説明

通信モジュールを備えたモータスタータ

【課題】上位監視制御盤で電磁接触器の状態をリアルタイムにモニタし、電磁接触器を安定して制御することができると共に、コストの上昇や空間の制約などの問題を解消することができるモータスタータを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態によるモータスタータは、モータ保護用回路遮断器の状態が入力される遮断器状態入力部220と、電磁接触器の状態が入力される接触器状態入力部210と、データ通信のために監視制御盤300と通信ケーブルで接続される通信部240と、監視制御盤300から制御信号を受信した場合、遮断器状態入力部220から受信した遮断器情報及び接触器状態入力部210から受信した接触器情報を監視制御盤300に送信し、前記制御信号及び前記接触器情報に基づいて電磁接触器を制御する制御部250とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信モジュールを備えたモータスタータに関し、特に、モータスタータに備えられた電磁接触器を上位監視盤でリアルタイムにモニタ及び制御できるようにしたモータスタータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータスタータは、モータ保護用回路遮断器と電磁接触器とを含む装置である。
【0003】
回路遮断器は、モータの前端に設置されてモータの運転(run)又は停止(stop)を制御する電気機器であって、定格電圧が交流690V(周波数50Hzもしくは60Hz)又は直流250V以下の電路に用いられる。また、回路遮断器は、過電流、欠相、瞬時電流、短絡電流などの事故電流の発生時に動作してモータに供給される電力回路を遮断することにより、モータを事故電流から保護する機能を果たす。
【0004】
電磁接触器は、公知のように、制御信号による電磁石の励磁又は消磁により接点を閉成又は開放することにより、モータなどの負荷機器に電力を供給して負荷機器を運転(run)位置に動作させるか、又はモータなどの負荷機器への電力供給を中断して負荷機器を停止(stop)位置に動作させる機器である。
【0005】
以下、図5を参照して従来のモータスタータを含むモータ制御システムの一例を説明する。
【0006】
従来のモータ制御システムは、予め保存されている制御プログラムに基づいて電磁接触器、バルブ、ファンなどの制御対象を制御するプログラマブルロジックコントローラ(Programmable logic controller: PLC)10と、PLC10の入出力端子部に該当する入力/出力(Input/Output: I/O)端子ユニット20と、I/O端子ユニット20と複数のモータスタータ40とを信号接続するための手段を提供する接続用端子ユニット30と、複数のモータスタータ40とを含む。
【0007】
このような構成を有する従来のモータ制御システムにおいて、モータの運転又は停止を制御するためには、モータに接続される電源供給スイッチに該当するモータスタータ40の電磁接触器のオン/オフを制御しなければならない。よって、モータスタータ40の電磁接触器のオン/オフを制御するために、PLC10は、I/O端子ユニット20及び接続用端子ユニット30を介してモータスタータ40の電磁接触器を制御する。つまり、電磁接触器のオン/オフを制御するためには、PLC10、I/O端子ユニット20及び接続用端子ユニット30が必要である。また、電磁接触器のオン/オフを制御するために、PLC10は、電磁接触器の状態信号を周期的に受信しなければならず、その状態信号に基づいて、I/O端子ユニット20及び接続用端子ユニット30を介して電磁接触器に接続された補助リレーを制御しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、このような従来のモータ制御システムにおいては、PLC10に故障が発生すると、電磁接触器の状態を監視することができず、電磁接触器のオン/オフを制御することができなくなるので、モータ及びモータにより駆動される設備の大きな損傷を招く恐れがある。
【0009】
また、このような従来のモータ制御システムにおいては、追加機能のためにモータスタータ40を追加設置する場合、前記補助リレー、I/O端子ユニット20及び接続用端子ユニット30の追加だけでなく、配線作業の追加も必要となるので、コストの上昇と占有空間の増大を招くという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、電磁接触器の安定した制御のために上位監視制御盤で電磁接触器の状態をリアルタイムにモニタできるようにし、PLC、I/O端子ユニット及び接続用端子ユニットを必要とせず、従って、前記PLCと前記I/O端子ユニット間の配線、及び前記ユニット間の配線も必要としない、モータスタータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態によるモータスタータは、モータ保護用回路遮断器及び電磁接触器を含むモータスタータにおいて、前記回路遮断器の状態が入力される遮断器状態入力部と、前記電磁接触器の状態が入力される接触器状態入力部と、データ通信のために監視制御盤と通信ケーブルで接続される通信部と、前記監視制御盤から制御信号を受信した場合、前記遮断器状態入力部から受信した遮断器情報及び前記接触器状態入力部から受信した接触器情報を前記監視制御盤に送信し、前記制御信号及び前記接触器情報に基づいて前記電磁接触器を制御する制御部とを含む。
【0012】
前記制御部は、前記監視制御盤から前記電磁接触器をオン制御する指令信号を受信した場合、前記遮断器状態入力部から入力された状態情報がオンであり、前記接触器状態入力部から入力された状態情報がオフであると、正常に前記電磁接触器がオン位置に動作するように制御すると共に、前記通信部により制御完了メッセージを前記監視制御盤に送信するようにしてもよい。
【0013】
また、前記制御部は、前記監視制御盤から前記電磁接触器をオフ制御する指令信号を受信した場合、前記遮断器状態入力部から入力された状態情報がオンであり、前記接触器状態入力部から入力された状態情報がオンであると、前記電磁接触器を制御するのではなく、前記通信部により指令エラーが発生したことを示すメッセージを前記監視制御盤に送信するようにしてもよい。
【0014】
さらに、前記制御部は、前記遮断器状態入力部から周期的に前記回路遮断器の状態情報を受信し、前記回路遮断器の状態情報が変更されると、前記監視制御盤の指令に従って前記電磁接触器を制御するようにしてもよい。
【0015】
前記モータスタータは、前記モータスタータの状態を表示する第1表示部をさらに含み、前記第1表示部は、LED(Light Emitting Diode)又は7セグメント(7-segment)で実現されてもよい。
【0016】
前記モータスタータは、前記通信部の通信ID(Identifier)及び通信速度を設定するためのスイッチをさらに含んでもよい。
【0017】
前記モータスタータは、前記モータスタータに電源を供給する電源供給ユニットをさらに含んでもよい。
【0018】
前記電源供給ユニットは、前記モータスタータに供給される電源の状態を表示する第2表示部を含んでもよい。
【0019】
前記第2表示部は、前記モータスタータに入力される電圧が、低電圧であるか、直流110Vの許容誤差内の電圧であるか、直流220Vの許容誤差内の電圧であるか、又は過電圧であるかを表示するようにしてもよい。
【0020】
また、前記第2表示部は、LEDで構成され、前記モータスタータに入力される電圧の状態に応じて異なる色で区分して表示するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明による通信モジュールを備えたモータスタータにおいては、上位監視制御盤で電磁接触器の状態をリアルタイムにモニタし、電磁接触器を安定して制御することができると共に、コストの上昇や空間の制約などの問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるモータスタータを含むモータ制御システムの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるモータスタータに備えられる通信モジュールの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるモータスタータの通信モジュールの内部回路機能の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態によるモータスタータの動作方法を示すフローチャートである。
【図5】従来のモータスタータを含むモータ制御システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、様々な変更及び実施形態が可能である。つまり、本発明は、本発明の思想及び技術範囲から逸脱しない限り、全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解すべきである。
【0024】
なお、本発明を説明するにあたって、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態によるモータスタータを含むモータ制御システムの構成を示す概略図である。具体的には、複数のモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nと監視制御盤300とが1つのモータ制御システム100を構成する。モータ制御システム100は、複数のモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nに電源を供給する電源供給ユニット110をさらに含む。
【0026】
モータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nは、通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnを含み、通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnのいずれか1つに通信接続された監視制御盤300は、モータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nの状態を監視する。
【0027】
モータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nは、背景技術の欄で説明したように、それぞれモータ保護用回路遮断器及び電磁接触器を含む。
【0028】
回路遮断器は、前述したように、モータの前端に設置されてモータの運転(run)又は停止(stop)を制御する電気機器であって、定格電圧が交流690V(周波数50Hzもしくは60Hz)又は直流250V以下の電路に用いられる。また、回路遮断器は、電源とモータとの間に設置され、過電流、欠相、瞬時電流、短絡電流などの事故電流の発生時に動作して回路を遮断することにより、回路及びモータを保護する。
【0029】
電磁接触器は、前述したように、制御信号による電磁石の励磁又は消磁により接点を開放又は閉成することにより、モータなどの負荷機器に電力を供給して負荷機器を運転(run)位置に動作させるか、又はモータなどの負荷機器への電力供給を中断して負荷機器を停止(stop)位置に動作させるスイッチである。
【0030】
モータ、バルブ、ファン、ヒータなどの様々な制御対象をプログラムに基づいて自動制御するPLCとは異なり、監視制御盤300は、使用者が複数のモータの運転又は停止を制御したりモータスタータの動作状態を監視することができるようにする、モータの制御及び監視専用の制御器である。
【0031】
監視制御盤300と各モータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nとは、通信ケーブル201で接続される。また、モータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−n間の通信接続は、当該モータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nの通信モジュールG1、G2、G3、…、Gn間を通信ケーブル201で接続することにより行われる。
【0032】
このために、それぞれの通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnは、通信ケーブル201を接続するための通信ケーブル接続端子125を含む。
【0033】
また、それぞれの通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnは、電磁接触器を制御するための信号線が接続される信号線接続端子121と、通信IDを設定するためのスイッチ122と、通信速度を設定するためのスイッチ123とをさらに含んでもよい。
【0034】
また、それぞれの通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnは、電磁接触器がオン状態であるかオフ状態であるかを表示したり、通信状態が正常であるか否かを表示したり、通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnが正常に動作するか否かを表示する第1表示部126をさらに含んでもよい。また、それぞれの通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnは、電磁接触器をオン/オフにするための手動制御スイッチ127をさらに含んでもよい。
【0035】
第1表示部126は、LED又は7セグメントで構成されてもよい。
【0036】
以上のように、有線通信方式により、それぞれのモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nと監視制御盤300とが通信ケーブル201で接続され、監視制御盤300は、通信ケーブル201でそれぞれのモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nから電磁接触器の状態を示す信号を受信し、それぞれのモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nをリアルタイムに監視することができる。
【0037】
なお、監視制御盤300がそれぞれのモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nに備えられた電磁接触器の状態を監視する過程の詳細については後述する。
【0038】
一方、本発明の一実施形態によるモータスタータを含むモータ制御システム100は、図1に示すように、それぞれのモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nに電源を供給する電源供給ユニット110をさらに含む。
【0039】
電源供給ユニット110は、直流110V又は220Vの動作電源をモータ制御システム100に供給する。また、電源供給ユニット110は、それぞれのモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nに含まれる電子部品に直流電源を直接供給するために、DC12Vの電源も供給する。
【0040】
通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnは、直流12Vの電源供給を受けるための第1電源端子128と、直流110/220Vの電源供給を受けるための第2電源端子124とをさらに含む。
【0041】
電源供給ユニット110は、直流12Vの電源供給のための第1出力端子111と、直流110/220Vの電源供給のための第2出力端子112とを含む。第1出力端子111は、接続ケーブル114を介してモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nの第1電源端子128に接続されて直流電源を供給し、第2出力端子112は、接続ケーブル115を介してモータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nの第2電源端子124に接続されて直流電源を供給する。
【0042】
電源供給ユニット110は、モータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nに供給される電源の状態を表示する第2表示部113をさらに含んでもよい。第2表示部113は、使用者が現在モータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nに供給されている電源が正常であるか否かを確認できるようにして、動作エラー及び事故を未然に防止できるようにする。
【0043】
具体的には、第2表示部113は、供給電源が低電圧状態であるか否かを表示する表示手段と、供給電源が110V電圧であるか否かを表示する表示手段(供給電源電圧が直流110Vの許容誤差範囲内の電圧であれば点灯し、許容誤差範囲から外れれば消灯する)と、供給電源が220V電圧であるか否かを表示する表示手段(供給電源電圧が直流220Vの許容誤差範囲内の電圧であれば点灯し、許容誤差範囲から外れれば消灯する)と、供給電源が過電圧状態であるか否かを表示する表示手段(供給電源電圧が所定の過電圧の基準電圧を超えれば点灯し、過電圧の基準電圧以下の正常電圧であれば消灯する)とから構成されてもよい。また、前記表示手段はLEDで実現されてもよい。一方、それぞれのLEDは、異なる色を発光するようにすることにより、使用者が直観的に電源供給がどのような状態であるかを確認できるようにする。
【0044】
このような構成を有する電源供給ユニット110は、モータスタータ120−1、120−2、120−3、…、120−nに電源を供給するだけでなく、供給される電源の状態を使用者に示すことにより、電源供給に異常が生じたときに使用者が迅速に対処できるようにする。
【0045】
図2は本発明の一実施形態によるモータスタータに備えられる通信モジュールの構成を示す斜視図である。図2においては、図1に対応する構成要素に同一の符号を付す。
【0046】
本発明の一実施形態によるモータスタータは、監視制御盤300及び他のモータスタータとの通信を可能にする通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnを含み、通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnは、図2に示すように、電磁接触器を制御するための信号線が接続される信号線接続端子121と、通信IDを設定するためのスイッチ122と、通信速度を設定するためのスイッチ123と、直流110/220Vの電源供給を受けるための第2電源端子124と、監視制御盤300及び他のモータスタータとの接続のための通信ケーブルを接続するための通信ケーブル接続端子125と、電磁接触器がオン状態であるかオフ状態であるか、通信状態が正常であるか否か、通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnが正常に動作するか否かを表示する第1表示部126と、電磁接触器をオン/オフ動作させるための手動制御スイッチ127と、直流12Vの電源供給を受けるための第1電源端子128とを含む。
【0047】
ただし、図2に示す通信モジュールG1、G2、G3、…、Gnの構成は一実施形態にすぎず、当然ながらこれとは異なる構成であってもよい。特に、それぞれの端子又は表示手段の配置は、同じ機能を果たすことができれば、これとは異なる配置であってもよい。
【0048】
図3は本発明の一実施形態によるモータスタータの通信モジュールの内部回路機能の構成を示す機能ブロック図である。図3においては、モータスタータの通信モジュールの符号として、図1及び図2のように「G1、G2、G3、…、Gn」を付すのではなく、「200」を付すことにする。
【0049】
図3に示すように、本発明の一実施形態によるモータスタータの通信モジュール200は、接触器状態入力部210、遮断器状態入力部220、表示部230、通信部240、及び制御部250を含む。
【0050】
接触器状態入力部210は、電磁接触器の接触器状態接点211に接続され、電磁接触器から状態情報(以下、接触器状態情報という)を受信する。
【0051】
遮断器状態入力部220は、回路遮断器の遮断器状態接点221に接続され、回路遮断器から状態情報(以下、遮断器状態情報という)を受信する。
【0052】
表示部230は、電磁接触器がオン状態であるかオフ状態であるか、通信状態が正常であるか否か、通信モジュール200が正常に動作するか否かを表示する機能を果たす。
【0053】
通信部240は、接触器状態入力部210から入力された接触器状態情報及び遮断器状態入力部220から入力された遮断器状態情報を監視制御盤300に伝達する機能を果たす。通信部240は、監視制御盤300とは通信ケーブル201を介して有線で接続され、監視制御盤300からの要求がある場合、後述する制御部250の制御により、前記状態情報を監視制御盤300に伝達する。
【0054】
監視制御盤300から電磁接触器をオン動作させる指令信号がモータスタータの通信モジュール200に送信された場合、制御部250は、接触器状態情報及び遮断器状態情報を読み取り、現在接触器状態情報がオフで遮断器状態情報がオンであると、すなわち、電磁接触器が開路状態で回路遮断器が閉路状態であると、電磁接触器の電磁コイル260にオン指令信号を送信して電磁コイル260を励磁することにより、電磁接触器がオン状態、すなわち閉路状態になるように動作させ、制御完了報告信号を監視制御盤300に送信する。
【0055】
それに対して、監視制御盤300から電磁接触器をオン動作させる指令信号がモータスタータの通信モジュール200に送信されたとき、既に接触器状態情報がオンで遮断器状態情報がオフであると、制御部250は、電磁接触器の電磁コイル260にオン指令信号を送信するのではなく、監視制御盤300に不正応答を示すNAKメッセージを送信する。
【0056】
一方、監視制御盤300から電磁接触器をオフ動作させる指令信号が受信された場合、制御部250は、接触器状態情報及び遮断器状態情報を読み取り、接触器状態情報がオンで遮断器状態情報がオフであると、正常に制御指令信号を送信し、制御完了報告信号を監視制御盤300に送信する。すなわち、電磁接触器の電磁コイル260にオフ指令信号を送信して電磁コイル260を消磁することにより、電磁接触器がオフ状態、すなわち開路状態になるように動作させ、制御完了報告信号を監視制御盤300に送信する。
【0057】
それに対して、監視制御盤300から電磁接触器をオフ動作させる指令信号が受信された場合、制御部250は、接触器状態情報及び遮断器状態情報を読み取り、接触器状態情報及び遮断器状態情報がオフであると、制御指令信号を送信するのではなく、監視制御盤300にNAKメッセージを送信する。
【0058】
そして、監視制御盤300から電磁接触器をオフ動作させる指令信号が受信された場合、制御部250は、遮断器状態情報を回路遮断器の遮断器状態接点221から周期的に受信し、遮断器状態情報がオン(閉路状態)からオフ(開路状態)に変更されると、現在接触器状態情報がオンであれば、電磁接触器の電磁コイル260にオフ指令信号を送信して電磁コイル260を消磁することにより、電磁接触器がオフ状態、すなわち開路状態になるように動作させることができる。
【0059】
このような構成により、監視制御盤300は、接触器状態情報及び遮断器状態情報をリアルタイムにモニタしながら電磁接触器を制御することができ、モータ制御システムの安定性を向上させることができる。
【0060】
以下、図3及び図4を参照して本発明の一実施形態によるモータスタータの動作方法を説明する。
【0061】
図4は本発明の一実施形態によるモータスタータの動作方法を示すフローチャートである。
【0062】
まず、制御部250は、モジュールを初期化し(S300)、通信速度及び通信IDを設定する(S310)。その後、制御部250は、監視制御盤300から接触器制御指令信号を受信したか否かを判断する(S320)。
【0063】
接触器制御指令信号が受信されていない場合(S320のNo)、電磁接触器及び回路遮断器の状態値を読み出し(S330)、読み出した状態値を監視制御盤300に送信する(S340)。この動作過程は、接触器状態入力部210及び遮断器状態入力部220により行うことができる。
【0064】
それに対して、接触器制御指令信号が受信された場合(S320のYes)、電磁接触器をオン動作させる指令信号であるかオフ動作させる指令信号であるかをさらに判断する(S350)。
【0065】
電磁接触器をオン動作させる指令信号であると(S350のYes)、電磁接触器及び回路遮断器の状態値を読み出す(S360)。
【0066】
電磁接触器の状態値がオフで回路遮断器の状態値がオンであると(S363のYes)、電磁接触器がオン状態になるように動作させ、LEDをオンにする(S366)。そして、接触器オン制御完了報告信号(すなわち、オン制御完了メッセージ)を監視制御盤300に送信する(S369)。
【0067】
また、電磁接触器をオン動作させる指令信号であるが、電磁接触器及び回路遮断器の状態値がオフであると(S363のNo)、NAKメッセージを監視制御盤300に送信し、指令エラーが発生したことを通知する(S380)。
【0068】
それに対して、電磁接触器をオフ動作させる指令信号であると(S350のNo)、電磁接触器及び回路遮断器の状態値を読み出し(S370)、電磁接触器の状態値がオンで回路遮断器の状態値がオフであると(S373のYes)、電磁接触器がオフ状態になるように動作させ、電磁接触器の動作状態を示すLEDをオフにする(S376)。そして、電磁接触器をオフにしたことを示すメッセージ、すなわち接触器オフ制御完了報告信号を監視制御盤300に送信する(S379)。
【0069】
また、電磁接触器をオフ動作させる指令信号であるが、電磁接触器及び回路遮断器の状態値がオンであると(S373のNo)、NAKメッセージを監視制御盤300に送信し、指令エラーが発生したことを通知する(S380)。
【0070】
上記実施形態において説明した各構成要素及び/又は機能は、互いに複合的に結合して実現することができ、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、添付された特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から外れない範囲内で本発明を様々に修正及び変更できることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0071】
200 通信モジュール
210 接触器状態入力部
220 遮断器状態入力部
230 表示部
240 通信部
250 制御部
260 電磁コイル
300 監視制御盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ保護用回路遮断器及び電磁接触器を含むモータスタータにおいて、
前記回路遮断器の状態が入力される遮断器状態入力部と、
前記電磁接触器の状態が入力される接触器状態入力部と、
データ通信のために監視制御盤と通信ケーブルで接続される通信部と、
前記監視制御盤から制御信号を受信した場合、前記遮断器状態入力部から受信した遮断器情報及び前記接触器状態入力部から受信した接触器情報を前記監視制御盤に送信し、前記制御信号及び前記接触器情報に基づいて前記電磁接触器を制御する制御部と、
を含むことを特徴とするモータスタータ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記監視制御盤から前記電磁接触器をオン制御する指令信号を受信した場合、前記遮断器状態入力部から入力された状態情報がオンであり、前記接触器状態入力部から入力された状態情報がオフであると、正常に前記電磁接触器がオン位置に動作するように制御すると共に、前記通信部により制御完了メッセージを前記監視制御盤に送信することを特徴とする請求項1に記載のモータスタータ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記監視制御盤から前記電磁接触器をオン制御する指令信号を受信した場合、前記遮断器状態入力部から入力された状態情報がオフであり、前記接触器状態入力部から入力された状態情報がオンであると、前記電磁接触器を制御するのではなく、前記通信部により指令エラー発生メッセージを前記監視制御盤に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のモータスタータ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記遮断器状態入力部から周期的に前記回路遮断器の状態情報を受信し、前記回路遮断器の状態情報が変更されると、前記監視制御盤の指令に従って前記電磁接触器を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータスタータ。
【請求項5】
前記モータスタータの状態を表示する第1表示部をさらに含み、
前記第1表示部がLED又は7セグメントで実現されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータスタータ。
【請求項6】
前記通信部の通信ID及び通信速度を設定するためのスイッチをさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のモータスタータ。
【請求項7】
前記モータスタータに電源を供給する電源供給ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のモータスタータ。
【請求項8】
前記電源供給ユニットは、
前記モータスタータに供給される電源の状態を表示する第2表示部を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のモータスタータ。
【請求項9】
前記第2表示部は、
前記モータスタータに入力される電圧が、低電圧であるか、直流110Vの許容誤差内の電圧であるか、直流220Vの許容誤差内の電圧であるか、又は過電圧であるかを表示することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のモータスタータ。
【請求項10】
前記第2表示部は、
LEDで構成され、前記モータスタータに入力される電圧の状態に応じて異なる色で区分して表示することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のモータスタータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−116043(P2013−116043A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−254290(P2012−254290)
【出願日】平成24年11月20日(2012.11.20)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO., LTD
【Fターム(参考)】