説明

通信システム、子局装置、及び、親局装置

【課題】子局装置の消費電力量の低減を図る。
【解決手段】親局装置と、端末装置から前記親局装置への上りフレームを中継する子局装置とを備え、前記子局装置は、前記上りフレームの量に応じて決められたスリープ時間を含むフレームを前記親局装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アクセスシステムに関し、特に、光ネットワーク装置がスリープ状態に移行する光アクセスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信網の高速及び広帯域化に対応するため、光ネットワークの導入が図られている。光ネットワークは、一つの局側光伝送路終端装置(Optical Line Terminal:以下OLTと称する)と、一つの宅内光伝送路終端装置(Optical Network Unit:以下ONUと称する)とが、光ファイバを介して通信を行うシステムである。
【0003】
また、光受動網システム(Passive Optical Network system:以下PONと称する)は、光ネットワークのうち、一つのOLTが光スプリッタを介して複数のONUとスター型のネットワークを形成する光ネットワークシステムである。PONの代表的な規格には、IEEE802.3によって標準化されたEPON(Ethernet PON(Ethernetは、登録商標))がある。
【0004】
また、ONUからOLTに向かって送信される上りフレームと、OLTからONUに向かって送信される下りフレームとは、波長分割多重(Wave Division Multiplexing:以下WDMと称する)によって多重される。下りフレームは、光ファイバによって接続された全てのONUに受信される。そして、ONUは、下りフレームのプリアンブル部に含まれる宛先情報を参照し、自分宛ではない下りフレームを破棄する。一方、PONにおける上りフレームは、時分割多重接続(Time Division Multiple Access:以下TDMAと称する)によって多重され、通信に用いられる。
【0005】
また、PONの通信速度は、64kbit/秒のような低速信号を扱うシステムから始まり、固定長のATMセルを最大約600Mbit/秒によって送受信するBPON(Broadband PON)若しくはEthernetの可変長パケットを最大約1Gbit/秒で送受信するEPON、又は、より高速な2.4Gbit/秒程度の信号を扱うGPON(Gigabit capable PON)の導入が進められている。更に今後は10Gbit/秒から40Gbit/秒の信号を用いることが可能な高速PONの実現が求められている。
【0006】
通信速度の向上に伴って、伝送路上の中継装置の消費電力は増大傾向にある。ONUは加入者宅に設置されるため、ネットワーク上に多数設置される。一方、ONUは利用する帯域を必要とする時間が、OLT及び上位スイッチ群と比較して短い。従ってONUは、通信しないでいる間、無駄な電力を使用しながら放置されていることになる。
【0007】
ONUが通信をしていない間の消費電力を抑えるため、ONUにTE(Terminal Equipment:以下TEと称する)が、LANケーブルを介して接続されていない場合、ONU内部の機能ブロックを低消費電力モードに設定することによって、消費電力を削減する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、ONUのスリープタイム要求をOLTが許可する手続きによって、ONUをスリープ状態に設定する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−113193号公報
【特許文献2】特開2009−260970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した近年の高速大容量通信の需要拡大に伴って、伝送路上のONUなどの中継装置の消費電力は増大傾向にあり、中継装置の低電力動作が求められている。しかしながら、前述した特許文献1に開示された技術は、TEがLANポートに接続されているかどうかという点のみを監視し、監視結果に従って、低消費電力モードに移行及び復帰する技術である。このため、特許文献1に開示された技術を用いた場合、一旦TEがONUに接続されるとONUの消費電力を低減させることができず、実際に通信が行われない状態であっても、ONUは、定常動作時の電力を消費することとなる。
【0011】
特許文献2に開示された技術は、ONUが非通信時にスリープ状態へ移行する手続きを追加することによって、TEが接続された状態において非通信時のONUの消費電力を抑えることが可能である。しかし、特許文献2に開示された技術において、所定のスリープ時間のみスリープ状態となるため、例えばスリープ時間を短く設定した場合に、ONUは頻繁にスリープ状態への移行及び復帰を繰り返すことになり、ONUの消費電力低減の効果は限定的となる。
【0012】
本発明は以上の点に鑑み、ONUが無通信状態下において、ONUとTEとの間のUNIリンク速度、及び、ONUに備わるキューバッファ容量に基づいて、可能な限り長いスリープ時間を選定する。そして、選定したスリープ時間において、スリープ状態に移行及び復帰することによって、特に、上り方向におけるエンドユーザトラフィックの消費電力量の無駄を低減することの可能なPONシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の代表的な一形態によると、親局装置と、端末装置から親局装置への上りフレームを中継する子局装置とを備え、子局装置は、上りフレームの量に応じて決められたスリープ時間を含むフレームを親局装置に送信することを特徴とする通信システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によると、子局装置は、上りフレームの量に応じて決められたスリープ時間を含むフレームを親局装置に送信することによって、子局装置の消費電力量の低減が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態のPONシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態のOLTの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態のONUの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態のONUがスリープ状態に移行及び復帰するための処理を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の実施形態のONUがスリープ状態へ移行及び復帰するためのONUの処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態のONUがスリープ状態へ移行及び復帰するためのOLTの処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態のONUのスリープ時間管理テーブルを示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態のOLTとONUとの間において送受信するスリープ制御信号のフレームフォーマットを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態のPONシステムを示すブロック図である。
【0018】
図1に示すPONシステムは、上位ネットワーク1、OLT2、光スプリッタ3、ONU4、及び端末装置6を備える。端末装置6は、ONU4に接続される。ONU4及び端末装置6は、それぞれ2台のみ図示しているが、光スプリッタ3を経由して同様に複数台のONU4がOLT2と接続されている。OLT2は上位ネットワーク1と光スプリッタ3とに接続される。
【0019】
図1に示すOLT2とONU4は、波長多重分割によって多重された光信号によって通信する。そのため、上り方向と下り方向との通信が衝突することはない。一方、複数のONU4は同じ送信波長によって通信するため、光送出が同じ時間に重ならないようにOLT2によって、各ONU4の光送出時間が制御される。
【0020】
図2は、本発明の実施形態のOLT2の構成を示すブロック図である。
【0021】
OLT2は、電気側送受信部201、電気・光変換部202、媒体アクセス制御部203、制御部204、キューバッファ部205A、及び、キューバッファ部205Bを備える。
【0022】
電気側送受信部201は、上位ネットワーク1に含まれる中継装置と、電気信号によって通信する装置である。電気・光変換部202は、ONU4と光信号によって通信するための装置である。電気・光変換部202は、光信号を電気信号へ変換し、電気信号を光信号に変換する。
【0023】
媒体アクセス制御部203は、OLT2が運用中に行われる、データ通信を制御するための装置である。制御部204は、OLT2内にある機能ブロックを制御する装置である。
【0024】
キューバッファ205A及びキューバッファ205Bは、キューA及びキューBのトラフィックデータを各々格納するためのバッファである。キューバッファ205A及びキューバッファ205Bは、OLT2の必要に応じて複数設定される。キューバッファ205A及びキューバッファ205Bを総称して、キューバッファ205と記載する。
【0025】
制御部204は、スリープ制御信号処理部207、スリープ状態管理テーブル208、スリープ復帰時刻管理テーブル209、及び、タイムカウンタ210を備える。
【0026】
スリープ制御信号処理部207は、ONU4をスリープ状態に移行及び復帰させるフレームを生成及び解析する。スリープ状態管理テーブル208は、ONU4がスリープ状態であるか否かを示す。
【0027】
スリープ復帰時刻管理テーブル209は、ONU4がスリープ状態から復帰する時刻を示す。タイムカウンタ210は、現在時刻を保持し、所定の時間をカウントする。
【0028】
スリープ制御信号処理部207は、OLT2に備わるプロセッサなどによって実行されるプログラムでもよい。また、スリープ状態管理テーブル208及びスリープ復帰時刻管理テーブル209は、OLT2に備わるメモリ等に格納されてもよい。
【0029】
ONU4から送られた上りフレームは、電気・光変換部202によって受信され、電気信号に変換される。そして、媒体アクセス制御部203は、ONU4から送られた上りフレームのMACアドレスと、プリアンブル部に付与された送信元ONU情報とを、経路情報として関連付けて保持する。そして、ONU4から送られた上りフレームを電気側送受信部201から上位ネットワーク1へ送信する。
【0030】
上位ネットワーク1から送られた下りフレームは、電気側送受信部201によって受信される。そして、媒体アクセス制御部203は、上位ネットワーク1から送られた下りフレームに付加されたMACアドレスを参照し、予め保持された経路情報に基づいて、宛先ONU4の識別情報を下りフレームのプリアンブル部に付与する。そして、電気・光変換部202は、上位ネットワーク1から送られた下りフレームを光信号に変換し、ONU4に送信する。
【0031】
媒体アクセス制御部203は、前述のようなスイッチング機能を備える。なお、本実施形態のONU4の識別情報には、例えば、IEEE802.3ahによって定められたLLID(Logical Link ID)を用いることができる。
【0032】
図3は、本発明の実施形態のONU4の構成を示すブロック図である。
【0033】
ONU4は、電気側送受信部401、電気・光変換部402、媒体アクセス制御部403、制御部404、及び、キューバッファ部405を備える。
【0034】
電気側送受信部401は、端末装置6と電気信号によって通信する装置である。電気・光変換部402は、OLT2と光信号によって通信するための装置である。電気・光変換部402は、光信号を電気信号へ変換し、電気信号を光信号に変換する。
【0035】
媒体アクセス制御部403は、ONU4が定常状態及びスリープ状態において、データ通信を制御する装置である。制御部404は、ONU内にある機能ブロックを制御する装置である。キューバッファ部405は、トラフィックデータを格納するためのバッファである。
【0036】
制御部404は、スリープ制御信号処理部406、スリープ状態制御部407、スリープ復帰時刻管理テーブル408、タイムカウンタ409、スリープ時間管理テーブル410、ONUリンク速度管理部411、及び、ONUバッファ量管理部412を備える。
【0037】
スリープ制御信号処理部406は、OLT2と送受信するスリープ制御信号を生成及び解析する。スリープ状態制御部407は、スリープ状態への移行及び復帰を制御する。
【0038】
スリープ復帰時刻管理テーブル408は、スリープ状態から復帰する時刻を保持する。タイムカウンタ409は、現在時刻を保持し、所定の時間をカウントする。
【0039】
スリープ時間管理テーブル410は、ONU4と端末装置6とのUNIリンク速度及びキューバッファ容量に基づいて、あらかじめ定められたテーブルである。ONUリンク速度管理部411は、電気側送受信部401と接続され、ONU4と端末装置6とのUNIリンク速度を監視する。ONUバッファ量管理部412は、キューバッファ部405と接続され、ONU4のキューバッファ容量を監視する。
【0040】
本発明におけるONU4のスリープ状態とは、電気・光変換部402に対する電力供給を停止させることによって、OLT2の電気・光変換部202との通信を中断させた状態である。また、スリープ状態において媒体アクセス制御部403は、電気側送受信部401において受信された上りフレームを、キューバッファ部405に蓄積する機能と制御部404によって実行される一部の機能のみを継続させ、他の機能を停止させる。
【0041】
また、スリープ状態においてスリープ状態制御部407は、スリープ復帰時刻管理テーブル408に基づいて、OLT2のスリープ制御信号処理部207によって指示されたスリープ復帰時間に、タイムカウンタ409が到達しているか否かを監視する。
【0042】
図4は、本発明の実施形態のONU4がスリープ状態に移行及び復帰するための処理を示すシーケンス図である。
【0043】
ONU4及びOLT2間で送受信されるスリープ制御信号には、スリープ時間要求信号11、スリープ許可信号12、スリープ状態要求信号13、スリープ復帰要求信号14、グラント信号15、及び、スリープ不許可信号16が含まれる。
【0044】
ONU4の定常状態においてスリープ状態制御部407は、制御部404から通知される上りフレーム及び下りフレームの通過情報を監視し、上りフレーム及び下りフレームが通過する度に、タイムカウンタ409を参照する。そして、タイムカウンタ409を参照することによって、上りフレーム及び下りフレームが通過していない非通信状態の時間を計測する。
【0045】
非通信状態で一定時間経過した場合、スリープ状態制御部407は、制御部404を介してスリープ制御信号処理部406にスリープ時間要求信号11(11−1)を生成させる。
【0046】
生成されたスリープ時間要求信号11−1には、ONU4の識別情報と、後述する方法によって取得されたスリープ時間と、スリープ時間要求信号11−1を生成した時点を示すタイムカウンタ409の値と、キューバッファ405に上りフレームが存在しないことを示す情報とが含まれる。
【0047】
キューバッファ405に上りフレームが存在しないことを示す情報には、例えば、IEEE802.3ahのMPCP(Multi Point−Control Protocol)によって定められたReportフレームによって送信されるものが挙げられる。
【0048】
電気・光変換部402は、スリープ状態制御部407の指示によって、スリープ時間要求信号11−1を送信する。OLT2の制御部204が、スリープ時間要求信号11−1を電気・光変換部402から受信した場合、スリープ制御信号処理部207は、スリープ時間要求信号11−1を解析する。
【0049】
スリープ制御信号処理部207が、スリープ時間要求信号11−1に含まれるONU4の識別情報に基づいて、スリープ時間要求信号11−1の送信元であるONU4を特定すると、制御部204は、キューバッファ205を参照し、特定されたONU4宛ての下りフレームが存在しているか否かを確認する。
【0050】
キューバッファ205に特定されたONU4宛ての下りフレームが存在しない場合、制御部204は、ONU4がスリープ状態に入ることを許可するために、スリープ制御信号処理部207にスリープ許可信号12(12−1)を生成させ、生成されたスリープ許可信号12−1を特定されたONU4に送る。また、特定されたONU4がスリープ状態である旨を、スリープ状態管理テーブル208に格納する。
【0051】
さらに制御部204は、スリープ許可信号12−1が生成された時点を示すタイムカウンタ210の値を取得する。そして、タイムカウンタ210から取得されたスリープ許可信号12−1を生成した時の値に、スリープ時間要求信号11−1に含まれたスリープ時間を加算することによって、スリープ復帰時刻におけるタイムカウンタの値を算出する。算出されたスリープ復帰時刻を、スリープ復帰時刻管理テーブル209に格納する。
【0052】
さらに制御部204は、スリープ状態から復帰する時点を示すONU4のタイムカウンタ409の値を算出し、スリープ復帰時刻管理テーブル209に格納する。なお、OLT2のタイムカウンタ210とONU4のタイムカウンタ409とが、予め同期されている場合、スリープ許可信号12−1が生成された時点を示すタイムカウンタ210の値にスリープ復帰時刻を加算することによって、スリープ復帰時点のONU4のタイムカウンタ409の値を算出してもよい。
【0053】
生成されたスリープ許可信号12−1には、スリープ状態に移行するONU4の識別情報と、ONU4がスリープ状態から復帰する時点(スリープ復帰時刻)を示すONU4のタイムカウンタ409の値が含まれる。
【0054】
制御部404は、スリープ許可信号12−1を電気・光変換部202から受信した場合、スリープ制御信号処理部406によって、スリープ許可信号12−1を解析させる。OLT2の制御部204が、ONU4がスリープ状態に移行することを許可されたことを特定した場合、制御部404は、スリープ許可信号12−1に含まれたスリープ復帰時刻を示すタイムカウンタ409の値をスリープ状態制御部407に格納する。
【0055】
スリープ復帰時刻を格納した後、制御部404は、スリープ状態に移行する。すなわち、制御部404は、電気・光変換部402への電力供給を停止するように制御する。さらに、電気側送受信部401によって受信された端末装置6からの上りフレームを、電気側送受信部401からキューバッファ405に転送する状態に移行させ、その後、この転送機能とスリープ状態復帰時の手続きに必要な機能とを除いて動作を停止する。
【0056】
ONU4がスリープ状態にある間、端末装置6から送られた上りフレームは、キューバッファ405に蓄積される。またスリープ状態制御部407は、タイムカウンタ409が前述したスリープ状態復帰時刻になるまで、タイムカウンタ409の値を監視する。
【0057】
タイムカウンタ409がスリープ状態復帰時刻になった場合、スリープ状態制御部407は、制御部404を定常動作状態に移行させる。定常動作状態となった制御部404は、電気・光変換部402への電力供給を再開するように制御する。これによって、電気・光変換部402が動作を開始し、ONU4の電気・光変換部402とOLT2の電気・光変換部202との通信は確立される。
【0058】
OLT2の電気・光変換部202とONU4の電気・光変換部402との通信が確立された場合、OLT2の制御部204は、ONU4がさらにスリープ状態に移行するか否かをONU4に問い合わせるため、スリープ状態要求信号13(13−1)を生成する。そして、制御部204は、スリープ状態にあったONU4の電気・光変換部402へ、電気・光変換部202からスリープ状態要求信号13−1を送信させる。
【0059】
ONU4の制御部404は、電気・光変換部202からスリープ状態要求信号13−1を受信した場合、キューバッファ405を参照し、スリープ状態中に受信した上りフレームがあるか否かを判定する。スリープ状態においても継続して上りフレームが存在しない場合、制御部404は、再びスリープ状態に移行するか否かをOLT2に問い合わせるため、前述のスリープ時間要求信号11−1を生成するための手順と同じ手順によって、スリープ時間要求信号11−2を生成する。そして、生成されたスリープ時間要求信号11−2を、OLT2の電気・光変換部202に送信する。
【0060】
制御部204は、スリープ時間要求信号11−2を電気・光変換部202から受信した場合、スリープ時間要求信号11−2を送信したONU4宛ての下りフレームがあるか否かを判定する。そして、スリープ時間要求信号11−2を送信したONU4宛ての下りフレームが存在しない場合、制御部204は、前述のスリープ許可信号12−1を生成するための手順と同じ手順によって、スリープ許可信号12−2を生成する。そして、スリープ許可信号12−2をONU4に送ることによって、ONU4をスリープ状態に移行させる。
【0061】
ONU4の電気側送受信部401に送信される上りフレーム、又は、OLT2の電気側送受信部201に送信される下りフレームの、少なくとも一方が存在しない場合、前述のスリープ状態要求信号13、スリープ時間要求11、及び、スリープ許可信号12の手順が繰り返され、ONU4は、断続的にスリープ状態に移行する。
【0062】
スリープ状態要求信号13−2を受信した場合、制御部404は、キューバッファ405を参照し、端末装置6から送信された上りフレームが存在するか否かを判定する。キューバッファ405に上りフレームが存在する場合、制御部404は、スリープ状態に移行する必要がない旨をOLT2に送るため、スリープ制御信号処理部406にスリープ復帰要求信号14を生成させる。そして、電気・光変換部402によってスリープ復帰要求信号14をOLT2に送信する。
【0063】
スリープ復帰要求信号14には、ONU4のONU識別信号と、キューバッファ405に上りフレームが存在することを示す情報とが含まれる。キューバッファ405に上りフレームが存在することを示す情報には、例えば、IEEE802.3ahのMPCPによって定められたReportフレームによって送信される情報を用いることができる。
【0064】
制御部204は、電気・光変換部402からスリープ復帰要求信号14を受信した場合、スリープ制御信号処理部207に受信したスリープ復帰要求信号14を解析させる。そして、制御部204は、解析結果に基づいて、ONU4を通過するべき上りフレームがONU4に存在する旨を取得した後、スリープ状態管理テーブル208にONU4が定常状態であることを示す情報を格納する。さらに、スリープ復帰要求信号14を送ったONU4のスリープ復帰時刻情報を、スリープ復帰時刻管理テーブル209から削除する。
【0065】
前述の手続きが終わった後、制御部204は、ONU4が定常動作している際に定められた手順によって、制御部404に上り信号送信タイミング信号15(以下グラント信号15と称する)を通知する。制御部404は、グラント信号15を受信した場合、キューバッファ405に蓄積された上りフレームを、電気・光変換部402から電気・光変換部202へ定常動作時と同じく送信する。
【0066】
前述のスリープ時間要求信号11を受信した場合、制御部204は、キューバッファ205を参照してONU4宛ての下りフレームが存在するか否かを判定する。そして、ONU4宛ての下りフレームが存在する場合、制御部204は、ONU4をスリープ状態に移行させないため、スリープ制御信号処理部207にスリープ不許可信号16を生成させる。
【0067】
スリープ不許可信号16には、スリープ状態から定常状態に復帰するONU4を識別する情報が含まれる。
【0068】
制御部204は、スリープ不許可信号16を生成させると同時に、スリープ状態管理テーブル208にONU4が定常状態であることを示す情報を格納する。さらにスリープ復帰時刻管理テーブル209からONU4のスリープ復帰時刻情報を削除する。以上の手続きが終わった後、制御部204は、電気・光変換部202からスリープ不許可信号16を送信する。
【0069】
制御部404は、電気・光変換部202からスリープ不許可信号16を受信した場合、スリープ制御信号処理部406にスリープ不許可信号16を解析させる。制御部404は、解析結果に基づいて、ONU4を通過するべき下りフレームがOLT2に存在することを特定した場合、定常動作時に定められた手続きによって、電気・光変換部202から送信された下りフレームを電気・光変換部402によって受信し、電気側送受信部401から端末装置6へ送信する。
【0070】
図5は、本発明の実施形態のONU4がスリープ状態へ移行及び復帰するためのONU4の処理を示すフローチャートである。
【0071】
図5に示すフローチャートの最初のプロセス(開始)において、ONU4は、定常状態である。定常状態とは、本実施形態のPONシステムがEPONである場合、OLT2の電気・光変換部202とONU4の電気・光変換部402とのリンクが確立し、OLT2にONU4の登録が完了し、また、OLT2とONU4との導通が可能な状態である。図5に示すフローチャートが始まる状態において、ONU4は、スリープ状態に移行していない。
【0072】
図5に示す処理が開始された後、ONU4は、ONUリンク速度管理部411、及び、ONUバッファ量管理部412によって、定期的に自らのUNIリンク速度とキューバッファ容量とを監視する(S21及びS22)。それぞれの値を監視することによって後述するスリープ時間管理テーブル410の中からスリープ時間を決定する。
【0073】
ONU4の定常状態において、ONU4のスリープ状態制御部407は、ONU4の非通信状態が一定時間を経過したか否かを判定する(S23)。非通信状態が一定時間経過しておらず、OLT2とONU4とが通信している場合、ONU4は、ステップ21に戻る。ONU4は、定常状態において、S21〜S23の処理を繰り返す。
【0074】
S23において、ONU4の非通信状態が一定時間を経過した場合、スリープ状態制御部407は、制御部404を介してスリープ時間管理テーブル410を参照し、最大スリープ時間を決定する(S24)。S24においてスリープ状態制御部407は、S21及びS22において取得されたUNIリンク速度とキューバッファ容量とに基づいて、最大スリープ時間を決定する。スリープ時間管理テーブル410の詳細は、図7に後述する。
【0075】
その後、制御部404は、スリープ制御信号処理部406にスリープ時間要求信号11を生成させ、電気・光変換部402から電気・光変換部202へ、生成されたスリープ時間要求信号11を送信させる(S25)。S25においてスリープ時間要求信号11を送信すると、スリープ状態制御部407は、タイムカウンタ409の値を参照し、OLT2から信号を受信するためのカウントを開始する。
【0076】
スリープ状態制御部407は、ONU4のタイムカウンタ409のタイマが、所定の応答時間をカウントするまで、OLT2から信号が送られるか否かを判定する(S26)。ONU4のタイムカウンタ409のタイマが所定の応答時間をカウントし、信号が送られない場合、ONU4は、スリープ状態への移行が拒否されたと判定し、定常状態へ戻る。すなわち、S21及びS22に戻る。
【0077】
なお、S26から定常状態となった際、スリープ状態制御部407は、ONU4の非通信状態のタイムカウントを再び開始し、上りフレーム又は下りフレームが通過していない時間を測定する。そして、S23において、上りフレーム又は下りフレームが通過しない非通信状態が一定時間経過した場合、スリープ状態制御部407は、前述のS24及びS25の手順によって、スリープ時間管理テーブル410を参照し、最大スリープ時間を決定し、スリープ時間要求信号11を送信させる。これらの処理は、OLT2から信号を受信するまで繰り返し実施される。
【0078】
電気・光変換部402が、S26において、OLT2から信号を受信した場合、電気・光変換部402は、受信した信号を媒体アクセス制御部403へ送信する。媒体アクセス制御部403は、受信した信号が自らのONU4宛か否かを判定する(S27)。
【0079】
S27において、信号が自らのONU4以外の宛先であると媒体アクセス制御部403によって判定された場合、スリープ状態制御部407は、受信した信号を廃棄する(S28)。そして、スリープ状態制御部407は、ONU4のタイムカウンタ409を参照し、ONU4のタイムカウンタ409のタイマが、所定の応答時間をカウントしているか否かを判定する(S29)。
【0080】
S29において、ONU4のタイムカウンタ409のタイマが、所定の応答時間をカウントしていないと判定した場合、自らのONU4宛ての信号をさらに待つため、スリープ状態制御部407はS26に戻る。S29において、ONU4のタイムカウンタ409のタイマが、所定の応答時間をカウントしたと判定した場合、ONU4はS21及びS22に戻り、定常状態に戻る。
【0081】
なお、ONU4がS29の後、定常状態となった際、スリープ状態制御部407は、ONU4の非通信状態のタイムカウントを再度開始し、前述のS21〜S25と同じ手順によって繰り返しスリープ状態への移行を、OLT2へ要求する。
【0082】
S27において、媒体アクセス制御部403がOLT2から自らのONU4宛のスリープ許可信号12を受信したと判定した場合、制御部404は、スリープ制御信号処理部406に、受信された信号を解析させる。そして、制御部404は、スリープ制御信号処理部406によって解析された結果に基づいて、受信した信号がスリープ許可信号12であるか否かを判定する(S30)。
【0083】
S30において、受信した信号がスリープ許可信号12ではないと判定された場合、ONU4は、定常状態に戻る。
【0084】
S30において、受信した信号がスリープ許可信号12であると判定された場合、OLT2の制御部204が、ONU4がスリープ状態へ移行することを許可したため、ONU4の制御部404は、スリープ復帰時刻管理テーブル408に、スリープ状態復帰時刻を格納する。スリープ状態復帰時刻は、前述のとおり、スリープ許可信号12に含まれる。
【0085】
制御部404は、スリープ状態復帰時刻を格納した後、電気・光変換部402に対する電力供給を停止させ、スリープ状態へ移行する(S31)。そして、スリープ状態制御部407は、制御部404を介して、タイムカウンタ409を開始する(S32)。
【0086】
その後、ONU4がスリープ状態にある間、上りフレームはキューバッファ405に蓄積される。またスリープ状態制御部407は、タイムカウンタ409が前述したスリープ状態復帰時刻になるまでタイムカウンタ409の値を監視する(S33)。
【0087】
タイムカウンタ409がスリープ状態復帰時刻を同じ値になった場合、スリープ状態制御部407は、制御部404を定常状態に移行させる(S34)。具体的には、制御部404は、スリープ状態から定常状態になった場合、電気・光変換部402への電力供給を再開させる。そして、これによって、OLT2の電気・光変換部202との通信が確立される。
【0088】
S34において、OLT2の電気・光変換部202とONU4の電気・光変換部402との通信が確立された後、ONU4の制御部404は、OLT2からスリープ状態要求信号13を受信するためのカウントを開始する。そして、タイムカウンタ409のタイマが所定時間をカウントする前に、スリープ状態要求信号13をOLT2から受信するか否かを判定する(S35)。
【0089】
S35において、OLT2からスリープ状態要求信号13を受信する前に、タイムカウンタ409のタイマが、所定時間をカウントした場合、OLT2からスリープ状態への移行が許可されないため、ONU4はS21に戻り、定常状態へ復帰する。
【0090】
S35において、タイムカウンタ409のタイマが所定時間をカウントする前に、OLT2からスリープ状態要求信号13を受信した場合、ONU4の制御部404は、受信したスリープ状態要求信号13をスリープ制御信号処理部406によって解析させる。そして、解析結果によって、スリープ状態要求信号13が、さらにスリープ状態に移行するか否かをOLT2に返答すべき旨であることを認識する。
【0091】
ONU4の制御部404は、さらにスリープ状態に移行するか否かを判定するため、キューバッファ405を参照し、スリープ状態中に受信した上りフレームが存在するか否かを判定する(S36)。
【0092】
S36において上りフレームが存在しないと判定された場合、さらにスリープ状態に移行するため、制御部404は、S24に戻り、スリープ時間要求信号11を生成する。そして、OLT2に生成されたスリープ時間要求信号11を送信する(S24、S25)。さらに、スリープ状態へ移行する(S26〜S33)。
【0093】
なお、制御部404は、S36からS24に戻る際にUNIリンク速度及びバッファ容量を取得し、S24において改めてスリープ時間を決定してもよい。
【0094】
S36において上りフレームが存在すると判定された場合、スリープ状態から定常状態に戻るため、制御部404は、スリープ制御信号処理部406にスリープ復帰要求信号14を生成させ、電気・光変換部402を介してOLT2に送信する(S37)。OLT2は、スリープ復帰要求信号14を受信した場合、グラント信号15を生成し、生成されたグラント信号15をONU4の電気・光変換部402へ送信する。ONU4は、グラント信号15を受信した場合(S38)、定常状態へ戻る。
【0095】
図6は、本発明の実施形態のONU4がスリープ状態へ移行及び復帰するためのOLT2の処理を示すフローチャートである。
【0096】
OLT2の制御部204は、定常状態において、ONU4からスリープ時間要求信号11を受信した場合(S41)、スリープ時間要求信号11を送信したONU4宛ての下りフレームが、キューバッファ205にあるか否かを判定する(S42)。
【0097】
ONU4宛ての下りフレームがキューバッファ205にある場合、制御部204は、ONU4をスリープ状態へ移行させないため、スリープ制御信号処理部207にスリープ不許可信号16を生成させる。そして、生成されたスリープ不許可信号16を、電気・光変換部202によって、スリープ時間要求信号11を送信したONU4へスリープ不許可信号16を送信させる(S43)。そしてOLT2は、定常状態に戻り、スリープ時間要求信号11を待つ。
【0098】
S42において、ONU4宛ての下りフレームが、キューバッファ205にない場合、制御部204は、ONU4をスリープ状態へ移行させるため、スリープ制御信号処理部207にスリープ許可信号12を生成させる。そして、スリープ時間要求信号11を送信したONU4に、生成されたスリープ許可信号12を送る(S44)。
【0099】
そして、スリープ許可信号12が送られたONU4がスリープ状態である旨を、スリープ状態管理テーブル208に格納する(S45)。また、S45においてOLT2は、図4において前述したとおり、スリープ復帰時刻をスリープ復帰時刻管理テーブル209に格納する。
【0100】
さらに制御部204は、タイムカウンタ210のタイマを開始し(S46)、スリープ時間が経過するまで待つ。
【0101】
その後、タイムカウンタ210のタイマがスリープ時間をカウントした後、制御部204は、ONU4がさらにスリープ状態に移行するか否かをONU4に問い合わせるため、スリープ制御信号処理部207にスリープ状態要求信号13を生成させる。そして、生成されたスリープ状態要求信号13を、スリープ状態だったONU4に送る(S47)。
【0102】
その後制御部204は、ONU4からスリープ復帰要求信号14が送られるか否かを判定する(S48)。ONU4からスリープ復帰要求信号14が送信されない場合、ONU4はスリープ状態に移行しないため、OLT2は、スリープ時間要求信号11を受信する。そして、OLT2は、S42に戻る。
【0103】
S48においてONU4からスリープ復帰要求信号14が送られた場合、制御部204は、ONU4へグラント信号15を送り(S50)、定常状態に戻る。
【0104】
図7は、本発明の実施形態のONU4のスリープ時間管理テーブル410を示す説明図である。
【0105】
図7に示すスリープ時間管理テーブル410は、ONU4のUNIリンク速度、及びキューバッファ容量に基づいて、ONU4の最大スリープ時間を保持する。スリープ時間管理テーブル410の値は、あらかじめ管理者等によって格納される。
【0106】
バッファ容量が大きい程、ONU4が保持できる上りフレームの量が増えるため、スリープ時間管理テーブル410の最大スリープ時間には、長い時間が設定される。一方、UNIリンク速度が速いほど、ONU4が受信する単位時間あたりの上りフレームの量が増え、キューバッファ405に蓄積された容量が上限に達するまでの時間も早いため、スリープ時間管理テーブル410の最大スリープ時間には、短い時間が設定される。
【0107】
例えば、ONU4の電気側送受信部401のUNIリンク速度が1GBit/sであり、キューバッファ部405の容量が1GBitである場合、本実施形態のONU4は、1秒間の最大スリープ時間を持つ。そして、ONU4の電気側送受信部401のUNIリンク速度が100MBit/sである場合、最大スリープ時間が10秒である。
【0108】
本実施形態のスリープ時間管理テーブル410は、トラフィックの使用効率が100%である理想的なネットワークにおける最大スリープ時間が格納される。トラフィックの使用効率によって、最大スリープ時間の値が定められてよい。
【0109】
また、同様にONU4のUNIリンク速度が1Gbit/sであり、キューバッファ405が100Mbitである場合、最大スリープ時間は0.1秒であり、キューバッファ405が10Mbitの場合、最大スリープ時間は0.01秒である。
【0110】
図8は、本発明の実施形態のOLT2とONU4との間において送受信するスリープ制御信号のフレームフォーマットを示す説明図である。
【0111】
本実施形態のスリープ制御信号に用いられるフレームフォーマットには、ITU−TのY.1731によって規定されたEthernet OAM(Operations Administration Maintenance:以下イーサネットOAM(イーサネットは、登録商標)と称する)が使用される。
【0112】
イーサネットOAMによるフレームフォーマットのPDU(Protocol Data Unit:以下PDUと称する)は、MEL(Maintenance Entity Group Level)、Version、OpCode(Operation Code)、Flags、TVL(Type、Length、Value)のフィールドを含むように規定されている。
【0113】
本実施形態のスリープ制御信号は、VSM(Vendor−Specific OAM Message:以下VSMと称する)フレームのOptional VSM Dataフィールドによって、送信および受信される。VSMフィールドは、各ベンダが独自に使用することのできるフィールドである。
【0114】
VSMフレームにおけるPDUは、前述したフィールドの他にOUI(Organizationally Unique Identifier)フィールドおよびSubOpCodeフィールドをベンダによって定義することによって、ベンダ固有の情報をフィールドに保持することができる。
【0115】
スリープ制御信号を送受信するために、本実施形態において、Optional VSM Dataフィールド中に、Sleep Time Identifier(以下STIと称する)とRequest Sleep Time(以下RSTと称する)フィールドとが設けられる。STIフィールドは、送受信されるスリープ制御信号が、スリープ時間要求信号11、スリープ許可信号12、スリープ状態要求信号13、スリープ復帰要求信号14、グラント信号15、又は、スリープ不許可信号16であるかを識別する識別子を含む。RSTフィールドは、ONU4の最大スリープ時間を含み、スリープ時間管理テーブル410によって規定された値が格納される。
【0116】
本実施形態によれば、ONU4が可能な限り長い最大スリープ時間を選択し、スリープ状態となることによって、ONU4の消費電力の低減、及び、使用効率の向上を達成することができる。ONU4は、自らのUNIリンク速度とキューバッファ容量とに基づいたスリープ時間管理テーブル410を備え、最大スリープ時間を選択する。
【0117】
特許請求の範囲に記載した以外の本発明の観点の代表的なものとして、次のものがあげられる。
【0118】
(1)他のネットワークと接続される光回線装置と、前記光回線装置及び複数のユーザ端末に接続される光ネットワーク装置とを備える光アクセスシステムであって、前記光ネットワーク装置は、前記光ネットワーク装置に備わるバッファのバッファ容量、及び、前記光ネットワーク装置と前記ユーザ端末との間のリンク速度を取得し、前記ユーザ端末及び前記光回線装置のいずれからも、所定時間、通信フレームが送信されない場合、前記取得されたバッファ容量と、前記取得されたリンク速度とに基づいて、スリープ時間を決定し、前記決定されたスリープ時間において、スリープ状態であることを特徴とする光アクセスシステム。
【0119】
(1)の構成によって、ONUが自らのリンク速度とキューバッファ容量とから可能な限り長いスリープ状態を選択することによって、非通信時におけるONUの消費電力量の低減が実現できる。
【0120】
(2)前記光ネットワーク装置は、前記決定されたスリープ時間を、前記光回線装置に送信し、前記光回線装置は、前記決定されたスリープ時間を受信した後、前記スリープ状態に移行することを許可する旨を、前記光ネットワーク装置に送信し、前記光ネットワーク装置は、前記スリープ状態に移行することを許可する旨を前記光回線装置から受信した後、前記スリープ状態に移行することを特徴とする第1の観点に記載の光アクセスシステム。
【0121】
(3)前記光ネットワーク装置は、前記スリープ状態に移行してから前記決定されたスリープ時間が経過した後、前記ユーザ端末から前記光ネットワーク装置へ送信される前記通信フレームが前記光ネットワーク装置のバッファに蓄積されていないと判定した場合、前記決定されたスリープ時間を、前記光回線装置に送信し、前記光回線装置は、前記光回線装置から前記ユーザ端末へ送る前記通信フレームを蓄積するバッファを備え、前記決定されたスリープ時間を受信した後、前記光回線装置に備わるバッファに前記通信フレームが蓄積されていないと判定した場合、前記スリープ状態に移行することを許可する旨を、前記光ネットワーク装置に送信することを特徴とする第2の観点に記載の光アクセスシステムである。
【0122】
(4)前記光ネットワーク装置は、前記決定されたスリープ時間が経過した後、前記ユーザ端末から前記光ネットワーク装置へ送信される前記通信フレームが前記光ネットワーク装置に備わるバッファに蓄積されていると判定した場合、前記スリープ状態から復帰する旨を、前記光回線装置に送信することを特徴とする第3の観点に記載の光アクセスシステム。
【0123】
(5)前記スリープ時間は、前記取得されたバッファ容量が大きい程長く、前記取得されたリンク速度が速い程短いことを特徴とする第1の観点に記載の光アクセスシステム。
【0124】
(6)他のネットワークと接続される光回線装置と接続され、複数のユーザ端末と接続される光ネットワーク装置であって、前記光ネットワーク装置は、前記光ネットワーク装置に備わるバッファのバッファ容量、及び、前記光ネットワーク装置と前記ユーザ端末との間のリンク速度を取得し、前記ユーザ端末及び前記光回線装置のいずれからも、所定時間、通信フレームが送信されない場合、前記取得されたバッファ容量と、前記取得されたリンク速度とに基づいて、スリープ時間を決定し、前記決定されたスリープ時間において、スリープ状態であることを特徴とする光ネットワーク装置。
【0125】
(7)前記光ネットワーク装置は、前記決定されたスリープ時間を前記光回線装置に送信し、前記スリープ状態に移行することを許可する旨を、前記光回線装置から受信した後、前記スリープ状態に移行し、前記決定されたスリープ時間が経過した後、前記ユーザ端末から前記光ネットワーク装置へ送信される前記通信フレームが前記光ネットワーク装置のバッファに蓄積されていると判定した場合、前記スリープ状態から復帰する旨を、前記光回線装置に送信することを特徴とする第6の観点に記載の光ネットワーク装置。
【0126】
(8)前記スリープ時間は、前記取得されたバッファ容量が大きい程長く、前記取得されたリンク速度が速い程短いことを特徴とする第6の観点に記載の光ネットワーク装置。
【0127】
(9)複数のユーザ端末と接続される光ネットワーク装置と接続され、他のネットワークと接続される光回線装置であって、前記光回線装置は、前記光回線装置から前記ユーザ端末へ送る前記通信フレームを蓄積するバッファを備え、前記光ネットワーク装置によって決定されたスリープ時間を、前記光ネットワーク装置から受信し、前記光回線装置に備わるバッファに前記通信フレームが蓄積されていないと判定した場合、前記スリープ状態に移行することを許可する旨を、前記光ネットワーク装置に送信することを特徴とする光回線装置。
【0128】
(10)前記光回線装置は、前記スリープ状態に移行することを許可する旨を前記光ネットワーク装置に送信してから、前記スリープ時間が経過した後、前記ユーザ端末から前記光ネットワーク装置へ前記通信フレームが送信されておらず、かつ、前記光回線装置から前記光ネットワーク装置へ送信する通信フレームがない場合、前記スリープ状態に移行することを許可する旨を、前記光ネットワーク装置に送信することを特徴とする第9の観点に記載の光回線装置。
【符号の説明】
【0129】
1 上位ネットワーク
2 OLT
3 光スプリッタ
4 ONU
6 端末装置
201 電気側送受信部
202 電気・光変換部
203 媒体アクセス制御部
204 制御部
205、205A、205B キューバッファ部
207 スリープ制御信号処理部
208 スリープ状態管理テーブル
209 スリープ復帰時刻管理テーブル
210 タイムカウンタ
401 電気側送受信部
402 電気・光変換部
403 媒体アクセス制御部
404 制御部
405 キューバッファ部
406 スリープ制御信号処理部
407 スリープ状態制御部
408 スリープ復帰時刻管理テーブル
409 タイムカウンタ
410 スリープ時間管理テーブル
411 ONUリンク速度管理部
412 ONUバッファ量管理部
11 スリープ時間要求信号
12 スリープ許可信号
13 スリープ状態要求信号
14 スリープ復帰要求信号
15 グラント信号
16 スリープ不許可信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局装置と、
端末装置から前記親局装置への上りフレームを中継する子局装置とを備え、
前記子局装置は、
前記上りフレームの量に応じて決められたスリープ時間を含むフレームを前記親局装置に送信する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記子局装置は、
自装置と前記端末装置との間のリンク速度および前記上りフレームの量に基づいて、前記スリープ時間を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記上りフレームの量は、
前記子局装置に備わるバッファのバッファ容量である
ことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記子局装置は、
前記スリープ時間において、スリープ状態である
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項5】
前記親局装置は、
前記スリープ時間を含むフレームを受信すると、前記スリープ状態への移行を許可するフレームを前記子局装置へ送信し、
前記子局装置は、
前記スリープ状態への移行を許可するフレームを受信すると、前記スリープ状態へ移行する
ことを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信システムは、
光通信を行う光アクセスシステムであり、
前記親局装置は、
前記光アクセスシステムを構成するOLT(Optical Line Terminal)であり、
前記子局装置は、
前記OLTと前記光通信を行うONU(Optical Network Unit)である
ことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
親局装置とフレームを送受信する送受信部と、
前記送受信部に対して前記親局装置への上りフレームの量に応じて決められたスリープ時間を含むフレームを前記親局装置へ送信させる制御部と
を備えることを特徴とする子局装置。
【請求項8】
前記親局装置と光アクセスシステムを構成し、
前記親局装置へフレームを送信する端末装置から前記フレームを受信する受信部と、
前記受信部を介して受信した前記フレームを蓄積するバッファ部と
を備え、
前記上りフレームの量は、前記バッファ部のバッファ容量であり、
前記制御部は、
前記バッファ容量及び前記受信部と前記端末装置との間のリンク速度に基づいて前記スリープ時間を決定し、
前記スリープ時間において、自装置をスリープ状態とする
ことを特徴とする請求項7に記載の子局装置。
【請求項9】
子局装置とフレームを送受信する送受信部と、
前記送受信部に対して自装置への上りフレームの量に応じて決められたスリープ時間を含む第1のフレームを前記子局装置へ送信させる制御部と
を備えることを特徴とする親局装置。
【請求項10】
前記子局装置と光アクセスシステムを構成し、
前記第1のフレームは、前記子局装置が前記スリープ時間においてスリープ状態となることを許可する情報をさらに含み、
前記子局装置へ送信するフレームを蓄積するバッファ部
を備え、
前記制御部は、
前記送受信部を介して前記子局装置から自装置へのフレームが存在しないことを示す情報と前記スリープ時間とを含む第2のフレームを受信すると、前記バッファ部に前記子局装置へ送信するフレームが蓄積されているか否か判定し、蓄積されていないと判定した場合に、前記送受信部に対して前記第1のフレームを送信させる
ことを特徴とする請求項9に記載の親局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−51715(P2013−51715A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232710(P2012−232710)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2010−129688(P2010−129688)の分割
【原出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】