説明

通信システム

【課題】遠隔地にいる者が、波長分割多重伝送装置で使われている光学部品についての情報や、光学部品が取り付けられている位置の情報を収集する。
【解決手段】通信回線網300に、波長分割多重伝送装置100および管理装置200が接続されているシステムにおいて、各個別波長分割処理装部130は電波遮断材料によって覆われている。各個別波長分割処理装部130は、内部に、光学部品を有している。この光学部品にRFIDタグが取り付けられ、RFIDタグは光学部品に関する情報を有している。RFIDリーダおよびRFIDタグの通信範囲は、電波遮断材料に覆われている空間領域に限定され、管理装置200は、各個別波長分割処理装部130に備わるRFIDリーダごとに、RFIDタグの情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークを利用して、大容量かつ高速にデータを伝送する方式として、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方式が知られている。この波長分割多重伝送方式により光伝送を行う装置が、例えば、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2000−4213号公報
【0003】
上記文献に開示されているような波長分割多重伝送装置には、アッテネータ、光カプラなどの多数の光学部品及び電子部品が使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波長分割多重伝送装置の保守者は、装置の設置地に出向いて、配置されている部品の種類、実装されている位置、等を記録し、そして、コンピュータにこの情報を入力して記録・管理している。通信機能を備える部品であれば、部品のIDを通信により読み取ること等も可能であるが、通信機能を備えていない部品が圧倒的である。
【0005】
しかし、波長分割多重伝送装置の場合、部品の交換が比較的頻繁に行われるため、交換部品の情報の更新・管理処理が煩雑であり、不正確になりやすい。
また、波長分割多重伝送装置は、類似構成であるが処理対象の波長が異なる信号処理ユニットを複数備えており、人による保守・管理では、誤りが発生しやすい。
【0006】
同様の問題は、波長分割多重伝送装置に限らず、複数の部品を使用する装置に共通に存在する。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複数の部品を使用する装置の保守管理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の通信システムは、
他装置とネットワークを介して通信を行う通信装置と、該通信装置に通信により接続された管理装置と、から構成される通信システムにおいて、
前記通信装置は、
通信のための複数の部品と、
前記部品に装着され、装着された部品の部品識別情報を記憶するタグメモリと、
この通信装置内を、複数の通信範囲に区画する電波遮断手段と、
前記電波遮断手段により区画された通信範囲毎に配置され、配置されている通信範囲内に配置された部品に装着されている前記タグメモリに格納された部品識別情報を読み取り、自己の識別情報である読取手段識別情報と対応付けて出力する読取手段と、
を備え、
前記管理装置は、前記通信装置の読取手段から出力される読取手段識別情報と部品識別情報とを対応付けて記憶及び/又は出力する管理手段を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、部品とその設置位置(区画)とを自動的に対応付け、リモートで管理することが可能となり、部品の管理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第一の実施形態)
次に、発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る通信システム60は、通信回線網30を介して相互に接続された通信装置10と管理装置20とから構成されている。通信装置10は、通信回線網30或いは外部のネットワーク19を介して他の通信装置と接続されており、相互に通信を行う。
【0012】
通信装置10内には、通信を行うための種々の処理を行う複数の部品11が配置されている。部品11は、ソケットに挿入される等の形態で、着脱可能・交換可能に配置されている。部品11は、電子部品、光学部品、電光変換部品、光電変換部品等、任意である。
【0013】
各部品11には、タグメモリ12が取り付けられている。タグメモリ12は、RF−ID等から構成されており、無線(電波)により、情報の読み出しと書き込みが可能である。タグメモリ12には、部品11、部品識別情報を含む任意の情報が記録されている。部品識別情報は、部品の製造年月日、ロット番号、名称、取り付け日等を特定する情報を含んでいる。
【0014】
なお、タグメモリ12は、単体での通信機能を備えていない部品11に配置されることが望ましい。部品11自体、通信機能を備えている場合には、通信装置10内に備わる制御部17と通信することにより、その管理が可能になるからである。
【0015】
通信装置10内は、電波遮蔽体14により、複数の通信区画13に区画されている。電磁遮蔽体14は、例えば、電波を遮蔽或いは減衰する特性を有する材料から構成された筐体等から構成される。
【0016】
各通信区画13には、読取装置15が配置されている。
【0017】
各読取装置15は、設置されている通信区画13内のタグメモリ12から識別情報を読み出す。各読取装置15には、ユニークな読取装置IDおよび識別番号が割り当てられている。
【0018】
各読取装置15は、内部バス16を介して、装置全体を制御する制御部17に接続されている。内部バス16は、通信部18を介して外部のネットワーク19に接続されている。
【0019】
管理装置20は、管理部21として機能するコンピュータを備え、通信回線網30を介して、通信装置10からデータを取得し、テーブル化して記憶すると共に表示部/出力装置に出力する。
【0020】
次に、上記構成からなる通信システム60の動作について説明する。
【0021】
まず、通信装置10は、部品11等の働きにより、外部の通信装置と通信を行う。
【0022】
一方、管理装置20の管理部21は、通信装置10の部品11の管理を行う場合、管理要求を通信回線網30を介して制御部17に送信する。
【0023】
この要求に応答して、制御部17は、ポインタをi=1にして(ステップS11)、識別番号i(最初は1)が割り当てられている読取装置15に問い合わせて、読取装置15が記憶している各タグメモリ12の識別情報を読み出す(ステップS12)。そして、制御部17は、読み出したタグ12の識別情報を、読取装置15の識別番号iと装置IDとに対応付けて、記憶する(ステップS13)。
【0024】
次に、制御部17は、i=n(nは読取装置15の個数)であるか否かを判別し、i=nでなければ(ステップS14;No)、i=i+1にして(ステップS15)、再び、iの識別番号が割り当てられている読取装置15からタグメモリ12に記憶されている識別情報を取得する(ステップS12)。このようにして、制御部17は、識別番号の1からnまで順に、ステップS11およびステップS12を繰り返して、各読取装置15が読み取ったタグメモリ12の識別情報を個別に取得する。
【0025】
識別番号nの読取装置15からタグメモリ12の識別情報を取得すると(ステップS14;Yes)、制御部17は、通信回線網30を介して、通信部18から管理装置20へ、装置IDと読取装置15から読み出したタグメモリ12の識別情報とを対応付けた情報を送信する(ステップS16)。
【0026】
タグメモリ16の識別情報を取得した管理装置20は、装置IDとタグメモリ12の識別情報とを対応付けた情報を出力装置などの画面に表示する(ステップS17)。
【0027】
なお、管理装置20の画面には、読取装置15のそれぞれに割り当てられた装置IDと、それが読み取ったタグメモリ12の識別情報とが対応付けられた情報が表示される。
【0028】
なお、装置IDのそれぞれは、通信区画13に関連した情報であることが望ましい。このようにすることで、管理装置20の画面には、通信区画13に応じた装置IDが表示されるので、遠隔地にいる保守・管理人でも、どの通信区画13にどのような部品が備わっているかを、容易に把握することができる。
【0029】
(第二の実施形態)
次に、第一の実施形態をより具体化し、第一の実施形態における通信装置を波長分割多重伝送装置とした第二の実施形態について説明する。
【0030】
図3に示すように、本発明の第二の実施形態に係る光通信システム600は、波長分割多重伝送装置100と、管理装置200と、通信回線網300と、を備える。なお、波長分割多重伝送装置100および管理装置200は1台のみが図示されているが、複数台でもよい。
【0031】
通信回線網300は、WAN(Wide Area Network)などから構成され、波長分割多重伝送装置100および管理装置200が接続されている。波長分割多重伝送装置100および管理装置200は、通信回線網300を介して、各種のデータのやり取りを行う。なお、通信回線網300は、WANに限らず、データを伝送できるものであれば何でもよい。
【0032】
管理装置200は、一般的なPC(Personal Computer)等から構成され、表示画面を備えて、波長分割多重伝送装置100から送信されるデータを表示することができる。
【0033】
波長分割多重伝送装置100は、図4に示すように、データ処理部110と、波長分離部120と、個別波長信号処理部130と、波長多重部140と、光アンプ部150と、を備える。
【0034】
波長分離部120は、デマルチプレクサを備え、光通信網(不図示)から送られるn波多重された光信号400を波長別に分離する。そして、波長分離部120は、分離した各光信号を、各波長に対応する個別波長信号処理部130−1〜nに送信する。なお、図3および図4に示す「チャネル1〜n」は、保守・管理人が識別しやすいように、個別波長信号処理部130−1〜nのそれぞれに付けられた名称である。
【0035】
各個別波長信号処理部130は、光カプラやアッテネータなどの光学部品550を備え、それぞれ対応する波長の光信号を処理する。各個別波長信号処理部130は、送信時には、送信信号に基づいて、対応する波長の信号を調整して、光波長多重部140へ送信する。
【0036】
個別波長信号処理部130は、それぞれ、図5に示すように、電波遮断板580によって覆われている。電波遮断板580は、電波を遮断する金属材料から構成される。
【0037】
各個別波長信号処理部130が備える光学部品550には、それぞれRFIDタグ510が取り付けられている。
【0038】
RFIDタグ510は、RFIDタグ510が取り付けられる光学部品550に関する情報、例えば、製造メーカー、型番、ロット番号、部品の種別、など、を有する。
【0039】
また、各個別波長信号処理部130には、光学部品550に取り付けられたRFIDタグ510の情報を読み取るRFIDリーダ500が取り付けられている。各RFIDリーダ500には、制御部111が識別できるように、1からnまでの識別番号が割り当てられている。なお、RFIDタグ510およびRFIDリーダ500の通信範囲は、電波遮断板580で閉じられた空間の範囲に限定される。
【0040】
波長多重部140は、マルチプレクサを備えて、各個別波長信号処理部130から送られた光信号をn波多重して、光アンプ部150へ送信する。
【0041】
光アンプ部150は、n波多重された光信号を、ある一定の信号レベルに増幅して、光通信網(不図示)へ送信する。
【0042】
次に、データ処理部110の構成とその動作について説明する。
【0043】
データ処理部110は、図6に示すように、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、を備えている。
【0044】
制御部111、記憶部112、および通信部113は、それぞれバス700に接続されている。また、各個別波長信号処理部130内の各RFIDリーダ500もまた、バス700に接続されている。
【0045】
記憶部112は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などから構成され、各種のデータを記憶する。
【0046】
記憶部112は、例えば、タグ情報114を記憶する。タグ情報114には、あらかじめ、各RFIDリーダ500に割り当てられた1からnまでの識別番号に対応させて、各個別波長信号処理部130に名前付けされた「チャネル名」が格納されている。また、タグ情報114には、波長分割多重伝送装置100が設置されている場所の情報(X県Y市など)が格納されている。
【0047】
通信部113は、通信回線網300に接続されており、管理装置200と通信してデータのやり取りをする。
【0048】
制御部111は、CPU(Central Proccessing Unit)等から構成され、記憶部112、通信部113、各RFIDリーダ500の動作を制御する。
【0049】
また、制御部111は、各RFIDリーダ500が取得したRFIDタグ510の情報について各RFIDリーダ500に順次問い合わせて、これを各RFIDリーダ500から取得する。
【0050】
制御部111は、各RFIDリーダ500に割り当てられている識別番号ごとに、各RFIDリーダ500から取得したRFIDタグ510の情報を管理情報114に格納する。
【0051】
次に、図3に示す光通信システム600において、管理装置200がRFIDタグ510に関する情報をユーザに報知する動作について、図7に示すフロー図を用いて説明する。
【0052】
表示装置200が波長分割多重伝送装置100にタグ情報114を要求すると、図7に示す報知動作が開始する。
【0053】
この要求を受けた波長分割多重伝送装置100の制御部111は、ポインタiを1にして(ステップS701)、識別番号i(最初は1)が割り当てられたRFIDリーダ500に問い合わせて、RFIDタグ510の情報を取得する(ステップS702)。そして、制御部111は、取得したRFIDタグ510の情報を、RFIDリーダ500の識別番号に対応付けて、タグ情報114に格納する(ステップS13)。
【0054】
次に、制御部111は、i=nであるか否かを判別して、i=nでなければ(ステップS704のNo)、i=i+1にして(ステップS705)、再び、iの識別番号が割り当てられたRFIDリーダ500からRFIDタグ510の情報を取得する(ステップS702)。このようにして、制御部111は、識別番号の1からnまで順に、ステップS701およびステップS702を繰り返す。
【0055】
nの識別番号のRFIDリーダ500からRFIDタグ510の情報を取得して、すべてのRFIDリーダ500から取得したRFIDタグ510の情報をタグ情報114に格納すると(ステップS14のYes)、制御部111は、通信部113から通信回線網300を介して、管理装置200へタグ情報16を送信する(ステップS706)。
【0056】
タグ情報114を取得した管理装置200は、これを表示画面に表示する(ステップS707)。
【0057】
管理装置200に表示される画面には、例えば、図8に示すように、波長分割多重伝送装置100が設置されている場所、チャネル名ごとの光学部品510の情報が表示される。
【0058】
以上、説明したとおり、遠隔地にいる者でも、本発明の実施形態に係る光通信システムによって、波長分割多重伝送装置で使われている光学部品についての情報や、光学部品が取り付けられている場所の情報を収集できる。
【0059】
なお、本実施例においては、1台の波長分割多重伝送装置のみが通信回線網に接続されているが、これに限定されない。すなわち、複数の波長分割多重伝送装置を通信回線網に接続させて、複数の波長分割多重伝送装置から、それぞれが有する光学部品の情報が収集されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る光通信システムを示す図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る報知動作を示すフロー図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係る光通信システムを示す図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る波長分割多重伝送装置のブロック図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る個別波長信号処理部を説明する図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る波長分割多重伝送装置のデータ処理部と個別波長信号処理部の接続関係を示す図である。
【図7】本発明の第一の実施形態に係る報知動作を示すフロー図である。
【図8】本発明の実施形態に係る表示装置の画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
10 通信装置
11 部品
12 タグメモリ
13 通信区画
14 電波遮蔽体
15 読取装置
16 内部バス
17 制御部
18 通信部
19 外部のネットワーク
20 管理装置
21 管理部
30 通信回線網
60 通信システム
100 波長分割多重伝送装置
110 データ処理部
120 波長分離部
130−1〜n 個別波長信号処理部
140 波長多重部
150 光アンプ部
200 管理装置
300 通信回線網
400 光信号
500 RFIDリーダ
510 RFIDタグ
550 光学部品
580 電波遮断板
600 光通信システム
700 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他装置とネットワークを介して通信を行う通信装置と、該通信装置に通信により接続された管理装置と、から構成される通信システムにおいて、
前記通信装置は、
通信のための複数の部品と、
前記部品に装着され、装着された部品の部品識別情報を記憶するタグメモリと、
この通信装置内を、複数の通信範囲に区画する電波遮断手段と、
前記電波遮断手段により区画された通信範囲毎に配置され、配置されている通信範囲内に配置された部品に装着されている前記タグメモリに格納された部品識別情報を読み取り、自己の識別情報である読取手段識別情報と対応付けて出力する読取手段と、
を備え、
前記管理装置は、前記通信装置の読取手段から出力される読取手段識別情報と部品識別情報とを対応付けて記憶及び/又は出力する管理手段を備える、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記部品識別情報は、部品の製造年月日、ロット番号、名称、取り付け日を示す情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記管理装置の前記管理手段は、複数の通信装置の読取手段からの情報を受信し、通信装置の識別情報と読取手段識別情報と部品識別情報とを対応付けて記憶及び/又は出力する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
通信装置は、
部品が交換可能に配置された複数のユニットを備え、
前記電波遮断手段は、前記ユニットの導電性材料から構成された筐体から構成され、
前記読取手段は、前記ユニット毎に配置されている、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記通信装置は、波長分割多重伝送装置から構成され、ラックと、該ラックに配置され、部品が交換可能に配置され、それぞれ対応する周波数の光信号を処理する複数の交換ユニットを備え、
前記電波遮断手段は、前記交換ユニットの導電性材料から構成された筐体から構成され、
前記読取手段は、前記交換ユニット毎に配置されている、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記タグメモリはRFIDタグから構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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