の所定期間後の位置(以下「未来位置」とも称する。)を予測するとともに、この予測した未来位置に基づいて、CoMPを適切に実施する。
【0048】
<C.システム構成>
本実施の形態に従う通信システムは、上述したような未来位置を予測する機能を有する。図4は、本発明の実施の形態に従う通信システムのシステム構成を示す模式図である。図4には、典型例として、上述のような未来位置を予測する機能を提供する主体が基地局200とは別に設けられている通信システムの構成を示す。
【0049】
すなわち、図4に示す本実施の形態に従う通信システムは、移動局100と、移動局100と無線通信可能な複数の基地局200−1〜200−3と、制御装置300とを含む。基地局200−1〜200−3は、それぞれセル20−1〜20−3を提供する。
【0050】
制御装置300は、基地局200−1〜200−3と各種制御情報を遣り取りできるように構成される。具体的には、制御装置300は、光ファイバーなどの有線回線または無線信号を介して、基地局200−1〜200−3と互いに接続される。
【0051】
本実施の形態に従う通信システムにおいては、制御装置300が、移動局100の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局200が協調した移動局100との間の無線通信を制御する。すなわち、制御装置300は、予測した移動局100の未来位置に応じて、適切にCoMPを実施できるように、対象の基地局200に対して制御信号を与える。また、基地局200の各々は、制御装置300から通知される移動局100の未来位置に応じて、指向性を適応的に変更して移動局100と無線通信を行なう。
【0052】
後述するように、制御装置300は、移動局100の未来位置に応じて、複数の基地局200のうち移動局100とCoMPを行なうための基地局200を順次選択してもよい。この場合には、制御装置300は、移動局100の未来位置に応じたタイミングで、複数の基地局200の各々に対して、CoMPの開始指示および終了指示を与える。基地局200の各々は、制御装置300からのCoMPの開始指示および終了指示に従って、CoMPの実施を制御する。
【0053】
制御装置300からCoMPの開始/終了指示といった制御信号を与える代わりに、各基地局200が移動局100の未来位置に基づいて、CoMPの実施を制御するようにしてもよい。この場合には、制御装置300は、移動局100の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置(未来位置)をそれぞれの基地局200へ通知する。基地局200の各々は、制御装置300から通知された未来位置に基づいて、互いに協調して移動局100との間で無線通信を行なう。
【0054】
<D.移動局100の構成>
次に、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される移動局の構成について説明する。図5は、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される移動局100のブロック図である。
【0055】
図5を参照して、移動局100は、無線信号を送信するための送信アンテナ114と、無線信号を受信するための受信アンテナ118とが設けられた筐体130を含む。筐体130は、中央処理部102と、信号処理部106と、無線送信部112と、無線受信部116とを含む。
【0056】
中央処理部102は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。信号処理部106は、自局が存在するセルを提供する基地局200との間で遣り取りされる無線信号を処理する。より具体的には、信号処理部106は、中央処理部102などから与えられる内部指令に従って、基地局200へ送信すべき情報を無線送信部112へ出力する。無線送信部112は、信号処理部106から受けた情報に対して符号化および変調を行って、その結果得られる無線信号を、送信アンテナ114を通じて外部へ放射する。また、無線受信部116は受信アンテナ118を通じて受信した無線信号に対して復調および復号化を行って、その結果得られた情報を信号処理部106へ出力する。
【0057】
特に、本実施の形態に従う通信システムにおいてはCoMPが実施されるので、CoMPの実施中は、中央処理部102と信号処理部106とは、互いに連係して、複数の基地局200から送信される無線信号を結合して復調する処理などを行なう。
【0058】
中央処理部102によって提供される機能の一部または全部を専用のハードウェア(集積回路)として実装してもよい。この場合には、中央処理部102によって提供される機能に加えて、信号処理部106、無線送信部112、および、無線受信部116によって提供される機能の全部または一部を含めて、1チップ化してもよい。さらに、プロセッサ、メモリ、周辺デバイス用のコントローラといった部品を1チップ化したSoC(System On a Chip)を利用することもできる。
【0059】
代替の構成として、信号処理部106、無線送信部112、および、無線受信部116によって提供される機能の全部または一部をソフトウェアとして実装してもよい。この場合には、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)といった演算装置(プロセッサ)が予めインストールされた命令セットを実行することになる。
【0060】
筐体130は、さらに、各種情報を表示するための表示部120と、ユーザの音声などを取得するためのマイク122と、受信した音声を再生するためのスピーカ124と、ユーザ操作を受付けるための入力部126と、自局の位置情報を取得するためのコンポーネントの一例であるGPS(Global Positioning System)ユニット128とを含む。
【0061】
移動局100は、基地局200などからの要求に応じて、GPSユニット128によって取得された自局の現在位置を基地局200へ応答する。
【0062】
<E.基地局200の構成>
次に、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される基地局200の構成について説明する。図6は、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される基地局200のブロック図である。
【0063】
図6を参照して、基地局200は、中央処理部210と、無線送信部222と、送信アンテナ224と、無線受信部226と、受信アンテナ228と、上位ネットワークインターフェイス(I/F)230と、制御インターフェイス(I/F)240とを含む。
【0064】
中央処理部210は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。さらに、中央処理部210は、現在位置受信モジュール202と、指示受信モジュール206と、指示実施モジュール208とを含む。これらのモジュールは、典型的には、中央処理部210がプログラムを実行することで提供される。例えば、各モジュールに対応するコードが予め不揮発性メモリに記憶されており、中央処理部210がこれらのコードを読み出して実行することで後述するような機能が提供される。
【0065】
現在位置受信モジュール202は、移動局100からの現在位置を受信するための処理を実行する。また、現在位置受信モジュール202は、移動局100に現在位置を要求するための処理を行なってもよい。
【0066】
現在位置送信モジュール204は、移動局100からの現在位置を制御装置300へ送信するための処理を実行する。制御装置300へ送信される現在位置には、対応する移動局100を識別できるように識別情報が付加されてもよい。
【0067】
指示受信モジュール206は、制御装置300からの制御情報を受信するための処理を実行する。この制御情報には、CoMPの開始指示/終了指示、移動局100の未来位置、移動局100に対して設定すべき指向性の情報などが含まれる。
【0068】
指示実施モジュール208は、制御装置300からの指示に従う処理を実施する。より具体的には、制御装置300からのCoMPの実施に関する情報に従って、他の基地局200と各種制御情報を遣り取りしながら、CoMPを実施する。また、指示実施モジュール208は、制御装置300から指示された移動局100の未来位置に応じて、送信アンテナ224から放射する無線信号の指向性を適応的に変更する。
【0069】
無線送信部222は、送信アンテナ224と接続されており、中央処理部210から受信したユーザデータまたは制御データに応じた無線信号を生成するとともに、送信アンテナ224からその無線信号を放射する。このユーザデータとは、移動局100と相手先(あるいは、中継先)との間で遣り取りされるデータを意味する。
【0070】
無線受信部226は、受信アンテナ228を介して移動局100から受信した無線信号をユーザデータまたは制御データに復調して、その復調したデータを中央処理部210へ出力する。
【0071】
上位ネットワークインターフェイス230は、自局を管理するコアネットワーク装置との間でユーザデータ、制御情報、および管理情報を遣り取りする。同様に、制御インターフェイス240は、他の基地局200および制御装置300との間で制御情報を遣り取りする。本実施の形態に従う通信システムにおいては、CoMPを実施するために、基地局200の間は、光ファイバーなどの有線回線または無線信号を介して相互接続される。
【0072】
<F.制御装置300の構成>
次に、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される制御装置300の構成について説明する。図7は、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される制御装置300のブロック図である。
【0073】
図7を参照して、制御装置300は、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに基づいて実現される。より具体的には、制御装置300は、CPU320と、主メモリ322と、データベース310と、入力インターフェイス332と、出力インターフェイス334と、通信インターフェイス336とを含む。
【0074】
CPU320は、制御装置300における各種処理を実現する主体であり、主メモリ322に展開されるOS(Operating System)に係るコードおよび各種モジュールのコードを逐次読み出して実行する。
【0075】
主メモリ322は、制御装置300が提供する各種処理を実現するためのコードや一時データを保持するワークメモリとして機能する。具体的には、主メモリ322は、ハードディスクなどの二次メモリから読み出された、現在位置受信モジュール302と、速度計算モジュール304と、予測モジュール306と、指示送信モジュール308とを保持しているとする。
【0076】
現在位置受信モジュール302は、それぞれの基地局200を通じて転送される移動局100からの現在位置を受信するための処理を実行する。速度計算モジュール304は、移動局100からの現在位置に基づいて、移動局100の移動速度を計算するための処理を実行する。予測モジュール306は、移動局100の移動速度およびデータベース310に格納されている情報などに基づいて、移動局100の所定期間後の位置(未来位置)を予測する。さらに、予測モジュール306は、予測した未来位置に基づいて、2つ以上の基地局200がCoMPによって移動局100と無線通信を行なうことを制御する。指示送信モジュール308は、予測モジュール306によって出力されるCoMPに関する制御情報をそれぞれの基地局200へ送信するための処理を実行する。
【0077】
データベース310は、未来位置の予測およびCoMPの制御に必要な情報を保持する。例えば、図3に示すようにセル圏内に線路がある場合には、データベース310は、路線図データ312と、列車運行スケジュール314と、セルエッジ位置情報316などを保持することになる。
【0078】
路線図データ312は、線路および駅舎などの位置情報を規定するものである。列車運行スケジュール314は、予定されている列車の運行に関する情報を定義する。例えば、列車運行スケジュール314には、時刻と各列車の位置とを対応付けたダイヤグラムを含む。セルエッジ位置情報316は、各基地局200が提供するセルのエッジに関する情報を定義する。
【0079】
このような形態に限られず、データベース310は、移動局100の未来位置を予測するために必要な情報、すなわち、移動局100(を携帯しているユーザ)の移動経路や移動手段を特定するための情報を保持する。例えば、基地局200が提供するセル圏内に高速道路や幹線道路などがある場合には、データベース310は、その道路に関する情報などを保持する。この場合には、交通情報センタなどが提供するトラフィック情報や渋滞情報(地点間の所要時間)などに基づいて、道路上を走行する車両の平均速度を取得する。この取得した平均速度に基づいて、道路上を走行するとした場合の走行スケジュールを予測することができる。
【0080】
なお、図7には、制御装置300がデータベース310を搭載している構成を示すが、必ずしもデータベース310自体を搭載しておく必要はない。代替的には、ネットワークを通じて、外部のサーバ装置などから必要な情報を取得するようにしてもよい。
【0081】
入力インターフェイス332は、外部からの指示を受付けるとともに、その受付けた外部入力をCPU320などへ出力する。出力インターフェイス334は、CPU320によって算出された各種情報を、ディスプレイなどの外部デバイスへ出力する。通信インターフェイス336は、基地局200からの情報を受付けるとともに、CPU320によって算出された各種情報を基地局200へ出力する。
【0082】
<G.システムの制御動作>
次に、本実施の形態に従う通信システムの全体としての制御動作について説明する。以下の説明では、図4に示すように、3つの基地局200−1,200−2,200−3が線路RRの両側に配置されているものとする。この線路RR上には、A駅およびB駅が設けられており、その線路RR上を列車TRが運行しているものとする。そして、移動局100を携帯しているユーザが列車TRに乗車しているものとする。そのため、基地局200−1〜200−3から見れば、移動局100は、線路RR上を移動することになる。
【0083】
また、移動局100がA駅の近くに位置する場合を初期位置とする。そのため、初期位置においては、移動局100は、基地局200−1が提供するセル20−1の圏内に存在することになる。
【0084】
図8は、本発明の実施の形態に従う通信システム全体の制御ブロック図である。図8を参照して、移動局100は、自局の現在位置を示す現在位置を基地局200(図4に示す例では、基地局200−1)へ送信する。この現在位置を送信するタイミングは、移動局100に対して予め設定された所定周期であってもよいし、移動局100に対して予めスケジューリングされてもよい。さらに、基地局200が何らかのイベントに応じて現在位置の送信を移動局100に対して要求してもよい。
【0085】
本実施の形態に従う通信システムにおいては、移動局100に搭載されたGPSユニット128を用いて測位した結果(緯度・経度)が送信されるが、これ以外の方法を採用することもできる。例えば、移動局100の移動手段を利用することで、当該移動手段からの位置に関する情報を受信し、その移動手段から受信した位置に関する情報を基地局200へ送信してもよい。例えば、位置測位システムであるGPSを列車に搭載しておき、列車内に現在位置を示す無線信号を放送しておき(例えば、無線LAN(Local Area Network)等によって)、この無線信号を通じて列車の現在位置を受信した基地局200は、その列車の現在位置を自局の現在位置として、基地局200へ送信するような構成を採用できる。
【0086】
基地局200(図4に示す例では、基地局200−1)は、移動局100から現在位置を受信することに応答して処理を開始する。すなわち、基地局200の現在位置受信モジュール202は、移動局100からの現在位置を受信する。そして、現在位置受信モジュール202は、受信した現在位置を現在位置送信モジュール204へ出力する。現在位置送信モジュール204は、受信した移動局100の現在位置を制御装置300へ送信する。
【0087】
制御装置300は、基地局200を通じて、移動局100から現在位置を受信することに応答して処理を開始する。すなわち、制御装置300の現在位置受信モジュール302は、基地局200から送信された移動局100の現在位置を受信する。そして、現在位置受信モジュール302は、受信した現在位置を速度計算モジュール304および予測モジュール306へ出力する。
【0088】
速度計算モジュール304は、所定期間にわたる移動局100の各々からの現在位置に基づいて移動局100の移動速度を計算する。そして、速度計算モジュール304は、移動局100の移動速度を予測モジュール306へ出力する。
【0089】
予測モジュール306は、移動局100の現在位置および移動速度に基づいて、データベース310に格納されている情報を照合することで、移動局100の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて、移動局100の所定期間後の位置(未来位置)を予測する。
【0090】
図9は、本発明の実施の形態に従う制御装置300のデータベース310に格納される路線図データ312の一例を示す図である。図10は、本発明の実施の形態に従う制御装置300のデータベース310に格納される列車運行スケジュール314の一例を示す図である。図11は、本発明の実施の形態に従う制御装置300のデータベース310に格納されるセルエッジ位置情報316の一例を示す図である。
【0091】
図8に示す制御装置300の予測モジュール306は、例えば、移動局100の現在位置および移動速度に基づいて、移動局100の移動手段を特定する。より具体的には、予測モジュール306は、図9に示す路線図データ312を参照して、移動局100の現在位置に対応する地点が存在するか否かを判断する。すなわち、予測モジュール306は、移動局100の現在位置に基づいて、移動局100がいずれかの列車運行経路上に存在するか否かを判断する。なお、図9には、典型的に、1つの路線に対応する路線図データ312の例のみを示すが、複数の路線が存在する場合には、各路線に対応する路線図データ312が予め用意される。そして、移動局100がいずれかの列車運行経路上に存在すると判断された場合には、予測モジュール306は、移動局100を携帯するユーザが当該列車運行経路に対応する路線を運行する列車に搭乗していると判断する。
【0092】
さらに、予測モジュール306は、図10に示す列車運行スケジュール314(ダイヤグラム)を参照して、移動局100を携帯するユーザがいずれの列車に搭乗しているのかを判断する。すなわち、予測モジュール306は、ダイヤグラム上において、現在時刻と移動局100の現在位置とに対応する座標を特定するとともに、当該特定した座標に対応する列車を特定する。
【0093】
なお、図10に示すダイヤグラムにおける傾きは、列車の移動速度に相当するので、同一の経路上を複数の路線が並列的に設けられており、各路線を走行する列車の運行形態が異なる場合には、移動局100の移動速度に基づいて、移動局100を携帯するユーザが利用している移動手段を判断してもよい。典型的に、同一の進行方向に2つの路線が並列して設けられており、一方が緩行線で他方が急行線であるような場合には、移動局100の移動速度に基づいて、いずれの路線を走行する列車に移動局100を携帯するユーザが搭乗しているのかを判断することができる。
【0094】
なお、移動局100がいずれの列車運行経路上にも存在しないと判断された場合には、予測モジュール306は、移動局100が他の移動手段(高速道路や幹線道路など)の経路上に存在するか否かを判断してもよい。
【0095】
以上のような処理によって、移動局100を携帯するユーザが利用している移動手段、および、その移動手段の挙動を特定できる。
【0096】
続いて、予測モジュール306は、特定した移動手段の挙動に基づいて、移動局100の所定期間後の位置(未来位置)を予測する。典型的には、予測モジュール306は、移動局100を携帯するユーザが利用している列車が図10に示すダイヤグラム上のいずれの列車であるかを特定した場合には、当該ダイヤグラムを参照することで、移動局100の未来位置を予測することができる。さらに、予測モジュール306は、図10に示すダイヤグラムと図11に示すセルエッジ位置情報316とを対比させることで、移動局100が各基地局200のセルエッジを通過するタイミング(時刻)を予測することもできる。
【0097】
すなわち、図11に示すセルエッジ位置情報316は、図4において示される各基地局200−1〜200−3のセル20−1〜20−3の範囲(実線)を定義し、図10に示すダイヤグラムの紙面縦方向の軸は、図4において示される線路RRを定義する。そのため、図10に示すダイヤグラムの紙面横方向の軸上において、セル20−1〜20−3の各々の範囲と線路RRとの交点に対応する時刻を参照することで、各交点(セルエッジ)を通過するタイミング(時刻)を算出できる。
【0098】
なお、列車が本来の運行スケジュールに沿って運行されていない場合もあるので、このような場合には、特定した列車の移動経路(線路)と移動局100の移動速度とに基づいて、移動局100の所定期間後の位置(未来位置)を予測してもよい。すなわち、移動手段が特定されれば、将来的に移動する経路を特定できるので、移動局100の移動速度に応じて特定した移動経路上における移動局100の位置の時間的変化を算出できる。
【0099】
このように、予測モジュール306は、移動局100からの情報に基づいて、移動局100の所定期間後の位置を予測する。そして、予測モジュール306は、移動局100の未来位置およびセルエッジを通過するタイミング(時刻)とを含む予測結果を、指示送信モジュール308へ出力する。
【0100】
指示送信モジュール308は、予測モジュール306からの予測結果に基づいて、基地局200におけるCoMPの実施を制御するための情報を生成する。より具体的には、指示送信モジュール308は、移動局100の未来位置に応じたタイミングで、基地局200の各々に対して、CoMPの実施に関する開始指示および終了指示を含む制御情報を生成する。
【0101】
一例として、指示送信モジュール308は、移動局100の未来位置に応じて、いずれの基地局200が移動局100と通信可能であるかを判断する。図12は、本発明の実施の形態に従う制御装置300によって提供される制御マップの一例を示す図である。
【0102】
指示送信モジュール308は、移動局100の未来位置に基づいて、それぞれの時刻においていずれの基地局200が移動局100と通信可能であるかを判断する。そして、図12に示すような制御マップを生成する。なお、図12に示す制御マップは、説明の便宜上のものであり、現実に実装されるデータ構造としては、図12に示す形式には限定されない。
【0103】
図12に示すように、時刻t1〜t6の各々における移動局100の未来位置に基づいて、各未来位置をカバーするセルを提供する基地局200が特定される。図12に示す制御マップにおいては、「Y」が対応する基地局200が移動局100と通信可能であることを示し、「N」が対応する基地局200が移動局100と通信不可能であることを示す。そして、指示送信モジュール308は、図12に示す制御マップにおいて、移動局100がセルエッジを通過するタイミング、すなわち、いずれかの基地局200の状態が「Y」から「N」に変更、または、「N」から「Y」に変更された時刻を特定する。そして、指示送信モジュール308は、この移動局100のセルエッジの通過時刻などに応じたタイミングで、CoMPの実施を指示する開始指示、および/または、CoMPの終了を指示する終了指示を生成する。
【0104】
すなわち、制御装置300の指示送信モジュール308は、予測された移動局100のセルエッジの通過時刻に基づいて、移動局100に対してCoMPを実施することが望ましいタイミングが到来したと判断すると、移動局100の周辺基地局(図4に示す例では、基地局200−1〜200−3)にCoMP開始指示を送信する。一方、予測された移動局100のセルエッジの通過時刻に基づいて、移動局100に対してCoMPを終了することが望ましいタイミングが到来したと判断すると、移動局100の周辺基地局(図4に示す例では、基地局200−1〜200−3)にCoMP終了指示を送信する。
【0105】
さらに、指示送信モジュール308は、これらのCoMP開始指示および/またはCoMP終了指示の送信時には、移動局100の未来位置についても併せて対応する基地局200へ送信する。
【0106】
再度図8を参照して、基地局200の指示受信モジュール206は、制御装置300からの制御情報(移動局100の未来位置、ならびに、CoMP開始指示および終了指示)を受信するための処理を実行する。指示受信モジュール206は、受信した制御情報を指示実施モジュール208へ出力する。
【0107】
指示実施モジュール208は、制御装置300からの制御情報に従って、CoMPに関する制御を行なう。より具体的には、指示実施モジュール208は、制御装置300からCoMP開始指示を受信すると、他の基地局200と制御情報を交換するとともに、移動局100に対してCoMPを実施する。このとき、制御装置300から通知された移動局100の未来位置に応じて、基地局200が送信する無線信号の指向性を対象の移動局100に適応的に変更する。一方、指示実施モジュール208は、制御装置300からCoMP終了指示を受信すると、実施中のCoMPを終了する。
【0108】
なお、制御装置300からのCoMP開始指示およびCoMP終了指示は、予め基地局200へ予め通知されておいてもよい。この場合には、CoMP開始指示にはCoMPを開始する時刻が付加され、CoMP終了指示にはCoMPを終了する時刻が付加される。そして、各基地局200は、予め通知された時刻が到来すると、指示に従って、CoMPを実施し、または、CoMPを終了する。
【0109】
<H.処理手順>
次に、上述したような本実施の形態に従う通信システムにおける処理手順は、以下のようにまとめることができる。図13は、本発明の実施の形態に従う通信システムにおける制御手順を示すシーケンス図である。
【0110】
図13を参照して、まず、移動局100は、所定の送信周期が到来すると、内蔵のGPSユニット128などを用いて現在位置を取得する(シーケンスSQ100)。そして、移動局100は、この取得した現在位置を自局が属するセルを提供する基地局200(図13の例では、基地局200−1)へ送信する(シーケンスSQ102)。続いて、移動局100からの現在位置を受信した基地局200−1は、当該受信した現在位置を制御装置300へ送信する(シーケンスSQ104)。
【0111】
制御装置300は、基地局200−1を介して移動局100からの現在位置を取得すると、移動局100の移動速度を算出する(シーケンスSQ106)。なお、通常は、同一の移動局100からの異なる時間に取得された複数の現在位置を用いて、移動局100の移動速度が算出される。
【0112】
続いて、制御装置300は、移動局100を携帯しているユーザが利用している移動手段を特定する(シーケンスSQ108)。この移動手段の特定には、上述したように、移動局100の現在位置および移動速度などが用いられる。続いて、制御装置300は、シーケンスSQ108において特定した移動手段およびその移動手段に係る移動経路に基づいて、所定期間後の移動局100の位置(未来位置)を算出する(シーケンスSQ110)。さらに、制御装置300は、それぞれの基地局200が提供するセルのセルエッジを移動局100が通過するタイミングを予測する(シーケンスSQ112)。最終的に、制御装置300は、シーケンスSQ112において予測されたタイミングに基づいて、基地局200が移動局100に対して実施するCoMPをスケジューリングする(シーケンスSQ114)。
【0113】
シーケンスSQ114において決定されたスケジュールに基づいて、制御装置300は、移動局100に対してCoMPの実施を開始するタイミングが到来したか否かを判断する(シーケンスSQ116)。CoMPの実施を開始するタイミングが到来した場合(シーケンスSQ116においてYESの場合)には、制御装置300は、基地局200−1〜200−3に対してCoMP開始指示および移動局100の未来位置を送信する(シーケンスSQ118)。
【0114】
CoMP開始指示に従って、基地局200−1〜200−3は、移動局100に対してCoMPの実施を開始する(シーケンスSQ120)。このとき、基地局200−1〜200−3は、制御装置300から通知される移動局100の未来位置に応じて、指向性を適応的に変更して移動局100と無線通信を行なう。
【0115】
CoMPの実施中、制御装置300は、シーケンスSQ114において決定されたスケジュールに基づいて、移動局100に対してCoMPの実施を終了するタイミングが到来したか否かを判断する(シーケンスSQ122)。CoMPの実施を終了するタイミングが到来した場合(シーケンスSQ122においてYESの場合)には、制御装置300は、基地局200−1〜200−3に対してCoMP終了指示を送信する(シーケンスSQ124)。
【0116】
CoMP終了指示に従って、基地局200−1〜200−3は、移動局100に対するCoMPを終了する(シーケンスSQ126)。そして、通常の通信モードに復帰する。
【0117】
<I.変形例その1>
上述の実施の形態においては、移動局100の現在位置および移動速度に基づいて、移動局100を携帯するユーザが利用している移動手段を特定する構成について例示したが、ユーザによる移動手段の利用と連係した情報を用いて、移動手段を特定することもできる。
【0118】
すなわち、移動局100から移動手段の利用に関する情報を制御装置300へ送信するとともに、この情報に基づいて移動局100の移動手段を判断してもよい。例えば、列車内に存在していることを示す無線信号を列車内に放送しておき(例えば、無線LAN(Local Area Network)等によって)、この無線信号を受信した移動局100は、自局が列車内に存在していると判断し、その情報を基地局200へ送信するような構成を採用できる。
【0119】
あるいは、移動局100に移動手段を利用するための付加機能(典型的には、交通機関を利用するための決済機能など)が搭載されている場合には、当該決済機能が利用されたことに応答して、利用先の交通機関などを基地局200へ通知するようにしてもよい。
【0120】
<J.変形例その2>
上述の実施の形態においては、移動局100と基地局200とに加えて、別の実行主体として、制御装置300を設ける構成について例示したが、この制御装置300が提供する機能を基地局200に分散して配置してもよい。この場合には、図7および図8に示す制御装置300が提供するモジュールを、基地局200へ割り当てることになる。
【0121】
また、制御装置300が提供する機能の一部のみを基地局200へ割り当ててもよい。例えば、制御装置300の速度計算モジュール304を基地局200に移してもよい。この場合には、移動局100が存在するセルを提供する基地局200が移動局100の移動速度を計算し、移動局100の現在位置とともに、制御装置300へ送信することになる。このような構成を採用することで、制御装置300における処理負荷を低減できる。
【0122】
さらに、移動局100の移動速度については、移動局100自身がその移動速度を計算し、自局の現在位置とともに基地局200へ送信するようにしてもよい。
【0123】
<K.作用効果>
本実施の形態によれば、列車など移動手段およびその移動経路を特定できる環境下において、移動中の移動局に対して複数の基地局がCoMPを実施できるように、制御装置が移動局の未来位置などを予測する。そして、移動局が基地局によって提供されるセルのセルエッジを通過する時刻などを予測してCoMPを適応的に実施する。
【0124】
このように、移動局の未来位置および移動局がセルエッジを通過する時刻などを予測することで、CoMP Measurementの測定結果などを取得することなく、CoMPを開始できる。そのため、移動局と基地局との間の処理負荷を低減することができる。さらに、移動中の移動局に対するCoMPの開始をより早いタイミングで決定できる。そのため、より長い期間にわたってCoMPでの通信を提供できる。
【0125】
また、移動局の未来位置を予測することで、移動する移動局に対して指向性を適応的に変更してCoMP信を実施できるので、スループットをより高めることができる。
【0126】
現在のCoMPの規格では、比較的高速に移動中の移動局に対してCoMPを開始すべきか否かの判断が完了する前に、移動局がセル圏外に移動してしまうという事態が生じ得るが、本実施の形態に従う通信システムにおいては、このような事態を回避して、CoMPを安定的に実施することができる。
【0127】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0128】
20−1〜20−3 セル、100 移動局、102,210 中央処理部、106 信号処理部、112,222 無線送信部、114,224 送信アンテナ、116,226 無線受信部、118,228 受信アンテナ、120 表示部、122 マイク、124 スピーカ、126 入力部、128 ユニット、130 筐体、200,200−1〜200−3 基地局、202,302 現在位置受信モジュール、204 現在位置送信モジュール、206 指示受信モジュール、208 指示実施モジュール、230 上位ネットワークインターフェイス、240 制御インターフェイス、300 制御装置、304 速度計算モジュール、306 予測モジュール、308 指示送信モジュール、310 データベース、312 路線図データ、314 列車運行スケジュール、316 セルエッジ位置情報、320 CPU、322 主メモリ、332 入力インターフェイス、334 出力インターフェイス、336 通信インターフェイス、RR 線路、TR 列車。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基地局が協調して移動局と無線通信を行なう通信システム、そのシステムに向けられた制御装置、およびその通信システムにおける通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(Third Generation Partnership Project)は、新たな移動体通信技術としてLTE−A(LTE-Advanced)の標準化を進めている。LTE−Aは、LTE(Long Term Evolution)を発展させた規格である。
【0003】
LTEでは、移動局は1つの基地局と通信すると定められている。これに対して、LTE−Aでは、複数の基地局が情報を共有し、協調して移動局と通信することが検討されている。このような技術は、多地点協調送受信(Coordinated multiple point transmission and reception:以下「CoMP」とも称する。)と呼ばれている。
【0004】
LTE−Aでは、LTEと比較して、セルエッジでのユーザスループットやセルスループットを改善することが期待されている。そこで、下りリンク(回線)および上りリンク(回線)のそれぞれに対して、上述のようなCoMPを使用することが検討されている。
【0005】
現在、下りリンクにCoMPを用いる方法として、主として、以下に示すような2種類の方法が検討されている。
【0006】
第1の方法は、LTEと同様に、移動局は基地局と1対1で通信するが、隣接した複数の基地局が情報を共有することにより、協調スケジューリング(CS:Coordinated Scheduling)や協調ビームフォーミング(CB:Coordinated Beam forming)を協調して行なうことで、干渉を低減させる方法である。
【0007】
第2の方法は、LTEとは異なり、複数の基地局が1つの移動局に対して同時に信号を送信し、移動局はそれらの信号を結合して復調する(JP:Joint Processing)ことにより、受信品質を向上させる方法である。
【0008】
いずれの方法においても、複数の基地局が協調して移動局と通信を行なうためには、移動局において測定された基地局との間の通信路の状態に関する情報(典型的には、チャネル品質通知CQI:Channel Quality Indicator)が必要となる。
【0009】
基地局は、自局のセルエッジの近くに移動局が位置する場合などの、CoMPを実施することが望ましいと判断すると、移動局に対してCoMP Measurementの開始を指示する。このCoMP Measurementは、CoMPを実施する前段階として、CQIといったCoMPの実施に必要な情報を収集するための処理である。
【0010】
基地局からの指示に応答して、移動局は、CoMP Measurementを開始し、その結果得られた測定結果を基地局へ報告する。基地局は、移動局から報告されたCoMP Measurementの測定結果に基づいて、CoMPを実施するための条件を満たしているか否かを判断し、移動局に対してCoMPを実施することが望ましいと決定すると、他の基地局と協調してCoMPを開始する。
【0011】
このように、CoMPを実施することで、セルエッジでの移動局のスループットを改善することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP Organizational Partners, "3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Further Advancements for E-UTRA Physical Layer Aspects (Release 9)", 3GGP TR36.814 v9.0.0 (2010-3), p.17-19 (8.1.3 Feedback in support of DL CoMP)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したようなCoMPを実施するにあたっては、移動局の位置を適切に把握する必要がある。例えば、移動局がセル圏内に静止している場合に、その移動局に対してCoMPを実施することが望ましいと判断されると、対応する基地局は、送信する無線信号の指向性を対象の移動局に設定した上でCoMPを開始する。これに対して、移動局が移動中である場合には、その移動局に対してCoMPを実施することが望ましいと判断されたとしても、対応する基地局は、送信する無線信号の指向性を対象の移動局に正確に設定することができないこともある。また、移動局に対してCoMPを実施することが望ましいか否かを基地局が判断している間に、その移動局がセル圏外に移動してしまい、CoMPを実施できないこともある。
【0014】
そこで、本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、移動中の移動局であっても、複数の基地局が協調して移動局と無線通信を行なうことができる通信システム、そのシステムに向けられた制御装置、およびにその通信システムにおける通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある局面に従う通信システムは、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局と、制御手段とを含む。制御手段は、移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調した移動局との間の無線通信を制御する。
【0016】
好ましくは、制御手段は、移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて所定期間後の位置を予測する。
【0017】
さらに好ましくは、制御手段は、移動局の移動手段を特定するとともに、当該特定した移動手段の挙動に基づいて所定期間後の位置を予測する。
【0018】
あるいはさらに好ましくは、制御手段は、移動局の移動速度に基づいて、当該移動局の移動手段を判断する。
【0019】
あるいはさらに好ましくは、制御手段は、移動局から送信される移動手段の利用に関する情報に基づいて、当該移動局の移動手段を判断する。
【0020】
あるいはさらに好ましくは、制御手段は、特定した移動経路と移動局の移動速度とに基づいて、所定期間後の位置を予測する。
【0021】
好ましくは、制御手段は、移動局からの情報に基づいて、所定期間後の位置を予測する。
【0022】
好ましくは、制御手段は、所定期間後の位置に応じて、複数の基地局のうち協調して移動局と無線通信を行なうための基地局を順次選択する。
【0023】
さらに好ましくは、制御手段は、所定期間後の位置に応じたタイミングで、複数の基地局の各々に対して、協調した移動局との間の無線通信に関する開始指示および終了指示を与える。
【0024】
本発明の別の局面に従う通信システムは、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局と、制御装置とを含む。制御装置は、移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置を複数の基地局へ通知し、複数の基地局は、制御装置から通知された所定期間後の位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調して移動局との間で無線通信を行なう。
【0025】
本発明のさらに別の局面に従う通信システムは、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局と、制御装置とを含む。制御装置は、移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて所定期間後の位置を予測し、複数の基地局は、制御装置において予測される所定期間後の位置に応じて、指向性を適応的に変更して移動局と無線通信を行なう。
【0026】
本発明のさらに別の局面に従えば、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局とを含む通信システムに適合される制御装置を提供する。制御装置は、移動局の現在位置を取得する手段と、移動局の所定期間後の位置を予測する手段と、予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調した移動局との間の無線通信を制御する手段とを含む。
【0027】
本発明のさらに別の局面に従えば、移動局と、移動局と無線通信可能な複数の基地局とを含む通信システムにおける通信方法を提供する。通信方法は、移動局の現在位置を取得するステップと、移動局の所定期間後の位置を予測するステップと、予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局が協調した移動局との間の無線通信を制御するステップとを含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、移動中の移動局であっても、複数の基地局が協調して移動局と無線通信を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】LTE−AにおけるCoMP動作を説明するための図である。
【図2】LTE−AにおけるCoMP動作を説明するための図である。
【図3】本実施の形態に関連する通信システムにおいて移動局が移動中の処理を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う通信システムのシステム構成を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される移動局のブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される基地局のブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される制御装置のブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に従う通信システム全体の制御ブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う制御装置のデータベースに格納される路線図データの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に従う制御装置のデータベースに格納される列車運行スケジュールの一例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に従う制御装置のデータベースに格納されるセルエッジ位置情報の一例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に従う制御装置によって提供される制御マップの一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に従う通信システムにおける制御手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施可能である。
【0031】
<A.関連技術>
まず、本実施の形態に関連する通信システムについて説明する。図1および図2は、LTE−AにおけるCoMP動作を説明するための図である。
【0032】
本実施の形態に従う通信システムおよびその関連する通信システムは、図1および図2に示すように、移動局100と無線通信可能な複数の基地局200−1〜200−3(以下「基地局200」とも総称する。)とを含む。特に、いずれの通信システムにおいても、2つ以上の基地局200が協調して移動局100との間で無線通信を行なうことができるものとする。このような2つ以上の基地局200が協調して移動局100と無線通信を行なう技術の典型例として、本実施の形態においては、LTE−Aにおいて検討中のCoMPを想定する。但し、将来的に、2つ以上の基地局200が協調して移動局100と無線通信を行なう新たな技術が確立された場合には、本発明はそのような技術もその権利範囲に含み得る。
【0033】
上述したように、現在検討中のLTE−A規格においては、下りリンクにCoMPを用いる方法として、主として2種類の方法が提案されている。
【0034】
第1の方法は、LTEと同様に、移動局100は基地局200と1対1で通信するが、隣接した複数の基地局200が情報を共有することにより、スケジューリングやビームフォーミングを協調して行なうことで、干渉を低減させる方法である。
【0035】
例えば、図1に示すように、セル20−1とセル20−2とのセルエッジに、移動局100が位置している場合を考える。この場合には、移動局100は、セル20−1に対応する基地局200−1およびセル20−2に対応する基地局200−2の両方から無線信号を受信できる。そのため、一方の基地局200−1からの信号を受信しているときに、他方の基地局200−2からの信号を受信すると、その受信した信号は干渉源となる。
【0036】
そこで、第1の方法に従うCoMPにおいては、基地局200−1と基地局200−2とが協調して信号の送信タイミングや電波送信範囲などを制御することで、移動局100に対する干渉を低減する。
【0037】
また、第2の方法は、LTEとは異なり、複数の基地局200が1つの移動局100に対して同時に信号を送信し、移動局100はそれらの信号を結合して復調することにより、受信品質を向上させる方法である。
【0038】
例えば、図2を参照して、図1と同様に、セル20−1とセル20−2とのセルエッジに移動局100が位置している場合を考える。この場合には、移動局100は、セル20−1に対応する基地局200−1およびセル20−2に対応する基地局200−2の両方から無線信号を受信できる。そこで、第2の方法に従うCoMPにおいては、基地局200−1と基地局200−2とが協調して信号送信タイミングを同期させることで、移動局100に対して、それぞれ異なるデータ(データ1およびデータ2)を送信する。これにより、移動局100と基地局200−1,200−2との間の下りリンクの速度を高めることができる。
【0039】
次に、図1および図2に示すような、本実施の形態に関連する通信システムにおいて生じ得る問題点について説明する。図3は、本実施の形態に関連する通信システムにおいて移動局100が移動中の処理を説明するための図である。
【0040】
図3に示す通信システムにおいては、3つの基地局200−1〜200−3が線路RRの両側に配置されているものとする。この線路RR上には、A駅およびB駅が設けられており、その線路RR上を列車TRが運行しているものとする。図3に示す例では、移動局100を携帯しているユーザが列車TRに乗車しているものとする。そのため、基地局200−1〜200−3から見れば、移動局100は、線路RR上を移動することになる。
【0041】
図3では、基地局200−1〜200−3の通信可能範囲(セル20−1〜20−3)を実線の円として表している。
【0042】
図3に示すような状況においてCoMPを実施する場合の動作について説明する。まず、移動局100がA駅の近くに位置する場合を初期位置とする。この初期位置においては、移動局100は、基地局200−1が提供するセル20−1の圏内に位置することになる。続いて、列車TRがA駅を出発してB駅に向かうことを考える。B駅は、基地局200−3が提供するセル20−3の圏内に位置することになる。このA駅とB駅との間には、基地局200−2が提供するセル20−2が存在する。このセル20−2は、セル20−1およびセル20−3とセルエッジにおいてそれぞれ重複するように設定されるので、CoMPを利用できる範囲が存在する。
【0043】
列車TRがA駅からB駅に向かう過程において、列車TR上の移動局100が地点401に到達した場合を考える。この地点401は、基地局200−2が提供するセル20−2のセルエッジの近傍である。このような移動局100の移動に伴って、基地局200−1がCoMP通信を実施することが望ましいと判断すると、基地局200−1は、移動局100に対してCoMP Measurementの開始を指示する。
【0044】
基地局200−1からの指示に応答して、移動局100は、CoMP Measurementを開始し、その結果得られた測定結果を基地局200−1へ報告する。基地局200−1は、移動局100から報告されたCoMP Measurementの測定結果に基づいて、予め設定されているCoMPを実施するための条件(CoMP通信実施条件)を満たしているか否かを判断する。条件を満たしていると判断すると、基地局200−1は、移動局100の周辺に位置する基地局(図3に示す例では、基地局200−2および/または基地局200−3)と協調してCoMP通信を開始する。
【0045】
しかしながら、列車TRが比較的高速で移動している場合には、移動局100がセルエッジ近傍に滞在している時間は短くなる。例えば、移動局100がセルエッジ(地点401)に到達してから、CoMP Measurementを開始し、基地局200−1が移動局100から報告されたCoMP Measurementの測定結果に基づいて、CoMP通信実施条件を満たしているか否かを判断していると、CoMPを開始する前に移動局100がセルエッジから離れた地点403まで移動してしまう。
【0046】
また、移動局100が地点401に到達したことをイベントとして、基地局200−1が移動局100から報告されたCoMP Measurementの測定結果に基づいて、CoMP通信実施条件を満たしていると判断し、移動局100の周辺に位置する基地局(図3に示す例では、基地局200−2および/または基地局200−3)と協調して、地点401に指向性を設定してCoMPを開始したとする。しかしながら、このCoMPの開始時点において、移動局100が既に地点402まで移動しているという状況が考えられる。このような場合には、基地局200が送信する無線信号の指向性を対象の移動局100に正確に設定することが困難となる。
【0047】
<B.本発明の概要>
上述のような課題を鑑みて、本実施の形態に従う通信システムにおいては、移動局100の所定期間後の位置(以下「未来位置」とも称する。)を予測するとともに、この予測した未来位置に基づいて、CoMPを適切に実施する。
【0048】
<C.システム構成>
本実施の形態に従う通信システムは、上述したような未来位置を予測する機能を有する。図4は、本発明の実施の形態に従う通信システムのシステム構成を示す模式図である。図4には、典型例として、上述のような未来位置を予測する機能を提供する主体が基地局200とは別に設けられている通信システムの構成を示す。
【0049】
すなわち、図4に示す本実施の形態に従う通信システムは、移動局100と、移動局100と無線通信可能な複数の基地局200−1〜200−3と、制御装置300とを含む。基地局200−1〜200−3は、それぞれセル20−1〜20−3を提供する。
【0050】
制御装置300は、基地局200−1〜200−3と各種制御情報を遣り取りできるように構成される。具体的には、制御装置300は、光ファイバーなどの有線回線または無線信号を介して、基地局200−1〜200−3と互いに接続される。
【0051】
本実施の形態に従う通信システムにおいては、制御装置300が、移動局100の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置に基づいて、2つ以上の基地局200が協調した移動局100との間の無線通信を制御する。すなわち、制御装置300は、予測した移動局100の未来位置に応じて、適切にCoMPを実施できるように、対象の基地局200に対して制御信号を与える。また、基地局200の各々は、制御装置300から通知される移動局100の未来位置に応じて、指向性を適応的に変更して移動局100と無線通信を行なう。
【0052】
後述するように、制御装置300は、移動局100の未来位置に応じて、複数の基地局200のうち移動局100とCoMPを行なうための基地局200を順次選択してもよい。この場合には、制御装置300は、移動局100の未来位置に応じたタイミングで、複数の基地局200の各々に対して、CoMPの開始指示および終了指示を与える。基地局200の各々は、制御装置300からのCoMPの開始指示および終了指示に従って、CoMPの実施を制御する。
【0053】
制御装置300からCoMPの開始/終了指示といった制御信号を与える代わりに、各基地局200が移動局100の未来位置に基づいて、CoMPの実施を制御するようにしてもよい。この場合には、制御装置300は、移動局100の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置(未来位置)をそれぞれの基地局200へ通知する。基地局200の各々は、制御装置300から通知された未来位置に基づいて、互いに協調して移動局100との間で無線通信を行なう。
【0054】
<D.移動局100の構成>
次に、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される移動局の構成について説明する。図5は、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される移動局100のブロック図である。
【0055】
図5を参照して、移動局100は、無線信号を送信するための送信アンテナ114と、無線信号を受信するための受信アンテナ118とが設けられた筐体130を含む。筐体130は、中央処理部102と、信号処理部106と、無線送信部112と、無線受信部116とを含む。
【0056】
中央処理部102は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。信号処理部106は、自局が存在するセルを提供する基地局200との間で遣り取りされる無線信号を処理する。より具体的には、信号処理部106は、中央処理部102などから与えられる内部指令に従って、基地局200へ送信すべき情報を無線送信部112へ出力する。無線送信部112は、信号処理部106から受けた情報に対して符号化および変調を行って、その結果得られる無線信号を、送信アンテナ114を通じて外部へ放射する。また、無線受信部116は受信アンテナ118を通じて受信した無線信号に対して復調および復号化を行って、その結果得られた情報を信号処理部106へ出力する。
【0057】
特に、本実施の形態に従う通信システムにおいてはCoMPが実施されるので、CoMPの実施中は、中央処理部102と信号処理部106とは、互いに連係して、複数の基地局200から送信される無線信号を結合して復調する処理などを行なう。
【0058】
中央処理部102によって提供される機能の一部または全部を専用のハードウェア(集積回路)として実装してもよい。この場合には、中央処理部102によって提供される機能に加えて、信号処理部106、無線送信部112、および、無線受信部116によって提供される機能の全部または一部を含めて、1チップ化してもよい。さらに、プロセッサ、メモリ、周辺デバイス用のコントローラといった部品を1チップ化したSoC(System On a Chip)を利用することもできる。
【0059】
代替の構成として、信号処理部106、無線送信部112、および、無線受信部116によって提供される機能の全部または一部をソフトウェアとして実装してもよい。この場合には、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)といった演算装置(プロセッサ)が予めインストールされた命令セットを実行することになる。
【0060】
筐体130は、さらに、各種情報を表示するための表示部120と、ユーザの音声などを取得するためのマイク122と、受信した音声を再生するためのスピーカ124と、ユーザ操作を受付けるための入力部126と、自局の位置情報を取得するためのコンポーネントの一例であるGPS(Global Positioning System)ユニット128とを含む。
【0061】
移動局100は、基地局200などからの要求に応じて、GPSユニット128によって取得された自局の現在位置を基地局200へ応答する。
【0062】
<E.基地局200の構成>
次に、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される基地局200の構成について説明する。図6は、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される基地局200のブロック図である。
【0063】
図6を参照して、基地局200は、中央処理部210と、無線送信部222と、送信アンテナ224と、無線受信部226と、受信アンテナ228と、上位ネットワークインターフェイス(I/F)230と、制御インターフェイス(I/F)240とを含む。
【0064】
中央処理部210は、主たる構成要素として、プロセッサと、プロセッサで実行されるプログラムを保持するための不揮発性メモリと、ワークメモリとして機能する揮発性メモリとを含む。さらに、中央処理部210は、現在位置受信モジュール202と、指示受信モジュール206と、指示実施モジュール208とを含む。これらのモジュールは、典型的には、中央処理部210がプログラムを実行することで提供される。例えば、各モジュールに対応するコードが予め不揮発性メモリに記憶されており、中央処理部210がこれらのコードを読み出して実行することで後述するような機能が提供される。
【0065】
現在位置受信モジュール202は、移動局100からの現在位置を受信するための処理を実行する。また、現在位置受信モジュール202は、移動局100に現在位置を要求するための処理を行なってもよい。
【0066】
現在位置送信モジュール204は、移動局100からの現在位置を制御装置300へ送信するための処理を実行する。制御装置300へ送信される現在位置には、対応する移動局100を識別できるように識別情報が付加されてもよい。
【0067】
指示受信モジュール206は、制御装置300からの制御情報を受信するための処理を実行する。この制御情報には、CoMPの開始指示/終了指示、移動局100の未来位置、移動局100に対して設定すべき指向性の情報などが含まれる。
【0068】
指示実施モジュール208は、制御装置300からの指示に従う処理を実施する。より具体的には、制御装置300からのCoMPの実施に関する情報に従って、他の基地局200と各種制御情報を遣り取りしながら、CoMPを実施する。また、指示実施モジュール208は、制御装置300から指示された移動局100の未来位置に応じて、送信アンテナ224から放射する無線信号の指向性を適応的に変更する。
【0069】
無線送信部222は、送信アンテナ224と接続されており、中央処理部210から受信したユーザデータまたは制御データに応じた無線信号を生成するとともに、送信アンテナ224からその無線信号を放射する。このユーザデータとは、移動局100と相手先(あるいは、中継先)との間で遣り取りされるデータを意味する。
【0070】
無線受信部226は、受信アンテナ228を介して移動局100から受信した無線信号をユーザデータまたは制御データに復調して、その復調したデータを中央処理部210へ出力する。
【0071】
上位ネットワークインターフェイス230は、自局を管理するコアネットワーク装置との間でユーザデータ、制御情報、および管理情報を遣り取りする。同様に、制御インターフェイス240は、他の基地局200および制御装置300との間で制御情報を遣り取りする。本実施の形態に従う通信システムにおいては、CoMPを実施するために、基地局200の間は、光ファイバーなどの有線回線または無線信号を介して相互接続される。
【0072】
<F.制御装置300の構成>
次に、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される制御装置300の構成について説明する。図7は、本発明の実施の形態に従う通信システムにおいて利用される制御装置300のブロック図である。
【0073】
図7を参照して、制御装置300は、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに基づいて実現される。より具体的には、制御装置300は、CPU320と、主メモリ322と、データベース310と、入力インターフェイス332と、出力インターフェイス334と、通信インターフェイス336とを含む。
【0074】
CPU320は、制御装置300における各種処理を実現する主体であり、主メモリ322に展開されるOS(Operating System)に係るコードおよび各種モジュールのコードを逐次読み出して実行する。
【0075】
主メモリ322は、制御装置300が提供する各種処理を実現するためのコードや一時データを保持するワークメモリとして機能する。具体的には、主メモリ322は、ハードディスクなどの二次メモリから読み出された、現在位置受信モジュール302と、速度計算モジュール304と、予測モジュール306と、指示送信モジュール308とを保持しているとする。
【0076】
現在位置受信モジュール302は、それぞれの基地局200を通じて転送される移動局100からの現在位置を受信するための処理を実行する。速度計算モジュール304は、移動局100からの現在位置に基づいて、移動局100の移動速度を計算するための処理を実行する。予測モジュール306は、移動局100の移動速度およびデータベース310に格納されている情報などに基づいて、移動局100の所定期間後の位置(未来位置)を予測する。さらに、予測モジュール306は、予測した未来位置に基づいて、2つ以上の基地局200がCoMPによって移動局100と無線通信を行なうことを制御する。指示送信モジュール308は、予測モジュール306によって出力されるCoMPに関する制御情報をそれぞれの基地局200へ送信するための処理を実行する。
【0077】
データベース310は、未来位置の予測およびCoMPの制御に必要な情報を保持する。例えば、図3に示すようにセル圏内に線路がある場合には、データベース310は、路線図データ312と、列車運行スケジュール314と、セルエッジ位置情報316などを保持することになる。
【0078】
路線図データ312は、線路および駅舎などの位置情報を規定するものである。列車運行スケジュール314は、予定されている列車の運行に関する情報を定義する。例えば、列車運行スケジュール314には、時刻と各列車の位置とを対応付けたダイヤグラムを含む。セルエッジ位置情報316は、各基地局200が提供するセルのエッジに関する情報を定義する。
【0079】
このような形態に限られず、データベース310は、移動局100の未来位置を予測するために必要な情報、すなわち、移動局100(を携帯しているユーザ)の移動経路や移動手段を特定するための情報を保持する。例えば、基地局200が提供するセル圏内に高速道路や幹線道路などがある場合には、データベース310は、その道路に関する情報などを保持する。この場合には、交通情報センタなどが提供するトラフィック情報や渋滞情報(地点間の所要時間)などに基づいて、道路上を走行する車両の平均速度を取得する。この取得した平均速度に基づいて、道路上を走行するとした場合の走行スケジュールを予測することができる。
【0080】
なお、図7には、制御装置300がデータベース310を搭載している構成を示すが、必ずしもデータベース310自体を搭載しておく必要はない。代替的には、ネットワークを通じて、外部のサーバ装置などから必要な情報を取得するようにしてもよい。
【0081】
入力インターフェイス332は、外部からの指示を受付けるとともに、その受付けた外部入力をCPU320などへ出力する。出力インターフェイス334は、CPU320によって算出された各種情報を、ディスプレイなどの外部デバイスへ出力する。通信インターフェイス336は、基地局200からの情報を受付けるとともに、CPU320によって算出された各種情報を基地局200へ出力する。
【0082】
<G.システムの制御動作>
次に、本実施の形態に従う通信システムの全体としての制御動作について説明する。以下の説明では、図4に示すように、3つの基地局200−1,200−2,200−3が線路RRの両側に配置されているものとする。この線路RR上には、A駅およびB駅が設けられており、その線路RR上を列車TRが運行しているものとする。そして、移動局100を携帯しているユーザが列車TRに乗車しているものとする。そのため、基地局200−1〜200−3から見れば、移動局100は、線路RR上を移動することになる。
【0083】
また、移動局100がA駅の近くに位置する場合を初期位置とする。そのため、初期位置においては、移動局100は、基地局200−1が提供するセル20−1の圏内に存在することになる。
【0084】
図8は、本発明の実施の形態に従う通信システム全体の制御ブロック図である。図8を参照して、移動局100は、自局の現在位置を示す現在位置を基地局200(図4に示す例では、基地局200−1)へ送信する。この現在位置を送信するタイミングは、移動局100に対して予め設定された所定周期であってもよいし、移動局100に対して予めスケジューリングされてもよい。さらに、基地局200が何らかのイベントに応じて現在位置の送信を移動局100に対して要求してもよい。
【0085】
本実施の形態に従う通信システムにおいては、移動局100に搭載されたGPSユニット128を用いて測位した結果(緯度・経度)が送信されるが、これ以外の方法を採用することもできる。例えば、移動局100の移動手段を利用することで、当該移動手段からの位置に関する情報を受信し、その移動手段から受信した位置に関する情報を基地局200へ送信してもよい。例えば、位置測位システムであるGPSを列車に搭載しておき、列車内に現在位置を示す無線信号を放送しておき(例えば、無線LAN(Local Area Network)等によって)、この無線信号を通じて列車の現在位置を受信した基地局200は、その列車の現在位置を自局の現在位置として、基地局200へ送信するような構成を採用できる。
【0086】
基地局200(図4に示す例では、基地局200−1)は、移動局100から現在位置を受信することに応答して処理を開始する。すなわち、基地局200の現在位置受信モジュール202は、移動局100からの現在位置を受信する。そして、現在位置受信モジュール202は、受信した現在位置を現在位置送信モジュール204へ出力する。現在位置送信モジュール204は、受信した移動局100の現在位置を制御装置300へ送信する。
【0087】
制御装置300は、基地局200を通じて、移動局100から現在位置を受信することに応答して処理を開始する。すなわち、制御装置300の現在位置受信モジュール302は、基地局200から送信された移動局100の現在位置を受信する。そして、現在位置受信モジュール302は、受信した現在位置を速度計算モジュール304および予測モジュール306へ出力する。
【0088】
速度計算モジュール304は、所定期間にわたる移動局100の各々からの現在位置に基づいて移動局100の移動速度を計算する。そして、速度計算モジュール304は、移動局100の移動速度を予測モジュール306へ出力する。
【0089】
予測モジュール306は、移動局100の現在位置および移動速度に基づいて、データベース310に格納されている情報を照合することで、移動局100の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて、移動局100の所定期間後の位置(未来位置)を予測する。
【0090】
図9は、本発明の実施の形態に従う制御装置300のデータベース310に格納される路線図データ312の一例を示す図である。図10は、本発明の実施の形態に従う制御装置300のデータベース310に格納される列車運行スケジュール314の一例を示す図である。図11は、本発明の実施の形態に従う制御装置300のデータベース310に格納されるセルエッジ位置情報316の一例を示す図である。
【0091】
図8に示す制御装置300の予測モジュール306は、例えば、移動局100の現在位置および移動速度に基づいて、移動局100の移動手段を特定する。より具体的には、予測モジュール306は、図9に示す路線図データ312を参照して、移動局100の現在位置に対応する地点が存在するか否かを判断する。すなわち、予測モジュール306は、移動局100の現在位置に基づいて、移動局100がいずれかの列車運行経路上に存在するか否かを判断する。なお、図9には、典型的に、1つの路線に対応する路線図データ312の例のみを示すが、複数の路線が存在する場合には、各路線に対応する路線図データ312が予め用意される。そして、移動局100がいずれかの列車運行経路上に存在すると判断された場合には、予測モジュール306は、移動局100を携帯するユーザが当該列車運行経路に対応する路線を運行する列車に搭乗していると判断する。
【0092】
さらに、予測モジュール306は、図10に示す列車運行スケジュール314(ダイヤグラム)を参照して、移動局100を携帯するユーザがいずれの列車に搭乗しているのかを判断する。すなわち、予測モジュール306は、ダイヤグラム上において、現在時刻と移動局100の現在位置とに対応する座標を特定するとともに、当該特定した座標に対応する列車を特定する。
【0093】
なお、図10に示すダイヤグラムにおける傾きは、列車の移動速度に相当するので、同一の経路上を複数の路線が並列的に設けられており、各路線を走行する列車の運行形態が異なる場合には、移動局100の移動速度に基づいて、移動局100を携帯するユーザが利用している移動手段を判断してもよい。典型的に、同一の進行方向に2つの路線が並列して設けられており、一方が緩行線で他方が急行線であるような場合には、移動局100の移動速度に基づいて、いずれの路線を走行する列車に移動局100を携帯するユーザが搭乗しているのかを判断することができる。
【0094】
なお、移動局100がいずれの列車運行経路上にも存在しないと判断された場合には、予測モジュール306は、移動局100が他の移動手段(高速道路や幹線道路など)の経路上に存在するか否かを判断してもよい。
【0095】
以上のような処理によって、移動局100を携帯するユーザが利用している移動手段、および、その移動手段の挙動を特定できる。
【0096】
続いて、予測モジュール306は、特定した移動手段の挙動に基づいて、移動局100の所定期間後の位置(未来位置)を予測する。典型的には、予測モジュール306は、移動局100を携帯するユーザが利用している列車が図10に示すダイヤグラム上のいずれの列車であるかを特定した場合には、当該ダイヤグラムを参照することで、移動局100の未来位置を予測することができる。さらに、予測モジュール306は、図10に示すダイヤグラムと図11に示すセルエッジ位置情報316とを対比させることで、移動局100が各基地局200のセルエッジを通過するタイミング(時刻)を予測することもできる。
【0097】
すなわち、図11に示すセルエッジ位置情報316は、図4において示される各基地局200−1〜200−3のセル20−1〜20−3の範囲(実線)を定義し、図10に示すダイヤグラムの紙面縦方向の軸は、図4において示される線路RRを定義する。そのため、図10に示すダイヤグラムの紙面横方向の軸上において、セル20−1〜20−3の各々の範囲と線路RRとの交点に対応する時刻を参照することで、各交点(セルエッジ)を通過するタイミング(時刻)を算出できる。
【0098】
なお、列車が本来の運行スケジュールに沿って運行されていない場合もあるので、このような場合には、特定した列車の移動経路(線路)と移動局100の移動速度とに基づいて、移動局100の所定期間後の位置(未来位置)を予測してもよい。すなわち、移動手段が特定されれば、将来的に移動する経路を特定できるので、移動局100の移動速度に応じて特定した移動経路上における移動局100の位置の時間的変化を算出できる。
【0099】
このように、予測モジュール306は、移動局100からの情報に基づいて、移動局100の所定期間後の位置を予測する。そして、予測モジュール306は、移動局100の未来位置およびセルエッジを通過するタイミング(時刻)とを含む予測結果を、指示送信モジュール308へ出力する。
【0100】
指示送信モジュール308は、予測モジュール306からの予測結果に基づいて、基地局200におけるCoMPの実施を制御するための情報を生成する。より具体的には、指示送信モジュール308は、移動局100の未来位置に応じたタイミングで、基地局200の各々に対して、CoMPの実施に関する開始指示および終了指示を含む制御情報を生成する。
【0101】
一例として、指示送信モジュール308は、移動局100の未来位置に応じて、いずれの基地局200が移動局100と通信可能であるかを判断する。図12は、本発明の実施の形態に従う制御装置300によって提供される制御マップの一例を示す図である。
【0102】
指示送信モジュール308は、移動局100の未来位置に基づいて、それぞれの時刻においていずれの基地局200が移動局100と通信可能であるかを判断する。そして、図12に示すような制御マップを生成する。なお、図12に示す制御マップは、説明の便宜上のものであり、現実に実装されるデータ構造としては、図12に示す形式には限定されない。
【0103】
図12に示すように、時刻t1〜t6の各々における移動局100の未来位置に基づいて、各未来位置をカバーするセルを提供する基地局200が特定される。図12に示す制御マップにおいては、「Y」が対応する基地局200が移動局100と通信可能であることを示し、「N」が対応する基地局200が移動局100と通信不可能であることを示す。そして、指示送信モジュール308は、図12に示す制御マップにおいて、移動局100がセルエッジを通過するタイミング、すなわち、いずれかの基地局200の状態が「Y」から「N」に変更、または、「N」から「Y」に変更された時刻を特定する。そして、指示送信モジュール308は、この移動局100のセルエッジの通過時刻などに応じたタイミングで、CoMPの実施を指示する開始指示、および/または、CoMPの終了を指示する終了指示を生成する。
【0104】
すなわち、制御装置300の指示送信モジュール308は、予測された移動局100のセルエッジの通過時刻に基づいて、移動局100に対してCoMPを実施することが望ましいタイミングが到来したと判断すると、移動局100の周辺基地局(図4に示す例では、基地局200−1〜200−3)にCoMP開始指示を送信する。一方、予測された移動局100のセルエッジの通過時刻に基づいて、移動局100に対してCoMPを終了することが望ましいタイミングが到来したと判断すると、移動局100の周辺基地局(図4に示す例では、基地局200−1〜200−3)にCoMP終了指示を送信する。
【0105】
さらに、指示送信モジュール308は、これらのCoMP開始指示および/またはCoMP終了指示の送信時には、移動局100の未来位置についても併せて対応する基地局200へ送信する。
【0106】
再度図8を参照して、基地局200の指示受信モジュール206は、制御装置300からの制御情報(移動局100の未来位置、ならびに、CoMP開始指示および終了指示)を受信するための処理を実行する。指示受信モジュール206は、受信した制御情報を指示実施モジュール208へ出力する。
【0107】
指示実施モジュール208は、制御装置300からの制御情報に従って、CoMPに関する制御を行なう。より具体的には、指示実施モジュール208は、制御装置300からCoMP開始指示を受信すると、他の基地局200と制御情報を交換するとともに、移動局100に対してCoMPを実施する。このとき、制御装置300から通知された移動局100の未来位置に応じて、基地局200が送信する無線信号の指向性を対象の移動局100に適応的に変更する。一方、指示実施モジュール208は、制御装置300からCoMP終了指示を受信すると、実施中のCoMPを終了する。
【0108】
なお、制御装置300からのCoMP開始指示およびCoMP終了指示は、予め基地局200へ予め通知されておいてもよい。この場合には、CoMP開始指示にはCoMPを開始する時刻が付加され、CoMP終了指示にはCoMPを終了する時刻が付加される。そして、各基地局200は、予め通知された時刻が到来すると、指示に従って、CoMPを実施し、または、CoMPを終了する。
【0109】
<H.処理手順>
次に、上述したような本実施の形態に従う通信システムにおける処理手順は、以下のようにまとめることができる。図13は、本発明の実施の形態に従う通信システムにおける制御手順を示すシーケンス図である。
【0110】
図13を参照して、まず、移動局100は、所定の送信周期が到来すると、内蔵のGPSユニット128などを用いて現在位置を取得する(シーケンスSQ100)。そして、移動局100は、この取得した現在位置を自局が属するセルを提供する基地局200(図13の例では、基地局200−1)へ送信する(シーケンスSQ102)。続いて、移動局100からの現在位置を受信した基地局200−1は、当該受信した現在位置を制御装置300へ送信する(シーケンスSQ104)。
【0111】
制御装置300は、基地局200−1を介して移動局100からの現在位置を取得すると、移動局100の移動速度を算出する(シーケンスSQ106)。なお、通常は、同一の移動局100からの異なる時間に取得された複数の現在位置を用いて、移動局100の移動速度が算出される。
【0112】
続いて、制御装置300は、移動局100を携帯しているユーザが利用している移動手段を特定する(シーケンスSQ108)。この移動手段の特定には、上述したように、移動局100の現在位置および移動速度などが用いられる。続いて、制御装置300は、シーケンスSQ108において特定した移動手段およびその移動手段に係る移動経路に基づいて、所定期間後の移動局100の位置(未来位置)を算出する(シーケンスSQ110)。さらに、制御装置300は、それぞれの基地局200が提供するセルのセルエッジを移動局100が通過するタイミングを予測する(シーケンスSQ112)。最終的に、制御装置300は、シーケンスSQ112において予測されたタイミングに基づいて、基地局200が移動局100に対して実施するCoMPをスケジューリングする(シーケンスSQ114)。
【0113】
シーケンスSQ114において決定されたスケジュールに基づいて、制御装置300は、移動局100に対してCoMPの実施を開始するタイミングが到来したか否かを判断する(シーケンスSQ116)。CoMPの実施を開始するタイミングが到来した場合(シーケンスSQ116においてYESの場合)には、制御装置300は、基地局200−1〜200−3に対してCoMP開始指示および移動局100の未来位置を送信する(シーケンスSQ118)。
【0114】
CoMP開始指示に従って、基地局200−1〜200−3は、移動局100に対してCoMPの実施を開始する(シーケンスSQ120)。このとき、基地局200−1〜200−3は、制御装置300から通知される移動局100の未来位置に応じて、指向性を適応的に変更して移動局100と無線通信を行なう。
【0115】
CoMPの実施中、制御装置300は、シーケンスSQ114において決定されたスケジュールに基づいて、移動局100に対してCoMPの実施を終了するタイミングが到来したか否かを判断する(シーケンスSQ122)。CoMPの実施を終了するタイミングが到来した場合(シーケンスSQ122においてYESの場合)には、制御装置300は、基地局200−1〜200−3に対してCoMP終了指示を送信する(シーケンスSQ124)。
【0116】
CoMP終了指示に従って、基地局200−1〜200−3は、移動局100に対するCoMPを終了する(シーケンスSQ126)。そして、通常の通信モードに復帰する。
【0117】
<I.変形例その1>
上述の実施の形態においては、移動局100の現在位置および移動速度に基づいて、移動局100を携帯するユーザが利用している移動手段を特定する構成について例示したが、ユーザによる移動手段の利用と連係した情報を用いて、移動手段を特定することもできる。
【0118】
すなわち、移動局100から移動手段の利用に関する情報を制御装置300へ送信するとともに、この情報に基づいて移動局100の移動手段を判断してもよい。例えば、列車内に存在していることを示す無線信号を列車内に放送しておき(例えば、無線LAN(Local Area Network)等によって)、この無線信号を受信した移動局100は、自局が列車内に存在していると判断し、その情報を基地局200へ送信するような構成を採用できる。
【0119】
あるいは、移動局100に移動手段を利用するための付加機能(典型的には、交通機関を利用するための決済機能など)が搭載されている場合には、当該決済機能が利用されたことに応答して、利用先の交通機関などを基地局200へ通知するようにしてもよい。
【0120】
<J.変形例その2>
上述の実施の形態においては、移動局100と基地局200とに加えて、別の実行主体として、制御装置300を設ける構成について例示したが、この制御装置300が提供する機能を基地局200に分散して配置してもよい。この場合には、図7および図8に示す制御装置300が提供するモジュールを、基地局200へ割り当てることになる。
【0121】
また、制御装置300が提供する機能の一部のみを基地局200へ割り当ててもよい。例えば、制御装置300の速度計算モジュール304を基地局200に移してもよい。この場合には、移動局100が存在するセルを提供する基地局200が移動局100の移動速度を計算し、移動局100の現在位置とともに、制御装置300へ送信することになる。このような構成を採用することで、制御装置300における処理負荷を低減できる。
【0122】
さらに、移動局100の移動速度については、移動局100自身がその移動速度を計算し、自局の現在位置とともに基地局200へ送信するようにしてもよい。
【0123】
<K.作用効果>
本実施の形態によれば、列車など移動手段およびその移動経路を特定できる環境下において、移動中の移動局に対して複数の基地局がCoMPを実施できるように、制御装置が移動局の未来位置などを予測する。そして、移動局が基地局によって提供されるセルのセルエッジを通過する時刻などを予測してCoMPを適応的に実施する。
【0124】
このように、移動局の未来位置および移動局がセルエッジを通過する時刻などを予測することで、CoMP Measurementの測定結果などを取得することなく、CoMPを開始できる。そのため、移動局と基地局との間の処理負荷を低減することができる。さらに、移動中の移動局に対するCoMPの開始をより早いタイミングで決定できる。そのため、より長い期間にわたってCoMPでの通信を提供できる。
【0125】
また、移動局の未来位置を予測することで、移動する移動局に対して指向性を適応的に変更してCoMP信を実施できるので、スループットをより高めることができる。
【0126】
現在のCoMPの規格では、比較的高速に移動中の移動局に対してCoMPを開始すべきか否かの判断が完了する前に、移動局がセル圏外に移動してしまうという事態が生じ得るが、本実施の形態に従う通信システムにおいては、このような事態を回避して、CoMPを安定的に実施することができる。
【0127】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0128】
20−1〜20−3 セル、100 移動局、102,210 中央処理部、106 信号処理部、112,222 無線送信部、114,224 送信アンテナ、116,226 無線受信部、118,228 受信アンテナ、120 表示部、122 マイク、124 スピーカ、126 入力部、128 ユニット、130 筐体、200,200−1〜200−3 基地局、202,302 現在位置受信モジュール、204 現在位置送信モジュール、206 指示受信モジュール、208 指示実施モジュール、230 上位ネットワークインターフェイス、240 制御インターフェイス、300 制御装置、304 速度計算モジュール、306 予測モジュール、308 指示送信モジュール、310 データベース、312 路線図データ、314 列車運行スケジュール、316 セルエッジ位置情報、320 CPU、322 主メモリ、332 入力インターフェイス、334 出力インターフェイス、336 通信インターフェイス、RR 線路、TR 列車。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局と、
前記移動局と無線通信可能な複数の基地局と、
制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置に基づいて、2つ以上の前記基地局が協調した前記移動局との間の無線通信を制御する、通信システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて前記所定期間後の位置を予測する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記移動局の移動手段を特定するとともに、当該特定した移動手段の挙動に基づいて前記所定期間後の位置を予測する、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記移動局の移動速度に基づいて、当該移動局の移動手段を判断する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記移動局から送信される移動手段の利用に関する情報に基づいて、当該移動局の移動手段を判断する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記特定した移動経路と前記移動局の移動速度とに基づいて、前記所定期間後の位置を予測する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記移動局からの情報に基づいて、前記所定期間後の位置を予測する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記所定期間後の位置に応じて、前記複数の基地局のうち協調して移動局と無線通信を行なうための基地局を順次選択する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記所定期間後の位置に応じたタイミングで、前記複数の基地局の各々に対して、協調した前記移動局との間の無線通信に関する開始指示および終了指示を与える、請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
移動局と、
前記移動局と無線通信可能な複数の基地局と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置を前記複数の基地局へ通知し、
前記複数の基地局は、前記制御装置から通知された前記所定期間後の位置に基づいて、2つ以上の前記基地局が協調して前記移動局との間で無線通信を行なう、通信システム。
【請求項11】
移動局と、
前記移動局と無線通信可能な複数の基地局と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて所定期間後の位置を予測し、
前記複数の基地局は、前記制御装置において予測される前記所定期間後の位置に応じて、指向性を適応的に変更して前記移動局と無線通信を行なう、通信システム。
【請求項12】
移動局と、前記移動局と無線通信可能な複数の基地局とを含む通信システムに適合される制御装置であって、
前記移動局の現在位置を取得する手段と、
前記移動局の所定期間後の位置を予測する手段と、
前記予測した位置に基づいて、2つ以上の前記基地局が協調した前記移動局との間の無線通信を制御する手段とを備える、制御装置。
【請求項13】
移動局と、前記移動局と無線通信可能な複数の基地局とを含む通信システムにおける通信方法であって、
前記移動局の現在位置を取得するステップと、
前記移動局の所定期間後の位置を予測するステップと、
前記予測した位置に基づいて、2つ以上の前記基地局が協調した前記移動局との間の無線通信を制御するステップとを備える、通信方法。
【請求項1】
移動局と、
前記移動局と無線通信可能な複数の基地局と、
制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置に基づいて、2つ以上の前記基地局が協調した前記移動局との間の無線通信を制御する、通信システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて前記所定期間後の位置を予測する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記移動局の移動手段を特定するとともに、当該特定した移動手段の挙動に基づいて前記所定期間後の位置を予測する、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記移動局の移動速度に基づいて、当該移動局の移動手段を判断する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記移動局から送信される移動手段の利用に関する情報に基づいて、当該移動局の移動手段を判断する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記特定した移動経路と前記移動局の移動速度とに基づいて、前記所定期間後の位置を予測する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記移動局からの情報に基づいて、前記所定期間後の位置を予測する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記所定期間後の位置に応じて、前記複数の基地局のうち協調して移動局と無線通信を行なうための基地局を順次選択する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記所定期間後の位置に応じたタイミングで、前記複数の基地局の各々に対して、協調した前記移動局との間の無線通信に関する開始指示および終了指示を与える、請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
移動局と、
前記移動局と無線通信可能な複数の基地局と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記移動局の所定期間後の位置を予測するとともに、当該予測した位置を前記複数の基地局へ通知し、
前記複数の基地局は、前記制御装置から通知された前記所定期間後の位置に基づいて、2つ以上の前記基地局が協調して前記移動局との間で無線通信を行なう、通信システム。
【請求項11】
移動局と、
前記移動局と無線通信可能な複数の基地局と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記移動局の移動経路を特定するとともに、当該特定した移動経路に基づいて所定期間後の位置を予測し、
前記複数の基地局は、前記制御装置において予測される前記所定期間後の位置に応じて、指向性を適応的に変更して前記移動局と無線通信を行なう、通信システム。
【請求項12】
移動局と、前記移動局と無線通信可能な複数の基地局とを含む通信システムに適合される制御装置であって、
前記移動局の現在位置を取得する手段と、
前記移動局の所定期間後の位置を予測する手段と、
前記予測した位置に基づいて、2つ以上の前記基地局が協調した前記移動局との間の無線通信を制御する手段とを備える、制御装置。
【請求項13】
移動局と、前記移動局と無線通信可能な複数の基地局とを含む通信システムにおける通信方法であって、
前記移動局の現在位置を取得するステップと、
前記移動局の所定期間後の位置を予測するステップと、
前記予測した位置に基づいて、2つ以上の前記基地局が協調した前記移動局との間の無線通信を制御するステップとを備える、通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−204971(P2012−204971A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66032(P2011−66032)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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