説明

通信装置の電源制御方法、通信装置、およびアダプタ装置

【課題】接続ポートからの受電電力のみで動作する通信装置を含む場合でも、複数の通信装置の電源を、一括して制御することのできる電源制御技術を提供する。
【解決手段】最上段装置1の電源のオンオフに従い、最上段装置1の下段側に位置する中段装置2へのPoE給電がオンオフし、このPoE給電のオンオフに連動してこの中段装置2の電源がオンオフする。また、中段装置2の電源のオンオフに従い、この中段装置2の下段側に位置する他の中段装置2あるいは最下段装置3へのPoE給電がオンオフし、このPoE給電のオンオフに連動して、この中段装置2の下段側に位置する他の中段装置2あるいは最下段装置3の電源がオンオフする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信装置に対する電源制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、専用の電源を不要とし、電源供給や電源オンオフ制御のための専用の信号線を不要とし、かつ無駄な消費電力を抑えることのできるハブ、スイッチ、モデム等の交換装置の電源制御技術が開示されている。
【0003】
この技術において、交換装置は、各接続ポートに受電回路が設けられている。また、この交換装置に接続されるPC等の通信装置は、接続ポートに給電回路が設けられている。そして、交換装置は、接続ポートを介して通信装置から供給された電力を受電回路で受電することにより動作する。また、通信装置は、通信を行うときにのみ、給電回路を駆動して、接続ポートから交換装置に電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−191377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術には次のような問題がある。
【0006】
すなわち、通信装置の接続ポートに給電回路を設ける必要があり、接続ポートからの受電電力のみで動作するIP電話機、無線LANアクセスポイント等の通信装置間の通信には、特許文献1に記載の交換装置を利用することができない。
【0007】
また、ブロードキャストあるいはマルチキャストでデータ通信が行われる場合、交換装置に接続されるすべての通信装置が通信状態となり、一台の通信装置の給電のみで交換装置を駆動できるにもかかわらず、すべての通信装置の給電回路が動作してしまう。このため、通信装置側で無駄な消費電力を発生させてしまう。
【0008】
ところで、近年、省エネへの取り組みの重要性が日増しに高まっている。消灯後にすべての電気機器の電源を切断するなどの対策が多くの企業で講じられるようになってきている。これに対し、特許文献1に記載の技術では、交換装置に接続されているすべての通信装置の電源を切断することにより、交換装置の電源を切断することはできる。しかし、交換装置に接続されているすべての通信装置について、電源を一つ一つ個別に切断する作業が必要となり煩雑である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、接続ポートからの受電電力のみで動作する通信装置を含む場合でも、複数の通信装置の電源を、一括して制御することのできる電源制御技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の通信装置が多段接続されて構成される。最上段に位置する通信装置は、操作者による電源投入操作、予め計画された電源投入時刻の到来、あるいは人感センサによる有人状態の検知などの所定の電源投入イベントが発生すると、自装置の電源を投入するとともに、下段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE(Power over Ethernet(登録商標))給電機能を有効にしてPoE電力を給電する。中段に位置する通信装置は、上段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE受電機能によりPoE電力を受電すると、自装置の電源を投入するとともに、下段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE給電機能を有効にしてPoE電力を給電する。そして、最下段に位置する通信装置は、上段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE受電機能によりPoE電力を受電すると、自装置の電源を投入する。
【0011】
また、最上段に位置する通信装置は、操作者による電源切断操作、予め計画された電源切断時刻の到来、あるいは人感センサによる無人状態の検知などの所定の電源切断イベントが発生すると、下段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE給電機能を無効にしてPoE電力の給電を停止するとともに、自装置の電源を切断する。中段に位置する通信装置は、上段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE受電機能によるPoE電力の受電が停止すると、下段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE給電機能を無効にしてPoE電力の給電を停止するとともに、自装置の電源を切断する。そして、最下段に位置する通信装置は、上段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE受電機能によるPoE電力の受電が停止すると、自装置の電源を切断する。
【0012】
例えば、本発明の通信装置は、上段側の通信装置および下段側の通信装置間を中継する通信装置であって、
前記上段側の通信装置と接続するための、PoE受電機能を備えた第一接続ポートと、
前記下段側の通信装置と接続するための、PoE給電機能を備えた少なくとも一つの第二接続ポートと、
前記PoE受電機能により前記第一接続ポートを介して前記上段側の通信装置からPoE電力を受電した場合に、自装置の電源を投入するとともに、前記PoE給電機能を有効にして、前記第二接続ポートを介した前記下段側の通信装置へのPoE電力の給電を開始し、前記PoE受電機能による前記第一接続ポートを介したPoE電力の受電が停止した場合に、前記PoE給電機能を無効にして、前記第二接続ポートを介した前記下段側の通信装置へのPoE電力の給電を停止するとともに、前記電源を切断する電源制御手段と、を有する。
【0013】
また、本発明のアダプタ装置は、通信装置の電源を制御するアダプタ装置であって、
PoE受電機能を備えた第一接続ポートと、
前記PoE受電機能により前記第一接続ポートを介してPoE電力を受電した場合に、前記通信装置の電源を投入し、前記PoE受電機能による前記第一接続ポートを介したPoE電力の受電が停止した場合に、前記通信装置の電源を切断する電源制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続ポートからの受電電力のみで動作する通信装置を含む場合であっても、複数の通信装置の電源を、一括して制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る通信システムの概略構成図である。
【図2】図2は、最上段装置1の概略機能構成図である。
【図3】図3は、中段装置2の概略機能構成図である。
【図4】図4は、最下段装置3の概略機能構成図である。
【図5】図5(A)は、中段装置2Aの概略機能構成図であり、図5(B)は最下段装置3Aの概略機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る通信システムの概略構成図である。
【0018】
図示するように、本実施の形態に係る通信システムは、複数の通信装置1〜3がLANケーブル4を介して多段接続されて構成される。ここで、最上段に位置する通信装置(以下、最上段装置)1は、アップリンク接続ポート(U−Port)11がWANに接続されているならば、ルータまたはゲートウェイに該当し、アップリンク接続ポート11がルータまたはゲートウェイに接続されているならば、呼制御サーバ、アプリケーションサーバなどの各種サーバに該当する。中段に位置する通信装置(以下、中段装置)2はハブに該当する。そして、最下段に位置する通信装置(以下、最下段装置)3は、IP電話機、無線LANアクセスポイント、PC、ネットワーク対応プリンタなどのネットワーク端末に該当する。
【0019】
なお、図1では、二台の中段装置2が多段接続されている場合を例示しているが、中段装置2は一台でもよいし、あるいは三台以上の中段装置2が多段接続されていてもよい。または、最上段装置1および中段装置2が一体化された通信装置に、最下段装置3を直結してもよい。
【0020】
最上段装置1は、所定の電源投入イベントが発生すると、自装置1の電源を投入するとともに、中段装置2と接続するための接続ポートであるダウンリンク接続ポート(D−Port)12のPoE(Power over Ethernet(登録商標))給電機能を有効にして、PoE電力を給電する。また、最上段装置1は、所定の電源切断イベントが発生すると、ダウンリンク接続ポート12のPoE給電機能を無効にして、PoE電力の給電を停止するとともに、自装置1の電源を切断する。
【0021】
図2は、最上段装置1の概略機能構成図である。ここで、実線の矢印は信号の流れを示し、点線の矢印は電力の流れを示している。
【0022】
図示するように、最上段装置1は、操作受付部101と、人感センサ102と、スケジュール記憶部103と、電源制御部104と、補助電源部105と、主電源部106と、装置機能部107と、LAN−IF部108と、PoE給電部109と、を有する。
【0023】
操作受付部101は、操作者から電源投入操作、電源切断操作を含む各種操作を受け付けるためのユーザインターフェースである。
【0024】
人感センサ102は、所定のエリア内における人の存否(有人状態、無人状態)を検知するためのセンサであり、例えば赤外線センサが用いられる。
【0025】
スケジュール記憶部103には、電源投入予定時刻および電源切断予定時刻を含むスケジュールデータが記憶されている。
【0026】
電源制御部104は、主電源部106のオンオフを制御する。具体的には、所定の電源投入イベントが発生した場合に主電源部106をオンにし、所定の電源切断イベントが発生した場合に主電源部106をオフにする。本実施の形態では、所定の電源投入イベントとして、操作受付部101による電源投入操作の受付、人感センサ102による有人状態の検知、およびスケジュール記憶部103に記憶されている電源投入予定時刻の到来を想定している。また、所定の電源切断イベントとして、操作受付部101による電源切断操作の受付、人感センサ102による無人状態の検知、およびスケジュール記憶部103に記憶されている電源切断予定時刻の到来を想定している。
【0027】
補助電源部105は、操作受付部101、人感センサ102、スケジュール記憶部103、および電源制御部104に、駆動用電力を供給する。ここで、最上段装置1が不在時に動作させなければならない機能を有する場合(例えば、最上段装置1が呼制御サーバであって留守電機能を有する場合)、あるいは、常時動作させなければならない機能を有する場合(例えば、最上段装置1がアプリケーションサーバであって、外部からのアクセスに常時対応できるようにする場合)、補助電源部105からこれらの機能に電源を供給するようにしてもよい。
【0028】
主電源部106は、電源制御部104の指示に従い、装置機能部107、LAN−IF部108、およびPoE給電部109に、駆動用電力を供給する。
【0029】
装置機能部107は、最上段装置1に要求される機能を実現する。例えば、最上段装置1がルータならば、ルータに必要な機能を実現し、ゲートウェイならば、ゲートウェイに必要な機能を実現し、呼制御サーバならば、呼制御サーバに必要な機能を実現し、アプリケーションサーバならば、アプリケーションサーバに必要な機能を実現する。
【0030】
LAN−IF部108は、LANケーブル4を介して通信を行うためのインターフェースであり、LANケーブル4を介してWANまたはルータ、ゲートウェイに接続するためのアップリンク接続ポート11と、LANケーブル4を介して中段装置2に接続するためのダウンリンク接続ポート12と、を有する。
【0031】
PoE給電部109は、LANケーブル4を介してダウンリンク接続ポート12に接続された中段装置2に、PoE電力を給電する。
【0032】
図1に戻って説明を続ける。
【0033】
中段装置2は、最上段装置1あるいは他の中段装置2と接続するための接続ポートであるアップリンク接続ポート(U−Port)21のPoE受電機能によりPoE電力を受電すると、自装置2の電源を投入するとともに、他の中段装置2あるいは最下段装置3と接続するための接続ポートであるダウンリンク接続ポート(D−Port)22のPoE給電機能を有効にして、PoE電力を給電する。また、中段装置2は、アップリンク接続ポート21のPoE受電機能によるPoE電力の受電が停止されると、ダウンリンク接続ポート22のPoE給電機能を無効にして、PoE電力の給電を停止するとともに、自装置2の電源を切断する。
【0034】
図3は、中段装置2の概略機能構成図である。ここで、実線の矢印は信号の流れを示し、点線の矢印は電力の流れを示している。
【0035】
図示するように、中段装置2は、電源制御部201と、補助電源部202と、主電源部203と、LAN−IF部204と、中継部205と、PoE給電部206と、PoE受電部207と、を有する。
【0036】
電源制御部201は、PoE受電部207の指示に従い、主電源部203のオンオフを制御する。具体的には、PoE受電部207から電源投入信号が出力されている場合に主電源部203をオンにし、この電源投入信号が出力されていない場合に主電源部203をオフにする。
【0037】
補助電源部202は、電源制御部201に駆動用電力を供給する。
【0038】
主電源部203は、電源制御部201の指示に従い、LAN−IF部204、中継部205、およびPoE給電部206に、駆動用電力を供給する。
【0039】
LAN−IF部204は、LANケーブル4を介して通信を行うためのインターフェースであり、LANケーブル4を介して最上段装置1または他の中段装置2に接続するためのアップリンク接続ポート21と、LANケーブル4を介して他の中段装置2または最下段装置3に接続するための少なくとも一つのダウンリンク接続ポート22と、を有する。
【0040】
中継部205は、アップリンク接続ポート21とダウンリンク接続ポート22との間、およびダウンリンク接続ポート22間のデータ中継処理(リピータ処理、スイッチング処理など)を行う。
【0041】
PoE給電部206は、LANケーブル4を介して各ダウンリンク接続ポート22に接続された他の中段装置2あるいは最下段装置3に、PoE電力を給電する。
【0042】
PoE受電部207は、LANケーブル4を介してアップリンク接続ポート21に接続された最上段装置1あるいは他の中段装置2からPoE電力を受電する。そして、PoE電力を受電している間、電源制御部201に電源投入信号を出力する。ここで、PoE受電部207は、受電したPoE電力を、電源ランプ、アクセスランプなど、自装置2の図示していない構成要素の一部に供給してもよい。
【0043】
なお、本実施の形態においては、電源制御部201に駆動用電力を供給する補助電源部202を設けているが、PoE受電部207で受電したPoE電力を電源制御部201に供給することにより、補助電源部202を省略してもよい。
【0044】
図1に戻って説明を続ける。
【0045】
最下段装置3は、中段装置2と接続するための接続ポートであるアップリンク接続ポート(U−Port)31のPoE受電機能によりPoE電力を受電すると、自装置3の電源を投入する。また、最下段装置3は、アップリンク接続ポート31のPoE受電機能によるPoE電力の受電が停止すると、自装置3の電源を切断する。
【0046】
図4は、最下段装置3の概略機能構成図である。ここで、実線の矢印は信号の流れを示し、点線の矢印は電力の流れを示している。
【0047】
図示するように、最下段装置3は、電源制御部301と、補助電源部302と、主電源部303と、装置機能部304と、LAN−IF部305と、PoE受電部306と、を有する。
【0048】
電源制御部301は、PoE受電部306の指示に従い、主電源部303のオンオフを制御する。具体的には、PoE受電部306から電源投入信号が出力されている場合に主電源部303をオンにし、この電源投入信号が出力されていない場合に主電源部303をオフにする。
【0049】
補助電源部302は、電源制御部301に、駆動用電力を供給する。
【0050】
主電源部303は、電源制御部301の指示に従い、装置機能部304およびLAN−IF部305に、駆動用電力を供給する。
【0051】
装置機能部304は、最下段装置3に要求される機能を実現する。例えば、最下段装置3がIP電話機ならば、IP電話機に必要な機能を実現し、無線LANアクセスポイントならば、無線LANアクセスポイントに必要な機能を実現する。
【0052】
LAN−IF部305は、LANケーブル4を介して通信を行うためのインターフェースであり、LANケーブル4を介して中段装置2に接続するためのアップリンク接続ポート31を有する。
【0053】
PoE受電部306は、LANケーブル4を介してアップリンク接続ポート31に接続された中段装置2からPoE電力を受電する。そして、PoE電力を受電している間、電源制御部301に電源投入信号を出力する。ここで、PoE受電部306は、受電したPoE電力を、電源ランプ、アクセスランプなど、自装置3の図示していない構成要素の一部に供給してもよい。
【0054】
なお、本実施の形態においては、電源制御部301に駆動用電力を供給する補助電源部302を設けているが、PoE受電部306で受電したPoE電力を電源制御部301に供給することにより、補助電源部302を省略してもよい。
【0055】
つぎに、以上のような構成を有する本実施の形態に係る通信システムの電源投入動作および電源切断動作を説明する。
【0056】
(1)電源投入動作
最上段装置1において、操作受付部101による電源投入操作の受付、人感センサ102による有人状態の検知、およびスケジュール記憶部103に記憶されている電源投入予定時刻の到来などの所定の電源投入イベントが発生すると、電源制御部104は、主電源部106をオンにする。これにより、PoE給電部109が動作し、LANケーブル4を介してダウンリンク接続ポート12に接続する中段装置2にPoE電力が給電される。
【0057】
中段装置2において、PoE受電部207が、LANケーブル4を介してアップリンク接続ポート21に接続する最上段装置1あるいは他の中段装置2からPoE電力を受電して、電源投入信号を出力すると、電源制御部201は、主電源部203をオンにする。これにより、PoE給電部206が動作し、LANケーブル4を介して各ダウンリンク接続ポート22に接続する他の中段装置2、最下段装置3に、PoE電力が給電される。
【0058】
最下段装置3において、PoE受電部306が、LANケーブル4を介してアップリンク接続ポート31に接続する中段装置2からPoE電力を受電して、電源投入信号を出力すると、電源制御部301は、主電源部303をオンにする。
【0059】
(2)電源切断動作
最上段装置1において、操作受付部101による電源切断操作の受付、人感センサ102による無人状態の検知、およびスケジュール記憶部103に記憶されている電源切断予定時刻の到来などの所定の電源切断イベントが発生すると、電源制御部104は、主電源部106をオフにする。これにより、PoE給電部109の動作が停止し、LANケーブル4を介してダウンリンク接続ポート12に接続する中段装置2へのPoE電力の給電が終了する。
【0060】
中段装置2において、PoE受電部207が、LANケーブル4を介してアップリンク接続ポート21に接続する最上段装置1あるいは他の中段装置2からのPoE電力の受電終了により、電源投入信号の出力を停止すると、電源制御部201は、主電源部203をオフにする。これにより、PoE給電部206の動作が停止し、LANケーブル4を介して各ダウンリンク接続ポート22に接続する他の中段装置2、最下段装置3へのPoE電力の給電が終了する。
【0061】
最下段装置3において、PoE受電部306が、LANケーブル4を介してアップリンク接続ポート31に接続する中段装置2からのPoE電力の受電終了により、電源投入信号の出力を停止すると、電源制御部301は、主電源部303をオフにする。
【0062】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0063】
本実施の形態では、最上段装置1の電源のオンオフに連動して、最上段装置1の下段側に位置する中段装置2の電源がオンオフし、さらに、中段装置2の電源のオンオフに連動して、この中段装置2の下段側に位置する他の中段装置2あるいは最下段装置3の電源がオンオフする。このように、本実施の形態によれば、通信システムを構成する複数の通信装置1〜3の電源を、最上段装置1の電源に連動させて、一括して制御することができる。このため、各通信装置1〜3の電源を一つ一つ個別に切断する作業が不要となる。
【0064】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0065】
例えば、本実施の形態においては、図2〜図4に示すように、最上段装置1、中段装置2および最下段装置3が商用電源(AC電源)から交流電力の供給を受ける場合を一例に挙げたが、電源アダプタ(DC電源)から直流電力の供給を受ける通信装置が通信システムに含まれていてもよい。このような通信装置においては、電源スイッチのオンオフが、PoE電力のオンオフに応じて制御される。例えば、最上段装置の電源スイッチがオンの間だけ、最上段装置から、その下段側に位置する中段装置へPoE電力が供給され、これにより、中段装置の電源スイッチがオンに切り替わり、この中段装置から、その下段側に位置する他の中段装置または最下段装置へPoE電力が供給される。最上段装置または中段装置の電源スイッチのオフにより、その下側に位置する中段装置へのPoE電力の供給が停止すると、この中段装置の電源スイッチがオフに切り替わり、この中段装置から、その下段側に位置する他の中段装置または最下段装置へPoE電力の供給が停止する。また、最下段装置の電源スイッチは、最下段装置にPoE電力が供給されるとオンに切り替わり、PoE電力の供給が停止するとオフに切り替わる。
【0066】
また、中段装置2において、PoE受電部207で受電したPoE電力をLAN−IF部204、中継部205、およびPoE給電部206に供給することにより、電源制御部201、補助電源部202、および主電源部203を省略してもよい。同様に、最下段装置3において、PoE受電部306で受電したPoE電力を装置機能部304およびLAN−IF部305に供給することにより、電源制御部301、補助電源部302、および主電源部303を省略してもよい。
【0067】
このように、本実施の形態によれば、アップリンク接続ポート21、31に供給されるPoE電力のみで動作する中段装置2、最下段装置3を含む通信システムに対しても、最上段装置1の電源に連動させて、一括して電源制御することができる。
【0068】
また、本実施の形態において、中段装置2に代えて、図5(A)に示すような、給電ハブ5にアダプタ装置6が追加された構成の中段装置2Aを用いてよい。ここで、実線の矢印は信号の流れを示し、点線の矢印は電力の流れを示している。
【0069】
給電ハブ5は、PoE受電機能を有しない既存の給電ハブであり、LANケーブル4を介して上段側の装置(ここでは、アダプタ装置6)に接続するためのアップリンク接続ポート(U−Port)21Aと、LANケーブル4を介して他の中段装置2、2Aあるいは最下段装置3に接続するための、PoE給電機能を備えた少なくとも一つのダウンリンク接続ポート(D−Port)22Aと、を有する。
【0070】
アダプタ装置6は、最上段装置1あるいは他の中段装置2、2AからのPoE電力の受電状態に応じて、給電ハブ5への電源投入をオンオフする。図示するように、アダプタ装置6は、アップリンク接続ポート(U−Port)21Bと、ダウンリンク接続ポート(D−Port)22Bと、電源SW601と、PoE受電部602と、を有する。
【0071】
アップリンク接続ポート21Bは、LANケーブル4を介して最上段装置1あるいは他の中段装置2、2Aに接続するための接続ポートであり、ダウンリンク接続ポート22Bは、LANケーブル4を介して給電ハブ5に接続するための接続ポートである。アップリンク接続ポート21Bとダウンリンク接続ポート22Bとは相互接続されており、これにより、給電ハブ5は、アダプタ装置6を介して、最上段装置1あるいは他の中段装置2、2Aと接続される。
【0072】
電源SW601は、商用電源あるいは電源アダプタに繋がる電源ラインと、給電ハブ5に繋がる電源ラインとの間に挿入された開閉スイッチであり、PoE受電部602の電源投入信号に従い開閉する。具体的には、PoE受電部602から電源投入信号が出力されている場合に閉成して、商用電源あるいは電源アダプタを給電ハブ5に接続し、PoE受電部602から電源投入信号が出力されていない場合に開放して、商用電源あるいは電源アダプタを給電ハブ5から切断する。
【0073】
PoE受電部602は、LANケーブル4を介してアップリンク接続ポート21Bに接続された最上段装置1あるいは中段装置2、2AからPoE電力を受電する。そして、PoE電力を受電している間、電源SW601に電源投入信号を出力する。
【0074】
このようなアダプタ装置6を用いることにより、PoE受電機能を有しない既存の給電ハブ5を含む通信システムに対しても、最上段装置1の電源に連動させて、一括して電源制御することができる。
【0075】
また、給電ハブ5を直接最上段装置1あるいは他の中段装置2、2Aに接続する場合、自装置2Aのために最上段装置1あるいは他の中段装置2、2Aが使用するダウンリンク接続ポート12、22、22Aの数は二つ(給電ハブ5およびアダプタ装置6用にそれぞれ一つ)となる。しかし、給電ハブ5をアダプタ装置6経由で最上段装置1あるいは他の中段装置2、2Aに接続することができるので、この場合、自装置2Aのために最上段装置1あるいは他の中段装置2、2Aが使用するダウンリンク接続ポート12、22、22Aの数は一つで済む。
【0076】
また、本実施の形態において、最下段装置3に代えて、図5(B)に示すような、ネットワーク端末7にアダプタ装置6が追加された構成の最下段装置3Aを用いてよい。ここで、実線の矢印は信号の流れを示し、点線の矢印は電力の流れを示している。
【0077】
ネットワーク端末7は、PoE受電機能を有しないIP電話機などの既存のネットワーク端末であり、LANケーブル4を介して上段側の装置(ここでは、アダプタ装置6)に接続するためのアップリンク接続ポート(U−Port)31Aを有する。
【0078】
アダプタ装置6は、中段装置2、2AからのPoE電力の受電状態に応じて、ネットワーク端末7への電源投入をオンオフする。このアダプタ装置6は、図5(A)に示す中段装置2Aに用いたものと同じものである。ただし、アップリンク接続ポート21Bは、LANケーブル4を介して中段装置2、2Aに接続され、ダウンリンク接続ポート22Bは、LANケーブル4を介してネットワーク端末7に接続される。
【0079】
このようなアダプタ装置6を用いることにより、PoE受電機能を有しない既存のネットワーク端末7を含む通信システムに対しても、最上段装置1の電源に連動させて、一括して電源制御することができる。
【0080】
また、ネットワーク端末7を直接中段装置2、2Aに接続する場合、自装置3Aのために中段装置2、2Aが使用するダウンリンク接続ポート22、22Aの数は二つ(ネットワーク端末7およびアダプタ装置6用にそれぞれ一つ)となる。しかし、ネットワーク端末7をアダプタ装置6経由で中段装置2、2Aに接続することができるので、この場合、自装置3Aのために中段装置2、2Aが使用するダウンリンク接続ポート22、22Aの数は一つで済む。
【0081】
また、本実施の形態において、図2〜図5(A)(B)に示す最上段装置1、中段装置2、2A、および最下段装置3、3Aの機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。もしくは、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0082】
1:通信装置(最上段装置)、2、2A:通信装置(中段装置)、3、3A:通信装置(最下段装置)、4:LANケーブル、5:給電ハブ、6:アダプタ装置、7:ネットワーク端末、8:アダプタ装置、11:アップリンク接続ポート、12:ダウンリンク接続ポート、21、21A、21B:アップリンク接続ポート、22、22A、22B:ダウンリンク接続ポート、31、31A、31B:アップリンク接続ポート、32B:ダウンリンク接続ポート、101:操作受付部、102:人感センサ、103:スケジュール記憶部、104:電源制御部、105:補助電源部、106:主電源部、107:装置機能部、108:LAN−IF部、109:PoE給電部、201:電源制御部、202:補助電源部、203:主電源部、204:LAN−IF部、205:中継部、206:PoE給電部、207:PoE受電部、301:電源制御部、302:補助電源部、303:主電源部、304:装置機能部、305:LAN−IF部、306:PoE受電部、601:電源SW、602:PoE受電部、801:電源SW、802:PoE受電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段接続された複数の通信装置の電源制御方法であって、
最上段に位置する通信装置は、所定の電源投入イベントが発生すると、自装置の電源を投入するとともに、下段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE給電機能を有効にしてPoE電力を給電し、
中段に位置する通信装置は、上段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE受電機能によりPoE電力を受電すると、自装置の電源を投入するとともに、下段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE給電機能を有効にしてPoE電力を給電し、
最下段に位置する通信装置は、上段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE受電機能によりPoE電力を受電すると、自装置の電源を投入し、
前記最上段に位置する通信装置は、所定の電源切断イベントが発生すると、自装置の前記下段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE給電機能を無効にしてPoE電力の給電を停止するとともに、自装置の前記電源を切断し、
前記中段に位置する通信装置は、自装置の前記上段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE受電機能によるPoE電力の受電が停止すると、自装置の前記下段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE給電機能を無効にしてPoE電力の給電を停止するとともに、自装置の前記電源を切断し、
前記最下段に位置する通信装置は、自装置の前記上段側の通信装置と接続するための接続ポートのPoE受電機能によるPoE電力の受電が停止すると、自装置の前記電源を切断する
ことを特徴とする電源制御方法。
【請求項2】
上段側の通信装置および下段側の通信装置間を中継する通信装置であって、
前記上段側の通信装置と接続するための、PoE受電機能を備えた第一接続ポートと、
前記下段側の通信装置と接続するための、PoE給電機能を備えた少なくとも一つの第二接続ポートと、
前記PoE受電機能により前記第一接続ポートを介して前記上段側の通信装置からPoE電力を受電した場合に、自装置の電源を投入するとともに、前記PoE給電機能を有効にして、前記第二接続ポートを介した前記下段側の通信装置へのPoE電力の給電を開始し、前記PoE受電機能による前記第一接続ポートを介したPoE電力の受電が停止した場合に、前記PoE給電機能を無効にして、前記第二接続ポートを介した前記下段側の通信装置へのPoE電力の給電を停止するとともに、前記電源を切断する電源制御手段と、を有する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
通信装置の電源を制御するアダプタ装置であって、
PoE受電機能を備えた第一接続ポートと、
前記PoE受電機能により前記第一接続ポートを介してPoE電力を受電した場合に、前記通信装置の電源を投入し、前記PoE受電機能による前記第一接続ポートを介したPoE電力の受電が停止した場合に、前記通信装置の電源を切断する電源制御手段と、を有する
ことを特徴とするアダプタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のアダプタ装置であって、
前記通信装置と接続するための、前記第一接続ポートに接続された第二接続ポートをさらに有する
ことを特徴とするアダプタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−134901(P2012−134901A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287035(P2010−287035)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】