説明

通信システム及び通信方法

【課題】各機能ごとに個別の装置を設けることにより、各機能ごとに迅速かつ容易にメンテナンスを行うことができ、増設にかかるコストを削減することができる通信システムを提供すること。
【解決手段】上位装置との間で通信可能な処理を行う接続手段301,401と、前記接続手段301,401に接続されて、通信の際にパケットの経路選択を行う経路選択手段201,211と、前記経路選択手段201,211と前記端末とに接続されて、前記端末との間で通信可能な処理を行う通信手段303,313,403と、前記通信手段303,313,403を制御する制御手段302,402と、各手段の運用を制御する制御監視手段305,405と、これら各手段の間の同期を取る同期手段101とを備え、これら各手段が、それぞれ別個の装置として設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位装置と端末との間における通信を行う通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばIP通信などの発達により、高レートのEthernet(登録商標)などを利用して、移動体通信などの各種通信システムが利用されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
このような移動体通信システムなどにおいては、特定時期にトラフィックが増加することがあり、時には、システムのキャパシティを超える事態が生じる場合もある。
ここで、今日では、サービスの多様化などにより、より高レートの伝送が要請されてきている。
そのため、トラフィックが増加してきた場合、パフォーマンスの維持・向上を図るため、必要に応じて適宜増設する必要がある。
【特許文献1】特開2006−319972号公報
【特許文献1】特開2007−074097号公報
【特許文献1】特開2005−333625号公報
【特許文献1】特開2004−297621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような通信システムでは、基地局自体を増設する必要があり、コストが増大してしまうという問題がある。
また、装置端における通信網自体はベンダごとに共通であるものの、装置内部の個々の機能部についてはベンダ固有のものとなるため、特定ベンダ固有の問題が生じた場合、システムを復旧させるまでに多くの時間がかかってしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、各機能ごとに個別の装置を設けることにより、各機能ごとに迅速かつ容易にメンテナンスを行うことができ、増設にかかるコストを削減することができる通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、上位装置と端末との間における通信を行う通信システムであって、前記上位装置に接続されて、前記上位装置との間で通信可能な処理を行う接続手段と、前記接続手段に接続されて、通信の際にパケットの経路選択を行う経路選択手段と、前記経路選択手段と前記端末とに接続されて、前記端末との間で通信可能な処理を行う通信手段と、前記経路選択手段に接続されて、前記通信手段を制御する制御手段と、前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段及び前記制御手段の運用を制御する制御監視手段と、前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段、前記制御手段及び前記制御監視手段との間の同期を取る同期手段とを備え、前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段、前記制御手段、前記制御監視手段及び前記同期手段が、それぞれ別個の装置として設けられていることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、各機能ごとの装置に対して、個別に増設や修理などを行うことができ、増設などにかかるコストを削減することができる。
【0007】
また、本発明は、前記制御監視手段が、運用が可能であるか否かを示す運用情報を各装置から取得し、当該運用情報に基づいて、各装置間の負荷分散を行うことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、システム全体のパフォーマンスの維持・向上を図ることができる。
【0009】
また、本発明は、各装置をそれぞれ有する複数のローカル通信システムを備え、一のローカル通信システムに設けられる制御監視手段は、他のローカル通信システムに設けられる各装置から前記運用情報を取得し、当該運用情報に基づいて、前記一のローカル通信システムと前記他のローカル通信システムとにわたって、各装置間の負荷分散を行うことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ローカル通信システムにおいて問題が生じた場合であっても、システム全体としてのパフォーマンスの維持・向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明は、前記各装置のベンダ固有情報を暗号化する暗号化手段を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、ベンダ固有情報を保護することができ、セキュリティを向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、上位装置と端末との間における通信を行う通信システムにおける通信方法であって、前記上位装置に接続された接続手段が、前記上位装置との間で通信可能な処理を行う接続ステップと、前記接続手段に接続された経路選択手段が、通信の際にパケットの経路選択を行う経路選択ステップと、前記経路選択手段と前記端末とに接続された通信手段が、前記端末との間で通信可能な処理を行う通信ステップと、前記経路選択手段に接続された制御手段が、前記通信手段を制御する制御ステップと、制御監視手段が、前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段及び前記制御手段の運用を制御する制御監視ステップと、同期手段が、前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段、前記制御手段及び前記制御監視手段との間の同期を取る同期ステップとを含み、前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段、前記制御手段、前記制御監視手段及び前記同期手段が、それぞれ別個の装置であることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、各機能ごとの装置に対して、個別に増設や修理などを行うことができ、増設などにかかるコストを削減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各機能ごとに個別の装置を設けることにより、各機能ごとに迅速かつ容易にメンテナンスを行うことができ、増設にかかるコストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態における通信システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態としての通信システムを示したものである。
通信システム1は、一のローカル通信システムAと他のローカル通信システムBとがネットワークによって接続されてなるものである。
本実施形態においては、ローカル通信システムAとローカル通信システムBとは、同様の機能を備えているものとする。
ローカル通信システムAは、各機能ごとに独立の装置を備えている。すなわち、ローカル通信システムAは、メインルータ(経路選択手段)201と、サブルータ202と、伝送路装置(接続手段)301と、通信データ制御装置(制御手段)302,312と、通信データ処理装置(通信手段)303,313と、共通制御監視装置(制御監視手段)305と、無線装置304,314とを備えている。また、ローカル通信システムAは、伝送路網100と、同期装置(同期手段)101と、光スイッチ104と、ローカルネットワーク102と、同期ネットワーク103とを備えている。
なお、伝送路網100と、同期装置101と、光スイッチ104とは、ローカル通信システムBにも兼用されるものである。
【0017】
また、ローカル通信システムBは、各機能ごとに独立の装置を備えている。すなわち、ローカル通信システムBは、メインルータ(経路選択手段)211と、サブルータ212と、伝送路装置(接続手段)401と、通信データ制御装置(制御手段)402と、通信データ処理装置(通信手段)403と、無線装置404と、共通制御監視装置(制御監視手段)405とを備えている。また、ローカル通信システムBは、伝送路網100と、同期装置101と、光スイッチ104と、ローカルネットワーク112と、同期ネットワーク113とを備えている。
ローカル通信システムAとローカル通信システムBとは、互いに接続されており、同期装置101とメインルータ201とメインルータ211との間でネットワークが接続されている。
【0018】
伝送路網100は、通信事業者によって提供されるものである。すなわち、伝送路網100は、通信事業者が用意するATM回線又はIP回線の伝送路網であり、複数の通信システムが接続されており、上位装置との通信は伝送路網100経由で行われる。
同期装置101は、ローカル通信システムAとローカル通信システムBとに接続され、システム全体の同期及び通信システム間のネットワークをコントロールする。この同期装置101は、通信事業者が用意するIEEE1588による定期的な同期信号を、ローカル通信システムA及びローカル通信システムBに供給する機能を有する。また、同期装置101は、同期プロセスの開始時に、GPS等や外部からのシステムクロックをもとに各装置に同期信号と時刻情報とを送信し、各装置からの応答を受信後、最初の同期信号と応答のオフセットとの演算を行い、各装置にオフセット値を送信する機能を有する。さらに、同期装置101は、ローカルネットワーク102,112経由で、共通制御監視装置305及び共通制御監視装置405と通信を行い、トラフィック状態に基づいて、メインルータ201とメインルータ211との間のリンクの制御を行う機能を有する。
【0019】
ローカルネットワーク102,112は、高レートのEthernet(登録商標)のネットワークであり、ユーザーデータや制御データなどの通信データが流れる。
ローカルネットワーク102は、メインルータ201を介して、同期装置101、伝送路装置301、通信データ制御装置302,312、通信データ処理装置303,313、共通制御監視装置305と接続されるネットワークである。すなわち、ローカル通信システムA内のすべての通信データは、ローカルネットワーク102を介在してやりとりが行われる。
同様に、ローカルネットワーク112は、メインルータ211を介して、同期装置101、伝送路装置401、通信データ制御装置402、通信データ処理装置403、共通制御監視装置405と接続されるネットワークである。すなわち、ローカル通信システムB内のすべての通信データは、ローカルネットワーク112を介在してやりとりが行われる。
【0020】
同期ネットワーク103,113は、各装置間の同期をとるためのEthernet(登録商標)のネットワークである。
同期ネットワーク103は、同期装置101からの同期信号を、サブルータ202を介して、伝送路装置301、通信データ制御装置302,312、通信データ処理装置303,313、共通制御監視装置305に送信する。すなわち、ローカル通信システムA内の同期信号は、同期ネットワーク103介在して、各装置に送信される。
同様に、同期ネットワーク113は、同期装置101からの同期信号を、サブルータ212を介して、伝送路装置401、通信データ制御装置402、通信データ処理装置403、共通制御監視装置405に送信する。すなわち、ローカル通信システムB内の同期信号は、同期ネットワーク113介在して、各装置に送信される。
【0021】
メインルータ201,211は、装置間のローカルネットワークの中継を行うルータである。
メインルータ201は、ローカルネットワーク102の経路選択を行うルータであり、共通制御監視装置305からの経路選択の変更を制御する機能を有する。
同様に、メインルータ211は、ローカルネットワーク112の経路選択を行うルータであり、共通制御監視装置405からの経路選択の変更を制御する機能を有する。
サブルータ202,212は、装置間の同期ネットワーク103,113の中継を行うルータである。
サブルータ202は、同期ネットワーク103の経路選択を行うルータの機能を有する。
同様に、サブルータ212は、同期ネットワーク113の経路選択を行うルータの機能を有する。
【0022】
伝送路装置301,401は、伝送路網100に接続されて、伝送路の終端を行う。また、伝送路装置301,401は、上位装置とローカル通信システムA又はローカル通信システムBとの間をつなぐ装置である。これら伝送路装置301,401は、伝送路網100がATM回線であるか、またはIP回線であるかに関わらず、ローカルネットワーク102,112に対して、ローカルネットワーク102,112用のIPパケットや、伝送路網100用のパケットに変換してデータの送受信を行う。また、伝送路装置301,401は、ベンダの固有情報については、伝送路網100に対して、ベンダの固有情報である事がわかるようにパケット内に識別フィールドを設けて、伝送路網100に送出する。さらに、伝送路装置301,401は、伝送路網100がATM回線の場合、ATM網からクロックを抽出し、同期装置101のシステムクロックとして供給する機能を有する。
【0023】
通信データ制御装置302,312,402は、制御データによるユーザーデータの管理や無線回線の設定や解放を行う。これら通信データ制御装置302,312,402は、それぞれの伝送路装置301,401からの制御データをもとに、通信データ処理装置303,313,403に、無線回線の設定や解放等の通信データ処理制御を行う機能を有する。
通信データ処理装置303,313,403は、通信データのユーザーデータを変調及び復調、無線データへの変換と逆変換、更に符号化や、拡散及び逆拡散などの処理を行う。通信データ処理装置303,313,403は、伝送路装置301,401からのユーザーデータ、又は無線装置304,314,404からの無線データを、通信データ制御装置302,302,402からの制御をもとに変復調や符号化などの処理を行い通信する機能を有する。
【0024】
無線装置304,314,404は、無線データの送受信を行い、端末と無線通信を行う。無線装置304,314,404は、通信データ処理装置303,313,403からの無線データの無線周波数の電力を増幅して、無線で端末に送信する。また、端末からの無線周波数を必要な受信レベルまで増幅して、これを無線データにして、通信データ処理装置303,313,403に送信する機能を有する。
【0025】
共通制御監視装置305,405は、ローカルネットワーク102,112上のトラフィックの管理や障害情報の管理、各装置の運用を制御する。共通制御監視装置305,405は、それぞれローカル通信システムA又はローカル通信システムB内のトラフィック状態を管理し、ローカルネットワーク102,112の使用帯域を、通信データ制御装置302,302,402を介して制御を行い、それぞれのローカル通信システムA,B内での負荷分散やシステム間の負荷分散を行う。各ローカル通信システムA,B内の各装置の障害情報は、共通制御監視装置305,405に集められ、共通制御監視装置305,405は、それら障害情報を、各ローカルネットワーク102,112を経由して、伝送路装置301,401から伝送路網100を通じて上位装置に送信(報告)する。さらに、共通制御監視装置305,405は、各装置の運用可能状態を表す運用情報のみ読み込み、自律で負荷分散する機能を有する。さらに、共通制御監視装置305,405は、共通制御監視装置305と共通制御監視装置405との間をローカルネットワーク102,112を介して負荷情報のやりとりを行い、異なる通信システムにおける同一装置間(メインルータ201,211同士、サブルータ202,212同士、伝送路装置301,401同士、通信データ制御装置302,312,402同士、通信データ処理装置303,313,403同士の間)の制御を行う機能を有する。
【0026】
光スイッチ104は、光のデータの経路選択を行う。すなわち、通信データ処理装置303,313,403と、無線装置304,314,404とが、光スイッチ104を介して相互接続されている。
なお、上記各機器は、ベンダ固有の情報を暗号化する暗号化手段(不図示)をそれぞれ内蔵している。すなわち、IPの暗号化機能を利用することにより、ベンダ固有の情報が暗号化されて送受信される。
【0027】
次に、図2及び図3のフローチャートを参照して、通信システム1の動作について詳細に説明する。なお、ローカル通信システムBについては、各装置間のリンクが取れているものとする。
図2に示すように、サブルータ202は、接続されている各装置とのリンクを確立する(ステップS1)。そして、メインルータ201は、接続されている装置とのリンクを確立する(ステップS2)。さらに、同期装置101は、外部からのシステムクロックをもとに同期信号を生成し、ローカル通信システムA内の各装置と同期を取る。なお、ローカル通信システムB内の各装置についても、上記と同様にしてリンクが確立されて同期が取られる。
また、同期装置101は、ステップS2においてメインルータ201との間で確立された共通制御監視装置305について、共通制御監視装置305と共通制御監視装置405との間のリンクのみを無効とし、メインルータ201とメインルータ211との間の他のリンクが張られるようメインルータ201とメインルータ211とに、ローカルネットワーク102,112経由で設定を行う(ステップS3)。
【0028】
次いで、共通制御監視装置305は、ローカルネットワーク102内のトラフィック状態を確認するため、各装置に対して、状態報告の要求を送信する(ステップS4)。このとき、共通制御監視装置305と共通制御監視装置405との間のリンクは無効であるため、共通制御監視装置305がトラフィック状態を確認するのはローカル通信システムA内のみとなる。
そして、共通制御監視装置305は、各装置から返信されたローカルネットワーク102内のトラフィック状態から、ローカル通信システムA内の初期の負荷の分散を決定し、通信データ制御装置302,312に対して、制御対象とする通信データ処理装置303と通信データ処理装置313の範囲を通知する(ステップS5)。
【0029】
さらに、共通制御監視装置305は、ステップS5の初期の負荷分散の情報を伝送路装置301に通知する(ステップS6)。伝送路装置301は、共通制御監視装置305から通知された負荷分散の情報をもとに、伝送路網100の通信データをローカルネットワーク102上の各装置に送信する際の宛先を設定する(ステップS7)。そして、伝送路装置301は、伝送路網100から通信データを受信する(ステップS8)。
さらに、伝送路装置301は、伝送路網100がATM回線の場合には、伝送路網100からシステムクロックを抽出して同期装置101へ送信する(ステップS9)。そして、同期装置101は、伝送路装置301から出力されたシステムクロックに基づいて、ローカル通信システムAに対する各装置の同期を再度行う(ステップS10)。
なお、伝送路網100がIP回線の場合、ステップS9及びステップS10の処理は省略される。
【0030】
さらに、伝送路装置301は、ローカルネットワーク102用のIPパケットを生成する。このとき、伝送路装置301は、通信データが制御データの場合、SCTPのプロトコルでIPパケットを生成し、ユーザーデータの場合、転送速度を考慮してUDPのプロトコルでIPパケットを生成する。そして、伝送路装置301は、生成したIPパケットをメインルータ201へ送信する(ステップS11)。
そして、メインルータ201は、伝送路装置301からユーザーデータ用のIPパケットが送信されると、当該IPアドレスに基づき、該当装置へ経路選択する(ステップS12)。
一方、メインルータ201は、伝送路装置301から制御データ用のIPパケットが送信されると、そのIPパケットの制御データをIPアドレスに基づき、通信データ制御装置302,312に送信する。通信データ制御装置302,312は、メインルータ201経由で受信した制御データをもとに、通信データ処理装置303,313に対し制御を行う(ステップS13)。
【0031】
通信データ処理装置303,313は、通信データ制御装置302,312からの制御に基づき、メインルータ201経由で受信したユーザーデータの処理を行い、無線データに変換する(ステップS14)。そして、通信データ処理装置303,313は、無線データを無線装置304,314用の波長に設定し、光のインタフェースにて光スイッチ104へ送信する(ステップS15)。
光スイッチ104は、受信した無線データを、該当波長の無線装置304または無線装置314に経路選択を行い送信する(ステップS16)。
無線装置304,314は、光スイッチ104から送信された無線データから、無線周波数信号の増幅を行い、端末にユーザーデータを送信する(ステップS17)。
【0032】
さらに、端末からのユーザーデータを受信した無線装置304,314は、端末からの無線周波数を必要な受信レベルまで増幅して無線データにして、光スイッチ104に送信する(ステップS18)。
光スイッチ104は、ステップS16で設定した経路選択に基づき、通信データ処理装置303,313に、受信した無線データを送信する(ステップS19)。
通信データ処理装置303,313は、受信した無線データを処理し、処理後のユーザーデータを、制御装置302,312による制御に基づいて、ローカルネットワーク102用のIPパケットに変換して、メインルータ201経由で伝送路装置301に送信する(ステップS20)。
さらに、伝送路装置301は、受信したユーザーデータを、伝送路網100がATM回線ならATMセル、IP回線なら伝送路網用のIPパケットにIPアドレスを変更して伝送路網100に送信する(ステップS21)。
【0033】
次に、ローカル通信システムA内で通信データ処理装置313が運用を継続できない故障が発生した場合のローカル通信システムAの動作について、図4を参照して説明する。
通信データ処理装置313は、運用可能状態を表す運用情報と障害情報とを共通制御監視装置305に送信する(ステップS22)。このとき、通信データ処理装置313は、障害情報のみ暗号化して送信する。
そして、共通制御監視装置305は、受信した情報のうち、運用情報のみ読み込み、メインルータ201を経由してローカルネットワーク102より障害情報を伝送路装置301へ送信する(ステップS23)。
伝送路装置301は、伝送路網100を介して、受信した障害情報を上位装置に送信する(ステップS24)。
【0034】
さらに、共通制御監視装置305は、運用情報が運用不可となっていれば、通信データ制御装置302,312に対して、制御する通信データ処理装置の範囲を通信データ処理装置303のみとする変更を通知し、伝送路装置301には負荷分散の情報の変更通知を行う。また、共通制御監視装置305は、運用情報が運用可能となっていれば、上位装置からの制御が無い限りは、通信データ制御装置302,312に対して、制御する範囲の変更通知は行わず、かつ伝送路装置301に対しても負荷分散情報の変更は通知しない(ステップS25)。
通信データ制御装置302,312は、共通制御監視装置305からの制御範囲の変更の通知に基づき、通信データ処理装置303の制御を行う(ステップS26)。
そして、伝送路装置301は、共通制御監視装置305から通知された負荷分散の情報に基づき、通信データの宛先の変更を行い運用する(ステップS27)。
【0035】
次いで、付加分散の動作について、図5を参照して説明する。
共通制御監視装置305は、通信データ制御装置312と通信データ処理装置313の負荷が増加した場合、通信データ制御装置302,312、通信データ処理装置303,313の負荷が均等になるよう負荷分散の情報を更新する(ステップS28)。
さらに、共通制御監視装置305は、更新した負荷分散の情報に基づき、ローカル通信システムA内の負荷分散を行うため、通信データ制御装置302,312に対して、制御する通信データ処理装置303,313の制御範囲の変更を通知する。また、伝送路装置301に対しても負荷分散の情報を通知する(ステップS29)。
伝送路装置301は、通知された負荷分散の情報に基づき、通信データの宛先の変更を行い運用する(ステップS30)。
【0036】
次いで、ローカル通信システムB内において通信データ処理装置403に故障が生じた場合の動作について、図6を参照して説明する。
ローカル通信システムB内の通信データ処理装置403が故障した場合、ローカル通信システムB内の運用ができないため、共通制御監視装置405は、メインルータ211,201経由で、共通制御監視装置305に、ローカル通信システムBの運用が行えないことを示す運用不可情報と、必要な負荷の情報と、ローカル通信システムB内の各装置のMACアドレスやIPアドレスとを通知する(ステップS31)。
そして、共通制御監視装置305は、共通制御監視装置405から受けた通知に基づき、ローカル通信システムA内の通信データ制御装置302,312、通信データ処理装置303,313の負荷とローカル通信システムBの負荷が運用に影響がないよう負荷分散の情報を更新する(ステップS32)。
【0037】
さらに、共通制御監視装置305は、ローカル通信システムAとローカル通信システムBの負荷分散を行うため、更新した負荷分散の情報に基づき、通信データ制御装置302,312に対して、制御する通信データ処理装置303,313の範囲の変更を通知する。また、伝送路装置301、共通制御監視装置405及び同期装置101に対しても、負荷分散の情報を通知し、共通制御監視装置405には、ローカル通信システムA内の各装置のMACアドレスやIPアドレスを通知する。さらに、共通制御監視装置305は、共通制御監視装置305から通知されたローカル通信システムB内の各装置のMACアドレスやIPアドレス情報をもとに、メインルータ201の経路選択を更新する(ステップS33)。
【0038】
そして、同期装置101は、ローカル通信システムAの同期信号とローカル通信システムBの同期信号とからオフセット値を算出し、サブルータ212を経由して、同期ネットワーク113でローカル通信システムB内の各装置にオフセット値を送信し、ローカル通信システムB内の同期を更新する(ステップS34)。
共通制御監視装置405は、共通制御監視装置305から送信された負荷分散の情報に基づき、通信データ制御装置402に対して、制御する通信データ処理装置303,313の範囲を通知する。また、共通制御監視装置405は、伝送路装置401に対しても負荷分散の情報を通知する。さらに、共通制御監視装置405は、共通制御監視装置305から通知されたローカル通信システムA内の各装置のMACアドレスやIPアドレス情報をもとに、メインルータ211の経路選択を更新する(ステップS35)。
伝送路装置301,401は、ステップS33及びステップS35で通知された負荷分散の情報に基づき、通信データの宛先の変更を行い運用する。なお、このとき、通信データ処理装置303,313は、無線装置404の無線データを生成し、無線装置404用の波長で光通信し、光スイッチ104が無線装置404用の無線データを経路選択するため、無線装置404配下の端末に影響はでない(ステップS36)。
【0039】
次いで、ローカル通信システムB内において通信データ制御装置402に故障が生じた場合の動作について、図7を参照して説明する。
ローカル通信システムB内の通信データ制御装置402が故障した場合、ローカル通信システムB内の運用ができないため、共通制御監視装置405は、メインルータ211,201経由で、共通制御監視装置305に、ローカル通信システムBの運用が行えないことを示す運用不可情報と、必要な負荷の情報と、ローカル通信システムB内の各装置のMACアドレスやIPアドレスとを通知する(ステップS37)。
共通制御監視装置305は、共通制御監視装置405から受けた通知に基づき、ローカル通信システムA内の通信データ制御装置302,312、通信データ処理装置303,313の負荷とローカル通信システムBの負荷とが運用に影響がないよう負荷分散の情報を更新する(ステップS38)。
【0040】
さらに、共通制御監視装置305は、更新した負荷分散の情報に基づき、ローカル通信システムAとローカル通信システムBとの負荷分散を行うため、通信データ制御装置302,312に対して、制御する通信データ処理装置303,313,403の範囲を通知する。また、伝送路装置301、共通制御監視装置405及び同期装置101に対しても、負荷分散の情報を通知し、共通制御監視装置405には、ローカル通信システムA内の各装置のMACアドレスやIPアドレスを通知する。さらに、共通制御監視装置305は、共通制御監視装置405から通知されたローカル通信システムB内の各装置のMACアドレスやIPアドレス情報をもとにメインルータ201の経路選択を更新する(ステップS39)。
同期装置101は、ローカル通信システムAの同期信号とローカル通信システムBの同期信号とからオフセット値を算出し、サブルータ212を経由して、同期ネットワーク113でローカル通信システムB内の各装置にオフセット値を送信しローカル通信システムB内の同期を更新する(ステップS40)。
【0041】
共通制御監視装置405は、共通制御監視装置305から通知された負荷分散の情報に基づき、通信データ制御装置402に対して、制御する通信データ処理装置303,313の範囲を通知する。また、共通制御監視装置405は、伝送路装置301に対しても負荷分散の情報を通知する。さらに、共通制御監視装置405は、共通制御監視装置305から通知されたローカル通信システムA内の各装置のMACアドレスやIPアドレス情報をもとに、メインルータ211の経路選択を更新する(ステップS41)。
伝送路装置301,401は、ステップS39及びステップS41で通知された負荷分散の情報に基づき、通信データの宛先の変更を行い運用する(ステップS42)。
【0042】
以上より、本実施形態における通信システム1によれば、ローカル通信システムA,B内の装置に運用できない障害が発生しても、別システムの装置を使用することでシステム配下の端末との通信を行うことができる。
また、通常であれば1つの装置で運用されるものを、機能部毎に独立して装置化しているため、トラフィックの状況に応じた増設や負荷分散を容易に行うことができる。
さらに、通常であれば1つの装置で運用されるものを、機能部毎に独立して装置化しているため、異なるベンダで通信システムを構成しても、固有ベンダの問題で通信システム自体が運用できない状態を回避することができる。
また、各機能ごとの開発費を抑えることができる。
【0043】
なお、伝送路装置が故障した場合でも、本実施形態で示した例のように、他の通信システムの伝送路装置を使用してシステムの運用することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
(本発明の背景)
移動体通信においては、特定時期にトラフィックが増加する事があり、装置のキャパシティを超える事が多々見受けられる。このトラフィックの増加は、現在の装置形態が1つの装置で多くの機能を満たしているため、装置の増設時や負荷が著しくあがった場合に、同じ規模の装置が必要となるという場合があった。機能毎に装置化しておけば、増設するコストも少なく、隣接する通信システムとの負荷の分散を行うことで増設自体が必要ない場合もある。さらに、サービスの多様化につれ、高レートの伝送を求められたりするが、これらに対応するとしても1つの装置で多くの機能を満たしている場合、部分的な変更だけではすまない場合がある。このような場合、機能毎に装置化しておけば、変更の規模が1つの装置で多くの機能を満たしている場合に比べ少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る通信システムの実施形態を示す全体構成図である。
【図2】通信システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】通信システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】ローカル通信システムA内の機器に故障が生じた場合の動作を示すフローチャートである。
【図5】付加分散についての動作を示すフローチャートである。
【図6】ローカル通信システムB内の機器に故障が生じた場合の動作を示すフローチャートである。
【図7】ローカル通信システムB内の他の機器に故障が生じた場合の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 通信システム
101 同期装置(同期手段)
201,211 メインルータ(経路選択手段)
301,401 伝送路装置(接続手段)
302,312,402 通信データ制御装置(制御手段)
303,313,403 通信データ処理装置(通信手段)
305,405 共通制御監視装置(制御監視手段)
A,B ローカル通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置と端末との間における通信を行う通信システムであって、
前記上位装置に接続されて、前記上位装置との間で通信可能な処理を行う接続手段と、
前記接続手段に接続されて、通信の際にパケットの経路選択を行う経路選択手段と、
前記経路選択手段と前記端末とに接続されて、前記端末との間で通信可能な処理を行う通信手段と、
前記経路選択手段に接続されて、前記通信手段を制御する制御手段と、
前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段及び前記制御手段の運用を制御する制御監視手段と、
前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段、前記制御手段及び前記制御監視手段との間の同期を取る同期手段とを備え、
前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段、前記制御手段、前記制御監視手段及び前記同期手段が、それぞれ別個の装置として設けられていることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記制御監視手段は、運用が可能であるか否かを示す運用情報を各装置から取得し、当該運用情報に基づいて、各装置間の負荷分散を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
各装置をそれぞれ有する複数のローカル通信システムを備え、
一のローカル通信システムに設けられる制御監視手段は、他のローカル通信システムに設けられる各装置から前記運用情報を取得し、当該運用情報に基づいて、前記一のローカル通信システムと前記他のローカル通信システムとにわたって、各装置間の負荷分散を行うことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記各装置のベンダ固有情報を暗号化する暗号化手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
上位装置と端末との間における通信を行う通信システムにおける通信方法であって、
前記上位装置に接続された接続手段が、前記上位装置との間で通信可能な処理を行う接続ステップと、
前記接続手段に接続された経路選択手段が、通信の際にパケットの経路選択を行う経路選択ステップと、
前記経路選択手段と前記端末とに接続された通信手段が、前記端末との間で通信可能な処理を行う通信ステップと、
前記経路選択手段に接続された制御手段が、前記通信手段を制御する制御ステップと、
制御監視手段が、前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段及び前記制御手段の運用を制御する制御監視ステップと、
同期手段が、前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段、前記制御手段及び前記制御監視手段との間の同期を取る同期ステップとを含み、
前記接続手段、前記経路選択手段、前記通信手段、前記制御手段、前記制御監視手段及び前記同期手段が、それぞれ別個の装置であることを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−239384(P2009−239384A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79554(P2008−79554)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】