説明

通信装置および通信装置の制御方法

【課題】ネットワークカードを装着したスキャナー装置の消費電力を低減する。
【解決手段】 スキャナー装置30に接続することで従属して作動し、スキャナー装置30とLAN50とを通信可能に接続するネットワークカード10は、外部からLAN50を介してスキャナー装置30に送られた命令情報を取得して解析し、スキャナー装置30に対して所定の動作を指示する命令か、否かを判定するコマンド判定部14と、命令情報が所定の動作を指示しないと判定した場合、命令情報を記憶するコマンド記憶部16と、スキャナー装置30が通常状態、および節電状態の何れの状態かを検知し、スキャナー装置30が通常状態である場合、コマンド記憶部16に記憶した命令情報をスキャナー装置30に送るべく指示するコマンド送信指示部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置および通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報機器に装着することで、LAN(Local Area Network)のノードとして機能するLANボードは、LAN上におけるパケットデータの流れを常に監視しなければならないため、内部回路全体に対する電力供給がカットされることなく、常に一定レベルの電力供給を受けて動作させる必要があった。
このようなLANボードを装着した情報機器の消費電力を低減させるべく、下記特許文献1に示すように、待機状態で所定の時間経過後は、LANボードが省電力動作モードによる動作待機状態に遷移し、LAN上で自分宛のパケットを検知するか、または、情報機器に渡すべきパケットを検知した場合に、省電力動作モードではない通常の電力動作モードによる動作待機状態に復帰すると共に、情報機器も通常の電力動作モードによる動作待機状態に復帰させ、パケットを情報機器に渡した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−108273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パケットに含まれる情報内容によっては、そのパケットを情報機器に即座に渡す必要が無い場合であっても、LANボードと共に情報機器も通常の電力動作モードによる動作待機状態に復帰するため、LANボードを装着した情報機器の消費電力を効率良く低減できなかった。本発明は、LANボードを装着した情報機器の消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかる通信装置は、情報処理装置に接続することで、前記情報処理装置に従属して作動し、前記情報処理装置と外部装置とを通信可能に接続する通信装置であって、前記外部装置から前記情報処理装置に送られた命令情報を取得して解析し、前記命令情報が前記情報処理装置に対して所定の動作を指示する命令か、否かを判定する判定部と、前記判定部が、前記命令情報は前記所定の動作を指示する命令ではないと判定した場合、前記命令情報を記憶する記憶部と、前記情報処理装置が電力を通常に消費する通常状態、および消費電力を低減した節電状態の何れの状態かを検知し、前記情報処理装置が前記通常状態である場合、前記記憶部が記憶している前記命令情報を前記情報処理装置に送る送信部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、外部装置から情報処理装置に送られた命令情報を解析した結果、情報処理装置に対して所定の動作を指示する命令ではないと判定した場合、その命令情報を記憶し、情報処理装置が電力を通常に消費する通常状態である場合、記憶した命令情報を情報処理装置に送る。従って、所定の動作を指示しない命令情報は、情報処理装置が消費電力を低減した節電状態である場合には送られず、情報処理装置が通常状態である場合に送られるため、情報処理装置が節電状態において、どのような命令情報を受けても通常状態に遷移してしまうことを回避できることから、通信装置が接続された情報処理装置の消費電力を低減できる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかる通信装置において、前記情報処理装置が前記節電状態から前記通常状態に遷移したことを前記送信部が検知した場合、前記送信部は前記記憶部に記憶した前記命令情報を直ちに前記情報処理装置に送ることが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、情報処理装置が節電状態である間に記憶された命令情報は、情報処理装置が通常状態に遷移した場合、記憶した順序で情報処理装置に送られる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例にかかる通信装置において、前記通常状態および前記節電状態の何れか一方の状態であって、前記情報処理装置が前記一方の状態から他方の状態に遷移したことを検知した場合、前記他方の状態に遷移することを特徴とすることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、情報処理装置の状態に追従して、通信装置も通常状態と節電状態を切り替えることができる。
【0012】
[適用例4]
上記適用例にかかる通信装置において、前記節電状態は、タスクを処理する速度が減速された状態であっても良い。
【0013】
[適用例5]
上記適用例にかかる通信装置において、前記判定部は、前記命令情報が前記所定の動作を指示する命令である場合、前記情報処理装置が前記通常状態および前記節電状態の何れであっても、前記命令情報を前記記憶部に記憶することなく、前記情報処理装置に送ることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、命令情報が情報処理装置の動作を指示する命令である場合、情報処理装置の状態に依らず、即座に情報処理装置に伝達できる。
【0015】
[適用例6]
上記適用例にかかる通信装置において、前記記憶部は、自身と着脱可能であっても良い。
【0016】
[適用例7]
本適用例にかかる通信装置の制御方法は、情報処理装置に接続することで、前記情報処理装置に従属して作動し、前記情報処理装置と外部装置とを通信可能に接続する通信装置の制御方法であって、前記外部装置から前記情報処理装置に送られた命令情報を取得して解析し、前記命令情報が前記情報処理装置に対して所定の動作を指示する命令か、否かを判定する判定工程と、前記判定工程で前記命令情報は前記所定の動作を指示する命令ではないと判定した場合、前記命令情報を記憶する記憶工程と、前記情報処理装置が電力を通常に消費する通常状態、および消費電力を低減した節電状態の何れの状態かを検知し、前記情報処理装置が前記通常状態である場合、前記記憶工程で記憶した前記命令情報を前記情報処理装置に送る送信工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
このような方法によれば、外部装置から情報処理装置に送られた命令情報を解析した結果、即座に情報処理装置に送る必要がないと判定した場合、その命令情報を記憶し、情報処理装置が電力を通常に消費する通常状態である場合、記憶した命令情報を情報処理装置に送る。従って、即座に情報処理装置に送る必要がない命令情報は、情報処理装置が消費電力を低減した節電状態である場合には送られず、情報処理装置が通常状態である場合に送られるため、情報処理装置が節電状態において不急の命令情報を受けることで通常状態に遷移することを回避できることから、通信装置が接続された情報処理装置の消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るスキャナー装置とネットワークカードの構成を示すブロック図。
【図2】スキャナー装置、ネットワークカードおよびクライアント装置において、非動作コマンドの処理の流れを示すフローチャート。
【図3】スキャナー装置、ネットワークカードおよびクライアント装置において、動作コマンドの処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の通信装置について図面を参照して説明する。
【0020】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態として、情報処理装置としてのスキャナー装置30と、通信装置としてのネットワークカード10の構成を示すブロック図である。
スキャナー装置30は、スキャナー機能を有するスキャナー部34と、ユーザーがスキャナー装置30を操作するための操作パネル32と、装着したネットワークカード10と通信する本体通信部36と、種々の設定をデータベース(DB)に記憶する記憶部38と、を備える。
このスキャナー装置30は、プッシュスキャンおよびプルスキャンの何れにも対応できる。即ち、プルスキャンを行う場合、LAN50に接続された外部装置としてのクライアント装置40から送信される読み取り命令に応じて、スキャナー部34が原稿の読み取りを開始し、読み取った原稿の画像データをクライアント装置40に対して送信する。また、プッシュスキャンを行う場合、原稿の読み取りを指示する操作が操作パネル32で行われるのを受けて、スキャナー部34が原稿の読み取りを開始し、読み取った原稿の画像データをユーザーが指定したクライアント装置40に対して送信する。
【0021】
また、このスキャナー装置30は、所定の時間に渡り、スキャナー動作が実行されないような場合、規定の電力を消費する通常状態(通常モード)から、必要最小限の機能を除いて機能を休止することで消費する電力を低減した節電状態(節電モード)に遷移する機能を有する。他方で、ユーザーが操作パネル32を操作してプッシュスキャン実行を指示したり、クライアント装置40からプルスキャン実行が要求されたりした場合、スキャナー装置30は、節電モードから通常モードに遷移する。本実施形態では、スキャナー装置30のモードが切り替わった場合、モード移行を示す通知が本体通信部36から従属通信部18に送られるように構成されている。
また、このスキャナー装置30は、何れも図示は略した、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、光源、光学系、光電変換素子、走査駆動系、原稿用紙自動給紙装置(ADF)および液晶パネル等をハードウェアとして備える。尚、本実施形態では、スキャナー装置30は、単一機能の装置を想定するが、これに限定されるものではなく、プリンターやコピー機能を具備した複合機の様態でも良い。
【0022】
ネットワークカード10は、スキャナー装置30に装着し、LAN50におけるノードとして、スキャナー装置30とLAN50とを通信可能に接続する。このネットワークカード10は、ネットワーク通信部12、コマンド判定部14、コマンド記憶部16、従属通信部18およびコマンド送信指示部20を備える。
このネットワークカード10は、何れも図示は略した、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリーおよびMAC(Media Access Control)コントローラー等をハードウェアとして備える。
【0023】
このネットワークカード10は、スキャナー装置30に従属して動作する。従って、スキャナー装置30が通常モードから節電モードに遷移した場合、ネットワークカード10も通常モードから節電モードに遷移する。また、スキャナー装置30が節電モードから通常モードに遷移した場合、ネットワークカード10も節電モードから通常モードに遷移する。尚、ネットワークカード10は、節電モードに遷移した場合、CPUが実行すべき仕事(タスク)を処理する速度(処理速度)や、ネットワークの通信速度を減速したりすることで、ネットワークカード10の消費電力を低減する。尚、CPUの処理速度を変化させる制御装置は、例えば、特開2009−282998号公報に開示されている。また、ネットワークの通信速度を変化させる制御方法は、例えば、特開2009−49602号公報に開示されている。
ネットワーク通信部12は、OSI(Open System Interconnection)参照モデルのような階層化されたプロトコルに基づき、LAN50を介してクライアント装置40との間で情報を送受信する。
従属通信部18は、スキャナー装置30との間で通信を行う機能を有する。尚、本実施形態では、本体通信部36と従属通信部18は、USB(Universal Serial Bus)を介した通信を想定するが、これに限定されない。
【0024】
コマンド判定部14は、例えば、クライアント装置40のようにLAN50に接続された外部のノードから送信された情報を取得し、取得した情報を解析し、その情報がスキャナー装置30に対して所定の動作を指示する命令であるか、否かを判定する。
本実施形態では、コマンド判定部14は、ネットワーク通信部12が受信した情報を取得し解析する。その際、コマンド判定部14は、FIFO(First―In First−Out)メモリを備え、受信した情報を一時的に保持し、順次解析しても良い。続いて、コマンド判定部14は、スキャナー装置30に対して動作を指示する命令情報(コマンド)であるか、否かを判定する。ここで、判定の結果、スキャン実行要求のように、スキャナー装置30に対してスキャン動作を要求するような動作コマンドであった場合、そのコマンドは即座に送るべきであると判定し、コマンド記憶部16に記憶することなく、従属通信部18からスキャナー装置30に即座に送る。
他方で、判定の結果、スキャナー装置30に対して、例えば、プッシュスキャン方法の更新を指示するようなスキャン動作を要求しない非動作コマンドであった場合、コマンドをコマンド記憶部16に送り記憶する。尚、コマンドは、ネットワークカード10のフラッシュメモリー等に記憶されても良く、メモリーカードのような外部記憶媒体に記憶されても良い。
【0025】
コマンド送信指示部20は送信部であり、スキャナー装置30が通常モードであるか、節電モードであるかを検知し、スキャナー装置30が通常モードであることを検知した場合、コマンド記憶部16に記憶されているコマンドをスキャナー装置30に送信するべく送信指示をコマンド記憶部16に送る。
コマンド記憶部16は、コマンド判定部14で判定されたスキャン動作を要求しないコマンドをDBとして記憶し、コマンド送信指示部20から送られる送信指示に応じて、記憶しているコマンドを記憶した順序に従いスキャナー装置30に送信した後、送信したコマンドをDBから消去する。
【0026】
本実施形態では、スキャナー装置30は、モードが変更された場合、ネットワークカード10に対してモード変更を通知することで、コマンド送信指示部20はスキャナー装置30が何れのモードであるかを検知している。従って、スキャナー装置30が節電モードである場合は、コマンド送信指示部20から送信指示が送られないため、クライアント装置40から送られたコマンドはコマンド記憶部16に順次記憶される。そして、ユーザーがスキャナー装置30を操作したような場合や、ユーザーが原稿カバーを開けた場合や、ADFに原稿がセットされた場合、スキャナー装置30は節電モードから通常モードに遷移し、その後に行われるモード変更通知の結果、コマンド送信指示部20は、送信指示をコマンド記憶部16に送る。
その結果、コマンド記憶部16が記憶しているコマンドはスキャナー装置30に送られる。そして、再度節電モードに遷移し、モード変更通知が発行されるまで、コマンド記憶部16に記憶されたコマンドは、即座にスキャナー装置30に送られる。尚、モードの検知方法は、スキャナー装置30からの通知に限定されず、所定の時間間隔でスキャナー装置30のモードを検知する様態であっても良い。
【0027】
次に、図2は、スキャナー装置30、ネットワークカード10およびクライアント装置40において、非動作コマンドの処理の流れを示すフローチャートである。
スキャナー装置30は、起動されると通常モードで立ち上がるように設定されている。また、ネットワークカード10は、スキャナー装置30の起動を受けて通常モードで立ち上がる。
【0028】
最初に、スキャナー装置30は、起動して所定の時間以内に動作指示が得られない場合、節電モードに遷移する(ステップS100)。そして、スキャナー装置30は、ネットワークカード10に対してモードが移行したことを示す情報を通知する(ステップS102)。続いて、ネットワークカード10は、スキャナー装置30から送られる節電モードに移行した情報に基づき、節電モードに移行する(ステップS104)。
ここで、スキャナー装置30およびネットワークカード10が節電モードの状態において、ユーザーは、クライアント装置40を操作して、プッシュスキャンの方法を更新する(ステップS106)。クライアント装置40は、プッシュスキャンの方法の更新通知をネットワークカード10に送る(ステップS108)。続いて、ネットワークカード10は、クライアント装置40から送られたコマンドを解析し、即座にスキャナー装置30に送る必要がない非動作コマンドであると判定する<判定工程>。この結果、ネットワークカード10は、クライアント装置40から送られたコマンドを記憶するDBを更新する(ステップS110)<記憶工程>。
【0029】
続いて、ユーザーは、スキャナー装置30の操作パネル32を操作する(ステップS112)。この操作を受けて、スキャナー装置30は、節電モードから通常モードに遷移し、モードが移行したことを示す情報を通知する(ステップS114)。続いて、ネットワークカード10は、スキャナー装置30が通常モードに遷移したことを受け、節電モードから通常モードに移行する(ステップS116)。
更に、ネットワークカード10のコマンド送信指示部20は、スキャナー装置30が通常モードに遷移したことを受け、コマンド記憶部16にDBの送信を指示し<送信指示工程>、この指示を受けて、コマンド記憶部16は、DBの更新通知をスキャナー装置30に通知する(ステップS118)<送信工程>。この場合、クライアント装置40から送られた時間が古い情報から順次スキャナー装置30に通知する。
続いて、スキャナー装置30は、DBの更新通知を受信した後、所定のタイミングで、スキャナー装置30のDBを更新し(ステップS120)、更新したDBに基づいて、操作パネル32に表示されている情報の中から、プッシュスキャン方法に関する情報の表示を更新する(ステップS122)。
【0030】
次に、スキャナー装置30およびネットワークカード10が通常モードの状態において、ユーザーは、クライアント装置40を操作して、プッシュスキャンの方法を更新する(ステップS124)。クライアント装置40は、プッシュスキャンの方法の更新通知をネットワークカード10に送る(ステップS126)。続いて、ネットワークカード10は、クライアント装置40から送られたコマンドを解析し、非動作コマンドであると判定する。この結果、ネットワークカード10は、クライアント装置40から送られたコマンドを記憶するDBを更新する(ステップS128)。ここで、ネットワークカード10は、スキャナー装置30が通常モードであるため、DBの更新通知をスキャナー装置30に即座に通知する(ステップS130)。
続いて、スキャナー装置30は、DBの更新通知を受信し、この更新通知に従い、スキャナー装置30のDBを更新し(ステップS132)、更新したDBに基づいて、操作パネル32に表示されている情報の中から、プッシュスキャン方法に関する情報の表示を更新する(ステップS134)。
【0031】
次に、図3は、スキャナー装置30、ネットワークカード10およびクライアント装置40において、動作コマンドの処理の流れを示すフローチャートである。
最初に、スキャナー装置30は、起動して所定の時間経過後に、節電モードに遷移する(ステップS200)。次に、スキャナー装置30は、ネットワークカード10に対してモードが移行したことを示す情報を通知する(ステップS202)。続いて、ネットワークカード10は、スキャナー装置30から送られる情報に基づき、節電モードに移行する(ステップS204)。
【0032】
ここで、スキャナー装置30およびネットワークカード10が節電モードの状態において、ユーザーは、クライアント装置40を操作して、プルスキャンを実行すべく、スキャン操作要求を行う(ステップS206)。クライアント装置40は、スキャン操作を要求する動作コマンドをネットワークカード10に送る(ステップS208)。続いて、ネットワークカード10は、節電モードを維持した状態で、クライアント装置40から送られたコマンドを解析し、即座にスキャナー装置30に送る必要がある動作コマンドであると判定し、この動作コマンドを即座にスキャナー装置30に送る(ステップS210)。
【0033】
次に、スキャナー装置30は、動作コマンドを受けて、通常モードに移行する(ステップS212)。続いて、スキャナー装置30は、ネットワークカード10に対してモードが移行したことを示す情報を通知する(ステップS214)。続いて、スキャナー装置30は、動作コマンドに応じてスキャンを実行する(ステップS218)。
また、ネットワークカード10は、スキャナー装置30から送られる情報に基づき、通常モードに移行する(ステップS216)。
【0034】
以上述べた実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
(1)クライアント装置40からスキャナー装置30に対して送られるコマンドが、スキャナー装置30の動作指示を伴わないコマンドの場合、このコマンドは、ネットワークカード10に一時的に保持され、スキャナー装置30が通常モードに移行するのを待って、スキャナー装置30に送られる。従って、節電モードの状態であるスキャナー装置30は、不急なコマンドに対して通常モードに遷移することなく、節電モードを維持するため、スキャナー装置30の消費電力を低減できる。
【0035】
(2)更に、節電モードのスキャナー装置30は、不急なコマンドに対して通常モードに遷移しないことから、スキャナー装置30に従属するネットワークカード10も節電モードを維持するため、ネットワークカード10の消費電力を低減できる。
(3)クライアント装置40からスキャナー装置30に対して送られるコマンドが、スキャナー装置30の動作指示を伴うコマンドの場合、ネットワークカード10が節電モードの状態であっても、即座にスキャナー装置30に送られ、スキャナー装置30が動作可能状態に遷移して、コマンドに応じた動作が実行される。従って、スキャナー装置30やネットワークカード10のモードに依らず、スキャナー装置30に対して動作を迅速に実行させることができる。
【0036】
以上、本発明を図示した実施形態に基づいて説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、以下に述べるような変形例も想定できる。
(1)ネットワークカード10を装着する情報処理装置はスキャナー装置30に限定されるものではなく、プリンターやプロジェクターのような種々の装置も想定できる。また、通信装置はネットワークを介しての通信に限定されるものではなく、所定のプロトコルに従い通信するものであれば何れも適用できる。
また、以上のような手法を実施する装置は、単独の装置によって実現される場合もあれば、複数の装置を組み合わせることによって実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。
【符号の説明】
【0037】
10…ネットワークカード、12…ネットワーク通信部、14…コマンド判定部、16…コマンド記憶部、18…従属通信部、20…コマンド送信指示部、30…スキャナー装置、32…操作パネル、34…スキャナー部、36…本体通信部、38…記憶部、40…クライアント装置、50…LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に接続することで、前記情報処理装置に従属して作動し、前記情報処理装置と外部装置とを通信可能に接続する通信装置であって、
前記外部装置から前記情報処理装置に送られた命令情報を取得して解析し、前記命令情報が前記情報処理装置に対して所定の動作を指示する命令か、否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記命令情報は前記所定の動作を指示する命令ではないと判定した場合、前記命令情報を記憶する記憶部と、
前記情報処理装置が電力を通常に消費する通常状態、および消費電力を低減した節電状態の何れの状態かを検知し、前記情報処理装置が前記通常状態である場合、前記記憶部が記憶している前記命令情報を前記情報処理装置に送る送信部と、を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記情報処理装置が前記節電状態から前記通常状態に遷移したことを前記送信部が検知した場合、前記送信部は前記記憶部に記憶した前記命令情報を直ちに前記情報処理装置に送ることを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の通信装置において、
前記通常状態および前記節電状態の何れか一方の状態であって、前記情報処理装置が前記一方の状態から他方の状態に遷移したことを検知した場合、前記他方の状態に遷移することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信装置において、
前記節電状態は、タスクを処理する速度が減速された状態であることを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信装置において、
前記判定部は、前記命令情報が前記所定の動作を指示する命令である場合、前記情報処理装置が前記通常状態および前記節電状態の何れであっても、前記命令情報を前記記憶部に記憶することなく、前記情報処理装置に送ることを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信装置において、
前記記憶部は、自身と着脱可能であることを特徴とする通信装置。
【請求項7】
情報処理装置に接続することで、前記情報処理装置に従属して作動し、前記情報処理装置と外部装置とを通信可能に接続する通信装置の制御方法であって、
前記外部装置から前記情報処理装置に送られた命令情報を取得して解析し、前記命令情報が前記情報処理装置に対して所定の動作を指示する命令か、否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記命令情報は前記所定の動作を指示する命令ではないと判定した場合、前記命令情報を記憶する記憶工程と、
前記情報処理装置が電力を通常に消費する通常状態、および消費電力を低減した節電状態の何れの状態かを検知し、前記情報処理装置が前記通常状態である場合、前記記憶工程で記憶した前記命令情報を前記情報処理装置に送る送信工程と、を有することを特徴とする通信装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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