説明

通信装置、通信システムおよびアプリケーションプログラム

【課題】ライセンスを要するアプリケーションプログラムの実行に際して、ユーザーの利便性を向上させることが可能な通信装置を提供する。
【解決手段】この通信装置では、自機にて所定アプリの実行指示を受けたとき、主制御部110は、通信部114が入手した所定アプリの実行状況から、他機にて所定アプリが実行されているか否かを判断し、他機にて所定アプリが実行されていなければ、所定アプリの実行に必要なライセンスを通信部114に取得させ、通信部114が取得したライセンスに基づき所定アプリを実行する一方、他機にて所定アプリが実行されていれば、自機にて所定アプリを実行しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システムおよびアプリケーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信装置として、他機との間で通信可能な複合機(画像形成装置)が知られている。この複合機は、たとえば、MFP(Multi Function Peripheral)と称され、プリント機能やコピー機能などの種々の機能を実行させることができる(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、複合機(通信装置)においては、現時点で使用可能な機能以外の機能を後で追加することもできる。たとえば、複合機(通信装置)には、プリント機能やコピー機能などの基本的な機能に対応するアプリケーションプログラム以外に、特殊機能(たとえば、インターネット網を経由してファックス通信する機能など)に対応するアプリケーションプログラムも予めインストールされている。このような特殊機能に対応するアプリケーションプログラムは、通常、実行に際してライセンスを必要とする。このため、ユーザーから特殊機能を使用したいという要望があった場合には、特殊機能に対応するアプリケーションプログラムを実行する上で必要なライセンスをユーザーに購入してもらうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−61322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、たとえば、複数台の複合機(通信装置)を所有するユーザーから、複数台の複合機(通信装置)のそれぞれにおいて同一の特殊機能を使用したいと要望される場合がある。この場合、特殊機能に対応するアプリケーションプログラムを実行する上で必要なライセンスをユーザーに購入してもらう形態をとると、使用する複合機(通信装置)の台数と同数のライセンスをユーザーに購入してもらうことになる。すなわち、ユーザーからすると、1つのライセンスを購入しただけでは、複数台の複合機(通信装置)のそれぞれにおいて同一の特殊機能を使用することができないので、利便性が悪い。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ライセンスを要するアプリケーションプログラムの実行に際して、ユーザーの利便性を向上させることが可能な通信装置、通信システムおよびアプリケーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の通信装置は、自機と通信可能に接続される他機との間で通信する通信部と、実行に際してライセンスを要するアプリケーションプログラム(以下、所定アプリケーションプログラムと言う)を格納する記憶部と、ライセンスに基づき所定アプリケーションプログラムの機能を実行する制御部と、を備えている。そして、所定アプリケーションプログラムを実行する上で必要なライセンスは、自機と他機とで共有され、自機にて所定アプリケーションプログラムの機能の実行指示を受けたとき、通信部は、他機との間で通信することで、所定アプリケーションプログラムの機能の実行状況を入手し、制御部は、通信部が入手した所定アプリケーションプログラムの機能の実行状況から、他機にて所定アプリケーションプログラムの機能が実行されているか否かを判断し、他機にて所定アプリケーションプログラムの機能が実行されていなければ、通信部にライセンスを取得させ、通信部が取得したライセンスに基づき所定アプリケーションプログラムの機能を実行する一方、他機にて所定アプリケーションプログラムの機能が実行されていれば、自機にて所定アプリケーションプログラムの機能を実行しない。
【0008】
本発明の構成によると、自機にて所定アプリケーションプログラムの機能の実行指示を受けたとき、通信部は、他機との間で通信することで、所定アプリケーションプログラムの機能の実行状況を入手し、制御部は、通信部が入手した所定アプリケーションプログラムの機能の実行状況から、他機にて所定アプリケーションプログラムの機能が実行されているか否かを判断し、他機にて所定アプリケーションプログラムの機能が実行されていなければ、通信部にライセンスを取得させ、通信部が取得したライセンスに基づき所定アプリケーションプログラムの機能を実行する一方、他機にて所定アプリケーションプログラムの機能が実行されていれば、自機にて所定アプリケーションプログラムの機能を実行しない。このようにすれば、所定アプリケーションプログラムを実行する上で必要なライセンスを複数台の通信装置で共有させたとしても、所定アプリケーションプログラムの機能が複数台の通信装置で同時に実行されることはない。このため、所定アプリケーションプログラムの機能を複数台の通信装置で異なる時期に実行させるユーザーに対しては、ライセンスを1つ購入してもらうだけでよく、使用する通信装置の台数分のライセンスを購入してもらう必要はない。したがって、ユーザーからすると、1つのライセンスを購入するだけで、所定アプリケーションプログラムの機能を複数台の通信装置で実行することができるので、利便性が良い。言い換えると、所定アプリケーションプログラムの機能の実行に際して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0009】
上記した構成において、好ましくは、自機にて所定アプリケーションプログラムの機能を実行する際、通信部は、所定アプリケーションプログラムの機能の実行を禁じる禁則情報を他機に送信する。このように構成すれば、自機にて所定アプリケーションプログラムの機能を実行しているときに、他機にて所定アプリケーションプログラムが実行されることはない。このため、確実に、所定アプリケーションプログラムの機能が複数台の通信装置で同時に実行されるのを防止することができる。
【0010】
上記した構成において、好ましくは、ライセンスを共有する全ての他機の識別情報を記憶部が予め記憶し、制御部は、記憶部に記憶された識別情報に基づいて、ライセンスを共有する他機を判別する。このように構成すれば、ライセンスを共有する他機の判別が容易になる。
【0011】
上記した構成において、自機および他機に、所定アプリケーションプログラムが予めインストールされていてもよい。このように構成すれば、自機(または他機)にて所定アプリケーションプログラムを実行する際に、所定アプリケーションプログラムをインストールするという動作が不要となり、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0012】
あるいは、上記した構成において、自機および他機の一方は、所定アプリケーションプログラムの機能を実行するときに、所定アプリケーションプログラムをインストールし、自機および他機の他方は、自機および他機の一方が所定アプリケーションプログラムの機能を実行するときに、所定アプリケーションプログラムをインストールしていれば、所定アプリケーションプログラムをアンインストールする、という構成になっていてもよい。この場合には、自機に所定アプリケーションプログラムがインストールされている期間と他機に所定アプリケーションプログラムがインストールされている期間とが重なることはない。このため、容易に、所定アプリケーションプログラムの機能が複数台の通信装置で同時に実行されるのを防止することができる。
【0013】
上記した構成において、所定アプリケーションプログラムは、複数の機能を個別に実現できてもよく、この場合、好ましくは、通信部は、他機との間で通信することで、複数の機能の各実行状況を入手し、制御部は、通信部が入手した複数の機能の各実行状況から、他機にて実行されていない第1機能および他機にて実行されている第2機能を識別し、自機にて第1機能の実行指示を受けたときには、制御部は第1機能を実行する一方、自機にて第2機能の実行指示を受けたときには、制御部は第2機能を実行しない。このように構成すれば、所定アプリケーションプログラムを実行する上で必要なライセンスを複数台の通信装置で共有させたとしても、所定アプリケーションプログラムの複数の機能のうちの同一の機能が複数台の通信装置で同時に実行されることはない。このため、所定アプリケーションプログラムの複数の機能を複数台の通信装置で別々に実行させるユーザーに対しては、ライセンスを1つ購入してもらうだけでよく、使用する通信装置の台数分のライセンスを購入してもらう必要はない。したがって、ユーザーからすると、1つのライセンスを購入するだけで、所定アプリケーションプログラムの複数の機能を複数台の通信装置で別々に実行することができるようになり、利便性が良い。
【0014】
上記の場合、より好ましくは、自機にて第1機能を実行する際、通信部は、第1機能の実行を禁じる禁則情報を他機に送信する一方で、第2機能の実行を禁じる禁則情報は他機に送信しない。このように構成すれば、自機にて第1機能を実行しているときに、他機にて第1機能が実行されることはない。すなわち、確実に、所定アプリケーションプログラムの複数の機能のうちの同一の機能が複数台の通信装置で同時に実行されるのを防止することができる。なお、この場合、第2機能については、他機にて実行させ続けることができる。
【0015】
さらに、所定アプリケーションプログラムの複数の機能のうちの少なくとも1つの機能を、自機および他機の一方においてのみ実行させる場合、自機および他機の他方は、自機および他機の一方においてのみ実行させる機能の実行指示を受け付けないことがより好ましい。このように構成すれば、容易に、自機および他機の一方においてのみ実行させる機能が、自機および他機の他方において実行されるのを防止することができる。
【0016】
また、本発明の通信システムは、上記した通信装置を複数台含み、複数台の通信装置は、互いに通信可能に接続され、所定アプリケーションプログラムを実行する上で必要なライセンスを共有する。このように構成すれば、ライセンスを要するアプリケーションプログラムの機能の実行に際して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明のアプリケーションプログラムは、互いに通信可能に接続された複数台の通信装置により機能が実行され、その機能の実行に際してライセンスを必要とし、複数台の通信装置でライセンスが共有されるアプリケーションプログラムであって、一方の通信装置にて機能の実行指示を受けたとき、他方の通信装置との間で通信させることで、機能の実行状況を入手させるステップと、入手した機能の実行状況から、他方の通信装置にて機能が実行されているか否かを判断させ、他方の通信装置にて機能が実行されていなければ、ライセンスを取得させ、取得したライセンスに基づき機能を実行させる一方、他方の通信装置にて機能が実行されていれば、機能を実行させないようにするステップと、を一方の通信装置に行わせる。このようなアプリケーションプログラムでは、ライセンスを複数台の通信装置で共有させたとしても、アプリケーションプログラムの機能が複数台の通信装置で同時に実行されることはない。このため、アプリケーションプログラムの機能を複数台の通信装置で異なる時期に実行させるユーザーに対しては、ライセンスを1つ購入してもらうだけでよく、使用する通信装置の台数分のライセンスを購入してもらう必要はない。したがって、ユーザーからすると、1つのライセンスを購入するだけで、アプリケーションプログラムの機能を複数台の通信装置で実行することができるので、利便性が良い。言い換えると、アプリケーションプログラムの機能の実行に際して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0018】
また、このアプリケーションプログラムは、複数の機能を個別に実現できる。そして、一方の通信装置にて複数の機能のうちのいずれかの実行指示を受けたとき、他方の通信装置との間で通信させることで、複数の機能の各実行状況を入手させるステップと、入手した複数の機能の各実行状況から、他方の通信装置にて実行されていない第1機能および他方の通信装置にて実行されている第2機能を識別させるステップと、一方の通信装置にて第1機能の実行指示を受けたときには、第1機能を実行させる一方、一方の通信装置にて第2機能の実行指示を受けたときには、第2機能を実行させないようにするステップと、を一方の通信装置に行わせる。このようなアプリケーションプログラムでは、ライセンスを複数台の通信装置で共有させたとしても、アプリケーションプログラムの複数の機能のうちの同一の機能が複数台の通信装置で同時に実行されることはない。このため、アプリケーションプログラムの複数の機能を複数台の通信装置で別々に実行させるユーザーに対しては、ライセンスを1つ購入してもらうだけでよく、使用する通信装置の台数分のライセンスを購入してもらう必要はない。したがって、ユーザーからすると、1つのライセンスを購入するだけで、アプリケーションプログラムの複数の機能を複数台の通信装置で別々に実行することができるようになり、利便性が良い。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、ライセンスを要するアプリケーションプログラムの実行に際して、ユーザーの利便性を向上させることが可能な通信装置、通信システムおよびアプリケーションプログラムを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態による通信システム(複数台の通信装置が互いに通信可能に接続されたシステム)の概略図
【図2】本発明の第1実施形態による通信装置の概略図
【図3】本発明の第1実施形態による通信装置の操作パネルを示した平面図
【図4】本発明の第1実施形態による通信装置の画像形成部を示した概略図
【図5】本発明の第1実施形態による通信装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図6】本発明の第1実施形態による通信装置の記憶部に格納されたアプリケーションプログラムの一例を示した図
【図7】本発明の第1実施形態による通信装置の動作(実行に際してライセンスを要するアプリケーションプログラムを複数台の通信装置のうちのいずれかが実行するときの動作)を説明するためのフローチャート
【図8】本発明の第2実施形態による通信装置の動作(実行に際してライセンスを要するアプリケーションプログラムを複数台の通信装置のうちのいずれかが実行するときの動作)を説明するためのフローチャート
【図9】本発明の第3実施形態による通信システム(複数台の通信装置が互いに通信可能に接続されたシステム)の概略図
【図10】本発明の第3実施形態による通信装置の動作(実行に際してライセンスを要するアプリケーションプログラムを複数台の通信装置のうちのいずれかが実行するときの動作)を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による通信システムについて説明する。
【0022】
この通信システムでは、複数台の通信装置100(通信装置100A、100Bおよび100C)が互いに通信可能に接続されている。なお、図1においては、通信装置100の接続数を3台としているが、通信装置100の接続数は特に限定されるものではなく、2台でもよいし、4台以上でもよい。
【0023】
次に、図2を参照して、各通信装置100の構成について説明する。なお、各通信装置100のそれぞれの構成は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。以下の説明では、各通信装置100のそれぞれの構成が互いに同じであるとする。
【0024】
各通信装置100は、たとえば、タンデム方式のカラー複合機であり、コピー機能、プリント機能、スキャナ機能およびファックス機能などの複数の機能を有する。そして、これら複数の機能を実現するため、各通信装置100は、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などを備える。
【0025】
操作パネル101は、たとえば、図2中の破線で示された箇所に配置される。また、操作パネル101は、図3に示すように、液晶表示部11を有する。この液晶表示部11には、各種設定などを行うためのメニューおよびキーが表示されるとともに、装置状態などを示すメッセージも表示される。そして、ユーザーは、液晶表示部11に表示されたキーを押下することで、各種設定などを行うことができる。なお、液晶表示部11には、液晶表示部11に表示されたキーがユーザーによって押下されたときに、その押下位置の座標を検出するためのタッチパネルが設けられている。
【0026】
また、操作パネル101には、テンキー12やスタートキー13などのハードキーが設けられている。テンキー12は、ユーザーが数字入力を行うためのハードキーである。スタートキー13は、各種機能の実行指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。
【0027】
さらに、操作パネル101には、コピーキー14、送信キー15およびボックスキー16などのハードキーも設けられている。そして、コピーキー14がユーザーによって押下されると、コピー機能を利用する上で必要なキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。送信キー15がユーザーによって押下されると、スキャナ機能やファックス機能を利用する上で必要なキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。ボックスキー16がユーザーによって押下されると、ボックス機能を利用する上で必要なキーやメッセージなどが液晶表示部11に表示される。なお、ボックス機能とは、ボックスと呼ばれる所定の保存領域(たとえば、後述する記憶部113に設けられたフォルダ)に画像データなどを保存しておく機能である。
【0028】
図2に戻って、画像読取部102は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。画像読取部102には、図示しないが、露光ランプ、ミラー、レンズおよびイメージセンサーなどの光学系部材が設けられている。この画像読取部102は、載置読取用コンタクトガラス21に載置される原稿にビームを照射し、その原稿の反射ビームを受けたイメージセンサーの各画素の出力値をA/D変換することにより、画像データを生成する。これにより、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データを蓄積することもできる(スキャナ機能)。なお、画像読取部102による原稿の読み取り時には、載置用コンタクトガラス21に載置された原稿を原稿カバー22で押えるようになっている。
【0029】
給紙部103は、記録媒体としての用紙Pを収容するとともに、用紙Pを搬送路104に供給する。この給紙部103には、収容された用紙Pを引き出すピックアップローラー31や、用紙Pの重送を抑制するための分離ローラー32などが設けられている。
【0030】
搬送路104は、通信装置100の内部において用紙Pを搬送するものである。具体的に言うと、給紙部103から供給された用紙Pは、搬送路104によって、中間転写部106および定着部107をこの順番で通過して排出トレイ109に導かれる。この搬送路104には、用紙Pを中間転写部106の手前で待機させ、タイミングを合わせて中間転写部106に送り出すレジストローラー41などが設けられている。
【0031】
画像形成部105は、画像データに基づいてトナー像を形成するものであって、4色分の画像形成部50(ブラックのトナー像を形成する画像形成部50Bk、イエローのトナー像を形成する画像形成部50Y、シアンのトナー像を形成する画像形成部50C、および、マゼンダのトナー像を形成する画像形成部50M)と、露光装置5とを備えている。なお、画像形成部50Bk、50Y、50Cおよび50Mは、互いに異なる色のトナー像を形成するが、いずれも基本的に同様の構成である。したがって、以下の説明では、各色を表す符号(Bk、Y、CおよびM)を省略する。
【0032】
各画像形成部50のそれぞれは、図4に示すように、感光体ドラム1、帯電装置2、現像装置3および清掃装置4を含んでいる。
【0033】
各感光体ドラム1は、外周面にトナー像を担持するものであって、外周面に感光層を有するとともに、周方向に回転可能に支持されている。各帯電装置2は、対応する感光体ドラム1を一定の電位で帯電させる。各現像装置3は、対応する色の現像剤を収容し、対応する感光体ドラム1にトナーを供給する。各清掃装置4は、対応する感光体ドラム1の清掃を行う。そして、各感光体ドラム1の外周面は、露光装置5によって露光される。これにより、各感光体ドラム1の外周面に静電潜像が形成される。
【0034】
露光装置5は、図示しないが、半導体レーザー素子、ポリゴンミラー、ポリゴンモーター、Fθレンズおよび反射ミラーなどを含む。なお、これら露光装置5の構成部材は、各色の画像形成部50に対して1セットずつ設けられていてもよい。あるいは、半導体レーザー素子、Fθレンズおよび反射ミラーのみを各色の画像形成部50に対して1セットずつ設け、ポリゴンミラーおよびポリゴンモーターについては2色分(または、4色分)の画像形成部50で共用してもよい。
【0035】
図2に戻って、中間転写部106は、画像形成部105からトナー像の1次転写を受けた後、用紙Pに2次転写を行う。中間転写部106は、中間転写ベルト61と、各画像形成部50にそれぞれ割り当てられた1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mとを少なくとも含んでいる。1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mは、対応する画像形成部50(具体的には、感光体ドラム1)との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0036】
また、中間転写部106は、駆動ローラー63および従動ローラー64も含んでいる。そして、駆動ローラー63および従動ローラー64は、1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mと共に、中間転写ベルト61を張架している。このため、駆動ローラー63が回転駆動すると、中間転写ベルト61が循環移動する。
【0037】
さらに、中間転写部106は、2次転写ローラー65も含んでいる。この2次転写ローラー65は、駆動ローラー63との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0038】
そして、各画像形成部50で形成されたトナー像は、転写用電圧が印加された1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mにより、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト61に1次転写される。すなわち、中間転写ベルト61にフルカラートナー像が転写される。その後、中間転写ベルト61に1次転写されたトナー像は、転写用電圧が印加された2次転写ローラー65により、用紙Pに2次転写される。
【0039】
また、中間転写部106は、ベルト清掃装置66も含んでいる。そして、このベルト清掃装置66によって、中間転写ベルト61から用紙Pへのトナー像の2次転写の後、中間転写ベルト61の清掃が行われる。
【0040】
定着部107は、用紙Pに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させるものである。この定着部107は、発熱源を内蔵する定着ローラー71と、定着ローラー71に圧接される加圧ローラー72とを含んでいる。そして、トナー像が2次転写された用紙Pは、定着ローラー71と加圧ローラー72との間を通過することで、加熱・加圧される。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。
【0041】
そして、用紙Pは、定着部107を通過した後、排出トレイ109に排出される。これによって、画像形成処理が完了する。
【0042】
また、両面搬送路108は、両面印刷を可能とするものである。この両面搬送路108は、定着部107の下流側おいて搬送路104と分岐し、レジストローラー41の上流側において搬送路104と合流している。そして、両面搬送路108には、搬送路104との分岐点に配置された切替爪81、排出トレイ109に繋がる排出口109aに配置されているとともに正逆回転の切り換えが可能な排出ローラー82、および、用紙Pを搬送する搬送ローラー83などが設けられている。
【0043】
両面印刷を行う場合、切替爪81は、両面搬送路108を閉じるポジションとなり、定着部107から送られた用紙Pを排出トレイ109に導く。また、排出ローラー82は、ひとまず、正回転して用紙Pを排出トレイ109に排出する。この後、排出ローラー82は、用紙Pが排出ローラー82を通過しきる前に逆回転する。このとき、切替爪81は、両面搬送路108を開く方向に回動する。これにより、片面印刷された用紙Pは、両面搬送路108に導かれる。
【0044】
両面搬送路108に導かれた用紙Pは、搬送ローラー83により搬送され、レジストローラー41の上流側に至る。そして、再び、中間転写部106から定着部107へと送られる。このときには、用紙Pの表裏が逆転しているので、用紙Pの裏面(未印刷面)に対して、2次転写処理および定着処理がなされる。そして、両面印刷が終わった用紙Pは、排出トレイ109に排出される。
【0045】
次に、図5を参照して、各通信装置100のハードウェア構成について説明する。
【0046】
各通信装置100は、主制御部110を有する。この主制御部110は、中央演算処理装置であるCPU111や画像処理部112などを含む。また、主制御部110は、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などと接続されており、後述する記憶部113に記憶されたプログラムやデータに基づいて各部の制御や演算を行う。なお、主制御部110は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成や各種回転体を回転させるモーターのオン/オフを制御するエンジン制御部とに分割されていてもよい。
【0047】
主制御部110に接続される操作パネル101は、表示制御部17を有する。この表示制御部17は、CPUやICなどからなり、液晶表示部11の表示を制御する。また、表示制御部17は、液晶表示部11(タッチパネル)に表示されたキーがユーザーによって押下されると、タッチパネルの出力を受けて押下位置の座標を特定する。これにより、液晶表示部11に対してユーザーが押下した位置(選択したキー)が特定される。なお、タッチパネルの出力と押下位置の座標との対応を示すテーブルなどのデータは、たとえば、メモリ18に記憶される。また、このメモリ18に、コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、ファックス機能およびボックス機能などの各機能を利用する上で必要なキーやメッセージなどを液晶表示部11に表示するためのデータが記憶されていてもよい。
【0048】
また、主制御部110は、通信部114と接続される。通信部114は、他の通信装置100とネットワーク(あるいは、ケーブル)を介して通信可能に接続され、他の通信装置100との間で通信を行う。また、通信部114は、たとえば、外部のコンピューター200とネットワーク(あるいは、ケーブル)を介して通信可能に接続される。これにより、コンピューター200から送信された画像データに基づき印刷を行うことができる(プリント機能)。さらに、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データをコンピューター200に送信することもできる(スキャナ機能)。また、他の通信装置100との間でファックス通信を行うことができる(ファックス機能)。
【0049】
また、主制御部110は、記憶部113と接続される。記憶部113は、ROM113a、RAM113bおよびHDD113cなどの揮発性の記憶装置と不揮発性の記憶装置とを含む。そして、記憶部113には各種のプログラムやデータなどが記憶される。たとえば、各種のプログラムやデータは、ROM113aに記憶され、RAM113bに展開される。
【0050】
記憶部113には、図6に示すように、通信装置100が有する複数の機能をそれぞれ実現するための複数のアプリケーションプログラムが記憶される。記憶部113に記憶される複数のアプリケーションプログラムとしては、たとえば、コピー機能を実現するためのコピーアプリP1、プリント機能を実現するためのプリントアプリP2、スキャナ機能を実現するためのスキャナアプリP3、ファックス機能を実現するためのファックスアプリP4、および、ボックス機能を実現するためのボックスアプリP5などである。なお、これら基本的な機能に対応したアプリ以外の種々のアプリ(たとえば、インターネット網を経由したファックス通信を実現するためのアプリ)などが記憶されていてもよい。
【0051】
このように、通信装置100としての複合機は複数の機能を有するが、必要とされる機能はユーザーによって異なる。一例として、複数の機能のうちの特定の機能だけが使えれば良いと考えるユーザーもいれば、現時点で使用可能な機能以外の機能を追加で使用したいと考えるユーザーもいる。
【0052】
そこで、第1実施形態では、製品出荷時においては複数のアプリを予めインストールしているが、それら複数のアプリのうちの所定のアプリ(ユーザーが予め所望していた機能に対応するアプリ)のみを実行可能な状態にセッティングしている。そして、他のアプリについては、実行に際して、ライセンス(使用権)をユーザーに購入してもらう形態をとっている。すなわち、ユーザーは、追加で使用したいと考える機能に対応したアプリのライセンスを購入することによって、所望の機能を使用することができる。
【0053】
ただし、このような形態をとると、たとえば、複数台の通信装置100をユーザーが所有し、そのユーザーが複数台の通信装置100のそれぞれにおいてライセンスを要する同一のアプリの機能を実行させたいと要望した場合、通常では、通信装置100の台数と同数のライセンスをユーザーに購入してもらうことになる。これにより、ユーザーからすると、1つのライセンスを購入しただけでは、そのライセンスを要する同一のアプリの機能を複数台の通信装置100のそれぞれにおいて実行させることができないので、利便性が悪い。
【0054】
そこで、第1実施形態では、互いに通信可能に接続された複数台の通信装置100の間において、ライセンスを要する同一のアプリの機能が同時に実行されるのを防止しつつ、ライセンスを共有することができるようになっている。
【0055】
以下に、図7のフローチャートを参照して、ライセンスを要するアプリ(以下、所定アプリと称する)の機能を複数台の通信装置100のうちのいずれかが実行するときの動作について具体的に説明する。なお、以下の説明では、便宜上、通信装置100A、100Bおよび100Cの3台でライセンスを共有する場合について説明するが、ライセンスを共有する通信装置100の台数は特に限定されない。
【0056】
まず、図7のフローのスタート時点では、通信装置100Aがライセンスを保有しているとする。そして、通信装置100Aの記憶部113には、ライセンスを共有する通信装置100Bおよび100Cの識別情報(たとえば、IPアドレスなど)が予め記憶されている。これによって、通信装置100Aの主制御部110は、記憶部113に記憶された識別情報に基づき、通信装置100Bおよび100Cがライセンスを共有する装置であると判断できる。なお、ライセンスを共有する全ての通信装置100A、100Bおよび100Cの各記憶部113に、互いの識別情報を記憶させてもよい。
【0057】
さらに、通信装置100A、100Bおよび100Cの各記憶部113には、通信装置100Aがライセンスを保有しているという旨の情報が記憶されている。
【0058】
また、通信装置100Aの主制御部110は、ライセンスを共有する通信装置100Bおよび100Cに対して、所定アプリの機能の実行を禁じる禁則情報を通信部114に送信させている。このため、図7のフローのスタート時点では、通信装置100Aのみが所定アプリの機能を実行できる状態になっている。
【0059】
そして、図7のフローは、通信装置100Bおよび100Cの一方に対して、所定アプリの機能を実行する旨の指示をユーザーが行ったときにスタートする。なお、以下の説明では、通信装置100Bがユーザーからの実行指示を受け付けたとする。
【0060】
ステップS1において、通信装置100B(自機)の通信部114は、通信装置100A(他機)との間で所定アプリの機能の実行状況を通信し合い、通信装置100A(他機)における所定アプリの機能の実行状況に関する情報を入手する。すなわち、通信装置100B(自機)の通信部114は、通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能が実行されているか否かの情報を入手する。
【0061】
ステップS2において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信部114が入手した所定アプリの機能の実行状況から、通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能が実行されているか否かを判断する。そして、通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能が実行されていないとき、ステップS3に移行する。
【0062】
ステップS3に移行すると、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信装置100A(他機)に対して、所定アプリの機能の実行を禁じる禁則情報の解除を要求する。このときには、通信装置100A(他機)においては所定アプリの機能が実行されていないので、通信装置100A(他機)の主制御部110は、通信装置100B(自機)での禁則情報の解除を許可する。すなわち、通信装置100B(自機)の通信部114は、通信装置100A(他機)から、禁則情報の解除を許可する情報を受信する。
【0063】
続いて、ステップS4において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信部114を通じて、通信装置100A(他機)からライセンスを取得する。
【0064】
通信装置100B(自機)の通信部114がライセンスを取得すると、ステップS5において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、自機にてライセンスを保有しているという旨の情報を記憶部113に記憶させる。このときには、通信装置100Aおよび100C(他機)の各記憶部113にも、通信装置100B(自機)がライセンスを保有しているという旨の情報を記憶させる。
【0065】
そして、ステップS6において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信装置100A(他機)に対して、所定アプリの機能の実行を禁じる禁則情報を通信部114に送信させる。続いて、ステップS7において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信部114が取得したライセンスに基づき、所定アプリの機能を実行する。これによって、通信装置100B(自機)のみが所定アプリの機能を実行できる状態となる。
【0066】
一方で、ステップS2において、通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能が実行されているとき、ステップS8に移行する。そして、通信装置100B(自機)の主制御部110は、自機における所定アプリの機能の実行を禁止する。このとき、たとえば、通信装置100B(自機)の主制御部110は、所定アプリの機能を実行させることができない(通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能を実行中である)という旨の情報を自身の操作パネル101に表示させる。
【0067】
第1実施形態では、上記のように、自機にて所定アプリの機能の実行指示を受けたときに、通信部114は、他機との間で通信することで、所定アプリの機能の実行状況を入手し、主制御部110は、通信部114が入手した所定アプリの機能の実行状況から、他機にて所定アプリの機能が実行されているか否かを判断し、他機にて所定アプリの機能が実行されていなければ、通信部114にライセンスを取得させ、通信部114が取得したライセンスに基づき所定アプリの機能を実行する一方、他機にて所定アプリの機能が実行されていれば、自機にて所定アプリの機能を実行しない。このようにすれば、所定アプリを実行する上で必要なライセンスを複数台の通信装置100で共有させたとしても、所定アプリの機能が複数台の通信装置100で同時に実行されることはない。このため、所定アプリの機能を複数台の通信装置100で異なる時期に実行させるユーザーに対しては、ライセンスを1つ購入してもらうだけでよく、使用する通信装置100の台数分のライセンスを購入してもらう必要はない。したがって、ユーザーからすると、1つのライセンスを購入するだけで、所定アプリの機能を複数台の通信装置100で実行することができるので、利便性が良い。言い換えると、所定アプリの機能の実行に際して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、自機にて所定アプリの機能を実行する際、通信部114は、所定アプリの機能の実行を禁じる禁則情報を他機に送信する。このように構成すれば、自機にて所定アプリの機能を実行しているときに、他機にて所定アプリが実行されることはない。このため、確実に、所定アプリの機能が複数台の通信装置100で同時に実行されるのを防止することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、ライセンスを共有する全ての他機の識別情報を記憶部113が予め記憶し、主制御部110は、記憶部113に記憶された識別情報に基づいて、ライセンスを共有する他機を判別する。このように構成すれば、ライセンスを共有する他機の判別が容易になる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、自機および他機に、所定アプリが予めインストールされている。このように構成すれば、自機(または他機)にて所定アプリを実行する際に、所定アプリをインストールするという動作が不要となり、ユーザーの利便性をより向上させることができる。
【0071】
(第2実施形態)
この第2実施形態では、所定アプリが複数の機能を個別に実現できる場合について説明する。なお、複数の機能を個別に実現できる所定アプリとしては、たとえば、図6に示したファックスアプリP4である。ファックスアプリP4は、送信機能と受信機能とを個別に実現できる。
【0072】
このようになっていると、所定アプリの複数の機能を複数台の通信装置100で別々に使用したいとユーザーが要望する場合がある。したがって、第2実施形態では、所定アプリの複数の機能を複数台の通信装置100で別々に実行させることができるようになっている。なお、この場合には、たとえば、所定アプリの全部の機能を実行可能にする1つのライセンスを、所定アプリの機能数に応じて複数に分割できるようにすればよい。以下、図8のフローに沿って具体的に説明する。
【0073】
まず、図8のフローのスタート時点としては、第1実施形態における図7のフローのスタート時点と同様であるとする。すなわち、通信装置100Aがライセンスを保有し、通信装置100Aのみが所定アプリの複数の機能を実行できる状態になっている。
【0074】
そして、図8のフローは、通信装置100Bおよび100Cの一方に対して、所定アプリの複数の機能のうちのいずれかの機能を実行する旨の指示をユーザーが行ったときにスタートする。なお、以下の説明では、通信装置100Bがユーザーからの実行指示を受け付けたとする。
【0075】
ステップS11において、通信装置100B(自機)の通信部114は、通信装置100A(他機)との間で所定アプリの複数の機能の実行状況を通信し合い、通信装置100A(他機)における所定アプリの複数の機能の実行状況に関する情報を入手する。
【0076】
ステップS12において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信部114が入手した所定アプリの複数の機能の実行状況から、通信装置100A(他機)にて実行されていない機能(第1機能)および実行されている機能(第2機能)を識別する。そして、ステップS13において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、実行指示を受け付けた機能が第1機能であるか否か(実行指示を受け付けた機能が通信装置100Aにて実行されていないか否か)を判断する。
【0077】
実行指示を受け付けた機能が第1機能であれば(実行指示を受け付けた機能が通信装置100Aにて実行されていなければ)、ステップS14に移行し、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信装置100A(他機)に対して、第1機能に関する禁則情報の解除を要求する。このときには、通信装置100A(他機)においては第1機能が実行されていないので、通信装置100A(他機)の主制御部110は、通信装置100B(自機)での第1機能に関する禁則情報の解除を許可する。すなわち、通信装置100B(自機)の通信部114は、通信装置100A(他機)から、第1機能に関する禁則情報の解除を許可する情報を受信する。
【0078】
続いて、ステップS15において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信部114を通じて、通信装置100A(他機)から、第1機能の実行に必要なライセンスのみを取得する。
【0079】
第1機能の実行に必要なライセンスを通信装置100B(自機)の通信部114が取得すると、ステップS16において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、第1機能の実行に必要なライセンスを自機にて保有しているという旨の情報を記憶部113に記憶させる。このときには、通信装置100Aおよび100C(他機)の各記憶部113にも、第1機能の実行に必要なライセンスを通信装置100B(自機)が保有しているという旨の情報を記憶させる。
【0080】
そして、ステップS17において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信装置100A(他機)に対して、第1機能に関する禁則情報を通信部114に送信させる。ただし、第2機能に関する禁則情報については送信させない。続いて、ステップS18において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信部114が取得したライセンスに基づいて、第1機能を実行する。これによって、第1機能および第2機能のうち、第1機能については通信装置100B(自機)のみが実行できる状態となり、第2機能については通信装置100A(他機)のみが実行できる状態となる。
【0081】
一方で、ステップS13において、実行指示を受け付けた機能が第1機能ではなく第2機能であれば(実行指示を受け付けた機能が通信装置100Aにて実行されていれば)、ステップS19に移行する。そして、通信装置100B(自機)の主制御部110は、自機における第2機能の実行を禁止する。このとき、たとえば、通信装置100B(自機)の主制御部110は、第2機能を実行させることができない(通信装置100A(他機)にて第2機能を実行中である)という旨の情報を自身の操作パネル101に表示させる。
【0082】
なお、上記した構成において、たとえば、所定アプリの第1機能を通信装置100Aのみで使用したいとユーザーが要望する場合がある。あるいは、通信装置100Bおよび100Cの製品仕様が通信装置100Aの製品仕様と異なっているとすると、通信装置100Bおよび100Cの製品仕様では、所定アプリの第1機能の実行そのものが不可能な場合もある。このような場合、第2実施形態では、通信装置100Bおよび100Cに対して所定アプリの第1機能の実行指示があったとしても、その実行指示そのものを受け付けないようになっている。
【0083】
第2実施形態では、上記のように、通信部114は、他機との間で通信することで、他機における所定アプリの複数の機能の各実行状況を入手し、主制御部110は、通信部114が入手した所定アプリの複数の機能の各実行状況から、他機にて実行されていない第1機能および他機にて実行されている第2機能を識別し、自機にて第1機能の実行指示を受けたときには、主制御部110は第1機能を実行する一方、自機にて第2機能の実行指示を受けたときには、主制御部110は第2機能を実行しない。このように構成すれば、所定アプリを実行する上で必要なライセンスを複数台の通信装置100で共有させたとしても、所定アプリの複数の機能のうちの同一の機能が複数台の通信装置100で同時に実行されることはない。このため、所定アプリの複数の機能を複数台の通信装置100で別々に実行させるユーザーに対しては、ライセンスを1つ購入してもらうだけでよく、使用する通信装置100の台数分のライセンスを購入してもらう必要はない。したがって、ユーザーからすると、1つのライセンスを購入するだけで、所定アプリの複数の機能を複数台の通信装置100で別々に実行することができるようになり、利便性が良い。
【0084】
また、第2実施形態では、上記のように、自機にて第1機能を実行する際、通信部114は、第1機能の実行を禁じる禁則情報を他機に送信する一方で、第2機能の実行を禁じる禁則情報は他機に送信しない。このように構成すれば、自機にて第1機能を実行しているときに、他機にて第1機能が実行されることはない。すなわち、確実に、所定アプリの複数の機能のうちの同一の機能が複数台の通信装置100で同時に実行されるのを防止することができる。なお、この場合、第2機能については、他機にて実行させ続けることができる。
【0085】
また、第2実施形態では、所定アプリの複数の機能のうちの少なくとも1つの機能を、自機および他機の一方においてのみ実行させる場合、自機および他機の他方は、自機および他機の一方においてのみ実行させる機能の実行指示を受け付けないようになっている。このように構成すれば、容易に、自機および他機の一方においてのみ実行させる機能が、自機および他機の他方において実行されるのを防止することができる。
【0086】
(第3実施形態)
第3実施形態では、図9に示すように、アプリを配信するサーバー150がネットワーク上に設けられており、通信装置100A、100Bおよび100Cがサーバー150に接続されている。そして、たとえば、通信装置100A、100Bおよび100Cは、サーバー150から所定アプリを取得するようになっている。この場合、所定アプリの機能を複数台の通信装置100のうちのいずれかが実行するときの動作としては、図10のフローに沿ったものとなる。
【0087】
まず、図10のフローのスタート時点では、所定アプリおよびライセンスが通信装置100Aにインストールされており、通信装置100Aのみが所定アプリの機能を実行できる状態になっているとする。そして、通信装置100A、100Bおよび100Cの各記憶部113には、所定アプリおよびライセンスが通信装置100Aにインストールされているという旨の情報が記憶されている。
【0088】
さらに、サーバー150にも、所定アプリおよびライセンスが通信装置100Aにインストールされているという旨の情報が記憶されている。このため、所定アプリおよびライセンスが通信装置100Aにインストールされた状態では、通信装置100Bおよび100Cは、所定アプリおよびライセンスをサーバー150からインストールすることができない。
【0089】
また、たとえば、サーバー150は、通信装置100A、100Bおよび100Cの3台が所定アプリおよびライセンスを共有することを記憶している。このため、サーバー150は、通信装置100A、100Bおよび100Cの3台以外の通信装置から所定アプリおよびライセンスのインストールの要求があったとしても、その要求は受け付けない。
【0090】
そして、図10のフローは、通信装置100Bおよび100Cの一方に対して、所定アプリの機能を実行する旨の指示をユーザーが行ったときにスタートする。なお、以下の説明では、通信装置100Bがユーザーからの実行指示を受け付けたとする。
【0091】
ステップS21において、通信装置100B(自機)の通信部114は、通信装置100A(他機)との間で所定アプリの機能の実行状況を通信し合い、通信装置100A(他機)における所定アプリの機能の実行状況に関する情報を入手する。すなわち、通信装置100B(自機)の通信部114は、通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能が実行されているか否かの情報を入手する。
【0092】
ステップS22において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信部114が入手した所定アプリの機能の実行状況から、通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能が実行されているか否かを判断する。そして、通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能が実行されていないとき、ステップS23に移行する。
【0093】
ステップS23に移行すると、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信装置100A(他機)に対して、所定アプリおよびライセンスのアンインストールを要求する。このときには、通信装置100A(他機)においては所定アプリの機能が実行されていないので、通信装置100A(他機)の主制御部110は、所定アプリおよびライセンスをアンインストールする。なお、通信装置100A(他機)において所定アプリおよびライセンスのアンインストールが行われたことを示す情報は、サーバー150に送信される。
【0094】
続いて、ステップS24において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、通信部114を通じて、所定アプリおよびライセンスをサーバー150からインストールする。これにより、所定アプリおよびライセンスが通信装置100B(自機)のみにインストールされた状態となる。
【0095】
所定アプリおよびライセンスが通信装置100B(自機)にインストールされると、ステップS25において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、所定アプリおよびライセンスが自機にインストールされているという旨の情報を記憶部113に記憶させる。このときに、通信装置100Aおよび100C(他機)の各記憶部113にも、所定アプリおよびライセンスが通信装置100B(自機)にインストールされているという旨の情報を記憶させる。
【0096】
そして、ステップS26において、通信装置100B(自機)の主制御部110は、ライセンスに基づき、所定アプリの機能を実行する。
【0097】
一方で、ステップS22において、通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能が実行されているとき、ステップS27に移行する。そして、通信装置100B(自機)の主制御部110は、自機における所定アプリの機能の実行を禁止する。このとき、たとえば、通信装置100B(自機)の主制御部110は、所定アプリの機能を実行させることができない(通信装置100A(他機)にて所定アプリの機能を実行中である)という旨の情報を自身の操作パネル101に表示させる。
【0098】
第3実施形態では、上記のように、自機および他機の一方は、所定アプリの機能を実行するときに、所定アプリをインストールし、自機および他機の他方は、自機および他機の一方が所定アプリの機能を実行するときに、所定アプリをインストールしていれば、所定アプリをアンインストールする。これにより、自機に所定アプリがインストールされている期間と他機に所定アプリがインストールされている期間とが重なることはない。このため、容易に、所定アプリの機能が複数台の通信装置100で同時に実行されるのを防止することができる。
【0099】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0100】
100、100A、100B、100C 通信装置
110 主制御部(制御部)
113 記憶部
114 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機と通信可能に接続される他機との間で通信する通信部と、
実行に際してライセンスを要するアプリケーションプログラムを格納する記憶部と、
前記ライセンスに基づき前記アプリケーションプログラムの機能を実行する制御部と、を備え、
前記アプリケーションプログラムを実行する上で必要な前記ライセンスは、前記自機と前記他機とで共有され、
前記自機にて前記アプリケーションプログラムの機能の実行指示を受けたとき、
前記通信部は、前記他機との間で通信することで、前記アプリケーションプログラムの機能の実行状況を入手し、
前記制御部は、前記通信部が入手した前記アプリケーションプログラムの機能の実行状況から、前記他機にて前記アプリケーションプログラムの機能が実行されているか否かを判断し、前記他機にて前記アプリケーションプログラムの機能が実行されていなければ、前記通信部に前記ライセンスを取得させ、前記通信部が取得した前記ライセンスに基づき前記アプリケーションプログラムの機能を実行する一方、前記他機にて前記アプリケーションプログラムの機能が実行されていれば、前記自機にて前記アプリケーションプログラムの機能を実行しないことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記自機にて前記アプリケーションプログラムの機能を実行する際、前記通信部は、前記アプリケーションプログラムの機能の実行を禁じる禁則情報を前記他機に送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記ライセンスを共有する全ての他機の識別情報を前記記憶部が予め記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された識別情報に基づいて、前記ライセンスを共有する他機を判別することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記自機および前記他機に、前記アプリケーションプログラムが予めインストールされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記自機および前記他機の一方は、前記アプリケーションプログラムの機能を実行するときに、前記アプリケーションプログラムをインストールし、
前記自機および前記他機の他方は、前記自機および前記他機の一方が前記アプリケーションプログラムの機能を実行するときに、前記アプリケーションプログラムをインストールしていれば、前記アプリケーションプログラムをアンインストールすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
前記アプリケーションプログラムは、複数の機能を個別に実現でき、
前記通信部は、前記他機との間で通信することで、前記複数の機能の各実行状況を入手し、
前記制御部は、前記通信部が入手した前記複数の機能の各実行状況から、前記他機にて実行されていない第1機能および前記他機にて実行されている第2機能を識別し、
前記自機にて前記第1機能の実行指示を受けたときには、前記制御部は前記第1機能を実行する一方、前記自機にて前記第2機能の実行指示を受けたときには、前記制御部は前記第2機能を実行しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記自機にて前記第1機能を実行する際、前記通信部は、前記第1機能の実行を禁じる禁則情報を前記他機に送信する一方で、前記第2機能の実行を禁じる禁則情報は前記他機に送信しないことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記アプリケーションプログラムの複数の機能のうちの少なくとも1つの機能を、前記自機および前記他機の一方においてのみ実行させる場合、前記自機および前記他機の他方は、前記自機および前記他機の一方においてのみ実行させる機能の実行指示を受け付けないことを特徴とする請求項6または7に記載の通信装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の通信装置を複数台含み、
前記複数台の通信装置は、互いに通信可能に接続され、前記アプリケーションプログラムを実行する上で必要な前記ライセンスを共有することを特徴とする通信システム。
【請求項10】
互いに通信可能に接続された複数台の通信装置により機能が実行され、前記機能の実行に際してライセンスを必要とし、前記複数台の通信装置で前記ライセンスが共有されるアプリケーションプログラムであって、
一方の通信装置にて前記機能の実行指示を受けたとき、
他方の通信装置との間で通信させることで、前記機能の実行状況を入手させるステップと、
入手した前記機能の実行状況から、前記他方の通信装置にて前記機能が実行されているか否かを判断させ、前記他方の通信装置にて前記機能が実行されていなければ、前記ライセンスを取得させ、取得した前記ライセンスに基づき前記機能を実行させる一方、前記他方の通信装置にて前記機能が実行されていれば、前記機能を実行させないようにするステップと、を前記一方の通信装置に行わせることを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項11】
前記アプリケーションプログラムは、複数の機能を個別に実現でき、
前記一方の通信装置にて前記複数の機能のうちのいずれかの実行指示を受けたとき、
前記他方の通信装置との間で通信させることで、前記複数の機能の各実行状況を入手させるステップと、
入手した前記複数の機能の各実行状況から、前記他方の通信装置にて実行されていない第1機能および前記他方の通信装置にて実行されている第2機能を識別させるステップと、
前記一方の通信装置にて前記第1機能の実行指示を受けたときには、前記第1機能を実行させる一方、前記一方の通信装置にて前記第2機能の実行指示を受けたときには、前記第2機能を実行させないようにするステップと、を前記一方の通信装置に行わせることを特徴とする請求項10に記載のアプリケーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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